端子接続構造
【課題】 異種金属である少なくとも一対の端子同士が、確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供する。
【解決手段】 互いに異種金属である少なくとも一対の端子2,3同士を半田接続する端子接続構造において、上記両端子2,3がコネクタ結合されて重なる部位間にフラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が両端子2,3の中間の素材からなる金属シート4が介装され、上記両端子2,3は上記重なり部位に介在する金属シート4に導入された半田により接続されている。
【解決手段】 互いに異種金属である少なくとも一対の端子2,3同士を半田接続する端子接続構造において、上記両端子2,3がコネクタ結合されて重なる部位間にフラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が両端子2,3の中間の素材からなる金属シート4が介装され、上記両端子2,3は上記重なり部位に介在する金属シート4に導入された半田により接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば銅とアルミニウムなど互いに異種金属である少なくとも一対の端子同士を半田で接続した端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多数本の細線を撚り合わせた撚り線が取り付けられた端子同士を半田付け接続する場合、両端子が共に同じ種類の金属製ではなく、一方が例えばアルミニウム製で、他方が例えば銅製となる異種金属の端子同士の半田付け接続もある。例えば自動車の製造分野においては、車体の軽量化の一環として、電源ケーブル等にアルミニウム等の軽量電線を使用することが求められている。このようなアルミニウム電線をアルミニウム製端子に取り付け、このようなアルミニウム製端子においてはこれとは異種金属である例えば銅製や黄銅製の端子に半田付けして接続することが必要な場合がある。
【0003】
上記半田付けにおいては、アルミニウム製端子は、表面に酸化膜ができ、良好な電気的接続が図りにくい上に、銅製や黄銅製端子に対して、熱伝導率が低いため、半田付けの際、端子部分を加熱しても、端子全体が半田付けに必要とする所要温度になりにくく、そのため、フラックスや、溶融半田が両端子の接合面内に導入されず、半田中にボイドができたり、半田付けされない箇所ができやすい。
【0004】
このようなボイドは、放電、電食発生、電気抵抗の増大、通電時の発熱等の原因ともなり、好ましくない。また、ボイド内に空気やフラックスが介在する可能性が高く、このような介在があると、熱伝導しにくくなり、一層、半田付けの確実性が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−326151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、異種金属である少なくとも一対の端子同士が確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による端子接続構造は、互いに異種金属である少なくとも一対の端子同士を半田接続する端子接続構造において、上記両端子それぞれの端部同士がコネクタ結合されていると共に、上記コネクタ結合で重なる部位間に、フラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が上記両端子それぞれのイオン化傾向の略中間である素材からなる金属シートが介装され、上記両端子は上記重なり部位間に介在する金属シートに導入された半田により接続されている、ことを特徴とする。
【0008】
コネクタ結合は、その結合度には限定されない。例えばコネクタ結合部位が嵌合ではなく、単に係止している程度の結合も含むことができる。また、一方端子が円筒状、角筒状等の雌コネクタ構造で、他方端子が円柱状、角柱状等の雄コネクタ構造というコネクタ関係だけに限定されず、両端子がつづら折り等で雌雄コネクタ構造を有する場合も含むことができる。
【0009】
金属シートにおける上記フラックス保持が可能な形状には、網構造や複数の穴や複数の凹凸等の形状、あるいはこれらの組合せ等を含むことができる。
【0010】
好ましくは、上記両端子のうちの、一方端子は、端部に開口を有する雌コネクタ構造を有し、他方端子は、端部に上記一方端子の上記端部の開口に挿入可能な柱状部を有した雄コネクタ構造を有し、上記一方端子の上記端部開口に上記他方端子の柱状部が金属シートを介在して挿入されて、上記コネクタ結合が行われている。
【0011】
好ましくは、上記両端子の端部は多重折り状に形成されており、上記両端子の多重折り状端部同士が重なり合っていると共に、その重なり部位に上記金属シートが介装されて、上記コネクタ結合が行われている。
【0012】
上記多重折りには、つづら折り、観音折り、地図折り、等の各種の多重折りを含む。
【0013】
