説明

竪型ミル

【課題】給炭装置から供給される塊状石炭を加圧ローラに噛込まれ易い位置に誘導することで、粉砕効率の向上及びミル差圧の上昇抑制を図る竪型ミルを提供する。
【解決手段】分級室19を形成するハウジング3と、該ハウジングの下部に収納され、テーブル駆動装置7によって回転駆動される粉砕テーブル6と、該粉砕テーブルの中心部を覆う粉砕テーブルカバー8と、前記粉砕テーブルに押圧される加圧ローラ14を有する加圧ローラユニット13と、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を吹出す吹出し口22と、塊状石炭を前記粉砕テーブルカバー上に供給する給炭装置23とを具備し、前記粉砕テーブルカバーに石炭誘導部を形成し、該石炭誘導部により前記給炭装置から供給された石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、石灰岩等の塊状物を微粉に粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
竪型ミルは、ハウジングと、ハウジングに収納され所定の回転数で回転し、中央にテーブルカバーが設けられた粉砕テーブルと、ハウジングに支持された加圧ローラユニットとを有し、加圧ローラユニットは回転自在な加圧ローラを粉砕テーブルに押圧する構造となっている。粉砕テーブルには給炭管から塊状の石炭が粉砕テーブルの中心に投入され、供給される。供給された塊状の石炭は、粉砕テーブルの回転遠心力によって外周へと移動し、石炭が粉砕テーブルの外周に移動する過程で、加圧ローラと粉砕テーブルの間に噛込まれて粉砕される。粉砕された微粉炭は粉砕テーブル周囲の1次空気吹出し口より、吹上がる1次空気によって上昇し、1次空気と共にバーナに供給される。
【0004】
然し乍ら、従来の竪型ミルの場合、粉砕テーブル上に落下した塊状の石炭の一部が加圧ローラ間をすり抜け、加圧ローラに噛込まれないまま粉砕テーブルの外周迄到達するものがある。
【0005】
加圧ローラ間をすり抜けた塊状の石炭は、未粉砕のまま1次空気吹出し口より吹上がる1次空気に吹上げられ、その後落下する為、バーナに供給されることなく竪型ミル内を循環することとなり、粉砕効率の低下やミル差圧の上昇等の弊害を生じるという問題があった。
【0006】
これに対し、特許文献1にはダムリングの高さを調整して、炭層を確保し、粉砕性を向上させることが提案されている。又、特許文献2には粉砕ローラ原料に水を注入することにより、原料の摩擦係数を増大させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−207200号公報
【特許文献2】特開平7−8818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、給炭装置から供給される塊状石炭を加圧ローラに噛込まれ易い位置に誘導することで、粉砕効率の向上及びミル差圧の上昇抑制を図る竪型ミルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、テーブル駆動装置によって回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルの中心部を覆う粉砕テーブルカバーと、前記粉砕テーブルに押圧される加圧ローラを有する加圧ローラユニットと、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を吹出す吹出し口と、塊状石炭を前記粉砕テーブルカバー上に供給する給炭装置とを具備し、前記粉砕テーブルカバーに石炭誘導部を形成し、該石炭誘導部により前記給炭装置から供給された石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導する竪型ミルに係るものである。
【0010】
又本発明は、前記粉砕テーブルカバーは円錐部を有し、該円錐部の周面に前記加圧ローラと同数の前記石炭誘導部が突設され、隣接する石炭誘導部間に前記加圧ローラと加圧ローラとの間に向う石炭誘導路が形成され、該石炭誘導路により石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導する竪型ミルに係り、又前記粉砕テーブルカバーは稜線がそれぞれ前記加圧ローラに向う様設けられた三角錐部を有し、該三角錐部の稜線間に前記加圧ローラと加圧ローラとの間に向う石炭誘導路が形成され、該石炭誘導路により石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導する竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