説明

立体視画像体、その製造装置及びその製造方法

【課題】疲労を生じさせることなく、迅速に立体視することのできる立体視画像体、そのような立体視画像体を製造する立体視画像体製造装置及び立体視画像体製造方法を提供すること。
【解決手段】立体視に必要な右目像及び左目像で形成された画像を立体視可能にする立体視手段と、その立体視手段の観察面とは反対側の面に形成された右目像及び左目像とを備え、前記右目像及び左目像は、3D画像と三次元画像における遠近を判断する際の基準となる遠近基準面画像との合成画像、又は、2D画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を変換した3D画像から形成されてなることを特徴とする立体視画像体、発注側電子情報処理装置とこの発注側電子情報処理装置に電気通信回線を介して接続される受注側電子情報処理装置と印刷機とを備えた立体視画像体製造装置及び立体視画像体の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は立体視画像体、その製造装置、及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、目に疲労を生じさせ難く、迅速かつ容易に立体画像と認識することのできる立体視画像体、及び、顧客が操作する電子情報処理装置例えばコンピュータから電気通信回線を通じて送信されてくる注文情報に基づいて、目に疲れを生じさせにくくて、容易かつ迅速に立体視することのできる立体視画像体を容易に製造することのできる立体視画像体製造装置、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カメラで撮影したフィルムを現像し、印画紙に焼き付けて所謂写真を形成することが、知られていた。
【0003】
近年におけるデジタル技術の伸展によりデジタルカメラが普及し、パソコンにデジタルカメラで撮影した画像をデジタルデータとしてパソコンのメモリに保存することが当たり前のようになった。そして、デジタルカメラで撮影した画像を、紙にプリントアウトすることも、電気製品の量販店などに設置されたプリントマシンを使って始終行われている。
【0004】
しかしながら、デジタルカメラで撮影した画像を、前記電気製品の量販店などに設置されたプリントマシンで、紙にプリントするのでは、一々その量販店に足を運ばねば成らないので不便である。
【0005】
一方、通常のデジタルカメラで撮影された画像は、二次元の画像である。二次元の画像を三次元の画像に変換する技術は公知である(特許文献1、2)。
【0006】
しかしながら、一般の三次元の画像は、その画像を視認する者において立体視するのに例えば1秒或いはそれ以上の時間が掛かったり、人によってはわずかではあろうが立体として認識するうちに気分が悪くなったりすることが、ある。
【0007】
このような問題は、立体視という認識をする脳内の働きにその原因があるものと思われる。3D画像と称するものは、見かけ上は、平板な表面に表示されている平面画像である。もっとも2D画像と称するものも、見かけ上は、平板な表面に表示されている平面画像である。ともに平面画像でありながら、2D画像は立体視が困難であり、3D画像は立体視ができるという現象は、立体視が脳内で行われる認知に基づく。3D画像は、右目で見た画像と左目で見た画像との組み合わせから成る。3D画像を観察すると、3D画像における右目像は右目で観察し、左目像は左目で観察する。右目の網膜に映じた右目像は、網膜から視神経を通じて脳内の所定部位へ電気信号として送出され、一方、左目の網膜に映じた左目像は、網膜から視神経を通じて脳内の所定部位へ電気信号として送出される。脳内の前記部位では、入力してくる右目像と左目像とを統合して立体像として認識する。したがって、右目像と左目像とを脳内で統合して立体像であると認知するまでには、僅かに時間がかかる。そして、3D画像を両眼で見てから脳内活動の結果として立体であると認知するまでの僅かな時間の長さには個人差がある。また、人によっては、3D画像を観察すると、目の疲れ、或いは眼性疲労のほかに心理的な疲労を感じ、その心理的疲労がもとで身体的疲労を感じたりすることがある。
【0008】
【特許文献1】特開平9−81746号公報
【特許文献2】特開平8−331607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明が解決しようとする課題は、眼の疲労や心理的な疲労を余り感じさせずに、迅速に立体視することのできる立体視画像体を提供することである。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、眼の疲労や心理的な疲労を余り感じさせずに、迅速に立体視することのできる立体視画像体を、電気製品の量販店などに設置されているプリントマシン等を使用することなく、電子情報処理装置を使用して容易に製造することのできる装置を提供することである。
【0011】
この発明が解決しようとする課題は、眼の疲労や心理的な疲労を余り感じさせずに、迅速に立体視することのできる立体視画像体を、電子情報処理装置間で画像データを送信することにより容易に製造することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段は、
立体視に必要な右目像及び左目像で形成された画像を立体視可能にする立体視手段と、その立体視手段の観察面とは反対側の面に形成された右目像及び左目像とを備え、前記右目像及び左目像は、3D画像と三次元画像における遠近を判断する際の基準となる遠近基準面画像との合成画像、又は、2D画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を変換した3D画像から形成されてなることを特徴とする立体視画像体である。
