説明

端子圧着状態良否判別装置、端子圧着加工装置、端子圧着状態良否判別方法及び端子圧着状態良否判別プログラム

【課題】圧力波形と基準波形との時間軸方向のずれがあっても、なるべく適切に圧着良否判別を行うこと。
【解決手段】端子の圧着良否判別を行う端子圧着状態良否判別装置であって、端子圧着に伴って検出される圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求め、この物理量に基づいて圧着良否判別を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線に端子を圧着する際に端子圧着状態の良否判別を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
端子圧着状態の不良を検出する方法として、特許文献1に開示のものがある。特許文献1では、圧着時における圧力センサからの出力波形と基準波形とを比較し、その差が所定の公差を越えているときに圧着不良と判定している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−135820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、圧力センサからの出力波形と基準波形とが時間軸方向にずれてしまうと、圧着良否判定の精度が悪くなる。
【0005】
そこで、本発明は、圧力波形と基準波形との時間軸方向のずれがあっても、なるべく適切に圧着良否判別を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る端子圧着状態良否判別装置は、端子の圧着良否判別を行う端子圧着状態良否判別装置であって、端子圧着に伴って検出される圧力波形が入力される圧力波形入力部と、前記圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求め、前記物理量に基づいて圧着良否判別を行う良否判別部とを備えるものである。
【0007】
第2の態様は、第1の態様に係る端子圧着状態良否判別装置であって、前記良否判別部は、所定の基準波形に基づいて所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた基準物理量と、前記圧力波形に基づいて前記所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた物理量とを比較することで、圧着良否判別を行うものである。
【0008】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る端子圧着状態良否判別装置であって、前記圧着良否判別部は、所定の圧着初期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行い、所定の圧着終期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行うものである。
【0009】
第4の態様は、第1の態様に係る端子圧着状態良否判別装置であって、前記圧着良否判別部は、所定の圧着初期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行い、所定の圧着終期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行い、さらに、前記所定の圧着初期期間における前記基準波形の圧力範囲と前記所定の圧着終期期間における前記基準波形の圧力範囲との間の所定の圧力範囲において圧力変化速度に応じたと値として求められた基準物理量と、前記圧力波形に基づいて前記所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた前記物理量とを比較することで、圧着良否判別を行うものである。
【0010】
第5の態様に係る端子圧着加工装置は、端子圧着を行う一対の圧着型と、前記一対の圧着型を相対的に接近及び離隔移動させる圧着駆動部と、前記一対の圧着型に設けられ、端子圧着に伴う圧力波形を検出する圧力検出部と、第1〜第4のいずれかに記載の端子圧着状態良否判別装置と、を備えるものである。
【0011】
第6の態様に係る端子圧着状態良否判別方法は、端子の圧着良否判別を行う端子圧着状態良否判別方法であって、(a)端子圧着に伴って検出される圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求めるステップと、(b)前記物理量に基づいて圧着良否判別を行うステップと、を備えるものである。
【0012】
第7の態様に係る端子圧着状態良否判別プログラムは、端子圧着に際して検出される圧力波形に基づいて端子の圧着良否判別を行うための端子圧着状態良否判別プログラムであって、コンピュータに、(a)端子圧着に伴って検出される圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求める処理と、(b)前記物理量に基づいて圧着良否判別を行う処理と、を実現させるための端子圧着状態良否判別プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
第1の態様によると、圧力変化速度に応じた物理量に基づいて、圧着良否判別を行うため、圧力波形と基準波形との時間軸方向のずれがあっても、なるべく適切に圧着良否判別を行うことができる。
【0014】
第2の態様によると、基準波形と圧力波形とで、同程度の圧力範囲で、圧力変化速度に応じた物理量を比較することができ、より精度よく圧着良否判別を行うことができる。
