説明

窓枠用保護材

【課題】
サッシを搬送する際は梱包用緩衝材として使用でき、また、組み立てて使用する際は養生材となる窓枠用保護材を提供する。
【解決手段】
保形性を有し、幅方向に延びる谷折り線3にて長手方向に連続する複数のプレート2は、長手方向に延びる所定の谷折り線5と山折り線4を互いに平行をなすように備え、前記長手方向の谷折り線と山折り線を折ると形成される尾根8とその両側壁部7における前記幅方向の谷折り線部分に切り込みを設け、かつ幅方向の谷折り線にて隣接する2つのプレートのうちの少なくとも一方の前記尾根を構成する山折り線部分に、幅方向の谷折り線から延びる切り込みを設けて舌片を形成し、前記各谷折り線、山折り線を折って前記尾根8、谷6、側壁部7を形成した際に、この舌片を他方のプレートにおける尾根に貼着させてプレート間に所要の角度を付すことができるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシの保護材に係り、梱包用緩衝材、または養生材となる窓枠用保護材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築現場で建築部材や設備等の部材を搬入搬出の際にサッシ窓枠(掃出し窓)を利用することがある。このような場合、搬入搬出される物品がサッシに接触してそれらの表面が傷つくのを防ぐために、サッシを布や段ボール等の養生材で覆っている。
【0003】
しかし、布や段ボール等の養生材では、サッシの段差を十分に覆って保護することができず、また、しっかりと係着していないために外れてしまって、作業の妨げになることもあった。
【0004】
また、サッシの立ち上がり片全体の上を覆って使用する養生材があるが(例えば、特許文献1参照)、このような養生材では、搬送において荷が嵩む、製造コストが高くつく、窓枠の角部(上枠や下枠と立枠との接続部分)をカバーできないといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−150757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、サッシを搬送する際は梱包用緩衝材として使用でき、また、組み立てて使用する際は養生材となる窓枠用保護材を提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る窓枠用保護材は、保形性を有し、幅方向に延びる谷折り線にて長手方向に連続する複数のプレートを有し、各プレートは、長手方向に延びる所定の谷折り線と山折り線を互いに平行をなすように備え、前記長手方向の谷折り線と山折り線を折ると形成される尾根とその両側壁部における前記幅方向の谷折り線部分に切り込みを設け、かつ幅方向の谷折り線にて隣接する2つのプレートのうちの少なくとも一方における前記尾根を構成する山折り線部分に、幅方向の谷折り線から延びる切り込みを設けて舌片を形成し、前記各谷折り線、山折り線を折って前記尾根、谷、側壁部を形成した際に、この舌片を他方のプレートにおける尾根に貼着することによってプレート間に所要の角度を付すことができるように構成してなるものとしてある。
【0008】
また、前記舌片の裏面に貼着用テープを付してなるものとしてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の窓枠用保護材によれば、サッシを搬送する際には、サッシの間に挟み込んで梱包用緩衝材として使用でき、また、サッシ窓枠を搬入搬出口として利用する際には、搬入搬出される物品との直接の接触を防ぐことにより、サッシと前記物品の両方の表面に傷がつかないようにでき、さらに、サッシのレールに埃が入ってしまって汚れが付いてしまうことを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明のものは、押出成形ではなく、シート材よりなるプレート体に折曲用の折り線や切込みを加工するだけなので、極めて低コストに製造することができる。
【0011】
さらに、本発明のものでは連続するプレート体によって、窓枠の上枠や下枠と立枠とをともにカバーできるので、窓枠の角部を確実かつ容易に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る窓枠用保護材の一例を示す一部平面図。
【図2】図1に示した窓枠用保護材を折り畳んだ状態の矢印側から見た側面図。
【図3】図1に示した窓枠用保護材を折り畳んだ状態を示す一部斜視図。
【図4】図1に示した窓枠用保護材を組立てた状態を示す一部斜視図。
【図5】図1に示した窓枠用保護材を示す全体平面図。
【図6】図5に示した窓枠用保護材を折り畳んだ状態の斜視図。
【図7】本発明に係る窓枠用保護材の使用例を示す図。
【図8】本発明に係る窓枠用保護材の他の例を示す一部平面図。
【図9】図8に示す窓枠用保護材の一部拡大図。
【図10】図8に示した窓枠用保護材を組立てた状態を示す一部斜視図。
【図11】本発明に係る窓枠用保護材の更に他の例を示す側面図。
【図12】本発明に係る窓枠用保護材の更に他の例を示す一部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る窓枠用保護材を、以下、添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
本発明に係る窓枠用保護材の一例の一部を示した平面図を図1に示す。
幅方向、すなわち縦方向の折曲線(縦断谷折り線3)で連続する左右のプレート2、2の長手方向に、窓枠用保護材1を上下方向に折り畳んだ際に谷6、側壁部7、尾根8(図2参照)を形成するよう所望の間隔で互いに平行をなすように山折り線4と谷折り線5の折曲線を形成している。
【0015】
そして、前記プレート2、2の前記尾根8を形成する部分とその尾根を挟む側壁部7、7を形成する部分における前記縦断谷折り線3上に切込みを付している。
【0016】
また、前記尾根8を挟む側壁部7と谷6の境界をなす谷折り線5と、前記縦断谷折り線3の交点9から、尾根に向かって45度の傾斜で交点10に至る切込みを設け、切り抜き11部を形成している。
