説明

端子を電線上にクリンプするためのツール及び方法

本発明は、ケーブルの端部端子(34)の絶縁被覆を取り除かれた部分及び絶縁被覆された部分を同時に受け入れるために、ケーブルの端部端子(34)を圧着するツール(1)に関する。本発明の圧着ツールは、前記端子をケーブルの導電性心線と絶縁シース(sheath)とのそれぞれの上に接触させる第1及び第2の層と、該第1及び第2の層を実質的に同時に起動する手段(2、4)とを備えている。少なくとも一の回転可能な要素(30)は、少なくとも一の圧着要素と少なくとも一の層のカム(12、22)との間に配置され、前記回転可能な要素は、少なくとも二の圧着要素に対する位置を取ることができる。また、端子を、その絶縁シース及び導電性心材の上で同時に圧着する方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子を電線の端部に圧着するためのツールに関する。また、本発明は、端子を電線の端部に圧着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の航空機は多数の電線を備えている。これらの電線は、通常、電気的に絶縁する被覆材(jacket)によって周囲を囲まれた銅の導電性心線で構成されている。従来、銅線の端部は被覆をはがされ、コネクターの端子が前記端部のそれぞれの導電性心線に圧着され、電線の電気的接合がなされている。航空機を製造するときに必要とされる所定の数の電線及び配線の長さは、近代的な民間乗用航空機では数百キログラムに(例えば数人の乗客に相当する)達する。航空機の性能を改善するために、銅線を少なくとも部分的に、銅線より軽量のアルミニウム線に置き換えることに興味がもたれている。銅線と同様に、アルミニウム線は、通常はプラスティック材料の絶縁被覆材によって周りを取り囲まれているアルミニウムの導電性心線から構成されている。
【0003】
アルミニウム線の電気的接続のため、コネクターの端子を前記電線のそれぞれの端部に位置させることが望ましい。銅線に使用されるのと同様の端子の使用は、これらの端子が導電性の心線にだけ圧着され、よって周囲の空気と部分的に接触する場合があるので、満足できるものではない。アルミニウムは、空気と接触すると銅よりはるかに早く酸化する金属である。また、アルミニウムの酸化物は、電気的な絶縁層を形成し、よって電線の導電性心材と、その端部に圧着されるコネクターの端子との間の電気的導通に有害である。
【0004】
この問題を解決するための一の既知の方法は、導電性心材に圧着することの可能な第1の部分と絶縁被覆部に気密に圧着することの可能な第2の部分を備える端子の使用から構成されている。よって、一旦端子がアルミニウム線の端部に圧着されると、導電性心材は周囲の空気にはもはや接触することは無く、上述の酸化による問題を回避することができる。特許文献1、特許文献2、及び特許文献3は、アルミニウム線に好適な、電線を端子に接続する方法及び前記端子のための圧着ツールに関している。しかし、これらに記載された発明は、部分的に切り取られた形状の外面を有する端子の使用を必要とし、よって、少なくとも圧着される部品に関しては外形が円柱形状の端子には適用することができない。
【0005】
特許文献4及び特許文献5は、一の実施形態において、端子を電線の導電性心材と電線の絶縁被覆を剥がしていない部分との両方に圧着するツールに関している。このツールは、同時に駆動される2つの層を形成するヒンジ状の顎板(jaw blade)を備え、一方が導電性心材への端子の圧着を確実にし、他方が絶縁被覆部への端子の圧着を確実にしている。しかし、絶縁被覆部に圧着される端子の部分は、周囲が実質的に三角形状に配置され、凹状の部分によって共に結合される3つの平面状側面を備える部分を有している。この部分の形状は、特に、端子をコネクターの中に挿入し、コネクターから取り外すために使用されるツールで絶縁被覆部に圧着される端子の部分が略楕円形状及び好ましくは円形状である必要があるので、航空機に使用されるコネクターの端子としては好適ではない。また、絶縁被覆部に端子を圧着するとき、最高の気密性は略楕円形状及び好ましくは円形状である部分を有する端子によって得られる。導電性心材への前記端子の圧着は、好ましくは、端子の周囲に亘って分配された凹部を備える部分を有し、よって、機械的な引っ張りへの抵抗の特性と、良好な電気的接続の特性とが得られる。この圧着は、絶縁被覆部への前記端子の圧着と実質的に同時に行われなければならず、よって、第1に酸化に対する保護を有する最高の気密特性が、第2に導電性心材への圧着と、絶縁被覆部への圧着との間の反復距離の保証が、得られる。
【0006】
特許文献6は、略円形状の部分に沿って端子を圧着するために使用することのできるツールに関している。しかし、このツールは1回に一の圧着作業しかすることができず、よって、アルミニウム線へのコネクターの端子の圧着には好適ではない。
【特許文献1】仏国特許発明第2686459号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2708150号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2710788号明細書
【特許文献4】仏国特許発明第1240942号明細書
【特許文献5】米国特許第2985047号明細書
【特許文献6】米国特許第3713322号明細書
【特許文献7】国際公開2004/021523号公開パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