好ましくは、上記両端子の一方の素材が銅または黄銅であり、他方の素材がアルミニウムであり、上記金属シートは、銅、もしくは、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材として、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金した素材を含み、その素材のイオン化傾向が銅とアルミニウムとの中間にある。これにより、第1、第2端子が異種金属である銅とアルミニウムの場合に、両者間のイオン化傾向の相違による急激な金属間の電位差が緩和され、電食を抑えることができる。
【0014】
本発明構造においては、上記両端子のうちの一方側端部が雌雄コネクタの一方、他方側端部が雌雄コネクタの他方を構成し、それらがコネクタ結合されて重なる部位間にメッシュや穴や凹凸等のフラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が両端子の中間の素材からなる金属シートが介装され、その金属シートに導入された半田により接続されているので、両端子が異種金属であっても、金属シートによりそれら端子同士は確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供することができる。
【0015】
また、上記両端子は金属シートにより密着した状態で半田付けされるので、外部から端子や金属シートを加熱し、両端子間の重なり部位間の金属シートにフラックスと溶融半田とを導入する場合、これらフラックスや半田は良好に導入することができ、半田中にボイドができにくく、半田付けを確実に行うことができるようになる。
【0016】
なお、金属シート表面に金属メッキ層が形成されている場合においてはその金属メッキ層が溶けて流れ出し、さらにフラックスは金属シート表面に沿って導入されて、両端子の重なり部位間全体に広がり、端子表面の酸化膜が容易に取り除かれると共に、溶融半田も、フラックスと同様に、金属シートと溶解メッキに沿って重なり部位間に導入されて全体に広がって固化するから、ボイドを生成することなく両端子を電気的に接続することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、両端子を内部にボイドを発生させることなく良好に半田で接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る端子接続構造を分解して示す図である。
【図2A】図2Aは図1の構造を構成する各部品のうち、端部が雄側コネクタを構成する端子の断面を示す図である。
【図2B】図2Bは金属シートの断面を示す図である。
【図2C】図2Cは端部が雌側コネクタを構成する端子の断面の構成を示す図である。
【図3】図3は上記構造を組み立てた状態で示す図である。
【図4】図4は図3の断面構成を示す図である。
【図5】図5は図4の変形構成を示す図である。
【図6】図6は本発明の別の実施形態に係る端子接続構造を分解して示す図である。
【図7】図7は本発明のさらに別の実施形態に係る端子接続構造を分解して示す図である。
【図8】図8は図7の組み立てた状態の端子接続構造を示す図である。
【図9】図9は図8の状態の構造の断面を示す図である。
【図10】図10は図9の要部を拡大して示す図である。
【図11】図11は本発明のさらに別の実施形態に係る端子構造の製造に用いる各シートの外観構成を示す図である。
【図12】図12は図11の各シートを積層した状態を拡大して示す図である。
【図13】図13は図12の状態から一方向につづら折りする途中の状態を拡大して示す図である。
【図14】図14は図13の状態から一方向のつづら折りが完了した状態を拡大して示す図である。
【図15】図15は図14の状態から他方向につづら折りする途中の状態を拡大して示す図である。
【図16】図16は図15の状態から他方向のつづら折りが完了して積層体が形成された状態を拡大して示す図である。
【図17】図17は図16の積層体の一部断面を拡大して示す図である。
【図18】図18は図16の積層体に対して加熱を行う状態を拡大して示す図である。
【図19A】図19Aは図18の加熱により中間シートに保持しているフラックスの流れと共に半田付け状況を拡大して示す図である。
【図19B】図19Bは図19Aに引き続いて図18の加熱により中間シートに保持しているフラックスの流れと共に半田付け状況を拡大して示す図である。
【図20】図20は図16の積層体を加熱して実施形態の端子構造の製造が完了した状態を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る端子接続構造を詳細に説明する。
【0020】
まず、図1ないし図4を参照して、実施形態の端子接続構造を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る端子接続構造を分解して示し、図2Aは上記構造を構成する各部品のうち、第1端子の断面構成、図2Bは金属シートの断面構成、図2Cは第2端子の断面構成をそれぞれ示し、図3は上記部品を組み立てた状態の構造を示し、図4は図3の断面構成を示す。
【0021】
