竪型粉砕装置、微粉炭製造装置ならびにそれを備えた石炭焚きボイラプラント
【課題】センターコーンの粉砕装置内からの取出しが容易で、交換にかかる時間や労力を削減でき、交換作業の効率化が図れる竪型粉砕装置を提供する。
【解決手段】中央部上面にセンターコーン75を設けて回転する粉砕テーブル2と、粉砕テーブル2の上に載置した粉砕ローラ3を備え、センターコーン75の上方から投入した石炭60を粉砕テーブル2と粉砕ローラ3で粉砕する竪型粉砕装置において、センターコーン75が高さ方向において複数段に分割されており、その分割コーン部材70,71を積重して連結することによりセンターコーン75が構成されていることを特徴とする。
【解決手段】中央部上面にセンターコーン75を設けて回転する粉砕テーブル2と、粉砕テーブル2の上に載置した粉砕ローラ3を備え、センターコーン75の上方から投入した石炭60を粉砕テーブル2と粉砕ローラ3で粉砕する竪型粉砕装置において、センターコーン75が高さ方向において複数段に分割されており、その分割コーン部材70,71を積重して連結することによりセンターコーン75が構成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕ローラなどの回転粉砕体と粉砕テーブルの共働により固体原料を粉砕して、その粉砕粒子を分級部で所定の粒度分布に調整することが可能な竪型粉砕装置に係り、特に石炭焚きボイラプラントの微粉炭製造装置として用いるのに好適な竪型粉砕装置に関する。
【0002】
以下、石炭を粉砕する場合を想定して、例えば粉砕原料を「石炭」、その粉砕原料を供給するための粉砕原料供給管を「給炭管」として説明するが、本発明の竪型粉砕装置が対象とする粉砕原料は、固体原料全般であり、原料の種類などを限定するものではない。
【背景技術】
【0003】
燃料として微粉炭を燃焼させる火力発電用の石炭焚きボイラプラントにおいて、微粉炭製造装置には竪型粉砕装置が従来から使用されている。
【0004】
図10は、従来の竪型粉砕装置の概略構成図である。
この竪型粉砕装置は、粉砕テーブル2を回転駆動させる駆動部Aと、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3の噛み込みにより微粉炭の原料である石炭60を粉砕する粉砕部Bと、その粉砕部Bの上部に設置されて生成した粒子群を任意の粒度に分級する分級部Cと、その分級部Cで分級された微粉炭をボイラ装置(図示せず)に接続された複数本の微粉炭送給管31へ分配する分配部Dとから主に構成されている。
【0005】
次に、図10を用いてこの竪型粉砕装置の動作について説明する。
給炭管1より供給された塊状の石炭60は、矢印で示すように粉砕テーブル2の中央部に落下する。この粉砕テーブル2は、減速機50を介して駆動モータ51により回転駆動されている。粉砕部Bに落下した石炭60は、粉砕テーブル2の摩耗防止、石炭の分散性向上のため粉砕テーブル2の中央部上面に設置されたセンターコーン72に衝突し、回転に伴う遠心力によって粉砕テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部に形成された円周溝4へ移動され、粉砕テーブル2とタイヤ状の粉砕ローラ3との間に噛み込まれて粉砕される。
【0006】
この例では粉砕部材として粉砕ローラ3を使用しているが、粉砕ボールを使用する場合もある。これら粉砕部材(粉砕ローラや粉砕ボール)は粉砕テーブル2上に載置されて、粉砕テーブル2の回転に伴って粉砕テーブル2上を転動し、粉砕テーブル2と粉砕部材(粉砕ローラや粉砕ボール)の共働により、石炭60などを機械的に粉砕する。
【0007】
粉砕された粉体59は、粉砕テーブル2の周囲に設けられたスロート42から導入される高温の一次空気61(搬送・乾燥用空気を兼ねている)によって上方に吹き上げられる。この例は、粉砕テーブル2と共にスロート42が回転する回転式旋回流スロートと呼ばれるものであるが、スロート42が粉砕装置の外周ハウジング46に固定された固定式旋回流スロートの場合もある。
【0008】
吹き上げられた粉体59のうち、粒径が大きく、重いものは分級部Cへ搬送される途中で重力により落下し、粉砕部Bに戻される(一次分級)。分級部Cに到達した粒子群62は、固定フィン12および回転フィン21により粒子に旋回力が与えられ、所定の粒度以下の微粒子64と所定粒度を超えた粗粒子63とに分離される(二次分級)。
【0009】
この粗粒子63は前記固定フィン12の下方に設けられた回収用のホッパ11を通して粉砕部Bの粉砕テーブル2上へ落下して、再び粉砕される。一方、分級部Cを通過した微粒子64は、分配器30において複数の微粉炭送給管31に分配されて、燃料として図示しないボイラ装置へ気流搬送される。
【0010】
図に示すように前記ホッパ11の下端開口部10は、センターコーン72の中心軸線上で前記給炭管1の下端開口部と粉砕テーブルの間に配置され、センターコーン72に向けて開口している。
【0011】
この例では、二次分級に回転フィン12を用いる回転式分級機の例を示したが、固定された旋回羽根により粒子に旋回力を与え微粒子と粗粒子に分離する固定式分級機の場合もある。
【0012】
従来のセンターコーン72は、例えば特許文献1,2に記載されているように、上端部が尖った略円錐形状をしている(図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−113192号公報
【特許文献2】特開平7−275729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述のように粉砕テーブル2の中央部に設置されるセンターコーン72は、直上から石炭60や粗粒子63などの固体が落下して衝突するため、摩耗が激しく、部品の交換頻度は高が、従来のセンターコーン72は全体が一体物であり、大きくて重量もかなり重い。
【0015】
そのため従来、センターコーン72の交換時、それの周辺に存在する例えば加圧フレーム5、ローラブラケット6、ローラピボット7などの各種部材を取り除き、その後に粉砕ローラ3を取り出してから、センターコーン72の全体を交換していた。また交換後は、取り除いていた粉砕ローラ3、加圧フレーム5、ローラブラケット6、ローラピボット7などを元の状態に取り付ける必要がある。このようなことから、センターコーン72の交換作業に要する期間ならびに労力が多大であり、作業効率が悪かった。
【0016】
次に、粉砕テーブル2上に投入される被粉砕物(石炭60、粗粒子63)の粉砕テーブル2上での分散性、ならびにその被粉砕物の粉砕性に関する課題について説明する。
図11は、従来の竪型粉砕装置におけるセンターコーン72の周辺における被粉砕物の流れの様子を説明するための図で、同図(a)はセンターコーン72付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン72付近の拡大側面図である。
【0017】
図10に示すように、給炭管1から供給される石炭60ならびにホッパ11から回収された粗粒子63は粉砕部Bに投入され、センターコーン72に衝突して粉砕テーブル2上に分散される。このとき前記被粉砕物を粉砕テーブル2上(複数の粉砕ローラ3)に均等に供給するためには、理想的には図11(a)に示すように、センターコーン72の中心軸を中心とする被粉砕物の高濃度落下領域65を形成することである。
【0018】
しかし、給炭管1やホッパ11から落下する被粉砕物の高濃度落下領域の中心を、定常的にセンターコーン72の中心軸に合わせることは非常に困難である。実際には、例えば斜線で示すようにセンターコーン72の中心軸よりずれた高濃度落下領域66となることが多く、被粉砕物の水平面上での分布はセンターコーン72の中心軸に対して偏る傾向にある。
【0019】
従来のセンターコーン72の形状は円錐状をしているから、前述の不均等な分布そのままに半径方向外側へと前記被粉砕物を分散していた。そのためセンターコーン72上において図11(b)に示すように、被粉砕物の多い流れ67aと、被粉砕物の少ない流れ67bが生じてしまい、結局、粉砕テーブル2上に複数個設置されている粉砕ローラ3に対して定常的に均等に前記被粉砕物が供給されていなかった。
【0020】
このように複数個の粉砕ローラ3に対して定常的に均等に被粉砕物が供給されないと、以下のような問題が生じる。すなわち、
(1) 特定な粉砕ローラ3に前記被粉砕物が集中して粉砕効率が低下し、粉砕動力が増大する。
【0021】
(2) 粉砕ローラ3の磨耗に偏りが生じる。
【0022】
(3) 粉砕テーブル2上での被粉砕物の層が部分的に厚くなることにより、スロート42から吹き上げる1次空気61の流れに偏差が生じ、1次分級効率が低下する。
【0023】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、センターコーンの粉砕装置内からの取出しが容易で、交換にかかる時間や労力を削減でき、交換作業の効率化が図れ、複数個の粉砕ローラなどの粉砕部材に対して定常的に均等に被粉砕物が供給される竪型粉砕装置、微粉炭製造装置ならびにそれを備えた石炭焚きボイラプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するため、本発明は、
中央部上面にセンターコーンを設けて回転する粉砕テーブルと、
その粉砕テーブルの上に載置されて、粉砕テーブルの回転によって転動する複数個の例えば粉砕ローラなどの粉砕部材を備え、
前記センターコーンの上方から投入した例えば石炭などの被粉砕物を前記粉砕テーブルと粉砕部材の噛み込み部で粉砕する竪型粉砕装置を対象とするものである。
【0025】
そして本発明の第1の手段は、前記センターコーンがそれの高さ方向において複数段に分割されており、その分割コーン部材を積重して連結することにより前記センターコーンが構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記センターコーンが前記粉砕テーブルに着脱可能に固定されていることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、
前記センターコーンが、下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材から構成され、
前記上側分割コーン部材の高さをL1、下側分割コーン部材の高さをL2、センターコーンのトータル高さ(L1+L2)をL3としたときの、前記センターコーンのトータル高さL3に対する前記上側分割コーン部材の高さL1の比率(L1/L3)が、下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0028】
0.2≦L1/L3≦0.6
本発明の第4の手段は前記第1または第3の手段において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が異なっていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度が、上側分割コーン部材の傾斜角度よりも大きいことを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第6の手段は前記第1または第3の手段において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が略等しいことを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第7の手段は前記第4ないし第6の手段において、
