説明

立体画像表示装置

【課題】 簡単な構造で、三次元空間内に明瞭な立体画像を表示できる立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】 立体画像表示装置1では、制御装置10が、入力部13で入力された一定時間毎の立体像の画像データに基づいて、その一定時間毎に繰り返し設定される基準時から所定時間経過後に、立体表示領域2に表示させる立体像の外縁上に対応する位置データを算出する。そして、その算出された位置データに基づいて、射出装置5の複数の射出穴から、蛍光インクを各々射出させる。そして、その射出された蛍光インクが立体表示領域2の特定の位置を通過した瞬間に、フラッシュランプ8aを照射して、蛍光インクを瞬間的に発光させるようにストロボ光照射装置8を制御する。このような簡単な構成で、立体表示領域2内に明瞭な立体像を表示できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体画像表示装置に関し、詳細には、三次元空間に立体画像を表示する立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像表示装置として、特殊な偏光シャッター式眼鏡等をかけて疑似の立体画像を見るのとは異なり、実際に空間に立体を表示する手段として様々なものが知られている。例えば、空間に光を散乱する浮遊粒子を散乱させ、特定の浮遊粒子のみにレーザー光などを当てて発光させることによって、立体画像を表現する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、光を散乱する物質に、走査された放射線によりエネルギーを送り、発光或いは散乱させることによって物体表面を表現することができる。よって位置の情報さえあれば物体表面を描くことができるので、少ない計算量で物体表面を立体的に描くことができる。この他にも、最奥端に位置するラインで落下させた飛翔体により形成されるXY平面(上下及び左右方向からなる平面)内の複数の飛翔体の1つ1つをドットとして映像信号に基づく光ビームで順次照射して一枚の画像を描き、この光ビームの走査が完了した後に、最奥端から最前端のラインに向かって順次同じような走査を行い、このような一連の動作を繰り返し行うことによって、三次元空間内に立体画像を表現する立体映像再生装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、光ビームが当たった飛翔体は輝き、当たらない飛翔体は輝かないので、濃淡画像も形成することができる。
【特許文献1】特開平6−105343号公報
【特許文献2】特開平7−154830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の三次元画像表示装置では、高いNAのレーザー光を照射するための光走査器に、特定の浮遊粒子を発光させるためレーザー光の焦点を変更できる焦点可変装置を備えなければならないため、装置の構成が複雑となるとともに、装置自体に係るコストが上昇する問題点があった。さらに、液体又は気体中に浮遊する浮遊物質は定点に固定しないため、レーザー光の焦点と特定の浮遊粒子の位置とがズレてしまい、明瞭な立体画像を形成することができない問題点もあった。また、特許文献2に記載の立体映像再生装置では、立体画像の奥行き方向にかかる映像信号に基づいて、光源から照射された光ビームの焦点をレンズの移動によって調整しなければならず、レンズを移動させるための手段を備えなければならないため、装置の構成が複雑となる問題点があった。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造で、三次元空間内に明瞭な立体画像を表示できる立体画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る立体画像表示装置は、所定空間内に立体画像を表示する立体画像表示装置であって、前記立体画像の水平面における解像度に対応して複数配置され、前記所定空間内に向けて飛翔体を随時射出する射出手段と、基準時から所定時間経過後に前記所定空間内に表示すべき前記立体画像の外縁上に対応する位置データを、前記立体画像の画像データに基づいて算出する算出手段と、当該算出手段によって算出された位置データに基づき飛翔体を射出する射出手段を選択し、前記位置を、前記飛翔体が前記基準時から前記所定時間経過後に通過するように、前記各々の射出手段の射出タイミングを制御する射出制御手段と、前記所定空間に向かってストロボ光を照射するストロボ光照射手段と、前記基準時から前記所定時間経過後に、前記ストロボ光を照射するように、前記ストロボ光照射手段の照射タイミングを制御するストロボ光照射制御手段と
を備えている。
【0006】
また、請求項2に係る立体画像表示装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、所定空間内に立体画像を表示する立体画像表示装置であって、前記立体画像の水平面における解像度に対応して複数配置され、前記所定空間内に向けて飛翔体を随時射出する射出手段と、基準時から所定時間経過後に前記所定空間内に表示すべき前記立体画像の外縁上に対応する位置データを、前記立体画像の画像データに基づいて算出する算出手段と、当該算出手段によって算出された位置データに基づき飛翔体を射出する射出手段を選択し、前記位置を、前記飛翔体が前記基準時から前記所定時間経過後に通過するように、前記各々の射出手段の射出タイミングを制御する射出制御手段と、前記所定空間に向かってストロボ光を照射するストロボ光照射手段と、前記基準時から前記所定時間経過後に、前記ストロボ光を照射するように、前記ストロボ光照射手段の照射タイミングを制御するストロボ光照射制御手段とを備えている。
【0007】
また、請求項3に係る立体画像表示装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記射出手段は、光の三原色に対応する、赤色の飛翔体を射出する第1の射出手段と、青色の飛翔体を射出する第2の射出手段と、緑色の飛翔体を射出する第3の射出手段とから構成され、前記射出制御手段は、前記立体画像の外縁上の前記位置上の色彩に応じて、前記第1の射出手段、前記第2の射出手段および前記第3の射出手段の制御を行い、前記赤色の飛翔体、前記青色の飛翔体又は前記緑色の飛翔体、若しくはこれら2つ以上を組合せて射出させることにより、前記立体画像をカラーで表示することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る立体画像表示装置は、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の構成に加え、前記飛翔体は蛍光物質を内蔵する、又は表面に塗布されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る立体画像表示装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記飛翔体はインク等の液体であり、前記射出手段は、インクジェットヘッドであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る立体画像表示装置は、請求項4又は5に記載の発明の構成に加え、前記蛍光物質は、互いに励起波長の異なる複数の蛍光物質で構成され、当該複数の蛍光物質は、前記射出手段によって射出され、前記ストロボ光照射手段は、前記複数の蛍光物質の各励起波長に対応する各波長の何れかのストロボ光を照射する複数のストロボ光照射手段で構成され、前記一定時間は、前記一定時間を前記複数に分割した第2の一定時間として設定され、前記算出手段は、前記第2の一定時間毎に繰り返し設定する基準時から所定時間経過後の前記立体画像の前記位置データの算出を行い、前記射出制御手段は、前記算出手段によって算出される前記位置データに従い前記複数の蛍光物質を順次射出し、前記ストロボ光照射手段は、前記第2の一定時間毎に繰り返し設定する基準時から所定時間経過後に、前記所定空間に射出された前記蛍光物質の励起波長に対応する波長のストロボ光を照射するように、前記複数のストロボ光照射手段を制御することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る立体画像表示装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記飛翔体はボール等の固体であり、前記射出手段は、ボール射出装置であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る立体画像表示装置は、請求項7に記載の発明の構成に加え、前記所定空間の下方に設けられ、前記ボール射出装置によって射出された前記ボールを回収する回収手段と、当該回収手段によって回収された前記ボールを、前記ボール射出装置に供給する供給手段とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る立体画像表示装置では、所定空間内に立体画像を表示するために、算出手段が、その立体画像の画像データに基づいて、基準時から所定時間経過後に所定空間内に表示すべき立体画像の外縁上に対応する位置データを算出する。そして、その算出された位置データを基にして、射出制御手段が複数の射出手段の中から何れかを選択し、その射出手段から射出された飛翔体が、基準時から所定時間経過後にその位置を通過するように、各々の射出手段の射出タイミングを制御する。一方、ストロボ光照射制御手段も、算出された位置データを基にして、基準時から前記所定時間経過後に、ストロボ光を照射するように、ストロボ光照射手段の照射タイミングを制御する。よって、所定空間内において、基準時から所定時間経過後には、立体画像の外縁上に対応する位置に飛翔体が通過し、それと同時に、ストロボ光が飛翔体を照射するので、所定空間内に、立体画像を明瞭に表示することができる。また、ストロボ光の焦点を調整する必要もなく、所定空間に向かってストロボ光を瞬間的に照射するだけでよいので、装置構成が簡単である。さらに、射出手段は、立体画像の水平面における解像度に対応して複数配置されているので、射出手段の数を増やすことによって、立体画像の解像度を上げることができるので、より鮮明な立体画像を所定空間内に表示することができる。