本実施形態の端子接続構造1は、図1で示すように、部品として接続側端部が雌型コネクタ構造の第1端子2と、上記接続側端部に対応する接続側端部が雄型コネクタ構造の第2端子3と、両第1、第2端子2,3間の金属シート4と、を含む。
【0022】
第1端子2は、図1および図2Aで示すように、素材が異種金属の一方側金属として例えば銅ないし黄銅であり、円筒状の端子主部2aと、この端子主部2aの一端側端部2a1に連成された端子穴2b付き端子片2cと、を含む。第1端子2の他端側の端部2a2は、雌型コネクタ構造として、筒状となっていると共にその端部2a2の端面には、円錐台状突部2dが形成されている。円錐台状突部2dには円形開口2eが形成されている。
【0023】
金属シート4は、図1および図2Bで示すように金網形状で一端側が開口4aし、他端側が底4b付きのシートである。ただし、本発明ではこのような網状のシート形状に限定されず、複数の穴や凹凸等のフラックスの導入保持、半田の導入が可能な形状であればよい。金属シート4は、一端側から第2端子3の円柱状部3dに被せ付けられる。
【0024】
金属シート4は、銅、もしくは、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材とし、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金した素材とし、その素材のイオン化傾向は銅とアルミニウムとの略中間にある。
【0025】
第2端子3は、図1および図2Cで示すように、その素材が異種金属の他方側金属として例えばアルミニウムであり、円柱状の端子主部3aと、この端子主部3aの一端側端部3a1に連成された端子穴3b付き端子片3cとを含む。端子主部3aの他端側端部3a2は、第1端子2の上記端子主部2aの円形開口2eに挿入可能でかつ外径一定に突出する円柱状部3dと、この円柱状部3dの同心外周に位置し、第1端子2の円錐台状突部2dが挿入可能な円周溝3eと、を有している。
【0026】
以上の図1、図2Aないし図2Cを参照して説明した上記構成要素からなる実施形態の端子接続構造1を図3で示すように組み立てた状態を図3の断面図である図4を含めて説明する。
【0027】
第1端子2の雌型コネクタを構成する端子主部2aの開口2eに第2端子3の雄型コネクタを構成する円柱状部3dが挿入され、両端子2,3はコネクタ結合される。
【0028】
この挿入において金属シート4は、上記コネクタ結合において重なる部位間である開口2e内周面と円柱状部3d外周面との間に介装されていると共に一端側が第1端子2の円錐台状突部2d外周面と第2端子3の円周溝3e外周面との間に折り返されるよう介装されて折り返し部4cを形成している。これにより第1端子2と第2端子3とは直接接触することが無くなり、両者間に金属シート4が介装されることになる。
【0029】
これにより、例えば半田付けに際して、図4で示すように端子2と金属シート4とに矢印で示すプラス電極(+)Pとマイナス電極(−)Nとを押し付けるように接触させて両電極P,N間に電流を流すことで両電極P,N間に挟み込まれた端子2,3や金属シート4を加熱する場合、電極P,Nの押し付けが容易となる。
【0030】
金属シート4は、その素材のイオン化傾向が銅とアルミニウムとの略中間であるので、第1端子2の端子主部2aの開口2e内周面と第2端子3の端子主部3aの円柱状部3d外周面との間に介在することで、第1端子2が銅、黄銅で、第2端子3がこれと異種金属であるアルミニウムであっても、両端子2,3間のイオン化傾向の相違による急激な金属間の電位差を緩和し電食を抑えることができる。
【0031】
以上のように、本実施形態では、金属シート4が第1、第2端子2,3それぞれに対して上記位置で介在することで、半田付けに際して、第1、第2端子2,3や金属シート4にプラス電極とマイナス電極とを押し付けるように接触させると共にその状態で両電極間に電流を流すことで両電極間に挟み込まれた第1、第2端子2,3や金属シート4を加熱する。
【0032】
そして、フラックスFや半田Hは、第1端子2の端子主部2aの開口2e内周面および円錐台状突部2d外周面それぞれと第2端子3の端子主部3aの円柱状部3d外周面および円周溝3e外周面それぞれとの間の金属シート4に導入され、第2端子3の表面全体のアルミニウム酸化皮膜が効果的に除去される。
【0033】
以上説明したように本実施形態の端子接続構造では、第1端子2の一方側端部2a2が雌コネクタ、入力端子3の他方側端部3a2が雄コネクタをそれぞれ構成し、それらがコネクタ結合されて重なる部位間にメッシュや穴や凹凸等のフラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が両端子の中間の素材からなる金属シート4が介装され、その金属シート4に導入された半田により接続されているので、両端子2,3が銅や黄銅とアルミニウムという異種金属であっても、金属シート4によりそれら端子2,3同士は確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供することができる。
【0034】
