説明

立ち上がり訓練機

【課題】立ち上がり動作に必要な力のみで立ち上がり動作を補助し、更に立ち上がり準備動作の訓練を行うこともできる立ち上がり訓練機を提供すること。
【解決手段】使用者の身体Sを上方へと吊り上げる吊り上げ手段と、使用者の立ち上がり動作時に作用する下肢関節モーメントをリアルタイムで推定する関節モーメント計測手段とを備え、吊り上げ手段は、使用者の身体の上方から吊下されたロープ1と、ロープを上方へ巻き上げるモータ2と、ロープに加わる張力を使用者の身体に加わる吊り上げ荷重として測定する吊り上げ荷重測定手段3と、モータの駆動を制御する制御手段4とからなり、制御手段は、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントと、関節モーメント計測手段により推定された下肢関節モーメントの差を算出し、その差がゼロ又は僅かに負となるように、モータの駆動を制御して吊り上げ荷重を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立ち上がり訓練機に関し、より詳しくは、使用者が立ち上がるときに自力では不足する力のみで立ち上がり動作を支援することにより、立ち上がり訓練を効果的に行わせることが可能であるとともに、使用者が椅子から身体を浮かせて立ち上がり姿勢に移行するための立ち上がり準備動作の訓練を行うこともできる立ち上がり訓練機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、怪我や病気によって自力での立ち上がりが困難となった患者が、立ち上がり動作のリハビリテーションを行う場合、看護師や理学療養士等の医療従事者が患者に付き添って身体を支えることによって行われていたが、このような従来のリハビリは介助する医療従事者の身体的負担が非常に大きかった。
【0003】
このような実情から、介助者を必要とせずに患者が一人で立ち上がり動作を行うことを補助するための装置が提案されている。
このような装置としては、患者の身体に強制的に上向きの変位を加えるものや、患者の身体に上向きに一定の力を加えるものが存在している。前者の例としては、椅子の座面を上昇させるものがあり(例えば、下記特許文献1参照)、後者の例としては、ロープで患者の身体を吊り上げるものがある(例えば、下記特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、患者の身体に強制的に上向きの変位を加える方法では、患者の努力とは関係なく自動的に立ち上がってしまうために訓練にはなりにくい。一方、患者の身体に上向きに一定の力を加える方法では、患者の努力が無ければ立ち上がれないので訓練にはなるが、患者が座っている時の姿勢によって立ち上がりに必要な補助力の大きさが異なることや、立ち上がっていく過程で必要な補助力が大きく変化することは考慮されないため、効果的な訓練を行うことは困難である。
【0005】
また、患者が立ち上がる際には、身体が椅子から離れて足の力のみで立ち上がる姿勢(以下、立ち上がり姿勢という)に移行する段階で、動的な重心(重量と慣性力の合力)が足裏長(足裏の長さ)の範囲内に入っていないと転倒してしまう。
そのため、立ち上がり動作のリハビリでは、椅子に座っている状態から立ち上がり姿勢へと移行する立ち上がり準備動作のための訓練も重要であるが、このような訓練を行うための装置は存在しておらず、また患者が自分の意思でかかる訓練を行うことは非常に困難である。
【0006】
【特許文献1】特開平9−168565号公報
【特許文献2】特開2002−58712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、患者が立ち上がり動作を行うときの姿勢の変化に応じて、その時の姿勢に必要な力のみで患者の立ち上がり動作を補助することにより、効果的な立ち上がり訓練を可能とするとともに、使用者が椅子から身体を浮かせて立ち上がり姿勢に移行するための立ち上がり準備動作の訓練を行うことも可能とする立ち上がり訓練機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、使用者の身体を上方へと吊り上げる吊り上げ手段と、使用者の立ち上がり動作時に作用する下肢関節モーメントをリアルタイムで推定する関節モーメント計測手段とを具備し、前記吊り上げ手段は、使用者の身体の上方から吊下されて該身体に装着されたロープと、該ロープを上方へ向けて巻き上げるためのモータと、該ロープに加わる張力を使用者の身体に加わる吊り上げ荷重として測定する吊り上げ荷重測定手段と、前記モータの駆動を制御する制御手段とからなり、該制御手段は、予めメモリに記憶された使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントと、前記関節モーメント計測手段により推定された下肢関節モーメントの差を算出し、その差がゼロ又は僅かに負となるように、前記モータの駆動を制御して前記吊り上げ荷重を調整することを特徴とする立ち上がり訓練機に関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、使用者が立ち上がり動作を開始して一定時