説明

突入電流抑制回路制御方法および突入電流抑制回路制御装置

【課題】 本発明は、交流電圧を電源スイッチにより投入または遮断を行う場合、前記電源スイッチと電源整流素子間の電路を介して流れる突入電流を軽減するために、前記電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後にリレー接点によって、前記電流制限素子を短絡する突入電流抑制回路制御方法および突入電流抑制回路制御装置に関するものである。
【解決手段】 本発明の突入電流抑制回路制御方法は、前記電流制限素子に対して並列に二組のリレー接点が接続されている。前記一方のリレー接点は、接点の状態、あるいは、駆動時間等によりリレー手段の寿命が検出され、制御装置等によりリレー手段の寿命が来たと判断した場合、一方のリレー手段から他方のリレー手段に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電圧を電源スイッチにより投入または遮断を行う場合、前記電源スイッチと電源整流素子間の電路を介して流れる突入電流を軽減するために、前記電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後にリレー接点によって、前記電流制限素子を短絡する突入電流抑制回路制御方法および突入電流抑制回路制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は突入電流抑制回路制御装置における従来例を説明するための図である。図6において、突入電流抑制回路制御装置は、交流電源1と、平滑コンデンサ2と、前記交流電源1と前記平滑コンデンサ2との間に接続された電流制限素子(制限抵抗)4と、前記電流制限素子4に並列に接続されたリレー接点3と、前記電源回路を制御する制御回路5と、リレーコイル6と、前記リレーコイル6により前記リレー接点3をON−OFFさせるためのスイッチ回路7とから構成されている。
【0003】
前記突入電流抑制回路制御装置は、たとえば、交流電源1の投入により、前記電流制限素子4内を突入電流が流れるが、電流の増加により、前記電流制限素子4の抵抗値が急激に増加するため、突入電流の軽減が計られる。そして、前記突入電流抑制回路制御装置は、所定時間後に前記電流制限素子4に並列に接続されているリレー接点3が短絡することにより、負荷電流がリレー接点3側を流れるため、電力の損失を無くすことができる。また、前記突入電流抑制回路制御装置は、リレー接点3およびリレーコイル6が発熱を伴うために実装基板以外の部分9に設置されている。前記のような突入電流抑制回路制御装置は、たとえば、特開平11−225432号公報に記載されている。
【特許文献1】特開平11−225432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような突入電流抑制回路制御装置は、負荷電流の大小にかかわらず、電源スイッチが投入されている間、リレー接点を接続するためのリレーコイルに電流が供給され続けていることになる。前記リレーコイルに流れ続ける電流は、発熱を伴い、銅線の被膜等が経年変化により劣化し、リレー自体の寿命を短くしていた。また、前記リレー接点は、比較的大電流が流れるだけでなく、ON−OFFを繰り返すために劣化して抵抗が増加する。前記リレーの劣化を防止するために、高価なリレーを使用することにより、前記電源装置の信頼性を保つようにしていた。特に、深夜電力を使用する貯湯式給湯装置あるいはエアコンディショナーは、使用時間が長く、また、製品寿命が長いため、信頼性の高い製品が要求されるので、高価なリレーが採用されていた。
【0005】
以上のような課題を解決するために、本発明は、前記貯湯式給湯装置あるいはエアコンディショナーのように、待機状態における負荷電流が少ない場合に着目し、製品寿命の長い電子機器の突入電流抑制回路制御方法および突入電流抑制回路制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の突入電流抑制回路制御方法は、交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡するものであり、前記電流制限素子に対して並列に二組のリレー接点が接続され、前記一方のリレー接点を駆動するリレー手段の寿命を検出することにより、他方のリレー接点に切り替えるように制御することを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の突入電流抑制回路制御装置は、交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡するものであり、前