説明

竪型ミル

【課題】石炭が空気ダクトに入り込まず、安全な竪型ミルの運用を実現すると共に、シャットオフプレートが不燃性ガス供給手段を兼用することでコストの削減を図ることができる竪型ミルを提供する。
【解決手段】分級室16を形成するハウジング3と、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブル5と、該粉砕テーブルに加圧ローラ11を押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置13と、塊状石炭を前記粉砕テーブルに供給する給炭装置24と、前記粉砕テーブル下部に形成される1次空気室15と、該1次空気室に連通し空気ダクト19と接続された1次空気供給口17と、該1次空気供給口に回転可能に設けられた軸と、該軸に固着され、回転により前記1次空気供給口を開閉可能なシャットオフプレート42を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭焚きボイラへ供給する石炭を粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
先ず、図8に於いて、従来の竪型ミル1の概略について説明する。
【0004】
図中、実線は1次空気の流れを示しており、点線は石炭の流れを示している。
【0005】
中空構造又は脚構造の基台2に筒状のハウジング3が立設され、該ハウジング3によって密閉された空間が形成される。該空間の下部には減速機4を介して粉砕テーブル5が立設され、前記減速機4は粉砕テーブルモータ6によって駆動され、前記粉砕テーブル5は前記減速機4によって定速又は可変速で回転される。
【0006】
前記粉砕テーブル5の上面には、断面が円弧状の凹溝7を有するテーブルセグメント8が設けられている。
【0007】
前記粉砕テーブル5の回転中心から放射状に所要組数、例えば3組の加圧ローラユニット9が120°間隔で設けられている。該加圧ローラユニット9は、加圧ローラ11を有し、水平支持軸12を中心に傾動自在となっている。又、前記ハウジング3の下部には、放射状に貫通する3組のローラ加圧装置13が設けられている。該ローラ加圧装置13は、アクチュエータ、例えば油圧シリンダ14を具備し、該油圧シリンダ14によって前記加圧ローラ11を前記凹溝7に押圧する様になっている。
【0008】
前記粉砕テーブル5の下方には1次空気室15が形成され、前記ハウジング3内部の前記粉砕テーブル5より上方は、分級室16となっている。
【0009】
前記ハウジング3の下部には1次空気供給口17が取付けられ、該1次空気供給口17は布製、又は合成樹脂製のエクスパンション18を介して空気ダクト19に接続されると共に、前記1次空気室15に連通している。又、前記1次空気供給口17の近傍には、前記1次空気室15に水蒸気や窒素等の不燃性ガス10を導入する不燃性ガス供給ノズル20が設けられ、前記粉砕テーブル5の周囲には、1次空気の吹出し口21が全周に設けられている。
【0010】
又、前記粉砕テーブル5の下部には、該粉砕テーブル5と一体に回転可能な異物排出用スクレーパ22が2箇所に設けられており、前記1次空気室15の底部には図示しない石炭排出機構に接続された異物排出シュート23が設けられている。
【0011】
前記ハウジング3の上側には石炭給排部24が設けられており、該石炭給排部24の中心部を貫通する様にパイプ状の給炭管25が設けられ、該給炭管25が前記ハウジング3の内部に延出し、下端が前記粉砕テーブル5の中央上方に位置している。前記給炭管25には石炭が供給され、供給された石炭は前記粉砕テーブル5の中心部に落下する様になっている。
【0012】
前記給炭管25には、回転管26が回転管支持部27に軸受28を介して回転自在に設けられている。前記回転管26は、プーリ29とプーリ31に掛渡されたベルト32及び前記プーリ31が設けられた減速機33を介して分級機モータ34によって回転される様になっている。
【0013】
又、前記回転管26、前記プーリ29、前記プーリ31、前記ベルト32、前記減速機33、前記分級機モータ34、ブレード35によって分級機36が構成されている。
【0014】
