説明

端子台

【課題】細長金属板でできている相手側端子が接続の際に端子台とぶつかって痛めてしまうことを防止した端子台を提供する。
【解決手段】端子台2は、樹脂製の端子台本体10と、端子台本体に固定される細長金属板の端子4を備える。端子台本体10は、略直方体状である。端子台本体10には、その前面に一対のガイド壁12が突設されている。夫々のガイド壁12は、上面が端子台本体10の上面Tと面一で繋がっている。夫々のガイド壁12はさらに、上前角部が上面から前面にかけて斜めに切り落とされおり、傾斜面12aが形成されている。他方、細長金属板の端子4は、端子台本体10の背面Bに沿って伸びており、端子台本体10の背面Bから上面Tに沿って湾曲している。さらに端子先端4aが、一対のガイド壁12の間に隠れるように上面から前面に沿って湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス等において電気的結合のための端子を接続する端子台に関する。特に、接続する相手側の端子が細長金属板の場合に好適な端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
メンテナンスを行う必要のある電子デバイスの端子台は、相手側の端子(例えば電線の端部の端子)の着脱の作業性がよいことが望まれる。例えば、特許文献1には、複数の電線側端子が一括して機器側端子へ接続可能な状態にセットされるコネクタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−313496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子台に接続する相手側端子がリード線など柔軟である場合は良いが、相手側端子が細長金属板でできている場合は、相手側端子が電子デバイスの端子台そのもの、あるいは端子台側の金属部材(端子台側の端子)にぶつかり、曲がるなどして痛んでしまう虞がある。本明細書は、細長金属板で作られている相手側端子が接続の際に端子台とぶつかって痛めてしまうことを防止する端子台を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する端子台は、樹脂製の端子台本体と、端子台本体に固定される細長金属板の端子(台側端子)を備える。端子台本体は、略直方体状である。端子台本体には、その前面に一対のガイド壁が突設されている。夫々のガイド壁は、上面が端子台本体の上面と面一に繋がっている。別言すれば、ガイド壁の上面は端子台本体の上面と同一平面を形成する。夫々のガイド壁はさらに、上前角部が上面から前面にかけて斜めにカットされている。他方、細長金属板の端子は、端子台本体の背面に沿って伸びており、端子台本体の背面から上面に沿って湾曲している。さらに端子先端が、上記一対のガイド壁の間に入り込むように端子台本体の上面から前面に沿って湾曲している。
【0006】
上記の端子台では、台側端子の先端が湾曲しつつ端子台前端のガイド壁の間に入り込んでいる。相手側端子をこの端子台に接続しようとして近づける際、細長板状の相手側端子は、端子台側端子の先端湾曲部に案内されて、あるいは、ガイド壁の上前端部の傾斜面に案内されて、スムーズに端子台上面にて台側端子の金属板と重なるように進むことができる。特に、台側端子の先端はガイド壁の間に入り込んでいるので、相手側端子が台側端子の裏側へ潜り込んでしまうということがない。このように、本明細書が開示する端子台は、前面に、相手側端子を適正な方向へそらすような傾斜が設けてあるので相手側端子を痛めることがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】端子台の斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】端子台の分解斜視図である。
【図4】図3のIII−III線に沿った断面図である。
【図5】相手側バスバーが端子台に接近する様子を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して実施例の端子台2を説明する。端子台2は、例えば電気自動車のインバータ等に用いられる。電気自動車のインバータは、大きな電流を流すため、端子台で接続する相手側の端子も、ワイヤ等ではなく、バスバーと呼ばれる、細長の金属板片が用いられる。図1、図2に示すように、端子台2は、相手側バスバー40(相手側端子)を、ボルト42で固定するためのものである。端子台2は、樹脂製の本体10と、台側端子4で構成される。本体10は、略直方体である。本体の直方体6面のうち、符号Fが示す面を前面と称し、符号Tが示す面を上面と称し、符号Bが示す面を背面と称する。これは、図2に示すように、相手側バスバー40が、本体10の前面F側から近づくからである。
【0009】
