説明

立体遊び用シールセット

【課題】 平面内において、様々な立体を創出する過程を通じて思考力の育成を図ることのできる簡易な立体遊び用シールセットを提供すること。
【解決手段】 台紙10の一方の面に粘着剤層13を介して複数のシール片S1〜S6が仮着されている。シール片S1〜S6は濃度が異なる領域を有するように着色されて立体的に見え、台紙10から剥離して貼付用ボード12に貼り付けることで、様々な立体形状をボード面上で形成することがきる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体遊び用シールセットに係り、更に詳しくは、立体的に認識できる印刷が施された複数のシール片を台紙から容易に剥離することができるとともに、剥離したシール片を貼付用のボード等に任意に貼り付けて種々の立体形状を視覚的に認識させることのできる立体遊び用シールセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、幼児等が立体的な遊びを行う道具として積み木が一般的に用いられており、当該積み木を構成する種々の立体形状を備えたブロックを縦横に組み合わせたり、或いは、積み上げることによって様々な立体を遊び感覚で視覚的に認識できるようになっている。しかしながら、積み木は、複数のブロックによって構成されているものであり、崩れ易いという特性がある他、不使用時の保管スペースが嵩張る、という不都合がある。また、個々のブロックは、それ自体が定型性を有しているため、ブロック自体の形状を変化させることは不可能となっており、立体創造のバリエーションが限定的なものとなる。
【0003】
特許文献1には、片状の造形構成体を用い、当該造形構成体を平面内に並べて種々の造形を行うことのできる造形作製用具が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−202174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された造形構成体は、磁性板の面にシートを貼り付けたものにより構成されており、利用に際しては、金属板等に磁気接着させるものとなっている。従って、造形構成体は、それ自体に一定の厚みを有するものによって構成されることとなり、薄型化を図ることができないばかりでなく、個々の造形構成体を作製する工程が非常に煩雑になる、という不都合がある。しかも、磁気接着させる利用形態であるため、紙等、磁気接着に適さないボードへの接着を行うことができず、利用形態に一定の制約を伴う、という不都合がある。
【0006】
ところで、各種福祉施設や医療施設においては、身体的機能の低下抑制や、改善を図るための種々のリハビリテーションが採用されている。周知のように、人間は、脳から与えられる指令に基づいて一定の動作が行われるものであり、従って、高齢化による脳機能の低下に伴って身体動作が緩慢になると、手足の自由且つ柔軟な動作を阻害する要因となる。そこで、前記施設等においては、指先を積極的に使うように設計された様々な補助具が採用され、当該補助具を介して機能低下等の抑制や改善を図る試みが一般的に行われている。
【0007】
[発明の目的]
ここに、本発明の目的は、幼児を主たる対象とし、様々な立体を創出する過程を通じて思考力の育成を図ることのできる簡易な立体遊び用シールセットを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、指先等の積極的動作の奨励を企図し、福祉施設等におけるリハビリテーションの補助具として簡易に利用可能な立体遊び用シールセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明に係る立体遊び用シールセットは、台紙と、当該台紙に仮着されるとともに、台紙から分離可能に設けられた複数のシール片とを含み、
前記シール片は、表面に立体形状を表出する印刷が施されるとともに、被着体に対して接着可能に設けられる、という構成を採っている。
【0010】
また、本発明は、台紙と、当該台紙に粘着剤層を介して仮着されるとともに、当該粘着剤層と共に台紙から剥離可能に設けられた複数のシール片とを含み、
前記シール片は、表面に立体形状を表出する印刷が施されるとともに、被着体に対して接着可能に設けられる、という構成を採ることができる。
【0011】
本発明において、前記シール片は再接着可能に設けられる、という構成を採っている。
【0012】
また、前記シール片は相似形状となる複数のサイズを備えた構成とすることが好ましい。
【0013】
また、前記シール片を貼り付ける貼付用ボードを更に含み、当該貼付用ボードの少なくとも一方の面にガイドラインが印刷される、という構成を採るとよい。
【0014】
更に、前記シール片は、有彩色若しくは無彩色の着色印刷が施され、当該色の濃度が異なる領域を設けることで前記立体形状が表出される、という構成を採っている。
【0015】