【0015】
通常、圧着の初期及び終期では、圧力変化は比較的小さくなる。このため、圧力波形と基準波形との時間軸方向のずれによる影響は小さい。そこで、第3の態様のように、圧着初期期間及び圧着終期期間においては、前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいてより適切な圧着良否判定を行うことができる。
【0016】
また、通常、圧着の初期及び終期では、圧力変化は比較的小さくなり、圧着初期期間と圧着終期期間との間では圧力変化が比較的大きい。そこで、第4の態様のように、圧着初期期間及び圧着終期期間においては、前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいてより適切な圧着良否判定を行うことができる。また、前記所定の圧着初期期間における前記基準波形の圧力範囲と前記所定の圧着終期期間における前記基準波形の圧力範囲との間の所定の圧力範囲において圧力変化速度に応じたと値として求められた基準物理量と、前記圧力波形に基づいて前記所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた物理量とを比較することで、圧力波形と基準波形との時間軸方向のずれがあっても、同程度の圧力範囲で、圧力変化速度に応じた物理量を比較することができ、より精度よく圧着良否判別を行うことができる。
【0017】
また、第5〜第7の態様によると、圧力変化速度に応じた物理量に基づいて、圧着良否判別を行うため、圧力波形と基準波形との時間軸方向のずれがあっても、なるべく適切に圧着良否判別を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、実施の形態に係る端子圧着加工装置について説明する。
【0019】
図1は端子圧着加工装置10を示す概略正面図であり、図2は端子圧着機構装置20を示す概略側面図である。
【0020】
この端子圧着加工装置10は、端子圧着機構装置20と端子圧着状態良否判別装置30とを備えている。端子圧着機構装置20は、電線12の端部に端子14を圧着する端子圧着処理を行う装置であり、端子圧着状態良否判別装置30は端子の圧着良否判別を行う装置である。
【0021】
<1.端子圧着機構装置>
端子圧着機構装置20は、横向きにした略U字状の支持部材21と、一対の圧着型22,25と、圧着駆動部26と、圧力検出部24とを備えている。
【0022】
一対の圧着型22,25は、下側の圧着型22と上側の圧着型25とを有しており、それらの間で端子14を圧着可能に構成されている。
【0023】
下側の圧着型22は、支持部材21の下部ベース部21a上に上向き突出で取付けられている。また、下部ベース部21aには、下側の圧着型22に隣設して支持台22aが取付けられている。そして、端子14の圧着部14aを下側の圧着型22上に載置すると共に、端子14の他の部分を支持台22a上に載置した状態で、端子14が載置状に支持可能に構成されている。
【0024】
また、下部ベース部21a内であって下側の圧着型22の下方に、当該下側の圧着型22と接触した状態で圧力伝達部材23が配設されている。また、圧力伝達部材23の下方に、当該圧力伝達部材23と接触した状態で圧力検出部24が配設されている。そして、端子圧着時に下側の圧着型22に作用する圧力が、圧力伝達部材23を介して圧力検出部24に伝達されるように構成されている。圧力検出部24は、ひずみゲージ、ピエゾ素子、光ファイバ式圧力センサ等、圧力に応じた電気信号を出力するセンサによって構成されている。そして、端子圧着時に生じた圧力が圧力伝達部材23を介して圧力検出部24に伝達されると、圧力検出部24はその圧力変化に応じた圧力波形を電気信号として出力するように構成されている。
【0025】
なお、上記圧力検出部24は、上側の圧着型25側に組込まれていてもよいし、一対の圧着型22,25の双方側に組込まれていてもよい。後者の場合、それぞれで検出される圧力波形のそれぞれに対して後述する圧着良否判別処理を行ってもよいし、それぞれの検出波形の平均波形に対して後述する圧着良否判別処理を行ってもよい。
【0026】
また、圧着駆動部26は、トグルリンク機構、エアシリンダ、油圧シリンダ等により構成されており、上記支持部材21の上方支持部分21bに設けられている。圧着駆動部26には、上側の圧着型25が垂下状姿勢で昇降可能に支持されている。この圧着駆動部26の駆動により、上型の圧着型25が下側の圧着型22に対して接近及び離隔移動されるように構成されている。なお、圧着駆動部26は、一対の圧着型22,25を相対的に接近及び離隔移動させる構成であればよい。
【0027】
また、この端子圧着機構装置20には、複数の端子14を連続的に下側の圧着型22に供給する端子供給機構部28と、電線12を予め設定された所定長に切断し、その端部を皮剥ぎして端子14の圧着部14a内に配設する処理を連続的に行う電線処理機構部29とが組込まれている。そして、電線12に端子14を圧着する端子圧着処理を連続的に行えるように構成されている。これらの端子供給機構部28及び電線処理機構部29については、周知構成を含む種々構成を適用可能であるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
<2.端子圧着状態良否判別装置>
図3は端子圧着状態良否判別装置30のハードウエア構成を示すブロック図である。端子圧着状態良否判別装置30は、上記圧力検出部24で検出された圧力波形を入力可能に当該圧力検出部24に電気的に接続されており、その圧力波形に基づいて端子の圧着良否判別を行うように構成されている。