米国特許出願2004/072378号明細書及び特許文献7は、2つの圧着層を備えるツールについて記載しており、電線の導電性心材及びこの電線の絶縁被覆部の両方に同時に端子を圧着するために使用することができる。しかし、特に2つの圧着層が並列していることによって、前記ツールは取っ手の圧迫に強い力を必要とする。これらの力は、電線の直径が大きくなればなるほど大きくなる。ツールが圧着の完了時にその静止位置に戻るとき、これらの力は特に障害となる。また、前記力はツールのいくつかの部品を迅速に消耗させてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの問題は、本発明の少なくとも電線の端部に端子を圧着するためのツールを有する部分によって解決され、前記電線の端部は、前記電線の導電性心材が露出している剥がされた部分と、この導電性心材が絶縁材料で被覆されている絶縁部分とを有し、前記端子は、前記端子の長手方向の軸と同心であるとともに、前記電線の端部の前記剥がされた部分と前記絶縁された部分との両方を収容することのできる孔部を備え、前記圧着ツールは、
− 前記端子の第1の部分を電線の導電性心材に圧着する第1の層と、
− 前記端子の第2の部分を電線の絶縁被覆部に圧着する第2の層と、
− 前記第1及び第2の層を実質的に同時に駆動する手段と、
を備え、
− 前記第1及び第2の層は、圧着動作中に、圧着される端子に対して移動することのできる圧着部材を備え、
− 前記第1及び第2の層の少なくとも一方は、その層の圧着部材と協働するとともに圧着部材を移動させるカムを備え、圧着部材が圧着動作の間に端子を圧着する、
ことを特徴とし、また、このツールは、少なくとも1つの回転要素が前記圧着部材の少なくとも一方と前記カムとの間に配置され、この回転要素はその圧着部材に対して少なくとも2つの位置を取ることができ、よって、この回転要素がこの圧着部材と前記カムとの両方に接触するときに、前記カムと、端子の圧着のために前記端子に接触することのできるこの圧着部材の一方の端部との間の距離が、前記少なくとも2つの位置において異なることに特徴を有している。
【0009】
好ましくは、このツールは、カムが圧着要素に対して、圧着に対応する第1の方向に動くときに、前記回転要素が前記圧着部材に対して、前記距離が最大となる第1の位置を取り、カムが圧着部材に対して、第1の方向とは反対の第2の方向に動くときに、前記回転要素が前記圧着部材に対して、前記距離が最小となる第2の位置を取るように、設計される。
【0010】
結果として、ツールが圧着後にその静止位置に戻ったときには、この距離が最小となるので、前記一方の圧着部材は圧着される端子上に、圧着時に加えられる力より少ない力を加える、又は全く力を加えない。よって、前記圧着部材とカムとの間の協働の結果として生じる摩擦は、ツールがその静止位置に戻るときに低められる。このことから生じる第1の利点は、第1及び第2の層を駆動するための手段に与えられる力は少なくてよいということである。また、別の利点は、この摩擦の軽減は、また、前記一方の部品の消耗をも軽減することを可能とする、という事実に関連している。
【0011】
一の好ましい実施形態においては、前記第2の層は、略楕円形状の圧着を達成することのできる手段を備えている。
【0012】
また、第1の、及び/又は第2の層の圧着部材は、圧着作業中に、圧着される端子に対して半径方向に移動することのできる顎部である。
【0013】
また、この好ましい実施形態によれば、前記カムは顎支持部材の周りに回転可能に取り付けられ、前記カムは顎部の端部と協働する軌道を備え、圧着中に顎部を圧着される端子に向かって半径方向に動かし、これら顎部は顎支持部材の溝部の中に滑動自在に取り付けられている。
【0014】
よって、このツールによれば、電線の導電性心材と、絶縁性被覆部とに同時に端子を圧着することができ、絶縁性被覆部上の圧着は略楕円形状又は円形状の部分を有し、良好な気密シールとそれによる酸化に対する導電性心材の圧着の保護、及び特に航空機に使用されるコネクターの端子の挿入/取り外しのためのツールとの互換性を提供している。
【0015】
この好ましい実施形態においては、少なくとも1つの回転要素が少なくとも1つの顎部の端部と前記軌道との間に配置され、この回転要素は、前記少なくとも1つの顎部の端部に対して少なくとも2つの位置を取ることができ、この回転要素がこの顎部の端部と前記軌道との両方に接触しているときに、前記軌道と端子の圧着のために前記端子に接触することのできるこの顎部の他方の端部との間の距離は、前記少なくとも2つの位置で異なっている。
【0016】
また、圧着ツールは、圧着作業に対応する第1の方向へ顎支持部材の周りにカムを回転する間に、前記回転要素が、前記距離が最大である前記顎部の端部に対する第1の位置を取り、第1の方向とは反対の第2の方向へ顎支持部材の周りにカムを回転する間に、前記回転要素が、前記距離が最小である前記顎部の端部に対する第2の位置を取るように、好都合に設計されている。このことは、ツールが圧着作業後にその静止位置に戻るときに、カム軌道上の摩擦力を軽減することを可能としている。
【0017】
実施形態の第1の変型においては、前記回転要素は略球状の玉(bead)である。
【0018】
実施形態の第2の変型においては、前記回転要素は略円筒状のローラである。
【0019】
この第2の変型の一の特定の実施形態においては、前記ローラは、このローラと同軸であると共に、その端部が前記顎部の端部に固定されたレールの中で活動することのできるヒンジピンに固定されている。