【0017】
さらに、前記縦断谷折り線3上の切込みの両側に位置する一方の尾根の端部に舌片12を形成し、もう一方の尾根の端部は同尾根の上下の交点10を結ぶ線で切り欠いている。
【0018】
本例の窓枠用保護材1の使用方法について説明する。
【0019】
まず、前記左右のプレート2、2の長手方向に施した前記山折り線4と谷折り線5に基づいて折り畳み(図2、3参照)、次いで前記縦断谷折り線3上で折曲させて組み立てる(図4参照)。
【0020】
図1に示した実施例のものは、窓枠用保護材1を組立てると、切り抜き11を構成する左右のプレート2、2における前記側壁部7の相対する辺同士が当接して係止し、同左右のプレートが90度の角度を成してサッシに配設されるようにしている(図4、6参照)。
【0021】
そして、一方の尾根に形成した舌片12がもう一方の尾根に当接する。この際、舌片12の当接側に接着するための例えば粘着テープ14等を付しておいて(図4参照)、同粘着テープを貼着させて組み立て状態を維持するようにしてもいい。
【0022】
上記実施例においては、切り抜き11を左右両方のプレートを切り欠いて作成しているが、左右どちらか一方のプレートに切り抜きを形成しておけばよく、組み立てた際、それぞれのプレートの尾根部、側壁部が重なるので、たとえば直角をなさないサッシに対応させることができる(図示せず)。
【0023】
また、切り抜き11部を作成していないものを図8乃至図10に示していて、窓枠用保護材1を組み立てて左右のプレート2、2が略直角をなした場合、前記縦断谷折り線3上の切込みの両側に位置する側壁部7、7の端部がスカート部13となり、水平方向に位置するプレート2における側壁部7の端部に対して垂直方向に位置するプレート2における側壁部7の端部を外側になるように重ねると、同スカート部13の端辺が前記谷6に当接し、係止状態が保持される。
【0024】
本例の窓枠用保護材1によれば、サッシを現場まで搬送する際に、同サッシのレールに対応する形成加工された窓枠用保護材1をサッシの間に挟み込んで緩衝材として使用できる。
【0025】
この場合、窓枠用保護材1を山折り線4、谷折り線5に基づいて折り畳んでからサッシの間に挟み込んでもよいが、形成加工を施した平面状の窓枠用保護材1をサッシの間に挟み込むと、上に重なるサッシの重みで左右のプレート2、2がサッシの凹凸形状に応じてある程度の畳み込みが行われる。
【0026】
そして、現場で窓にサッシを設置し、本発明の窓枠用保護材をサッシに取り付けておけば、例えばその後、その窓を物品の搬入搬出口として利用する場合に、前記物品との接触で互いに傷がつかないようにでき、また、サッシのレールに埃が入るなどして汚れが着くことを防ぐことができる。
【0027】
よって、本発明の窓枠用保護材1は、サッシを現場まで搬送するときの振動・衝撃等による表面の傷つきを防ぐ緩衝剤となり、さらに、組み立ててサッシに取り付けた際にはサッシへの搬入搬出部材の直接の接触を防ぐ保護材となる。
【0028】
また、同窓枠用保護材1は、現場で容易に組み立てられるので、作業性が向上する。
【0029】
本発明の窓枠用保護材は、合成樹脂で形成したものを示しているが、これは筋目が付いて折り曲げられる材質のもの、例えばボール紙等の紙材を使用してもよい。
【0030】
また、本実施例では、二つのプレートが連続したものを示したが、二つ以上のプレートが連続したものとしてもよい。
【0031】
さらに、本実施例では、同じ長さの二つのプレートが連続したもので示したが、縦断谷折り線は所望のサッシに応じて任意の位置にあればよい。
【0032】
また、サッシの底面に段差がある場合(図11参照)、縦方向の折曲線(縦断谷折り線3)に平行をなす任意の折り線を設ける場合もある。
【0033】
さらに、プレート2、2に係合手段を設ける場合もある。
例えば、プレート2、2の幅方向の両端の立ち上がり部において、窓枠用保護材1を組み立てた際に重なる部分に前記係合手段として切込み16を付し、同切込み16どうしを噛み合せてスカート部13の係止状態を保持させる場合もある(図12参照)。
【0034】
またプレート2、2に、前記係合手段としてスリットと係合用舌片を設けて、窓枠用保護材1の組み立て状態を保持させる場合もある。
【0035】
さらに、プレート2の裏に粘着テープを付しておいて、窓枠用保護材1をサッシに装着した際に貼着させておくようにしてもいい。
【符号の説明】
【0036】
1 窓枠用保護材
2 プレート
3 縦断谷折り線
4 山折り線
5 谷折り線
6 谷
7 側壁部
8 尾根
9 交点
10 交点
11 切り抜き
12 舌片
13 スカート部
14 粘着テープ
15 サッシ
16 切込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保形性を有し、幅方向に延びる谷折り線にて長手方向に連続する複数のプレートを有し、各プレートは、長手方向に延びる所定の谷折り線と山折り線を互いに平行をなすように備え、前記長手方向の谷折り線と山折り線を折ると形成される尾根とその両側壁部における前記幅方向の谷折り線部分に切り込みを設け、かつ幅方向の谷折り線にて隣接する2つのプレートのうちの少なくとも一方における前記尾根を構成する山折り線部分に、幅方向の谷折り線から延びる切り込みを設けて舌片を形成し、前記各谷折り線、山折り線を折って前記尾根、谷、側壁部を形成した際に、この舌片を他方のプレートにおける尾根に貼着することによってプレート間に所要の角度を付すことができるように構成してなる窓枠用保護材。
【請求項2】
前記舌片の裏面に貼着用テープを付してなる請求項1に記載の窓枠用保護材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−152946(P2011−152946A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16207(P2010−16207)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(594169488)株式会社照和樹脂 (3)
【Fターム(参考)】