間経過しても立ち上がれない場合に、前記予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値を徐々に減少させることにより前記吊り上げ荷重を徐々に増加させ、使用者が立ち上がれるようになった時の該下肢関節モーメントの値を、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値と置き換えるための補正手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の立ち上がり訓練機に関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、使用者の立ち上がり動作の速度及び加速度が予め設定された値を超えた場合に、前記予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値を徐々に増加させることにより前記吊り上げ荷重を徐々に減少させ、使用者が前記設定値以下の速度及び加速度で立ち上がれるようになった時の該下肢関節モーメントの値を、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値と置き換えるための補正手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の立ち上がり訓練機に関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記ロープが複数本のロープからなり、該複数本のロープは、夫々異なる角度で使用者の身体を上方へと吊り上げるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の立ち上がり訓練機に関する。
【0012】
請求項5に係る発明は、前記制御手段は、前記モータの回転角度に基づいて計測されたロープ長さからロープの角度及び下端部位置を算出するとともに、使用者の身体の重心の軌跡が自然な立ち上がり動作時における身体の重心軌跡に沿うように、前記モータの駆動を制御して各ロープの角度及び下端部位置を調整しながら巻き上げることを特徴とする請求項4記載の立ち上がり訓練機に関する。
【0013】
請求項6に係る発明は、前記制御手段によるモータの駆動が、インピーダンス制御により行われることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の立ち上がり訓練機に関する。
【0014】
請求項7に係る発明は、前記関節モーメント計測手段が、使用者の足裏が床から受ける反力を測定する床反力測定手段と、使用者の立ち上がり動作時における膝関節、股関節、足首関節のうち、少なくとも膝関節及び足首関節の位置を測定する関節位置測定手段と、前記測定された反力及び関節位置に基づいて、使用者の立ち上がり動作時における関節モーメントを算出する関節モーメント算出手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の立ち上がり訓練機に関する。
【0015】
請求項8に係る発明は、立ち上がり動作開始時における使用者が訓練機から受ける力を除いた身体のゼロモーメントポイントを算出し、該算出されたゼロモーメントポイントが使用者の足裏長の範囲内にあるか否かを判定する手段、あるいはゼロモーメントポイントの位置をリアルタイムで表示する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の立ち上がり訓練機に関する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントと、関節モーメント計測手段により推定された下肢関節モーメントの差がゼロ又は僅かに負となるように、ロープによる使用者の吊り上げ荷重を調整することにより、患者が立ち上がり動作を行うときの姿勢の変化に応じて、吊り上げ荷重が調整されるため、その時の患者の姿勢に必要な力と同じもしくは僅かに大きい力で患者の立ち上がり動作が補助されることとなり、効果的な立ち上がり訓練が可能となる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントが増加した場合に、この増加に対応した設定値の補正を行い、立ち上がり動作を補助することができる。具体的には、使用者が立ち上がり動作を開始した後、一定時間経過しても立ち上がれない場合において、立ち上がり動作を補助する吊り上げ力を増加調整することができるため、使用者の立ち上がり能力の減少に対応した効果的な立ち上がり訓練を行うことが可能となる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントが減少した場合に、この減少に対応した設定値の補正を行い、使用者の立ち上がり動作を補助することができる。