【0014】
また、請求項2に係る立体画像表示装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、所定空間内に立体画像を一定時間毎に繰り返し表示させる場合、算出手段は、基準時を一定時間毎に設定し直し、それら一定時間毎の所定時間経過後に表示する立体画像の位置データを算出する。さらに、射出制御手段は、一定時間毎に算出された位置データに従って射出手段を選択し、選択した射出手段の射出タイミングを制御する。さらに、ストロボ光照射制御手段は、一定時間毎の所定時間経過後にストロボ光を照射するように、ストロボ光照射手段の照射タイミングを制御する。これにより、所定空間内には、一定時間毎に立体画像が繰り返し表示されるので、静止画像を連続的に表示することができる。さらに、一定時間毎の所定時間経過後に表示する立体画像の位置データを変化させることにより、立体画像の動画を表示させることもできる。また、一定時間は、所定空間内を飛翔体が通過するのに要する時間よりも長く設定されているので、先に所定空間内に射出された飛翔体が通過し終わらない内に、次の飛翔体で構成される立体像を表示するストロボ光を照射することはない。そのため、一定時間毎に明瞭な立体画像を表示させることができる。これによって、立体画像の動画も明瞭に表示させることができる。
【0015】
また、請求項3に係る立体画像表示装置では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、射出制御手段は、立体画像の外縁上の位置上の色彩に応じて、第1の射出手段、第2の射出手段および第3の射出手段の制御を行う。赤色の飛翔体、青色の飛翔体、黄色の飛翔体は、光の三原色であるので、射出制御手段が、立体画像の位置データにおける各位置の色に基づいて、赤色の飛翔体、青色の飛翔体又は緑色の飛翔体、若しくはこれら2つ以上を組合せて射出させることができるので、立体画像をカラーで表示することができる。
【0016】
また、請求項4に係る立体画像表示装置では、請求項1乃至3の何れかに記載の発明の効果に加え、飛翔体は蛍光物質を内蔵するか、又は表面に塗布されているので、ストロボ光の波長によって励起された飛翔体を光らせることができる。これにより、所定空間内で飛翔体によって形成される立体画像が浮かび上がるように明瞭に表示させることができる。
【0017】
また、請求項5に係る立体画像表示装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、インクジェットヘッドであるので、周知のピエゾ素子に電圧を印加して変形させることにより生じる圧力を利用して、飛翔体を所定空間内に射出させることができる。
【0018】
また、請求項6に係る立体画像表示装置では、請求項4又は5に記載の発明の効果に加え、一定時間を複数に分割した第2の一定時間として設定する。そして、算出手段は、その第2の一定時間毎に基準時を設定し直し、その第2の一定時間毎に、所定時間経過後の立体画像の位置データの算出を行う。さらに、射出制御手段では、その算出された各位置データに従って、励起波長の異なる複数の蛍光物質を順次射出させるように射出手段を制御する。一方、ストロボ光照射手段は、第2の一定時間毎に、所定時間経過後に、所定空間に射出された蛍光物質の励起波長に対応する波長のストロボ光を照射するように、複数のストロボ光照射手段を制御する。これにより、立体画像を表示させる一定時間を短縮でき、即ち、立体画像を更新する更新時間を短縮することができる。したがって、動画を表示する場合、立体画像の動きをより滑らかに表示することができる。また、所定空間内に励起波長の異なる複数の蛍光物質が存在しても、ストロボ光を照射するストロボ光照射手段の励起波長に対応する蛍光物質のみが発光するので、位置データの位置を通過する蛍光物質のみを光らすことが可能である。これにより、立体画像が不鮮明になるのを防止できる。
【0019】
また、請求項7に係る立体画像表示装置では、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、ボール射出装置からボールが射出され、そのボールで、所定空間内に立体画像を表示することができる。また、飛翔体がボールであることから、立体画像を表示させるための所定空間を大きくでき、その所定空間に表示できる立体画像も大きくできることから、子供が楽しめるデパートの遊技広場や、各種アトラクション等にも利用できる。
【0020】
また、請求項8に係る立体画像表示装置では、請求項7に記載の発明の効果に加え、射出装置によって射出されたボールは、回収手段によって回収され、その回収されたボールは、供給手段によって再度ボール射出装置に供給されるので、ボール射出装置にボールを供給する手間を省くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施形態である立体画像表示装置1について、図面に基づいて説明する。図1は、立体画像表示装置1の全体を示す構成図であり、図2は、立体画像表示装置1のブロック図であり、図3は、射出部6の底面図であり、図4は、所定の点Fを発光させる方法を示した説明図であり、図5は、所定の点が移動するように表示させる方法を示した説明図であり、図6は、球体20の位置データを算出するための説明図であり、図7は、制御装置10の動作を示すフローチャートであり、図8は、射出部6から蛍光インク3が射出される状態(初期)を示す斜視図であり、図9は、図8に示す射出部6の底面図であり、図10は、射出部6から蛍光インク3が射出された状態(中期)を示す説明図であり、図11は、図10に示す射出部6の底面図であり、図12は、射出部6から蛍光インク3が射出される状態(終期)を示す説明図であり、図13は、射出部6から射出された蛍光インク3に向かってフラッシュランプ8aが発光した時の状態を示す説明図である。
【0022】
なお、第1の実施形態である立体画像表示装置1は、図1に示すように、特定の励起波長で発光する蛍光インク3(図13参照)を、複数のインクジェットヘッドを備えた射出装置5から立体表示領域2に向かって射出させ、その射出された蛍光インク3が、制御装置10によって算出された特定の位置を通過した瞬間に、ストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aを照射して、その蛍光インク3を瞬間的に光らせることにより、立体表示領域2内に立体像を明瞭に表示できる点に特徴を有するものである。
【0023】
はじめに、立体画像表示装置1の概略構成について説明する。図1及び図2に示すように、立体画像表示装置1は、立体像を表示する三次元空間である立体表示領域2に向かって、蛍光インク3を射出する射出装置5と、立体表示領域2に向かって瞬間的にストロボ光を照射するストロボ光照射装置8と、前記射出装置5及びストロボ光照射装置8に各々接続され、立体像の画像データから立体表示領域2における位置データを算出し、該位置データに基づいて射出装置5及びストロボ光照射装置8の動作を各々制御する制御装置10と、該制御装置10に接続され、立体像の画像データを入力するための入力部13と、立体表示領域2の下方に設けられ、射出装置5から射出された蛍光インク3を受けるための受け皿14とから構成されている。なお、ここで、蛍光インク3とは、特定の波長の光が照射されることによって発光する蛍光物質からなる液状インクのことをいう。また、図1に示す立体表示領域2が、「所定空間」に相当し、蛍光インク3が、「飛翔体」に相当する。
【0024】
次に、射出装置5について説明する。この射出装置5は、プリンタ等で使用される周知のインクジェットヘッドを複数備えた装置である。そして、図1に示すように、射出装置5は、立体表示領域2の上部に取り付けられている。さらに、図1及び図2に示すように、射出装置5の構成は、複数のインクジェットヘッド(図示外)を備え、蛍光インク3を立体表示領域2に向かって射出する射出部6と、該射出部6の上部に設けられ、射出部6に蛍光インク3を供給する供給装置7とから構成されている。
【0025】
また、図1,図3に示すように、射出部6は、略正方形状の底面に、所定の厚さ(Z方向における高さ)を備えた略直方体状の部材である。そして、この射出部6の底面には、立体表示領域2(図1参照)に対向するとともに、蛍光インク3を射出する射出穴15がマトリックス状に配列して複数設けられている。さらに、これらマトリックス状に配列された複数の射出穴15は、射出部6の底面におけるx方向にL個、y方向にM個ずつ配列されている。そして、このように配列された複数の射出穴15の配列が、立体表示領域2のXY平面上におけるL×Mの解像度となっている。よって、射出穴15の配列数を増やすことにより、立体表示領域2のXY平面上における解像度を上げることができる。そして、これら複数の射出穴15の1つ1つには、電圧が印加されることによって変形するピエゾ素子(圧電素子)を備えた周知のインクジェットヘッド(図示外)が各々設けられており、このインクジェットヘッドによって蛍光インク3の射出動作が行われる。