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点および第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点と、前記リレー接点をON−OFFする第1リレー手段および第2リレー手段と、前記電源整流素子後における電源電圧を監視する電源電圧監視手段と、前記電源整流素子後における電源電圧の規定値が予め記憶されている電源電圧規定値記憶手段と、前記電源電圧監視手段によって監視された電圧と、前記電源電圧規定値記憶手段に記憶されている規定値電圧を比較して判断する電源電圧判断手段と、前記電源電圧判断手段により電源電圧値が所定の電圧値以下であると判断した場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えるリレー接点切替手段と、を少なくとも備えていることを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の突入電流抑制回路制御装置は、交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡するものであり、前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点をON−OFFする第1リレー手段および第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点をON−OFFする第2リレー手段と、前記第1リレー手段および第2リレー手段におけるコイルの抵抗値を監視するリレーコイル抵抗値監視手段と、前記第1リレー手段および第2リレー手段におけるコイルの最低抵抗値を記憶するリレーコイル抵抗値記憶手段と、前記リレーコイル抵抗値監視手段によって監視された抵抗値と、前記リレーコイル抵抗値記憶手段に記憶されている抵抗値を比較して判断するリレー寿命監視手段と、前記リレー寿命監視手段により監視されたリレーコイルの抵抗値が規定抵抗以下であると判断された場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えるリレー接点切替手段とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の突入電流抑制回路制御装置は、交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡するものであり、前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点をON−OFFする第1リレー手段および第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点をON−OFFする第2リレー手段と、前記第1リレー手段および第2リレー手段の駆動時間を測定するリレー駆動時間測定手段と、前記第1リレー手段および第2リレー手段における駆動時間の閾値を記憶するリレー駆動時間閾値記憶手段と、前記リレー駆動時間測定手段によって測定された駆動時間と、前記リレー駆動時間閾値記憶手段に記憶されている駆動時間を比較して判断するリレー駆動時間判断手段と、前記リレー駆動時間判断手段により判断されたリレー駆動時間以上であると判断された場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えるリレー接点切替手段とを少なくとも備えていることを特徴とする。
【0010】
(第5発明)
第5発明の突入電流抑制回路制御装置において、第2発明から第4発明のリレー接点切替手段は、リレー手段の寿命にかかわらず、第1リレー手段と第2リレー手段とを交互に切り替えることを特徴とする。
【0011】
(第6発明)
第6発明の突入電流抑制回路制御装置において、第2発明から第4発明のリレー接点切替手段は、第1リレー手段と第2リレー手段との累積駆動時間を比較し、常に、累積駆動時間の少ないリレー手段を選択することを特徴とする。
【0012】
(第7発明)
第7発明の突入電流抑制回路制御装置は、第2発明から第4発明における第1リレー手段の寿命判断手段を備え、前記手段の少なくとも一つによって寿命が来たことを判断した場合に第2リレー手段に切り替えることを特徴とする。
【0013】
(第8発明)
第8発明の突入電流抑制回路制御装置は、第2発明から第7発明において、第2リレー手段に切り替わり、その寿命が近づいた場合に寿命が近づいたことを報知する報知手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電流制限素子を短絡する第1リレー接点に抵抗等が発生した場合、電源電圧が低下することを監視しているため、第2リレー接点に切り替えることができ、安価なリレー手段であっても、電源回路の寿命を長くすることができる。