具体的には、使用者の立ち上がり動作時の速度及び加速度が設定値を超えた場合において、立ち上がり動作を補助する吊り上げ力を減少調整することができるため、使用者の立ち上がり能力の増加に対応した効果的な立ち上がり訓練を行うことが可能となる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、ロープが複数本のロープからなり、該複数本のロープが夫々異なる角度で使用者の身体を上方へと吊り上げるように配置されているため、使用者の立ち上がり時の姿勢の調整を良好に行うことができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、使用者の身体の重心の軌跡が自然な立ち上がり動作時における身体の重心軌跡に沿うように、モータの駆動を制御して各ロープの角度及び下端部位置を調整しながら巻き上げるため、使用者の立ち上がり時の姿勢を自然なものとすることができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、制御手段によるモータの駆動がインピーダンス制御により行われるため、制御パラメータでばねや減衰を変更することができ、必要に応じて動きしろを確保することが可能となる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、関節モーメント計測手段が、使用者の足裏が床から受ける反力と、使用者の立ち上がり動作時における少なくとも膝関節及び足首関節の位置に基づいて、使用者の立ち上がり動作時における関節モーメントを算出することにより、関節モーメントを簡単且つ正確に算出することができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、立ち上がり動作開始時における使用者が訓練機から受ける力を除いた身体のゼロモーメントポイントを算出し、該算出されたゼロモーメントポイントが使用者の足裏長の範囲内にあるか否かを判定すること、あるいは、ゼロモーポイントの位置をリアルタイムで表示し、それを使用者が見ることにより、使用者が自力で立ち上がり動作を行ったときに、立ち上がり可能な姿勢になっているかを判断することができ、立ち上がり姿勢への移行のための訓練を行うことが可能となる。また、リアルタイムでゼロモーメントポイントを使用者が見ることができれば、使用者がどのような動きをすれば正しい立ち上がりの準備になるかを学習しながら訓練することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る立ち上がり訓練機の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係る立ち上がり訓練機の模式図であり、図中の矢印は訓練機及び使用者に作用する力を示しており、鉛直下向きの矢印は各部分に作用する重力、鉛直上向きの矢印は各部分に作用する反力(足底から受ける床反力、手からの反力、椅子からの反力)、斜め上向きの矢印はロープに作用する張力を示している。
【0025】
本発明に係る立ち上がり訓練機は、椅子(C)に座った状態にある訓練機の使用者(S)の身体を上方へと吊り上げる吊り上げ手段と、使用者の立ち上がり動作時における下肢関節モーメントをリアルタイムで推定する関節モーメント計測手段とを備えている。
【0026】
吊り上げ手段は、使用者(S)の身体の上方から吊下されて該身体に装着されたロープ(1)と、ロープ(1)を該身体の上方へ向けて巻き上げるためのモータ(2)と、ロープ(1)に加わる張力を使用者の身体に加わる吊り上げ荷重として測定する吊り上げ荷重測定手段(3)と、モータ(2)の駆動を制御する制御手段(4)とを備えている。
【0027】
ロープ(1)は、側面視略Γ字形状の支柱(5)に取り付けられたローラ(6)に沿って張設されており、その一端部は使用者(S)の腰部に固定され、他端部はモータ(2)に接続されている。
これによって、モータ(2)が正回転したときは、ロープ(1)が巻き取られて使用者(S)の身体が上方に向けて吊り上げられ、逆回転したときは、ロープ(1)の巻き取りが解かれて使用者(S)の身体が下方に向けて下ろされる。
【0028】
ロープ(1)は複数本(図示例では2本)からなる。
夫々のロープ(1)の向きを下方向へと変換するローラ(6)は、使用者(S)の上方において前後に位置をずらして支柱(5)に取り付けられており、これによって、夫々のロープ(1)は異なる角度で使用者(S)の身体に向けて吊り下げられて該身体に固定されている。
各ロープ(1)は、それぞれ別のモータ(2)に接続されており(図ではモータは1つのブロックに簡略化されている)、制御手段(4)は各モータの駆動を個別に制御して、夫々のロープ(1)を個別に上下動させることが可能となっている。
【0029】
モータ(2)は、エンコーダ付きのサーボモータからなり、モータ軸の回転角度を検出することが可能となっている。
エンコーダにより検出されたモータ軸の回転角度に関する情報は、制御手段(4)へと送られて、ロープ長さを算出するために用いられる。
【0030】
吊り上げ荷重測定手段(3)は、ロープ(1)の支柱(5)から使用者(S)に向けて延びている部分の中途に介装されたロードセルからなり、ロープ(1)に加わる張力を使用者の身体に加わる吊り上げ荷重として測定する。
尚、吊り上げ荷重測定手段(3)は、ロードセルで直接ロープに加わる張力を測定する構成に代えて、モータ(2)の電流値を測定して電流値に基づいて張力を算出する構成としてもよい。
吊り上げ荷重測定手段(3)により測定された吊り上げ荷重値は、制御手段(4)へと送られる。