前記各分割コーン部材の傾斜角度が、20°から50°の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第8の手段は前記第4または第5の手段において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度と、上側分割コーン部材の傾斜角度の差が、0°を超えて10°以下の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0033】
本発明の第9の手段は前記第1ないし第8の手段において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材と上側分割コーン部材の接合部に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の中間水平部が設けられていることを特徴とするものである。
【0034】
本発明の第10の手段は前記第9の手段において、
前記中間水平部が、前記下側分割コーン部材の例えば後述する上側円板などの上側部分と上側分割コーン部材の例えば後述する下側円板などの下側部分によって構成され、下側分割コーン部材と上側分割コーン部材を連結したり分離したりする連結・分離部になっていることを特徴とするものである。
【0035】
本発明の第11の手段は前記第9または第10の手段において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記中間水平部の直径をd3、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記中間水平部の直径d3の比率(d3/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0036】
0.5≦d3/d5≦1.5
本発明の第12の手段は前記第1ないし第11の手段において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記上側分割コーン部材を構成する円周側板の下端直径をd2、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の円周側板の下端直径d2の比率(d2/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0037】
0.4≦d2/d5≦1.0
本発明の第13の手段は前記第1ないし第12の手段において、
前記センターコーンの最も上側に配置される最上段の分割コーン部材の頂面に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の上側水平部が設けられていることを特徴とするものである。
【0038】
本発明の第14の手段は前記第13の手段において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記最上段分割コーン部材の上側水平部の直径をd1、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の上側水平部の直径d1の比率(d1/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0039】
0.05≦d1/d5≦0.2
本発明の第15の手段は、
竪型粉砕装置と、
粉砕すべき石炭を前記竪型粉砕装置の上部から投入する給炭管と、
前記竪型粉砕装置で粉砕して生成された微粉炭を微粉炭供給先に送給する微粉炭送給管を備えた微粉炭製造装置において、
前記竪型粉砕装置が前記第1ないし第15の手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【0040】
本発明の第16の手段は前記第15の手段において、
前記竪型粉砕装置の粉砕テーブルの周囲にスロートが設けられ、
前記粉砕テーブルの上方に回収ホッパを有する分級手段が設けられており、
前記粉砕テーブルと転動粉砕部材との噛み込み部で粉砕された石炭の粒子群を前記スロートから導入した搬送用気体で上方の分級手段側に吹き上げて、
前記分級手段により前記粒子群を微粉炭と粗粒子に分けて、その粗粒子を前記回収ホッパを通して前記センターコーンの上方から落下させて再び粉砕する構成になっていることを特徴とするものである。
【0041】
本発明の第17の手段は、
微粉炭製造装置と、
その微粉炭製造装置で製造した微粉炭を導入して燃焼させる石炭焚きボイラ装置とを備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記微粉炭製造装置が前記第15または第16の手段の微粉炭製造装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0042】
本発明は前述のように、粉砕テーブルに取り付けられたセンターコーンを上下2段以上に分割することができるので、被粉砕物の落下衝撃による摩耗・損傷が激しい分割コーン部材だけの交換が可能である。この分割コーン部材は、重量が軽く、大きさも小さいから、粉砕装置内からの取出しが容易になり、交換にかかる時間や労力を削減でき、交換作業の効率化が図れる。
【0043】
また、センターコーンを構成する個々の分割コーン部材は大きさが小さく、軽量であるから、分割コーン部材の製作ならびに補修が容易である。
【0044】
さらに複数個の粉砕部材に対して定常的に均等に被粉砕物が供給されるから、特定な粉砕部材に被粉砕物が集中して粉砕効率が低下したり、粉砕動力が増大したり、粉砕部材の磨耗に偏りが生じたり、スロートから吹き上げる搬送用気体の流れに偏差が生じて、1次分級効率が低下するなどの欠点も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図2】その竪型粉砕装置に用いられるセンターコーンの拡大断面図である。
【図3】そのセンターコーンの拡大平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るセンターコーン周辺における被粉砕物の流れの様子を説明するための図で、同図(a)はセンターコーン付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン付近の拡大側面図である。
【図5】従来の竪型粉砕装置に用いられるセンターコーンでの被粉砕物の反発の様子を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るセンターコーンでの被粉砕物の反発の様子を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るセンターコーンの拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るセンターコーンの拡大側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚きボイラプラントの系統図である。
【図10】従来の竪型粉砕装置の一例を示す概略構造図である。
【図11】従来の竪型粉砕装置におけるセンターコーン周辺における被粉砕物の流れの様子を説明するための図で、同図(a)はセンターコーン付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン付近の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に本発明の実施形態を図と共に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
この実施形態において、前記図10に示した従来の竪型粉砕装置と相違する点は、センターコーン75の構成である。図2はこのセンターコーン75の構成を説明するための拡大断面図、図3はこのセンターコーン75の拡大平面図である。
【0047】
図1ないし図3に示すように、センターコーン75は、略円錐台形をした下側分割コーン部材70と、その下側分割コーン部材70の上部中央に設置されて同様に略円錐台形をした上側分割コーン部材71とから構成されている。上側分割コーン部材71は下側分割コーン部材70と同じ略円錐台形をしているが、全体の大きさは下側分割コーン部材70よりも小さい。
【0048】
前記下側分割コーン部材70は、下側円板76と、その下側円板76の上に設置されて下方に向けて末広がり状に傾斜した円周側板77と、その円周側板77の上に設置された上側円板78から構成されて、中空状で全体の形状が略円錐台形になっている。下側円板76の直径d7は円周側板77の下端直径d4よりも若干径大になっており、この径の差により下側円板76の外周部にセンターコーン取り付け部68が形成されている。
【0049】
また、前記上側分割コーン部材71は、下側円板79と、その下側円板79の上に設置されて下方に向けて末広がり状に傾斜した円周側板80と、その円周側板80の上に設置された上側円板81から構成されて、中空状で全体の形状が略円錐台形になっている。
【0050】
下側分割コーン部材70の上側円板78と上側分割コーン部材71の下側円板79は同径で、上側円板78と下側円板79の直径d3は円周側板80の下端直径d2よりも若干径大になっており、この径の差により上側円板78、下側円板79の外周部に中間水平部73が形成されている。
【0051】
また、センターコーン75を組み立てる際に上側円板78の上に下側円板79を載せて、上側円板78、下側円板79の円周側板80より外側のフランジ部(中間水平部73)において複数のボルト67で締め付けることにより、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71が連結される。また、このボルト67を緩めることにより、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71が分離される。従って、この下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の接合部に形成されている中間水平部73は、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の連結・分離部を兼ねている。
【0052】
このように下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71は分離可能になっており、個々には大きさが小さく、軽量であるから、装置外周のハウジング46の側面に設けられたメンテナンスドア(図示せず)の開口部から、上側分割コーン部材7あるいは(ならびに)下側分割コーン部材70を直接出し入れできる。
【0053】
そのため分割コーン部材の交換に当たっては、従来のようにセンターコーン周辺の他の部材を取り除き、交換後に再び設置するなどの大掛かりな作業は不要であり、交換作業が簡便となり、効率化の向上が図れる。
【0054】
図2に示すようにセンターコーン75の下部外周部にはセンターコーン取り付け部68が設けられており、この部分を複数本のボルト82によって粉砕テーブル2に固定することにより、センターコーン75自体も粉砕テーブル2に対して交換可能に取り付けられる。