なお、図5で示すように第1端子2の端子主部2aと、第2端子3の端子主部3aの円柱状部3dとを直径方向に貫通する貫通穴5を形成し、この貫通穴5に結合部材として例えばセラミック製のボルト6を締結することで、第1端子2と第2端子3とをより強固に結合してもよい。なお、この結合部材としてはボルト6ではなくても例えばセラミック製のピンでもよい。また、貫通穴5ではなく、途中まで開いた穴でもよい。さらに、第1端子2の他端側の端部2a2の筒状部内周面にネジ形状を形成してもよい。なお、両端子2,3表面に絶縁カバーを被せて表面を絶縁構成とすることでもよい。なお、上記第1端子2の他端側の端部2a2の開口2eは円形であるが、円形ではなく、矩形形状でもよい。これに対応して円柱状部3dを角柱状部とすることができる。
【0035】
金属シート4は円柱状部3dに被せることができるキャップ形状であるが、キャップ形状でなくてもよい。金属シート4は1枚物の金網形状であるが、複数枚重ねた金網形状としてもよい。この複数枚とする場合、第1端子2側ではイオン化傾向が銅あるいは黄銅に近い合金、第2端子3側ではイオン化傾向がアルミニウムに近い合金が好ましい。
【0036】
図6を参照して本発明の他の実施形態に係る端子接続構造を説明する。図6は同端子接続構造の断面構成を示し、図1ないし図5と対応する部分には同一の符号を付している。この実施形態では第1端子2にフラックス気体逃し穴2fを設け、この穴2fからフラックスを逃すようにすることでフラックスが半田中にボイドとして残らないようにしてもよく、また、第2端子3の円柱状部3dに半田が入り込める穴3fを設けることで、半田による接合強度を高めるようにしてもよい。なお、金属シート4は全体が金網構造でかつ底付きキャップ状としてもよい。
【0037】
図7ないし図10を参照して本発明のさらに他の実施形態に係る端子接続構造を説明する。図7は同端子接続構造を分解して示し、図8は図7の組み立てた状態の端子接続構造を示し、図9は図8の状態の構造の断面を示し、図10は図9の要部を拡大して示す。
【0038】
この端子接続構造10は、第1端子11と、第2端子12と、金属シート13とを有する。第1端子11はその素材が、第1端子2と同様、銅または黄銅であり、第2端子12はその素材が第2端子3と同様、アルミニウムである。また金属シート13は、上記金属シート4と同様の素材で構成されている。
【0039】
第1端子11は、端子主部11a1,11a2と、これらの一端側に連成された端子片11b1,11b2とを含む。端子片11b1,11b2には端子穴11c1,11c2が設けられている。端子主部11a1,11a2それぞれの他方側端部が多重折りの一例としてつづら折り部11dで連結されている。
【0040】
第2端子12は、端子主部12a1,12a2と、これらの一端側に連成された端子片12b1,12b2とを含む。端子片12b1,12b2には端子穴12c1,12c2が設けられている。端子主部12a1,12a2それぞれの他方側端部がつづら折り部12dで連結されている。
【0041】
第1端子11の他方側端部の複数のつづら折り部11dと第2端子12の他方側端部のつづら折り部12dとが互いに入り組んだ状態とされ、この状態で金属シート13が第1端子11のつづら折り部11dと第2端子12のつづら折り部12dとの対向面間に介装される。
【0042】
以上のつづら折りにかかる端子接続構造においても、銅や黄銅製の第1端子11の一方側端部が雌雄共用コネクタ、アルミニウム製の第2端子12の他方側端部が雌雄共用コネクタをそれぞれ構成し、それらがコネクタ結合されて重なる部位間にイオン化傾向が両端子の中間の素材からなる金属シート13が介装され、その金属シート13に導入された半田により接続されているので、両端子11,12が銅や黄銅とアルミニウムという異種金属であっても、金属シート13によりそれら端子11,12同士は確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供することができる。
【0043】
図11に本発明のさらに別の実施形態に係る端子構造を構成する各シートの外観構成を示す。実施形態の端子構造は、図11で示す順序で上下に配置したいずれも平面視同一寸法の矩形形状でミウラ折りのための同一の折り目線を有する4枚のシート21,23,25,27から製造される。各シート21,23,25,27それぞれのシート厚さは図解の都合で示す。
【0044】
シート21は素材が銅、黄銅、その他の銅合金、もしくは銅系複合材料からなり、かつ端子部分を構成する突起21aを備えた第1金属シートである。
【0045】
シート23は、素材が半田からなる半田シートである。
【0046】
シート25は、素材が、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材とし、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金したものを素材とし、あるいは錫亜鉛合金を素材とした中間シートである。
【0047】
シート27は、素材がアルミニウムからなり、かつ、端子部分を構成する突起27aを備えた第2金属シートである。
【0048】
