説明

立体映像出力装置、立体映像出力方法、立体映像出力プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体、ならびに、立体映像表示装置

【課題】異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができる立体映像出力装置を提供する。
【解決手段】立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、複数の立体感の各々が設定された初期映像データである複数の映像データを表示装置102に出力することによって、表示装置102の画面上において複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示制御部14を備えている立体映像出力装置10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴者が視聴する立体映像を適切な立体感を用いて出力する立体映像出力装置、立体映像出力方法、立体映像出力プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体、ならびに、立体映像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元(Three Dimensional)的な立体視を可能にする技術が急激に進歩し、映画やテレビにおける立体映像技術が普及し始めている。このような立体映像技術は、基本的に、左右の目の間隔によって生じる両眼視差を利用するものである。たとえば、立体映像専用である、右目用映像および左目用映像を別々に表示させ、視聴者の右目および左目のそれぞれの目のみで視聴させることによって、立体映像の視聴を実現することができる。
【0003】
ところで、3Dコンソーシアム(3DC)安全ガイドライン部会による「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」によれば、立体映像を視聴したとき像が2重に見えたり、立体像が感じにくかったりする場合は、直ちに使用を中止し、表示機器やソフトの設定に間違いがないか確認調整し、それでも、2重像に見えたり、違和感を感じたりする等、立体視が成立しない場合は、利用を中止すべきである、とされている。
【0004】
その理由としては、上記ガイドラインでは、両眼視差を利用する立体機器は、利用者が右目と左目から入る視点の異なる2つの映像を脳の中で融合して始めて立体を感じさせることができ、システムの調整に不適切(左右の光軸のズレ、左右画像のサイズの違い、色や輝度の差、上下のズレ、左右の映像の光の混合(クロストークが大きいなど))があると、左右2つの映像は融合しにくいため、2重像に見えたり違和感を感じ、眼精疲労などを引き起こす原因となることがある、とされている。
【0005】
さらに、左右の目に与えるべき映像が左右入れ替わっても利用者(視聴者)は意外に気づかないものである。しかし、視覚疲労や不快感の原因となるので、左右逆転がおきないような配慮が望まれる、ともされている。
【0006】
このような状況を考慮すれば、視聴者が視聴する立体映像の立体感を適宜調整し、適切な立体感を用いて視聴者に立体映像を視聴させることができるようにすることが重要な事柄となる。
【0007】
適切な立体感を用いて視聴者に立体映像を視聴させる1つの手段として、視聴者自らがその立体感を調整可能にさせることが非常に有効である。
【0008】
たとえば、特許文献1は、視聴者に画質を調整させ得るようになされたテレビジョン装置に適用して好適な画質調整装置を開示している。
【0009】
この画質調整装置によれば、視聴者に画質の変更前後の映像同士を見比べさせることによって、視聴者に映像の画質を調整させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−13618号公報(2006年1月12日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された画質調整装置は、その調整対象を2次元的な平面映像とするものであり、立体映像を調整対象とするものではない。
【0012】
さらに、映像の画質の調整と立体画像の立体感の調整とは、その調整内容は全く異なるものであり、上記の画質調整装置を単純に、立体映像の立体感の調整に応用することはできない。
【0013】
したがって、本発明の目的は、異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができる立体映像出力装置、立体映像出力方法、立体映像出力プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体、ならびに、立体映像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る立体映像出力装置は、立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、前記複数の立体感の各々が設定された前記初期映像データである複数の映像データを表示装置に出力することによって、当該表示装置の表示画面上において前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示制御手段を備えている。
【0015】
上記の立体映像出力装置では、複数の立体感の各々が設定された初期映像データである複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示装置の表示画面に表示させることができる。
【0016】
このため、この表示画面を視聴する視聴者は、異なる立体感を持つ複数の立体映像を比較しつつ、視聴することができる。
【0017】
したがって、異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができる。
【0018】
前記初期映像データに予め設定された初期立体感を所定の増減幅により増減させ、前記初期立体感を変更する立体感変更手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記初期映像データと、前記初期立体感から変更された第2次立体感が設定された前記初期映像データである第2次映像データとを前記表示画面に出力することによって、前記表示画面上において前記初期映像データを利用する初期立体映像と前記第2次映像データを利用する第2次立体映像とを表示させることが好ましい。
【0019】
この場合、初期映像データに与えられた初期立体感から第2次立体感に変更し、初期立体感が与えられていた初期映像データと、第2次立体感が与えられた第2次映像データとを表示画面に出力する。初期映像データと第2次映像データとは立体感が異なるのみであり、それぞれのコンテンツは同一のものである。
【0020】
そして、初期映像データを利用する初期立体映像と、第2次映像データを利用する第2次立体映像とを表示画面に表示させることができる。
【0021】
このため、この表示画面を視聴する視聴者は、初期立体映像と第2次立体映像といった、異なる立体感を持つ立体映像を比較しつつ、視聴することができる。
【0022】
したがって、異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができる。
【0023】
前記初期映像データは、両眼視差を用いて作成されており、前記初期立体映像と前記第2次立体映像とは、視聴者が前記表示画面を視聴するとき、前記表示画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることが好ましい。
【0024】
両眼視差を利用する立体映像技術であれば、初期立体映像と第2次立体映像との間において水平位置が同一であることが好ましい。水平位置が同一とは、言い換えると、初期立体映像と平面映像とは、視聴者が表示画面を視聴するとき、その画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることを意味する。
【0025】
この場合、視聴者は、初期立体映像と第2次立体映像との間における立体感の差異を容易に認識することが可能となる。
【0026】
前記立体感変更手段は、前記第2次立体映像が平面映像となるように、前記初期立体感を変更することが好ましい。
【0027】
この場合、視聴者は、初期立体映像と第2次立体映像である平面映像との間における立体感の差異を、より容易に認識することが可能となる。
【0028】
視聴者が立体映像を視聴するときに起こると想定される不具合に関する不具合情報を予め記憶する不具合情報記憶部と、前記表示画面上に表示された前記初期立体映像および前記第2次立体映像を視聴する視聴者から視聴に不具合が有るという指示が入力されると、前記不具合情報記憶部から前記不具合情報を取得する不具合情報取得手段とをさらに備え、前記表示制御手段はさらに、前記不具合情報取得手段によって取得された前記不具合情報を前記表示画面に出力することによって、当該表示画面上において前記不具合情報を表示させることが好ましい。
【0029】
この場合、視聴者は、表示画面上に表示される不具合情報を見ることができ、その不具合の処置を行なうか否かについて判断することができる。
【0030】