【0055】
前述のように上側円板78と下側円板79で中間水平部73が構成されており、図3に示すようにこの中間水平部73(斜線部分)はセンターコーン75の中心軸84を中心とする同心円状になっている。
【0056】
本実施形態の場合はセンターコーン75が上下2段に分割されて、上側分割コーン部材71が最上段の分割コーン部材となっており、その上側分割コーン部材71の頂部には上側円板81によってセンターコーン75の中心軸84を中心とする同心円状の上側水平部74(斜線部分)が構成されている。これら中間水平部73と上側水平部74の機能については、後で説明する。
【0057】
前記上側水平部74を、例えば略半球形状の丸みを帯びたものや円錐のように上部が尖った形状の鋳造物などからなる耐摩耗性カバーで覆うと、センターコーン75のうちで最も磨耗が著しいセンターコーン上部の耐摩耗性を局部的に高めることができる。また、略円錐台形の上側分割コーン部材71自体を耐摩耗性に優れた材料で構成することも可能である。
【0058】
図2に示すように、上側分割コーン部材71の高さをL1、下側分割コーン部材70の高さをL2、センターコーン75のトータルの高さをL3として、比較的摩耗の激しい領域が下側分割コーン部材70に及ばないことで、頻繁に交換する部材を上側分割コーン部材71に限定(特定)することができ、部品交換の際の利便性が高まるという考え方で、前記被粉砕物の落下衝撃によるセンターコーン75の全体の摩耗状況を観察してみた。
【0059】
その結果、上側分割コーン部材71の高さL1をトータルの高さL3で無次元化して表した際、すなわち、センターコーン75のトータル高さL3に対する上側分割コーン部材71の高さL1の比率(L1/L3)は0.2より大きい方が好ましいことが分かった。また、摩耗で取り替えることを考慮すると、上側分割コーン部材71はできるだけ小さいほうが好ましいため比率(L1/L3)は0.6より小さくするのが良いことも分かった。よって、センターコーン75の全体の高さL3に対する上側分割コーン部材71の高さL1の比率(L1/L3)を下記の範囲に規制することが望ましい。
【0060】
0.2≦L1/L3≦0.6
図2に示すように、下側分割コーン部材70の下側円板76(底面)と円周側板77のなす角度、すなわち下側分割コーン部材70の傾斜周面の傾斜角度をθ2、上側分割コーン部材71の下側円板79(底面)と円周側板80のなす角度、すなわち上側分割コーン部材71の傾斜周面の傾斜角度をθ1とする。粒子はある所定の角度(安息角)で山なりに溜まる性質があるため、前記傾斜角度θ1、θ2が不適切であれば、前記粉砕粒子はうまく分散されず、そのため粉砕ローラ3で均等に粉砕されない。
【0061】
粒子を均等に分散させるためには、前記傾斜角度θ1とθ2を被粉砕物の安息角以上にすることが望ましい。一般的な粉体の安息角はおよそ15°〜40°である。よって、傾斜角度θ1とθ2は下記の範囲であることが望ましい。
【0062】
20°≦θ1,θ2≦50°
本実施形態ではθ1=θ2=40°としているが、θ1とθ2は前述の範囲において任意に設定可能である。
【0063】
下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の分割部に設けられた同心円状の水平部73の機能を図4と図11を用いて説明する。
図11で説明したように従来の円錐形のセンターコーン72では、被粉砕物(石炭60ならびに粗粒子63)の実際の高濃度落下領域66は斜線で示すようにセンターコーン72の中心軸よりずれることが多く、被粉砕物の水平面上における分布が不均等となる。そのためセンターコーン72上において図11(b)に示すように、被粉砕物の多い流れ67aと、被粉砕物の少ない流れ67bなどが生じてしまい、結局、粉砕テーブル2上に複数個設置されている粉砕ローラ3に対して定常的に均等に被粉砕物が供給されていなかった。
【0064】
図4は、本実施形態に係るセンターコーン75の周辺における粒子の流れを説明するための図で、同図(a)はセンターコーン75付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン75付近の拡大側面図である。
【0065】
図4(a)に示すように、実際の高濃度領域66より落下する被粉砕物(石炭60ならびに粗粒子63)はセンターコーン75の中心から偏った状態で上側分割コーン部材71上に落下する。その結果、図4(b)に示すように、被粉砕物の多い流れ67aと、被粉砕物の少ない流れ67bが生じるが、センターコーン分割部(中間部)に設けた同心円状の中間水平部73に一旦粒子が溜まる。図中の符号83aは、中間水平部73上に溜まった粒子を示している。このように中間水平部73は堰やバッファタンクのような粒子滞留機能を有しており、落下して来た被粉砕物が一旦中間水平部73に滞留する。
【0066】
また、センターコーン75は粉砕テーブル2とともに回転しているため、前記中間水平部73に滞留していた粒子83aは回転時の遠心力と振動により、順次、各粉砕ローラ3(粉砕テーブル2)側へ分配される。よって、この中間水平部73の粒子の滞留と滞留粒子のばら撒きの効果により、粉砕テーブル2上に分散する粒子の周方向の偏差が小さくなり、従来は各粉砕ローラ3で偏っていた被粉砕物が均等に分散され、そのため各粉砕ローラ3で粒子が均等に粉砕される。
【0067】
ここで、センターコーン75の摩耗状況から判断すると、実際の高濃度落下領域66の直径d6は給炭管1の内径d5の約半分であることを考慮し、高濃度落下領域66が前記中間水平部73より外側にあることは望ましくないので、中間水平部73の直径d3は給炭管1の内径d5の0.5倍以上とすることが好ましい。
【0068】
また、上側分割コーン部材71の交換時の利便性を考慮すると、中間水平部73の直径d3は、給炭管1の内径d5の1.5倍以下が望ましい。よって、中間水平部73の直径d3を給炭管1の内径d5で無次元化して表すと、すなわち、給炭管1の内径d5に対する中間水平部73の直径d3の比率(d3/d5)は下記の範囲であることが望ましい。
【0069】
0.5≦d3/d5≦1.5
また、略円錐台形をした上側分割コーン部材71の底面直径(円周側板80の下端直径)d2については、給炭管1の中の高濃度領域66が上側分割コーン部材71の円錐傾斜部(円周側板80)に衝突する方が粒子が均等に分散するので、大きい方が好ましいが、上側分割コーン部材71の交換時の利便性も考慮する必要がある。前記中間水平部73の直径d3の好適な範囲を考慮すると、上側分割コーン部材71の底面直径d2の好適な範囲は給炭管1の内径d5で無次元化して表すと、すなわち、給炭管1の内径d5に対する上側分割コーン部材71の底面直径d2の比率(d2/d5)は下記の範囲となる。
【0070】
0.4≦d2/d5≦1.0
上側分割コーン部材71の頂部に設けられている上側水平部74も前記中間水平部73と同様の機能を有しており、上側水平部74上での被粉砕物の滞留と、粉砕テーブル2(センターコーン75)の回転に伴う前記滞留粒子のばら撒きで、偏差が無くなるため、各粉砕ローラ3で偏っていた被粉砕物が均等に分散するようになる。図中の符号83bは、上側水平部74上に溜まった粒子である。
【0071】
前記中間水平部73とこの上側水平部74を組み合わせることにより、中間水平部73でカバーできないほど給炭管1からの高濃度落下領域66の中心軸がセンターコーン75の中心軸からずれていたとしても、上側分割コーン部材71の上側水平部74で偏差がならされるため、各粉砕ローラ3に均等に被粉砕物を供給できるという効果がある。
【0072】
交換の際の利便性と上側水平部74の機能を考慮すると、上側分割コーン部材71の上側水平部74の直径d1の好ましい範囲は、給炭管1の内径d5で無次元化して表すと、すなわち、給炭管1の内径d5に対する上側分割コーン部材71の上側水平部74の直径d1の比率(d1/d5)は、下記の範囲であることが望ましい。
【0073】
0.05≦d1/d5≦0.2
また本発明では、落下する被粉砕物が衝突して反発する反発面として、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の傾斜周面および2段の水平部73、74を設けている。
図5は、従来のセンターコーン72での被粉砕物85の反発の様子を示す図である。前述のように従来のセンターコーン72の場合、回避が困難な被粉砕物85の不均等な水平面上の分布がそのままの状態で径方向外側へと分散されるので、粉砕テーブル2の周方向に複数個設けられている粉砕ローラ3に対して均等に被粉砕物が供給されない。
【0074】
これに対して図6は、本実施形態に係るセンターコーン75での被粉砕物85の反発の様子を示す図である。同図に示すようにセンターコーン75の上側から下側にかけて、上側水平部74と、上側分割コーン部材71の傾斜周面と、中間水平部73と、下側分割コーン部材70の傾斜周面が段々に設けられて、粒子の反発面として水平面と傾斜周面が交互になっている。
【0075】
このように被粉砕物85が衝突・反発する面を多数設け、その反発面も形態が異なる(水平面と傾斜周面)ことから、図6に示すように被粉砕物85は様々な方向に反発して分散する。そのため、被粉砕物の水平面上の分布の偏差、(径方向の偏差)を小さくすることができるとともに、前記水平部73、74の機能による周方向の偏差の縮小により、被粉砕物85は従来のセンターコーン使用時よりも複数個ある粉砕ローラ3に均等に供給されるため、粉砕効率の向上が図れる。
【0076】
図7は、本発明の第2実施形態に係るセンターコーン75の拡大断面図である。
本実施形態で図2に示す第1実施形態と相違する点は、下側分割コーン部材70の下側円板76(底面)と円周側板77のなす傾斜角度θ2と、上側分割コーン部材71の下側円板79(底面)と円周側板80のなす傾斜角度θ1を異にした点である(θ2≠θ1)。
【0077】
なお、図7に示した実施形態では上側分割コーン部材71の傾斜角度θ1を、下側分割コーン部材70の傾斜角度θ2よりも小さくしたが(θ2>θ1)、反対にθ1>θ2とすることも可能である。
【0078】
このように傾斜角度θ1と傾斜角度θ2が異なると、下側分割コーン部材70ならびに上側分割コーン部材71の傾斜面に衝突する被粉砕物の反発角は各傾斜面で異なる。よって、各傾斜面で反発する粒子群の径方向の分布範囲(飛散範囲)が実質的に拡張され、そのために広範囲に粒子が分散する。即ち、粉砕テーブル2上に分散する粒子群の半径方向の偏差を小さくすることができ、そのために被粉砕物の分散性をさらに向上することができる。
【0079】
ここで、角度θ1とθ2の角度差が大きいと、粒子の反発角度の違いから、粒子は半径方向の特定の複数箇所に集中する傾向がある。よって、角度θ1とθ2の角度差(θ2−θ1あるいはθ1−θ2)が下記の範囲であれば、被粉砕物を各粉砕ローラ3に均等に分散させることができる。
【0080】
0°<θ2−θ1≦10°あるいは0°<θ1−θ2≦10°
なお、本実施形態においても、上側分割コーン部材71ならびに下側分割コーン部材70の角度θ1やθ2、上側分割コーン部材71の高さL1、下側分割コーン部材70の高さL2、中間水平部73の直径d3、上側分割コーン部材71の底面直径d2、上側水平部74の直径d1などの好ましい範囲は、前記第1実施形態で説明した範囲と同じである。
【0081】