【0013】
前記課題を解決するための他の手段は、
発注側電子情報処理装置とこの発注側電子情報処理装置に電気通信回線を介して接続される受注側電子情報処理装置と画像形成装置とを備え、
前記受注側電子情報処理装置は、
(1) 前記受注側電子情報処理装置における表示画面に表示される発注項目を記憶する発注項目記憶部と、
(2) 遠近基準面画像を記憶する遠近基準面画像記憶部と、
(3) 発注側電子情報処理装置から送信された発注側提供画像を格納する発注側提供画像記憶部と、
(4) 発注側提供画像が2D画像である場合にはその2D画像を3D画像に変換し、又はその2D画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を3D画像に変換する2D/3D画像変換部と、
(5) 前記2D/3D画像変換部で形成された3D画像、又は発注側提供画像が3D画像である場合にはその3D画像と遠近基準面画像とを組み合わせて編集し、立体視手段に応じた右目像と左目像とを作成する画像編集加工部と、
を備え、
前記画像形成装置は、前記画像編集加工部から出力される右目像及び左目像を入力して、前記立体視手段における観察面とは反対側の表面に前記右目像及び左目像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に前記立体視手段を供給する供給部とを備え、
前記発注側電子情報処理装置は、
(1) 前記受注側電子情報処理装置における発注項目記憶部に記憶されている発注項目を表示する表示部と、
(2) 発注側提供画像を記憶する発注側提供画像記憶部と、
(3) 表示部に表示された発注項目に入力された発注事項と、前記発注側提供画像記憶部に記憶された発注側提供画像から選択されたその発注側提供画像とを前記受注側電子情報処理装置に送信する送受信部と、
を備えることを特徴とする立体視画像体製造装置である。
【0014】
前記課題を解決するためのさらに他の手段は、
前記発注側電子情報処理装置における表示部に、受注側電子情報処理装置における発注項目記憶部に記憶された発注項目を表示し、発注側電子情報処理装置により、発注項目として、
(1) 発注側電子情報処理装置における発注側提供画像記憶部中に記憶されている発注側提供画像を選択し、
(2) 受注側電子情報処理装置における遠近基準面画像記憶部に記憶されている複数の遠近基準面画像中の特定の遠近基準面画像を選択し、
かくして選択された発注項目を、受注側電子情報処理装置に送信し、
受注側電子情報処理装置が、前記発注側電子情報処理装置から送信されてきた発注側提供画像と三次元画像における遠近を判断する際の基準となる遠近基準面画像との合成画像、又は、発注側提供画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を変換した3D画像から右目像及び左目像を作成し、
前記画像形成装置における画像形成部にて、前記右目像と左目像とを、前記画像形成装置における供給部から供給された立体視手段における観察面とは反対側の表面に、形成することを特徴とする立体視画像体の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、立体視に必要な右目像と左目像とからなる画像と遠近基準面画像とが組み合わせられているので、立体視を迅速且つ容易に、しかも疲れを感じさせることの少ない立体視画像体を提供することができる。
【0016】
ここで、この遠近基準面画像が立体視画像体中に存在すると何故に立体視が容易になるのかについての脳科学的な説明が困難であるが、以下のように推測される。
【0017】
人間の目で右目像と左目像とからなる画像を観察する場合、人間の両目はその画像中のどこかに焦点を合わせようとしてその画像中のどこかに焦点をさ迷わせる。つまり、3D画像を観察する場合、その観察者は3D画像のあちこちに視点を移動させてその3D画像における奥行きのある立体感を得ようと無意識の努力をする。人間の脳内では、人間の目により観察される画像が二次元画像例えば写真であっても、脳内に蓄積されている情報例えば「同じ対象物は、近くに存在する対象物は遠くに存在する対象物よりも大きく見える」と言う情報、「明るく見えるものほど手前に存在する」と言う感覚的な情報、「遠くにあるものは近くのものに遮られている」と言う情報等を動員する脳内活動の結果、奥行きのある画像として、認識することができる。右目像と左目像とからなる画像の場合には、右目像を見るときの右目の視線と左目像を見るときの左目の視線とが交差する光角に基づいて、脳内活動の結果として奥行きのある立体感を認識しようとする。
【0018】
その脳内活動により立体感を認知する場合には、観察者は、右目と左目との視線の交差点を、その平面画像のあちこちに移動させて遠近の基準となる交差点を定めようとしつつ、その画像から立体感認知に必要な前記情報を得ようと無意識の努力をする。よって、一般に、3D画像を観察して奥行きのある立体感を認知するには僅かではあるが時間がかかり、人によっては疲労を感じることもあるのである。
【0019】
この発明に係る立体視画像体においては、立体視画像体中に遠近基準面画像が存在するので、観察者の視線が先ず遠近基準面画像に自然に誘導され、観察者はその遠近基準面画像に両眼の焦点を合わせることになる。次いでその遠近基準面画像よりも深い位置に焦点を合わせたり、遠近基準面画像よりも浅い位置に焦点を合わせたりして、画像情報を脳内に取り込むこととなり、両眼の焦点を画像領域内で深浅方向に移動させたり、同じ深さ位置で種々の平面方向に移動させたりなどをする必要がなくなり、したがって、容易に、かつ迅速に立体視が可能になり、視線をあちこちに画像面上をさ迷わせて脳内での右目像及び左目像を統合することによる疲労を感じさせることが極めて少なくなる。