たとえば、表示される不具合を解消するために視聴者が行なうべき処置、すなわち、トラブルシューティングについてもあわせて表示すればよい。そうすることにより、視聴者は、自身がすべき処置を知ることができると共に、その処置を行なうべきか否かについて、より正確に判断することができる。
【0031】
前記表示画面上に表示された前記初期立体映像および少なくとも1つの前記第2次立体映像を視聴する視聴者から、前記初期立体映像および少なくとも1つの前記第2次立体映像のいずれかを選択するという指示が入力されると、当該選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを関連付ける関連付け手段と、前記関連付け手段によって関連付けられた前記選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを一組とする関連付け情報として記憶する関連付け情報記憶部とをさらに備えていることが好ましい。
【0032】
この場合、ある視聴者が立体映像を視聴するとき、関連付け情報記憶部に記憶されている関連付け情報を参照することによって、その視聴者に適した立体感に調節することができる。たとえば、視聴者の年齢や性別といった情報と、これまで本人やそれ以外の視聴者に関する情報に関連付けられた立体感とを基にして、その視聴者に適した立体感に調節することが可能となる。
【0033】
前記初期映像データが入力されると、前記関連付け情報記憶部に記憶された関連付け情報を用いて、前記初期立体映像を調整する立体感調整手段をさらに備えていることが好ましい。
【0034】
この場合、立体感調整手段を用いて、立体感の調整を行なうことができる。
【0035】
前記初期映像データには、複数の立体感が予め設定されていることが好ましい。
【0036】
この場合、初期映像データに予め与えられた複数の立体感の各々が与えられた複数の映像データを表示画面に出力する。複数の映像データは立体感が異なるのみであり、それぞれのコンテンツは同一のものである。
【0037】
そして、各々の映像データを利用する複数の立体映像を表示画面に表示させることができる。
【0038】
このため、この表示画面を視聴する視聴者は、異なる立体感を持つ複数の立体映像を比較しつつ、視聴することができる。
【0039】
したがって、異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができる。
【0040】
前記初期映像データは、両眼視差を用いて作成されており、前記複数の立体映像は、視聴者が前記表示画面を視聴するとき、前記表示画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることが好ましい。
【0041】
両眼視差を利用する立体映像技術であれば、複数の立体映像間において水平位置が同一であることが好ましい。水平位置が同一とは、言い換えると、複数の立体映像は、視聴者が表示画面を視聴するとき、その画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることを意味する。
【0042】
この場合、視聴者は、複数の立体映像間における立体感の差異を容易に認識することが可能となる。
【0043】
前記複数の立体映像は、平面映像を含むことが好ましい。
【0044】
この場合、視聴者は、立体映像と平面映像との間における立体感の差異を、より容易に認識することが可能となる。
【0045】
視聴者が立体映像を視聴するときに起こると想定される不具合に関する不具合情報を予め記憶する不具合情報記憶部と、前記表示画面上に表示された前記複数の立体映像を視聴する視聴者から視聴に不具合が有るという指示が入力されると、前記不具合情報記憶部から前記不具合情報を取得する不具合情報取得手段とをさらに備え、前記表示制御手段はさらに、前記不具合情報取得手段によって取得された前記不具合情報を前記表示画面に出力することによって、当該表示画面上において前記不具合情報を表示させることが好ましい。
【0046】
この場合、視聴者は、表示画面上に表示される不具合情報を見ることができ、その不具合の処置を行なうか否かについて判断することができる。
【0047】
たとえば、表示される不具合を解消するために視聴者が行なうべき処置、すなわち、トラブルシューティングについてもあわせて表示すればよい。そうすることにより、視聴者は、自身がすべき処置を知ることができると共に、その処置を行なうべきか否かについて、より正確に判断することができる。
【0048】
前記表示画面上に表示された前記複数の立体映像を視聴する視聴者から、前記複数の立体映像のいずれかを選択するという指示が入力されると、当該選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを関連付ける関連付け手段と、前記関連付け手段によって関連付けられた前記選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを一組とする関連付け情報として記憶する関連付け情報記憶部とをさらに備えていることが好ましい。
【0049】
この場合、ある視聴者が立体映像を視聴するとき、関連付け情報記憶部に記憶されている関連付け情報を参照することによって、その視聴者に適した立体感に調節することができる。たとえば、視聴者の年齢や性別といった情報と、これまで本人やそれ以外の視聴者に関する情報に関連付けられた立体感とを基にして、その視聴者に適した立体感に調節することが可能となる。
【0050】
前記初期映像データが入力されると、前記関連付け情報記憶部に記憶された関連付け情報を用いて、前記初期映像データを利用する立体映像を調整する立体感調整手段をさらに備えていることが好ましい。
【0051】
この場合、立体感調整手段を用いて、立体感の調整を行なうことができる。
【0052】
前記初期映像データを記憶する映像データ記憶部をさらに備えていることが好ましい。
【0053】
この場合、初期映像データを記憶することができる。
【0054】
本発明に係る立体映像表示装置は、上記の立体映像出力装置と、前記複数の映像データが入力され、前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示画面を有する表示装置とを備えている。
【0055】
上記の立体映像表示装置では、上記の立体映像出力装置を備えた立体映像表示装置を実現することができる。
【0056】
本発明に係る記録媒体は、上記の立体映像出力装置に用いられる前記初期映像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0057】
上記の記録媒体は、立体映像出力装置に用いられる初期映像データを記録する。立体映像出力装置は、この記録媒体に記録された初期映像データを用いて、立体映像を出力することができる。
【0058】
本発明に係る立体映像出力方法は、立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、前記複数の立体感の各々が設定された前記初期映像データである複数の映像データを表示装置に出力することによって、当該表示装置の表示画面上において前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示工程を含む。
【0059】
上記の立体映像出力方法では、複数の立体感の各々が設定された初期映像データである複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示画面に表示させることができる。
【0060】
このため、この表示画面を視聴する視聴者は、異なる立体感を持つ複数の立体映像を比較しつつ、視聴することができる。
【0061】
したがって、異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができる。
【0062】
なお、前記立体映像出力装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記各手段として動作させることにより前記立体映像出力装置をコンピュータにて実現させる立体映像出力装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0063】
本発明の立体映像出力装置は、以上のように、立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、前記複数の立体感の各々が設定された前記初期映像データである複数の映像データを表示装置に出力することによって、当該表示装置の表示画面上において前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示制御手段を備えていることを特徴とする。
【0064】
本発明に係る立体映像出力方法は、以上のように、立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、前記複数の立体感の各々が設定された前記初期映像データである複数の映像データを表示装置に出力することによって、当該表示装置の表示画面上において前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示工程を含むことを特徴とする。
【0065】