【0029】
より具体的には、端子圧着状態良否判別装置30は、CPU32、内部記憶装置34、外部記憶装置35等がバスライン31を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。内部記憶装置34は、基本プログラム等を格納したROM及びデータを一時的に保持するRAM等を含んでおり、外部記憶装置35はフラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。外部記憶装置35には、後述する圧着良否判別処理を行うための判別プログラム35aが格納されている。この判別プログラム35aに従って、主制御部としてのCPU32が演算処理を行うことにより、後述するように端子14の圧着良否判別を行う良否判別部等の各種機能が実現されるように構成されている。判別プログラム35aは、通常、予め外部記憶装置35に格納されるものであるが、CD−ROM或はDVD−ROM、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録された状態で提供され、或は、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され、追加的又は交換的に外部記憶装置35に格納されるものであってもよい。
【0030】
また、上記外部記憶装置35には、基準波形35b、基準波形35bに基づく判別範囲設定処理に供される判別範囲設定パラメータ35c、判別処理に供される判別しきい値パラメータ35dが記憶されている。
【0031】
また、この端子圧着状態良否判別装置30では、圧力波形入力回路部36、信号出力回路部37、入力部38及び表示部39も、バスライン31に接続されている。
【0032】
圧力波形入力回路部36は、AD変換回路等によって構成されており、圧力検出部24で検出された圧力波形がアナログ信号で入力されると、これをデジタル信号に変換するように構成されている。この圧力波形入力回路部36でデジタル信号に変換された圧力波形は、逐次内部記憶装置34或は外部記憶装置35に記憶され、後述する基準波形設定及び判別範囲設定処理、圧着良否判別処理に供される。
【0033】
信号出力回路部37は、CPU32による制御下、他の機器への制御信号等を出力する出力回路である。ここでは、後述するように端子圧着機構装置20に対するエラー停止信号等が、信号出力回路部37を介して出力され、端子圧着機構装置20に与えられる。
【0034】
入力部38は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、基準波形処理開始指示及び圧着良否判別処理開始指示等、本端子圧着状態良否判別装置30に対する諸指示を受付可能に構成されている。
【0035】
表示部39は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU32による制御下、端子圧着の良否判別結果、圧力波形等の諸情報を表示可能に構成されている。
【0036】
図4は端子圧着状態良否判別装置30の機能ブロック図である。同図に示すように、端子圧着状態良否判別装置30は、信号前処理部32aと、圧着波形取得部32bと、基準波形処理部32cと、圧着良否判別部32dとを備えており、圧着良否判別部32dは、第1判別処理部32d1と、第2判別処理部32d2と、第3判別処理部32d3とを備えている。これらの各機能は、上記したようにCPU32が判別プログラム35aに従って所定の演算処理を行うことにより実現される。
【0037】
上記信号前処理部32aには、圧力検出部24から圧力波形入力回路部36を介してデジタル信号として入力された圧力波形に対して、DC成分を除去するオフセット処理、所定周波数成分を除去するフィルタ処理等を行うように構成されている。
【0038】
圧着波形取得部32bは、上記のように前処理された圧力波形に基づいて、1回の圧着分の圧力波形をサンプリングするように構成されている。以下では、圧力波形のうち1回の圧着分の圧力波形部分を、圧着波形ということがある。
【0039】
圧着波形取得部32bでサンプリングされ取得された圧着波形は、基準波形処理部32c又は圧着良否判別部32dに与えられる。
【0040】
基準波形処理部32cは、圧着波形取得部32bより与えられる圧着波形に基づき基準波形及び判別範囲設定パラメータ35cを設定して外部記憶装置35に記憶させる。
【0041】
圧着良否判別部32dは、上記基準波形35b及び判別範囲設定パラメータ35c、判別しきい値パラメータ35dと、圧着波形取得部32bより与えられる圧着波形とに基づいて、第1判別処理部32d1と第2判別処理部32d2と第3判別処理部32d3とのそれぞれで圧着良否判別処理を実行するように構成されている。第1判別処理部32d1は圧着初期期間において圧着波形と基準波形35bとの相関度合を示す差に基づいて圧着良否判別を行い、第2判別処理部32d2は、圧着中間期間において圧力変化速度に応じた物理量に基づいて圧着良否判別を行い、第3判別処理部32d3は圧着終期期間において圧着波形と所定の波形35bとの相関度合を示す相関係数に基づいて圧着良否判別を行うように構成されている。
【0042】
そして、圧着良否判別部32dは、第1判別処理部32d1、第2判別処理部32d2及び第3判別処理部32d3での判別結果に基づいて、表示部39の表示制御、端子圧着機構装置20のエラー停止制御等を行うように構成されている。
【0043】