図8は、本発明の第3実施形態に係るセンターコーン75の拡大断面図である。
本実施形態で図2に示す第1実施形態と相違する主な点は、センターコーン75が下側分割コーン部材86と中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の3段構成となっている点である。
そして前記上側分割コーン部材86と中間コーン部材87の間には下側中間水平部89が、中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の間には上側中間水平部90が、また、上側分割コーン部材88の頂面には上側水平部91が、それぞれ形成されている。これら下側中間水平部89、上側中間水平部90ならびに上側水平部91は、センターコーン75の中心軸84を中心にして同心円状に形成されている。
【0082】
また、本実施形態の場合、下側分割コーン部材86と中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の傾斜周面の傾斜角度θが、図に示すようにθ3>θ2=θ1となっている。なお、各傾斜角度θの望ましい選択範囲は前記第1実施形態と同様に20°以上、50°以下である。
【0083】
本実施形態の場合、下側分割コーン部材86と中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の傾斜周面の傾斜角度θをθ3>θ2=θ1としたが、θ3>θ2>θ1として、被粉砕物による磨耗範囲を部材交換が最も簡便な上側分割コーン部材88に集中させることも可能である。
【0084】
本実施形態では図8に示すように、上側分割コーン部材88の高さをL11、中間コーン部材87の高さをL12、下側分割コーン部材86の高さをL13、センターコーン75のトータルの高さをL14とした場合、交換が可能な上側分割コーン部材88の高さL11と中間コーン部材87の高さL12のセンターコーン75の全体の高さL14に対する比率〔(L11+L12)/L14〕を下記の範囲に規制することが望ましい。
【0085】
0.2≦〔(L11+L12)/L14〕≦0.6
図9は、前記実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚きボイラプラントの系統図である。
粉砕される塊状の石炭60が搬入コンベア101により石炭バンカ102に投入され、その後、石炭60は計量器103で計量され、給炭管1を通して竪型粉砕装置104内に投入される。また、竪型粉砕装置104の下部からは粒子の搬送と乾燥を兼ねた高温の一次空気61が供給され、前述のようにして竪型粉砕装置104内で石炭60の粉砕と分級がなされ、所定の粒径以下の微粉炭が石炭焚きボイラ装置105のバーナ106にそれぞれ供給されて、炉内で燃焼する。
【0086】
この燃焼によって生成した燃焼排ガスは、脱硝装置107、空気予熱器108ならびに電気集塵機109などを通って浄化され、図示しない煙突から大気へ放出される。
【0087】
前記実施形態では石炭を単独で粉砕する場合を説明したが、石炭を主体にした木質ペレットなどのバイオマスとの混合物を粉砕する竪型粉砕装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1・・・給炭管、2・・・粉砕テーブル、3・・・粉砕ローラ、4・・・円周溝、10・・・ホッパの下端開口部、11・・・ホッパ、12・・・固定フィン、21・・・回転フィン、31・・・微粉炭送給管、42・・・スロート、46・・・ハウジング、59・・・粉体、60・・・石炭、61・・・一次空気、62・・・粒子群、63・・・粗粒子、64・・・微粒子、65・・・理想的な被粉砕物の高濃度落下領域、66・・・実際の被粉砕物の高濃度落下領域、67a・・・被粉砕物の多い流れ、67b・・・被粉砕物の少ない流れ、68・・・センターコーン取り付け部、70・・・下側分割コーン部材、71・・・上側分割コーン部材、73・・・中間水平部、74・・・上側水平部、75・・・センターコーン、76・・・下側円板、77・・・円周側板、78・・・上側円板、79・・・下側円板、80・・・円周側板、81・・・上側円板、82・・・ボルト、83a・・・中間水平部に溜まった粒子、83b・・・上側水平部に溜まった粒子、84・・・センターコーンの中心軸、85・・・被粉砕物、104・・・竪型粉砕装置、105・・・石炭焚きボイラ装置、106・・・バーナ、A・・・駆動部、B・・・粉砕部、C・・・分級部、D・・・分配部、L1・・・上側分割コーン部材の高さ、L2・・・下側分割コーン部材の高さ、L3・・・センターコーンの高さ、L11・・・上側分割コーン部材の高さ、L12・・・中間分割コーン部材の高さ、L13・・・下側分割コーン部材の高さ、L14・・・センターコーンの高さ、θ1・・・上側分割コーン部材の傾斜角度、θ2・・・下側分割コーン部材の傾斜角度、d1・・・上側水平部の直径、d2・・・円周側板の下端直径、d3・・・中間水平部の直径、d4・・・円周側板の下端直径、d5・・・給炭管の内径。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕ローラなどの回転粉砕体と粉砕テーブルの共働により固体原料を粉砕して、その粉砕粒子を分級部で所定の粒度分布に調整することが可能な竪型粉砕装置に係り、特に石炭焚きボイラプラントの微粉炭製造装置として用いるのに好適な竪型粉砕装置に関する。
【0002】
以下、石炭を粉砕する場合を想定して、例えば粉砕原料を「石炭」、その粉砕原料を供給するための粉砕原料供給管を「給炭管」として説明するが、本発明の竪型粉砕装置が対象とする粉砕原料は、固体原料全般であり、原料の種類などを限定するものではない。
【背景技術】
【0003】
燃料として微粉炭を燃焼させる火力発電用の石炭焚きボイラプラントにおいて、微粉炭製造装置には竪型粉砕装置が従来から使用されている。
【0004】
図10は、従来の竪型粉砕装置の概略構成図である。
この竪型粉砕装置は、粉砕テーブル2を回転駆動させる駆動部Aと、粉砕テーブル2と粉砕ローラ3の噛み込みにより微粉炭の原料である石炭60を粉砕する粉砕部Bと、その粉砕部Bの上部に設置されて生成した粒子群を任意の粒度に分級する分級部Cと、その分級部Cで分級された微粉炭をボイラ装置(図示せず)に接続された複数本の微粉炭送給管31へ分配する分配部Dとから主に構成されている。
【0005】
次に、図10を用いてこの竪型粉砕装置の動作について説明する。
給炭管1より供給された塊状の石炭60は、矢印で示すように粉砕テーブル2の中央部に落下する。この粉砕テーブル2は、減速機50を介して駆動モータ51により回転駆動されている。粉砕部Bに落下した石炭60は、粉砕テーブル2の摩耗防止、石炭の分散性向上のため粉砕テーブル2の中央部上面に設置されたセンターコーン72に衝突し、回転に伴う遠心力によって粉砕テーブル2上を渦巻き状の軌跡を描いて外周部に形成された円周溝4へ移動され、粉砕テーブル2とタイヤ状の粉砕ローラ3との間に噛み込まれて粉砕される。
【0006】
この例では粉砕部材として粉砕ローラ3を使用しているが、粉砕ボールを使用する場合もある。これら粉砕部材(粉砕ローラや粉砕ボール)は粉砕テーブル2上に載置されて、粉砕テーブル2の回転に伴って粉砕テーブル2上を転動し、粉砕テーブル2と粉砕部材(粉砕ローラや粉砕ボール)の共働により、石炭60などを機械的に粉砕する。
【0007】
粉砕された粉体59は、粉砕テーブル2の周囲に設けられたスロート42から導入される高温の一次空気61(搬送・乾燥用空気を兼ねている)によって上方に吹き上げられる。この例は、粉砕テーブル2と共にスロート42が回転する回転式旋回流スロートと呼ばれるものであるが、スロート42が粉砕装置の外周ハウジング46に固定された固定式旋回流スロートの場合もある。
【0008】
吹き上げられた粉体59のうち、粒径が大きく、重いものは分級部Cへ搬送される途中で重力により落下し、粉砕部Bに戻される(一次分級)。分級部Cに到達した粒子群62は、固定フィン12および回転フィン21により粒子に旋回力が与えられ、所定の粒度以下の微粒子64と所定粒度を超えた粗粒子63とに分離される(二次分級)。
【0009】
この粗粒子63は前記固定フィン12の下方に設けられた回収用のホッパ11を通して粉砕部Bの粉砕テーブル2上へ落下して、再び粉砕される。一方、分級部Cを通過した微粒子64は、分配器30において複数の微粉炭送給管31に分配されて、燃料として図示しないボイラ装置へ気流搬送される。
【0010】
図に示すように前記ホッパ11の下端開口部10は、センターコーン72の中心軸線上で前記給炭管1の下端開口部と粉砕テーブルの間に配置され、センターコーン72に向けて開口している。
【0011】
この例では、二次分級に回転フィン12を用いる回転式分級機の例を示したが、固定された旋回羽根により粒子に旋回力を与え微粒子と粗粒子に分離する固定式分級機の場合もある。
【0012】
従来のセンターコーン72は、例えば特許文献1,2に記載されているように、上端部が尖った略円錐形状をしている(図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−113192号公報
【特許文献2】特開平7−275729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述のように粉砕テーブル2の中央部に設置されるセンターコーン72は、直上から石炭60や粗粒子63などの固体が落下して衝突するため、摩耗が激しく、部品の交換頻度は高が、従来のセンターコーン72は全体が一体物であり、大きくて重量もかなり重い。
【0015】
そのため従来、センターコーン72の交換時、それの周辺に存在する例えば加圧フレーム5、ローラブラケット6、ローラピボット7などの各種部材を取り除き、その後に粉砕ローラ3を取り出してから、センターコーン72の全体を交換していた。また交換後は、取り除いていた粉砕ローラ3、加圧フレーム5、ローラブラケット6、ローラピボット7などを元の状態に取り付ける必要がある。このようなことから、センターコーン72の交換作業に要する期間ならびに労力が多大であり、作業効率が悪かった。
【0016】
次に、粉砕テーブル2上に投入される被粉砕物(石炭60、粗粒子63)の粉砕テーブル2上での分散性、ならびにその被粉砕物の粉砕性に関する課題について説明する。
図11は、従来の竪型粉砕装置におけるセンターコーン72の周辺における被粉砕物の流れの様子を説明するための図で、同図(a)はセンターコーン72付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン72付近の拡大側面図である。
【0017】
図10に示すように、給炭管1から供給される石炭60ならびにホッパ11から回収された粗粒子63は粉砕部Bに投入され、センターコーン72に衝突して粉砕テーブル2上に分散される。このとき前記被粉砕物を粉砕テーブル2上(複数の粉砕ローラ3)に均等に供給するためには、理想的には図11(a)に示すように、センターコーン72の中心軸を中心とする被粉砕物の高濃度落下領域65を形成することである。
【0018】
しかし、給炭管1やホッパ11から落下する被粉砕物の高濃度落下領域の中心を、定常的にセンターコーン72の中心軸に合わせることは非常に困難である。実際には、例えば斜線で示すようにセンターコーン72の中心軸よりずれた高濃度落下領域66となることが多く、被粉砕物の水平面上での分布はセンターコーン72の中心軸に対して偏る傾向にある。