【0015】
本発明によれば、第1リレー手段におけるリレーコイルの抵抗値を監視することで、リレーコイルを被覆している被膜が劣化して発生するレアーショートを速く発見でき、第2リレー手段に切り替えることで、安価なリレー手段であっても、長寿命の電源回路とすることができる。
【0016】
本発明によれば、第1リレー手段の使用時間を測定することで、前記第1リレー手段の寿命が尽きる前に、第2リレー手段に切り替えることで、安価なリレー手段であっても、電源回路の寿命を延ばすことができる。
【0017】
本発明によれば、第1リレー手段と第2リレー手段を交互に使用したり、使用時間の短い方を選択的に使用することで、電源回路の寿命をさらに延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1発明)
第1発明の突入電流抑制回路制御方法は、交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するための方法に関するものである。前記突入電流抑制回路制御方法は、前記電路に対して直列に電流制限素子が接続され、前記電流制限素子によって、突入電流を防止し、その後、前記電流制限素子に並列に接続されたリレー接点によって、前記電流制限素子を短絡して、負荷電流による電圧降下を防止している。
【0019】
本発明の突入電流抑制回路制御方法は、前記電流制限素子に対して並列に二組のリレー接点が接続されている。前記一方のリレー接点は、接点の状態、あるいは、駆動時間等によりリレー手段の寿命が検出され、制御装置等によりリレー手段の寿命が来たと判断した場合、一方のリレー手段から他方のリレー手段に切り替える。
【0020】
(第2発明)
第2発明の突入電流抑制回路制御装置は、電源回路と、前記電源回路に直列に接続され、電源スイッチと電源整流素子管の電路を介して流れる突入電流を軽減する電流制限素子と、前記電流制限素子に対して並列に二組のリレー接点とを少なくとも備えている。前記突入電流抑制回路制御装置は、交流電圧の投入または遮断により、前記電源スイッチと電源整流素子間の電路を介して流れる突入電流を軽減するために、前記電流制限素子に電流が流れ、その後、突入電流通過後にリレー接点によって、前記電流制限素子を短絡するように制御される。
【0021】
第1リレー手段は、前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点が並列に接続されており、負荷電流によって前記第1リレー接点をON−OFFする。第2リレー手段は、前記第1リレー手段と同様に、前記電流制限素子を短絡する第2リレー接点が並列に接続されており、負荷電流によって前記第2リレー接点をON−OFFする。電源電圧監視手段は、前記電源整流素子後における電源電圧を監視する。電源電圧規定値記憶手段は、前記電源整流素子後における電源電圧の規定値が予め記憶されている。
【0022】
電源電圧判断手段は、前記電源電圧監視手段によって監視された電圧と、前記電源電圧規定値記憶手段に記憶されている規定値電圧を比較して、リレー接点における電圧降下の状態からリレー手段の寿命を見ている。リレー接点切替手段は、前記電源電圧判断手段において、電源電圧値が所定の電圧値以下であると判断した場合に、前記第1リレー接点の寿命が来ていると判断して、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替える。本発明は、電流制限素子に対して並列に二組のリレー接点を接続しておき、一方のリレー接点が寿命になった場合、他方のリレー接点に切り替えることにより、製品の寿命を長くすることができる。
【0023】
(第3発明)
第3発明の突入電流抑制回路制御装置は、リレー手段の寿命をリレーコイルの抵抗により判断している点で、第2発明と異なっている。すなわち、第3発明の突入電流抑制回路制御装置は、前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点をON−OFFする第1リレー手段と、第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点をON−OFFする第2リレー手段と、リレーコイル抵抗値監視手段と、リレーコイル抵抗値記憶手段と、リレー寿命監視手段と、リレー接点切替手段とから少なくとも構成されている。
【0024】
前記リレーコイル抵抗値監視手段は、前記第1リレー手段および第2リレー手段におけるコイルの抵抗値を監視している。前記リレーコイル抵抗値記憶手段は、前記第1リレー手段および第2リレー手段におけるコイルの最低抵抗値を予め記憶している。前記リレー寿命監視手段は、前記リレーコイル抵抗値監視手段によって監視されたリレーコイルの抵抗値と、前記リレーコイル抵抗値記憶手段に記憶されているリレーコイル抵抗値とを比較してリレーコイルの寿命が来ているか否かを判断する。