【0026】
また、図2に示すように、この射出装置5の射出部6は、後述する制御装置10に接続されている。よって、各射出穴15に各々設けられた各ピエゾ素子に電圧を印加するタイミングは制御装置10によって制御されている。
【0027】
なお、上記構成からなる射出装置5の動作は以下の通りである。図3に示す各射出穴15の奥には、各インク室(図示外)があり、インクが蓄えられている。図1,図2に示すように、制御装置10の制御信号によって、射出部6において指定された射出穴15に設けられたピエゾ素子に電圧が印加されると、そのピエゾ素子が変形する。この変形により、インク室(図示外)が収縮し、蛍光インク3が射出穴15から立体表示領域2に向かって吐出される。吐出後、インク室が元に戻ると、供給装置7からは、インク室(図示外)に対して蛍光インク3が補給される。
【0028】
次に、ストロボ光照射装置8について説明する。図1及び図2に示すように、このストロボ光照射装置8は、瞬間的に発光するフラッシュランプ8aと、該フラッシュランプ8aに電圧を与え、定電圧で駆動する電源部8bとを備えたものである。このストロボ光照射装置8は、立体表示領域2に対してムラのない安定したストロボ光を発光することができる。また、このストロボ光照射装置8には、フラッシュランプ8aの光量を切替可能な調整ダイヤル(図示外)が設けられている。これにより、立体表示領域2に表示させる立体像の明るさを自由に調整することもできる。なお、フラッシュランプ8aには、蛍光インク3の励起波長に合わせた波長を有するストロボ光を照射できるものが使用される。そして、図2に示すように、このようなストロボ光照射装置8の電源部8bは、射出装置5と同様に、後述する制御装置10に接続されている。よって、立体表示領域2に向かって照射されるストロボ光の照射タイミングは、制御装置10によって制御されている。
【0029】
次に、制御装置10について説明する。図2に示すように、この制御装置10は、射出装置5及びストロボ光照射装置8の制御を行う制御部11を備えている。そして、制御部11は、中央演算処理装置としてのCPU11aと、該CPU11aを中心に相互に接続されたROM11bと、RAM11cとから構成されている。なお、ROM11bは内蔵されている各種プログラム等を記憶する読み出し専用のメモリである。一方、RAM11cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データ等を記憶する読み出し及び書き込み可能なメモリである。また、CPU11aには、I/Oインタフェース12が設けられ、該I/Oインタフェース12には、後述する入力部13と、ストロボ光照射装置8の電源部8bと、射出装置5の射出部6とが各々接続され、データの入出力及び制御信号の出力等がここで行われる。
【0030】
そして、上記構成からなる制御装置10は、入力部13で入力設定された一定時間(td)毎の立体像の画像データに基づき、その一定時間(td)毎に繰り返し設定される基準時(t)から所定時間経過後に、立体表示領域2に表示させる立体像の外縁上に対応する位置データを算出する。そして、その算出された位置データに基づいて、これら射出装置5とストロボ光照射装置8との各動作の制御をそれぞれ行う。なお、この制御装置10の制御動作については後述する。
【0031】
次に、入力部13について説明する。図2に示すように、入力部13は、制御装置10のI/Oインタフェース12を介して、制御部11のCPU11aに電気的に接続されている。この入力部13で入力される立体像の画像データは、例えば、立体像を示す方程式のプログラムや、座標データ等が挙げられる。
【0032】
さらに、図2に示すように、入力部13で入力された立体像の画像データは、制御部11のRAM11cに書き込まれて記憶され、立体画像表示装置1の動作時にCPU11aによって読み込まれる。そして、CPU11aでは、立体表示領域2における立体像の外縁上の点(xl,ym、zn)を示す位置データが算出され、その算出された位置データからZ方向にスキャンされて得られる任意のXY平面上の各位置に対応する射出部6の射出穴15が各々指定される。さらに、XY平面の高さ(Z軸上の位置)により、各射出穴15における蛍光インク3を射出する時刻が算出される。こうして射出装置5の制御データが作成され、制御部11のRAM11cに記憶される。なお、この他にも、予め一定時間毎の立体像の位置データを算出しておき、その位置データを入力部13から入力設定し、その位置データから、制御装置10のCPU11aに上記制御データを算出させることもできる。
【0033】
次に、立体表示領域2において、所定の点Fを光らせるための方法について説明する。図4に示すように、立体表示領域2の所定の点F(x1,y1,z1)を光らせるためには、図1に示すストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aを点灯するt1時間前に、射出装置5の射出部6の(x1,y1)に対応する射出穴15(図3参照)から、速度vにて蛍光インク3を、立体表示領域2に向かって射出すればよい。なお、t1は、以下の式で示される。
t1=z1/v ・・・式(1)
【0034】
この式(1)により、図3に示す射出部6の(x1,y1)に対応する射出穴15から、t1時間前に、速度vにて蛍光インク3を、立体表示領域2に向かって射出させ、点灯時間になったら図1に示すフラッシュランプ8aを光らせることによって、立体表示領域2内に点F(x1,y1,z1)が発光して浮き上がったように表示させることができる。なお、実際には、射出穴15から射出された蛍光インク3には、重力や空気抵抗が影響するため、速度vを補正するのが好ましい。
【0035】
ここで、立体像は点の集合である。このことから、立体像の外縁を構成する複数の点を、(x1,y1,z1)、(x2,y2,z2)、・・・、(xn,yn,zn)とした場合、これら複数の点を同時に光らせれば、立体表示領域2に立体像を明瞭に表示させることができる。なお、nは、ある立体像の外縁を構成する点の数を示す。したがって、これら複数の所定の点に対して、ストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aが点灯するtn時間前に、射出装置5の射出部6の点(xn,yn)に各々対応する複数の射出穴15から、速度vにて蛍光インク3を、立体表示領域2に向かって各々射出させればよい。なお、各点のtnは、以下の式で示される。
tn=zn/v ・・・式(2)
【0036】
この式(2)により、射出部6の(xn,yn)に各々対応する複数の射出穴15(図3参照)から、点毎に異なるtn時間前に、速度vにて蛍光インク3を立体表示領域2に向かって射出させ、点灯時間になったら、ストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aを点灯させることによって、立体表示領域2に複数の点(xn,yn,zn)の集合を全て同時に発光させ、立体像を明瞭に表示させることができる。
【0037】
次に、立体表示領域2に表示される所定の点を、点F1から点F3まで移動させる方法について説明する。図5に示すように、例えば、t1時間後に、点F1(x1,y1,z1)を光らせ、t2時間後に、点F2(x2,y2,z2)を光らせ、t3時間後に、点F3(x3,y3,z3)を光らせることにより、所定の点が、点F1(x1,y1,z1)から点F2(x2,y2,z2)を通過し、点F3(x3,y3,z3)に移動したかのように表示させることができる。そのためには、tdを表示させる点の更新時間とした場合に、ストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aを光らせるタイミングを、
t1=td
t2=td×2
t3=td×3
とし、射出装置5の射出部6における
点(x1,y1)に相当する射出穴15から、t1−z1/v 時間後、
点(x2,y2)に相当する射出穴15から、t2−z2/v 時間後、
点(x3,y3)に相当する射出穴15から、t3−z3/v 時間後
に蛍光インク3を、立体表示領域2のz方向に射出させればよい。なお、tdは射出された蛍光インク3が立体表示領域2を落下し終わるまでの時間が設定される。この理由は、もし、tdがその時間よりも短く設定されてしまうと、先に射出された蛍光インク3が落下し終わらないうちに、ストロボ光照射装置8によってストロボ光が照射されてしまうためである。これでは、先に射出された蛍光インク3が2回発光してしまうことになり、立体表示領域2に立体像を正しく表示できない。このような理由から、tdは射出した蛍光インク3が立体表示領域2を落下し終わるまでの時間として設定されている。また、立体像の動画を表示させる場合は、立体像は点の集合であることから、各点の集合を上述した方法で各々移動させることにより、立体像の動画を表示させることができる。
【0038】
次に、立体表示領域2に、立体像を表示するために必要な位置データの作成方法を説明する。上記したように、この位置データは制御装置10によって算出される。まず、以下の説明で使用する各変数について説明する。