【0020】
前記カム軌道は、前記カムが圧着中に顎支持部材に対する移動限界に達したときに、回転要素が関連するそれぞれの顎部に面する前記軌道のそれぞれの位置にノッチを好都合に備えている。これらノッチは、圧着ツールがその静止位置へ戻るときにカム軌道上の摩擦を軽減するために、前記回転要素が圧着の終了時に前記第1の位置から前記第2の位置へ変化するのを容易としている。
【0021】
本発明の一の実施形態においては、前記軌道の形状は、圧着の終了時に顎部の遠心的な半径方向への移動を可能とし、これら顎部を前記端子から開放するような形状となっている。
【0022】
好ましくは、顎支持部材は第1の取っ手に固定され、カムは第2の取っ手に固定され、前記第1の取っ手及び第2の取っ手は第1の層と第2の層とに共通とされている。
【0023】
また、好ましくは、第2の層は、2つの顎部からなる2つのグループを備え、
− 第1のグループの顎部は、圧着される端子に接触することのできる端部を有し、この端部の形状は、圧着中には、方向がこの端子に実質的に接線方向である平面に実質的に対応しており、
− 第2のグループの顎部は、、圧着される端子に接触することのできる端部を有し、この端部の凹状の形状は、半円筒より小さい円筒の弧に実質的に対応しており、
− 第1のグループの2つの顎部は、圧着される端子を収容することのできる顎支持部材の孔部の両側に、半径方向に相対して配置されており、
− 第2のグループの2つの顎部は、圧着される端子を収容することのできる顎支持部材の前記孔部の両側に、半径方向に相対して配置されており、
− 第2のグループの顎部は、第1のグループの顎部に対して実質的に90度に等しい角度に方向付けられている。
【0024】
この第2の層の実施形態によれば、端子を電線の絶縁被覆部に、略楕円形状の、又は円形状の圧着部分に沿って圧着することができ、気密性に関して要求される特性及びコネクターの端子の挿入及び取り外しのための上記で引用したツールの使用の可能性に注目することができる。
【0025】
好都合なことに、前記第1の層は、周囲に凹部を有する圧着部分を形成することのできる手段を備えている。この手段によって、端子を電線の導電性心線に、機械的引っ張り耐性、及び電線の導電性心線とこの端子との間の電気的接続に関する満足のいく特性を有しつつ圧着することができる。
【0026】
一の実施形態においては、第1の層は、
− 2つの隣り合う顎部は互いに略90度の角度で離隔し、
− 隣り合う顎部とは別の2つの顎部は、圧着される端子を収容することのできる顎支持部材の孔部の両側に半径方向に相対して配置され、
− 圧着される端子に接触することのできる前記顎部の端部は、圧着中に、この端子に凹状の変形を形成することのできる凸形状を有する、
4つの同様の顎部を有している。
【0027】
よって、第1の層のこの実施形態によれば、電線の導電性心線への端子の圧着を、電気的接続及び機械的引張りに対する抵抗という要求される特性を伴って完成することができる。
【0028】
しかし、本発明は、圧着される端子に対して半径方向に移動する顎部を有する第1及び第2の圧着層に限られるわけではない。
【0029】
また、本発明は、端子を電線の端部に圧着する方法に関し、前記電線の端部は、電線の導電性心線が露出している剥がされた部分と、この導電性心線が絶縁性被覆によって覆われている絶縁部分とを備え、前記端子は、前記電線の端部の剥がされた部分と前記電線の端部の絶縁部分との両方を収容することのできる前記端子の長手方向の軸と同軸な孔部を備え、
− 前記端子は圧着ツールの第1の層の中と第2の層の中との両方に挿入され、両層は、
・ 第1の層は電線の導電性心線に囲まれた前記端子の第1の部分に面し、
・ 第2の層は電線の絶縁被覆に囲まれた前記端子の第2の部分に面する、
ように配置され、
− 前記第1及び第2の層は実質的に同時に駆動され、
− 第2の層の駆動は2つの連続するステップ、すなわち、
・ 圧着される端子の両側に半径方向に相対しており、これらの顎部の端部が、圧着中は実質的に平面状であるこの端子に接触している第2の層の2つの第1の顎部が、前記端子が略楕円形状の部分に沿って変形されるまで駆動されるステップと、
・ 前記第1の顎部が端子の所定の位置に保持され、第2の層の、圧着される端子の両側に半径方向に相対して位置するとともに、第1の顎部に対して略90度の角度で方向付けられ、それらの端部が圧着中は半円柱より小さい円柱の弧に実質的に対応する凹形状である、この端子に接触する2つの第2の顎部が、前記端子が略円形状に沿って変形するまで駆動されるステップと、
を備え、前記方法は、また、圧着の終了時には、少なくとも一方の層の顎部が、前記顎部のうちの少なくとも一方の面取りされた端部と協働する少なくとも一の回転要素の移動の効果の下で少なくとも部分的に開放され、圧着ツールをその静止位置に戻すために必要とされる力を軽減するステップを備えることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、この方法に従って圧着された電気的端子、及び上述のような圧着ツールを使用して圧着された電気的端子に関する。また、この発明は、前記電気的端子を備える航空機に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、後述の記載を読み、添付の図を精査することによってより良く理解されるであろう。これらの図において、同一の参照符号は同様の部分を示している。
【0032】