それゆえ、異なる立体感を用いた映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、適切な立体感を用いた映像を出力することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る立体映像出力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】立体感を説明するための模式図である。
【図3】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図4】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図5】上記立体映像出力装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る立体映像出力装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図8】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図9】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図10】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図11】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図12】上記立体映像出力装置の動作を説明するための模式図であり、表示装置の画面を表わすものである。
【図13】上記立体映像出力装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0067】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0068】
図1は、本発明の実施の形態1に係る立体映像出力装置10の概略構成を示すブロック図である。立体映像出力装置10は、立体映像を視聴者に表示する立体映像表示装置100に搭載されている。立体映像表示装置100は、立体映像出力装置10が出力する立体映像を視聴者に表示する。
【0069】
もちろん、立体映像出力装置10の搭載は、立体映像表示装置100のような立体映像表示装置に限定されるものでは無く、たとえば、立体映像を記録したり、再生したりする記録再生装置に搭載されてもよい。立体映像出力装置10が記録再生装置に搭載される場合であれば、立体映像出力装置10は、BD(Blu-Ray(登録商標) Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disc Drive)といった記録媒体に記録された映像データを用いて、立体映像を出力すればよい。
【0070】
(立体映像表示装置100)
立体映像表示装置100は、図1に示すように、映像データ記憶装置(映像データ記憶部)101と、表示装置102と、操作装置103と、を備えている。
【0071】
映像データ記憶装置101は、立体映像表示装置100が立体映像を表示する際に必要となる映像データを記憶する。映像データ記憶装置101は、インターネットや地上デジタル放送を介して、映像データを取得し、記憶する。立体映像表示装置100は、上で述べたような記録媒体を再生可能であれば、その記録媒体から読み取った映像データを記憶してもよい。両眼視差を利用する立体映像技術においては、このような映像データは、利用者(ここでは、視聴者)が右目のみで視聴する右目用映像のためのデータと、左目のみで視聴する左目用映像のためのデータとを含んでいる。右目用映像と左目用映像とを一組とする統合映像データである。
【0072】
また、映像データ記憶装置101は、たとえば、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と記す)などの、大容量化が可能な磁気ディスク装置を用いることができる。
【0073】
表示装置102は、立体映像を表示し、利用者(ここでは、視聴者)に立体映像を表示する。表示装置102は、LCD(液晶ディスプレイ)や、PDP(プラズマディスプレイパネル)、CRT(cathode-ray tube)ディスプレイを用いることができる。
【0074】
また、表示装置102は、視聴者が立体視するために装着するシャッター眼鏡(たとえば、液晶シャッター眼鏡)41との間における無線通信が可能となっている。表示装置102は、一定の周期で右目用映像と左目用映像とを交互に切り替えながら表示する。シャッター眼鏡41は、表示装置102と無線通信し、右目用映像と左目用映像との切り替わりのタイミングと同期して、その右目用液晶シャッターと左目用液晶シャッターの各々を、光透過状態と光遮断状態とに交互に切り替える。
【0075】
視聴者は、このようなシャッター眼鏡41を通し、右目用映像および左目用映像をそれぞれ別の目で別々に見ることによって、それらの映像を基に立体視を行なうことが可能となる。
【0076】
もちろん、表示装置102は、シャッター眼鏡41との間において有線通信を行なってもよいし、立体映像表示装置100が別途、シャッター眼鏡41と無線通信や有線通信可能な通信装置を備えていても構わない。
【0077】
操作装置103は、視聴者からの各種の指示が入力されると、その指示内容を立体映像表示装置100の各部や、立体映像出力装置10に出力する。操作装置103は、たとえば、入力ボタン、切り替えスイッチなどである。また、テンキー、キーボードなどを備えていてもよい。
【0078】
(立体映像出力装置10)
立体映像出力装置10は、図1に示すように、映像データを取得する映像データ取得部11と、立体映像の立体感を変更する立体感変更部(立体感変更手段)12と、異なる立体感を持つ立体映像を表示する際における配置を構成する画面構成部13と、立体映像の表示を制御する表示制御部(表示制御手段)14と、立体映像表示装置100に関する想定される不具合やそれら不具合の各トラブルシューティングを含む不具合情報を記憶する不具合情報記憶部15と、不具合情報記憶部15に記憶された不具合情報を取得する不具合情報取得部(不具合情報取得手段)16と、を備えている。
【0079】
映像データ取得部11は、立体映像表示装置100の映像データ記憶装置101に記憶されている映像データを取得する。視聴者が操作装置103を用いて、後述する立体感の調整を立体映像表示装置100に指示すると、映像データ取得部11はその調整指示を受け、映像データ記憶装置101からの映像データの取得を実行する。
【0080】
また、映像データ取得部11は、映像データ記憶装置101から取得した映像データを立体感変更部12および画面構成部13に出力する。
【0081】
立体感変更部12は、映像データ取得部11から映像データ(以下、「初期映像データ」と記す場合もある)を受け取ると、その映像データに与えられている立体感を検出する。この立体感(以下、「初期立体感」と記す)は、映像データを作成する作成者がその映像データを作成する際に設定する立体感のことであり、通常、立体映像出力装置10の表示制御部14は、この初期立体感を用いて、立体映像を出力する。
【0082】
ここで、上で述べた立体感について、図2を用いて説明する。図2は、立体感を説明するための模式図である。上述したように、立体映像技術は、基本的には左右の目の間隔によって生じる両眼視差を利用するものである。
【0083】
図2(a)に示すように、右目用映像と左目用映像とを一致させた場合、2つの映像間においては、お互いに対応する点同士が水平方向に所定の量d(以下、「水平方向ずれ量d」と記す)だけずれるよう、2つの映像が作成されている。言い方を変えると、図2(b)に示すように、右目用映像と左目用映像とを水平方向ずらし量dだけずれるように並べた場合、2つの映像間においては、お互いに対応する点同士が一致するよう、2つの映像が作成されている。
【0084】
本発明においては、立体感を表わす指標として、この水平方向ずれ量dの値を用いている。立体映像出力装置10は、初期立体感に対応する水平方向ずれ量dを増減させることによって、立体感を初期立体感から変化させる。そうすることによって、立体映像出力装置10は、初期立体感とは異なる立体感(以下、「第2次立体感」と記す)を持つ立体映像を出力することが可能となる。
【0085】
もちろん、立体感を表わす指標は水平方向ずれ量に限られるものではなく、たとえば、右目用映像および左目用映像の大きさを用いることもできる。要は、初期立体感とは異なる立体感を表わすことができる指標であればどのようなものであっても構わない。
【0086】
なお、本発明においては、2次元的な映像である平面映像は、上記の右目用映像または左目用映像のいずれか一方を利用するものとする。立体映像出力装置10はそのように映像データを用い、平面映像もあわせて出力することが可能となる。
【0087】
立体感変更部12は、初期立体感の水平方向ずれ量dを基準とし、どのくらいそのずれ量dを増減させるかについて、所定の増減幅が予め設定されている。この所定の増減幅は、たとえば、減少させる場合であれば、水平方向ずれ量dを0.5倍とし、一方、増大させる場合であれば、水平方向ずれ量dを1.5倍とする、といったように設定されている。
【0088】