【0025】
前記リレー接点切替手段は、前記リレー寿命監視手段により監視されたリレーコイルの抵抗値が規定抵抗値以下で、寿命が来ていると判断された場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替える。本発明は、電源回路に接続された第1リレー接点に寿命が来たことを自動的に判断して、第2リレー接点に自動的に切り替えることにより、電源回路の寿命を長くすることができる。
【0026】
(第4発明)
第4発明の突入電流抑制回路制御装置は、リレー手段の寿命をリレー手段の駆動時間によって判断している点で、第2発明および第3発明と異なっている。すなわち、第4発明の突入電流抑制回路制御装置は、前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点をON−OFFする第1リレー手段と、リレー駆動時間測定手段と、リレー駆動時間閾値記憶手段と、リレー駆動時間判断手段と、リレー接点切替手段とから少なくとも構成されている。
【0027】
前記リレー駆動時間測定手段は、前記第1リレー手段および第2リレー手段の駆動時間を測定する。前記リレー駆動時間閾値記憶手段は、前記第1リレー手段および第2リレー手段における駆動時間の閾値を予め記憶している。前記リレー駆動時間判断手段は、前記リレー駆動時間測定手段によって測定された駆動時間と、前記リレー駆動時間閾値記憶手段に記憶されている駆動時間を比較して、リレーの寿命が来たか否かを判断する。前記リレー接点切替手段は、前記リレー駆動時間判断手段により判断されたリレー駆動時間以上であると判断された場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えて、電源回路の寿命を長くしている。
【0028】
(第5発明)
第5発明の突入電流抑制回路制御装置は、電源回路を投入する毎に第1リレー手段と第2リレー手段を交互に切り替えることにより、各リレー手段の寿命を長くするようにしている。第5発明の突入電流抑制回路制御装置は、製品出荷から何年も使用しない第2リレー手段を急に使用することによる初期故障を無くすことができる。前記リレー手段は、交互に使用されるため、それぞれの寿命を長くすることができる。
【0029】
(第6発明)
第6発明の突入電流抑制回路制御装置は、第1リレー手段と第2リレー手段に対する使用時間の偏りを無くすようにしたものである。すなわち、前記リレー接点切替手段は、第1リレー手段と第2リレー手段との累積駆動時間を比較し、常に、累積駆動時間の少ないリレー手段を選択して使用することにより、使用時間の平均化を図ることができる。したがって、前記リレー手段は、一方が先に寿命が来るということがなく、それぞれの寿命を全うすることができる。
【0030】
(第7発明)
第7発明の突入電流抑制回路制御装置は、リレー手段に対する複数の寿命判断手段を設けておき、少なくとも一つの寿命判断手段によって寿命が来たと判断された場合、第1リレー手段から第2リレー手段に切り替える。第7発明の突入電流抑制回路制御装置は、リレー手段に対する複数の寿命判断手段を備えることにより、判断に対する信頼性を向上させることができる。
【0031】
(第8発明)
第8発明の突入電流抑制回路制御装置は、第2リレー手段に切り替わったこと、および/または第2リレー手段の寿命が近づいたことを報知手段によって報知することができる。前記報知手段は、第2発明から第4発明のように電圧、抵抗、時間等により寿命を予測して、前記事実を報知することができる。
【実施例1】
【0032】
図1は本発明の第1実施例である突入電流抑制回路制御装置を説明するための概略図である。図1において、電源回路は、交流電源11に、電流制限素子(制限抵抗)12と、前記電流制限素子12に並列に第1リレー接点13および第2リレー接点14と、平滑コンデンサ15と、電圧検出回路16とが図示のように接続されている。また、前記第1リレー接点13は、電源回路に接続された第1リレーコイル18および第1スイッチ回路22によって制御される。同様に、前記第2リレー接点14は、電源回路に接続された第2リレーコイル19および第2スイッチ回路23によって制御される。
【0033】
制御回路17は、前記電圧検出回路16と、第1スイッチ回路22および第2スイッチ回路23と、第1リレーコイル電圧検出部20と、第2リレーコイル電圧検出部21が接続されている。前記電源回路は、交流電源11を整流し、平滑コンデンサ15で電源を平滑する際に、制御する電力が大きくなればなるほど、平滑コンデンサ15の容量を大きくする必要がある。前記平滑コンデンサ15は、容量が大きくなると、電源投入または遮断時に発生する突入電流が多くなり、整流素子等の破壊を招くことになる。