【0031】
制御手段(4)は、CPU及び必要なアプリケーションプログラムが記憶されたメモリを備えたコンピュータからなり、複数のロープ(1)の張力のベクトル和である使用者を吊り下げる力が使用者の立ち上がりのために必要な最小の値になるように、また使用者の立ち上がり動作の速度及び加速度が予め設定された値を超えないように、モータ(2)の駆動を制御する。
制御方式としては、目標とする立ち上がりの軌跡から使用者の意思による動きしろを確保したい場合には、位置又は速度指令ベースのインピーダンス制御(あたかもバネ・ダンパー・質量があるかのように位置又は速度指令を与える制御)を用いるとよい。
【0032】
制御手段(4)は、上述した如くモータ(2)の回転角度に基づいてロープ長さを算出するとともに、算出されたロープ長さに基づいて各ロープの角度(使用者に対する角度)及び下端部位置(使用者への固定位置)を算出する。
そして、使用者(S)の身体の下端部位置の軌跡が、自然な立ち上がり動作時における身体の下端部位置の軌跡に沿うように、モータ(2)の駆動を制御して各ロープ(1)の角度及び下端部位置を調整しながら巻き上げる。
【0033】
使用者の自然な立ち上がり動作時における下端部位置の軌跡は、予め求めておく必要があり、求められた軌跡は、ロープ(1)の角度及び下端部位置と対応付けられて、予め制御手段(4)により読み出し可能なメモリに記憶される。
下端部位置の軌跡の求め方としては、
・理学療養士などの専門家が使用者(患者)の回復状況や初期姿勢を考慮し、手本となる立ち上がりを行い、CCDカメラを用いた動作解析等により下端部位置の軌跡を求め、この軌跡に使用者との体格の違いによる補正を施す。
・実際に理学療養士などの専門家が使用者(患者)を支援して立ち上がらせ、動作解析等により下端部位置の軌跡を求める。
・使用者と年齢や病状が近い多くの人の平均的な軌跡等の既知の標準的な軌跡を用いる。
などの方法が考えられる。
【0034】
関節モーメント計測手段は、使用者の立ち上がり動作時における下肢関節モーメントをリアルタイムで推定する手段であって、使用者の足裏が床から受ける反力を測定する床反力測定手段(7)と、使用者の立ち上がり動作時における膝関節、股関節、足首関節の位置を測定する関節位置測定手段(8)と、前記測定された反力及び関節位置に基づいて、使用者の立ち上がり動作時における関節モーメントを算出する関節モーメント算出手段(9)とを備えている。
【0035】
図2は、使用者の下肢部分を抽出して示す模式図である。
図中のAは足首関節、Bは膝関節、Cは股関節であり、W、W、Wは夫々Aから先の部分、A−B間、B−C間の各重心位置に加わる荷重(自重)であり、Fは使用者が床から受ける反力であり、r、r、rは夫々Fの作用位置とA,B,Cの位置との水平距離である。
【0036】
床反力測定手段(7)は、使用者が両足の裏から受ける床反力(F)の荷重位置と大きさを測定する床反力計からなる。左右の足については、左右独立して計測してもよいし、両者の合計を計測してもよい。
床反力計は、3方向の力と荷重位置を計測するものが一般的であり、本発明においてもこれを床反力測定手段(7)として用いることができるが、最低限の情報として上下方向の荷重と荷重位置が計測できるものであればよい。また、据え置き型の床反力計を用いてもよいし、ウェアラブル型の床反力計を用いてもよい。ウェアラブル型の床反力計では、センサを内蔵した履物を使用者が着用し、使用者の足裏の座標でどの位置にどれだけの上下方向荷重が加わっているかを計測する。
【0037】
関節位置測定手段(8)による関節位置の測定方法としては、例えば、以下の方法が例示できる。
・使用者の足首関節(A)、膝関節(B)、股関節(C)に夫々マーカを取り付けて、これを据え置き型の複数のカメラで撮影し、幾何学的な計算により各関節の3次元の座標を求める方法。
・使用者の足首関節(A)、膝関節(B)、股関節(C)に夫々マーカを取り付けて、これを立ち上がり訓練機に固定した1台のカメラで撮影し、撮影画像から位置計測する方法。
・傾きを計測できるウェアラブルな姿勢計測装置(加速度計とジャイロセンサ等を組み合わせた鉛直からの傾斜を計測できる装置、或いは、関節の角度を直接計測できる装置などの公知のもの)を使用者に取り付けて、足首関節(A)、膝関節(B)、股関節(C)の角度を計測し、この計測値と予め定められた基準位置の座標から順次各関節部の位置を計測する方法。
【0038】
後述する関節モーメントの計算には、図2のr、r、rの値が必要であり、これらの値を求めるためには、使用者の関節位置と床反力計の位置関係の情報が必要である。
床反力測定手段(7)として据え置き型の床反力計を用いる場合、使用者の関節位置と床反力計の位置関係の情報は、上述した関節位置測定手段(8)による関節位置の測定に基づいて得られる。
床反力測定手段(7)としてウェアラブル型の床反力計を用いる場合、床反力計のセンサの座標と使用者の足裏座標とが一致しているので、使用者の関節位置と床反力計の位置関係の情報は、使用者が床反力計を着用した時に入力しておけば、立ち上がり動作の途中で測定する必要はない。
【0039】