【0020】
この発明によると、先ず、発注側電子情報処理装置の表示部に、受注側電子情報処理装置における発注項目記憶部に記憶されている発注項目が、表示される。
【0021】
発注側電子情報処理装置における表示部に表示された発注項目として、発注側電子情報処理装置における発注側提供画像記憶部に記憶されている発注側提供画像の中から所望の発注側提供画像を選択する。なお、この発注側提供画像は、2D画像及び3D画像のいずれか又は両方である。
【0022】
発注側電子情報処理装置では、その表示部において、受注側電子情報処理装置における遠近基準面画像記憶部に記憶されている遠近基準面画像を、発注項目として選択する。
【0023】
発注側電子情報処理装置が、選択した遠近基準面画像を示す選択指令信号と、選択された発注側提供画像とを、受注側電子情報処理装置に、電気通信回線を通じて送信する。
【0024】
受注側電子情報処理装置は、(1)受信した受注側提供画像が2D画像である場合には、送信されて来た2D画像を3D画像に2D/3D画像変換部で変換し、得られた3D画像と選択された遠近基準面画像とを組み合わせて合成画像に編集するとともにこの合成画像から立体視手段に応じて右目像と左目像とを画像編集加工部で形成し、(2)受信した受注側提供画像が2D画像である場合には、送信されてきた2D画像と遠近基準面画像とを組あせて合成2D画像を形成し、画像編集加工部で、この合成2D画像から立体視手段に応じて右目像と左目像とを形成し、(3)受信した受注側提供画像が3D画像である場合には、送信された3D画像と選択された遠近基準面画像とを組み合わせて合成画像に編集するとともにこの合成画像から立体視手段に応じて右目像と左目像とを画像編集加工部で形成し、その形成された右目像と左目像と組み合わせられた遠近基準面画像とを画像形成装置に出力する。画像形成装置における画像形成部では、画像形成装置における供給部から送出されてくる立体視手段の観察面とは反対側の面に、前記画像編集加工部から送られてくるデータに基づいて可視化された右目像及び左目像を、形成する。立体視手段における観察面とは反対側の面に、可視化された右目像及び左目像を、形成するには、例えば印刷法、及び画像転写法等を採用することができる。
したがって、この発明によると、疲労を生じさせることなく、迅速に立体視することのできる立体視画像体を、電子情報処理装置間で画像データを送信することにより容易に製造することのできる立体視画像体製造装置及び立体視画像体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
この発明に係る立体視画像体、その製造装置及びその製造方法について、図面を参照しながら詳述する。
【0026】
この発明に係る立体視画像体は、立体視手段と、右目像及び左目像とを、備える。
【0027】
前記立体視手段としては、立体視に必要な右目像と左目像とで形成された画像を立体視可能にすることができる限り、様々の手段を採用することができる。
【0028】
好適な立体視手段としては、レンチキュラーレンズを観察面側に形成してなるレンチキュラーレンズ板、フライアイレンズを観察面側に形成してなるフライアイレンズ板を挙げることができる。なお、前記レンチキュラーレンズ板はレンチキュラーレンズシートを含み、前記フライアイレンズ板はフライアイレンズシートを含む。これらレンチキュラーレンズ板及びフライアイレンズ板は、通常の場合、その観察面とは反対側の面が平坦な平面に形成されている。前記フライアイレンズ板とそのフライアイレンズ板における観察面とは反対側の面に形成された右目像及び左目像からなる画像を有する構造体は、インテグラフフォトグラフィーとして知られている。また、他の好適な立体視手段としてパララックスバリヤ体を挙げることができる。このパララックスバリヤ体は、観察面側に形成されたパララックスバリヤと、観察面とは反対側に、平坦な印刷面を備えた透明なシート状支持体とを備えてなる。
【0029】
前記レンチキュラーレンズ体又はフライアイレンズ板としては、片面にレンチキュラーレンズアレイ又はフライアイレンズアレイを備え、その片面とは反対側の面に、右目像及び左目像が印刷される印刷面となっている一枚のシート状物を、挙げることができる。
【0030】
例えば図1に示されるように、好適な立体視手段の一例であるレンチキュラーレンズ体1は、半円筒状に形成されたレンチキュラーレンズ2が平行に配列されてなるレンチキュラーレンズアレイ3が形成された観察面4と、その観察面4とは反対側の面であり、かつ平坦に形成された印刷面5とを有する。このようなレンチキュラーレンズ体は、例えば特開2006−259645号公報に開示された「レンチキュラーレンズ」、特開平5−303153号公報に記載された「シート部材の一方の表面に他方の表面又は他方の表面より後方の同一平面に焦点を結ぶ凸レンズが配置されて成る凸レンズ集合体」等をそのまま採用することができる。
【0031】
この発明における立体視手段は、このようなレンチキュラーレンズ体及びフライアイレンズ体のような一枚の光学レンズシート状物であるに限らず、立体視に必要な右目像及び左目像を適宜の手段で平面上に配列することができる構造を有する限り特に制限がなく、例えば、立体視に必要な右目像及び左目像を、赤と青等の補色組み合わせとなるように着色を施し、次いで同一平面上に重ね合わせ、かくして得られる画像を、青、赤等の画像形成時とは逆補色の関係になるように構成されたフィルター等を通じて観察する、所謂アナグリフ方式の立体視手段を含む。
【0032】