【0034】
電流制限素子(制限抵抗)12は、前記突入電流を防止するためのものであるが、定常電流が流れた後の電圧降下を無くすために、第1リレー接点13および第2リレー接点14が並列に接続されている。前記第1リレー接点13および第2リレー接点14は、制御回路17の制御の基に、第1リレーコイル18および第2リレーコイル19によりON−OFFされる。
【0035】
前記電圧検出回路16は、前記第1リレー接点13の接触状態の劣化により、電源回路における電圧を監視している。前記制御回路17は、前記電源回路における電圧が一定以上になった時、第1スイッチ回路22および第2スイッチ回路23を動作させ、第1リレーコイル18および第2リレーコイル19により、第1リレー接点13から第2リレー接点14に切り替える。
【0036】
前記制御回路17は、第1リレーコイル18の抵抗を監視し、前記抵抗値が所定値以下になったと判断した場合、第2スイッチ回路23を動作させて、第2リレーコイル19により、第2リレー接点14に切り替える。また、前記制御回路17は、前記第1リレー接点13および第1リレーコイル18の駆動時間を測定し、前記駆動時間が所定値より長くなった場合、第2リレーコイル19および第2リレー接点14に切り替える。
【0037】
図2は本発明の実施例をさらに詳細に説明するための概略ブロック構成図である。図2において、突入電流抑制回路制御装置は、電流制限素子に並列に接続されたリレー接点およびリレーコイルの寿命を電源電圧の監視、リレーコイルの抵抗値の監視、およびリレー駆動時間の監視を、これらの少なくとも一つによって行っている。また、前記突入電流抑制回路制御装置は、前記電圧、抵抗、時間がある値以上または以下になった時に、第1リレー手段から第2リレー手段に切り替えて、寿命を延ばすようにしている。
【0038】
電源電圧の監視は、電源電圧監視手段211と、電源電圧規定値記憶手段212と、前記電源電圧監視手段211の電圧と、予め電源電圧規定値記憶手段212に記憶されている電圧とを比較判断する電源電圧判断手段213とから構成されている。前記電源電圧監視手段211は、整流回路(図示されていない)の後の電圧を常時監視している。前記電源電圧は、リレー接点の接触が悪くなる場合抵抗が増え、電圧降下が発生する。電源電圧規定値記憶手段212は、前記リレー接点の接触が良好な状態の電源電圧を予め記憶しておく。電源電圧判断手段213は、前記電源電圧監視手段211により実際に監視された電圧と、予め記憶されている電源電圧規定値記憶手段212の規定電圧値とを比較し、前記規定電圧値より所定の電圧差があった場合、リレー接点切替手段214により、第2リレーコイルに切り替えて、第2リレー接点を介して負荷に電流を供給する。
【0039】
リレーコイルの抵抗値監視は、リレーコイル抵抗値監視手段216と、リレーコイル抵抗値記憶手段217と、実際に監視されたリレーコイル抵抗値と、予めリレーコイル抵抗値記憶手段217に記憶されているリレーコイル抵抗値とを比較判断するリレー寿命監視手段218とから構成されている。前記リレー抵抗値は、経年変化により、リレーコイルの被膜が劣化して、抵抗値が減少する。リレーコイル抵抗値記憶手段217は、前記リレーコイルの絶縁が良好な状態のリレーコイル抵抗値を予め記憶しておく。リレー寿命監視手段218は、前記リレーコイル抵抗値監視手段216により実際に監視されたリレーコイル抵抗値と、予め記憶されているリレーコイル抵抗値記憶手段217の規定抵抗値とを比較し、前記規定抵抗値から所定の抵抗値だけ少ない場合、リレー切替手段214により、第2リレーコイルに切り替えて、第2リレー接点を介して負荷に電流を供給する。
【0040】
リレー駆動時間監視は、リレー駆動時間測定手段219と、リレー駆動時間閾値記憶手段220と、実際に監視されたリレー駆動時間と、予めリレー駆動時間閾値記憶手段220に記憶されているリレー駆動時間と比較判断するリレー駆動時間判断手段221とから構成されている。前記リレー駆動時間は、予め設計および実験により決められている。リレー駆動時間閾値記憶手段220は、前記リレー駆動時間閾値(寿命)を予め記憶しておく。リレー駆動時間判断手段221は、前記リレー駆動時間測定手段219により実際に測定されたリレー駆動時間と、予め記憶されているリレー駆動時間閾値とを比較し、前記規定の閾値に達している場合、リレー接点切替手段222(前記リレー接点切替手段214と同じもの)により、第2リレーコイルに切り替えて、第2リレー接点を介して負荷に電流を供給する。
【0041】