なお、上記端子圧着状態良否判別装置30が行う一部或は全部の機能は、専用の論理回路等でハードウェア的に実現されてもよい。
【0044】
<3.端子圧着状態良否判別装置の処理>
端子圧着状態良否判別装置30による基準波形の設定及び判別範囲の設定処理と、端子の圧着良否判別処理について説明する。
【0045】
<3.1.基準波形処理>
図5は基準波形の設定及び判別範囲の設定処理を示すフローチャートである。
【0046】
まず、本装置の利用者等が、端子圧着機構装置20に端子圧着開始指示を与えると共に、端子圧着状態良否判別装置30に基準波形処理開始指示を与える。すると、圧力検出部24で検出された圧力波形が、時間tの経過と圧力Pの変化を示す圧力波形情報として圧力波形入力回路部36を通じて入力される。この際の圧着波形PWSは、図6に示すように、比較的小さな圧力部分の後に比較的大きな圧力を呈する上向き凸波形が連なる波形として観察される。なお、複数回の圧着を行った場合には、上記圧着波形PWSが間隔をあけて連続的に連なる波形として観測される。なお、上記圧着波形は、端子14の種類等によって異なるため、必ずしも上記のような波形形状として観測されるわけではない。
【0047】
端子圧着状態良否判別装置30は、基準波形処理開始指示を受付けると、ステップS1において、基準波形35bを取得する。
【0048】
基準波形35bは、取得された1回圧着分の圧着波形PWSをそのまま基準波形35bとして設定するものであってもよいし、取得された複数回圧着分の圧着波形PWSの平均波形を基準波形35bとして設定するものであってもよい。
【0049】
なお、圧力検出部24から入力される圧力波形に対して圧着波形PWSの取得は例えば次のようにして行われる。すなわち、圧着波形PWSの有無を、圧力Pが予め設定されたサンプリングトリガ圧力値Ps以上になったか否か(或はサンプリングトリガ圧力値Psよりも大きくなったか否か)をもって判断する。所定のサンプリングトリガ圧力値Psは、例えば、過去に行った試行結果に基づき、圧着波形の圧力ピーク値に対する数十%値として決定した値を用いることができる。また、サンプリング期間TSを、例えば、圧力Pが所定のサンプリングトリガ圧力値Psになった時間taをサンプリング基準時間taとして、その前の期間TSa及びその後の期間TSbとで規定される期間TSとして設定することができる。その前の期間TSa及びその後の期間TSbは、上記サンプリング基準時間taを基準として圧着良否判別上有効な圧着波形が現れる期間として実験的に或は経験的に判断された値を用いることができる。以下では、上記サンプリング期間TSが開始された時間をサンプリング開始時間t0ということがある。もっとも、圧力波形の有無及びサンプリング期間の設定は、上記例に限られない。例えば、一定の圧力範囲内でサンプリングしてもよいし、端子圧着機構装置20における圧着動作に連動して所定期間内でサンプリングしてもよい。もっとも、圧力波形の変化に応じてサンプリングを行うことで、端子圧着機構装置20からの動作信号を受けることなくサンプリングを行うことができ、構成の簡易化を図ることができる。
【0050】
上記のように基準波形35bを設定した後、ステップS1からステップS2に移行する。ステップS2において、端子圧着状態良否判別装置30は、基準波形35bにおいて圧力ピーク値Ymaxを求め、圧力ピーク値Ymaxに基づいて圧力区分Ya,Ybを算出し、算出した圧力区分Ya,Ybを判別範囲設定パラメータ35cとして外部記憶装置35に記憶する。
【0051】
図7は基準波形を示す図である。同図に示すように、圧力ピーク値Ymaxは、基準波形35bにおける圧力の最高値として求められる。その他、圧力ピーク値Ymaxは、複数回分の圧着波形PWSにおける圧力の最高値として求めてられてもよい。また、区分圧力Ya,Ybは、例えば、上記圧力ピーク値Ymaxに、入力部38等を通じて予め設定された所定の割合の値を乗じた値として算出される。区分圧力Ya,Ybは、圧着波形PWSにおいて圧力変化が大きい中間期間に対応する圧力範囲を含むように設定され、例えば、圧力ピーク値Ymaxに0.7を乗じて区分圧力Yaが算出され、圧力ピーク値Ymaxに0.3を乗じて区分圧力Ybが算出される。これにより、複数種の端子圧着を行う場合でも、種類別に圧力区分Ya,Ybを設定しなくとも、求められた圧力ピーク値Ymaxに割合の値を生じて適切な区分圧力Ya,Ybを設定することができる。もっとも、区分圧力Ya,Ybは、利用者等により直接入力設定された値であってもよい。
【0052】
ステップS2終了後、ステップS3に進む。ステップS3では、端子圧着状態良否判別装置30は、基準波形35bと区分圧力Yaとに基づいて基準時Xaを求め、求めた基準時Xaを判別範囲設定パラメータ35cとして外部記憶装置35に記憶する。基準時Xaは、基準波形35bが区分圧力Yaになった時点Xa、つまり、X軸を時間、Y軸を圧力とするXY座標に基準波形35bを重畳した場合、基準波形35bとY=Yaとの交点のX座標を示す時間Xaである。
【0053】
ステップS3終了後、ステップS4に進む。ステップS4では、端子圧着状態良否判別装置30は、基準波形35bと区分圧力Ybとに基づいて基準時Xbを求め、求めた基準時Xbを判別範囲設定パラメータ35cとして外部記憶装置35に記憶する。基準時Xbは、基準波形35bが区分圧力Ybになった時点Xb、つまり、X軸を時間、Y軸を圧力とするXY座標に基準波形35bを重畳した場合、基準波形35bとY=Ybとの交点のX座標を示す時間Xbである。
【0054】