ウェアラブル型の床反力計を用いる場合、関節位置測定手段(8)による関節位置の測定方法として上述したカメラを利用する方法を用いてもよいが、上述した使用者が着用できる(ウェアラブルな)姿勢計測装置を利用する方法を用いれば、全てが使用者の座標で扱えるため、関節モーメントを計算するために必要な情報が少なくて済む。但し、この場合、r、r、rを計算するために、Aから先の部分、A−B間、B−C間の長さを予め入力しておき、左右の脚について別々に計算する必要がある。
【0040】
関節モーメント算出手段(9)は、床反力測定手段(7)により測定された床反力と、関節位置測定手段(8)により測定された使用者の関節位置に基づいて、使用者の立ち上がり動作時における関節モーメントを算出する。
【0041】
以下、関節モーメントの算出方法について説明する。
一般的には、人間(使用者)を図1に示したような剛体のリンクに置き換え、各部の重心の重量、各部の重心の加速度による慣性力、床反力、椅子からの反力、ロープの張力が分かれば、静的な釣り合いより、下肢の各関節(足首関節、膝関節、股関節)に作用するモーメントを計算することができる。更に、必要に応じて、モーメントから筋・骨格モデルを用いて筋張力を推定することができる。
本発明においては、下肢に注目しているので、下から順に計算していけば上肢などの情報は不要であり、図2に示すように下肢に加わる外力、下肢各部(Aから先の部分、A−B間、B−C間)の重心位置、自重、慣性力が分かれば、下肢の関節モーメントを精度よく計算することができる。但し、静的な(ゆっくりとした)立ち上がりであれば、慣性力は無視できる。
【0042】
以下、関節モーメントを下から順に計算していく方法について説明する。
先ず、図3に示すように、最下部の足部(足首(A)から先の部分)について、フリーボディダイヤグラムを描く。
足部は静止しているので慣性力はないため、床反力測定手段(7)により測定されたFと、関節位置測定手段(8)により測定されたr、既知情報として入力されるWとrを用いて、上下方向の力とモーメントの釣り合い式から、未知変数であるMとFを計算する。具体的には、下式により計算する。
=F−W
=F−W
【0043】
これにより得られるMが足首関節モーメントである。尚、場合によっては、Wの影響は小さいので無視してもよい。
とMが求まれば、作用と反作用の関係で、−Fと−Mが既知外力として下腿(A−B間)に加わるとして、同様の手順で未知変数MとFを求めれば、Mが膝関節モーメントとなり、更に同様の手順で股関節モーメントも得られる。加速度が大きく慣性力が無視できない場合には、計測した加速度と質量の推定値から慣性力を求め、それも含めて力の釣り合いを考えればよい。
尚、ここでは、鉛直方向の力のみを用いたが、水平方向の力を考慮する必要がある場合には、水平方向の力についても計測し、水平方向の力の釣り合い式を追加して計算すればよい。
【0044】
以上のような方法で関節モーメント算出手段(9)により求められた関節モーメント値は、制御手段(4)へと送られる。
制御手段(4)は、予めメモリに記憶されている使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントと、関節モーメント計測手段により推定された下肢関節モーメントの差を算出し、その差がゼロ又は僅かに負となるように、モータ(2)の駆動を制御してロープ(1)による吊り上げ荷重を調整する。
すなわち、制御手段(4)によるモータ(2)の駆動制御は、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントに対する不足分もしくは僅かにそれ以上、言い換えれば使用者の脚力の不足分だけもしくは不足分よりも僅かに大きい力だけ、ロープ(1)に引っ張り力(吊り上げ力)を加えるように行われ、これによって、使用者の立ち上がりを最小限の力で補助することができる。
【0045】
上述した関節モーメントを下から順に計算していく方法に従うと、股関節モーメントを求めるための釣り合い式には、図1から明らかなようにロープの張力の要素が加わる(C点にロープの張力が作用するとみなせる)ため、制御手段(4)はこれを利用して必要な吊り上げ荷重(引っ張り力)を算出することができる。
【0046】
使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントは、予め制御手段(4)により読み出し可能なメモリに記憶される。この下肢関節モーメントの求め方としては、次の3種類の方法が考えられる。
第一の方法は、ロープによる吊り上げ無しで使用者(患者)に立ち上がり訓練を行わせ、このときに使用者に作用する関節モーメントを測定する方法である。
第二の方法は、使用者の意思に応じて設定した適当な値を用いる方法である。
第三の方法は、使用者が立ち上がり訓練機に座って可能な範囲で立ち上がった後、ロープによる吊り上げ荷重を徐々に増加させ、椅子での荷重がゼロになるかもしくは立ち上がり始めたときの関節モーメントを計算し、この計算値を用いる方法である。
本発明においては、いずれの方法で求めたモーメント値を用いてもよい。
【0047】
但し、上記した方法で求められて予めメモリに記憶される下肢関節モーメントは、常に一定とは限らず、状況により変化する場合がある。つまり、使用者の立ち上がり能力は、状況により増加したり減少したりする場合がある。