もちろん、上記の「0.5倍」、「1.5倍」はあくまでも一例に過ぎず、要は、上記の所定の増減幅は、視聴者が初期立体感を用いた立体映像と、上記のように立体感が変更された立体映像との間における、立体感の差異を認識することができる程度の増減幅であればよい。なお、いうまでも無いが、立体映像と平面映像との間における立体感の差異については、視聴者は容易に認識することが可能である。
【0089】
このようにして立体感変更部12は、所定の増減幅に沿って、初期立体感の水平方向ずれ量dを増減させ、変更する。そして、立体感変更部12は、水平方向ずれ量が所定の増減幅だけ増減された映像データ(以下、「第2次映像データ」と記す)を画面構成部13に出力する。
【0090】
画面構成部13は、映像データ取得部11から初期映像データを受け取ると共に、立体感変更部12から第2次映像データを受け取る。画面構成部13は、この2つの映像データを受け取ると、それぞれの映像データを利用する、異なる立体感を持つ複数の立体映像(ここでは、平面映像もふくむ)を、立体映像表示装置100の表示装置102の画面(表示画面)上において、どのように配置するかについて構成する。なお、初期映像データを利用する立体映像を「初期立体映像」と呼び、第2次映像データを利用する立体映像を「第2次立体映像」と呼ぶ。
【0091】
なお、本実施形態では、立体感変更部12が初期映像データに与えられている初期立体感を上述したように変更し、画面構成部13は映像データ取得部11から初期映像データを受け取ると共に、立体感変更部12から第2次映像データを受け取っているが、本発明はこれに限られるものではない。たとえば、初期映像データに複数の立体感が予め与えられていてもよい。画面構成部13は映像データ取得部11から、複数の立体感の各々が設定された初期映像データである複数の映像データを受け取ることになる。この場合、立体感変更部12による上述した初期立体感の変更は不要となる。
【0092】
たとえば、初期映像データが立体感の異なる2種類のテストモード映像(ここでは、平面映像と立体映像)であればよい。後述するように、視聴者は、テストモード映像を比較することによって、3Dメガネと、テレビまたはレコーダの動作に不具合がないかを、3Dコンテンツを視聴する前に確認することが可能となる。
【0093】
具体的には、画面構成部13は、表示装置102の画面上における、初期立体映像、および、少なくとも1つの第2次立体映像のそれぞれについての位置および大きさ(ここでは、横幅と縦幅)を決めればよい。たとえば、上述した両眼視差を利用する立体映像技術であれば、各立体映像の水平位置と横幅とが同一であることが好ましい。水平位置が同一とは、言い換えると、初期立体映像と第2次立体映像とは、視聴者が表示装置102の画面を視聴するとき、その画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることを意味する。そうすれば、視聴者は、初期立体映像と第2次立体映像との間における立体感の差異を容易に認識することが可能となる。
【0094】
もちろん、このような画面構成は単なる一例に過ぎず、要は、視聴者が上記の立体感の差異を認識することができれば、どのような構成であっても構わない。画面構成部13は、初期映像データおよび第2次映像データが用いる立体映像技術に応じ、画面構成すればよい。
【0095】
画面構成部13は、このようにして構成した画面構成を示す画面構成情報を、上記の初期映像データおよび第2次映像データと共に、表示制御部14に出力する。
【0096】
表示制御部14は、立体映像表示装置100の表示装置102に映像データを出力する。表示制御部14は、その映像データの取得先として、立体映像表示装置100の映像データ記憶装置101と、画面構成部13と、を持っている。
【0097】
すなわち、表示制御部14は、映像データ取得部11が映像データ記憶装置101からの初期映像データの取得を実行しない限り、映像データ記憶装置101から直接取得する。
【0098】
この場合、表示制御部14は、初期立体感をそのまま用いる、上記の初期映像データを表示装置102に出力する。表示制御部14は、初期立体感を利用する初期立体映像が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0099】
一方、表示制御部14は、映像データ取得部11が映像データ記憶装置101からの初期映像データの取得を実行した場合、映像データ記憶装置101から初期映像データを取得せず、その代わりに、画面構成部13から、初期映像データと、第2次映像データと、画面構成情報とを受け取る。
【0100】
この場合、表示制御部14は、画面構成部13から受け取った画面構成情報が示す画面構成に沿って、初期立体映像と第2次立体映像とが同時に表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0101】
不具合情報記憶部15は、立体映像表示装置100および立体映像出力装置10の各々に関し、視聴者がシャッター眼鏡41を装着し、表示装置102に表示される立体映像を視聴する際に起こり得る、複数の不具合の内容を示す不具合情報を予め記憶している。特に、この不具合情報は、立体映像表示装置100および立体映像出力装置10の各々の想定される不具合のみならず、それぞれを解消するために視聴者が行なうべき処置、すなわち、トラブルシューティングについてもあわせて含んでいることが好ましい。
【0102】
このような不具合情報は、不具合情報取得部16により、不具合情報記憶部15から読み取られ、表示制御部14に送られることになる。
【0103】
不具合情報は、たとえば、不具合の内容としては、「メガネ(ここでは、シャッター眼鏡41)の電池切れ」や「テレビ(ここでは、表示装置102)の同期ずれ」といったものが挙げられる。また、それらのトラブルシューティングとして、「メガネの電池を交換してください。」や「テレビの背面にある制御パネル上で表示状態を調節してください。」といったものが挙げられる。
【0104】
不具合情報取得部16は、不具合情報記憶部15に記憶されている不具合情報を取得する。視聴者が操作装置103を用いて、後述する「不具合あり」を立体映像表示装置100に指示すると、不具合情報取得部16はその「不具合あり」指示を受け、不具合情報記憶部15からの不具合情報の取得を実行する。
【0105】
また、不具合情報取得部16は、不具合情報記憶部15から取得した不具合情報を表示制御部14に出力し、表示制御部14を用いて、その不具合情報を表示装置102に表示させる。視聴者は、このようにして表示装置102に表示される不具合情報を視聴し、それによって、トラブルシューティングを行なうことが可能となる。
【0106】
なお、表示制御部14は、不具合情報取得部16から不具合情報を受け取ると、それ以前まで表示装置102が表示していた映像に代えて、上記の不具合情報を表示装置102に表示させることになる。
【0107】
(立体映像出力装置10の動作)
次に、図3〜図5を用いて、立体映像出力装置10の動作、すなわち、立体映像出力方法の処理手順について説明する。図3および図4は、立体映像出力装置10の動作を説明するための模式図であり、それぞれ、表示装置102の画面を表わしている。図5は、立体映像出力装置10の動作を示すフローチャートである。
【0108】
なお、以下に述べる処理の開始前においては、立体映像出力装置10は、表示制御部14を用いて、映像データ記憶装置101に記憶されている初期映像データをそのまま、立体映像表示装置100の表示装置102に出力している。そして、視聴者はシャッター眼鏡41を装着し、表示装置102に表示されている初期立体映像を視聴しているものとする。
【0109】
図5に示すように、先ず、視聴者は、上記の初期立体映像を視聴しているとき、立体映像表示装置100の操作装置103を用いて、その初期立体映像の立体感の調整指示を入力する(ステップS101)。本ステップS101においては、たとえば、視聴者は、立体映像表示装置100を用いて立体映像の視聴を開始する場合、その開始にあわせて上記の調整指示を入力してもよい。また、所定の視聴時間の経過後、上記の調整指示を行なうようにしてもよい。要は、視聴者が必要と考えるときに上記の調整指示を行なうようにしてもよい。
【0110】
次に、操作装置103を介して視聴者からの調整指示が入力されると、その調整指示が立体映像出力装置10の映像データ取得部11に送られる。映像データ取得部11は、その調整指示を受け取ると、立体映像表示装置100の映像データ記憶装置101に記憶されている映像データを取得する(ステップS102)。
【0111】
本ステップS102においては、上記の調整指示は表示制御部14にも同時に送られる。表示制御部14は、この調整指示を受け取ると、たとえば、それ以前までの表示装置102への初期映像データの出力を停止し、表示制御部14からの新たな出力を待機することになる。
【0112】
また、映像データ取得部11は、映像データ記憶装置101から取得した映像データ(初期映像データ)を立体感変更部12および画面構成部13に出力する。
【0113】
次に、立体感変更部12は、映像データ取得部11から映像データを受け取ると、その映像データに与えられている立体感(初期立体感)を検出し、変更する(ステップS103)。
【0114】