右目像は、ある対象物を右目で見た画像であり、左目像は前記対象物を左目で見た画像である。立体視手段の構造に応じて、右目像及び左目像が立体視手段に形成される。立体視手段がレンチキュラーレンズ体であるときには、図3に示されるように、レンチキュラーレンズ板1の観察面とは反対側の面に、短冊状に形成された右目像6と左目像7とが、印刷等により交互に形成される。この右目像6及び左目像7は、立体カメラで撮像された右目像と左目像とから形成された短冊状の画像であってもよく、また2D画像を3D画像に変換し、次いで右目像及び左目像に分解してなる階層画像を短冊状に切断してなる画像であっても良い。
【0033】
レンチキュラーレンズ体の観察面とは反対側の面に右目像および左目像が形成されていると、図2に示されるように、レンチキュラーレンズ2を介して右目が右目像を観察し、左目が左目像を観察することにより、観察者の脳内で右目像と左目像との統合が行われて立体画像が認識される。
【0034】
図4に示すように、遠近基準面画像8は、立体視に必要な右目像及び左目像で形成された画像9を囲繞するように、又は、図5に示すように、前記画像8の中に形成された任意の形状例えば長方形に、立体視手段における観察面とは反対側の面に形成されることができる。
【0035】
この発明に係る立体視画像体は、この発明に係る立体視画像体製造装置を使用して、立体視画像体の製造方法に従って、製造することができる。
【0036】
立体視画像体製造装置は、図6に示されるように、受注側電子情報処理装置10と、画像形成装置の一例である印刷機11と、発注側電子情報処理装置12とを備える。13はインターネット電話回線を示す。
【0037】
図7に示されるように、受注側電子情報処理装置10は、発注項目記憶部14、遠近基準画面画像記憶部15、2D画像記憶部16、2D/3D画像変換部17、及び画像編集加工部18を備える。
【0038】
受注項目記憶部14は、例えば顧客から受ける発注項目である画像サイズの種類、遠近基準面画像の形状の種類、日付カレンダー、文字パターン等を記憶し、発注側電子情報処理装置12に前記発注項目を送信し、発注側電子情報処理装置12により決定された発注項目を画像編集加工部18に出力する。
【0039】
前記画像サイズとしては、例えばこの立体視画像体が写真である場合には、縦長のLサイズ、横長のLサイズ、手札版等を挙げることができる。この画像サイズは、写真の焼き付けにおいて知られているサイズに限らず、任意の大きさにすることもできる。
【0040】
前記遠近基準面画像としては、例えばこの立体視画像体が写真である場合には、図4に示すような枠形状であってもよく、枠以外の任意の形状例えば図5に示すような長方形であってもよい。またこの遠近基準面画像は、図4及び図5に示すような単純な幾何学図形に限らず、風景、自然物、及び生物等の自然界から得られる模様、自然から得られる図形を変形した模様、水玉模様、ストライプ模様、文字、図形、記号等を有する画像であっても良い。要するに、この遠近基準面画像は、画像観察時に、人の視覚が遠近検出用の端点例えば輪郭部等を容易に認識することができ、しかもそれ自体が過度の遠近情報を有さず、立体視画像体の画像に含まれる人物などの被写体の属性、大きさ及び形状等に比較して画像全体に対して特徴的であることが、好ましい。この遠近基準面画像は、2D画像と合成されることができ、また、発注側電子情報処理装置から送信されてきた2D画像を2D/3D画像変換部にて階層化された3D画像における所定階層に挿入されることにより3D画像と合成されることができる。階層化された3D画像における遠近基準面画像が挿入される階層位置は、3D画像における最浅階層から最深階層までの階層位置を%で示すと最浅階層から40〜60%の階層位置に、挿入配置されるのが好ましい。このような階層位置に遠近基準面画像が配置されていると、立体視画像体を視認する場合に、疲れを余り感じることなく、迅速に立体視することができる。
【0041】
発注側提供画像記憶部の一例である2D画像記憶部16は、発注側電子情報処理装置から送信されてくる発注側提供画像が2D画像例えばカラー写真である場合にはその2D画像を記憶し、2D/3D画像変換部にその2D画像を出力する手段である。なお、発注側提要画像が3D画像である場合にも、この2D画像記憶部16に、この3D画像が記憶される。2D画像は、通常の場合、単眼視により認識される画像であり、所謂写真、絵画等の二次元画像である。この2D画像は、デジタルデータとして2D画像記憶部に格納ないし記憶される。
【0042】
2D/3D画像変換部17は、2D画像を3D画像に変換する手段である。3D画像に変換される2D画像は、前記2D画像記憶部16に格納されている2D画像そのままであってもよく、また、前記2D画像記憶部16から読み出された2D画像と遠近基準面画像記憶部15から読み出された遠近基準面画像とを合成した合成2D画像であっても良い。3D画像は、市販の2D/3D変換ソフト例えば「PSD 3D コンバータ」(3DMIX社製)、「Super Flip! 3-D Genius」(Flipsigns社(3540 Weat Sahara Ave #25 las Vegas, NV.89102))を使用して2D画像から、形成することができる。
【0043】
画像編集加工部18は、前記2D/3D画像変換部17で形成された3D画像、又は発注側電子情報処理装置12から送信されてくる3D画像と発注側電子情報処理装置12で指定されることにより遠近基準面画像記憶部15から読み出される遠近基準面画像8とを合成すること実行し、又は前記3D画像が前記合成2D画像から形成される場合には、前記3D画像に発注側電子情報処理装置12から送信されてくる発注項目内容に応じて画像に対する編集加工をする。