そのため、本発明に係る立ち上がり訓練機においては、使用者が自力で立ち上がるときに必要な下肢関節モーメントが状況により変化した場合でも対応できるように、以下の2つの補正手段を具備させることが好ましい。
【0048】
第一の補正手段は、使用者が立ち上がり動作を開始して一定時間経過しても立ち上がれない場合に、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値を徐々に減少させることにより前記吊り上げ荷重を徐々に増加させ、使用者が立ち上がれるようになった時の該下肢関節モーメントの値を、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値と置き換える手段である。
第二の補正手段は、使用者の立ち上がり動作の速度及び加速度が予め設定された値を超えた場合に、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値を徐々に増加させることにより前記吊り上げ荷重を徐々に減少させ、使用者が前記設定値以下の速度及び加速度で立ち上がれるようになった時の該下肢関節モーメントの値を、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値と置き換える手段である。
尚、予め設定される速度及び加速度は、使用者の立ち上がり能力に応じて設定され、制御手段(4)により読み取り可能なメモリに記憶される。
【0049】
第一の補正手段は、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントが増加した場合に、この増加に対応した設定値(予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値)の補正を行うものである。この補正により、使用者が立ち上がり動作を開始した後、一定時間経過しても立ち上がれない場合において、立ち上がり動作を補助する吊り上げ力を増加調整し、使用者の立ち上がり能力の減少に対応した立ち上がり訓練を行うことが可能となる。
【0050】
第二の補正手段は、使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントが減少した場合に、この減少に対応した設定値(予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値)の補正を行うものである。この補正により、使用者の立ち上がり動作時の速度及び加速度が設定値を超えた場合において、立ち上がり動作を補助する吊り上げ力を減少調整し、使用者の立ち上がり能力の増加に対応した立ち上がり訓練を行うことが可能となる。
【0051】
これら2つの補正手段は、制御手段(4)により実行される制御プログラムの一つとして構成され、下肢関節モーメントの値の置き換えは制御手段(4)により自動的に実行される。但し、本発明においては、手動で設定値を入力し直すことにより、下肢関節モーメントの値の置き換えを実行するように構成してもよい。
【0052】
制御手段(4)によるモータ(2)の駆動制御は、安全の為に、一旦吊り上げたロープ(1)が逆戻りしないように行われ、また使用者を起立状態よりも高く吊り上げることがないように行われる。また、前述したように、使用者の立ち上がり動作の速度及び加速度が予め設定された値を超えないように行われる。
【0053】
以上説明したように、本発明に係る立ち上がり訓練機によれば、立ち上がり動作の支援を行うことができる。しかし、人間が座った状態から立ち上がる動作は、
A.立ち上がるための姿勢の準備動作
B.立ち上がり動作
の2段階からなるため、立ち上がり訓練においては、立ち上がるための姿勢の準備の訓練を行うことが重要且つ効果的である。
【0054】
従って、本発明に係る立ち上がり訓練機においては、立ち上がるための姿勢準備の訓練を行うための機能を設けることが好ましい。
このような機能は、立ち上がり訓練機に、立ち上がり動作開始時における使用者が訓練機から受ける力を除いた身体のゼロモーメントポイントを算出し、該算出されたゼロモーメントポイントが使用者の足裏長の範囲内にあるか否かを判定する手段、あるいはゼロモーポイントの位置をリアルタイムで表示し、それを使用者が見ることの可能な手段を設けることにより実現される。
【0055】
立ち上がり動作開始時における使用者の身体のゼロモーメントポイントを算出する方法としては、大きく分けて以下の2つの方法がある。
1)使用者に加わる外力の和から求める。
2)使用者の姿勢・動きから、重力や慣性力を計算することにより求める。
これら2つの力は釣り合っているためいずれの方法で算出してもよいが、以下それぞれの方法についてより詳細に説明する。
【0056】
先ず、第一の方法について説明する。
椅子に座った状態の使用者の身体に加わる外力は、図4に示すように、床反力F、椅子からの反力F、手からの反力F、ロープからの張力Fがあり、これら4つの力について、夫々鉛直力と水平力の大きさ及び荷重位置を求める。尚、図において、床反力及び椅子反力の水平力は示していない。
【0057】