前記ブレード35は短冊状であり、倒立円錐曲面上に円周方向に所要角度ピッチで配設される。又、該ブレード35は下端から上端に向って前記回転管26から離反する様に傾斜しており、ブレード支持部37を介して前記回転管26に取付けられている。
【0015】
前記石炭給排部24には、粉砕された微粉炭を送給する微粉炭送給管38が接続されており、該微粉炭送給管38はボイラのバーナ(図示せず)に接続されている。
【0016】
次に、前記竪型ミル1に於ける石炭の粉砕について説明する。
【0017】
前記粉砕テーブル5が、前記減速機4を介して前記粉砕テーブルモータ6により回転され、前記空気ダクト19から送給された200℃前後の1次空気が、前記エクスパンション18を介して前記1次空気供給口17より前記1次空気室15に導入される。
【0018】
上記の状態で、前記給炭管25より塊状の石炭が投入されると、塊状の石炭は前記給炭管25の下端より前記粉砕テーブル5の中心部に流落し、該粉砕テーブル5上に供給される。該粉砕テーブル5上の石炭は、該粉砕テーブル5の回転による遠心力で外周方向に移動し、前記加圧ローラ11に噛込まれて粗粉炭と微粉炭からなる粉砕炭に粉砕され、更に遠心力によって外周に移動する。
【0019】
前記1次空気供給口17より前記1次空気室15に導入された1次空気が、前記粉砕テーブル5の前記吹出し口21より吹上がり、遠心力によって前記テーブルセグメント7を乗越えた粉砕炭は、前記吹出し口21から吹上がった1次空気に乗って前記分級室16の外周部を前記ハウジング3の壁面に沿って上昇する。
【0020】
前記分級室16の外周を1次空気に乗って上昇する粉砕炭は、粒径の大きい一部の粗粉炭が上昇途中で自重により前記粉砕テーブル5上に落下し、残りの粗粉炭及び微粉炭は、1次空気に乗って、前記分級室16を更に上昇する。
【0021】
該分級室16を上昇する粗粉炭及び微粉炭は、1次空気と共に前記分級機36に流入する。前記分級機モータ34によって回転する前記ブレード35を横切る際に、所定の粒径以上の粗粉炭は前記ブレード35と衝突して弾かれ、前記粉砕テーブル5上に落下する。又、所定の粒径以下の微粉炭は1次空気に乗って前記ブレード35を横切り、前記微粉炭送給管38より送出され、ボイラのバーナ(図示せず)に供給される。
【0022】
前記ブレード35によって弾き飛ばされた粗粉炭は、前記粉砕テーブル5上に落下し、落下した粗粉炭は、前記粉砕テーブル5の回転遠心力によって前記凹溝7迄移動し、前記加圧ローラ11によって再度粉砕される。
【0023】
上記処理中、何らかの理由で前記竪型ミル1が緊急停止した際には、給炭と前記粉砕テーブル5が同時に停止されると共に、1次空気の供給が停止される。この時、前記粉砕テーブル5上には多量の石炭が残っている為、前記竪型ミル1を再度起動させる前に前記粉砕テーブル5上の石炭を除去するクリアリングが行われることがある。
【0024】
クリアリング時には、前記粉砕テーブル5を定速回転させ、前記吹出し口21から前記1次空気室15に石炭を落下させる。落下した石炭は、前記粉砕テーブル5と一体に回転する前記異物排出用スクレーパ22によって掻集められ、前記異物排出シュート23より前記竪型ミル1の外部へと排出される。
【0025】
然し乍ら、石炭を前記1次空気室15に落下させると微粉炭が舞上がり、舞上がった微粉炭が前記1次空気供給口17や前記エクスパンション18に付着する。この状態で前記竪型ミル1を再起動すると、再起動時に導入された高温の1次空気によって微粉炭が赤熱や発火を起し、前記エクスパンション18の燃焼を誘引する可能性があった。
【0026】
該竪型ミル1の火災を防止する手段として、前記1次空気供給口17の近傍に設けられた前記不燃性ガス供給ノズル20により、水蒸気や窒素等の不燃性ガス10を前記1次空気室15に導入し、前記竪型ミル1の酸素分圧を下げることで、前記1次空気供給口17や前記エクスパンション18に付着した微粉炭の発火、燃焼を防止するものがあるが、この場合前記1次空気供給口17とは別に不燃性ガス10を導入可能な前記不燃性ガス供給ノズル20を別途設ける必要があり、コストが掛った。
【0027】
