端子圧着装置
【課題】左右非対称な圧着不良モードを検出することができる端子圧着装置を提供する。
【解決手段】底板11Aと該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片11L、11Rとからなる断面U字状の導体圧着部11を有する端子の導体圧着部の底板を載せるアンビル102Aと、この上方にアンビルとの間に導体圧着部の圧着片を押圧できるように配置され、アンビルとの対向部に、圧着片を内側に曲げるための2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rが形成されたクリンパ101Aとを備えた端子圧着装置において、アンビルの左右幅方向に対称な側面1020の2箇所に、下型の上下方向(Y)の歪みを検出する歪みセンサ200L、200Rを貼り付け、両歪みゲージの検出データの違いにより、左右幅方向の圧着荷重のアンバランスを検出する。
【解決手段】底板11Aと該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片11L、11Rとからなる断面U字状の導体圧着部11を有する端子の導体圧着部の底板を載せるアンビル102Aと、この上方にアンビルとの間に導体圧着部の圧着片を押圧できるように配置され、アンビルとの対向部に、圧着片を内側に曲げるための2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rが形成されたクリンパ101Aとを備えた端子圧着装置において、アンビルの左右幅方向に対称な側面1020の2箇所に、下型の上下方向(Y)の歪みを検出する歪みセンサ200L、200Rを貼り付け、両歪みゲージの検出データの違いにより、左右幅方向の圧着荷重のアンバランスを検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板と該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片(ワイヤバレル)とからなる断面U字状の導体圧着部を有する端子を電線の導体に圧着する端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8(a)、(b)は圧着端子の一般的な構成例を示している。この端子10の後部には、その前側に位置する導体圧着部11と後側に位置する被覆加締部12とが設けられている。導体圧着部11は、端子10の全長を通して共通な基板である底板11Aと、該底板11Aの左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片11L、11Rとを有した断面U字状をなしている。同様に、被覆加締部12は、底板12Aと、該底板12Aの左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の加締片12L、12Rとを有した断面U字状をなしている。
【0003】
この端子10と電線Wに接続する場合には、まず、電線Wの端末部の絶縁被覆Wbを剥いで露出させた導体Waを、導体圧着部11の底板11Aの上に載せ、それに隣接する絶縁被覆12の付いた部分を、被覆加締部12の底板12Aの上に載せる。次にその状態で、図8(c)に示すように、端子圧着装置のクリンパ(上型)101Aとアンビル(下型)102Aの押圧駆動により、導体圧着部11の左右一対の圧着片11L、11Rを、クリンパ101A側のアンビル102Aとの対向部に設けられた2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rにより内側に丸めて加締めることで、電線Wの導体Waに端子10の導体圧着部11を圧着し、同時に、被覆加締部12の左右一対の加締片12L、12Rを内側に曲げることで、電線Wの絶縁被覆Wbの付いた部分に端子10の被覆加締部12を加締め固定する。これにより、端子10と電線Wの接続を行っている。
【0004】
このように圧着により端子10と電線Wを接続した場合、特に導体Waと導体圧着部11の圧着品質により、電気接続性能や機械的接続性能に差が出やすいことが知られている。そこで、端子の圧着処理時の異常を検出して、圧着品質の良否を判定する機能を備えた端子圧着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図9に示すように、この端子圧着装置100は、導体圧着部11を圧着させるためのアンビル(下型)102Aとクリンパ(上型)101Aの組と、被覆加締部12を加締めるためのアンビル102Bとクリンパ101Bの組とを有しており、クリンパ101A、101Bを下動させることにより、アンビル102A、102Aとクリンパ101A、101Bとの間に挿入した端子10と電線Wとを圧着接続するようになっている。そして、アンビル102A、102Aを支持するベース部110に圧力センサ120が内装されており、この圧力センサ120によって検出したアンビル102A、102Aに作用する荷重の時間変化の波形データにより、適正に圧着処理が行われたか否かを判定するようになっている。
【0006】
例えば、図10に示すように、圧着過程をいくつかの段階T1〜T3に分け、各段階T1〜T3において、測定荷重の特性波形が、正常時の基準波形Aに基づいて設定した許容範囲S内に収まっているかどうかを見極めることで、圧着が適正に行われたか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−109517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、実際の圧着工程においては、圧着時の種々の条件により、図11(a)に示す適正品のように、左右の圧着片11L、11Rがバランスよく導体Waに圧着する場合の他に、図11(b)の不適正品のように、左右の圧着片11L、11Rがアンバランスな形で導体Waに圧着する場合が生じることがある。例えば、端子が傾いた状態で圧着が行われたような場合、また、端子の送りズレが発生した状態で圧着が行われたような場合、あるいは、磨耗によりクリンパ101Aの左右の加締め部111L、111Rの摩擦係数が左右非対称な状態で圧着が行われたような場合には、左右に歪みが生じやすくなるため、左側と右側の圧着荷重のズレにより、左右の圧着片11L、11Rがずれた形で圧着が進行し、圧着形状が左右でアンバランスになりやすい。