、テーブル駆動装置によって回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルの中心部を覆う粉砕テーブルカバーと、前記粉砕テーブルに押圧される加圧ローラを有する加圧ローラユニットと、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を吹出す吹出し口と、塊状石炭を前記粉砕テーブルカバー上に供給する給炭装置とを具備し、前記粉砕テーブルカバーに石炭誘導部を形成し、該石炭誘導部により前記給炭装置から供給された石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導するので、塊状石炭を前記加圧ローラに噛込まれ易い位置へと誘導させることができ、該加圧ローラの噛込み頻度が増加し、石炭の粉砕効率を向上させることができると共に、未粉砕のまま塊状石炭が前記加圧ローラを通り抜けることを抑制できるので、塊状石炭が1次空気によって吹上げられ、前記分級室内を循環することによるミル差圧の上昇を抑制することができる。
【0012】
又本発明によれば、前記粉砕テーブルカバーは円錐部を有し、該円錐部の周面に前記加圧ローラと同数の前記石炭誘導部が突設され、隣接する石炭誘導部間に前記加圧ローラと加圧ローラとの間に向う石炭誘導路が形成され、該石炭誘導路により石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導するので、前記粉砕テーブルカバーに石炭誘導部を形成するだけで実施可能であり、製作コストが安価であると共に、従来の竪型ミルに対しても容易に適用可能である。
【0013】
更に又本発明によれば、前記粉砕テーブルカバーは稜線がそれぞれ前記加圧ローラに向う様設けられた三角錐部を有し、該三角錐部の稜線間に前記加圧ローラと加圧ローラとの間に向う石炭誘導路が形成され、該石炭誘導路により石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導するので、前記粉砕テーブルカバーに石炭誘導部を形成するだけで実施可能であり、製作コストが安価であると共に、従来の竪型ミルに対しても容易に適用可能であるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に於ける竪型ミルの概略立断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例に於ける粉砕テーブルカバーであり、(A)は該粉砕テーブルカバーの斜視図を示し、(B)は粉砕テーブルカバーの平面図を示し、(C)は粉砕テーブルカバーの平断面図を示している。
【図3】本発明の第1の実施例に於ける粉砕テーブルカバーの変形例であり、(A)は該粉砕テーブルカバーの斜視図を示し、(B)は粉砕テーブルカバーの平面図を示し、(C)は粉砕テーブルカバーの平断面図を示している。
【図4】本発明の第2の実施例に於ける粉砕テーブルカバーであり、(A)は該粉砕テーブルカバーの斜視図を示し、(B)は粉砕テーブルカバーの平面図を示し、(C)は粉砕テーブルカバーの平断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0016】
先ず、図1に於いて、本発明が実施される竪型ミル1について説明する。尚、以下の説明は、塊状物が石炭の場合である。
【0017】
中空構造又は脚構造の基台2に筒状のハウジング3が立設され、該ハウジング3によって密閉された空間が形成される。該空間の下部には減速機4及び軸受5を介して粉砕テーブル6が回転可能に設けられ、該粉砕テーブル6は前記減速機4を介して粉砕テーブルモータ7によって定速又は可変速で回転される。
【0018】
前記粉砕テーブル6は上端が開口する空間9が形成された中空構造となっており、該粉砕テーブル6と同心にシャフト10が設けられ、該シャフト10は前記減速機4に固定立設され、該減速機4及び前記粉砕テーブル6を貫通する。前記シャフト10の上端には、前記開口を閉塞する粉砕テーブルカバー8が固着されている。又、後述する様に、該粉砕テーブルカバー8は石炭誘導手段であり、該粉砕テーブルカバー8は固定され、前記粉砕テーブル6は前記粉砕テーブルカバー8の周りを回転する様になっている。
【0019】
前記粉砕テーブル6の上面には、断面が円弧状の凹溝11を有する複数のテーブルセグメント12がリング状に設けられている。
【0020】