又、火災防止の為に前記不燃性ガス供給ノズル20から大量の不燃性ガス10を噴出した場合には、1次空気の通風を再開しても前記竪型ミル1の出口の空気温度が上昇する迄に時間が掛り、又再起動時の1次空気の通風によって前記1次空気供給口17部分や前記エクスパンション18部分の酸素分圧が高まって火災が発生する虞れがあり、不燃性ガス10による十分な酸素分圧低減効果が期待できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】特開2007−237011号公報
【特許文献2】特開昭60−143844号公報
【特許文献3】特開平6−235513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明は斯かる実情に鑑み、石炭が空気ダクトに入り込まず、安全な竪型ミルの運用を実現すると共に、シャットオフプレートが不燃性ガス供給手段を兼用することでコストの削減を図ることができる竪型ミルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルに供給する給炭装置と、前記粉砕テーブル下部に形成される1次空気室と、該1次空気室に連通し空気ダクトと接続された1次空気供給口と、該1次空気供給口に回転可能に設けられた軸と、該軸に固着され、回転により前記1次空気供給口を開閉可能なシャットオフプレートを具備した竪型ミルに係るものである。
【0031】
又本発明は、前記軸は中空のノズルであり、前記1次空気供給口閉塞時に前記ノズルから前記1次空気室に不燃性ガスを供給する竪型ミルに係り、又前記1次空気供給口を閉塞するシャットオフプレートは分割構造であり、該シャットオフプレートの分割数と同数のノズルが前記1次空気供給口に設けられ、前記シャットオフプレートは前記ノズルにそれぞれ固着された竪型ミルに係り、又粉砕処理中の異常を検出する異常検出器と、前記ノズルを回転可能なアクチュエータと、少なくとも該アクチュエータの駆動を制御する制御部を更に具備し、前記ノズルは前記アクチュエータに連結され、該アクチュエータは前記制御部と電気的に接続され、該制御部は前記異常検出器からの検出結果に基づいて前記アクチュエータの駆動を制御する竪型ミルに係り、更に又前記軸と前記シャットオフプレートを筒体に設け、該筒体を前記1次空気供給口及び空気ダクトに接続可能とした竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルに供給する給炭装置と、前記粉砕テーブル下部に形成される1次空気室と、該1次空気室に連通し空気ダクトと接続された1次空気供給口と、該1次空気供給口に回転可能に設けられた軸と、該軸に固着され、回転により前記1次空気供給口を開閉可能なシャットオフプレートを具備したので、舞上がった石炭が前記シャットオフプレートに遮られて前記空気ダクトに入り込むことがなく、再起動時の1次空気によって発火するのを防止することができる。
【0033】
又本発明によれば、前記軸は中空のノズルであり、前記1次空気供給口閉塞時に前記ノズルから前記1次空気室に不燃性ガスを供給するので、前記ノズルからの不燃性ガスの噴出により不燃雰囲気とされ、更に前記シャットオフプレートの回転軸が不燃性ガス供給手段を兼用しており、コストの削減を図ることができる。
【0034】
又本発明によれば、前記1次空気供給口を閉塞するシャットオフプレートは分割構造であり、該シャットオフプレートの分割数と同数のノズルが前記1次空気供給口に設けられ、前記シャットオフプレートは前記ノズルにそれぞれ固着されたので、より効率よく前記1次空気室に不燃性ガスを供給することができ、又前記シャットオフプレートが小型化され、開閉の応答性が向上する。
【0035】
又本発明によれば、粉砕処理中の異常を検出する異常検出器と、前記ノズルを回転可能なアクチュエータと、少なくとも該アクチュエータの駆動を制御する制御部を更に具備し、前記ノズルは前記アクチュエータに連結され、該アクチュエータは前記制御部と電気的に接続され、該制御部は前記異常検出器からの検出結果に基づいて前記アクチュエータの駆動を制御するので、粉砕処理が中断された際に自動的に前記1次空気供給口が閉塞され、舞上がった微粉炭が空気ダクトに進入するのを防止することができる。
【0036】