【0009】
このような左右のアンバランスな圧着形状は圧着不良モードの1種であるが、従来の圧着品質の良否判定機能を備えた端子圧着装置では、アンビル側の1箇所に配置した圧力センサ120で荷重をモニタするだけであったため、検出することが困難であった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮し、左右非対称な圧着不良モードを検出することができる端子圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、底板と該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片とからなる断面U字状の導体圧着部を有する端子の前記導体圧着部の底板を載せる下型と、該下型の上方に該下型との間で前記導体圧着部の圧着片を押圧するように配置され、前記下型との対向部に、前記一対の圧着片を内側に曲げるための2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部が形成された上型とを備え、前記下型の上に前記端子の導体圧着部の底板を載せ、この底板の上に電線の導体の先端部を載せ、この状態で前記上型を下型に対して相対的に押圧させることで、前記左右一対の圧着片を内側に丸めて前記電線の導体に圧着させる端子圧着装置において、前記上型を下型に対して相対的に押圧させて前記左右一対の圧着片を前記電線の導体に圧着させる圧着過程における、前記下型の左右幅方向に離間した少なくとも2箇所の上下方向の歪みのアンバランスを検出する検出手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の端子圧着装置であって、前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の2箇所に、前記検出手段としての歪みゲージがそれぞれ配置されており、該各歪みゲージの検出データの違いにより、前記アンバランスを検出することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の端子圧着装置であって、前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の上部に、該下型の左右幅を一定に保つ垂直面が設けられると共に、該垂直面の下側に、前記下型の左右幅を下に行くほど広げる傾斜面が設けられ、この傾斜面が前記垂直面に滑らかに連続する凹状の円弧面で形成され、前記垂直面上または前記垂直面と前記円弧面の境界上に前記歪みゲージが貼り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、圧着過程における下型の左右幅方向に離間した少なくとも2箇所の上下方向の歪みのアンバランスを検出する検出手段を備えているので、圧着荷重の不均衡などを原因とする左右非対称の圧着不良モードを容易に検出することができる。また、圧着時の下型の歪みによる検査であるため、圧着品を非破壊で全数検査することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、下型の一対の側面の2箇所に配置した歪みゲージにより、下型の歪みのアンバランスを検出するので、左右の圧着荷重差を相対的に比較することができ、個体差が生じても、判定基準の閾値がシビアにならないですむ。また、歪みゲージを下型の側面に貼り付けるだけでよいので、従来例のように、高荷重に耐えられる容量の大きな圧力センサを使う必要はなく、設備コストの低減を図ることができる。また、従来例のように大きな荷重を検出するセンサを使用してデータを分析する場合は、荷重変動の小さな圧着不良モードを検出することは困難であったが、下型の側面に貼り付けた歪みゲージを使用してデータを分析することにより、左右非対称の圧着不良モードのように、荷重変動の小さな圧着不良モードを確実に検出することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、下型の側面に生じる上下方向の歪みを精度良く検出することができ、圧着不良判定の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の端子圧着装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は同端子圧着装置の要部の構成を示す側面図、(b)は正面図である。
【図3】同端子圧着装置の左右の歪みゲージが検出したデータを示す特性図で、(a)は正常時の状態を示す図、(b)は左右ずれを発生した異常時の状態を示す図である。
【図4】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の正常時の位置関係を示す図である。
【図5】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、(a)はクリンパに対しアンビルが矢印X1方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図、(b)はクリンパに対しアンビルが矢印X2方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図である。
【図6】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X3方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図、(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X4方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図である。