床反力Fについての鉛直力と水平力の大きさ及び荷重位置は、上述した床反力測定手段(7)の床反力計を用いて測定することができる。尚、水平力の荷重位置は床面であり既知であるため、水平力については正負と大きさを測定すればよい。但し、この力は測定しなくても計算できる。
ロープからの張力Fは、吊り上げ荷重測定手段(3)のロードセルを用いて測定することができる。また、上述したように、制御手段(4)により、ロープ長さと、ロープの角度(使用者に対する角度)及び下端部位置(使用者への固定位置)を算出することができるので、これらの値に基づいて、Fについての鉛直力と水平力の大きさ及び荷重位置を算出することができる。
【0058】
椅子からの反力Fについての鉛直力と水平力の大きさ及び荷重位置は、椅子の座面に上述した床反力計と同様の反力計を設置することにより測定することができる。尚、水平力の荷重位置は座面であり既知であるため、水平力については正負と大きさを測定すればよい。
手からの反力Fについての鉛直力と水平力の大きさ及び荷重位置は、手をつく部分(肘掛け等)の表面に上述した床反力計と同様の反力計を設置することにより測定することができる。尚、手で力を加えない場合には、Fは使用しない。
【0059】
上記4つの力F〜Fについて、図4中のxy座標を用いて、i番目の力の鉛直方向(y方向)と水平方向(x方向)の分力をFix,Fiyと表し、荷重位置をx,yと表すと、全ての外力による点O(使用者の足裏長の中心)まわりのモーメントMは、

となる。これを使用者の自重Wで割ると、

となる。これが、近似的に立ち上がり補助がない場合のゼロモーメントポイントであり、原点Oからの位置を示す。
【0060】
次に、第二の方法について説明する。
姿勢からの判定の場合、各部の重力を重心位置を考慮して加えることにより、重心位置と重力がわかる。手などで勢いをつけて立ち上がる場合には、慣性力を考慮して力のつりあいを考えればよい.
使用者の身体を、図5に示すような、剛体リンクの集合であると仮定する。
i番目のリンクの重心の質量m,重心まわりの慣性モーメントJとする。重心の位置と角度をx,y,θとすると、全リンクによる点Oまわりのモーメントは、

自重Wで割れば、

となる。これが、近似的に立ち上がり補助がない場合のゼロモーメントポイントであり、原点Oからの位置を示す。
【0061】
制御手段(4)は、上記した2つの方法のいずれかにより、立ち上がり動作開始時における使用者の身体のゼロモーメントポイントを算出し、次いで、この算出されたゼロモーメントポイントが使用者の足裏長の範囲内にあるか否かを判定する。この判定結果は、訓練機に付設されたディスプレイへの表示や、ブザー等の音の発生等により使用者に知らせることができる。
ゼロモーメントポイントが、足裏長の範囲内であると判定した場合には、概略的に転倒せずに立ち上がれる状況であると考えられる。しかし、足裏長の範囲外であれば、足で支えることができなくなる。つまり、足裏長の中心Oとゼロモーメントポイントの距離が、ゼロに近づくほど補助がなくても転倒しない姿勢に近づいている、即ち立ち上がるための姿勢の準備動作が良好に行われていると言える。
【0062】
また、本発明においては、制御手段(4)が、算出したゼロモーポイントの位置を、リアルタイムで訓練機に付設されたディスプレイに表示させるように構成してもよい。
このような構成とすると、使用者はリアルタイムでゼロモーメントポイントを見ることができるので、どのような動きをすれば正しい立ち上がりの準備になるかを学習しながら訓練することができる。
【0063】
尚、上記第一の方法において、

は一般的な表現であるが、手の力なし、ロープからはまだ吊り上げていない状態でのトレーニングで静かな動きであれば、床反力と椅子からの反力の鉛直成分F1y,F2y(荷重位置はそれぞれ,x,x)のみを考慮し、その合力の荷重位置

と足裏長の関係により近似的に評価することができる。
【0064】
また、上記第二の方法において、
静的でゆっくりした動きの場合には、近似的に

とみなして、

とすればよい。
【0065】
以上のように、立ち上がり動作開始時における使用者の身体のゼロモーメントポイントを算出し、この算出されたゼロモーメントポイントが使用者の足裏長の範囲内にあるか否かを判定することにより、またはリアルタイムで表示されたゼロモーメントポイントを見ることにより使用者が自力で立ち上がり動作を行ったときに、立ち上がり可能な姿勢になっているか、またそのような姿勢に近づきつつあるかを判断することができ、立ち上がり姿勢への移行のための訓練を行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る立ち上がり訓練機は、怪我や病気によって自力での立ち上がりが困難となった患者の立ち上がり及び立ち上がり準備動作の訓練のために好適に利用される他、患者が車椅子から歩行訓練機へと移るときの支援機器としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係る立ち上がり訓練機の模式図である。
【図2】立ち上がり訓練機の使用者の下肢部分を抽出して示す模式図である。
【図3】関節モーメント算出手段による関節モーメントの算出方法を説明するための図である。