更に又本発明によれば、前記軸と前記シャットオフプレートを筒体に設け、該筒体を前記1次空気供給口及び空気ダクトに接続可能としたので、前記シャットオフプレートを有さない既存の竪型ミルに対しても容易に適用可能であるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る竪型ミルの立断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る要部拡大断面斜視図であり、(A)はシャットオフプレートの閉塞状態を示し、(B)はシャットオフプレートの開口状態を示している。
【図3】(A)は図2(A)のA−A矢視相当図であり、(B)は図2(B)のB−B矢視相当図である。
【図4】本発明の第2の実施例に係る要部拡大断面斜視図であり、(A)はシャットオフプレートの閉塞状態を示し、(B)はシャットオフプレートの開放状態を示している。
【図5】(A)は図4(A)のC−C矢視相当図であり、(B)は図4(B)のD−D矢視相当図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係る要部拡大断面斜視図であり、(A)はシャットオフプレートの閉塞状態を示し、(B)はシャットオフプレートの開放状態を示している。
【図7】(A)は図6(A)のE−E矢視相当図であり、(B)は図6(B)のF−F矢視相当図である。
【図8】従来の竪型ミルを示す立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0039】
図1〜図3に於いて、本発明の第1の実施例について説明する。尚、本発明が実施される竪型ミルの基本的な構成については、図8に示した竪型ミルと同様である為、説明を簡略化する。又、図1〜図3中、図8中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0040】
ハウジング3の下側には粉砕テーブル5が設けられており、該粉砕テーブル5の周囲には吹出し口21が全周に設けられ、該吹出し口21の下方には1次空気室15が形成されている。該1次空気室15の下面には異物排出シュート23が連通されると共に、側面には1次空気供給口17が連通している。前記異物排出シュート23は通常時にはゲートバルブ等の開閉手段によって閉じられており、前記1次空気供給口17より前記1次空気室15に導入された1次空気が、前記吹出し口21より吹上がり、前記ハウジング3の壁面に沿って上昇する様になっている。
【0041】
前記1次空気供給口17は、布製又は合成樹脂製のエクスパンション18を介して空気ダクト19と接続されており、前記1次空気供給口17の前記エクスパンション18との接続部付近の内壁面には、係止枠44が全周に亘って固着され、該係止枠44によって開口部が形成されている。
【0042】
前記係止枠44の上辺と前記1次空気供給口17の上壁面の隅部には、不燃性ガス供給ノズル43が該1次空気供給口17の側壁面を貫通して回転自在に設けられている。前記不燃性ガス供給ノズル43は一端が閉塞され、他端が開口した中空軸であり、一端がモータ等のアクチュエータ45に連結され、他端が図示しない不燃性ガス供給ラインを介して不燃性ガス供給装置に接続されている。該不燃性ガス供給装置は窒素や水蒸気等の不燃性ガス10を前記不燃性ガス供給ノズル43に供給する機能を有している。又、該不燃性ガス供給ノズル43には不燃性ガス供給孔46が所定間隔で複数穿設されている。
【0043】
又、前記不燃性ガス供給ノズル43にはシャットオフプレート42が溶接等で固着され、該シャットオフプレート42は前記不燃性ガス供給ノズル43を回転軸として回転可能となっている。
【0044】
前記シャットオフプレート42は、閉塞位置(図2(A)参照)に於いて前記係止枠44が接触し、前記1次空気供給口17を閉塞すると共に、前記係止枠44に係止されて前記シャットオフプレート42が閉塞位置よりも内側迄回転しない様になっている。又、前記不燃性ガス供給孔46は閉塞位置に於いて前記1次空気供給口17の上壁面と平行となる様になっている。
【0045】
前記アクチュエータ45は制御部41と電気的に接続されており、該制御部41からの命令に従って、前記不燃性ガス供給ノズル43を介して前記シャットオフプレート42を閉塞状態から開放位置(図2(B)参照)迄駆動する機能及び、該シャットオフプレート42の開度を検出する開度検出器(図示せず)を有している。
【0046】