【図7】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X5方向(右方向)に傾いて位置している状態を示す図、(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X6方向(左方向)に傾いて位置している状態を示す図である。
【図8】一般的な圧着端子の構成図で、(a)は端子と電線を圧着する前の状態を示す側面図、(b)は圧着した後の状態を示す側面図、(c)はクリンパとアンビルにより端子と電線を圧着している状態を示す断面図である。
【図9】従来の端子圧着装置の概略構成を示す側面図である。
【図10】同従来の端子圧着装置の圧着状態の良否判定に使用する特性図である。
【図11】(a)は正常な圧着が行われた場合の圧着部に断面図、(b)は左右非対称な圧着が行われた場合の圧着部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は実施形態の端子圧着装置の要部の構成を示す斜視図、図2(a)は同端子圧着装置の要部の構成を示す側面図、図2(b)は正面図、図3は同端子圧着装置の左右の歪みゲージが検出したデータを示す特性図で、図3(a)は正常時の状態を示す図、図3(b)は左右ずれを発生した異常時の状態を示す図、図4は同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の正常時の位置関係を示す図である。また、図5〜図7は、同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、図5(a)はクリンパに対しアンビルが矢印X1方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図、図5(b)はクリンパに対しアンビルが矢印X2方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図、図6(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X3方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図、図6(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X4方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図、図7(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X5方向(右方向)に傾いて位置している状態を示す図、図7(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X6方向(左方向)に傾いて位置している状態を示す図である。
【0020】
ここで圧着の対象とする端子10は、図8(a)、(b)に示したものと同様に、端子10の後半部の前側に導体圧着部11を有し、その後側に被覆加締部12を有するものである。導体圧着部11は、端子10の全長を通して共通な基板である底板11Aと、該底板11Aの左右幅方向Xの両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片11L、11Rとを有した断面U字状をなしている。同様に、被覆加締部12は、底板12Aと、該底板12Aの左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の加締片12L、12Rとを有した断面U字状をなしている。
【0021】
端子圧着装置は、図9に示したものと同様に、導体圧着部11を圧着させるためのアンビル(下型)102Aとクリンパ(上型)101Aの組と、被覆加締部12を加締めるためのアンビル102Bとクリンパ101Bの組とを有しており、クリンパ101A、101Bを下動させることにより、アンビル102A、102Aとクリンパ101A、101Bとの間に挿入した端子10と電線Wとを圧着接続するようになっている。
【0022】
図1〜図7では、導体圧着部11の底板11Aを載せるアンビル(下型)102Aと、アンビル102Aの上方に位置するクリンパ(上型)101Aの組だけを示している。クリンパ101Aは、図示しない駆動機構により昇降動作し、下動することにより、アンビル102Aとの間で導体圧着部11の一対の圧着片11L、11Rを押圧して加締めるものであり、アンビル102Aとの対向部に2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rを有している。
【0023】
また、アンビル102Aの左右幅方向Xに対称な一対の側面1020、1020の上部には、アンビル102Aの左右幅を一定に保つ垂直面1021が設けられると共に、各垂直面1021の下側には、アンビル102Aの左右幅を下に行くほど広げる傾斜面が設けられている。これらの傾斜面は、それぞれに垂直面1021に滑らかに連続する凹状の大きな曲率半径のアール面(円弧面)で形成されており、各垂直面1021上または垂直面1021とアール面1022の境界上の互いに対称な2箇所には、アンビル102Aの左右幅方向Xに離間した2箇所の上下方向の歪みを検出する歪みゲージ200L、200Rが貼り付けられている。従って、これら左右一対の歪みゲージ200L、200Rの検出データにより、圧着過程においてアンビル102Aに作用する荷重のアンバランスを検出できるようになっている。
【0024】