・(Xa,Ya,Za) 立体表示領域2に相当する空間であり、横幅Xa、奥行きYa、高さZaで構成される空間を示す。
・L 立体のX方向における分割数(X方向の解像度)
・M 立体のY方向における分割数(Y方向の解像度)
・N 立体のZ方向における分割数(Z方向の解像度)
・td 蛍光インク3が立体表示領域2を通過するまでの時間(画像の更新時間)
・p 射出カウンタ(蛍光インク3を射出する毎に、1からN−1まで増加する。)
・Zxy(1) Z=Za/NであるXY平面
・Zxy(2) Z=2×Za/NであるXY平面
・Zxy(p) Z=p×Za/NであるXY平面
・Zxy(N−1) Z=(N−1)×Za/NであるXY平面
・PointXY(1) Zxy(1)平面と立体像の交点に対応する射出穴15の集合
・PointXY(2) Zxy(2)平面と立体像の交点に対応する射出穴15の集合
・PointXY(p) Zxy(p)平面と立体像の交点に対応する射出穴15の集合
・PointXY(N−1) Zxy(N−1)平面と立体像の交点に対応する射出穴15の集合
・PointXY PointXY(1)〜PointXY(N−1)の全ての集合
【0039】
なお、t+td時間後に立体像を表示させる場合、PointXYは以下のようにも示される。
・PointXY(1) t+(1×td)/N時間後に蛍光インク3を射出する射出穴15の集合
・PointXY(2) t+(2×td)/N時間後に蛍光インク3を射出する射出穴15の集合
・PointXY(p) t+(p×td)/N時間後に蛍光インク3を射出する射出穴15の集合
・PointXY(N−1) t+((N−1)×td)/N時間後に蛍光インク3を射出する射出穴15の集合
【0040】
これら変数を使って説明する。まず、立体像を表すために必要なデータの作成方法を説明する。最初に立体像が点の集合で表される場合の作成方法を説明し、次に立体像が方程式で表される場合の作成方法について説明する。
【0041】
最初に、立体像が点の集合で表される場合の作成方法について説明する。全ての立体像は(x,y,z)の点の集合で表すことができる。そして、それらの点の集合は、立体表示領域2内部のどの点に対応するのかを調べ、対応する点を同時に光らせることができれば、立体像を立体表示領域2に表現することができる。そのために、次の計算方法で対応する点を求める。まず、空間(Xa,Ya,Za)をそれぞれL,M,Nで分割する。そして、それら分割された任意の点を、
(xl,ym,zn)
とすると、
(xl−Xa/L/2)<x≦(xl+Xa/L/2)・・・式(3)
(ym−Ya/M/2)<y≦(ym+Ya/M/2)・・・式(4)
(zn−Za/N/2)<z≦(zn+Za/N/2)・・・式(5)
を満たす(x,y,z)が立体像の点の集合に含まれていれば、点(xl,ym,zn)を光らせればよい。そのうち、n=pを満たす(xl,ym,zn)は、平面Zxy(p)上にあるので、それを満たす全ての点(xl,ym)をPointXY(p)とする。
【0042】
ここで、この計算方法の一例として、立体を表示する立体表示領域2を、一辺の長さ100の立方体とし、X,Y,Z方向における解像度を全て25に設定した場合について説明する。
(Xa,Ya,Za)=(100,100,100)
(L,M,N)=(25,25,25)
となる。そして、分割した任意の点(xl,ym,zn)の座標において、
xlは、
x1=(4+0)/2=2
x2=(8+4)/2=6・・・※x3〜x23は省略
x24=(96+92)/2=94=x(L−1)
x25=(100+96)/2=98=xL
となり、xl=2,6,10,14,18,・・・、x(L−1),xLとなる。
【0043】
一方、ymは、
y1=(4+0)/2=2
y2=(8+4)/2=6・・・※y3〜y23は省略
y24=(96+92)/2=94=y(M−1)
y25=(100+96)/2=98=yM
となり、ym=2,6,10,14,18,・・・、y(M−1),yMとなる。
【0044】
また、znは、
z1=(4+0)/2=2
z2=(8+4)/2=6・・・※z3〜z23は省略
z24=(96+92)/2=94=z(N−1)
z25=(100+96)/2=98=zN
となり、zn=2,6,10,14,18,・・・、z(N−1),zNとなる。
【0045】
また、上記した式(3),(4),(5)は、
(xl−2)<x≦(xl+2)・・・式(6)
(ym−2)<y≦(ym+2)・・・式(7)
(zn−2)<z≦(zn+2)・・・式(8)
となる。
【0046】
ここで、例えば、立体表示領域2の点(15,20,45)を光らせたい場合、式(6),(7),(8)に、この座標値をそれぞれ当てはめると、
(xl−2)<15≦(xl+2)
(ym−2)<20≦(ym+2)
(zn−2)<45≦(zn+2)
となり、これを満たす、(xl,ym,zn)=(14,18,46)=(x4,y5,z12)の位置を発光させればよいことになる。また、この点は、PointXY(12)の集合に含まれる(x4,y5)になる。そして、この(x4,y5)は、射出部6の底面のXY平面(図3参照)における(14,18)の位置にあるx方向4番目、y方向5番目の射出穴15に相当することになる。
【0047】
次に、立体像が方程式で表される場合の作成方法について説明する。 具体的な例として、球体20を表示させるための位置データの作成方法について説明する。図6に示すように、中心が(a,b,c)で半径rの球体20は下記のような方程式によって一般的に表すことができる。
(x−a)+(y−b)+(z−c)=r ・・・式(9)
この場合、式(9)におけるzの値を決めた後に、xをスキャンすることによって、yの値を求めればよい。そして、z方向の解像度はNであるので、PonitXY(1)〜PonitXY(N−1)を求めるには、式(9)のzに、
1×(Za/N),2×(Za/N),・・・,(N−1)×(Za/N)
を順に代入すればよい。
【0048】
例えば、zにP=p×(Za/N)を代入すると、式(9)は、
(x−a)+(y−b)+(P−c)=r
となる。これを展開すると、
y=b+sqrt(r−(P−c)−(x−a)) ・・・式(10)
y=b−sqrt(r−(P−c)−(x−a)) ・・・式(11)
となる。(※sqrt:平方根)
【0049】
次に、x方向の解像度はLであるので、式(10)と式(11)のxに、
x=n×(Xa/L) (nはL未満の自然数) ・・・式(12)
を満たすxの値を順次代入する。具体的には、
1×(Xa/L),2×(Xa/L),・・・,(L−1)×(Xa/L)
を順次代入することによって、yを求めることができる。そして、平方根の中の値が、負の数になればyの値は無し、正の数であれば2つ、0であればy=bの1つだけとなる。
【0050】
次いで、式(10)と式(11)で求められたyに対して、
(ym−Ya/M/2)<y≦(ym+Ya/M/2)
を満たすymがあれば、それが求めるy座標の位置となる。さらに、その時に代入したxの値をxlとすると、(xl,ym)がPointXY(p)の1つとして設定される。そして、式(12)を満たすxを代入して得られた全ての(xl,ym)がPointXY(p)となる。
【0051】
このようにして、球体20を表現するための位置データを作成することができる。そして、これらの計算は、図2示す制御装置10の制御部11のCPU11aによって行われる。
【0052】
次に、立体表示領域2において、球体20を表示させる場合のCPU11aの動作について、図7のフローチャートと、図8乃至図13を参照して説明する。図7に示すように、はじめに、基準タイマtをリセットする(S1)。この基準タイマtは、更新される毎に、tdを加算するものである。次に、時間タイマkのリセットを行い(S2)、スタートさせる(S3)。この時間タイマkは、実際の経過時間を計測するものである。そして、入力部13から入力設定されたt+td秒後の球体20の画像データに基づいて、上記方法によって、立体表示領域2に表示すべき球体20の外縁上の点(xl,ym、zn)集合を示す位置データを算出する(S4)。さらにS4では、この算出された位置データに基づいて、射出装置5の制御データを算出する。
【0053】
具体的には、算出された位置データに基づいて、すでに述べた方法でPointXY(1)〜PointXY(N−1)を算出する。PointXY(p)は、t+(p×td)/N時間になったら、蛍光インク3を射出する射出穴15の集合である。そして、これら算出された制御データは、制御部11のRAM11cに記憶される。
【0054】
次いで、射出カウンタpがリセット(p=1)される(S5)。続いて、蛍光インク3を射出する射出時間になったか否かを判断する(S6)。具体的には、実際の時間(時間タイマkで計測された時間)が、S4で算出された射出時間、即ち、PointXY(p)の射出穴15からインクを射出する時間であるt+(p×td)/N時間に到達したか否かでを判断する。そして、射出時間に到達するまでは(S6:NO)、蛍光インク3の射出動作を待機させる(S6)。
【0055】
そして、蛍光インク3を射出する射出時間に到達したと判断された場合は(S6:YES)、PointXY(p)の射出穴15から蛍光インク3が同時に射出される(S7)。そして、射出カウンタpは、射出穴15から各PointXY分の蛍光インク3を射出する毎に1が加算され、1からN−1まで増加する(S8)。