リレー接点切替手段214(222)は、図1における第1スイッチ回路22から第2スイッチ回路23を切り替えることにより、第1リレー接点13から第2リレー接点14に切り替える。第2リレー監視手段224は、ブロック211からブロック221までのもと同じである。第2リレー寿命報知手段225は、第2リレー手段223が寿命であると判断された場合にその寿命を報知する。また、前記第2リレー寿命報知手段225は、第1リレーが寿命であり、第2リレーを使用中であることをメッセージとして報知させることもできる。さらに、前記実施例における監視手段は、少なくとも一つを備えており、二つまたは三つを並列に監視して、その少なくとも一つが寿命であると判断された場合、第2リレー手段223に切り替えるようにすることもできる。なお、図2における各ブロックは、制御手段226により制御されている。
【0042】
図3は本発明の第1実施例を実施する際の流れを説明するためのフローチャートである。図3において、電源スイッチは、ONされる(ステップ311)。制御手段226は、第1リレーコイルがONしているか否かを調べる(ステップ312)。前記制御手段226は、第1リレーコイルがONしていないと判断された場合、負荷電流が電流制限素子を通過中である(ステップ313)。前記制御手段226は、前記第1リレーコイルに電流が流れていると判断した場合、電源回路における電源電圧監視手段211に整流電圧を測定させる(ステップ314)。
【0043】
前記制御手段226は、前記電源電圧監視手段211により、測定された整流電圧が規定電圧以下であるか否かを電源電圧判断手段213に判断させる(ステップ315)。前記制御手段226は、前記整流電圧が規定電圧以下であると判断した場合、第1リレーコイルから第2リレーコイルに切り替える(ステップ316)。前記制御手段226は、第2リレーコイルがONでないと判断した場合、負荷電流が電流制限素子を通過中である(ステップ332、ステップ333)。
【0044】
前記制御手段226は、第2リレーコイルがONであると判断した場合、電源電圧監視手段211に整流電圧を測定させる(ステップ334)。その後、前記制御手段226は、電源電圧判断手段213により、予め電源電圧規定値記憶手段212に記憶されている規定電圧より低いか否かを判断させる(ステップ335)。前記制御手段226は、前記電源電圧が前記規定値以下であると判断された場合、第2リレーコイルの寿命が来たことを報知手段により報知させる(ステップ336)。
【0045】
ステップ312において、前記制御手段226は、第1リレーコイルがONであると判断された場合、リレーコイル抵抗値監視手段216により、第1リレーコイルの抵抗値を測定させる(ステップ317)。前記制御手段226は、前記リレー寿命監視手段218により、リレーコイル抵抗値記憶手段217に記憶されている抵抗値と比較させ(ステップ318)、第1リレーコイルの抵抗規定値が前記記憶されたリレーコイル抵抗値記憶手段217に記憶された抵抗値より小さいと判断された場合、第2リレーに切り替える(ステップ316)。以下、前記制御手段226は、前記整流電圧を測定した場合と同様な処理を行う。
【0046】
ステップ312において、前記制御手段226は、第1リレーコイルがONであると判断された場合、リレー駆動時間測定手段219により、第1リレーの駆動時間を測定させる(ステップ319)。前記制御手段226は、前記リレー駆動時間判断手段221により、リレー駆動時間閾値記憶手段220に記憶されている閾値時間と比較させ、第1リレーの駆動時間が前記記憶されたリレー駆動時間閾値記憶手段220に記憶された時間より大きいと判断された場合、第2リレーに切り替える(ステップ320)。以下、前記制御手段226は、前記整流電圧およびリレーコイル抵抗値を測定した場合と同様な処理を行う。
【実施例2】
【0047】
図4は本発明の第2実施例である突入電流抑制回路制御装置を説明するための概略ブロック構成図である。図4において、突入電流抑制回路制御装置は、第1リレー使用時間測定手段411と、第1リレー使用累積時間記憶手段412と、第2リレー使用時間測定手段413と、第2リレー使用累積時間記憶手段414と、前記第1リレー使用累積時間記憶手段412と第2リレー使用累積時間記憶手段414とを比較する時間比較手段415と、前記時間比較手段415によって比較された後、リレーを選択するリレー選択手段416とから構成されている。
【0048】