この端子圧着装置を使用して端子10と電線Wに接続する場合には、まず、アンビル102Aの上に端子10の導体圧着部11の底板11Aを載せ、アンビル102Bの上に端子10の被覆加締部12の底板12Aを載せる。次に、電線Wの端末部の絶縁被覆Wbを剥いで露出させた導体Wa(図8参照)を、導体圧着部11の底板11Aの上に載せ、それに隣接する絶縁被覆Wbの付いた部分を、被覆加締部12の底板12Aの上に載せる。次にその状態で、端子圧着装置のクリンパ101Aをアンビル102Aに対して相対的に下動させる。すると、アンビル102Aとの対向部に設けられたクリンパ101A側の2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rが、一対の圧着片11L、11Rを内側に徐々に丸めていき、最終的に圧着片11L、11Rを導体Waに加締めることで、電線Wの導体Waに端子10の導体圧着部11を圧着する。同時に、もう1組のクリンパ101Bとアンビル102B(図9参照)の働きにより、被覆加締部12の左右一対の加締片12L、12Rを内側に曲げることで、電線Wの絶縁被覆Wbの付いた部分に端子10の被覆加締部12を加締め固定する。これにより、端子10と電線Wの接続を行う。
【0025】
この圧着の過程において、アンビル102Aの側面1020に貼り付けられた左右一対の歪みゲージ200L、200Rは、アンビル102Aの左右幅方向Xに離間した互いに対称な2箇所の上下方向の歪みデータを出力する。これらの左右の歪みデータが、図3(a)のように、互いに重なる場合は、左右の荷重のアンバランスがないと判断できるので、適正に圧着がなされたと判定することができる。一方、左右の歪みデータが、図3(b)のように、互いに異なる場合(つまり、左右の歪みに大きなずれがある場合)は、何らかの原因で圧着荷重の不均衡な状態が生じていると判断できるので、左右非対称の圧着不良モードと判定することができる。
【0026】
このように、歪みゲージ200L、200Rのデータに基づいて容易に不良圧着を検出することができる。また、圧着時のアンビル102Aの歪みによる検査であるため、圧着品を非破壊で全数検査することができる。
【0027】
具体的な例として、実際に考えられるケースを挙げてみると、図4に示すように、クリンパ101Aとアンビル102Aと端子10の位置関係が正常な状態で圧着が行われた場合は、図3(a)のような正常を示すデータが得られるので、このデータに基づいて正常に圧着が行われたと判断することができる。一方、図5の(a)、(b)のように、クリンパ101Aに対しアンビル102Aが矢印X1方向(右方向)や矢印X2方向(左方向)に片寄って位置しているような場合、あるいは、図6の(a)、(b)のように、クリンパ101Aとアンビル102Aに対して端子10が矢印X3方向(左方向)や矢印X4方向(右方向)に片寄って位置しているような場合、さらに、図7の(a)、(b)のように、クリンパ101Aとアンビル102Aに対して端子10が矢印X5方向(右方向)や矢印X6方向(左方向)に傾いて位置しているような場合は、アンビル102Aの左右の側面1020に生じる歪みに図3(b)のようなずれが出るので、不良圧着が発生した可能性が高いと判定することができる。
【0028】
この場合、アンビル102Aの左右一対の側面1020、1020に配置した歪みゲージ200L、200Rにより、アンビル102Aの歪みのアンバランスを検出するので、左右の圧着荷重差を相対的に比較することができ、個体差が生じても、判定基準の閾値がシビアにならないですむ。また、歪みゲージ200L、200Rをアンビル102Aの側面1020に貼り付けるだけでよいので、従来例のように、高荷重に耐えられる容量の大きな圧力センサを使う必要はなく、設備コストの低減を図ることができる。
【0029】
また、従来例のように大きな荷重を検出するセンサを使用してデータを分析する場合は、荷重変動の小さな圧着不良モードを検出することは困難であったが、アンビル102Aの側面1020に貼り付けた歪みゲージ200L、200Rを使用してデータを分析することにより、左右非対称の圧着不良モードのように、荷重変動の小さな圧着不良モードを確実に検出することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の端子圧着装置では、歪みゲージ200L、200Rを、アンビル102Aの側面1020のうち、垂直面1021上または垂直面1021とアール面1022の境界上の互いに対称な2箇所に配置したので、アンビル102Aの側面1020に生じる上下方向Yの歪みを精度良く検出することができ、圧着不良判定の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 端子
11 導体圧着部
11A 底板
11L,11R 圧着片
101A クリンパ(上型)
102A アンビル(下型)
1020 側面
1021 垂直面
1022 R面(円弧面)
111L,111R 加締め部
200L,200R 歪みゲージ
X 左右幅方向
Y 上下方向
W 電線
Wa 導体
【技術分野】
【0001】
本発明は、底板と該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片(ワイヤバレル)とからなる断面U字状の導体圧着部を有する端子を電線の導体に圧着する端子圧着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8(a)、(b)は圧着端子の一般的な構成例を示している。この端子10の後部には、その前側に位置する導体圧着部11と後側に位置する被覆加締部12とが設けられている。導体圧着部11は、端子10の全長を通して共通な基板である底板11Aと、該底板11Aの左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片11L、11Rとを有した断面U字状をなしている。同様に、被覆加締部12は、底板12Aと、該底板12Aの左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の加締片12L、12Rとを有した断面U字状をなしている。
【0003】