実施形態では説明の都合でシートと称するが、この名称に限定されるものでは何等なく、例えば箔やフィルムやその他の名称を含むことができる。
【0049】
第1金属シート21と第2金属シート27それぞれのシート厚さは、実施形態の多重折り例であるミウラ折りした際に端子として必要な厚さを得ることができる厚さが好ましい。
【0050】
半田シート23は、第1金属シート21と第2金属シート27とを半田付けするのに必要とする半田量を提供することができることが好ましく、また、そのシート厚さもそれに対応した厚さが好ましい。
【0051】
中間シート25は発泡やメッシュ加工されてフラックスを保持できる複数の孔25aを具備しこれら孔25aには一部を拡大して示すようにフラックス25bを保持している。中間シート25は第1金属シート21と第2金属シート27との間に介在して両金属のイオン化傾向に対してそのイオン化傾向が略中間の金属であるが、そのシート厚さは第1金属シート21と第2金属シート27とを互いに半田付け接続するに適した厚さに設定することが好ましい。中間シート25は多数の孔を備えるが、これら各孔の数、大きさは、それらに保持しているフラックスがアルミニウムからなる第2金属シート27表面の酸化膜を除去することができる量を保持できる程度であることが好ましい。
【0052】
以上の各シート21,23,25,27には、上記したように多重折りの一例としてミウラ折りするための山折りと谷折りそれぞれの折り目線が形成されている。点線は山折りする折り目線であり、一点鎖線は谷折りする折り目線を示す。なお、この実施形態では多重折りの一例としてミウラ折りを示すが、このミウラ折りに限定されるものではなく、他の多重折り、例えば、観音折り、等の各種の多重折りを含む。
【0053】
これら各シート21,23,25,27はそれぞれ図11のシート形態の状態で図12で示すように積層され、その積層状態から、図13から図14で一方向に上記折り目線から谷折り、山折りしてつづら折りし、次いで図15で示すように他方向に上記折り目線から谷折り、山折りしてつづら折りし、図16で示すように、図11の状態の各シート21,23,25,27はミウラ折りされた積層体29を得る。図17に積層体29の要部断面を拡大した構成を示す。図17に示す積層体29断面では第2金属シート27表面に酸化アルミニウム(Al2O3)27bが形成されている。
【0054】
こうして形成した積層体29は、それを構成している積層内部は各シートが積層されミウラ折りされただけで互いに対して半田付け接続されていない。
【0055】
そこで、図18で示すように、積層体29にプラスとマイナスの電極31,33を接触し、これら電極31,33間に電流を印加すると、図19Aから図19Bで示すように、中間シート25の各孔25a内に保持しているフラックス25bが溶けて第2金属シート27に流れこんで、第2金属シート27表面の酸化アルミニウム27bが除去される。なお、フラックス25bは上記酸化アルミニウム27bの除去後、気化する。
【0056】
そしてフラックス25bは気化すると共に、すでに溶けていた半田シート23からの半田23aは第1金属シート21に付着すると共に中間シート25の各孔25aから抜け出て第2金属シート27に付着する。
【0057】
こうして積層体29はそれを構成する各シート21,23,25,27は半田付け接続されることで図20で示すような端子構造35とされる。
【0058】
35aは突起21aに対応する端子部分、35bは突起27aに対応する端子部分である。
【0059】
以上のようにして製造した端子構造35は、互いに異種金属同士である少なくとも2枚の第1、第2金属シート21,27の対向間に、上記両金属に対しイオン化傾向が略中間の金属からなる中間シート25を介装した状態で積層しミウラ折りした構造を具備し、この構造を構成する各積層内部を半田付け接続した構造となっているので、第1、第2金属シート21,27が互いに異種金属であっても、イオン化傾向が第1、第2金属シート21,27のそれらの略中間の素材からなる中間シート25によりイオン化傾向が緩和される結果、両異種金属間のイオン化傾向の相違による急激な金属間電位差が緩和されて電食が抑えられ、かつ、半田付けで一体化されており、また、積層状態でミウラ折りされているので、形状や寸法が小型化されている。
【符号の説明】
【0060】
1 端子接続構造
2 第1端子
2a 端子主部
2c 端子片
2d 円錐台状突部
2e 円形開口
3 第2端子
3a 端子主部
3c 端子片
3d 円柱状部
3e 円周溝
4 金属シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば銅とアルミニウムなど互いに異種金属である少なくとも一対の端子同士を半田で接続した端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、多数本の細線を撚り合わせた撚り線が取り付けられた端子同士を半田付け接続する場合、両端子が共に同じ種類の金属製ではなく、一方が例えばアルミニウム製で、他方が例えば銅製となる異種金属の端子同士の半田付け接続もある。例えば自動車の製造分野においては、車体の軽量化の一環として、電源ケーブル等にアルミニウム等の軽量電線を使用することが求められている。このようなアルミニウム電線をアルミニウム製端子に取り付け、このようなアルミニウム製端子においてはこれとは異種金属である例えば銅製や黄銅製の端子に半田付けして接続することが必要な場合がある。