図5は本発明の第2実施例である突入電流抑制回路制御装置を説明するためのフローチャートである。図4および図5において、電源回路の投入により、電流制限素子を短絡する第1リレー接点が使用される(ステップ511)。制御手段417は、電源回路が遮断されることにより、第1リレーの使用が終了したか否かを調べる(ステップ512)。電源回路の遮断がない限り、第1リレーの使用は、継続される。前記制御手段417は、第1リレーの使用時間を第1リレー使用時間測定手段411に測定させ、その累積時間を第1リレー使用累積時間記憶手段412に記憶させる(ステップ513)。
【0049】
前記制御手段417は、次回に、電源回路が投入された場合、第2リレーを使用する(ステップ514)。前記制御手段417は、電源回路が遮断されて第2リレーが終了したか否かを調べる(ステップ515)。前記制御手段417は、電源回路が遮断されない場合、第2リレーを使用する。前記制御手段417は、第2リレーの使用が終了したか否かを調べる(ステップ515)。前記制御手段417は、第2リレー使用時間測定手段413により、使用時間を測定し、第2リレー使用累積時間記憶手段414に記憶させる(ステップ516)。
【0050】
前記制御手段417は、時間比較手段415により、前記第1リレー使用累積時間記憶手段412および第2リレー使用累積時間記憶手段414に記憶されている時間を比較させる(ステップ517)。前記制御手段417は、前記時間比較手段415により、第1リレー使用時間が少ないと判断した場合(ステップ518)、第1リレーを使用して(ステップ519)、第1リレー使用時間を測定して記憶する(ステップ521)。ステップ518において、前記制御手段417は、第2リレー使用時間の方が少ないと判断した場合、第2リレーを使用して(ステップ520)、第2リレー使用時間を測定して記憶する(ステップ516)。前記第1リレーおよび第2リレーの使用は、単純に交互に使用することもできるが、前記のように、使用累積時間を測定しておき、少ない方のリレーを優先して使用した方が平均して使用できるので望ましい。
【0051】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。たとえば、本実施例におけるブロックは、公知または周知の技術手段によって達成できる。また、本実施例における電源は、公知または周知の電子機器に適用することができる。さらに、電流制限素子は、PTC素子または同様に急激な電流の増加により抵抗が増加するサーミスタ等も含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1実施例である突入電流抑制回路制御装置を説明するための概略図である。(実施例1)
【図2】本発明の実施例をさらに詳細に説明するための概略ブロック構成図である。
【図3】本発明の第1実施例を実施する際の流れを説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施例である突入電流抑制回路制御装置を説明するための概略ブロック構成図である。(実施例2)
【図5】本発明の第2実施例である突入電流抑制回路制御装置を説明するためのフローチャートである。
【図6】突入電流抑制回路制御装置における従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
11・・・交流電源
12・・・電流制限素子(制限抵抗)
13・・・第1リレー接点
14・・・第2リレー接点
15・・・平滑コンデンサ
16・・・電圧検出回路
17・・・制御回路
18・・・第1リレーコイル
19・・・第2リレーコイル
20・・・第1リレーコイル電圧検出部
21・・・第2リレーコイル電圧検出部
22・・・第1スイッチ回路
23・・・第2スイッチ回路
211・・・電源電圧監視手段
212・・・電源電圧規定値記憶手段
213・・・電源電圧判断手段
214・・・リレー接点切替手段
216・・・リレーコイル抵抗値監視手段
217・・・リレーコイル抵抗値記憶手段
218・・・リレー寿命監視手段
219・・・リレー駆動時間測定手段
220・・・リレー駆動時間閾値記憶手段
221・・・リレー駆動時間判断手段
222・・・リレー接点切替手段
223・・・第2リレー手段
224・・・第2リレー監視手段
225・・・第2リレー寿命報知手段
226・・・制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡する突入電流抑制回路制御方法において、
前記電流制限素子に対して並列に二組のリレー接点が接続され、前記一方のリレー接点を駆動するリレー手段の寿命を検出することにより、他方のリレー接点に切り替えるように制御することを特徴とする突入電流抑制回路制御方法。
【請求項2】
交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡する突入電流抑制回路制御装置において、