ステップS4終了後、ステップS5に進み、端子圧着状態良否判別装置30は、基準波形35bにおける圧力ピーク値Ymaxと入力部38等を通じて予め設定された所定の設定値Xcとに基づいて判定終了時間Xeを求め、この判定終了時間Xeを判別範囲設定パラメータ35cとして外部記憶装置35に記憶する。より具体的には、基準波形35bにおいて圧力ピーク値Ymaxを呈する時間に所定の設定値Xcを加算することで、判定終了時間Xeが求められる。
【0055】
以上により基準波形35bの設定及び判別範囲の設定処理が終了する。本処理の終了後には、基準波形35bと、圧力区分Ya,Yb、基準時Xa,Xb及び判定終了時間Xeを含む判別範囲設定パラメータ35cが外部記憶装置35に設定記憶される。
【0056】
なお、基準波形35bと、圧力区分Ya,Yb、基準時Xa,Xb及び判定終了時間Xeを含む判別範囲設定パラメータ35cは、端子14の種類及び電線12の種類等で特定される端子加工条件に対する圧着良否判別基準として用いられることが好ましい。このため、端子14の種類及び電線12の種類等の端子加工条件が変った場合には、新たに別の基準波形35bと判別範囲設定パラメータ35cとを設定することが好ましい。もっとも、端子14の種類及び電線12の種類変更が、検出されるべき圧力波形に影響を与えない或はあまり影響を与えない程度の変更である場合には、同一の基準波形35bと判別範囲設定パラメータ35cとを用いてもよい。
【0057】
また、上記基準波形35bの設定及び判別範囲の設定処理は、端子14の圧着処理を行う毎に必ず行う必要はない。例えば、既に行った処理により、特定の端子14及び特定の電線12に関して、基準波形35bと判別範囲設定パラメータ35cが既に得られている場合には、それらの基準波形35bと判別範囲設定パラメータ35cを用いて後述する端子14の圧着状態良否判別を行ってもよい。
【0058】
<3.2.端子の圧着良否判別処理>
端子圧着状態良否判別装置30は、各端子14の圧着作業中において検出される圧着波形に基づいて圧着良否判別を行うものであり、ここでは、圧着波形PWにおける圧着初期期間において圧着波形PWと基準波形35bとの相関度合を示す差に基づいて圧着良否判別を行い(第1圧着良否判別処理)、圧着波形PWにおける圧着終期期間において圧着波形PWと基準波形35bとの相関度合を示す相関係数に基づいて圧着良否判別を行い(第3圧着良否判別処理)、これらの間の期間と想定される中間期間で圧力変化速度に応じた物理量に基づいて圧着良否判別を行う(第2圧着良否判別処理)。
【0059】
この圧着良否判別処理について、図8に示すフローチャートを用いてより具体的に説明する。
【0060】
すなわち、利用者等が、端子圧着機構装置20に連続的な端子圧着開始指示を与えると共に、端子圧着状態良否判別装置30に圧着良否判別処理開始指示を与える。すると、圧力検出部24で検出された圧力波形が圧力波形入力回路部36を通じて入力される。端子圧着状態良否判別装置30は、圧着良否判別処理開始指示を受付けると、ステップS10に示すように、圧着波形PWのサンプリングを行う。圧着波形PWのサンプリングは、上記基準波形35bを取得する際にサンプリングしたのと同様の基準時間ta及び期間TSでサンプリングすればよい。
【0061】
なお、図9は、X軸を時間、Y軸を圧力とするXY座標に基準波形35bと圧着時に検出された圧着波形PW例を示した図である。基準波形35bと圧着波形PWとは、それぞれのサンプリング開始時間t0を同一時間に揃えるように重ね合されており、説明の便宜上、サンプリング開始時間t0=0であるとして説明する。以下の処理説明では、必要に応じて図9を参照して説明する。
【0062】
ステップS10に続いて、端子圧着状態良否判別装置30は、サンプリングされた圧着波形PWに対して第1圧着良否判別処理(ステップS11〜S15)と、第2圧着良否判別処理(ステップS16〜S21)、第3圧着良否判別処理(ステップS22〜S25)とを並列的に実行する。なお、各処理は、必ずしも分散処理或は時分割処理等により並列的に実行される必要はなく、逐次処理されてもよい。要するに、1回の端子圧着に対して上記3つの処理が行われればよい。
【0063】
各処理について順番に説明する。
【0064】
第1圧着良否判別処理は、圧着初期期間T1(0〜Xb)において圧着波形PWと基準波形35bとの差に基づいて圧着良否判別を行う処理である。
【0065】
すなわち、端子圧着状態良否判別装置30は、ステップS11で、圧着初期期間(0〜Xb)において圧着波形PWと基準波形35bとの相関係数(Cor)を下記数式に基づいて算出する。
【0066】
【数1】

【0067】
ステップS11において相関係数(Cor)が算出されると、ステップS12に進む。ステップS12では、相関係数(Cor)が所定の相関係数しきい値(S(Cor))よりも小さいか否かを判別する。なお、相関係数しきい値(S(Cor))は、判別しきい値パラメータ35dの一種として、予め入力部38等を通じて入力設定され外部記憶装置35に記憶された値である。この判別結果、相関係数(Cor)が所定の相関係数しきい値(S(Cor))よりも小さくはない、つまり、圧着初期期間(0〜Xb)において圧着波形PWと基準波形35bとの相関度合が高いと判別された場合には、圧着良好であるとして本第1圧着良否判別処理を終了する。一方、相関係数(Cor)が所定の相関係数しきい値(S(Cor))よりも小さい、つまり、圧着初期期間(0〜Xb)において圧着波形PWと基準波形35bとの相関度合が低いと判別された場合には、圧着不良であるとして、ステップS13に進む。
【0068】
なお、ステップS11において、相関係数(Cor)が所定の相関係数しきい値(S(Cor))と同じである場合には、圧着良好及び圧着不良のいずれに判別してもよい。