この端子10と電線Wに接続する場合には、まず、電線Wの端末部の絶縁被覆Wbを剥いで露出させた導体Waを、導体圧着部11の底板11Aの上に載せ、それに隣接する絶縁被覆12の付いた部分を、被覆加締部12の底板12Aの上に載せる。次にその状態で、図8(c)に示すように、端子圧着装置のクリンパ(上型)101Aとアンビル(下型)102Aの押圧駆動により、導体圧着部11の左右一対の圧着片11L、11Rを、クリンパ101A側のアンビル102Aとの対向部に設けられた2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rにより内側に丸めて加締めることで、電線Wの導体Waに端子10の導体圧着部11を圧着し、同時に、被覆加締部12の左右一対の加締片12L、12Rを内側に曲げることで、電線Wの絶縁被覆Wbの付いた部分に端子10の被覆加締部12を加締め固定する。これにより、端子10と電線Wの接続を行っている。
【0004】
このように圧着により端子10と電線Wを接続した場合、特に導体Waと導体圧着部11の圧着品質により、電気接続性能や機械的接続性能に差が出やすいことが知られている。そこで、端子の圧着処理時の異常を検出して、圧着品質の良否を判定する機能を備えた端子圧着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図9に示すように、この端子圧着装置100は、導体圧着部11を圧着させるためのアンビル(下型)102Aとクリンパ(上型)101Aの組と、被覆加締部12を加締めるためのアンビル102Bとクリンパ101Bの組とを有しており、クリンパ101A、101Bを下動させることにより、アンビル102A、102Aとクリンパ101A、101Bとの間に挿入した端子10と電線Wとを圧着接続するようになっている。そして、アンビル102A、102Aを支持するベース部110に圧力センサ120が内装されており、この圧力センサ120によって検出したアンビル102A、102Aに作用する荷重の時間変化の波形データにより、適正に圧着処理が行われたか否かを判定するようになっている。
【0006】
例えば、図10に示すように、圧着過程をいくつかの段階T1〜T3に分け、各段階T1〜T3において、測定荷重の特性波形が、正常時の基準波形Aに基づいて設定した許容範囲S内に収まっているかどうかを見極めることで、圧着が適正に行われたか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−109517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、実際の圧着工程においては、圧着時の種々の条件により、図11(a)に示す適正品のように、左右の圧着片11L、11Rがバランスよく導体Waに圧着する場合の他に、図11(b)の不適正品のように、左右の圧着片11L、11Rがアンバランスな形で導体Waに圧着する場合が生じることがある。例えば、端子が傾いた状態で圧着が行われたような場合、また、端子の送りズレが発生した状態で圧着が行われたような場合、あるいは、磨耗によりクリンパ101Aの左右の加締め部111L、111Rの摩擦係数が左右非対称な状態で圧着が行われたような場合には、左右に歪みが生じやすくなるため、左側と右側の圧着荷重のズレにより、左右の圧着片11L、11Rがずれた形で圧着が進行し、圧着形状が左右でアンバランスになりやすい。
【0009】
このような左右のアンバランスな圧着形状は圧着不良モードの1種であるが、従来の圧着品質の良否判定機能を備えた端子圧着装置では、アンビル側の1箇所に配置した圧力センサ120で荷重をモニタするだけであったため、検出することが困難であった。
【0010】
本発明は、上記事情を考慮し、左右非対称な圧着不良モードを検出することができる端子圧着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、底板と該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片とからなる断面U字状の導体圧着部を有する端子の前記導体圧着部の底板を載せる下型と、該下型の上方に該下型との間で前記導体圧着部の圧着片を押圧するように配置され、前記下型との対向部に、前記一対の圧着片を内側に曲げるための2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部が形成された上型とを備え、前記下型の上に前記端子の導体圧着部の底板を載せ、この底板の上に電線の導体の先端部を載せ、この状態で前記上型を下型に対して相対的に押圧させることで、前記左右一対の圧着片を内側に丸めて前記電線の導体に圧着させる端子圧着装置において、前記上型を下型に対して相対的に押圧させて前記左右一対の圧着片を前記電線の導体に圧着させる圧着過程における、前記下型の左右幅方向に離間した少なくとも2箇所の上下方向の歪みのアンバランスを検出する検出手段が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の端子圧着装置であって、前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の2箇所に、前記検出手段としての歪みゲージがそれぞれ配置されており、該各歪みゲージの検出データの違いにより、前記アンバランスを検出することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2に記載の端子圧着装置であって、前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の上部に、該下型の左右幅を一定に保つ垂直面が設けられると共に、該垂直面の下側に、前記下型の左右幅を下に行くほど広げる傾斜面が設けられ、この傾斜面が前記垂直面に滑らかに連続する凹状の円弧面で形成され、前記垂直面上または前記垂直面と前記円弧面の境界上に前記歪みゲージが貼り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、圧着過程における下型の左右幅方向に離間した少なくとも2箇所の上下方向の歪みのアンバランスを検出する検出手段を備えているので、圧着荷重の不均衡などを原因とする左右非対称の圧着不良モードを容易に検出することができる。