図3は、本発明の圧着ツール1を示し、この圧着ツールは第1の層と第2の層とを備えている。第1の層は、円柱形状の顎支持部材10を備えている。リング状のカム12は、前記顎支持部材10の周りに回転可能に取り付けられている。このリングの内側は軌道16を形成している。顎支持部材10は、円筒形状の前記顎支持部材の軸に対して放射方向の溝部14を備え、この溝部14のそれぞれが、図4に示すように、顎部18を収容することができるようにされている。この顎部は、対応する溝部14に滑入することができる。同様に、第2の層は円柱状の顎支持部20を備えている。リング状のカム22は前記顎支持部の周りに回転可能に取り付けられている。このリングの内側は軌道26を形成している。顎支持部材20は、円筒形状の前記顎支持部材の軸に対して放射方向の溝部24を備え、この溝部24のそれぞれが、図4に示すように、顎部28を収容することができるようにされている。この顎部は、対応する溝部24に滑入することができる。第1の層及び第2の層は重ね合わせられ、2つのカム12及び22の回転軸はともに円柱状の顎支持部10及び20と組み合わせられている。顎支持部10及び20は第1の取っ手4に固定されている。好ましくは、カム12及び22は外側の円柱状形状を有し、圧着ツール1の第2の取っ手2に固定されている。これら2つの取っ手2及び4は協働して、カム12及び22の顎支持部材10及び20の周りの回転のガイドを確保している。前記回転軸に同軸な孔部6が、顎支持部材10,20及び取っ手2,4に提供され、端子を挿入すると第1及び第2の層の顎部18,28の間で圧着されるようにしている。
【0033】
図3及び図4において、第1の層及び第2の層は実質的に同じ大きさであるように示されている。しかしながら、この図は限定した解釈を与えるものではなく、前記第1及び第2の層それぞれは異なる寸法を有することが可能である。
【0034】
圧着ツール1は図1の分解平面図に示されている。第1の層のカム12は第2の取っ手2に固定されているように示されている。明瞭化のために、第2の層のカム22は図示されていない。第1の層の顎支持部材10は第1の取っ手4に固定されているように示されている。明瞭化のため、第2の層の顎支持部20(これもまた前記第1の取っ手に固定されている)は図示されていない。第1の層の顎支持部材10は図2に詳細に示されている。顎支持部材10は、その軸に対して放射状の(よって、端子が圧着ツールの孔部6に挿入されるときには、圧着される端子の軸に対してもまた放射状の)溝14を備えている。前記図に示された好ましい実施形態においては、前記顎支持部は4本の溝部14を備えており、これら4本の溝部は2本ずつがそれぞれ顎支持部の軸に対して直径方向に相対して配置され、隣り合う2本の溝は互いに略90度の角度を隔てられるように配置されている。前記溝部のそれぞれは、この溝部に滑入することができる顎部18を収容する。明瞭化のため、前記顎部の1つのみが図に示されている。
【0035】
図5には、4つの顎部18を備えた第1の層の顎支持部材10が、静止状態においてカム12で囲まれた状態で示されている。このカムの軌道16は顎部18の端部に協働するように添わされ、圧着の間、前記カムが矢印Fの方向に顎支持部材10の周りを回転するときに、前記顎部が、顎支持部材10の回転軸に対して放射方向に、この回転軸に向かって移動することができるようにしている。よって、図6に示すように、圧着の終了時には、軌道16と協働する前記顎部の前記端部の反対側に位置する顎部18の端部は、孔部の中へと移動し、端子を圧着する。
【0036】
図8に示すように、軌道16と協働する顎部18の端部は面取りされ、回転要素30はそれぞれの面取りされた端辺と軌道16との間に配置される。回転要素30は、明瞭化のために図5,6、および7には示されていない。顎部18の面取りされた端部は、この顎部と前記軌道との間の距離が前記顎部の後部で最大となり前部で最小となるように形成され、前部及び後部の概念は、圧着中のカム12の(よって軌道16の)顎支持部10に対する(よって顎部18に対する)矢印Fで示された移動方向を考慮したものである。軌道16上の回転要素30の摩擦力の効果の下で、この回転要素は、図8に実線で示され、圧着のときには顎部18の前部に配置された第1の位置を取る。圧着の後、圧着ツールがその静止位置に戻ると、カム12は矢印Fで示された圧着の方向とは反対の方向へ動かされる。軌道16上の回転要素30の摩擦力の効果の下で、この回転要素は次いで、図8に点線で示され、前記静止状態に戻るときには顎部18の前部に配置された第2の位置を取り、よって、この第2の位置は、圧着中のカム12の(よって軌道16の)顎支持部10に対する(よって顎部18に対する)矢印Fで示された移動方向を考慮したときには、顎部18の後部に配置される。このように、軌道16と、圧着される端子に接触できる顎部18の端部との間の距離は、圧着の間は最大となり、静止位置に戻るときには最小となる。このことは、軌道16上の摩擦による力が、静止状態に戻るときには、顎部18の一方の端部がこの軌道に直接接触している場合、またはこの顎部の一方の面取りされていない端辺が回転要素を介して軌道16に接触している場合に想定される力よりも大幅に軽減されるので、非常に都合がよい。
【0037】
前記回転要素は、特に玉(bead)状、好ましくは実質的に球状とすることができ、又はローラ状、好ましくは実質的に円筒状とすることができる。図示されていない一の特定の実施形態において、回転要素がローラ状である場合には、このローラはヒンジピンに固定することができ、このヒンジピンの両端はそのあご部の端部に設けられたレールの中に滑入することができ、前記レールの方向は実質的に上述の面取りされた形状の顎部18の端部に対応している。この実施形態は、摩擦力を圧着中においてさえ軽減することができ、前記ローラがその軸の周りを前記顎部の端部に擦れることなく回転できるので、非常に好都合である。