又、前記粉砕テーブル5の下面には、該粉砕テーブル5と一体に回転可能な異物排出用スクレーパ22が設けられている。
【0047】
又、前記粉砕テーブル5を駆動させる粉砕テーブルモータ6には図示しない前記竪型ミル1の電流値の異常等によって異常を検出する異常検出器が設けられ、該異常検出器によって前記粉砕テーブルモータ6に印加されている電流が検出され、検出結果が前記制御部41に入力される。該制御部41は、検出結果に基づき前記粉砕テーブルモータ6に過負荷が掛っているかどうかが判断される。
【0048】
即ち、検出した電流値が予め設定された設定値よりも大きいと前記粉砕テーブルモータ6に過負荷が掛っていると判断され、前記竪型ミル1を停止する。該竪型ミル1の停止と連動して前記シャットオフプレート42を回転させ、前記1次空気供給口17を閉塞すると共に、図示しない不燃性ガス供給装置に不燃性ガス10を供給させる。不燃性ガス供給ラインにはバルブ(図示せず)が設けられ、該バルブが不燃性ガス供給装置によって開閉されることで、不燃性ガス10の供給及び停止が行われる。尚、該シャットオフプレート42は、前記異常検出器による検出結果に拘らず、前記粉砕テーブルモータ6の停止と連動して回転する様にしてもよい。
【0049】
以下、前記竪型ミル1の作動について説明する。
【0050】
図中、実線は1次空気の流れを示しており、点線は石炭の流れを示している。
【0051】
前記粉砕テーブル5が、減速機4を介して前記粉砕テーブルモータ6により回転され、前記1次空気供給口17より200℃前後の前記1次空気室15に導入された状態で、給炭管25より塊状の石炭が投入される。塊状の石炭は、前記給炭管25の下端より前記粉砕テーブル5の中心部に流落し、該粉砕テーブル5上に供給される。
【0052】
該粉砕テーブル5上の石炭は、該粉砕テーブル5の回転による遠心力で外周方向に移動し、加圧ローラ11に噛み込まれて粗粉炭と微粉炭からなる粉砕炭に粉砕され、更に遠心力によって外周に移動する。
【0053】
前記1次空気供給口17より前記1次空気室15に導入された1次空気が、前記粉砕テーブル5の吹出し口21より吹上がり、遠心力によってテーブルセグメント8を乗越えた粉砕炭は、前記吹出し口21から吹上がった1次空気に乗って分級室16の外周部をハウジング3の壁面に沿って上昇し、分級器36によって粒径の小さい微粉炭が分級され、分級された微粉炭が微粉炭送給管38より送出され、図示しないボイラのバーナに供給される。
【0054】
上記処理中、前記粉砕テーブル5に設けられた異常検出器39や、前記粉砕テーブルモータ6に設けられた図示しない異常検出器により、前記粉砕テーブル5の振動具合や前記粉砕テーブルモータ6の回転数が常時監視されており、検出結果が前記制御部41に出力されている。
【0055】
該制御部41は、図示しない異常検出器の検出結果が、予め設定されている設定値を超えているかどうかの判断を行い、検出結果が設定値を超えていると判断した場合には、前記竪型ミル1に対して停止命令を出すと共に、前記アクチュエータ45と図示しない不燃性ガス供給装置に対して、それぞれ駆動命令と不燃性ガス供給命令を出す。
【0056】
前記アクチュエータ45は、前記制御部41からの命令に従い、前記不燃性ガス供給ノズル43を介して前記シャットオフプレート42を閉塞位置迄回転させ、前記1次空気供給口17を閉塞する。前記シャットオフプレート42が閉塞位置迄移動した後、図示しない不燃性ガス供給装置が不燃性ガス10を前記不燃性ガス供給ノズル43に供給することで、前記不燃性ガス供給孔46より不燃性ガス10が流出し、不燃性ガス10が前記1次空気室15に導入される。又、不燃性ガス10を流出することで、不燃性ガス10の流れによって微粉炭の前記エクスパンション18側への逆流を防止する。
【0057】
前記シャットオフプレート42による前記1次空気供給口17の閉塞後、前記粉砕テーブル5を定速で回転させ、該粉砕テーブル5上の石炭を前記吹出し口21より前記1次空気室15に落下させる。
【0058】
該1次空気室15に落下した石炭は、前記粉砕テーブル5と一体に回転する前記異物排出用スクレーパ22によって掻集められ、前記異物排出シュート23より前記竪型ミル1外へ排出される。
【0059】