【0019】
従来のセンターコーン72の形状は円錐状をしているから、前述の不均等な分布そのままに半径方向外側へと前記被粉砕物を分散していた。そのためセンターコーン72上において図11(b)に示すように、被粉砕物の多い流れ67aと、被粉砕物の少ない流れ67bが生じてしまい、結局、粉砕テーブル2上に複数個設置されている粉砕ローラ3に対して定常的に均等に前記被粉砕物が供給されていなかった。
【0020】
このように複数個の粉砕ローラ3に対して定常的に均等に被粉砕物が供給されないと、以下のような問題が生じる。すなわち、
(1) 特定な粉砕ローラ3に前記被粉砕物が集中して粉砕効率が低下し、粉砕動力が増大する。
【0021】
(2) 粉砕ローラ3の磨耗に偏りが生じる。
【0022】
(3) 粉砕テーブル2上での被粉砕物の層が部分的に厚くなることにより、スロート42から吹き上げる1次空気61の流れに偏差が生じ、1次分級効率が低下する。
【0023】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、センターコーンの粉砕装置内からの取出しが容易で、交換にかかる時間や労力を削減でき、交換作業の効率化が図れ、複数個の粉砕ローラなどの粉砕部材に対して定常的に均等に被粉砕物が供給される竪型粉砕装置、微粉炭製造装置ならびにそれを備えた石炭焚きボイラプラントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記目的を達成するため、本発明は、
中央部上面にセンターコーンを設けて回転する粉砕テーブルと、
その粉砕テーブルの上に載置されて、粉砕テーブルの回転によって転動する複数個の例えば粉砕ローラなどの粉砕部材を備え、
前記センターコーンの上方から投入した例えば石炭などの被粉砕物を前記粉砕テーブルと粉砕部材の噛み込み部で粉砕する竪型粉砕装置を対象とするものである。
【0025】
そして本発明の第1の手段は、前記センターコーンがそれの高さ方向において複数段に分割されており、その分割コーン部材を積重して連結することにより前記センターコーンが構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記センターコーンが前記粉砕テーブルに着脱可能に固定されていることを特徴とするものである。
【0027】
本発明の第3の手段は前記第1の手段において、
前記センターコーンが、下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材から構成され、
前記上側分割コーン部材の高さをL1、下側分割コーン部材の高さをL2、センターコーンのトータル高さ(L1+L2)をL3としたときの、前記センターコーンのトータル高さL3に対する前記上側分割コーン部材の高さL1の比率(L1/L3)が、下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0028】
0.2≦L1/L3≦0.6
本発明の第4の手段は前記第1または第3の手段において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が異なっていることを特徴とするものである。
【0029】
本発明の第5の手段は前記第4の手段において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度が、上側分割コーン部材の傾斜角度よりも大きいことを特徴とするものである。
【0030】
本発明の第6の手段は前記第1または第3の手段において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が略等しいことを特徴とするものである。
【0031】
本発明の第7の手段は前記第4ないし第6の手段において、
前記各分割コーン部材の傾斜角度が、20°から50°の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0032】
本発明の第8の手段は前記第4または第5の手段において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度と、上側分割コーン部材の傾斜角度の差が、0°を超えて10°以下の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0033】
本発明の第9の手段は前記第1ないし第8の手段において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材と上側分割コーン部材の接合部に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の中間水平部が設けられていることを特徴とするものである。
【0034】
本発明の第10の手段は前記第9の手段において、
前記中間水平部が、前記下側分割コーン部材の例えば後述する上側円板などの上側部分と上側分割コーン部材の例えば後述する下側円板などの下側部分によって構成され、下側分割コーン部材と上側分割コーン部材を連結したり分離したりする連結・分離部になっていることを特徴とするものである。
【0035】
本発明の第11の手段は前記第9または第10の手段において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記中間水平部の直径をd3、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記中間水平部の直径d3の比率(d3/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0036】
0.5≦d3/d5≦1.5
本発明の第12の手段は前記第1ないし第11の手段において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記上側分割コーン部材を構成する円周側板の下端直径をd2、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の円周側板の下端直径d2の比率(d2/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0037】
0.4≦d2/d5≦1.0
本発明の第13の手段は前記第1ないし第12の手段において、
前記センターコーンの最も上側に配置される最上段の分割コーン部材の頂面に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の上側水平部が設けられていることを特徴とするものである。
【0038】
本発明の第14の手段は前記第13の手段において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記最上段分割コーン部材の上側水平部の直径をd1、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の上側水平部の直径d1の比率(d1/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とするものである。
【0039】
0.05≦d1/d5≦0.2
本発明の第15の手段は、
竪型粉砕装置と、
粉砕すべき石炭を前記竪型粉砕装置の上部から投入する給炭管と、
前記竪型粉砕装置で粉砕して生成された微粉炭を微粉炭供給先に送給する微粉炭送給管を備えた微粉炭製造装置において、
前記竪型粉砕装置が前記第1ないし第15の手段の竪型粉砕装置であることを特徴とするものである。
【0040】
本発明の第16の手段は前記第15の手段において、
前記竪型粉砕装置の粉砕テーブルの周囲にスロートが設けられ、
前記粉砕テーブルの上方に回収ホッパを有する分級手段が設けられており、
前記粉砕テーブルと転動粉砕部材との噛み込み部で粉砕された石炭の粒子群を前記スロートから導入した搬送用気体で上方の分級手段側に吹き上げて、
前記分級手段により前記粒子群を微粉炭と粗粒子に分けて、その粗粒子を前記回収ホッパを通して前記センターコーンの上方から落下させて再び粉砕する構成になっていることを特徴とするものである。
【0041】
本発明の第17の手段は、
微粉炭製造装置と、
その微粉炭製造装置で製造した微粉炭を導入して燃焼させる石炭焚きボイラ装置とを備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記微粉炭製造装置が前記第15または第16の手段の微粉炭製造装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0042】
本発明は前述のように、粉砕テーブルに取り付けられたセンターコーンを上下2段以上に分割することができるので、被粉砕物の落下衝撃による摩耗・損傷が激しい分割コーン部材だけの交換が可能である。この分割コーン部材は、重量が軽く、大きさも小さいから、粉砕装置内からの取出しが容易になり、交換にかかる時間や労力を削減でき、交換作業の効率化が図れる。
【0043】
また、センターコーンを構成する個々の分割コーン部材は大きさが小さく、軽量であるから、分割コーン部材の製作ならびに補修が容易である。
【0044】
さらに複数個の粉砕部材に対して定常的に均等に被粉砕物が供給されるから、特定な粉砕部材に被粉砕物が集中して粉砕効率が低下したり、粉砕動力が増大したり、粉砕部材の磨耗に偏りが生じたり、スロートから吹き上げる搬送用気体の流れに偏差が生じて、1次分級効率が低下するなどの欠点も解消される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
【図2】その竪型粉砕装置に用いられるセンターコーンの拡大断面図である。
【図3】そのセンターコーンの拡大平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るセンターコーン周辺における被粉砕物の流れの様子を説明するための図で、同図(a)はセンターコーン付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン付近の拡大側面図である。
【図5】従来の竪型粉砕装置に用いられるセンターコーンでの被粉砕物の反発の様子を示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るセンターコーンでの被粉砕物の反発の様子を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るセンターコーンの拡大断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るセンターコーンの拡大側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚きボイラプラントの系統図である。
【図10】従来の竪型粉砕装置の一例を示す概略構造図である。
【図11】従来の竪型粉砕装置におけるセンターコーン周辺における被粉砕物の流れの様子を説明するための図で、同図(a)はセンターコーン付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン付近の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に本発明の実施形態を図と共に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る竪型粉砕装置の概略構成図である。