【0038】
図9に示した本発明の一の好ましい実施形態においては、軌道16は、カム12が圧着中に顎支持部10に対する移動限界点に達したときに、顎部18のそれぞれに面する前記軌道の位置にノッチ32を備えている。それぞれのノッチ32は、例えば、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、図9aの平面に実質的に垂直な、前記軌道16中に形成された溝部に対応することができ、また、軌道16中に形成されためくら穴に対応することもできる。このことは、圧着の終了時において回転要素30が前記ノッチの存在によって軌道16にもはや接触することがないので、非常に好都合である。このように、回転要素30は、もはやこの起動16に対する摩擦力を受けることがなく、よって(圧着に対応する)前記第1の位置から(圧着ツールの静止位置への戻りに対応する)前記第2の位置へ容易に移動することができる。軌道16中のこのノッチ32の深さは、好ましくは圧着される端子の弾性変形を考慮して決定される。この深さは、圧着の終了時において、この顎部が前記回転要素30の手段によって与えられる力をもはや受けることがないときの前記端子の弾性変形の効果の下での顎部18の変移量に少なくとも等しくなっている。このことは、回転要素30が軌道16上における摩擦力から開放されていることを保証している。また好ましくは、前記ノッチ32の深さは、顎支持部材10の軸に対して放射方向であって顎部18を通過する直線drの上に投影するときを考えて、図9bに示された前記第1の位置及び前記第2の位置にある回転要素30の重心によってそれぞれ定められた位置G1及びG2との間の距離の差異より小さい。このように、顎部18が、圧着ツールがその静止位置に戻るときに、端子を再圧着しないことを保証している。前記ノッチ32の別の利点は、軌道16上に占める長さLeが、好ましくは実質的に顎部18の幅Lm以下であり、また、前記ノッチが圧着の終了時に対応する軌道上の位置に配置されているという事実から生じている。このゆえに、実際の圧縮のために使用される軌道16の長さは前記ノッチの存在によって実質的に削減されることはない。従って、特に圧縮ツール1が静止位置に戻るときに軽減された摩擦力に関する前記ノッチ32及び前記回転要素30の前述の利点からの利益を受けつつ、前記軌道16を、端子を圧着する力を圧着動作全体に亘って分配するように、順応させることができる。
【0039】
図7に示された一の実施形態においては、前記軌道16は顎部の遠心的な半径方向の動きを可能にする部品17を備え、圧縮の終了時において顎部を端子から解放している。前記部品17は、前記カムが圧縮中に顎支持部材に対するカムの移動限界に達したときに、それぞれの顎部に面する前記軌道の位置に提供されている。
【0040】
第1の層に関して上述された様々な実施形態は、第1の層及び第2の層の両方に対して明らかに適用することができる。
【0041】
図10aに示された位置の特定の実施形態においては、第2の層は2つの顎部からなる2つのグループを備えている。第1のグループの顎部28aは、圧縮される端子に接触することのできる端部を有し、これら端部の形状は、その方向が圧縮中のこの端子に対して実質的に接線方向である面に実質的に対応している。第2のグループの顎部28bは、圧縮される端子に接触することのできる端部を有し、これら端部の凹状の形状は、半円筒よりも小さい円筒の弧に実質的に対応している。第1のグループの2つの顎部28aは、圧着される端子を収容することのできる顎支持部20の孔部6の半径方向に相対して配置され、第2のグループの2つの顎部28bは、圧着される端子を収容することのできる前記顎支持部20の孔部6の半径方向に相対して配置されている。また、第2のグループの顎部28bは第1のグループの顎部28aに対して略90度の角度に配向されている。第1のグループの顎部28a及び第2のグループの顎部28bの長さ、及び軌道26の形状は、圧着中に以下のようであるように好都合に提供される。
− 第1のステップの間に、第1のグループの前記顎部28aは、図10bに示されるように、圧着される端子34に向かって半径方向に動かされ、第2のグループの顎部28bは実質的に移動されることが無い。この効果は、2つの顎部28aの平面状端部に対応する2つの相対する端子34の側部を平らにすることであり、前記端子の部分は実質的に長円形になる。
− 第2のステップの間に、第2のグループの顎部28bは、図cに示すように、端子34を圧着するために端子34に向かって半径方向に動かされ、第1のグループの顎部28aは、前記第1のステップの終わりに顎部28aが占めていた位置に実質的に維持される。この効果は、端子34に最初の実質的に楕円形の形状を付与することであり、圧着の終了時には、端子34は実質的に円形状になることが好ましい。
【0042】
第1の層に関しては、この層は、好ましくは、圧着された端子の周囲に凹部を備えるような端子圧着を達成できる4つの同様な顎部を備える。それぞれの前記顎部は特に以下のような顎部から構成することができる。:
− 圧着される端子34に接触できる凸状の形状の端部31を有し、その一方の端辺が、前記端辺の一つの部分(single segment)33に沿って圧着される前記端子に接触し、端子に凹部を形成することのできる、図11a及び図11bに示すタイプの顎部18a、