【0056】
また、射出開始時(初期)は、図8に示すように、蛍光インク3によって形成された球体20の下部分が射出部6から射出されたような状態となる。さらに、この時の蛍光インク3の射出状態を射出部6の下側から見ると、図9に示すように、PointXY(p)の各射出穴15から蛍光インク3が円形状に射出された状態となっている。さらに、射出部6による射出動作が進むと、図10に示すように、球体20のほとんどが射出部6から射出されたような状態となる。この時の蛍光インク3の射出状態を射出部6の下側から見ると、図11に示すように、PointXY(p)の各射出穴15から射出される蛍光インク3が描く円は次第に大きくなり、やがて再び小さくなる。そして、射出カウンタpの値がN−1に到達して、射出穴15から算出した立体像分の蛍光インク3が全て射出されたか否かが判断される(S9)。まだ、射出穴15から算出した立体像分の蛍光インク3が全て射出されていないと判断された場合(S9:NO)は、全て射出し終えるまで、さらに射出時間が判断され、引き続き射出動作が繰り返される(S6)。
【0057】
さらに、射出カウンタpの値がN−1に到達して、射出穴15から算出した立体像分の蛍光インク3が全て射出されたと判断された場合(S9:YES)は、続いて、立体表示領域2で算出された位置データの所定の位置に、蛍光インク3が到達したか否かが判断される(S10)。ここでは、実際の時間(時間タイマkで計測された時間)が、t+tdに到達したか否かが判断される。そして、実際の時間がt+tdに到達していないと判断された場合は(S10:NO)、図12に示すように、蛍光インク3によって形成された球体20は、位置データの所定の位置にまだ到達していないため、実際の時間がt+tdに到達するまでそのまま落下させる(S10)。
【0058】
続いて、実際の時間がt+tdに到達したと判断された場合は(S10:YES)、立体表示領域2の算出された位置データの所定の位置に、球体20の外縁を構成する各蛍光インク3が到達したことになるので、図13に示すように、ストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aを瞬間的に光らせる(S11)。すると、立体表示領域2に射出された蛍光インク3によって形成された球体20全体が、瞬間的に発光して、立体表示領域2に球体20が立体的かつ明瞭に表示される。
【0059】
その後、t+td秒後の球体20の表示が終了する(S12)ので、基準タイマtを更新するためにtdが加算される(S13)。さらに、次に表示する立体像があるか否かが判断される(S14)。ここでは、次のtd時間に表示させる立体像の画像データが入力部13から入力されているか否かを判断することによって行われる。そして、画像データが入力部13から入力されていない場合(S14:NO)には射出動作の処理をそのまま終了する。一方、次のtd時間に表示させる立体像の画像データが有る場合(S14:YES)には、S4に戻って、処理を繰り返すことにより、立体表示領域2に動画や静止画像を表示させる。なお、図7に示すフローチャートのS4の処理を実行するCPU11aが、「算出手段」に相当し、S6の処理を実行するCPU11aが、「射出制御手段」に相当し、S10の処理を実行するCPU11aが、「ストロボ光照射制御手段」に相当する。
【0060】
以上説明したように、第1の実施形態の立体画像表示装置1では、光を照射することによって光る蛍光インク3を、射出装置5の複数の射出穴15から各々射出させ、その射出された蛍光インク3が立体表示領域2の特定の位置を通過した瞬間に、ストロボ光照射装置8で、その蛍光インク3を瞬間的に発光させることにより、立体表示領域2内に立体像を表示できる。そして、この立体画像表示装置1は、制御装置10を備え、該制御装置10が、入力部13で入力された一定時間(td)毎の立体像の画像データに基づき、その一定時間(td)毎に繰り返し設定される基準時(t)から所定時間経過後に、立体表示領域2に表示させる立体像の外縁上に対応する位置データを算出している。そして、その算出された位置データに基づいて、これら射出装置5とストロボ光照射装置8との動作の制御を行うことによって、立体表示領域2内に立体像を表示できる。
【0061】
このように、立体表示領域2にストロボ光を照射するだけで、ストロボ光の焦点を調整する必要もないので、簡単な構造で立体像を表示することができる。さらに、ストロボ光の焦点を調整するための計算がいらないので、従来の三次元画像の表示装置のような計算をする必要がなくなる。また、ストロボ光によって発光する蛍光インク3を使用しているので、立体表示領域2内に明瞭な立体像を表示できる。
【0062】
次に、上記第1の実施形態をさらに変形して発展させた第2,第3,第4の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態では、立体表示領域2に立体像をカラーで表示できる立体画像表示装置について、第3の実施形態では、立体像の連続表示の更新時間を短縮できる立体画像表示装置150について、第4の実施形態では、蛍光ボール90を使った立体画像表示装置200について順次説明する。
【0063】
まず、第2の実施形態である立体画像表示装置について説明する。図14は、第2の実施形態である立体画像表示装置の射出部60の底面図であり、図15は、図14に示す射出部60の部分拡大図である。第2の実施形態である立体画像表示装置では、立体表示領域2に立体像をカラーで表示することができる。そして、第2の実施形態である立体画像表示装置は、第1の実施形態の射出装置5の射出部6を変形した射出部60を備えており、それ以外の構成は第1の実施形態の立体画像表示装置1と同じである。よって、ここでは、射出部60の構造と、カラーで表示される立体像の位置データの作成方法を中心に説明する。
【0064】
なお、第2の実施形態の射出装置で使用される蛍光インクは単色ではなく、光の三原色である赤色、青色、緑色の蛍光物質から作成された赤色蛍光インク、青色蛍光インク、緑色蛍光インクを使用する。そして、これら3色を組合せることによって7色の色を表現することができる。
【0065】
まず、射出部60について説明する。図14に示すように、第1の実施形態である立体画像表示装置1の射出部6(図3参照)には、複数の射出穴15がマトリックス状に設けられていたが、第2の実施形態の射出部60の底面には、3つの射出穴(35a,35b.、35c)が一組となって構成された射出穴部35が、射出部60のX方向及びY方向に向かって配列されている。そして、射出穴部35は、図15に示すように、赤色の蛍光インクを射出する射出穴35a、青色の蛍光インクを射出するための射出穴35b、緑色の蛍光インクを射出するための射出穴35cとから構成されている。また、図示しないが、射出穴35aには、赤色の蛍光物質が貯留された赤色インクタンクが接続され、射出穴35bには、青色の蛍光物質が貯留された青色インクタンクが接続され、射出穴35cには、緑色の蛍光物質が貯留された緑色インクタンクが接続され、各インクタンクは射出装置内に各々設けられている。
【0066】
次に、立体像をカラーで表示するための各射出穴35a,35b,35cの指定方法について説明する。カラーで表示する場合の立体像の位置データは、第1の実施形態と同じ方法で作成するとともに、各射出穴35a,35b,35cの指定は、立体像の外縁上の各位置の色を示す色データを基にして、それらを赤、青、緑の三色に分類する。具体的に説明すると、赤をR、青をB、緑をGとした場合に、上記第1の実施形態で求めたPointXYを、
PointXY R Zxy平面と立体像の交点に対応する射出穴35aの集合
PointXY B Zxy平面と立体像の交点に対応する射出穴35bの集合
PointXY G Zxy平面と立体像の交点に対応する射出穴35cの集合
とに各々分ける。仮に、PointXYが、すべて黄色であった場合、黄色は赤と緑を合わせればよいので、PointXY Bを無しとすればよい。
【0067】
次に、第2の実施形態における制御装置のCPUの動作について説明する。第2の実施形態の制御装置は、上記第1の実施形態の制御装置10の図7に示すフローチャートと同様に行われる。そして、図7に示すフローチャートのS4では、
PointXY R(1)〜PointXY R(N−1)
PointXY B(1)〜PointXY B(N−1)
PointXY G(1)〜PointXY G(N−1)
が算出される。さらに、そして各射出穴35a,35b,35cにおける各色の蛍光インクを射出する回数が算出され、それら各射出穴35a,35b,35cにおける各色の蛍光インクを射出するまでの射出時間が算出される。
【0068】
さらに、図7に示すフローチャートS7では、PointXY R(p)の射出穴35aから赤色蛍光物質を射出させ、PointXY B(p)の射出穴35bから青色蛍光物質を射出させ、PointXY G(p)の射出穴35cから緑色蛍光物質を各々射出させる。これによって、立体表示領域2に立体像をカラーで表示することができる。
【0069】
以上説明したように、第2の実施形態の立体表示装置では、射出装置で使用される蛍光インクを単色ではなく、光の三原色である赤色、青色、緑色の蛍光物質から作成された赤色蛍光インク、青色蛍光インク、緑色蛍光インクを使用し、これらを組み合わせることによってカラーで立体像を表示することができる。
【0070】