【0069】
ステップS13では、表示部39に不良表示である旨を表示すると共に、端子圧着をエラー停止させる旨の信号を端子圧着機構装置20に与える。これにより、端子圧着機構装置20による端子14の圧着処理は一時的に停止される。この後、ステップS14に進む。
【0070】
ステップS14では、入力部38等を通じた確認リセット指示の入力の有無が判断され、入力無しと判断されるとステップS14の処理を繰返し、入力有りと判断されるとステップS15に進む。すなわち、利用者が、端子14の圧着の不良を認識して、当該不良品の排除、端子圧着機構装置20の状態確認等を行った後、確認リセット指示を入力すると、ステップS14からステップS15に進む。
【0071】
ステップS15では、表示部39におけるエラー表示を解除すると共にエラー停止させる旨の信号を解除する。これにより、端子圧着機構装置20による端子14の圧着処理が継続可能な状態となり、本第1圧着良否判別処理を終了する。
【0072】
第2圧着良否判別処理は、圧力変化速度に応じた物理量に基づいて圧着良否判別を行う処理である。より具体的には、第2圧着良否判別処理は、所定の圧力範囲(Yb〜Ya)において、基準波形35bに基づいて圧力変化速度に応じた基準物理量(Sr)を求めると共に、同圧力範囲(Yb〜Ya)において圧着波形PWに基づいて圧力変化速度に応じた物理量(Sd)を求め、基準物理量(Sr)と物理量(Sd)とを比較することで圧着良否判別を行う処理である。
【0073】
すなわち、端子圧着状態良否判別装置30は、ステップS16において、基準波形35bにおける圧力変化速度に応じた物理量として、圧力範囲(Yb〜Ya)における圧力変化速度(Sr=(Ya−Yb)/(Xb−Xa))を算出する(図9で一点鎖線で示す直線の傾き参照)。上記圧力範囲(Yb−Ya)は、圧着初期期間(0〜Xb)における基準波形35bの圧力範囲(区分圧力Yb以下)と圧着終期期間(Xa〜Xe)における基準波形35bの圧力範囲(区分圧力Ya以上)との間の圧力範囲(Yb〜Ya)として設定された範囲である。上記値Xa,Xb,Ya,Ybは、判別範囲設定パラメータ35cとして予め求められた値を用いることができる。この後、ステップS17に進む。
【0074】
ステップS17では、圧着波形PWにおける圧力変化速度に応じた物理量として、上記と同じ圧力範囲(Yb〜Ya)における圧力変化速度(Sd=(Ya−Yb)/(Xd1−Xd2))を算出する(図9で二点鎖線で示す直線の傾き参照)。上記時間Xd1は、圧着波形PWにおいて圧力がYaになった時間であり、時間Xd2は、圧着波形PWにおいて圧力がYbになった時間である。この後、ステップS18に進む。
【0075】
ステップS18では、上記圧力変化速度Sr,Sdを比較することで、圧着良否判別を行う。すなわち、上記で算出された圧力変化速度Sr,Sdの値を、圧力変化評価値(VP)=|(Sr/Sd)−1|×100、で表される式に代入して、圧力変化評価値(VP)の値を算出する。そして、圧力変化評価値(VP)が所定の圧力変化しきい値(S(VP))よりも大きいか否かを判別する。なお、圧力変化しきい値(S(VP))は、判別しきい値パラメータ35dの一種として、予め入力部38等を通じて入力設定され外部記憶装置35に記憶された値である。この判別結果、圧力変化評価値(VP)が所定の圧力変化しきい値(S(VP))よりも大きくない、つまり、圧力変化速度Sr,Sdが比較的近似していると判別された場合には、圧着良好であるとして本第2圧着良否判別処理を終了する。一方、圧力変化評価値(VP)が所定の圧力変化しきい値(S(VP))よりも大きい、つまり、圧力変化速度Sr,Sdが比較的異なっていると判別された場合には、圧着不良であるとして、ステップS19に進む。
【0076】
なお、ステップS18において、圧力変化評価値(VP)と圧力変化しきい値(S(VP))とが同じである場合には、圧着良好及び圧着不良のいずれに判別してもよい。
【0077】
また、ステップS18において、圧力変化速度Sr,Sdの差を所定のしきい値と比較することで、圧着良否判別を行ってもよい。もっとも、上記のように圧力変化速度Sr,Sdの比に基づいて圧着良否判別を行うことで、複数種の端子圧着を行う場合でも、圧力変化速度Sr,Sdの大小に拘らず、統一的な基準で圧着良否判別を行えるという利点がある。
【0078】
ステップS19では、表示部39に不良表示である旨を表示すると共に、端子圧着をエラー停止させる旨の信号を端子圧着機構装置20に与える。これにより、端子圧着機構装置20による端子14の圧着処理は一時的に停止される。この後、ステップS20に進む。
【0079】
ステップS20では、入力部38等を通じた確認リセット指示の入力の有無が判断され、入力無しと判断されるとステップS20の処理を繰返し、入力有りと判断されるとステップS21に進む。すなわち、利用者が、端子14の圧着の不良を認識して、当該不良品の排除、端子圧着機構装置20の状態確認等を行った後、確認リセット指示を入力すると、ステップS20からステップS21に進む。
【0080】
ステップS21では、表示部39におけるエラー表示を解除すると共にエラー停止させる旨の信号を解除する。これにより、端子圧着機構装置20による端子14の圧着処理が継続可能な状態となり、本第2圧着良否判別処理を終了する。
【0081】
第3圧着良否判別処理は、圧着終期期間T3(Xa〜Xe)において圧着波形PWと基準波形35bとの相関係数に基づいて圧着良否判別を行う処理である。
【0082】