該竪型ミル1内の石炭が除去されたところで、前記制御部41が前記アクチュエータ45を駆動させ、図示しない不燃性ガス供給装置に不燃性ガスの供給を停止させる。
【0060】
前記アクチュエータ45が前記不燃性ガス供給ノズル43を介して前記シャットオフプレート42を開放位置迄回転させ、図示しない不燃性ガス供給装置に不燃性ガスの供給を停止させた後、前記竪型ミル1を再稼働させ、処理を再開する。
【0061】
上述の様に、前記竪型ミル1内の石炭を除去する前に、前記1次空気供給口17が前記シャットオフプレート42によって閉塞されるので、前記粉砕テーブル5上から前記1次空気室15へ石炭が落下したことによる衝撃や前記異物排出用スクレーパ22に掻集められることで舞上がった微粉炭は、前記シャットオフプレート42に遮られ、前記エクスパンション18や空気ダクト19内に進入し、付着することがない。更に、前記不燃性ガス供給ノズル43より前記竪型ミル1内に不燃性ガス10が供給されているので、処理を再開した後、前記竪型ミル1で火災が発生する可能性を著しく低下させることができる。
【0062】
又、前記不燃性ガス供給ノズル43を前記シャットオフプレート42の回転軸としたことで、前記1次空気室15内に不燃性ガス10を供給するノズルを別途設ける必要がなく、コストの削減を図ることができる。
【0063】
図3に示されるのは、第1の実施例の応用例であり、前記シャットオフプレート42、前記不燃性ガス供給ノズル43、前記係止枠44、前記アクチュエータ45を筒体47に固着することで一体化し、シャットオフユニット48としたものである。尚、図3(A)は前記シャットオフプレート42が閉塞位置、図3(B)は前記シャットオフプレート42が開放位置にあることを示している。
【0064】
前記筒体47は両端にフランジを有しており、該フランジは前記1次空気供給口17のフランジ及び前記エクスパンション18のフランジと接続可能であるので、追加加工をする必要がなく、既存の竪型ミルに対しても容易に追加設置することができる。
【0065】
次に、図4、図5に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図4、図5中、図2、図3中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
第2の実施例は、第1の実施例のシャットオフプレート42を2分割構造としたものである。
【0067】
1次空気供給口17の内壁面には、係止枠44が全周に亘って固着され、該係止枠44の対向する2辺と平行に不燃性ガス供給ノズル43aと不燃性ガス供給ノズル43bが回転自在に設けられている。前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bはそれぞれ一端が閉塞された中空軸であり、前記1次空気供給口17を貫通して設けられる。
【0068】
又、前記不燃性ガス供給ノズル43aにはシャットオフプレート42aが溶接等で固着され、前記不燃性ガス供給ノズル43bにはシャットオフプレート42bが溶接等で固着されている。
【0069】
前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bの閉塞する一端は、それぞれアクチュエータ45aとアクチュエータ45bに連結され、他端は図示しない不燃性ガス供給ラインを介して不燃性ガス供給装置に接続されている。又、前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bには、不燃性ガス供給孔46aと不燃性ガス供給孔46bがそれぞれ所定間隔で複数穿設されている。
【0070】
又、前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bは閉塞位置(図4(A)参照)に於いて前記係止枠44に密着し、先端が当接して前記1次空気供給口17を閉塞する。又、前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bは回転に支障がない様先端部がR面取、或は面取仕上げされている。尚、図4(B)は前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bが開放位置にあることを示している。
【0071】