また、圧着時の下型の歪みによる検査であるため、圧着品を非破壊で全数検査することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、下型の一対の側面の2箇所に配置した歪みゲージにより、下型の歪みのアンバランスを検出するので、左右の圧着荷重差を相対的に比較することができ、個体差が生じても、判定基準の閾値がシビアにならないですむ。また、歪みゲージを下型の側面に貼り付けるだけでよいので、従来例のように、高荷重に耐えられる容量の大きな圧力センサを使う必要はなく、設備コストの低減を図ることができる。また、従来例のように大きな荷重を検出するセンサを使用してデータを分析する場合は、荷重変動の小さな圧着不良モードを検出することは困難であったが、下型の側面に貼り付けた歪みゲージを使用してデータを分析することにより、左右非対称の圧着不良モードのように、荷重変動の小さな圧着不良モードを確実に検出することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、下型の側面に生じる上下方向の歪みを精度良く検出することができ、圧着不良判定の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態の端子圧着装置の要部の構成を示す斜視図である。
【図2】(a)は同端子圧着装置の要部の構成を示す側面図、(b)は正面図である。
【図3】同端子圧着装置の左右の歪みゲージが検出したデータを示す特性図で、(a)は正常時の状態を示す図、(b)は左右ずれを発生した異常時の状態を示す図である。
【図4】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の正常時の位置関係を示す図である。
【図5】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、(a)はクリンパに対しアンビルが矢印X1方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図、(b)はクリンパに対しアンビルが矢印X2方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図である。
【図6】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X3方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図、(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X4方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図である。
【図7】同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X5方向(右方向)に傾いて位置している状態を示す図、(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X6方向(左方向)に傾いて位置している状態を示す図である。
【図8】一般的な圧着端子の構成図で、(a)は端子と電線を圧着する前の状態を示す側面図、(b)は圧着した後の状態を示す側面図、(c)はクリンパとアンビルにより端子と電線を圧着している状態を示す断面図である。
【図9】従来の端子圧着装置の概略構成を示す側面図である。
【図10】同従来の端子圧着装置の圧着状態の良否判定に使用する特性図である。
【図11】(a)は正常な圧着が行われた場合の圧着部に断面図、(b)は左右非対称な圧着が行われた場合の圧着部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1は実施形態の端子圧着装置の要部の構成を示す斜視図、図2(a)は同端子圧着装置の要部の構成を示す側面図、図2(b)は正面図、図3は同端子圧着装置の左右の歪みゲージが検出したデータを示す特性図で、図3(a)は正常時の状態を示す図、図3(b)は左右ずれを発生した異常時の状態を示す図、図4は同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の正常時の位置関係を示す図である。また、図5〜図7は、同端子圧着装置において圧着を行う場合のクリンパとアンビルと端子の異常時の位置関係を示す図で、図5(a)はクリンパに対しアンビルが矢印X1方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図、図5(b)はクリンパに対しアンビルが矢印X2方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図、図6(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X3方向(左方向)に片寄って位置している状態を示す図、図6(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X4方向(右方向)に片寄って位置している状態を示す図、図7(a)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X5方向(右方向)に傾いて位置している状態を示す図、図7(b)はクリンパとアンビルに対して端子が矢印X6方向(左方向)に傾いて位置している状態を示す図である。
【0020】