次に、第3の実施形態である立体画像表示装置150について説明する。図16は、第3の実施形態である立体画像表示装置150の全体を示す構成図であり、図17は、射出部70の底面図であり、図18は、図17に示す射出部70の部分拡大図である。なお、この第3の実施形態である立体画像表示装置150は、立体像の連続表示の更新時間(td)を3分の1に短縮することができる。
【0071】
図16に示すように、この立体画像表示装置150の構造は、第1の実施形態の立体画像表示装置1の構成と異なり、互いに波長の異なる光を照射する3つのストロボ光照射装置(80,81,82)を備えている。これらは、フラッシュランプ80aを備える第1ストロボ光照射装置80と,フラッシュランプ81aを備える第2ストロボ光照射装置81と,フラッシュランプ82aを備える第3ストロボ光照射装置82とから構成され、全て制御装置100に各々接続されている。さらに、射出装置50は、互いに励起波長の異なる3種類の蛍光インクを各々射出させることができる射出部70を備えている。よって、ここでは、互いに励起波長の異なる蛍光インクと、射出部70の構造と、制御装置100の動作について説明する。
【0072】
まず、3種類の蛍光インクについて説明する。これら3種類の蛍光インクは、互いに励起波長が異なるとともに、蛍光波長がほぼ同じの蛍光物質(例えば、株式会社モリテック製の蛍光粒子等)によって作成されている。これにより、同空間に3種類の蛍光インクが存在しても、各蛍光インクの何れかの励起波長に対応するストロボ光が照射された場合は、そのストロボ光の波長に対応する励起波長の蛍光インクのみが発光する。このことを利用して、立体像の連続表示の更新時間(td)を3分の1に短縮することができる。なお、蛍光インクの種類は3種類に限らず、4種類、5種類、それ以上にしてもよく、それら複数の蛍光インクの励起波長に対応したストロボ光照射装置を設定さえすれば、立体像の更新時間(td)をさらに短縮することができる。
【0073】
次に、射出部70の構造について説明する。図17に示すように、第2の実施形態の射出部60(図14参照)と同様に、射出部70の底面には、3つの射出穴が一組となって構成された射出穴部45がX方向及びY方向に向かって配列されている。そして、図18に示すように、射出穴部45は、第1射出穴45a、第2射出穴45b、第3射出穴45cとから構成され、各射出穴からは、互いに励起波長の異なる蛍光インクが射出されるようになっている。
【0074】
次に、制御装置100のCPUの動作について説明する。ここでは、第1の実施形態で説明した図7に示すフローチャートを参考にして説明する。第1の実施形態では、S4において、td時間毎の立体像の画像データを得て、位置データ及び制御データを算出したが、この立体画像表示装置150では、td/3時間毎の立体像の画像データを得る必要がある。そこで、td/3時間毎のそれぞれのデータを、
PointXY1 PointXYと同じ方法で得たt+td時間後のデータ
PointXY2 PointXYと同じ方法で得たt+4×td/3時間後のデータ
PointXY3 PointXYと同じ方法で得たt+5×td/3時間後のデータ
とする。
【0075】
そして、制御装置100のCPU(図示外)では、上記した射出部70の3つの射出穴45a,45b,45cを個別に制御する必要があるため、上記制御をtd/3時間ずつずらして3つ同時に進める。よって、それぞれの制御を制御A、制御B、制御Cとした場合に、3種類の蛍光インクを各射出穴45a,45b,45cから各々射出させるために、図7に示すフローチャートの第1の実施形態のCPU11aによる制御動作を、制御装置100のCPU(図示外)では、各制御A,B,Cでそれぞれ設定し、td/3時間ずつずらして3つの制御を同時におこなえばよい。
【0076】
したがって、図7に示すフローチャートのS1の基準タイマtのリセットにおいては、制御Aでは、基準タイマt1=0と設定し、制御Bでは、基準タイマt2=td/3と設定し、制御Cでは、基準タイマt3=2×td/3と設定する。これにより、基準タイマtの開始時間はtd/3ずつずれる。
【0077】
そして、図7に示すフローチャートのS4において、
制御Aでは、PointXY 1(1)〜PointXY 1(N−1)の算出を行い、
制御Bでは、PointXY 2(1)〜PointXY 2(N−1)の算出を行い、
制御Cでは、PointXY 3(1)〜PointXY 3(N−1)の算出を行う。これにより、射出部70の制御データが作成される。
【0078】
そして、制御Aにおいて、PointXY 1(p)の射出穴45aからフラッシュランプ80aで光る蛍光インクを射出させ、続いて、制御Bにおいて、PointXY 2(p)の射出穴45bからフラッシュランプ81aで光る蛍光インクを射出させ、さらに、制御Cにおいて、PointXY 3(p)の射出穴45cからフラッシュランプ82aで光る蛍光インクを射出させる。そして、第1のストロボ光照射装置80のフラッシュランプ80aと,第2のストロボ光照射装置81のフラッシュランプ81aと,第3のストロボ光照射装置82のフラッシュランプ82aとを、各基準タイマt1,t2,t3に従い、光らせる。これにより、各フラッシュランプによって照射されたストロボ光によって励起される各蛍光インクがtd/3間隔で順次発光するので、立体像の連続表示の更新時間(td)を3分の1に短縮することができる。
【0079】
以上説明したように、第3の実施形態の立体画像表示装置150では、互いに励起波長が異なる3種類の蛍光インクを時間をすらして順次射出させ、互いに波長の異なる光を照射する3つのストロボ光照射装置(80,81,82)の各フラッシュランプ(80a,81a,82a)を順次照射することによって、立体像の連続表示の更新時間(td)を3分の1に短縮することができる。これにより、例えば、動画を表示する場合、立体像の動きをより滑らかに表示することができる。また、立体表示領域2内に励起波長の異なる複数の蛍光インクが存在しても、ストロボ光を照射するストロボ光照射装置の励起波長に対応する蛍光インクのみが発光するので、立体像の位置データの位置を通過する蛍光インクのみを光らすことが可能である。これにより、立体像が不鮮明になるのを防止できる。
【0080】
次に、第4の実施形態である立体画像表示装置200について説明する。図19は、第4の実施形態である立体画像表示装置200の全体を示す構成図であり、図20は、立体画像表示装置200のブロック図であり、図21は、射出部600の底面図であり、図22は、ボール射出装置500の部分拡大断面図であり、図23は、制御装置250の制御動作を示すフローチャートである。
【0081】
この立体画像表示装置200は、蛍光ボール90を射出するボール射出装置500を備えている。そして、それ以外の構成は、第1の実施形態の立体画像表示装置1とほぼ同じである。また、立体像の位置データと、射出部600の制御データは、第1の実施形態の計算方法と全く同一であるため、ここでは、ボール射出装置500の動作を中心に説明する。なお、第1の実施形態と同じ構成部分については、第1の実施形態と同じ符号を付すものとする。
【0082】
はじめに、立体画像表示装置200の概略構成について説明する。図19及び図20に示すように、立体画像表示装置200は、立体表示領域2に向かって、蛍光ボール90を射出するボール射出装置500と、該ボール射出装置500によって蛍光ボール90が射出された立体表示領域2に向かって瞬間的にストロボ光を照射するストロボ光照射装置8と、前記ボール射出装置500及びストロボ光照射装置8に各々接続され、前記立体表示領域2に表示させる立体像の画像データから、立体像の位置データを算出し、該位置データに基づいてボール射出装置500及びストロボ光照射装置8の動作を制御する制御装置250と、該制御装置250に接続され、立体像の画像データを入力するための入力部13と、立体表示領域2の下方に設けられ、ボール射出装置500から射出された蛍光ボール90を受けるための回収容器120と、該回収容器120の下方に傾斜する底部120aの最底部に接続され、回収容器120に落下した蛍光ボール90を、ボール射出装置500に向かって搬送するコンベア140と、該コンベア140に接続され、コンベア140を駆動するコンベア駆動装置140aとから構成されている。また、ボール射出装置500には、射出部600に向かって、圧縮空気を供給するための圧縮空気供給装置800が設けられている。なお、蛍光ボール90とは、特定の波長の光が照射されることによって発光する蛍光物質が塗られたボールのことをいう。また、ストロボ光照射装置8は、第1の実施形態と同様に、瞬間的に発光するフラッシュランプ8aと、該フラッシュランプ8aに電圧を与え、定電圧で駆動する電源部8bとを備えている。
【0083】
次に、制御装置250について説明する。図20に示すように、この制御装置250は、ボール射出装置500と、ストロボ光照射装置8との制御を行う制御部110を備えている。そして、制御部110は、中央演算処理装置としてのCPU110aと、該CPU110aを中心に相互に接続されたROM110bと、RAM110cとから構成されている。また、CPU110aには、I/Oインタフェース12が設けられ、該I/Oインタフェース12には、入力部13と、ストロボ光照射装置8の電源部8bと、ボール射出装置500の射出部600の各種装置とが各々接続され、データの入出力及び制御信号の出力等がここで行われる。
【0084】