第2の実施例に於いても、異常検出器の検出結果に従って制御部41が異常の有無を判断し、前記アクチュエータ45aと前記アクチュエータ45bを駆動させ、及び図示しない不燃性ガス供給装置から前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bに不燃性ガス10を供給させる。
【0072】
第2の実施例の場合、シャットオフプレート42を2分割構造とし、不燃性ガス供給ノズル43を2本設けたので、第1の実施例と比べてより効率よく前記竪型ミル1に不燃性ガス10を供給することができる。更に前記シャットオフプレート42が小型化され、開閉の応答性が向上する。
【0073】
図5に示されるのは、第2の実施例の応用例であり、前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42b、前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43b、前記係止枠44、前記アクチュエータ45aと前記アクチュエータ45bを筒体47に固着することで一体化し、シャットオフユニット49としたものである。尚、図5(A)は前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bが閉塞位置、図5(B)は前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bが開放位置にあることを示している。
【0074】
前記筒体47は両端にフランジを有し、前記1次空気供給口17のフランジ及び前記エクスパンション18と接続可能であるので、第1の応用例と同様既存の竪型ミルに対しても実施可能である。
【0075】
次に、図6、図7に於いて、本発明の第3の実施例について説明する。尚、図6、図7中、図4、図5中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
第3の実施例は、第2の実施例から係止枠44を取除き、更にシャットオフプレート42a及びシャットオフプレート42bの回転軸である不燃性ガス供給ノズル43a及び不燃性ガス供給ノズル43bの固着位置を、前記シャットオフプレート42a及び前記シャットオフプレート42bの端部ではなく中間部としたものである。
【0077】
前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bは一端が閉塞された中空軸であり、回転自在となる様1次空気供給口17の壁面に対して垂直に貫通して設けられている。又、前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bの閉塞する一端は、それぞれアクチュエータ45aとアクチュエータ45bに連結され、他端は図示しない不燃性ガス供給ラインを介して不燃性ガス供給装置に接続されると共に、前記不燃性ガス供給ノズル43aと不燃性ガス供給ノズル43bには、不燃性ガス供給孔46aと不燃性ガス供給孔46bがそれぞれ所定間隔で複数穿設されている。
【0078】
前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bは、閉塞位置(図6(A)参照)に於いて前記1次空気供給口17を閉塞する。又、前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bは、回転に支障がない様両端部がR面取、或は面取仕上げされている。尚、図6(B)は前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bが開放位置にあることを示している。
【0079】
第3の実施例に於いても、異常検出器の検出結果に従って制御部41が異常の有無を判断し、前記アクチュエータ45aと前記アクチュエータ45bを駆動させ、図示しない不燃性ガス供給装置から前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43bに不燃性ガス10を供給させる。
【0080】