本ステップS103においては、立体感はたとえば、上で述べた水平方向ずれ量という指標を用いて表わされている。立体感変更部12は、初期映像データの初期立体感の水平方向ずれ量を検出すると、所定の増減幅に沿って、所定の増減幅に沿って、初期立体感の水平方向ずれ量を増減させ、変更する。
【0115】
特に、本ステップS103においては、立体感変更部12は、初期映像データに含まれる、右目用映像のためのデータおよび左目用映像のためのデータのうちいずれか一方を選択する。この選択は立体感の変更を意味する。右目用映像のためのデータおよび左目用映像のためのデータは、それぞれ単体では平面映像となるものであり、このことは立体感がゼロである、ということができる。したがって、この場合でも、立体感変更部12は、初期立体感を変更したといえる。以下では、立体感変更部12は、初期映像データに含まれる左目用映像のためのデータを選択したものとして説明する。
【0116】
立体感変更部12は、このようにして初期立体感から変更された第2次立体感を持つ第2次映像データを画面構成部13に出力する。
【0117】
次に、画面構成部13は、映像データ取得部11から初期映像データを受け取ると共に、立体感変更部12から第2次映像データを受け取る。画面構成部13は、この2つの映像データを受け取ると、それぞれの映像データを利用する、異なる立体感を持つ複数の立体映像を、立体映像表示装置100の表示装置102の画面上において、どのように配置するかについて構成する(ステップS104)。
【0118】
特に、本ステップS104においては、画面構成部13は、上述したように、立体感変更部12からは左目用映像のためのデータを第2次映像データとして受け取ることになり、その結果、第2次立体映像は平面映像となる。画面構成部13は、この平面映像と初期立体映像との表示装置102の画面上における配置、すなわち、それぞれの位置および大きさ(縦方向および横方向)を構成することになる。
【0119】
上述したように、両眼視差を利用する立体映像技術であれば、初期立体映像と平面映像との間において水平位置と横幅とが同一であることが好ましい。水平位置が同一とは、言い換えると、初期立体映像と平面映像とは、視聴者が表示装置102の画面を視聴するとき、その画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることを意味する。そうすれば、視聴者は、初期立体映像と平面映像との間における立体感の差異を容易に認識することが可能となる。たとえば、図3に示すように、表示装置102の画面200上に平面映像201と初期立体映像202とを表示させることができる。
【0120】
また、図3に示すように、画面構成部13は、画面200上における上記の2つの映像の位置および大きさを構成すると共に、視聴者に対し、不具合があるか否かを問い合わせするための問い合わせダイアログボックス203と、不具合があるか否かについての指示を視聴者が操作装置103を用いて入力するための指示入力ダイアログボックス204とのそれぞれについても、位置および大きさも構成する。問い合わせダイアログボックス203および指示入力ダイアログボックス204は、平面映像201および初期立体映像202と共に、表示装置102の画面200上に表示されることになる。
【0121】
画面構成部13は、図3に示すような画面構成を示す画面構成情報を、上記の初期映像データおよび左目用映像のためのデータと共に、表示制御部14に出力する。
【0122】
次に、表示制御部14は、画面構成部13から受け取った画面構成情報が示す画面構成に沿って、平面映像201と初期立体映像202とが同時に表示されるよう、表示装置102による映像表示処理を制御する。視聴者は、図3に示した画面200を視聴し、平面映像201と初期立体映像202とを比較する。そして、視聴者は、その比較を行なうことによって、たとえば、初期立体映像202の中において像が2重に見えたり、立体像が感じにくかったりするといった、不具合が有るか無いかについて、判断する(ステップS105)。
【0123】
従来であれば、初期立体映像202のみを視聴していても、視聴者は、わずかな立体感の映像や、コンテンツ自身に映像のぼけが有っても、視聴者はその不具合を認識することが難しかった。
【0124】
これに対し、立体映像出力装置10によれば、上述したように、視聴者に初期立体映像とは異なる立体感を用いた第2次映像(ここでは、平面映像)とを比較させることによって、上記のような不具合を容易に認識することができる。そうすることにより、適切な立体感を用いた映像を出力することができる。したがって、視聴者に適切な立体感を用いた映像を視聴させることができる。
【0125】
たとえば、図3において、視聴者が、問い合わせダイアログボックス203に対し、指示入力ダイアログボックス204を用いて、「不具合なし」の指示を入力すると(ステップS105の「無し」)、表示制御部14は、その指示入力を受け取り、再び、映像データ記憶装置101から初期映像データを直接取得し、表示装置102に出力する。そして、表示制御部14は、初期立体感を利用する初期立体映像が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する(ステップS106)。
【0126】
一方、視聴者が、問い合わせダイアログボックス203に対し、指示入力ダイアログボックス204を用いて、「不具合あり」の指示を入力すると(ステップS105の「有り」)、不具合情報取得部16は、その指示入力を受け取り、不具合情報記憶部15から不具合情報を取得する(ステップS107)。
【0127】
本ステップS107においては、不具合情報取得部16は、その不具合情報を表示制御部14に出力する。そして、表示制御部14は、その不具合情報が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0128】
たとえば、図4に示すように、表示装置102の画面200a上に不具合情報を提示するための不具合情報ダイアログボックス205が表示させることができる。この不具合情報ダイアログボックス205では、上述したような不具合の内容である、「メガネの電池切れ」206や「テレビの不具合」207といったものが列挙されている。
【0129】
そして、視聴者は、この不具合情報ダイアログボックス205に対し、いずれかの不具合に対するトラブルシューティングを行なう場合であれば、たとえば、操作装置103を用いて、トラブルシューティング対象の不具合に対し、「トラブルシューティング実行」の指示を入力する(ステップS108の「有り」)。
【0130】
この場合、「トラブルシューティング実行」の指示対象の不具合を解消するためのトラブルシューティングが表示されるようにすればよい。上述したように、「メガネの電池を交換してください。」や「テレビの背面にある制御パネル上で表示状態を調節してください。」といったものである。
【0131】
また、表示制御部14は、その指示入力を受け取ると、たとえば、それ以前までの表示装置102への出力を停止し、表示装置102による映像表示処理を待機する(ステップS110)。この待機期間においては、視聴者は、上述したトラブルシューティングを実行することになる。
【0132】
一方、視聴者が、この不具合情報ダイアログボックス205に対し、いずれかの不具合に対するトラブルシューティングも行なわない場合であれば、たとえば、操作装置103を用いて、トラブルシューティング対象の不具合に対し、「トラブルシューティング実行無し」の指示を入力する(ステップS108の「無し」)。
【0133】
この場合、表示制御部14は、その指示入力を受け取ると、再び、立体映像表示装置100の映像データ記憶装置101に記憶されている映像データ(初期映像データ)を取得し、そのうち、たとえば、左目用映像のためのデータのみを表示装置102に出力する。そして、表示制御部14は、左目用映像のためのデータが表示されるよう、表示装置102による平面映像の表示処理を制御する(ステップS109)。
【0134】
このようにして立体映像出力装置10の動作が終了する。
【0135】
以上のように、立体映像出力装置10によれば、立体映像と平面映像とを視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、その立体映像の不具合を視聴者に容易に認識させることができる。
【0136】
したがって、視聴者に適切な立体感を用いた映像を出力し、表示装置に表示させることができる。
【0137】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について図6〜図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。本発明の実施の形態2では、視聴者による立体映像の立体感の調整を容易化する実施の形態について説明する。図6は、本発明の実施の形態2に係る立体映像出力装置10aの概略構成を示すブロック図である。上記実施の形態1の立体映像出力装置10と同様、立体映像出力装置10aも、立体映像を視聴者に表示する立体映像表示装置100aに搭載されている。以下、上記の実施の形態1と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0138】