また、前記シール片の表面を透明カバーフィルムで保護することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シール片の表面に立体形状を表出する印刷が施されているため、非常に薄いもので構成することができる他、シール片を台紙から剥離して被着体の面に並べるように貼り付けたり、或いは重ね貼りすることで、平面内において、様々な立体形状を創出させることが可能となる。また、シール片は、再接着が可能であるため、貼り付け位置の変更に難なく対応できるとともに、不使用時には、台紙上に仮着させておくことで紛失の虞を解消しつつ平面収納を実現することができる。
【0017】
また、シール片は相似形状となる複数のサイズを備えた構成により、例えば、大きいサイズの立方体形状を表出するシール片の領域内に、小さいサイズの立方体形状を表出するシール片を重ね貼りしたときに、大きいサイズの立方体の面部分を陥没させたり、或いは突出するように見せることができ、積み木では得ることのできない種々のバリエーションを付与することが可能となる。
【0018】
更に、ガイドラインが印刷された貼付用ボードを用いてシール片を貼り付ける構成とした場合には、シール片を貼り付ける位置を容易に特定し易くなり、例えば、ガイドラインを道路と仮定して、建物類似の構造体が立ち並んでいるような遊びが可能となる。
【0019】
また、シール片の各面毎に色彩の濃度を変えて立体形状を表出させることで、陰影の向きにより立体がどのように見えるかの創造力を育成することができる。
【0020】
更に、シール片の表面を透明カバーフィルムで保護する構成とすれば、印刷面の鮮明性を長期に亘って維持できるとともに、汚損した場合でも、拭き取りによって除去することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1には、本実施形態に係る立体遊び用シールセットが示されている。この図において、立体遊び用シールセットは、平面視略方形をなす台紙10の一方の面にシールS、具体的には六種類のシール片S1〜S6が仮着されたシール保持体11(図1(A)参照)と、前記シール片S1〜S6を貼付するための貼付用ボード12(図1(B)参照)とを備えて構成されている。
【0023】
前記シール保持体11において、台紙10は、一方の面すなわちシール片S1〜S6の仮着面側をシリコーン樹脂等でコーティングした剥離処理面とされている。シール片S1〜S6は、図2に示されるように、裏面側に粘着剤層13が積層され、当該粘着剤層13を介して台紙10に仮着されている。ここで、粘着剤層13は、アクリル系の微粘着剤が用いられ、これにより、シール片S1〜S6を粘着剤層13と共に台紙10から容易に剥離できる一方、貼付用ボード12に対して貼付と剥離を繰り返して行うことができ、更に、シール片S1〜S6の不使用時に、当該シール片S1〜S6を台紙10に再仮着して保存できるようになっている。なお、シール片S1〜S6の表面側には、カバーフィルムFが剥離不能な状態で接着されている。
【0024】
前記シール片S1〜S6は、図1(A)及び図2に示されるように、台紙10の平面積と略同一となる略方形のシール片形成シート15と、カバーフィルムFを貼付した後、これらカバーフィルムFとシール片形成シート15の面内をプレス型にてハーフカットCを設けることで、台紙10を打ち抜かない状態で多数に区分されている。ここで、本実施形態におけるシール片形成シート15の地色は、例えば、白色に設定されている。
【0025】
前記シール片S1〜S6の面内には、シール片形成シート15の地色と色違いとなる有彩色若しくは無彩色による着色印刷が施されている。ここで、シール片S1及びS4を形成するハーフカットCは菱形となるが、左右各領域における色の濃度を異ならせることで、視覚上は四角錐として認識できるように設けられている。また、シール片S2、S5を形成するハーフカットCは略甲羅状となるが、上部、左下半部、右下半部の各色濃度を順次濃くするように異ならせることで、視覚上は立方体として認識できるように設けられている。また、シール片S3は一部の辺長さを短く設定して直方体として認識され、シール片S6は、外周側の濃度を相対的に濃く設けることで球として認識できるように設けられている。
【0026】
図3(A)〜(F)には、前記シール片S1〜S6の拡大図がそれぞれ示されている。シール片S1、S2、S3における辺長さLはそれぞれ等しい長さであり、シール片S3〜S6における辺長さL1若しくは直径Dは、辺長さLの1/2に設定され、これにより、相似形状を含むシール片Sが提供できるようになっている。
【0027】
前記貼付用ボード12は、図1(B)に示されるように、外周縁の直線方向に対して傾斜した方向に延びるガイドライン20が印刷されている。このガイドライン20は、貼付用ボード12の一つの対角方向に沿って延びる第1のガイドライン20Aと、他の対角方向に沿って延びる第2のガイドライン20Bとにより構成されているとともに、各ガイドライン20A,20Bに適当な幅を持たせることで、シール片Sを貼り付ける際に、道路のように認識できるようになっている。なお、貼付用ボード12の他方の面は、地色若しくは単一色が印刷されている。