【0003】
上記半田付けにおいては、アルミニウム製端子は、表面に酸化膜ができ、良好な電気的接続が図りにくい上に、銅製や黄銅製端子に対して、熱伝導率が低いため、半田付けの際、端子部分を加熱しても、端子全体が半田付けに必要とする所要温度になりにくく、そのため、フラックスや、溶融半田が両端子の接合面内に導入されず、半田中にボイドができたり、半田付けされない箇所ができやすい。
【0004】
このようなボイドは、放電、電食発生、電気抵抗の増大、通電時の発熱等の原因ともなり、好ましくない。また、ボイド内に空気やフラックスが介在する可能性が高く、このような介在があると、熱伝導しにくくなり、一層、半田付けの確実性が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平06−326151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、異種金属である少なくとも一対の端子同士が確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による端子接続構造は、互いに異種金属である少なくとも一対の端子同士を半田接続する端子接続構造において、上記両端子それぞれの端部同士がコネクタ結合されていると共に、上記コネクタ結合で重なる部位間に、フラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が上記両端子それぞれのイオン化傾向の略中間である素材からなる金属シートが介装され、上記両端子は上記重なり部位間に介在する金属シートに導入された半田により接続されている、ことを特徴とする。
【0008】
コネクタ結合は、その結合度には限定されない。例えばコネクタ結合部位が嵌合ではなく、単に係止している程度の結合も含むことができる。また、一方端子が円筒状、角筒状等の雌コネクタ構造で、他方端子が円柱状、角柱状等の雄コネクタ構造というコネクタ関係だけに限定されず、両端子がつづら折り等で雌雄コネクタ構造を有する場合も含むことができる。
【0009】
金属シートにおける上記フラックス保持が可能な形状には、網構造や複数の穴や複数の凹凸等の形状、あるいはこれらの組合せ等を含むことができる。
【0010】
好ましくは、上記両端子のうちの、一方端子は、端部に開口を有する雌コネクタ構造を有し、他方端子は、端部に上記一方端子の上記端部の開口に挿入可能な柱状部を有した雄コネクタ構造を有し、上記一方端子の上記端部開口に上記他方端子の柱状部が金属シートを介在して挿入されて、上記コネクタ結合が行われている。
【0011】
好ましくは、上記両端子の端部は多重折り状に形成されており、上記両端子の多重折り状端部同士が重なり合っていると共に、その重なり部位に上記金属シートが介装されて、上記コネクタ結合が行われている。
【0012】
上記多重折りには、つづら折り、観音折り、地図折り、等の各種の多重折りを含む。
【0013】
好ましくは、上記両端子の一方の素材が銅または黄銅であり、他方の素材がアルミニウムであり、上記金属シートは、銅、もしくは、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材として、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金した素材を含み、その素材のイオン化傾向が銅とアルミニウムとの中間にある。これにより、第1、第2端子が異種金属である銅とアルミニウムの場合に、両者間のイオン化傾向の相違による急激な金属間の電位差が緩和され、電食を抑えることができる。
【0014】
本発明構造においては、上記両端子のうちの一方側端部が雌雄コネクタの一方、他方側端部が雌雄コネクタの他方を構成し、それらがコネクタ結合されて重なる部位間にメッシュや穴や凹凸等のフラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が両端子の中間の素材からなる金属シートが介装され、その金属シートに導入された半田により接続されているので、両端子が異種金属であっても、金属シートによりそれら端子同士は確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供することができる。
【0015】
また、上記両端子は金属シートにより密着した状態で半田付けされるので、外部から端子や金属シートを加熱し、両端子間の重なり部位間の金属シートにフラックスと溶融半田とを導入する場合、これらフラックスや半田は良好に導入することができ、半田中にボイドができにくく、半田付けを確実に行うことができるようになる。
【0016】