又は、
− 圧着される端子34に接触できる凸状の形状の端部36を有し、その一方の端辺が、例えばMIL−C−2250標準に従って、前記端辺の2つの分離した部分(unconnected segment)35a及び35bに沿って圧着される前記端子に接触し、端子に2つの凹部を形成することのできる、図12a及び図12bに示すタイプの顎部18b
【0043】
好ましくは、第1の層の4つの顎部は、2つの隣り合う顎部が互いから略90度の角度で離間するとともに,隣り合う2つ以外の2つの顎部が,圧着される端子を収容できる顎支持部材10の孔部6の両側に半径方向に相対するように配置される。
【0044】
本発明の圧着ツール1によれば、第1及び第2の層を第1の取っ手4及び第2の取っ手2を使用することによって同時に駆動することができる。このように、この圧着ツールによれば、端子34を、第1の層によって電線の導電心材上に、及び第2の層によってこの電線の絶縁被覆部上に、実質的に同時に圧着することができる。上述の好ましい実施形態においては、圧着ツールを静止位置に戻す間の力を削減しつつ、第1の層は、端子34の部分がその周囲に凹部を備えるように圧着を達成するために使用され、第2の層は、端子の部分が略円形状であるように圧着を達成するように使用されているので、本発明の圧着ツール1は有利に従来技術の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の圧着ツールの概略分解平面図である。
【図2】一の圧着層における顎状の支持部材の小サイズである。
【図3】図1に示した本発明の圧着ツールのA−A線に沿った断面図である。明瞭化のために、2つの層の顎部は示されていない。
【図4】図3と同様の断面図であり、2つの層の顎部が示されている。
【図5】本発明のツールの静止状態における圧着層を示している。
【図6】圧着位置における、図5に対応する圧着層を示している。
【図7】圧着位置における、図5及び図6に対応する圧着層の変型を示している。
【図8】本発明の圧着層に関し、圧着層の顎状支持部材の中に滑入する顎部の一の端部と、カムトラックとの間に配置された回転要素を詳細に示す図である。
【図9a】本発明の圧着層に関し、ノッチがカムの軌道に設けられている好ましい実施形態を示す図である。
【図9b】図9aに示す回転要素及び顎部の端部の詳細を示す図である。
【図10a】静止位置にあるときの本発明による第2の層を示す図である。
【図10b】圧着中の本発明による第2の層を示す図である。
【図10c】圧着終了時の本発明による第2の層を示す図である。
【図11a】本発明による第1の層の顎部の実施形態を示す図であり、顎部は、図2と同様に、顎支持部材の回転軸に垂直な平面内に示されている。
【図11b】本発明による第1の層の顎部の実施形態であり、図11aにおけるB−B線に沿った断面図である。
【図12a】本発明による第1の層の顎部の別の実施形態を示す図であり、顎部は、図2と同様に、顎支持部材の回転軸に垂直な平面内に示されている。
【図12b】本発明による第1の層の顎部の別の実施形態であり、図12aにおけるC−C線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・圧着ツール
2、4・・・取っ手(手段)
6・・・孔部
10、20・・・顎支持部材(手段)34・・・端子
12、22・・・カム
14、24・・・溝部(手段)
16、26・・・軌道(手段)
18、18a、18b、28、28a、28b・・・顎部(圧着部材)
30・・・回転要素
32・・・ノッチ
dr・・・直線
G1、G2・・・重心の位置
Le・・・長さ
Lm・・・顎部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部に端子(34)を圧着するための圧着ツール(1)であって、
前記電線の端部は、前記電線の導電性心材が露出している剥がされた部分と、この導電性心材が絶縁材料で被覆されている絶縁部分とを有し、前記端子は、前記端子の長手方向の軸と同心であるとともに、前記電線の端部の前記剥がされた部分と前記絶縁された部分との両方を収容することのできる孔部を備え、
前記圧着ツールは、
前記端子の第1の部分を前記電線の前記導電性心線に圧着する第1の層と、
前記端子の第2の部分を前記電線の前記絶縁被覆に圧着する第2の層と、
前記第1及び第2の層を実質的に同時に駆動する手段(2、4)と、
を備え、
前記第1及び第2の層は、圧着動作中に、圧着される端子に対して移動することのできる圧着部材(18、18a、18b、28、28a、28b)を備え、
前記第1及び第2の層の少なくとも一方は、該少なくとも一方の層の圧着部材(18、18a、18b、28、28a、28b)と協働するとともに、該圧着部材を移動させるカム(12、22)を備え、よって前記圧着部材が圧着の間に前記端子を圧着し、
少なくとも1つの回転要素(30)が、前記圧着部材(18、18a、18b、28、28a、28b)の少なくとも一方と前記カム(12、22)との間に配置され、前記回転要素は、前記少なくとも一方の圧着部材に対して少なくとも2つの位置を取ることができ、よって、前記回転要素が前記少なくとも一方の圧着部材と前記カムとの両方に接触するときに、前記カムと、端子の圧着のために前記端子に接触することのできる前記圧着部材の一方の端部との間の距離が、前記少なくとも2つの位置において異なることを特徴とする圧着ツール。
【請求項2】