前記粉砕テーブル6の回転中心から放射状に所要組数、例えば3組の加圧ローラユニット13が120°間隔で設けられている。該加圧ローラユニット13は、加圧ローラ14を有し、水平支持軸15を中心に傾動自在となっている。又、前記ハウジング3の下部には、放射状に貫通する3組のローラ加圧装置16が設けられている。該ローラ加圧装置16は、アクチュエータ、例えば油圧シリンダ17を具備し、該油圧シリンダ17によって前記加圧ローラ14を前記凹溝11に押圧する様になっている。
【0021】
前記粉砕テーブル6の下方には1次空気室18が形成され、前記ハウジング3内部の前記粉砕テーブル6より上方は、分級室19となっている。
【0022】
前記ハウジング3の下部には1次空気供給口21が取付けられ、該1次空気供給口21は図示しない送風機に接続されると共に、前記1次空気室18に連通している。前記粉砕テーブル6の周囲には、1次空気の吹出し口22が全周に設けられている。
【0023】
前記ハウジング3の上側には石炭給排部23が設けられており、該石炭給排部23の中心部を貫通する様にパイプ状の給炭管24が設けられ、該給炭管24が前記ハウジング3の内部に延出し、下端が前記粉砕テーブル6の中央上方に位置している。前記給炭管24には石炭が供給され、供給された石炭は前記粉砕テーブル6の中心部に落下する様になっている。
【0024】
前記給炭管24には、回転管25が回転管支持部26に軸受27を介して回転自在に設けられている。前記回転管25は、プーリ28とプーリ29に掛渡されたベルト31及び前記プーリ29が設けられた減速機32を介して分級機モータ33によって回転される様になっている。
【0025】
又、前記回転管25、前記プーリ28、前記プーリ29、前記ベルト31、前記減速機32、前記分級機モータ33、ブレード34によって分級機35が構成されている。
【0026】
前記ブレード34は短冊状であり、倒立円錐曲面上に円周方向に所要角度ピッチで配設される。又、前記ブレード34は下端から上端に向って前記回転管25から離反する様に傾斜しており、ブレード支持部36を介して前記回転管25に取付けられている。
【0027】
前記石炭給排部23には、粉砕された微粉炭を送給する微粉炭送給管37が接続されており、該微粉炭送給管37はボイラのバーナ(図示せず)に接続されている。
【0028】
次に、前記竪型ミル1に於ける石炭の粉砕について説明する。
【0029】
図中、実線は1次空気の流れを示しており、点線は石炭の流れを示している。
【0030】
前記粉砕テーブル6が、前記減速機4を介して前記粉砕テーブルモータ7により回転され、前記1次空気供給口21より200℃前後の1次空気が前記1次空気室18に導入された状態で、前記給炭管24より塊状の石炭が投入される。塊状の石炭は、前記給炭管24の下端より前記粉砕テーブル6の中心部に流落し、該粉砕テーブル6上に供給される。
【0031】
該粉砕テーブル6上の石炭は、該粉砕テーブル6の回転による遠心力で外周方向に移動し、前記加圧ローラ14に噛込まれて粉砕され、粗粉炭と微粉炭を含む粉砕炭となり、更に遠心力によって外周に移動する。
【0032】
前記1次空気供給口21より前記1次空気室18に導入された1次空気が、前記粉砕テーブル6の前記吹出し口22より吹上がり、遠心力によって前記テーブルセグメント12を乗越えた粉砕炭は、前記吹出し口22から吹上がった1次空気に乗って前記分級室19の外周部を前記ハウジング3の壁面に沿って上昇する。
【0033】
前記分級室19の外周を1次空気に乗って上昇する粉砕炭は、粒径の大きい一部の粗粉炭が上昇途中で自重により前記粉砕テーブル6上に落下し、残りの粗粉炭及び微粉炭は、1次空気に乗って、前記分級室19を更に上昇する。
【0034】
該分級室19を上昇する粗粉炭及び微粉炭は、1次空気と共に前記分級機35に流入する。前記分級機モータ33によって回転する前記ブレード34を横切る際に、所定の粒径以上の粗粉炭は前記ブレード34と衝突して弾かれ、前記粉砕テーブル6上に落下する。又、所定の粒径以下の微粉炭は1次空気に乗って前記ブレード34を横切り、前記微粉炭送給管37より送出され、ボイラのバーナ(図示せず)に供給される。
【0035】
前記ブレード34によって弾き飛ばされた粗粉炭は、前記粉砕テーブル6上に落下し、落下した粗粉炭は、前記粉砕テーブル6の回転遠心力によって前記凹溝11迄移動し、前記加圧ローラ14によって再度粉砕される。
【0036】
次に、図2に於いて、本発明の第1の実施例に於ける粉砕テーブルカバー8の詳細について説明する。
【0037】
該粉砕テーブルカバー8は、略円錐形状(先端が錐形或は曲面である場合を含む)の円錐部38と該円錐部38の円錐面に円周3等分した位置に設けられた石炭誘導部41とから構成され、該石炭誘導部41,41の間は前記円錐部38の円錐面が露出し、露出円錐面38aは前記加圧ローラ14,14との間に向っている。