すなわち、端子圧着状態良否判別装置30は、ステップS22で、圧着初期期間(Xa〜Xe)における各時間において、圧着波形PWにおける圧力検出値と基準波形35bにおける圧力基準値との差の絶対値(VA)を求め、圧着初期期間(Xa〜Xe)における全ての時間に関する絶対値(VA)が、圧力差しきい値(S(VA))よりも大きいか否かを判別する。なお、圧力差しきい値(S(VA))は、判別しきい値パラメータ35dの一種として、予め入力部38等を通じて入力設定され外部記憶装置35に記憶された値である。この判別結果、圧着初期期間(Xa〜Xe)における全ての時間における絶対値(VA)が圧力差しきい値(S(VA))よりも大きくない、つまり、圧着終期期間T3(Xa〜Xe)において圧着波形PWと基準波形35bとの差が比較的小さいと判別された場合には、圧着良好であるとして本第3圧着良否判別処理を終了する。一方、圧着初期期間(Xa〜Xe)におけるいずれかの時間の絶対値(VA)が圧力差しきい値(S(VA))よりも大きい、つまり、圧着終期期間T3(Xa〜Xe)において圧着波形PWと基準波形35bとの差が比較的大きいと判別された場合には、圧着不良であるとして、ステップS23に進む。
【0083】
なお、ステップS22において、複数の時間箇所で絶対値(VA)が圧力差しきい値(S(VA))よりも大きくなる場合に、圧着不良であると判別してもよい。また、各時間の絶対値(VA)が圧力差しきい値(S(VA))と同じである場合には、圧着良好及び圧着不良のいずれに判別してもよい。
【0084】
ステップS23では、表示部39に不良表示である旨を表示すると共に、端子圧着をエラー停止させる旨の信号を端子圧着機構装置20に与える。これにより、端子圧着機構装置20による端子14の圧着処理は一時的に停止される。この後、ステップS24に進む。
【0085】
ステップS24では、入力部38等を通じた確認リセット指示の入力の有無が判断され、入力無しと判断されるとステップS24の処理を繰返し、入力有りと判断されるとステップS25に進む。すなわち、利用者が、端子14の圧着の不良を認識して、当該不良品の排除、端子圧着機構装置20の状態確認等を行った後、確認リセット指示を入力すると、ステップS24からステップS25に進む。
【0086】
ステップS25では、表示部39におけるエラー表示を解除すると共にエラー停止させる旨の信号を解除する。これにより、端子圧着機構装置20による端子14の圧着処理が継続可能な状態となり、本第3圧着良否判別処理を終了する。
【0087】
そして、上記第1圧着良否判別処理(ステップS11〜S15)と、第2圧着良否判別処理(ステップS16〜S21)、第3圧着良否判別処理(ステップS22〜S25)のそれぞれにおいて、圧着良好と判別され、或は、圧着不良との判別後にエラー停止解除がなされて、判別処理が終了すると、ステップS26に示すように端子14を圧着する生産継続が可能な状態となる。そして、再度端子14の圧着が行われ、当該圧着に伴って取得された圧着波形PWに基づいて、第1圧着良否判別処理と第2圧着良否判別処理と第3圧着良否判別処理とを繰返す。これにより、連続的に圧着される端子14に対して逐次圧着良否判別が行われる。
【0088】
以上のように構成された端子圧着状態良否判別装置、端子圧着加工装置、端子圧着状態良否判別方法及び端子圧着状態良否判別プログラムによると、圧着波形PWに基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求め、この物理量に基づいて圧着良否判別を行うため、基準波形35bと圧着波形PWとの時間軸方向のずれがあっても、なるべく適切に圧着良否判別を行うことができる。
【0089】
特に、基準波形35bと圧着波形PWとで、同じ圧力範囲(Yb〜Ya)で、圧力変化速度に応じた物理量を比較しているため、基準波形35bと圧着波形PWとの時間軸方向のずれに拘らず、圧着良否判別を行うことができる。
【0090】
ところで、通常、圧着の初期及び終期では圧力変化は小さくなる。このため、基準波形35bと圧着波形PWとの時間軸方向のずれによる影響は小さい。そこで、圧着初期期間(0〜Xb)及び圧着終期期間(Xa〜Xe)では、基準波形35bと圧着波形PWとの相関度合に基づいて圧着良否判別を行うことで、より適切な圧着良否判別を行うことができる。
【0091】
この場合に、基準波形35bと圧着波形PWとの相関度合に基づく圧着良否判別処理としては、上記のように圧力差自体に対する比較又は相関係数に対する比較等種々値を用いた判別を採用することができる。
【0092】
また、通常、圧着初期期間(0〜Xb)と圧着終期期間(Xa〜Xe)との間では圧力変化が比較的大きい。このため、上記のように圧力変化速度を比較する圧力範囲としては、基準波形35bにおいて圧着初期期間(0〜Xb)と圧着終期期間(Xa〜Xe)との間の圧力範囲(Yb〜Ya)に設定することが好ましい。
【0093】
{変形例}
なお、上記実施形態は例示であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態では、第1圧着良否判別処理と第2圧着良否判別処理と第3圧着良否判別処理とを行っているが、第1圧着良否判別処理と第3圧着良否判別処理との少なくとも一方を省略してもよい。
【0095】
上記実施形態では、基準波形35b及び圧着波形PWのそれぞれにおいて、圧力変化速度に応じた物理量として、圧力変化量を時間変化量で除した値Sr,Sdを用いているが、圧力変化速度に応じた物理量の例はそのような例に限られない。例えば、一定範囲で圧力変化するのに要する時間そのものを、圧力変化速度に応じた物理量として採用してもよい。また、基準波形35b及び圧着波形PWのそれぞれにおいて、所定の時間範囲内での圧力変化速度に応じた物理量を求めてもよい。要するに、圧力変化速度に応じて変動する物理量であればよい。