この実施形態において、前記図10に示した従来の竪型粉砕装置と相違する点は、センターコーン75の構成である。図2はこのセンターコーン75の構成を説明するための拡大断面図、図3はこのセンターコーン75の拡大平面図である。
【0047】
図1ないし図3に示すように、センターコーン75は、略円錐台形をした下側分割コーン部材70と、その下側分割コーン部材70の上部中央に設置されて同様に略円錐台形をした上側分割コーン部材71とから構成されている。上側分割コーン部材71は下側分割コーン部材70と同じ略円錐台形をしているが、全体の大きさは下側分割コーン部材70よりも小さい。
【0048】
前記下側分割コーン部材70は、下側円板76と、その下側円板76の上に設置されて下方に向けて末広がり状に傾斜した円周側板77と、その円周側板77の上に設置された上側円板78から構成されて、中空状で全体の形状が略円錐台形になっている。下側円板76の直径d7は円周側板77の下端直径d4よりも若干径大になっており、この径の差により下側円板76の外周部にセンターコーン取り付け部68が形成されている。
【0049】
また、前記上側分割コーン部材71は、下側円板79と、その下側円板79の上に設置されて下方に向けて末広がり状に傾斜した円周側板80と、その円周側板80の上に設置された上側円板81から構成されて、中空状で全体の形状が略円錐台形になっている。
【0050】
下側分割コーン部材70の上側円板78と上側分割コーン部材71の下側円板79は同径で、上側円板78と下側円板79の直径d3は円周側板80の下端直径d2よりも若干径大になっており、この径の差により上側円板78、下側円板79の外周部に中間水平部73が形成されている。
【0051】
また、センターコーン75を組み立てる際に上側円板78の上に下側円板79を載せて、上側円板78、下側円板79の円周側板80より外側のフランジ部(中間水平部73)において複数のボルト67で締め付けることにより、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71が連結される。また、このボルト67を緩めることにより、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71が分離される。従って、この下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の接合部に形成されている中間水平部73は、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の連結・分離部を兼ねている。
【0052】
このように下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71は分離可能になっており、個々には大きさが小さく、軽量であるから、装置外周のハウジング46の側面に設けられたメンテナンスドア(図示せず)の開口部から、上側分割コーン部材7あるいは(ならびに)下側分割コーン部材70を直接出し入れできる。
【0053】
そのため分割コーン部材の交換に当たっては、従来のようにセンターコーン周辺の他の部材を取り除き、交換後に再び設置するなどの大掛かりな作業は不要であり、交換作業が簡便となり、効率化の向上が図れる。
【0054】
図2に示すようにセンターコーン75の下部外周部にはセンターコーン取り付け部68が設けられており、この部分を複数本のボルト82によって粉砕テーブル2に固定することにより、センターコーン75自体も粉砕テーブル2に対して交換可能に取り付けられる。
【0055】
前述のように上側円板78と下側円板79で中間水平部73が構成されており、図3に示すようにこの中間水平部73(斜線部分)はセンターコーン75の中心軸84を中心とする同心円状になっている。
【0056】
本実施形態の場合はセンターコーン75が上下2段に分割されて、上側分割コーン部材71が最上段の分割コーン部材となっており、その上側分割コーン部材71の頂部には上側円板81によってセンターコーン75の中心軸84を中心とする同心円状の上側水平部74(斜線部分)が構成されている。これら中間水平部73と上側水平部74の機能については、後で説明する。
【0057】
前記上側水平部74を、例えば略半球形状の丸みを帯びたものや円錐のように上部が尖った形状の鋳造物などからなる耐摩耗性カバーで覆うと、センターコーン75のうちで最も磨耗が著しいセンターコーン上部の耐摩耗性を局部的に高めることができる。また、略円錐台形の上側分割コーン部材71自体を耐摩耗性に優れた材料で構成することも可能である。
【0058】
図2に示すように、上側分割コーン部材71の高さをL1、下側分割コーン部材70の高さをL2、センターコーン75のトータルの高さをL3として、比較的摩耗の激しい領域が下側分割コーン部材70に及ばないことで、頻繁に交換する部材を上側分割コーン部材71に限定(特定)することができ、部品交換の際の利便性が高まるという考え方で、前記被粉砕物の落下衝撃によるセンターコーン75の全体の摩耗状況を観察してみた。
【0059】
その結果、上側分割コーン部材71の高さL1をトータルの高さL3で無次元化して表した際、すなわち、センターコーン75のトータル高さL3に対する上側分割コーン部材71の高さL1の比率(L1/L3)は0.2より大きい方が好ましいことが分かった。また、摩耗で取り替えることを考慮すると、上側分割コーン部材71はできるだけ小さいほうが好ましいため比率(L1/L3)は0.6より小さくするのが良いことも分かった。よって、センターコーン75の全体の高さL3に対する上側分割コーン部材71の高さL1の比率(L1/L3)を下記の範囲に規制することが望ましい。
【0060】
0.2≦L1/L3≦0.6
図2に示すように、下側分割コーン部材70の下側円板76(底面)と円周側板77のなす角度、すなわち下側分割コーン部材70の傾斜周面の傾斜角度をθ2、上側分割コーン部材71の下側円板79(底面)と円周側板80のなす角度、すなわち上側分割コーン部材71の傾斜周面の傾斜角度をθ1とする。粒子はある所定の角度(安息角)で山なりに溜まる性質があるため、前記傾斜角度θ1、θ2が不適切であれば、前記粉砕粒子はうまく分散されず、そのため粉砕ローラ3で均等に粉砕されない。
【0061】
粒子を均等に分散させるためには、前記傾斜角度θ1とθ2を被粉砕物の安息角以上にすることが望ましい。一般的な粉体の安息角はおよそ15°〜40°である。よって、傾斜角度θ1とθ2は下記の範囲であることが望ましい。
【0062】
20°≦θ1,θ2≦50°
本実施形態ではθ1=θ2=40°としているが、θ1とθ2は前述の範囲において任意に設定可能である。
【0063】
下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の分割部に設けられた同心円状の水平部73の機能を図4と図11を用いて説明する。
図11で説明したように従来の円錐形のセンターコーン72では、被粉砕物(石炭60ならびに粗粒子63)の実際の高濃度落下領域66は斜線で示すようにセンターコーン72の中心軸よりずれることが多く、被粉砕物の水平面上における分布が不均等となる。そのためセンターコーン72上において図11(b)に示すように、被粉砕物の多い流れ67aと、被粉砕物の少ない流れ67bなどが生じてしまい、結局、粉砕テーブル2上に複数個設置されている粉砕ローラ3に対して定常的に均等に被粉砕物が供給されていなかった。
【0064】
図4は、本実施形態に係るセンターコーン75の周辺における粒子の流れを説明するための図で、同図(a)はセンターコーン75付近の拡大平面図、同図(b)はセンターコーン75付近の拡大側面図である。
【0065】
図4(a)に示すように、実際の高濃度領域66より落下する被粉砕物(石炭60ならびに粗粒子63)はセンターコーン75の中心から偏った状態で上側分割コーン部材71上に落下する。その結果、図4(b)に示すように、被粉砕物の多い流れ67aと、被粉砕物の少ない流れ67bが生じるが、センターコーン分割部(中間部)に設けた同心円状の中間水平部73に一旦粒子が溜まる。図中の符号83aは、中間水平部73上に溜まった粒子を示している。このように中間水平部73は堰やバッファタンクのような粒子滞留機能を有しており、落下して来た被粉砕物が一旦中間水平部73に滞留する。
【0066】
また、センターコーン75は粉砕テーブル2とともに回転しているため、前記中間水平部73に滞留していた粒子83aは回転時の遠心力と振動により、順次、各粉砕ローラ3(粉砕テーブル2)側へ分配される。よって、この中間水平部73の粒子の滞留と滞留粒子のばら撒きの効果により、粉砕テーブル2上に分散する粒子の周方向の偏差が小さくなり、従来は各粉砕ローラ3で偏っていた被粉砕物が均等に分散され、そのため各粉砕ローラ3で粒子が均等に粉砕される。
【0067】
ここで、センターコーン75の摩耗状況から判断すると、実際の高濃度落下領域66の直径d6は給炭管1の内径d5の約半分であることを考慮し、高濃度落下領域66が前記中間水平部73より外側にあることは望ましくないので、中間水平部73の直径d3は給炭管1の内径d5の0.5倍以上とすることが好ましい。
【0068】
また、上側分割コーン部材71の交換時の利便性を考慮すると、中間水平部73の直径d3は、給炭管1の内径d5の1.5倍以下が望ましい。よって、中間水平部73の直径d3を給炭管1の内径d5で無次元化して表すと、すなわち、給炭管1の内径d5に対する中間水平部73の直径d3の比率(d3/d5)は下記の範囲であることが望ましい。
【0069】
0.5≦d3/d5≦1.5
また、略円錐台形をした上側分割コーン部材71の底面直径(円周側板80の下端直径)d2については、給炭管1の中の高濃度領域66が上側分割コーン部材71の円錐傾斜部(円周側板80)に衝突する方が粒子が均等に分散するので、大きい方が好ましいが、上側分割コーン部材71の交換時の利便性も考慮する必要がある。前記中間水平部73の直径d3の好適な範囲を考慮すると、上側分割コーン部材71の底面直径d2の好適な範囲は給炭管1の内径d5で無次元化して表すと、すなわち、給炭管1の内径d5に対する上側分割コーン部材71の底面直径d2の比率(d2/d5)は下記の範囲となる。
【0070】
0.4≦d2/d5≦1.0
上側分割コーン部材71の頂部に設けられている上側水平部74も前記中間水平部73と同様の機能を有しており、上側水平部74上での被粉砕物の滞留と、粉砕テーブル2(センターコーン75)の回転に伴う前記滞留粒子のばら撒きで、偏差が無くなるため、各粉砕ローラ3で偏っていた被粉砕物が均等に分散するようになる。図中の符号83bは、上側水平部74上に溜まった粒子である。
【0071】
前記中間水平部73とこの上側水平部74を組み合わせることにより、中間水平部73でカバーできないほど給炭管1からの高濃度落下領域66の中心軸がセンターコーン75の中心軸からずれていたとしても、上側分割コーン部材71の上側水平部74で偏差がならされるため、各粉砕ローラ3に均等に被粉砕物を供給できるという効果がある。
【0072】