なお、金属シート表面に金属メッキ層が形成されている場合においてはその金属メッキ層が溶けて流れ出し、さらにフラックスは金属シート表面に沿って導入されて、両端子の重なり部位間全体に広がり、端子表面の酸化膜が容易に取り除かれると共に、溶融半田も、フラックスと同様に、金属シートと溶解メッキに沿って重なり部位間に導入されて全体に広がって固化するから、ボイドを生成することなく両端子を電気的に接続することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、両端子を内部にボイドを発生させることなく良好に半田で接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る端子接続構造を分解して示す図である。
【図2A】図2Aは図1の構造を構成する各部品のうち、端部が雄側コネクタを構成する端子の断面を示す図である。
【図2B】図2Bは金属シートの断面を示す図である。
【図2C】図2Cは端部が雌側コネクタを構成する端子の断面の構成を示す図である。
【図3】図3は上記構造を組み立てた状態で示す図である。
【図4】図4は図3の断面構成を示す図である。
【図5】図5は図4の変形構成を示す図である。
【図6】図6は本発明の別の実施形態に係る端子接続構造を分解して示す図である。
【図7】図7は本発明のさらに別の実施形態に係る端子接続構造を分解して示す図である。
【図8】図8は図7の組み立てた状態の端子接続構造を示す図である。
【図9】図9は図8の状態の構造の断面を示す図である。
【図10】図10は図9の要部を拡大して示す図である。
【図11】図11は本発明のさらに別の実施形態に係る端子構造の製造に用いる各シートの外観構成を示す図である。
【図12】図12は図11の各シートを積層した状態を拡大して示す図である。
【図13】図13は図12の状態から一方向につづら折りする途中の状態を拡大して示す図である。
【図14】図14は図13の状態から一方向のつづら折りが完了した状態を拡大して示す図である。
【図15】図15は図14の状態から他方向につづら折りする途中の状態を拡大して示す図である。
【図16】図16は図15の状態から他方向のつづら折りが完了して積層体が形成された状態を拡大して示す図である。
【図17】図17は図16の積層体の一部断面を拡大して示す図である。
【図18】図18は図16の積層体に対して加熱を行う状態を拡大して示す図である。
【図19A】図19Aは図18の加熱により中間シートに保持しているフラックスの流れと共に半田付け状況を拡大して示す図である。
【図19B】図19Bは図19Aに引き続いて図18の加熱により中間シートに保持しているフラックスの流れと共に半田付け状況を拡大して示す図である。
【図20】図20は図16の積層体を加熱して実施形態の端子構造の製造が完了した状態を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明の一実施形態に係る端子接続構造を詳細に説明する。
【0020】
まず、図1ないし図4を参照して、実施形態の端子接続構造を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る端子接続構造を分解して示し、図2Aは上記構造を構成する各部品のうち、第1端子の断面構成、図2Bは金属シートの断面構成、図2Cは第2端子の断面構成をそれぞれ示し、図3は上記部品を組み立てた状態の構造を示し、図4は図3の断面構成を示す。
【0021】
本実施形態の端子接続構造1は、図1で示すように、部品として接続側端部が雌型コネクタ構造の第1端子2と、上記接続側端部に対応する接続側端部が雄型コネクタ構造の第2端子3と、両第1、第2端子2,3間の金属シート4と、を含む。
【0022】
第1端子2は、図1および図2Aで示すように、素材が異種金属の一方側金属として例えば銅ないし黄銅であり、円筒状の端子主部2aと、この端子主部2aの一端側端部2a1に連成された端子穴2b付き端子片2cと、を含む。第1端子2の他端側の端部2a2は、雌型コネクタ構造として、筒状となっていると共にその端部2a2の端面には、円錐台状突部2dが形成されている。円錐台状突部2dには円形開口2eが形成されている。
【0023】
金属シート4は、図1および図2Bで示すように金網形状で一端側が開口4aし、他端側が底4b付きのシートである。ただし、本発明ではこのような網状のシート形状に限定されず、複数の穴や凹凸等のフラックスの導入保持、半田の導入が可能な形状であればよい。金属シート4は、一端側から第2端子3の円柱状部3dに被せ付けられる。
【0024】
金属シート4は、銅、もしくは、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材とし、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金した素材とし、その素材のイオン化傾向は銅とアルミニウムとの略中間にある。
【0025】
第2端子3は、図1および図2Cで示すように、その素材が異種金属の他方側金属として例えばアルミニウムであり、円柱状の端子主部3aと、この端子主部3aの一端側端部3a1に連成された端子穴3b付き端子片3cとを含む。端子主部3aの他端側端部3a2は、第1端子2の上記端子主部2aの円形開口2eに挿入可能でかつ外径一定に突出する円柱状部3dと、この円柱状部3dの同心外周に位置し、第1端子2の円錐台状突部2dが挿入可能な円周溝3eと、を有している。