本発明の実施の形態2の立体映像出力装置10aと上記の実施の形態1の立体映像出力装置10とで異なる点は、利用者情報取得部17と、利用者情報関連付け部(関連付け手段)18と、関連付け情報記憶部19と、立体感調整部(立体感調整手段)21と、を備えた点である。さらに、映像データ取得部11に代えて映像データ取得部11aを、立体感変更部12に代えて立体感変更部12aを、表示制御部14に代えて表示制御部14aを、それぞれ、備えた点である。
【0139】
(立体映像出力装置10a)
図6に示すように、映像データ取得部11aが上記の実施の形態1の映像データ取得部11と異なる点は、立体映像表示装置100aの映像データ記憶装置101から取得する映像データ(初期映像データ)を利用者情報関連付け部18にも出力する点である。映像データ取得部11aは、利用者情報関連付け部18への映像データの出力を、立体感変更部12および画面構成部13への出力と共に、実行すればよい。
【0140】
また、立体感変更部12aが上記の実施の形態1の立体感変更部12と異なる点は、少なくとも1つの第2次子映像データを利用者情報関連付け部18にも出力する点である。立体感変更部12aは、利用者情報関連付け部18への第2次子映像データの出力を、画面構成部13への出力と共に、実行すればよい。
【0141】
利用者情報取得部17は、利用者(ここでは、視聴者)に関する利用者情報を取得する。この利用者情報は、たとえば、視聴者の年齢、性別、職種、収入、趣味、視聴者が見たい映像のジャンルである。
【0142】
利用者情報取得部17は、たとえば、視聴者が操作装置103を用いて入力する利用者情報を受け取る。この際、表示制御部14aは、後述するように、表示装置102の画面上に、視聴者が利用者情報を入力するためのダイアログボックスを表示させてもよい。また、利用者情報取得部17は、このようにして取得する利用者情報を利用者情報関連付け部18に出力する。
【0143】
利用者情報関連付け部18は、利用者情報取得部17から利用者情報を受け取ると共に、映像データ取得部11aから初期映像データを、立体感変更部12aから少なくとも1つの第2次映像データを受け取る。
【0144】
なお、本実施形態においても、上記の実施形態1と同様、初期映像データに複数の立体感が予め与えられていてもよい。利用者情報関連付け部18は映像データ取得部11aから、複数の立体感の各々が設定された初期映像データである複数の映像データを受け取ることになる。この場合、立体感変更部12aによる上述した初期立体感の変更は不要となる。
【0145】
たとえば、コンテンツメーカが、視聴者に適した立体感を選択させるために、いくつかの立体感のパターンを初期映像データに予め与えておけばよい。
【0146】
後述するように、視聴者は、表示装置102の画面上に表示される、初期立体映像および少なくとも1つの第2次立体映像のうち、自身が好む映像を選択する。利用者情報関連付け部18は、視聴者が選択した映像の立体感と、利用者情報取得部17から受け取った利用者情報とを関連付ける。利用者情報関連付け部18は、このようにして関連付けた立体感と利用情報とを一組とする関連付け情報を、関連付け情報記憶部19に記憶する。
【0147】
上述したように、立体映像の立体感は、その指標として、水平方向ずれ量を用いることができる。この水平方向ずれ量を用いた場合、利用者情報関連付け部18は、視聴者が選択する立体映像の立体感の水平方向ずれ量と利用者情報とを関連付け、関連付け情報記憶部19に記憶することになる。
【0148】
関連付け情報記憶部19は、利用者情報関連付け部18から関連付け情報を受け取り、記憶する。関連付け情報記憶部19は、たとえば、関連付け情報をジャンルや視聴者の年齢別にリスト形式で記憶すればよい。そうすることにより、立体感調整部21が関連付け情報記憶部19に記憶されている関連付け情報を参照する際、その参照処理の効率化を図ることができる。
【0149】
立体感調整部21は、映像データ記憶装置101から映像データ(初期映像データ)を取得し、その映像データの初期立体感を調整する。具体的には、立体感調整部21は、たとえば、視聴者が操作装置103を用いて、自身の年齢や、好みのジャンルを入力すると、その入力内容を基に、関連付け情報記憶部19に記憶されている関連付け情報を参照し、初期立体感を調整する。
【0150】
初期立体感が適切な立体感であれば、立体感調整部21はそのまま初期映像データを表示制御部14aに出力する。一方、初期立体感が適切なものでなければ、立体感調整部21は、初期立体感を関連付け情報を基に、適切な立体感に調整する。そして、立体感調整部21は、その調整された立体感を持つ映像データを表示制御部14aに出力する。
【0151】
表示制御部14aが上記の実施の形態1の表示制御部14と異なる点は、立体映像表示装置100aの映像データ記憶装置101に記憶されている映像データ(初期映像データ)を、立体感調整部21を介し、取得する点である。上述したように、表示制御部14aは、立体感調整部21がそのまま初期映像データを出力した場合、初期立体感を利用する初期立体映像が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0152】
一方、立体感調整部21が、調整された立体感を持つ映像データを出力した場合、その調整された立体感を利用する立体映像が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0153】
(立体映像出力装置10aの動作)
次に、図7〜図13を用いて、立体映像出力装置10aの動作、すなわち、立体映像出力方法の処理手順について説明する。図7〜図12は、立体映像出力装置10aの動作を説明するための模式図であり、それぞれ、表示装置102の画面を表わしている。図13は、立体映像出力装置10aの動作を示すフローチャートである。
【0154】
なお、以下に述べる処理の開始前においては、立体映像出力装置10aは、表示制御部14aを用いて、映像データ記憶装置101に記憶されている初期映像データをそのまま、立体映像表示装置100aの表示装置102に出力している。そして、視聴者はシャッター眼鏡41を装着し、表示装置102に表示されている初期立体映像を視聴しているものとする。
【0155】
図13に示すように、先ず、視聴者は、上記の初期立体映像を視聴しているとき、立体映像表示装置100aの操作装置103を用いて、その初期立体映像の立体感の調整指示を入力する(ステップS201)。本ステップS201においては、たとえば、視聴者は、立体映像表示装置100を用いて立体映像の視聴を開始する場合、その開始にあわせて上記の調整指示を入力してもよい。また、所定の視聴時間の経過後、上記の調整指示を行なうようにしてもよい。要は、視聴者が必要と考えるときに上記の調整指示を行なうようにしてもよい。
【0156】
次に、操作装置103を介して視聴者からの調整指示が入力されると、その調整指示が立体映像出力装置10aの映像データ取得部11aに送られる。映像データ取得部11aは、その調整指示を受け取ると、立体映像表示装置100aの映像データ記憶装置101に記憶されている映像データを取得する(ステップS202)。
【0157】
本ステップS202においては、上記の調整指示は表示制御部14aにも同時に送られる。表示制御部14aは、この調整指示を受け取ると、たとえば、それ以前までの表示装置102への初期映像データの出力を停止し、表示制御部14aからの新たな出力を待機することになる。
【0158】
また、映像データ取得部11aは、映像データ記憶装置101から取得した映像データ(初期映像データ)を立体感変更部12a、画面構成部13および利用者情報関連付け部18に出力する。
【0159】
次に、立体感変更部12aは、映像データ取得部11aから映像データを受け取ると、その映像データに与えられている立体感(初期立体感)を検出し、変更する(ステップS203)。
【0160】
本ステップS203においては、立体感はたとえば、上で述べた水平方向ずれ量という指標を用いて表わされている。立体感変更部12aは、初期映像データの初期立体感の水平方向ずれ量を検出すると、所定の増減幅に沿って、所定の増減幅に沿って、初期立体感の水平方向ずれ量を増減させ、変更する。
【0161】
立体感変更部12aは、このようにして初期立体感から変更された第2次立体感を持つ、少なくとも1つの第2次映像データを画面構成部13に出力する。
【0162】
次に、画面構成部13は、映像データ取得部11から初期映像データを受け取ると共に、立体感変更部12aから少なくとも1つの第2次映像データを受け取る。画面構成部13は、この複数の映像データを受け取ると、それぞれの映像データを利用する、異なる立体感を持つ複数の立体映像を、立体映像表示装置100の表示装置102の画面上において、どのように配置するかについて構成する(ステップS204)。
【0163】
本ステップS204においては、画面構成部13は、初期立体映像と、少なくとも1つの第2次立体映像との表示装置102の画面上における配置、すなわち、それぞれの位置および大きさ(縦方向および横方向)を構成する。
【0164】
上述したように、両眼視差を利用する立体映像技術であれば、互いに異なる立体感を持つ、複数の立体映像間において水平位置と横幅とが同一であることが好ましい。そうすれば、視聴者は、初期立体映像を含む複数の立体映像間における立体感の差異を容易に認識することが可能となる。たとえば、図8に示すように、表示装置102の画面300a上に異なる立体感(ここでは、立体感3と立体感4)の立体映像302および303を表示させることができる。