【0028】
本実施形態に係る立体遊び用シールセットで立体遊びを行う場合には、図4に示されるように、ガイドライン20A、20Bを目安として、シール片S1〜S6を貼り付けることにより行われる。例えば、シール片S2の面内中央部にシール片S5を重ね貼りすると、立方体の一部コーナーを陥没させた形状に見せることができる。また、シール片S2,S3のコーナー領域を除く面内にシール片S4を重ね貼りすると、立方体及び直方体の面内を部分的に陥没した形状に見せることができる。
【0029】
従って、前記シール片S1〜S6を台紙10から剥離して、貼付用ボード12に貼り付けることで、種々の立体形状を平面内で組み立てることができ、陰影の向き等に応じて、どのように立体を見せることができるか等、幼児にとって、遊び感覚による学習を行わせることができる。
【0030】
また、前記シール片S1〜S6は、剥離及び貼り付けに際し、指先での作業となるため、身体的機能が低下した高齢者にあっては、指先の動作を奨励でき、機能改善を図るための補助具としても効果的に利用することができる。
【0031】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、位置、数量その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、位置、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0032】
例えば、前記実施形態では、六種類の立体形状を表出するシール片S1〜S2を図示、説明したが、更に異なる立体形状を表出するシール片を採用することができる。要するに、本発明は、様々な立体形状を平面内で表すことができるものであれば足りる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(A)は、本実施形態に係る立体遊び用シールセットを構成するシール保持体の概略斜視図、(B)は、シールを貼り付けるための貼付用ボードの一方の面を示す概略斜視図。
【図2】図1のA−A線に沿う矢視拡大断面図。
【図3】(A)〜(F)は、それぞれシール片S1〜S6の拡大正面図。
【図4】前記シール片S1〜S6を貼付用ボードに貼付した状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0034】
10 台紙
12 貼付用ボード
13 粘着剤層
20 ガイドライン
F カバーフィルム
S、S1〜S6 シール片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙と、当該台紙に仮着されるとともに、台紙から分離可能に設けられた複数のシール片とを含み、
前記シール片は、表面に立体形状を表出する印刷が施されるとともに、被着体に対して接着可能に設けられていることを特徴とする立体遊び用シールセット。
【請求項2】
台紙と、当該台紙に粘着剤層を介して仮着されるとともに、当該粘着剤層と共に台紙から剥離可能に設けられた複数のシール片とを含み、
前記シール片は、表面に立体形状を表出する印刷が施されるとともに、被着体に対して接着可能に設けられていることを特徴とする立体遊び用シールセット。
【請求項3】
前記シール片は再接着可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体遊び用シールセット。
【請求項4】
前記シール片は相似形状となる複数のサイズを備えていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の立体遊び用シールセット。
【請求項5】
前記シール片を貼り付ける貼付用ボードを更に含み、当該貼付用ボードの少なくとも一方の面にガイドラインが印刷されていることを特徴とする請求項1,2,3,又は4記載の立体遊び用シールセット。
【請求項6】
前記シール片は、有彩色若しくは無彩色の着色印刷が施され、当該色の濃度が異なる領域を設けることで前記立体形状が表出されることを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の立体遊び用シールセット。
【請求項7】
前記シール片の表面は透明カバーフィルムで保護されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の立体遊び用シールセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−218212(P2006−218212A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−36531(P2005−36531)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(304047004)コクヨS&T株式会社 (56)
【Fターム(参考)】