次に、ボール射出装置500について説明する。図19,図20に示すように、ボール射出装置500は、立体表示領域2の上部に取り付けられている。さらに、このボール射出装置500は、蛍光ボール90を立体表示領域2に向かって射出する射出部600と、該射出部600の上部に設けられ、蛍光ボール90を貯留するための筒状の外枠550と、該外枠550の内側に設けられ、外枠550の内側に貯留された多数の蛍光ボール90を、射出部600に設けられた複数の射出穴650(図21参照)に各々均等に振り分けるボール振分装置700と、射出部600に複数設けられた各射出穴650に圧縮空気を各々供給する圧縮空気供給装置800とから構成されている。
【0085】
射出部600について説明する。図21に示すように、第1の実施形態の射出部6よりも大きい射出部600の底面には、立体表示領域2に対向するとともに、蛍光ボール90を射出するための複数の射出穴650がマトリックス状に配列されて設けられている。そして、これらマトリックス状に配列された複数の射出穴650は、射出部600の底面におけるx方向にL個、y方向にM個ずつ配列されている。さらに、このように配列された複数の射出穴15の配列が、即ち、立体表示領域2のXY平面上におけるL×Mの解像度となる。そして、これら各射出穴650には、図22に示す蛍光ボール90を射出するための射出ユニット670(図22参照)が各々設けられており、蛍光ボール90の射出動作を行っている。
【0086】
次に、射出ユニット670について説明する。図22に示すように、射出ユニット670は、1つの射出穴650に対して1つの射出ユニット670が設けられている。この射出ユニット670は、射出穴650の長手方向に直交して設けられ、上下に互いに離間する一対の上シャッター95及び下シャッター96と、上シャッター95を開閉する一対の駆動ローラ92,92と、下シャッター96を開閉する一対の駆動ローラ93,93と、該駆動ローラ92,92及び駆動ローラ93,93を駆動するローラ駆動回路94(図20参照)とで構成されている。
【0087】
次に、射出部600における射出ユニット670を構成する各部分の位置関係について説明する。図22に示すように、射出部600には、上下方向に延設する射出穴650の長手方向に直交する方向に延設され、射出穴650に連続する収納穴602と、該収納穴602の下方に設けられ、同じく射出穴650に連続する収納穴603とが設けられ、互いに略水平に設けられている。さらに、その収納穴602及び収納穴603が上下に離間する間隔は、1コの蛍光ボール90の直径よりもやや長く調整されている。そして、収納穴602の、射出穴650側の上下の壁部に、互いに上下に離間する一対の駆動ローラ92,92が設けられ、該駆動ローラ92,92の間には、収納穴602と射出穴650との内側を左右に移動する平板状の上シャッター95が設けられている。なお、図示しないが、収納穴602の内壁面には、上シャッター95を左右にガイドするガイドレールが設けられている。
【0088】
一方、収納穴603の、射出穴650側の上下の壁部に、互いに上下に離間する一対の駆動ローラ93,93が移動可能に設けられ、該駆動ローラ93,93の間には、収納穴603と射出穴650との内側を左右に移動する平板状の下シャッター96が移動可能に設けられている。なお、図示しないが、収納穴603の内壁面には、下シャッター96を左右にガイドするガイドレールが設けられている。そして、各駆動ローラ92,92及び駆動ローラ93,93には、図20に示すローラ駆動回路94に接続され、該ローラ駆動回路94は、制御装置250のI/Oインタフェース12に接続されている。よって、この上シャッター95及び下シャッター96の開閉は、制御装置250のCPU110aによって制御されている。そして、上シャッター95が開く場合は、収納穴602に上シャッター95全てが収納されることによって、射出穴650が開口される。一方、下シャッター96が開く場合は、収納穴603に下シャッター96全てが収納されることによって、射出穴650が開口される。
【0089】
また、射出穴650において、上シャッター95及び下シャッター96の間に挟まれた空間が、次に射出される蛍光ボール90が配置される第1射出準備室650aとなっている。さらに、上シャッター95よりも上側の空間が、第1射出準備室650aに順次送り出される蛍光ボール90を貯留する第2射出準備室650bとなっている。
【0090】
また、射出穴650の、収納穴602と収納穴603とが設けられた内壁部分とは反対側の内壁部分には、射出穴650に貫通する圧縮空気供給口601が設けられ、該圧縮空気供給口601は、圧縮空気供給装置800(図20参照)の配管に接続されている。また、図20に示すように、この圧縮空気供給装置800は、制御装置250のI/Oインタフェース12を介して、制御部110のCPU110aに電気的に接続されている。そして、図22に示すように、圧縮空気供給口601は、第1射出準備室650aの上部に向かって延設されている。これにより、第1射出準備室650aに圧縮空気が供給される。
【0091】
また、図22に示すように、射出穴650の上部には、第2射出準備室650bに蛍光ボール90一個落下したのを検知する光センサ98が設けられ、射出穴650の下部には、第1射出準備室650aから蛍光ボール90が射出されたのを検知する光センサ99が設けられ、これら光センサ98,99は、図20に示すように、制御装置250のI/Oインタフェース12を介して、制御部110のCPU110aに電気的に接続されている。
【0092】
次に、ボール振分装置700について説明する。図19に示すように、ボール振分装置700は、外枠550の内側であって、射出部600の上部に隙間を空けて設けられている。そして、図20又は図22に示すように、ボール振分装置700は、振り分け板710と、該振り分け板710を左右に振動させる振動装置(図示外)とから構成されている。そして、振り分け板710には、射出部600の複数の射出穴650に対応する位置に、振り分け穴710a(図22参照)がマトリックス状に各々設けられている。そして、この振り分け板710は、振動装置によって常時左右に振動しているので、ボール射出装置500に供給された多数の蛍光ボール90は、この振り分け板710の複数の振り分け穴710aに均一に振り分けられる。これにより、射出部600の複数の射出穴650に対して均一に分散させて蛍光ボール90を振り分けることができる。
【0093】
次に、CPU110aによるボール射出装置500の制御動作について、図22と図23のフローチャートを参照して説明する。図22に示すように、はじめに、第1射出準備室650aに蛍光ボール90を1個、第2射出準備室650bに蛍光ボール90を満タンの状態(図22では2個)で、上シャッター95および下シャッター96を閉じる(S20)。次に、圧縮空気供給装置800(図20参照)を動作させて、圧縮空気供給口601を介して、第1射出準備室650aに圧縮空気を送り込む(S21)。この時、第1射出準備室650aに配置された蛍光ボール90は、その上方から圧縮空気が送り込まれるため、下シャッター96側に押された状態となる。続いて、射出穴650において、蛍光ボール90を射出する射出時間になったか否かが判断される(S22)。そして、射出時間に到達するまでは蛍光ボール90の射出動作を待機させ(S22:NO)、引き続き、蛍光ボール90を射出する射出時間になったか否かが判断される(S22)。
【0094】
そして、蛍光ボール90を射出する射出時間になったと判断された場合は(S22:YES)、下シャッター96を開く(S23)。このとき、第1射出準備室650aに収納されていた蛍光ボール90は圧縮空気に押されることによって立体表示領域2に向かって射出される。続いて、蛍光ボール90が射出穴650から射出されたか否かが判断される(S24)。ここでは、射出穴650の下部に設けられた光センサ99が、その側を蛍光ボール90の通過を検出したか否かによって判断される。まだ、蛍光ボール90の通過を検出していない場合は(S24:NO)、光センサ99が蛍光ボール90の通過を検出するまでS24の判断が繰り返し行われる(S24)。そして、光センサ99が蛍光ボール90の通過を検出した場合は(S24:YES)、第1射出準備室650aに圧縮空気を送り込む必要がないので、圧縮空気供給装置800(図20参照)の動作を停止させ、第1射出準備室650aへの圧縮空気の供給を止める(S25)。その後、ローラ駆動回路94を制御して駆動ローラ93、93を回転させ、下シャッター96を閉じる(S26)。
【0095】
次いで、ローラ駆動回路94を制御して駆動ローラ92,92を回転させ、上シャッター95を開く(S27)。この時、射出穴650の第1射出準備室650aは空いている。一方、第2射出準備室650bの上部には、蛍光ボール90一個分のスペースが空く。よって、上シャッター95が開くことによって、第2射出準備室650bの最下部に位置する蛍光ボール90が、第1射出準備室650aに落下し、振り分け穴710aに位置する蛍光ボール90は、その第2射出準備室650bの上部の空いたスペースに落下する。このとき、射出穴650内で、蛍光ボール90がそれぞれ一段ずつ落ちたか否かが判断される(S28)。ここでは、射出穴650の上部に設けられた光センサ98が、その側を蛍光ボール90の通過を検出したか否かによって判断される。まだ、光センサ98が蛍光ボール90の通過を検出していない場合は(S28:NO)、光センサ98が蛍光ボール90の通過を検出するまでS28の判断が繰り返し行われる(S28)。そして、光センサ98が蛍光ボール90の通過を検出した場合は(S28:YES)、射出穴650内で、蛍光ボール90がそれぞれ一段ずつ落ちているので、駆動ローラ92,92を回転させ、上シャッター95を閉じる(S29)。こうして、S21に戻り処理が繰り返される。