【0165】
また、図7に示すように、画面構成部13は、画面200上における上記の2つの映像の位置および大きさを構成すると共に、視聴者に対し、複数の立体映像のうちどの立体映像を選択するかをについて問い合わせするための問い合わせダイアログボックス301についても、位置および大きさも構成してもよい。この問い合わせダイアログボックス301は、利用者情報を視聴者が操作装置103を用いて入力するためのものでもある。この問い合わせダイアログボックス301は、上記の複数の立体映像と共に、表示装置102の画面300・300a上に表示されることになる。
【0166】
画面構成部13は、図7や図8に示すような画面構成を示す画面構成情報を、上記の初期映像データおよび少なくとも1つの第2次映像データと共に、表示制御部14aに出力する。
【0167】
次に、表示制御部14aは、画面構成部13から受け取った画面構成情報が示す画面構成に沿って、初期立体映像を含む複数の立体映像が同時に表示されるよう、表示装置102による映像表示処理を制御する。視聴者は、図8に示した画面300aを視聴し、複数の立体映像302、303を互いに比較する。図8では、2つの立体映像302、303のみが表示されているが、画面300aの表示内容を上下に移動させることより、他の立体映像も視聴することができることはいうまでもない。もちろん、画面300a内に表示される映像数をより多くしてもよい。
【0168】
そして、視聴者は、それらの比較を行なうことによって、自身によってより適切な、つまり、好みの立体映像を判断し、選択する(ステップS205)。
【0169】
本ステップS205においては、たとえば、図7において、視聴者が、問い合わせダイアログボックス301に対し、「立体感」301aの指示を入力すると、表示制御部14aは、その指示入力を受け取り、初期立体映像を含む複数の立体映像が同時に表示されるよう、表示装置102による映像表示処理を制御すればよい。
【0170】
従来であれば、初期立体映像のみを視聴していても、視聴者は、なかなか自身の好みの立体感を持つ立体映像であるか否かについては、判断することが難しかった。
【0171】
これに対し、立体映像出力装置10aによれば、上述したように、視聴者に初期立体映像とは異なる立体感を用いた第2次映像とを比較させることによって、視聴者自身に好みの立体映像を選択させることができる。そうすることにより、適切な立体感を用いた映像を出力することができる。したがって、視聴者に適切な立体感を用いた映像を視聴させることができる。
【0172】
次に、たとえば、視聴者が、図8の画面300a上の「立体感3」の立体映像302を選択し、続いて、図9の画面300b上の問い合わせダイアログボックス301に対し、「利用者情報の関連付け無し」の指示を入力すると(ステップS206の「無し」)、後述するステップS209に進む。
【0173】
一方、視聴者が、問い合わせダイアログボックス301に対し、「利用者情報の関連付け有り」の指示を入力すると(ステップS206の「有り」)、利用者情報取得部17は、視聴者が操作装置103を用いて入力する利用者情報を受け取る(ステップS207)。
【0174】
本ステップS207においては、視聴者は、たとえば、図9において、視聴者が、問い合わせダイアログボックス301に対し、「年齢」301bの指示を入力すると、表示制御部14aは、その指示入力を受け取り、たとえば図10に示す画面300cのように、複数の年齢幅が表示されるよう、表示装置102による映像表示処理を制御すればよい。視聴者は、操作装置103を用いて、図10に示すように、自身の年齢が含まれる年齢幅(ここでは、「21〜30歳」304)を入力すればよい。
【0175】
続いて、視聴者は、たとえば、図11において、視聴者が、問い合わせダイアログボックス301に対し、「ジャンル」301cの指示を入力すると、表示制御部14aは、その指示入力を受け取り、たとえば図12に示す画面300eのように、複数のジャンルが表示されるよう、表示装置102による映像表示処理を制御すればよい。視聴者は、操作装置103を用いて、図12に示すように、自身の好みのジャンル(ここでは、「スポーツ」305)を入力すればよい。
【0176】
次に、利用者情報関連付け部18は、上記のステップS205において、視聴者による立体映像の選択指示を受け取っている。利用者情報関連付け部18は、利用者情報取得部17から出力された利用者情報と、その選択指示対象の立体映像の立体感とを関連付けする(ステップS208)。本ステップS208においては、利用者情報関連付け部18は、このようにして関連付けた立体感と利用情報とを一組とする関連付け情報を、関連付け情報記憶部19に記憶する。
【0177】
このようにして立体映像出力装置10aは、視聴者が立体映像表示装置100aを用いて、立体映像を視聴する機会があるごとに、利用者情報取得部17から出力された利用者情報と、視聴者が選択する立体映像の立体感とを関連付けし、多数の関連付け情報を関連付け情報記憶部19に記憶する。
【0178】
その結果、たとえば、ある視聴者が立体映像を視聴するとき、立体感調整部21は、以下に述べるステップS209の処理を実行する。すなわち、本ステップS209においては、映像データ記憶装置101から映像データ(初期映像データ)を取得し、その映像データの初期立体感を調整する。
【0179】
初期立体感が適切な立体感であれば、立体感調整部21はそのまま初期映像データを表示制御部14aに出力する。一方、初期立体感が適切なものでなければ、立体感調整部21は、初期立体感を関連付け情報を基に、適切な立体感に調整する。そして、立体感調整部21は、その調整された立体感を持つ映像データを表示制御部14aに出力する。
【0180】
そして、表示制御部14aは、立体感調整部21がそのまま初期映像データを出力した場合、初期立体感を利用する初期立体映像が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0181】
一方、立体感調整部21が、調整された立体感を持つ映像データを出力した場合、その調整された立体感を利用する立体映像が表示されるよう、表示装置102による立体映像の表示処理を制御する。
【0182】
このようにして立体映像出力装置10aの動作が終了する。
【0183】
以上のように、立体映像出力装置10aによれば、異なる立体感を持つ複数の立体映像を視聴者に視聴させ、それらを視聴者に比較させることによって、視聴者の好みの立体映像を選択させる。
【0184】
そして、立体映像出力装置10aは、視聴者が選択する立体映像の立体感と視聴者の利用者情報を関連付けし、記憶する。
【0185】
したがって、ある視聴者が立体映像を視聴するとき、その関連付け情報を参照することにより、視聴者に適切な立体感を用いた映像を出力し、表示装置に表示させることができる。
【0186】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0187】
最後に、立体映像出力装置10、10aの各ブロック(不具合情報記憶部15および関連付け情報記憶部19を除く)、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0188】
すなわち、立体映像出力装置10、10aは、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである立体映像出力装置10、10aの制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記立体映像出力装置10、10aに供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0189】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0190】
また、立体映像出力装置10、10aを通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0191】
なお、本発明は、以下のようにも表現することができる。すなわち、本発明は、立体映像を出力する立体映像出力装置であって、映像コンテンツが等しく、立体感の異なる複数の映像を出力する比較映像出力手段を備えていることを特徴とする立体映像出力装置である。
【0192】
上記立体映像は両眼視差を利用しており、上記複数の映像は、水平位置が等しいことが好ましい。
【0193】
上記複数の映像のうちの1つは、平面映像であることが好ましい。
【0194】
上記複数の映像を出力するための映像コンテンツが予め記録されていることが好ましい。
【0195】
外部から映像コンテンツを入手するコンテンツ入手手段を有しており、上記コンテンツ入手手段により入手した1つの映像コンテンツから上記複数の映像を生成する手段を有することが好ましい。
【0196】
上記立体映像出力装置はエラー特定手段と、ユーザがエラー信号を入力するための入力手段を備えており、上記比較映像出力手段が上記複数の映像を出力した後、上記エラー信号が入力手段に入力された場合、上記エラー特定手段は、エラー特定画面を出力することが好ましい。
【0197】