【図4】椅子に座った状態の使用者の身体に加わる外力を示す図である。
【図5】使用者の身体を剛体リンクの集合であると仮定した図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ロープ
2 モータ
3 吊り上げ荷重測定手段
4 制御手段
7 床反力測定手段
8 関節位置測定手段
9 関節モーメント算出手段
S 立ち上がり訓練機の使用者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体を上方へと吊り上げる吊り上げ手段と、使用者の立ち上がり動作時に作用する下肢関節モーメントをリアルタイムで推定する関節モーメント計測手段とを具備し、
前記吊り上げ手段は、使用者の身体の上方から吊下されて該身体に装着されたロープと、該ロープを上方へ向けて巻き上げるためのモータと、該ロープに加わる張力を使用者の身体に加わる吊り上げ荷重として測定する吊り上げ荷重測定手段と、前記モータの駆動を制御する制御手段とからなり、
該制御手段は、予めメモリに記憶された使用者が自力で立ち上がるために必要な下肢関節モーメントと、前記関節モーメント計測手段により推定された下肢関節モーメントの差を算出し、その差がゼロ又は僅かに負となるように、前記モータの駆動を制御して前記吊り上げ荷重を調整することを特徴とする立ち上がり訓練機。
【請求項2】
使用者が立ち上がり動作を開始して一定時間経過しても立ち上がれない場合に、前記予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値を徐々に減少させることにより前記吊り上げ荷重を徐々に増加させ、使用者が立ち上がれるようになった時の該下肢関節モーメントの値を、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値と置き換えるための補正手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の立ち上がり訓練機。
【請求項3】
使用者の立ち上がり動作の速度及び加速度が予め設定された値を超えた場合に、前記予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値を徐々に増加させることにより前記吊り上げ荷重を徐々に減少させ、使用者が前記設定値以下の速度及び加速度で立ち上がれるようになった時の該下肢関節モーメントの値を、予めメモリに記憶された下肢関節モーメントの値と置き換えるための補正手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の立ち上がり訓練機。
【請求項4】
前記ロープが複数本のロープからなり、
該複数本のロープは、夫々異なる角度で使用者の身体を上方へと吊り上げるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の立ち上がり訓練機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記モータの回転角度に基づいて計測されたロープ長さからロープの角度及び下端部位置を算出するとともに、
使用者の身体の重心の軌跡が自然な立ち上がり動作時における身体の重心軌跡に沿うように、前記モータの駆動を制御して各ロープの角度及び下端部位置を調整しながら巻き上げることを特徴とする請求項4記載の立ち上がり訓練機。
【請求項6】
前記制御手段によるモータの駆動が、インピーダンス制御により行われることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の立ち上がり訓練機。
【請求項7】
前記関節モーメント計測手段が、
使用者の足裏が床から受ける反力を測定する床反力測定手段と、
使用者の立ち上がり動作時における膝関節、股関節、足首関節のうち、少なくとも膝関節及び足首関節の位置を測定する関節位置測定手段と、
前記測定された反力及び関節位置に基づいて、使用者の立ち上がり動作時における関節モーメントを算出する関節モーメント算出手段と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の立ち上がり訓練機。
【請求項8】
立ち上がり動作開始時における使用者が訓練機から受ける力を除いた身体のゼロモーメントポイントを算出し、該算出されたゼロモーメントポイントが使用者の足裏長の範囲内にあるか否かを判定する手段、あるいはゼロモーメントポイントの位置をリアルタイムで表示する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の立ち上がり訓練機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−48981(P2008−48981A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229649(P2006−229649)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(597154966)学校法人高知工科大学 (141)
【Fターム(参考)】