【0096】
このようなボール射出装置500によって、立体表示領域2に向かって射出された複数の蛍光ボール90は、上記第1の実施形態と同様の方法により、ストロボ光照射装置8のフラッシュランプ8aによって瞬間的に照射されることによって光るので、立体表示領域2内に立体像を表示することができる。
【0097】
また、図19に示すように、ボール射出装置500から射出された蛍光ボール90は、回収容器120によって回収され、その回収された蛍光ボール90は、コンベア140によって、ボール射出装置500に搬送されるので、ボール射出装置500に蛍光ボール90を供給する手間を省くことができる。なお、図19,図20に示す回収容器120が、「回収手段」に相当し、コンベア140及びコンベア駆動装置140aが、「供給手段」に相当する。
【0098】
以上説明したように、第4の実施形態の立体画像表示装置200では、ボール射出装置500を使用することにより、蛍光ボール90のような大きな飛翔体を使って、立体表示領域2に立体像を表現できる。このような蛍光ボール90を使うことから、立体表示領域2を大きくし、立体像を大きく表示できることから、子供が楽しめるデパートの遊技広場や、各種アトラクション等にも利用できる。
【0099】
なお、本発明の立体画像表示装置は、上記第1の実施形態に限らず、他の変形が可能である。例えば、第1,第2、第3の実施形態において、立体表示領域2に射出され、受け皿14に溜まった蛍光インクを、再度、射出装置(5,50)に供給する供給手段を設けても良い。
【0100】
さらに、第4の実施形態で使用した蛍光ボール90は、ボールの表面に蛍光物質を塗膜形成したものであるが、ボール自体に蛍光物質を内蔵させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の立体画像表示装置は、三次元空間に立体画像を表示できる立体画像表示装置に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】立体画像表示装置1の全体を示す構成図である。
【図2】立体画像表示装置1のブロック図である。
【図3】射出部6の底面図である。
【図4】所定の点Fを発光させる方法を示した説明図である。
【図5】所定の点が移動するように表示させる方法を示した説明図である。
【図6】球体20の位置データを算出するための説明図である。
【図7】制御装置10の動作を示すフローチャートである。
【図8】射出部6から蛍光インク3が射出される状態(初期)を示す説明図である。
【図9】図8に示す射出部6の底面図である。
【図10】射出部6から蛍光インク3が射出された状態(中期)を示す説明図である。
【図11】図10に示す射出部6の底面図である。
【図12】射出部6から蛍光インク3が射出される状態(終期)を示す説明図である。
【図13】射出部6から射出された蛍光インク3に向かってフラッシュランプ8aが発光した時の状態を示す説明図である。
【図14】第2の実施形態である立体画像表示装置の射出部60の底面図である。
【図15】図14に示す射出部60の部分拡大図である。
【図16】第3の実施形態である立体画像表示装置150の全体を示す構成図である。
【図17】射出部70の底面図である。
【図18】図17に示す射出部70の部分拡大図である。
【図19】第4の実施形態である立体画像表示装置200の全体を示す構成図である。
【図20】立体画像表示装置200のブロック図である。
【図21】射出部600の底面図である。
【図22】ボール射出装置500の部分拡大断面図である。
【図23】制御装置250の制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 立体画像表示装置
2 立体表示領域
3 蛍光インク
6 射出部
8 ストロボ光照射装置
10 制御装置
15 射出穴
35 射出穴部
35a,35b,35c 射出穴
45 射出穴部
45a,45b,45c 射出穴
60 射出部
70 射出部
80 第1ストロボ光照射装置
81 第2ストロボ光照射装置
82 第3ストロボ光照射装置
90 蛍光ボール
100 制御装置
120 回収容器
140 コンベア
140a コンベア駆動装置
150 立体画像表示装置
200 立体画像表示装置
250 制御装置
500 ボール射出装置
600 射出部
650 射出穴
670 射出ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間内に立体画像を表示する立体画像表示装置であって、
前記立体画像の水平面における解像度に対応して複数配置され、前記所定空間内に向けて飛翔体を随時射出する射出手段と、
基準時から所定時間経過後に前記所定空間内に表示すべき前記立体画像の外縁上に対応する位置データを、前記立体画像の画像データに基づいて算出する算出手段と、
当該算出手段によって算出された位置データに基づき飛翔体を射出する射出手段を選択し、前記位置を、前記飛翔体が前記基準時から前記所定時間経過後に通過するように、前記各々の射出手段の射出タイミングを制御する射出制御手段と、
前記所定空間に向かってストロボ光を照射するストロボ光照射手段と、
前記基準時から前記所定時間経過後に、前記ストロボ光を照射するように、前記ストロボ光照射手段の照射タイミングを制御するストロボ光照射制御手段と
を備えたことを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
前記所定空間内に前記立体画像を一定時間毎に繰り返し表示させる場合、
前記一定時間は、前記所定空間内を前記飛翔体が通過するのに要する時間よりも長く設定され、
前記算出手段は、前記一定時間毎に繰り返し設定する基準時から所定時間経過後に前記所定空間内に表示する立体画像の外縁上に対応する位置データを算出し、
前記射出制御手段は、前記一定時間毎に前記位置データに従って射出手段を選択し、選択した前記射出手段の射出タイミングを制御し、
前記ストロボ光照射制御手段は、前記繰り返し設定する基準時から所定時間経過後に前記ストロボ光を照射するように、前記ストロボ光照射手段の照射タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記射出手段は、光の三原色に対応する、
赤色の飛翔体を射出する第1の射出手段と、
青色の飛翔体を射出する第2の射出手段と、
緑色の飛翔体を射出する第3の射出手段と
から構成され、
前記射出制御手段は、前記立体画像の外縁上の前記位置上の色彩に応じて、前記第1の射出手段、前記第2の射出手段および前記第3の射出手段の制御を行い、前記赤色の飛翔体、前記青色の飛翔体又は前記緑色の飛翔体、若しくはこれら2つ以上を組合せて射出させることにより、前記立体画像をカラーで表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記飛翔体は蛍光物質を内蔵する、又は表面に塗布されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記飛翔体はインク等の液体であり、
前記射出手段は、インクジェットヘッドであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記蛍光物質は、互いに励起波長の異なる複数の蛍光物質で構成され、
当該複数の蛍光物質は、前記射出手段によって射出され、
前記ストロボ光照射手段は、前記複数の蛍光物質の各励起波長に対応する各波長の何れかのストロボ光を照射する複数のストロボ光照射手段で構成され、
前記一定時間は、前記一定時間を前記複数に分割した第2の一定時間として設定され、
前記算出手段は、前記第2の一定時間毎に繰り返し設定する基準時から所定時間経過後の前記立体画像の前記位置データの算出を行い、
前記射出制御手段は、前記算出手段によって算出される前記位置データに従い前記複数の蛍光物質を順次射出し、
前記ストロボ光照射手段は、前記第2の一定時間毎に繰り返し設定する基準時から所定時間経過後に、前記所定空間に射出された前記蛍光物質の励起波長に対応する波長のストロボ光を照射するように、前記複数のストロボ光照射手段を制御することを特徴とする請求項4又は5に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記飛翔体はボール等の固体であり、
前記射出手段は、ボール射出装置であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記所定空間の下方に設けられ、前記ボール射出装置によって射出された前記ボールを回収する回収手段と、
当該回収手段によって回収された前記ボールを、前記ボール射出装置に供給する供給手段と
を備えていることを特徴とする請求項7に記載の立体画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−276347(P2006−276347A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93986(P2005−93986)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】