本発明は、立体映像を表示する立体映像表示装置であって、上記立体映像出力装置を備えた立体映像表示装置である。
【0198】
本発明は、立体映像を含む映像コンテンツ記録した情報記録媒体であって、立体感の異なる複数の映像コンテンツを記録している情報記録媒体である。
【0199】
本発明は、立体映像を含む映像コンテンツ記録した情報記録媒体であって、1つの映像コンテンツから立体感の異なる複数の映像を生成するプログラムを記録している情報記録媒体である。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明は、立体映像専用である、右目用映像および左目用映像を別々に表示させ、視聴者の右目および左目のそれぞれの目のみで視聴させることによって、立体映像の視聴を実現する立体映像出力装置、および、それを用いた立体映像表示装置に好適である。
【符号の説明】
【0201】
10、10a 立体映像出力装置
11、11a 映像データ取得部
12、12a 立体感変更部(立体感変更手段)
13 画面構成部
14、14a 表示制御部(表示制御手段)
15 不具合情報記憶部
16 不具合情報取得部(不具合情報取得手段)
17 利用者情報取得部
18 利用者情報関連付け部(関連付け手段)
19 関連付け情報記憶部
21 立体感調整部(立体感調整手段)
41 シャッター眼鏡
100、100a 立体映像表示装置
101 映像データ記憶装置(映像データ記憶部)
102 表示装置
103 操作装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、前記複数の立体感の各々が設定された前記初期映像データである複数の映像データを表示装置に出力することによって、当該表示装置の表示画面上において前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示制御手段を備えていることを特徴とする立体映像出力装置。
【請求項2】
前記初期映像データに予め設定された初期立体感を所定の増減幅により増減させ、前記初期立体感を変更する立体感変更手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記初期映像データと、前記初期立体感から変更された第2次立体感が設定された前記初期映像データである第2次映像データとを前記表示画面に出力することによって、前記表示画面上において前記初期映像データを利用する初期立体映像と前記第2次映像データを利用する第2次立体映像とを表示させることを特徴とする請求項1に記載の立体映像出力装置。
【請求項3】
前記初期映像データは、両眼視差を用いて作成されており、
前記初期立体映像と前記第2次立体映像とは、視聴者が前記表示画面を視聴するとき、前記表示画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることを特徴とする請求項2に記載の立体映像出力装置。
【請求項4】
前記立体感変更手段は、前記第2次立体映像が平面映像となるように、前記初期立体感を変更することを特徴とする請求項2または3に記載の立体映像出力装置。
【請求項5】
視聴者が立体映像を視聴するときに起こると想定される不具合に関する不具合情報を予め記憶する不具合情報記憶部と、
前記表示画面上に表示された前記初期立体映像および前記第2次立体映像を視聴する視聴者から視聴に不具合が有るという指示が入力されると、前記不具合情報記憶部から前記不具合情報を取得する不具合情報取得手段と
をさらに備え、
前記表示制御手段はさらに、前記不具合情報取得手段によって取得された前記不具合情報を前記表示画面に出力することによって、当該表示画面上において前記不具合情報を表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の立体映像出力装置。
【請求項6】
前記表示画面上に表示された前記初期立体映像および少なくとも1つの前記第2次立体映像を視聴する視聴者から、前記初期立体映像および少なくとも1つの前記第2次立体映像のいずれかを選択するという指示が入力されると、当該選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを関連付ける関連付け手段と、
前記関連付け手段によって関連付けられた前記選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを一組とする関連付け情報として記憶する関連付け情報記憶部と
をさらに備えていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の立体映像出力装置。
【請求項7】
前記初期映像データが入力されると、前記関連付け情報記憶部に記憶された関連付け情報を用いて、前記初期立体映像を調整する立体感調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の立体映像出力装置。
【請求項8】
前記初期映像データには、複数の立体感が予め設定されていることを特徴とする請求項1に記載の立体映像出力装置。
【請求項9】
前記初期映像データは、両眼視差を用いて作成されており、
前記複数の立体映像は、視聴者が前記表示画面を視聴するとき、前記表示画面上の鉛直方向に沿って、隣接するように表示されることを特徴とする請求項8に記載の立体映像出力装置。
【請求項10】
前記複数の立体映像は、平面映像を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の立体映像出力装置。
【請求項11】
視聴者が立体映像を視聴するときに起こると想定される不具合に関する不具合情報を予め記憶する不具合情報記憶部と、
前記表示画面上に表示された前記複数の立体映像を視聴する視聴者から視聴に不具合が有るという指示が入力されると、前記不具合情報記憶部から前記不具合情報を取得する不具合情報取得手段と
をさらに備え、
前記表示制御手段はさらに、前記不具合情報取得手段によって取得された前記不具合情報を前記表示画面に出力することによって、当該表示画面上において前記不具合情報を表示させることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の立体映像出力装置。
【請求項12】
前記表示画面上に表示された前記複数の立体映像を視聴する視聴者から、前記複数の立体映像のいずれかを選択するという指示が入力されると、当該選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを関連付ける関連付け手段と、
前記関連付け手段によって関連付けられた前記選択の対象となった立体映像の立体感と前記視聴者に関する情報とを一組とする関連付け情報として記憶する関連付け情報記憶部と
をさらに備えていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の立体映像出力装置。
【請求項13】
前記初期映像データが入力されると、前記関連付け情報記憶部に記憶された関連付け情報を用いて、前記初期映像データを利用する立体映像を調整する立体感調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項12に記載の立体映像出力装置。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の立体映像出力装置であり、
前記初期映像データを記憶する映像データ記憶部をさらに備えていることを特徴とする立体映像出力装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の立体映像出力装置と、
前記複数の映像データが入力され、前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示画面を有する表示装置と
を備えていることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項16】
請求項8〜13のいずれか1項に記載の立体映像出力装置に用いられる前記初期映像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の立体映像出力装置における各手段としてコンピュータを動作させるための立体映像出力プログラム。
【請求項18】
請求項17に記載の立体映像出力プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項19】
立体映像を表示するための初期映像データに設定される複数の立体感が与えられたとき、前記複数の立体感の各々が設定された前記初期映像データである複数の映像データを表示装置に出力することによって、当該表示装置の表示画面上において前記複数の映像データの各々を利用する複数の立体映像を表示させる表示工程を含むことを特徴とする立体映像出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−95232(P2012−95232A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242697(P2010−242697)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】