ここで圧着の対象とする端子10は、図8(a)、(b)に示したものと同様に、端子10の後半部の前側に導体圧着部11を有し、その後側に被覆加締部12を有するものである。導体圧着部11は、端子10の全長を通して共通な基板である底板11Aと、該底板11Aの左右幅方向Xの両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片11L、11Rとを有した断面U字状をなしている。同様に、被覆加締部12は、底板12Aと、該底板12Aの左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の加締片12L、12Rとを有した断面U字状をなしている。
【0021】
端子圧着装置は、図9に示したものと同様に、導体圧着部11を圧着させるためのアンビル(下型)102Aとクリンパ(上型)101Aの組と、被覆加締部12を加締めるためのアンビル102Bとクリンパ101Bの組とを有しており、クリンパ101A、101Bを下動させることにより、アンビル102A、102Aとクリンパ101A、101Bとの間に挿入した端子10と電線Wとを圧着接続するようになっている。
【0022】
図1〜図7では、導体圧着部11の底板11Aを載せるアンビル(下型)102Aと、アンビル102Aの上方に位置するクリンパ(上型)101Aの組だけを示している。クリンパ101Aは、図示しない駆動機構により昇降動作し、下動することにより、アンビル102Aとの間で導体圧着部11の一対の圧着片11L、11Rを押圧して加締めるものであり、アンビル102Aとの対向部に2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rを有している。
【0023】
また、アンビル102Aの左右幅方向Xに対称な一対の側面1020、1020の上部には、アンビル102Aの左右幅を一定に保つ垂直面1021が設けられると共に、各垂直面1021の下側には、アンビル102Aの左右幅を下に行くほど広げる傾斜面が設けられている。これらの傾斜面は、それぞれに垂直面1021に滑らかに連続する凹状の大きな曲率半径のアール面(円弧面)で形成されており、各垂直面1021上または垂直面1021とアール面1022の境界上の互いに対称な2箇所には、アンビル102Aの左右幅方向Xに離間した2箇所の上下方向の歪みを検出する歪みゲージ200L、200Rが貼り付けられている。従って、これら左右一対の歪みゲージ200L、200Rの検出データにより、圧着過程においてアンビル102Aに作用する荷重のアンバランスを検出できるようになっている。
【0024】
この端子圧着装置を使用して端子10と電線Wに接続する場合には、まず、アンビル102Aの上に端子10の導体圧着部11の底板11Aを載せ、アンビル102Bの上に端子10の被覆加締部12の底板12Aを載せる。次に、電線Wの端末部の絶縁被覆Wbを剥いで露出させた導体Wa(図8参照)を、導体圧着部11の底板11Aの上に載せ、それに隣接する絶縁被覆Wbの付いた部分を、被覆加締部12の底板12Aの上に載せる。次にその状態で、端子圧着装置のクリンパ101Aをアンビル102Aに対して相対的に下動させる。すると、アンビル102Aとの対向部に設けられたクリンパ101A側の2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部111L、111Rが、一対の圧着片11L、11Rを内側に徐々に丸めていき、最終的に圧着片11L、11Rを導体Waに加締めることで、電線Wの導体Waに端子10の導体圧着部11を圧着する。同時に、もう1組のクリンパ101Bとアンビル102B(図9参照)の働きにより、被覆加締部12の左右一対の加締片12L、12Rを内側に曲げることで、電線Wの絶縁被覆Wbの付いた部分に端子10の被覆加締部12を加締め固定する。これにより、端子10と電線Wの接続を行う。
【0025】
この圧着の過程において、アンビル102Aの側面1020に貼り付けられた左右一対の歪みゲージ200L、200Rは、アンビル102Aの左右幅方向Xに離間した互いに対称な2箇所の上下方向の歪みデータを出力する。これらの左右の歪みデータが、図3(a)のように、互いに重なる場合は、左右の荷重のアンバランスがないと判断できるので、適正に圧着がなされたと判定することができる。一方、左右の歪みデータが、図3(b)のように、互いに異なる場合(つまり、左右の歪みに大きなずれがある場合)は、何らかの原因で圧着荷重の不均衡な状態が生じていると判断できるので、左右非対称の圧着不良モードと判定することができる。
【0026】
このように、歪みゲージ200L、200Rのデータに基づいて容易に不良圧着を検出することができる。また、圧着時のアンビル102Aの歪みによる検査であるため、圧着品を非破壊で全数検査することができる。
【0027】
具体的な例として、実際に考えられるケースを挙げてみると、図4に示すように、クリンパ101Aとアンビル102Aと端子10の位置関係が正常な状態で圧着が行われた場合は、図3(a)のような正常を示すデータが得られるので、このデータに基づいて正常に圧着が行われたと判断することができる。一方、図5の(a)、(b)のように、クリンパ101Aに対しアンビル102Aが矢印X1方向(右方向)や矢印X2方向(左方向)に片寄って位置しているような場合、あるいは、図6の(a)、(b)のように、クリンパ101Aとアンビル102Aに対して端子10が矢印X3方向(左方向)や矢印X4方向(右方向)に片寄って位置しているような場合、さらに、図7の(a)、(b)のように、クリンパ101Aとアンビル102Aに対して端子10が矢印X5方向(右方向)や矢印X6方向(左方向)に傾いて位置しているような場合は、アンビル102Aの左右の側面1020に生じる歪みに図3(b)のようなずれが出るので、不良圧着が発生した可能性が高いと判定することができる。
【0028】
この場合、アンビル102Aの左右一対の側面1020、1020に配置した歪みゲージ200L、200Rにより、アンビル102Aの歪みのアンバランスを検出するので、左右の圧着荷重差を相対的に比較することができ、個体差が生じても、判定基準の閾値がシビアにならないですむ。また、歪みゲージ200L、200Rをアンビル102Aの側面1020に貼り付けるだけでよいので、従来例のように、高荷重に耐えられる容量の大きな圧力センサを使う必要はなく、設備コストの低減を図ることができる。