【0038】
前記石炭誘導部41は、上端が前記円錐部38の頂点より所定距離下がった位置にあり、下端(下面)は前記円錐部38の下面と同位置(面一)となっている。従って、前記円錐部38の頂部は全周に亘って円錐面が露出した状態となっている。
【0039】
前記石炭誘導部41は平断面形状が凸三角形状であり、平断面形状は上端から下端に向って漸次増大している。前記石炭誘導部41の稜線42aの延長は前記加圧ローラ14に向い、前記稜線42aを境に両側に傾斜面42b,42bが広がり、該傾斜面42b,42bは前記露出円錐面38aに到達し、該露出円錐面38a及び該露出円錐面38aを挾む2つの傾斜面42b,42bによって石炭誘導路43が形成され、該石炭誘導路43は前記加圧ローラ14,14の間に向っている。
【0040】
上記した前記粉砕テーブルカバー8を本発明の前記竪型ミル1に適用し、石炭の粉砕処理を行った場合には、前記給炭管24より投入された塊状の石炭は、前記粉砕テーブル6の中心部に設けられた前記粉砕テーブルカバー8上に落下し、該粉砕テーブルカバー8上に落下した塊状の石炭は、前記円錐部38の曲面に沿って滑落すると共に前記粉砕テーブル6の回転遠心力によって該粉砕テーブル6の外周へと移動する。
【0041】
この時、前記粉砕テーブルカバー8の前記露出円錐面38aに落下した塊状の石炭は、該露出円錐面38aの曲面に沿ってそのまま前記加圧ローラ14,14間へと移動し、前記石炭誘導部41が形成された箇所に落下した塊状の石炭は、前記稜線42aによって左右に振分けられ、それぞれ前記傾斜面42bによって前記露出円錐面38aに誘導され、前記加圧ローラ14,14間へと移動する。
【0042】
前記給炭管24から投下された塊状の石炭は、前記石炭誘導部41により3つの前記石炭誘導路43に振分けられ、該石炭誘導路43によって誘導され、前記加圧ローラ14の方向へと移動することなく該加圧ローラ14,14間、即ち該加圧ローラ14に噛込まれ易い位置へと移動する。従って、該加圧ローラ14の噛込み頻度が増加し、石炭の粉砕効率を向上させることができる。
【0043】
又、前記石炭誘導部41により、落下した石炭が前記加圧ローラ14の方向へと移動し、未粉砕のまま該加圧ローラ14,14間を通抜けることが抑制され、未粉砕のまま前記吹出し口22より吹上がった1次空気に吹上げられ、前記分級室19内を循環することが抑制され、ミル差圧の上昇を抑制することができる。
【0044】
尚、上記実施例では、石炭誘導部41は3つとしたが、該石炭誘導部41は前記加圧ローラ14と対応して形成されるものであり、加圧ローラ14が2つの場合は前記石炭誘導部41は2つとなり、加圧ローラ14が4つの場合は前記石炭誘導部41は4つとなる。
【0045】
図3は、第1の実施例に於ける変形例を示している。
【0046】
この変形例では、前記石炭誘導路43の上端が前記円錐部38の頂点に達しており、前記石炭誘導路43が前記粉砕テーブルカバー8の中心から放射状に延出した形状をしている。
【0047】
前記石炭誘導路43も平断面形状が凸三角形状であり、平断面形状は上端から下端に向って漸次増大し、稜線42aを境に両側に傾斜面42b,42bが広がり、露出円錐面38aを挾む2つの傾斜面42b,42bによって石炭誘導路43が形成されることは、第1の実施例と同様である。
【0048】
尚、第1の実施例及びその変形例は、前記石炭誘導部41の平断面形状を凸三角形状としていたが、前記給炭管24から投入された石炭を前記加圧ローラ14,14間へと誘導する斜面が形成されていれば他の形状であってもよい。
【0049】
又、第1の実施例及びその変形例では前記円錐部38の周面に前記石炭誘導部41を突設していたが、前記円錐部38の周面に凹部を形成してもよく、前記円錐部38の周面と前記凹部との間に斜面を形成することで、前記石炭誘導部41及び前記石炭誘導路43と同様の効果を得ることができる。
【0050】
次に、図4に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、図4中、図2中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
第2の実施例に於ける粉砕テーブルカバー8は、下方に向って漸次断面積が増加する略三角錐形状の三角錐部45と、円柱形状の円柱部46を組合わせた形状となっている。
【0052】
前記三角錐部45は、3等分した位置で中心から放射状に延出する3つの石炭誘導部47によって形成され、該石炭誘導部47は縦断面が三角形状をしており、該縦断面は先端(外周側の先端)から中心に向うに従って漸次増大する形状となっており、稜線47aを境に両側に広がって下降する傾斜面48,48を有し、前記石炭誘導部47の稜線47aは、前記シャフト10の軸心線上で合致する。