交換の際の利便性と上側水平部74の機能を考慮すると、上側分割コーン部材71の上側水平部74の直径d1の好ましい範囲は、給炭管1の内径d5で無次元化して表すと、すなわち、給炭管1の内径d5に対する上側分割コーン部材71の上側水平部74の直径d1の比率(d1/d5)は、下記の範囲であることが望ましい。
【0073】
0.05≦d1/d5≦0.2
また本発明では、落下する被粉砕物が衝突して反発する反発面として、下側分割コーン部材70と上側分割コーン部材71の傾斜周面および2段の水平部73、74を設けている。
図5は、従来のセンターコーン72での被粉砕物85の反発の様子を示す図である。前述のように従来のセンターコーン72の場合、回避が困難な被粉砕物85の不均等な水平面上の分布がそのままの状態で径方向外側へと分散されるので、粉砕テーブル2の周方向に複数個設けられている粉砕ローラ3に対して均等に被粉砕物が供給されない。
【0074】
これに対して図6は、本実施形態に係るセンターコーン75での被粉砕物85の反発の様子を示す図である。同図に示すようにセンターコーン75の上側から下側にかけて、上側水平部74と、上側分割コーン部材71の傾斜周面と、中間水平部73と、下側分割コーン部材70の傾斜周面が段々に設けられて、粒子の反発面として水平面と傾斜周面が交互になっている。
【0075】
このように被粉砕物85が衝突・反発する面を多数設け、その反発面も形態が異なる(水平面と傾斜周面)ことから、図6に示すように被粉砕物85は様々な方向に反発して分散する。そのため、被粉砕物の水平面上の分布の偏差、(径方向の偏差)を小さくすることができるとともに、前記水平部73、74の機能による周方向の偏差の縮小により、被粉砕物85は従来のセンターコーン使用時よりも複数個ある粉砕ローラ3に均等に供給されるため、粉砕効率の向上が図れる。
【0076】
図7は、本発明の第2実施形態に係るセンターコーン75の拡大断面図である。
本実施形態で図2に示す第1実施形態と相違する点は、下側分割コーン部材70の下側円板76(底面)と円周側板77のなす傾斜角度θ2と、上側分割コーン部材71の下側円板79(底面)と円周側板80のなす傾斜角度θ1を異にした点である(θ2≠θ1)。
【0077】
なお、図7に示した実施形態では上側分割コーン部材71の傾斜角度θ1を、下側分割コーン部材70の傾斜角度θ2よりも小さくしたが(θ2>θ1)、反対にθ1>θ2とすることも可能である。
【0078】
このように傾斜角度θ1と傾斜角度θ2が異なると、下側分割コーン部材70ならびに上側分割コーン部材71の傾斜面に衝突する被粉砕物の反発角は各傾斜面で異なる。よって、各傾斜面で反発する粒子群の径方向の分布範囲(飛散範囲)が実質的に拡張され、そのために広範囲に粒子が分散する。即ち、粉砕テーブル2上に分散する粒子群の半径方向の偏差を小さくすることができ、そのために被粉砕物の分散性をさらに向上することができる。
【0079】
ここで、角度θ1とθ2の角度差が大きいと、粒子の反発角度の違いから、粒子は半径方向の特定の複数箇所に集中する傾向がある。よって、角度θ1とθ2の角度差(θ2−θ1あるいはθ1−θ2)が下記の範囲であれば、被粉砕物を各粉砕ローラ3に均等に分散させることができる。
【0080】
0°<θ2−θ1≦10°あるいは0°<θ1−θ2≦10°
なお、本実施形態においても、上側分割コーン部材71ならびに下側分割コーン部材70の角度θ1やθ2、上側分割コーン部材71の高さL1、下側分割コーン部材70の高さL2、中間水平部73の直径d3、上側分割コーン部材71の底面直径d2、上側水平部74の直径d1などの好ましい範囲は、前記第1実施形態で説明した範囲と同じである。
【0081】
図8は、本発明の第3実施形態に係るセンターコーン75の拡大断面図である。
本実施形態で図2に示す第1実施形態と相違する主な点は、センターコーン75が下側分割コーン部材86と中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の3段構成となっている点である。
そして前記上側分割コーン部材86と中間コーン部材87の間には下側中間水平部89が、中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の間には上側中間水平部90が、また、上側分割コーン部材88の頂面には上側水平部91が、それぞれ形成されている。これら下側中間水平部89、上側中間水平部90ならびに上側水平部91は、センターコーン75の中心軸84を中心にして同心円状に形成されている。
【0082】
また、本実施形態の場合、下側分割コーン部材86と中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の傾斜周面の傾斜角度θが、図に示すようにθ3>θ2=θ1となっている。なお、各傾斜角度θの望ましい選択範囲は前記第1実施形態と同様に20°以上、50°以下である。
【0083】
本実施形態の場合、下側分割コーン部材86と中間コーン部材87と上側分割コーン部材88の傾斜周面の傾斜角度θをθ3>θ2=θ1としたが、θ3>θ2>θ1として、被粉砕物による磨耗範囲を部材交換が最も簡便な上側分割コーン部材88に集中させることも可能である。
【0084】
本実施形態では図8に示すように、上側分割コーン部材88の高さをL11、中間コーン部材87の高さをL12、下側分割コーン部材86の高さをL13、センターコーン75のトータルの高さをL14とした場合、交換が可能な上側分割コーン部材88の高さL11と中間コーン部材87の高さL12のセンターコーン75の全体の高さL14に対する比率〔(L11+L12)/L14〕を下記の範囲に規制することが望ましい。
【0085】
0.2≦〔(L11+L12)/L14〕≦0.6
図9は、前記実施形態に係る竪型粉砕装置を備えた石炭焚きボイラプラントの系統図である。
粉砕される塊状の石炭60が搬入コンベア101により石炭バンカ102に投入され、その後、石炭60は計量器103で計量され、給炭管1を通して竪型粉砕装置104内に投入される。また、竪型粉砕装置104の下部からは粒子の搬送と乾燥を兼ねた高温の一次空気61が供給され、前述のようにして竪型粉砕装置104内で石炭60の粉砕と分級がなされ、所定の粒径以下の微粉炭が石炭焚きボイラ装置105のバーナ106にそれぞれ供給されて、炉内で燃焼する。
【0086】
この燃焼によって生成した燃焼排ガスは、脱硝装置107、空気予熱器108ならびに電気集塵機109などを通って浄化され、図示しない煙突から大気へ放出される。
【0087】
前記実施形態では石炭を単独で粉砕する場合を説明したが、石炭を主体にした木質ペレットなどのバイオマスとの混合物を粉砕する竪型粉砕装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1・・・給炭管、2・・・粉砕テーブル、3・・・粉砕ローラ、4・・・円周溝、10・・・ホッパの下端開口部、11・・・ホッパ、12・・・固定フィン、21・・・回転フィン、31・・・微粉炭送給管、42・・・スロート、46・・・ハウジング、59・・・粉体、60・・・石炭、61・・・一次空気、62・・・粒子群、63・・・粗粒子、64・・・微粒子、65・・・理想的な被粉砕物の高濃度落下領域、66・・・実際の被粉砕物の高濃度落下領域、67a・・・被粉砕物の多い流れ、67b・・・被粉砕物の少ない流れ、68・・・センターコーン取り付け部、70・・・下側分割コーン部材、71・・・上側分割コーン部材、73・・・中間水平部、74・・・上側水平部、75・・・センターコーン、76・・・下側円板、77・・・円周側板、78・・・上側円板、79・・・下側円板、80・・・円周側板、81・・・上側円板、82・・・ボルト、83a・・・中間水平部に溜まった粒子、83b・・・上側水平部に溜まった粒子、84・・・センターコーンの中心軸、85・・・被粉砕物、104・・・竪型粉砕装置、105・・・石炭焚きボイラ装置、106・・・バーナ、A・・・駆動部、B・・・粉砕部、C・・・分級部、D・・・分配部、L1・・・上側分割コーン部材の高さ、L2・・・下側分割コーン部材の高さ、L3・・・センターコーンの高さ、L11・・・上側分割コーン部材の高さ、L12・・・中間分割コーン部材の高さ、L13・・・下側分割コーン部材の高さ、L14・・・センターコーンの高さ、θ1・・・上側分割コーン部材の傾斜角度、θ2・・・下側分割コーン部材の傾斜角度、d1・・・上側水平部の直径、d2・・・円周側板の下端直径、d3・・・中間水平部の直径、d4・・・円周側板の下端直径、d5・・・給炭管の内径。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部上面にセンターコーンを設けて回転する粉砕テーブルと、
その粉砕テーブルの上に載置されて、粉砕テーブルの回転によって転動する複数個の粉砕部材を備え、
前記センターコーンの上方から投入した被粉砕物を前記粉砕テーブルと粉砕部材の噛み込み部で粉砕する竪型粉砕装置において、
前記センターコーンがそれの高さ方向において複数段に分割されており、その分割コーン部材を積重して連結することにより前記センターコーンが構成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが前記粉砕テーブルに着脱可能に固定されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項3】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが、下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材から構成され、
前記上側分割コーン部材の高さをL1、下側分割コーン部材の高さをL2、センターコーンのトータル高さ(L1+L2)をL3としたときの、前記センターコーンのトータル高さL3に対する前記上側分割コーン部材の高さL1の比率(L1/L3)が、下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.2≦L1/L3≦0.6
【請求項4】
請求項1または3に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が異なっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項5】
請求項4に記載の竪型粉砕装置において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度が、上側分割コーン部材の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項6】
請求項1または3に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が略等しいことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記各分割コーン部材の傾斜角度が、20°から50°の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項8】
請求項4または5に記載の竪型粉砕装置において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度と、上側分割コーン部材の傾斜角度の差が、0°を超えて10°以下の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材と上側分割コーン部材の接合部に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の中間水平部が設けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項10】