前記カム(12,22)の前記圧着要素に対する、圧着に対応する第1の方向への移動中に、前記回転要素(30)が前記圧着部材に対して、前記距離が最大となる第1の位置を取り、カムの圧着部材に対する、前記第1の方向とは反対の第2の方向への移動中に、前記回転要素が前記圧着部材に対して、前記距離が最小となる第2の位置を取るように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の圧着ツール。
【請求項3】
一の好ましい実施形態においては、前記第2の層は、略楕円形状の部分の圧着を達成することができる手段(20、22、24、26、28a、28b)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧着ツール。
【請求項4】
前記圧着部材は、圧着中に、圧着される前記端子に対して半径方向に移動することができる顎部(18、18a、18b、28、28a、28b)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項5】
前記カム(12、22)は顎支持部材(10、20)の周りに回転可能に取り付けられ、前記カム(12、22)は、前記顎部(18、18a、18b、28、28a、28b)の端部と協働する軌道(16、26)を備え、圧着中は、前記顎部(18、18a、18b、28、28a、28b)を圧着される前記端子に向かって半径方向に動かし、前記顎部は前記顎支持部材(10、20)の溝部(14、24)の中に滑動自在に取り付けられていることを特徴とする請求項4に記載の圧着ツール。
【請求項6】
前記少なくとも1つの回転要素(30)が1つの前記顎部の端部と前記軌道(16、26)との間に配置され、前記回転要素は、前記1つの顎部の端部に対して少なくとも2つの位置を取ることができ、前記回転要素が前記1つの顎部と前記軌道との両方に接触しているときに、前記軌道と、前記端子の圧着のために前記端子に接触することのできる前記1つの顎部の端部とは別の端部との間の距離は、前記少なくとも2つの位置で異なっていることを特徴とする、請求項5に記載の圧着ツール。
【請求項7】
前記軌道(16、26)と協働する前記顎部(18、18a、18b、28、28a、28b)の端部は面取りされており、前記回転要素(30)は前記面取りされた端部と前記軌道(16、26)との間に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の圧着ツール。
【請求項8】
前記面取りされた顎部の端部は、前記顎部と前記カム(12、22)の軌道(16、26)との間の距離が前記顎部の後部で最大となり、前記顎部の前部で最小となるように形成されており、前部及び後部という概念は、圧着中の前記顎支持部材(10、20)に対する前記カム(12、22)の移動の方向に対して証されていることを特徴とする、請求項7に記載の圧着ツール。
【請求項9】
前記回転要素(30)は略球状の玉であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項10】
前記回転要素(30)は略円筒状のローラであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項11】
前記ローラは、該ローラと同軸であるとともに、端部が前記顎部の端部に固定されたレールの中で滑動することができるヒンジピンに固定されていることを特徴とする請求項10に記載の圧着ツール。
【請求項12】
前記カムの軌道(16、26)は、前記カム(12、22)が圧着中に前記顎支持部材(10、20)に対する移動限界に達したときに、回転要素(30)が関連するそれぞれの前記顎部に面する前記軌道のそれぞれの位置にノッチを備えていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項13】
前記軌道(16)における前記ノッチ(32)の深さは、圧着の終了時に、前記顎部が前記回転要素(30)の手段によって加えられる力をもはや受けないときに、圧着される前記端子の弾性変形の効果の下で前記ノッチに対応する前記顎部の変位に少なくとも等しいとともに、前記顎支持部材(10)の軸に対して半径方向であって、前記顎部を通過する直線(dr)上に投影したときを考えて、前記第1の位置及び前記第2の位置それぞれにおける前記回転要素(30)の重心の位置(G1、G2)の間の距離(dl)の差より小さいことを特徴とする、請求項12に記載の圧着ツール。
【請求項14】
前記軌道(16)上の前記ノッチ(32)によって占められる長さ(Le)は、前記ノッチに対応する顎部の幅(Lm)にもはや実質的に等しくないことを特徴とする請求項12又は13に記載の圧着ツール。
【請求項15】
前記軌道(16、26)は、圧着の終了時に前記顎部の遠心的な半径方向への移動が可能である形状を有し、前記顎部を前記端子から開放することを特徴とする請求項5〜14のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項16】
前記顎支持部材(10、20)は第1の取っ手(4)に固定され、前記カム(12、22)は第2の取っ手(2)に固定され、前記第1の取っ手及び第2の取っ手は第1の層と第2の層とに共通とされていることを特徴とする請求項5〜15のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項17】
前記第2の層は、2つの顎部からなる2つのグループを備え、
第1のグループの顎部(28a)は、前記圧着される端子(34)に接触することのできる端部を有し、該端部の形状は、圧着中には、方向が前記端子に実質的に接線方向である平面に実質的に対応しており、