【0044】
この画像編集加工部18は、前記3D画像と遠近基準面画像との合成をする場合には、発注側電子情報処理装置12から送信されてくる発注項目内容に応じて、例えば遠近基準面画像にさらに文字、図形、記号等を付与すること、遠近基準面画像8に色彩を付加すること等、3D画像の諧調を変更すること、3D画像をトリミングすること、3D画像中の特定領域を削除し、又は特定領域に別の画像を付加すること等を編集加工操作として行うこともできる。この画像編集加工部18においてどのような画像加工をするかは発注側電子情報処理装置12から指示される加工内容に応じて決定されることができる。この画像編集加工部18では、3D画像と遠近基準面画像とを合成した画像、又は2D画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像から変換された3D画像をさらに右目像と左目像とに分割する。右目像及び左目像のパターンは、立体視手段の種類に応じて、つまりレンチキュラー板、フライアイレンズ板等に応じて、決定される。レンチキュラー板における右目像及び左目像それぞれのパターンは短冊状であり、フライアイレンズ板における右目像及び左目像それぞれのパターンはドット状である。
【0045】
この受注側電子情報処理装置10における前記発注項目記憶部14、遠近基準画面画像記憶部15、2D画像記憶部16、2D/3D画像変換部17、及び画像編集加工部18は制御部(図示せず。)例えばCPUにより制御される。したがって、この受注側電子情報処理装置10は例えばコンピュータで実現することができる。
【0046】
図7に示されるように、印刷機11は、立体視手段の観察面とは反対側の面に、前記画像編集加工部18で形成された右目像と左目像とを、印刷する。この発明においては、印刷機11は、画像形成部の一例である印刷部19と供給部20とを備える。
【0047】
供給部20は、立体視手段を印刷部19に供給する手段であり、印刷部19は、供給部20から供給される立体視手段における観察面とは反対側の面に前記画像編集加工部18から送信されてくるデータに基づいて右目像及び左目像を印刷する手段である。
【0048】
印刷部における印刷手法として、公知の手法例えば特開平5−303153号公報、特開2006−181554号公報、特開2008−12870号公報、特開2008−191366号公報に記載された手法そのまま、又はそれらの手法を適宜に修正した手法を挙げることができる。
【0049】
この印刷機11は前記受注側電子情報処理装置10により制御されることができ、また、前記受注側電子情報処理装置10とは別に設計された制御装置により制御される。
この発明における画像形成装置は前記印刷機に限定されず、立体視画像体における観察面とは反対側の面に右目像及び左目像を形成することができる限り他の手段を採用することができ、他の手段として例えば、画像編集加工部18から出力される画像データに基づいて、シート状の基材表面に、画像編集加工部18で形成された右目像及び左目像を、印刷する画像印刷部と、立体視手段を転写部に供給する供給部と、前記画像印刷部で形成された右目左目画像含有基材を、右目左目画像が立体視手段における観察面とは反対側の面に接するように、立体視手段における前記反対側の面に、重ね合わせ、次いで加熱又は加圧により、又は接着剤により、右目左眼画像含有基材における基材表面に形成されている右目像及び左目像を立体視手段における前記反対側の面に転写する転写部とを有する画像転写装置などを挙げることができる。このような画像転写は、特開2008−191366号公報に記載の手法を利用して好適に行うことができる。
【0050】
図6に示されるように、発注側電子情報処理装置12は、受注側電子情報処理装置10と電気通信回線13たとえばインターネットを介して接続される。受注側電子情報処理装置12に接続される発注側電子情報処理装置12は1基に限らず、多数である。
【0051】
図8に示されるように、この発注側電子情報処理装置12は、表示部21と発注側提供画像記憶部22と送受信部23とを備え、必要な情報を入力するための入力部24例えばキーボードを有する。
【0052】
前記発注側提供画像記憶部22は、受注側電子情報処理装置10に提供する画像を記憶する。この発注側提供画像記憶部22に記憶される画像は発注側電子情報処理装置12によるのであって、ある発注側電子情報処理装置12にあっては2D画像及び3D画像のいずれか又は両方を記憶する。2D画像は、例えばデジタルカメラ等により撮影された単眼視の画像であって、デジタルカメラからインポートされた画像、インターネットを通じてダウンロードした画像等を含む。3D画像は、右目像と左目像との複数枚セットの画像を含む。
【0053】
前記表示部21は、受注側電子情報処理装置10の発注項目記憶部14に記憶されている発注項目を表示する。表示部21としては例えば通常のパソコン画面、大画面表示装置を含む。
【0054】
この表示部21には、発注案内画面(図示せず。)が表示される。この発注案内画面は、発注側電子情報処理装置12が電気通信回線13たとえばインターネットを介して受注側電子情報処理装置10に接続されると、受注側電子情報処理装置10から呼び出されて来る「注文待ち受け画面」、「写真加工指示画面」、「発注内容確認画面」、「発注指示画面」等の一連の画面を含む。
【0055】
前記「注文待ち受け画面」は、発注側電子情報処理装置を通じて立体視画像体の作成注文を受けるための最初の表示画面であり、たとえば、「立体視画像体についての説明」、「立体視画像体作成の料金説明」、「立体視画像体作成の注文をするときの手順についての説明」それぞれを表示する画面に移行するためのクリックボタンが画面上に表示される。