【0053】
隣接する石炭誘導部47,47の傾斜面48,48は、前記石炭誘導部47,47の間の中心位置で接合し、境界線48aを形成する。該境界線48aは、隣接する2つの前記稜線47a,47aを含む平面に対して中心側に後退しており、前記傾斜面48,48は前記境界線48aを中心とした扁平な三角断面の石炭誘導路49を形成し、該石炭誘導路49は前記加圧ローラ14,14の間に向っている。
【0054】
上記した前記粉砕テーブルカバー8を本発明の前記竪型ミル1に適用し、石炭の粉砕処理を行った場合には、前記給炭管24(図1参照)より投入された塊状の石炭は、前記粉砕テーブル6の中心部に設けられた前記粉砕テーブルカバー8上に落下し、該粉砕テーブルカバー8上に落下した塊状の石炭は、前記石炭誘導部47によって3つの石炭誘導路49に振分けられ、該石炭誘導路49に沿って前記加圧ローラ14,14間へと移動する。
【0055】
従って、前記給炭管24から投下された塊状の石炭は、前記加圧ローラ14の方向へと移動することなく該加圧ローラ14,14間、即ち該加圧ローラ14に噛込まれ易い位置へと移動するので、該加圧ローラ14の噛込み頻度が増加し、石炭の粉砕効率が向上させることができる。
【0056】
尚、第2の実施例では、前記石炭誘導部47の縦断面を三角形状としていたが、前記給炭管24から投入され、前記稜線47aで振分けられた石炭を前記加圧ローラ14,14間へと誘導する斜面が形成されていれば他の形状であってもよい。
【0057】
尚、第1の実施例及び第2の実施例は、前記粉砕テーブルカバー8に石炭誘導部を形成するだけで実施可能であるので、製作コストが安価となり、更に従来の竪型ミルに対しても容易に適用可能である。
【0058】
更に、本発明では、塊状の石炭を粉砕する竪型ミルについて説明したが、本発明は、石灰岩等の塊状物の粉砕に対しても実施可能であることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0059】
1 竪型ミル
5 軸受
6 粉砕テーブル
8 粉砕テーブルカバー
9 空間
10 シャフト
14 加圧ローラ
19 分級室
41 石炭誘導部
43 石炭誘導路
47 石炭誘導部
49 石炭誘導路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級室を形成するハウジングと、該ハウジングの下部に収納され、テーブル駆動装置によって回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブルの中心部を覆う粉砕テーブルカバーと、前記粉砕テーブルに押圧される加圧ローラを有する加圧ローラユニットと、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を吹出す吹出し口と、塊状石炭を前記粉砕テーブルカバー上に供給する給炭装置とを具備し、前記粉砕テーブルカバーに石炭誘導部を形成し、該石炭誘導部により前記給炭装置から供給された石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導することを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記粉砕テーブルカバーは円錐部を有し、該円錐部の周面に前記加圧ローラと同数の前記石炭誘導部が突設され、隣接する石炭誘導部間に前記加圧ローラと加圧ローラとの間に向う石炭誘導路が形成され、該石炭誘導路により石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導する請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記粉砕テーブルカバーは稜線がそれぞれ前記加圧ローラに向う様設けられた三角錐部を有し、該三角錐部の稜線間に前記加圧ローラと加圧ローラとの間に向う石炭誘導路が形成され、該石炭誘導路により石炭を前記加圧ローラと加圧ローラとの間に誘導する請求項1の竪型ミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−245378(P2011−245378A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119047(P2010−119047)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】