台側端子4は、細長い板状の金属で作られている。台側端子4は、概説するとコの字型に湾曲しており、本体10の底面、背面B、及び上面Tに沿って取り付けられる。本体10の底孔14にナット21が嵌挿されており、台側端子4を本体に取り付けた後、ボルトを底孔4c及びナット21に通し、台側端子4は固定される。
【0010】
台側端子4は、本体10の背面Bから上面Tに沿って、及び、上面Tから前面Fに沿って、湾曲している。端子台4の先端4aは、本体10の前面Fに設けられた一対のガイド壁12(後述)の間に入り込むように湾曲している。台側端子4の一つの平面であって本体10の上面Tに対向する面にはボルトを通す上孔4bが設けられている。
【0011】
本体10の構造について説明する。本体10の前面Fには、一対のガイド壁12が突設されている。一対のガイド壁12は、平行であり、その突条(壁自体)は本体10の上下方向に伸びている。一対のガイド壁12の上面は、本体10の上面Tと面一である。別言すれば、ガイド壁12の上面は本体10の上面Tと同一平面を形成する。夫々のガイド壁12の上前角部は、その上面から前面にかけて斜めにカットされており、夫々のガイド壁12の上前部には傾斜面12aが形成されている。一対のガイド壁12の間の幅は、ちょうど台側端子4の先端4aの幅に等しい。本体10の上面Tにはナット20を嵌挿する上孔13が設けられている。また、本体10の背面Bには、上孔13に達する切欠13aが形成されている。また、本体10の前面Fにも、上孔13に達する切欠13bが形成されている。切欠13a、13bの大きさは、ちょうど台側端子4の湾曲した先端4aが通る大きさである。この切欠13a、13bの存在によって、台側端子4を、本体10の後側から組み付けることができるようになっている。
【0012】
図1に示すように、相手側バスバー40を端子台2に連結する際には、相手側バスバー40を、その締結孔40aが台側端子4の上孔4bと重なるようにセットする。そうして、ボルト42を締結孔40a、上孔4bに通し、本体10の上孔13に嵌挿されているナット20に締め込む。こうして、相手側バスバー40が端子台2に固定される。
【0013】
端子台2の利点を説明する。図1、図2から明らかなように、台側端子4は、本体10の上面Tから前面Fに沿って湾曲しており、先端4aは、一対のガイド壁12の間に入り込んでいる。従って、図5に示すように、相手側バスバー40が本体10の前方から接近すると、相手側バスバー40の先端は、ガイド壁12の傾斜面12a、あるいは、台側端子4の前部湾曲部Rに突きあたる。相手側バスバー40がさらに接近すると、相手側バスバー40の先端は、傾斜面12aあるいは前部湾曲部Rに案内されて上方にシフトし、本体10の上面Tに沿って進む。こうして、相手側バスバー40は、台側端子4の上面Tと重なるようにスムーズに進む。このように、ガイド壁12の傾斜面12aと、台側端子4の前部湾曲部Rの存在により、相手側バスバー40は、本体10に強くぶつかって痛んでしまうことはない。特に、台側端子4の先端が一対のガイド壁12の間に入り込んでいるので、相手側バスバー40が台側端子4の裏側へ潜り込んでしまうことはない。
【0014】
実施例の端子台2についての留意点を述べる。台側端子4は、本体10の背面Bに沿って伸びており、背面Bから上面Tに沿って湾曲しており、さらに端子先端4aが上面Tから前面Fに沿って湾曲している。ここで、「背面B」、「上面T」、及び、「前面F」という表現は、説明のための便宜上の呼称である。より一般的には次のとおり表現することができる。即ち、台側端子4は、本体10の一の面(第1の面)に沿って伸びており、第1の面から、第1の面に隣接する第2の面に沿って湾曲しており、さらに端子先端4aが、第2の面から、第1の面に対向する第3の面に沿って湾曲している。
【0015】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0016】
2:端子台
4:台側端子
4a:台側端子先端
4c:孔
10:端子台本体
12:ガイド壁
12a:傾斜面
13:孔
13a、13b:切欠
40:相手側バスバー
B:背面
F:前面
R:前部湾曲部
T:上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂で形成されている直方体状の端子台本体と、
端子台本体に固定される細長金属板の端子と、
を備えており、
端子台本体の前面に、上面が端子台本体の上面と面一に繋がる一対のガイド壁が突設されており、
夫々のガイド壁の上前角部が上面から前面にかけて斜めにカットされており、
前記端子は、端子台本体の背面に沿って伸びており、背面から上面に沿って湾曲しており、さらに端子先端が前記一対のガイド壁の間に入り込むように上面から前面に沿って湾曲している、ことを特徴とする端子台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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