第2のグループの顎部(28b)は、前記圧着される端子(34)に接触することのできる端部を有し、該端部の凹状の形状は、半円筒より小さい円筒の弧に実質的に対応しており、
前記第1のグループの2つの前記顎部(28a)は、前記圧着される端子(34)を収容することのできる顎支持部材(20)の孔部(6)の両側に、半径方向に相対して配置されており、
前記第2のグループの2つの前記顎部(28b)は、前記圧着される端子(34)を収容することのできる顎支持部材(20)の前記孔部(6)の両側に、半径方向に相対して配置されており、
前記第2のグループの前記顎部(28b)は、前記第1のグループの前記顎部(28a)に対して略90度の角度に方向付けられている、
ことを特徴とする請求項3〜16のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項18】
前記第1の層は、周囲に凹部を有する圧着部分を形成することのできる手段(10、12、14、16、18a、18b)を備えることを特徴とする請求項5〜17のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項19】
前記第1の層は、4つの同様の顎部(18a、18b)を有し
2つの隣り合う前記顎部は互いに略90度の角度で離隔し、
前記隣り合う顎部とは別の2つの前記顎部は、前記圧着される端子(34)を収容することのできる前記顎支持部材(10)の孔部の両側に半径方向に相対して配置され、
前記圧着される端子に接触することのできる前記顎部の端部は、圧着中に、前記端子に凹状の変形を形成することのできる凸形状を有していることを特徴とする、請求項18に記載の圧着ツール。
【請求項20】
前記第2の層は、略円形状の部分の圧着を達成することができる手段を備えることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の圧着ツール。
【請求項21】
端子(34)を電線の端部に圧着する方法であって、
前記電線の端部は、前記電線の導電性心線が露出している剥がされた部分と、前記導電性心線が絶縁性被覆によって覆われている絶縁部分とを備え、前記端子は、前記電線の端部の前記電線の端部の剥がされた部分と絶縁部分との両方を収容することができる、前記端子の長手方向の軸と同軸な孔部を備え、
前記端子(34)は、圧着ツール(1)の第1の層の中と第2の層の中との両方に挿入され、
前記第1の層及び第2の層は、
前記第1の層が前記電線の前記導電性心線に囲まれた前記端子の第1の部分に面し、
前記第2の層が前記電線の前記絶縁被覆に囲まれた前記端子の第2の部分に面する、
ように配置され、
前記第1及び第2の層は実質的に同時に駆動され、第2の層の駆動は2つの連続するステップ、すなわち、
前記第2の層の、圧着される前記端子の両側に半径方向に相対し、圧着中は実質的に平面状である前記端子に接触している2つの第1の顎部(28a)が、前記端子が略楕円形状の部分に沿って変形されるまで駆動されるステップと、
前記第1の顎部(28a)が端子の所定の位置に保持され、前記第2の層の、前記圧着される端子の両側に半径方向に相対して位置するとともに、前記第1の顎部に対して略90度の角度で方向付けられ、前記端子に接触する端部が、圧着中は半円柱より小さい円柱の弧に実質的に対応する凹形状である2つの第2の顎部(28b)が、前記端子が略円形状に沿って変形するまで駆動されるステップと、
を備え、
圧着の終了時には、少なくとも一方の前記層の顎部(18、18a、18b、28、28a、28b)が、前記顎部のうちの少なくとも一方の面取りされた端部と協働する少なくとも一の回転要素(30)の移動の効果の下で少なくとも部分的に開放され、前記圧着ツールをその静止位置に戻すために必要とされる力を軽減するステップを備えることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法に従って圧着されたことを特徴とする電気的端子。
【請求項23】
請求項1〜20のいずれか一項に記載された圧着ツールを使用して圧着されたことを特徴とする電気的端子。
【請求項24】
請求項22又は23に記載された電気的端子を備える航空機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図11a】
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【図11b】
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【図12a】
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【図12b】
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【公表番号】特表2008−507830(P2008−507830A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522957(P2007−522957)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007548
【国際公開番号】WO2006/012979
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【出願人】(507017325)
【Fターム(参考)】