請求項9に記載の竪型粉砕装置において、
前記中間水平部が、前記下側分割コーン部材の上側部分と上側分割コーン部材の下側部分によって構成され、下側分割コーン部材と上側分割コーン部材を連結したり分離したりする連結・分離部になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記中間水平部の直径をd3、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記中間水平部の直径d3の比率(d3/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.5≦d3/d5≦1.5
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記上側分割コーン部材を構成する円周側板の下端直径をd2、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の円周側板の下端直径d2の比率(d2/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.4≦d2/d5≦1.0
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの最も上側に配置される最上段の分割コーン部材の頂面に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の上側水平部が設けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項14】
請求項13に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記最上段分割コーン部材の上側水平部の直径をd1、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の上側水平部の直径d1の比率(d1/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.05≦d1/d5≦0.2
【請求項15】
竪型粉砕装置と、
粉砕すべき石炭を前記竪型粉砕装置の上部から投入する給炭管と、
前記竪型粉砕装置で粉砕して生成された微粉炭を微粉炭供給先に送給する微粉炭送給管を備えた微粉炭製造装置において、
前記竪型粉砕装置が請求項1ないし15のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする微粉炭製造装置。
【請求項16】
請求項15に記載の微粉炭製造装置において、
前記竪型粉砕装置の粉砕テーブルの周囲にスロートが設けられ、
前記粉砕テーブルの上方に回収ホッパを有する分級手段が設けられており、
前記粉砕テーブルと転動粉砕部材との噛み込み部で粉砕された石炭の粒子群を前記スロートから導入した搬送用気体で上方の分級手段側に吹き上げて、
前記分級手段により前記粒子群を微粉炭と粗粒子に分けて、その粗粒子を前記回収ホッパを通して前記センターコーンの上方から落下させて再び粉砕する構成になっていることを特徴とする微粉炭製造装置。
【請求項17】
微粉炭製造装置と、
その微粉炭製造装置で製造した微粉炭を導入して燃焼させる石炭焚きボイラ装置とを備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記微粉炭製造装置が請求項15または16に記載の微粉炭製造装置であることを特徴とする石炭焚きボイラプラント。
【請求項1】
中央部上面にセンターコーンを設けて回転する粉砕テーブルと、
その粉砕テーブルの上に載置されて、粉砕テーブルの回転によって転動する複数個の粉砕部材を備え、
前記センターコーンの上方から投入した被粉砕物を前記粉砕テーブルと粉砕部材の噛み込み部で粉砕する竪型粉砕装置において、
前記センターコーンがそれの高さ方向において複数段に分割されており、その分割コーン部材を積重して連結することにより前記センターコーンが構成されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項2】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが前記粉砕テーブルに着脱可能に固定されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項3】
請求項1に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが、下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材から構成され、
前記上側分割コーン部材の高さをL1、下側分割コーン部材の高さをL2、センターコーンのトータル高さ(L1+L2)をL3としたときの、前記センターコーンのトータル高さL3に対する前記上側分割コーン部材の高さL1の比率(L1/L3)が、下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.2≦L1/L3≦0.6
【請求項4】
請求項1または3に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が異なっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項5】
請求項4に記載の竪型粉砕装置において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度が、上側分割コーン部材の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項6】
請求項1または3に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、センターコーンの上側を構成する上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度と、上側分割コーン部材の底面と傾斜周面とのなす傾斜角度が略等しいことを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記各分割コーン部材の傾斜角度が、20°から50°の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項8】
請求項4または5に記載の竪型粉砕装置において、
前記下側分割コーン部材の傾斜角度と、上側分割コーン部材の傾斜角度の差が、0°を超えて10°以下の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンが少なくとも、当該センターコーンの下側を構成する下側分割コーン部材と、その下側分割コーン部材の上側に配置される上側分割コーン部材を有し、
前記下側分割コーン部材と上側分割コーン部材の接合部に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の中間水平部が設けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項10】
請求項9に記載の竪型粉砕装置において、
前記中間水平部が、前記下側分割コーン部材の上側部分と上側分割コーン部材の下側部分によって構成され、下側分割コーン部材と上側分割コーン部材を連結したり分離したりする連結・分離部になっていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記中間水平部の直径をd3、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記中間水平部の直径d3の比率(d3/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.5≦d3/d5≦1.5
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記上側分割コーン部材を構成する円周側板の下端直径をd2、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の円周側板の下端直径d2の比率(d2/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.4≦d2/d5≦1.0
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの最も上側に配置される最上段の分割コーン部材の頂面に、当該センターコーンの中心軸と同心円状の上側水平部が設けられていることを特徴とする竪型粉砕装置。
【請求項14】
請求項13に記載の竪型粉砕装置において、
前記センターコーンの上方に前記被粉砕物を投入する粉砕原料供給管が接続されており、
前記最上段分割コーン部材の上側水平部の直径をd1、前記粉砕原料供給管の内径をd5としたときの、前記粉砕原料供給管の内径d5に対する前記上側分割コーン部材の上側水平部の直径d1の比率(d1/d5)が下記の範囲に規制されていることを特徴とする竪型粉砕装置。
0.05≦d1/d5≦0.2
【請求項15】
竪型粉砕装置と、
粉砕すべき石炭を前記竪型粉砕装置の上部から投入する給炭管と、
前記竪型粉砕装置で粉砕して生成された微粉炭を微粉炭供給先に送給する微粉炭送給管を備えた微粉炭製造装置において、
前記竪型粉砕装置が請求項1ないし15のいずれか1項に記載の竪型粉砕装置であることを特徴とする微粉炭製造装置。
【請求項16】
請求項15に記載の微粉炭製造装置において、
前記竪型粉砕装置の粉砕テーブルの周囲にスロートが設けられ、
前記粉砕テーブルの上方に回収ホッパを有する分級手段が設けられており、
前記粉砕テーブルと転動粉砕部材との噛み込み部で粉砕された石炭の粒子群を前記スロートから導入した搬送用気体で上方の分級手段側に吹き上げて、
前記分級手段により前記粒子群を微粉炭と粗粒子に分けて、その粗粒子を前記回収ホッパを通して前記センターコーンの上方から落下させて再び粉砕する構成になっていることを特徴とする微粉炭製造装置。
【請求項17】
微粉炭製造装置と、
その微粉炭製造装置で製造した微粉炭を導入して燃焼させる石炭焚きボイラ装置とを備えた石炭焚きボイラプラントにおいて、
前記微粉炭製造装置が請求項15または16に記載の微粉炭製造装置であることを特徴とする石炭焚きボイラプラント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−223675(P2012−223675A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91344(P2011−91344)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000005441)バブコック日立株式会社 (683)
【Fターム(参考)】
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