【0029】
また、従来例のように大きな荷重を検出するセンサを使用してデータを分析する場合は、荷重変動の小さな圧着不良モードを検出することは困難であったが、アンビル102Aの側面1020に貼り付けた歪みゲージ200L、200Rを使用してデータを分析することにより、左右非対称の圧着不良モードのように、荷重変動の小さな圧着不良モードを確実に検出することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の端子圧着装置では、歪みゲージ200L、200Rを、アンビル102Aの側面1020のうち、垂直面1021上または垂直面1021とアール面1022の境界上の互いに対称な2箇所に配置したので、アンビル102Aの側面1020に生じる上下方向Yの歪みを精度良く検出することができ、圧着不良判定の精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0031】
10 端子
11 導体圧着部
11A 底板
11L,11R 圧着片
101A クリンパ(上型)
102A アンビル(下型)
1020 側面
1021 垂直面
1022 R面(円弧面)
111L,111R 加締め部
200L,200R 歪みゲージ
X 左右幅方向
Y 上下方向
W 電線
Wa 導体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片とからなる断面U字状の導体圧着部を有する端子の前記導体圧着部の底板を載せる下型と、該下型の上方に該下型との間で前記導体圧着部の圧着片を押圧するように配置され、前記下型との対向部に、前記一対の圧着片を内側に曲げるための2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部が形成された上型とを備え、前記下型の上に前記端子の導体圧着部の底板を載せ、この底板の上に電線の導体の先端部を載せ、この状態で前記上型を下型に対して相対的に押圧させることで、前記左右一対の圧着片を内側に丸めて前記電線の導体に圧着させる端子圧着装置において、
前記上型を下型に対して相対的に押圧させて前記左右一対の圧着片を前記電線の導体に圧着させる圧着過程における、前記下型の左右幅方向に離間した少なくとも2箇所の上下方向の歪みのアンバランスを検出する検出手段が設けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端子圧着装置であって、
前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の2箇所に、前記検出手段としての歪みゲージがそれぞれ配置されており、該各歪みゲージの検出データの違いにより、前記アンバランスを検出することを特徴とする端子圧着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の端子圧着装置であって、
前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の上部に、該下型の左右幅を一定に保つ垂直面が設けられると共に、該垂直面の下側に、前記下型の左右幅を下に行くほど広げる傾斜面が設けられ、この傾斜面が前記垂直面に滑らかに連続する凹状の円弧面で形成され、前記垂直面上または前記垂直面と前記円弧面の境界上に前記歪みゲージが貼り付けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項1】
底板と該底板の左右幅方向の両側縁から立ち上がる左右一対の圧着片とからなる断面U字状の導体圧着部を有する端子の前記導体圧着部の底板を載せる下型と、該下型の上方に該下型との間で前記導体圧着部の圧着片を押圧するように配置され、前記下型との対向部に、前記一対の圧着片を内側に曲げるための2つの円弧面からなるアーチ形状の加締め部が形成された上型とを備え、前記下型の上に前記端子の導体圧着部の底板を載せ、この底板の上に電線の導体の先端部を載せ、この状態で前記上型を下型に対して相対的に押圧させることで、前記左右一対の圧着片を内側に丸めて前記電線の導体に圧着させる端子圧着装置において、
前記上型を下型に対して相対的に押圧させて前記左右一対の圧着片を前記電線の導体に圧着させる圧着過程における、前記下型の左右幅方向に離間した少なくとも2箇所の上下方向の歪みのアンバランスを検出する検出手段が設けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端子圧着装置であって、
前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の2箇所に、前記検出手段としての歪みゲージがそれぞれ配置されており、該各歪みゲージの検出データの違いにより、前記アンバランスを検出することを特徴とする端子圧着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の端子圧着装置であって、
前記下型の左右幅方向に対称な一対の側面の上部に、該下型の左右幅を一定に保つ垂直面が設けられると共に、該垂直面の下側に、前記下型の左右幅を下に行くほど広げる傾斜面が設けられ、この傾斜面が前記垂直面に滑らかに連続する凹状の円弧面で形成され、前記垂直面上または前記垂直面と前記円弧面の境界上に前記歪みゲージが貼り付けられていることを特徴とする端子圧着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−103263(P2011−103263A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258535(P2009−258535)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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