前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点および第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点と、前記リレー接点をON−OFFする第1リレー手段および第2リレー手段と、
前記電源整流素子後における電源電圧を監視する電源電圧監視手段と、
前記電源整流素子後における電源電圧の規定値が予め記憶されている電源電圧規定値記憶手段と、
前記電源電圧監視手段によって監視された電圧と、前記電源電圧規定値記憶手段に記憶されている規定値電圧を比較して判断する電源電圧判断手段と、
前記電源電圧判断手段により電源電圧値が所定の電圧値以下であると判断した場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えるリレー接点切替手段と、
を少なくとも備えていることを特徴とする突入電流抑制回路制御装置。
【請求項3】
交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡する突入電流抑制回路制御装置において、
前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点をON−OFFする第1リレー手段および第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点をON−OFFする第2リレー手段と、
前記第1リレー手段および第2リレー手段におけるコイルの抵抗値を監視するリレーコイル抵抗値監視手段と、
前記第1リレー手段および第2リレー手段におけるコイルの最低抵抗値を記憶するリレーコイル抵抗値記憶手段と、
前記リレーコイル抵抗値監視手段によって監視された抵抗値と、前記リレーコイル抵抗値記憶手段に記憶されている抵抗値を比較して判断するリレー寿命監視手段と、
前記リレー寿命監視手段により監視されたリレーコイルの抵抗値が規定抵抗以下であると判断された場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えるリレー接点切替手段と、
を少なくとも備えていることを特徴とする突入電流抑制回路制御装置。
【請求項4】
交流電圧の投入または遮断時に発生する突入電流を抑制するために、電源スイッチと電源整流素子間の電路に対して直列に電流制限素子を接続し、突入電流通過後に、前記電流制限素子をリレー接点によって短絡する突入電流抑制回路制御装置において、
前記電流制限素子を短絡する第1リレー接点をON−OFFする第1リレー手段および第1リレー接点に並列に接続された第2リレー接点をON−OFFする第2リレー手段と、
前記第1リレー手段および第2リレー手段の駆動時間を測定するリレー駆動時間測定手段と、
前記第1リレー手段および第2リレー手段における駆動時間の閾値を記憶するリレー駆動時間閾値記憶手段と、
前記リレー駆動時間測定手段によって測定された駆動時間と、前記リレー駆動時間閾値記憶手段に記憶されている駆動時間を比較して判断するリレー駆動時間判断手段と、
前記リレー駆動時間判断手段により判断されたリレー駆動時間以上であると判断された場合に、前記第1リレー接点から第2リレー接点に切り替えるリレー接点切替手段と、
を少なくとも備えていることを特徴とする突入電流抑制回路制御装置。
【請求項5】
前記リレー接点切替手段は、リレー手段の寿命にかかわらず、第1リレー手段と第2リレー手段とを交互に切り替えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載された突入電流抑制回路制御装置。
【請求項6】
前記リレー接点切替手段は、第1リレー手段と第2リレー手段との累積駆動時間を比較し、常に、累積駆動時間の少ないリレー手段を選択することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載された突入電流抑制回路制御装置。
【請求項7】
第2発明から第4発明における第1リレー手段の寿命判断手段を備え、前記手段の少なくとも一つによって寿命が来たことを判断した場合に第2リレー手段に切り替えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載された突入電流抑制回路制御装置。
【請求項8】
第2リレー手段に切り替わり、その寿命が近づいた場合に寿命が近づいたことを報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載された突入電流抑制回路制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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