尚、上記ではシャットオフプレート42を2分割構造としているが、本実施例の場合、該シャットオフプレート42を3分割構造、或はそれ以上の分割数にしてもよく、分割数を増加させることで不燃性ガス供給ノズル43の本数も増加するので、より効率よく竪型ミル1に不燃性ガス10を供給することができる。更に、前記シャットオフプレート42が小型化されることで、開閉の応答性が向上する。
【0081】
図7に示されるのは、第3の実施例の応用例であり、前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42b、前記不燃性ガス供給ノズル43aと前記不燃性ガス供給ノズル43b、前記アクチュエータ45aと前記アクチュエータ45bを筒体47に固着することで一体化し、シャットオフユニット51としたものである。尚、図7(A)は前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bが閉塞位置、図7(B)は前記シャットオフプレート42aと前記シャットオフプレート42bが開放位置にあることを示している。
【0082】
前記筒体47は両端にフランジを有し、前記1次空気供給口17のフランジ及びエクスパンション18と接続可能であるので、第1の実施例、第2の実施例と同様既存の竪型ミルに対しても実施可能となっている。
【0083】
尚、第1の実施例、第2の実施例、第3の実施例共に、前記制御部41による制御範囲を前記竪型ミル1の停止迄とし、前記アクチュエータ45の代りにハンドルを設け、前記シャットオフプレート42の開閉を手動で行う様にしてもよい。又、手動で行う場合、前記不燃性ガス供給ノズル43の周りに角度目盛を設け、前記シャットオフプレート42の開閉角度が分る様にしてもよい。
【0084】
又、図示では前記不燃性ガス供給ノズル43を水平方向に設けているが、該不燃性ガス供給ノズル43を垂直方向に設けて前記シャットオフプレート42を横開きとしてもよいことは言う迄もない。
【符号の説明】
【0085】
1 竪型ミル
5 粉砕テーブル
6 粉砕テーブルモータ
15 1次空気室
17 1次空気供給孔
18 エクスパンション
19 空気ダクト
22 異物排出用スクレーパ
23 異物排出シュート
41 制御部
42 シャットオフプレート
43 不燃性ガス供給ノズル
44 係止枠
45 アクチュエータ
46 不燃性ガス供給孔
48 シャットオフユニット
49 シャットオフユニット
51 シャットオフユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルに加圧ローラを押圧し、前記粉砕テーブル上の石炭を粉砕する複数のローラ加圧装置と、塊状石炭を前記粉砕テーブルに供給する給炭装置と、前記粉砕テーブル下部に形成される1次空気室と、該1次空気室に連通し空気ダクトと接続された1次空気供給口と、該1次空気供給口に回転可能に設けられた軸と、該軸に固着され、回転により前記1次空気供給口を開閉可能なシャットオフプレートを具備したことを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記軸は中空のノズルであり、前記1次空気供給口閉塞時に前記ノズルから前記1次空気室に不燃性ガスを供給する請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記1次空気供給口を閉塞するシャットオフプレートは分割構造であり、該シャットオフプレートの分割数と同数のノズルが前記1次空気供給口に設けられ、前記シャットオフプレートは前記ノズルにそれぞれ固着された請求項2の竪型ミル。
【請求項4】
粉砕処理中の異常を検出する異常検出器と、前記ノズルを回転可能なアクチュエータと、少なくとも該アクチュエータの駆動を制御する制御部を更に具備し、前記ノズルは前記アクチュエータに連結され、該アクチュエータは前記制御部と電気的に接続され、該制御部は前記異常検出器からの検出結果に基づいて前記アクチュエータの駆動を制御する請求項2又は請求項3の竪型ミル。
【請求項5】
前記軸と前記シャットオフプレートを筒体に設け、該筒体を前記1次空気供給口及び空気ダクトに接続可能とした請求項1又は請求項2又は請求項3の竪型ミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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