【0096】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】端子圧着加工装置を示す概略正面図である。
【図2】端子圧着機構装置を示す概略側面図である。
【図3】端子圧着状態良否判別装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4】端子圧着状態良否判別装置の機能ブロック図である。
【図5】基準波形の設定及び判別範囲の設定処理を示すフローチャートである。
【図6】圧着波形の例を示す図である。
【図7】基準波形の例を示す図である。
【図8】圧着良否判別処理を示すフローチャートである。
【図9】基準波形例と圧着波形例との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
10 端子圧着加工装置
12 電線
14 端子
20 端子圧着機構装置
22,25 圧着型
24 圧力検出部
26 圧着駆動部
30 端子圧着状態良否判別装置
32c 基準波形処理部
32d 圧着良否判別部
32d1 第1判別処理部
32d2 第2判別処理部
32d3 第3判別処理部
35 外部記憶装置
35a 判別プログラム
35b 基準波形
35c 判別範囲設定パラメータ
35d 判別しきい値パラメータ
36 圧力波形入力回路部
PW 圧着波形
Sr,Sd 圧力変化速度
T1 圧着初期期間
T3 圧着終期期間
Xa,Xb 基準時
Xe 判定終了時間
Ya,Yb 圧力区分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子の圧着良否判別を行う端子圧着状態良否判別装置であって、
端子圧着に伴って検出される圧力波形が入力される圧力波形入力部と、
前記圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求め、前記物理量に基づいて圧着良否判別を行う良否判別部と、
を備える端子圧着状態良否判別装置。
【請求項2】
請求項1記載の端子圧着状態良否判別装置であって、
前記良否判別部は、所定の基準波形に基づいて所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた基準物理量と、前記圧力波形に基づいて前記所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた物理量とを比較することで、圧着良否判別を行う、端子圧着状態良否判別装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の端子圧着状態良否判別装置であって、
前記圧着良否判別部は、所定の圧着初期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行い、所定の圧着終期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行う、端子圧着状態良否判別装置。
【請求項4】
請求項1記載の端子圧着状態良否判別装置であって、
前記圧着良否判別部は、
所定の圧着初期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行い、所定の圧着終期期間において前記圧力波形と所定の基準波形との相関度合に基づいて圧着良否判別を行い、さらに、前記所定の圧着初期期間における前記基準波形の圧力範囲と前記所定の圧着終期期間における前記基準波形の圧力範囲との間の所定の圧力範囲において圧力変化速度に応じたと値として求められた基準物理量と、前記圧力波形に基づいて前記所定の圧力範囲における圧力変化速度に応じた値として求められた前記物理量とを比較することで、圧着良否判別を行う、端子圧着状態良否判別装置。
【請求項5】
端子圧着を行う一対の圧着型と、
前記一対の圧着型を相対的に接近及び離隔移動させる圧着駆動部と、
前記一対の圧着型に設けられ、端子圧着に伴う圧力波形を検出する圧力検出部と、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の端子圧着状態良否判別装置と、
を備える端子圧着加工装置。
【請求項6】
端子の圧着良否判別を行う端子圧着状態良否判別方法であって、
(a)端子圧着に伴って検出される圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求めるステップと、
(b)前記物理量に基づいて圧着良否判別を行うステップと、
を備える端子圧着状態良否判別方法。
【請求項7】
端子圧着に際して検出される圧力波形に基づいて端子の圧着良否判別を行うための端子圧着状態良否判別プログラムであって、コンピュータに、
(a)端子圧着に伴って検出される圧力波形に基づいて圧力変化速度に応じた物理量を求める処理と、
(b)前記物理量に基づいて圧着良否判別を行う処理と、
を実現させるための端子圧着状態良否判別プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−40481(P2010−40481A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205528(P2008−205528)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】