【0056】
「立体視画像体についての要点的説明」に移行するためのクリックボタンを押すと、例えば「立体視についての解説文」と説明の補助としての画像及び/又は画面デザイン上の装飾的な画像とが表示されるようになっている。
【0057】
「立体視画像体作成の料金説明」に移行するためのクリックボタンを押すと、例えば立体視画像体の作成内容に応じた料金体系が表示される。
【0058】
「注文待ち受け画面」に表示された例えばボタンをクリックして「立体視画像体作成の注文をするときの手順についての説明」画面に移行すると、例えば「利用規約確認画面」となり、この利用規約確認画面において「利用規約に同意する」の例えばボタンをクリックすると、発注側電子情報処理装置12における発注側提供画像記憶部22内に記憶されている発注側提供画像の選択、立体視画像体に付加する編集加工についての編集加工情報の決定、及び発注意思の決定と送信を行う発注画面に移行する。
【0059】
発注画面から送受信部を介して受注側電子情報処理装置10に、選択された発注側提供画像、編集加工情報及び発注意思情報が、送信されるように、発注側電子情報処理装置が形成されている。
【0060】
なお、表示部21における画面構成は、前記に限らずに、受注側電子情報処理装置10に、選択された発注側提供画像、編集加工情報及び発注意思情報が、送信することができるのであれば様々に設計変更を行うことができる。
【0061】
以上構成の立体視画像体製造装置の作用とともに、立体視画像体製造方法について、以下に説明する。
【0062】
図7及び図8に示されるように、先ず発注側電子情報処理装置12を、電気通信回線を通じて受注側電子情報処理装置10に、接続する。次いで、発注側電子情報処理装置12における表示部21に、受注側電子情報処理装置10から注文待ち受け画面を呼び出す。その注文待ち受け画面で、入力部24を操作することにより、発注側提供画像記憶部22に記憶されている種々の画像から所望する画像を選択してそれを発注側提供画像とする。この発注側提供画像が、注文待ち受け画面の所定の位置に貼り付けられる。
【0063】
その注文待ち受け画面には、受注側電子情報処理装置10における発注項目記憶部14に記憶された発注項目、例えば、画像サイズ、画像の横長及び縦長の決定、遠近基準面画像の種類、画像に付加する情報たとえば日付、メッセージ、装飾画像等が表示される。発注側電子情報処理装置では、それら発注項目の指定を、入力部を操作して注文待ち受け画面上で行う。
【0064】
発注側電子情報処理装置12により、発注項目として、
(1) 発注側電子情報処理装置12における発注側提供画像記憶部22中に記憶されている2D画像又は3D画像を発注側提供画像として選択し、
(2) 受注側電子情報処理装置10における遠近基準面画像記憶部に記憶されている複数の遠近基準面画像中の特定の遠近基準面画像を選択すると、
選択された発注項目と発注側提供画像とを、受注側電子情報処理装置に送信する。
【0065】
受注側電子情報処理装置では、前記発注側電子情報処理装置から送信されてきた発注側提供画像と遠近基準面画像とから、遠近基準面画像と3D画像とを有する右目像及び左目像を作成する。
例えば、前記発注側電子情報処理装置15から送信されてきた発注側提供画像が2D画像である場合には、2D画像を2D/3D画像変換部により3D画像に変換し、発注項目に従って画像編集加工部により前記2D/3D画像変換部で形成された3D画像と遠近基準面画像とを組み合わせて、又は発注側提供画像が3D画像である場合にはその3D画像と遠近基準面画像とを組み合わせて右目像と左目像とを作成する。また、別の態様として、前記発注側電子情報処理装置15から送信されてきた発注側提供画像が2D画像である場合には、送信されてきた2D画像と遠近基準面画像とを合成して合成2D画像を作成し、その合成2D画像を2D/3D画像変換部にて3D画像に変換し、次いで画像編集加工部にて前記3D画像を右目像及び左目像に変換する。
【0066】
立体視手段が例えばレンチキュラーレンズ板である場合には、前記画像編集加工部で形成される右目像は短冊状にスライスされた画像の集合であり、左目像も短冊状にスライスされた画素の集合である。立体視手段が例えばフライアイレンズ板である場合には、前記画像編集加工部で形成される右目像はドット状に形成された画素の集合であり、左目像もドット状に形成された画素の集合である。
【0067】
前記画像形成装置が印刷機である場合には、印刷機における印刷部にて、前記右目像と左目像と遠近基準面画像とが、前記印刷機における供給部から供給された立体視手段における観察面とは反対側の表面に、印刷される。前記画像形成装置が画像転写装置である場合には、画像印刷部にて、画像編集加工部18から出力される画像データに基づいて、シート状の基材表面に、画像編集加工部18で形成された右目像及び左目像を、印刷して、転写用画像体である右目左目画像含有基材を形成し、転写部にて、供給部から送り出されてくる立体視手段における観察面とは反対側の面に、前記画像印刷部で形成された右目左目画像含有基材を、右目左目画像が立体視手段における観察面とは反対側の面に接するように、重ね合わせ、次いで加熱又は加圧により、又は接着剤により、右目左眼画像含有基材における基材表面に形成されている右目像及び左目像を立体視手段における前記反対側の面に転写することにより立体視画像体が製造される。前記したようにこの画像形成装置は、特開2008−191366号公報に記載の転写手法を好適に採用して実施することができる。
【0068】
このようにして形成される立体視画像体は、立体視手段がレンチキュラーレンズ体である場合には、そのレンチキュラーレンズ体と、その観察面の反対側に印刷された右目像及び左目像とを有し、その右目像及び左目像を右目及び左目で観察すると、3D画像と遠近基準面画像とを認識することができる。
【0069】
この発明に係る立体視画像体は3D画像と遠近基準面画像とを合成した合成画像から形成された右目像及び左目像とを有するので、画像の立体視を、迅速に、しかも疲れを感じさせないようにして、することができる。立体視画像体中に遠近基準面画像が存在すると、迅速にしかも疲れを感じさせないように立体視をすることができるのかの理由は定かではないが、以下に示す実験的事実に照らしてもこの発明に係る立体視画像体は迅速かつ疲れを余り感じないで立体視が可能になるのである。
【0070】
(実験)
図9に示される画像を選択した。図9には6枚の画像が示されている。6枚の画像は、二枚一組とする3種類の画像であった。図9には、左右に並べた画像を一組として上から三組の画像が示されている。区別のために、最上位の組の画像を写真A、中の組の画像を写真B、最下位の組の画像を写真Cとした。各組の画像のうち、左側の画像は遠近基準面画像がなくてレンチキュラーレンズ体の印刷面に印刷された右目像及び左目像からなる3D画像写真であり、右側の画像はレンチキュラーレンズ体の印刷面に、遠近基準面画像と右目像及び左目像からなる3D画像とを備える3D画像写真であった。右側の画像における遠近基準面画像は、3D画像を囲繞し、図9にて理解できる模様の付加された枠体として形成されていた。
【0071】
無作為に抽出された健康な男性15名を被験者とした。これら被験者に対して図9に示される遠近基準面画像なしの3D画像写真と遠近基準面画像ありの3D画像写真つまり立体視画像体とを見せた。
【0072】
<立体視の迅速性試験>
遠近基準面画像つまり枠のある写真と、枠のない写真とをそれぞれ被験者に見せた場合にどの程度の時間の経過の後に立体視できたと認識したかを各被験者ごとに評価した。
【0073】
評価結果を表1に示した。表1に示される評価内容を以下の記号にて示した。
◎:瞬時に立体的に見えた。
○:立体的に見えるのに約3秒がかかった。
△:立体的に見えるのに3秒以上かかった。
【0074】
<眼の疲労試験>
遠近基準面画像つまり枠のある写真と、枠のない写真とをそれぞれ被験者に10秒間凝視させた。10秒の画像観察後に各被験者に「疲れ」の感覚について、問診した。被験者の「疲れ」に関する評価を表紙1に記号で示した。
○:疲れを感じない。
△:少し疲れを感じた。
×:目がちらついて疲れを感じた。
【0075】
【表1】

【0076】
表1の結果を参照すると、例えば図9の最上段の一組の画像につき、遠近基準面画像のある立体視画像体の写真A(図9中の右側の写真)では15人中12人が瞬時に立体視をすることができたが、遠近基準面画像のない写真A(図9中の左側の写真)では15人中3人が瞬時に立体視ができた。また、眼の疲労感についても、遠近基準面画像のある立体視画像体の写真Aについては15人中の誰も目の疲労を感じなかったが、遠近基準面画像のない写真Aでは15人中の3人が眼の疲労を訴えた。このような結果から、遠近基準面画像を有する立体視画像体は、眼の疲労を余り感じさせずに迅速に立体視することができると結論することができる。
【0077】
このように遠近基準面画像が立体視画像体中に存在すると何ゆえに疲労を余り感じさせずに迅速に立体視することができるのかについての科学的な説明は、現状では困難である。しかしながら、オートフォーカス(AF)装備のカメラでいくつかの種類のテストチャートに対して焦点が合うか合わないかをテストした結果(「アサヒカメラ」朝日新聞社発行、2005年10月号)を参照すると、この発明に係る立体視画像体の技術的効果についての理解を深めることができると思われる。
【0078】
前記刊行物「アサヒカメラ」によると、図10に示すように、テストチャートAは白部分と黒部分との色分け模様であり、このテストチャートAに対してオートフォーカス機構付きカメラはEV値が6〜−3の広い範囲に亙って焦点を合わせることができたが、連続反射率変化チャートであるテストチャートGでは前記カメラは焦点を合わせることができなかった。この事実は、カメラに付随するオートフォーカス機構は黒と白とのコントラストが明瞭な画像であれば合焦可能であるが、黒から白へとデグラデーションになっている画像では合焦不可能であることを、示している。
【0079】
翻って立体視のメカニズムを考察すると、3D画像を肉眼で観察するときには両眼はその3D画像の中のどこかに焦点を合わせようとするのであるが、3D画像は画像により焦点位置が画像の深さ方向に様々に分布している。したがって両眼の焦点を合わせようとする裸眼は3D画像の様々の位置に焦点を合わせようとして視線を3D画像上でさ迷わせる。そして、3D画像上の種々の位置に両眼の視点が定まったときに右目から脳内に入力される右目像と左目から脳内に入力される左目像とを統合して立体画像を認識しようとするのであるが、3D画像上で視点が様々に移動するので脳内での立体視認識のための画像統合活動が複雑で時間がかかることになり、その結果として3D画像のみでは立体視認識に時間がかかり、しかも疲労感を覚えることになるものと推測される。
【0080】
ところが、この発明に係る立体視画像体においては、遠近基準面画像が含まれているので、この立体視画像体を観察する場合、3D画像ではない遠近基準面画像に先ず両眼の視点が合い、その遠近基準面画像に両眼の焦点が合わせられる。その後に3D画像を観察することになるから、迅速に立体視することができ、しかも眼に疲れを感じさせないものと推測される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、この発明における立体視手段の一例であるレンチキュラーレンズ体を示す斜視図である。
【図2】図2は、レンチキュラーレンズを利用して立体視が可能になる原理を説明するための参考図である。
【図3】図3は、この発明に係る立体視画像体の一例であるところの、レンチキュラーレンズ体とその印刷面に右目像及び左目像を印刷してなる立体視画像体を示す斜視図である。
【図4】図4は、この発明に係る立体視画像体の一例であるところの、3D画像と枠状をなす遠近基準面画像とを有する画像例えば写真を示す正面図である。
【図5】図5は、この発明に係る立体視画像体の一例であるところの、3D画像と長方形状をなす遠近基準面画像とを有する画像例えば写真を示す正面図である。
【図6】図6は、この発明に係る立体視画像体製造装置を示す模式図である。
【図7】図7は、この発明に係る立体視画像体製造装置における受注側電子情報処理装置と印刷機とを示す説明図である。
【図8】図8は、この発明に係る立体視画像体製造装置における発注側電子情報処理装置を示す説明図である。
【図9】図9は、この発明に係る立体視画像体を肉眼で両眼観察した場合に立体視視認をすることのできる時間及び立体視視認の際の疲労感を評価するために使用された画像を示す写真画像である。
【図10】図10は、「アサヒカメラ」朝日新聞社発行、2005年10月号に掲載された表を示す。
【符号の説明】
【0082】
1 レンチキュラーレンズ体
2 レンチキュラーレンズ
3 レンチキュラーレンズアレイ
4 観察面
5 印刷面
6 右目像
7 左目像
8 遠近基準面画像
9 立体視に必要な右目像及び左目像で形成された画像
10 受注側電子情報処理装置
11 印刷機
12 発注側電子情報処理装置
13 電気通信回線例えばインターネット
14 発注項目記憶部
15 遠近基準面画像記憶部
16 2D画像記憶部
17 2D/3D画像変換部
18 画像編集加工部
19 印刷部
20 供給部
21 表示部
22 発注側提供画像記憶部
23 送受信部
24 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体視に必要な右目像及び左目像で形成された画像を立体視可能にする立体視手段と、その立体視手段の観察面とは反対側の面に形成された右目像及び左目像とを備え、前記右目像及び左目像は、3D画像と三次元画像における遠近を判断する際の基準となる遠近基準面画像との合成画像、又は、2D画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を変換した3D画像から形成されてなることを特徴とする立体視画像体。
【請求項2】
発注側電子情報処理装置とこの発注側電子情報処理装置に電気通信回線を介して接続される受注側電子情報処理装置と画像形成装置とを備え、
前記受注側電子情報処理装置は、
(1) 前記受注側電子情報処理装置における表示画面に表示される発注項目を記憶する発注項目記憶部と、
(2) 遠近基準面画像を記憶する遠近基準面画像記憶部と、
(3) 発注側電子情報処理装置から送信された発注側提供画像を格納する発注側提供画像記憶部と、
(4) 発注側提供画像が2D画像である場合にはその2D画像を3D画像に変換し、又はその2D画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を3D画像に変換する2D/3D画像変換部と、
(5) 前記2D/3D画像変換部で形成された3D画像、又は発注側提供画像が3D画像である場合にはその3D画像と遠近基準面画像とを組み合わせて編集し、立体視手段に応じた右目像と左目像とを作成する画像編集加工部と、
を備え、
前記画像形成装置は、前記画像編集加工部から出力される右目像及び左目像を入力して、前記立体視手段における観察面とは反対側の表面に前記右目像及び左目像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に前記立体視手段を供給する供給部とを備え、
前記発注側電子情報処理装置は、
(1) 前記受注側電子情報処理装置における発注項目記憶部に記憶されている発注項目を表示する表示部と、
(2) 発注側提供画像を記憶する発注側提供画像記憶部と、
(3) 表示部に表示された発注項目に入力された発注事項と、前記発注側提供画像記憶部に記憶された発注側提供画像から選択されたその発注側提供画像とを前記受注側電子情報処理装置に送信する送受信部と、
を備えることを特徴とする立体視画像体製造装置。
【請求項3】
前記発注側電子情報処理装置における表示部に、受注側電子情報処理装置における発注項目記憶部に記憶された発注項目を表示し、発注側電子情報処理装置により、発注項目として、
(1) 発注側電子情報処理装置における発注側提供画像記憶部中に記憶されている発注側提供画像を選択し、
(2) 受注側電子情報処理装置における遠近基準面画像記憶部に記憶されている複数の遠近基準面画像中の特定の遠近基準面画像を選択し、
かくして選択された発注項目を、受注側電子情報処理装置に送信し、
受注側電子情報処理装置が、前記発注側電子情報処理装置から送信されてきた発注側提供画像と三次元画像における遠近を判断する際の基準となる遠近基準面画像との合成画像、又は、発注側提供画像と遠近基準面画像とを合成した合成2D画像を変換した3D画像から右目像及び左目像を作成し、
前記画像形成装置における画像形成部にて、前記右目像と左目像とを、前記画像形成装置における供給部から供給された立体視手段における観察面とは反対側の表面に、形成することを特徴とする立体視画像体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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