【0026】
以上の図1、図2Aないし図2Cを参照して説明した上記構成要素からなる実施形態の端子接続構造1を図3で示すように組み立てた状態を図3の断面図である図4を含めて説明する。
【0027】
第1端子2の雌型コネクタを構成する端子主部2aの開口2eに第2端子3の雄型コネクタを構成する円柱状部3dが挿入され、両端子2,3はコネクタ結合される。
【0028】
この挿入において金属シート4は、上記コネクタ結合において重なる部位間である開口2e内周面と円柱状部3d外周面との間に介装されていると共に一端側が第1端子2の円錐台状突部2d外周面と第2端子3の円周溝3e外周面との間に折り返されるよう介装されて折り返し部4cを形成している。これにより第1端子2と第2端子3とは直接接触することが無くなり、両者間に金属シート4が介装されることになる。
【0029】
これにより、例えば半田付けに際して、図4で示すように端子2と金属シート4とに矢印で示すプラス電極(+)Pとマイナス電極(−)Nとを押し付けるように接触させて両電極P,N間に電流を流すことで両電極P,N間に挟み込まれた端子2,3や金属シート4を加熱する場合、電極P,Nの押し付けが容易となる。
【0030】
金属シート4は、その素材のイオン化傾向が銅とアルミニウムとの略中間であるので、第1端子2の端子主部2aの開口2e内周面と第2端子3の端子主部3aの円柱状部3d外周面との間に介在することで、第1端子2が銅、黄銅で、第2端子3がこれと異種金属であるアルミニウムであっても、両端子2,3間のイオン化傾向の相違による急激な金属間の電位差を緩和し電食を抑えることができる。
【0031】
以上のように、本実施形態では、金属シート4が第1、第2端子2,3それぞれに対して上記位置で介在することで、半田付けに際して、第1、第2端子2,3や金属シート4にプラス電極とマイナス電極とを押し付けるように接触させると共にその状態で両電極間に電流を流すことで両電極間に挟み込まれた第1、第2端子2,3や金属シート4を加熱する。
【0032】
そして、フラックスFや半田Hは、第1端子2の端子主部2aの開口2e内周面および円錐台状突部2d外周面それぞれと第2端子3の端子主部3aの円柱状部3d外周面および円周溝3e外周面それぞれとの間の金属シート4に導入され、第2端子3の表面全体のアルミニウム酸化皮膜が効果的に除去される。
【0033】
以上説明したように本実施形態の端子接続構造では、第1端子2の一方側端部2a2が雌コネクタ、入力端子3の他方側端部3a2が雄コネクタをそれぞれ構成し、それらがコネクタ結合されて重なる部位間にメッシュや穴や凹凸等のフラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が両端子の中間の素材からなる金属シート4が介装され、その金属シート4に導入された半田により接続されているので、両端子2,3が銅や黄銅とアルミニウムという異種金属であっても、金属シート4によりそれら端子2,3同士は確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供することができる。
【0034】
なお、図5で示すように第1端子2の端子主部2aと、第2端子3の端子主部3aの円柱状部3dとを直径方向に貫通する貫通穴5を形成し、この貫通穴5に結合部材として例えばセラミック製のボルト6を締結することで、第1端子2と第2端子3とをより強固に結合してもよい。なお、この結合部材としてはボルト6ではなくても例えばセラミック製のピンでもよい。また、貫通穴5ではなく、途中まで開いた穴でもよい。さらに、第1端子2の他端側の端部2a2の筒状部内周面にネジ形状を形成してもよい。なお、両端子2,3表面に絶縁カバーを被せて表面を絶縁構成とすることでもよい。なお、上記第1端子2の他端側の端部2a2の開口2eは円形であるが、円形ではなく、矩形形状でもよい。これに対応して円柱状部3dを角柱状部とすることができる。
【0035】
金属シート4は円柱状部3dに被せることができるキャップ形状であるが、キャップ形状でなくてもよい。金属シート4は1枚物の金網形状であるが、複数枚重ねた金網形状としてもよい。この複数枚とする場合、第1端子2側ではイオン化傾向が銅あるいは黄銅に近い合金、第2端子3側ではイオン化傾向がアルミニウムに近い合金が好ましい。
【0036】
図6を参照して本発明の他の実施形態に係る端子接続構造を説明する。図6は同端子接続構造の断面構成を示し、図1ないし図5と対応する部分には同一の符号を付している。この実施形態では第1端子2にフラックス気体逃し穴2fを設け、この穴2fからフラックスを逃すようにすることでフラックスが半田中にボイドとして残らないようにしてもよく、また、第2端子3の円柱状部3dに半田が入り込める穴3fを設けることで、半田による接合強度を高めるようにしてもよい。なお、金属シート4は全体が金網構造でかつ底付きキャップ状としてもよい。
【0037】
図7ないし図10を参照して本発明のさらに他の実施形態に係る端子接続構造を説明する。図7は同端子接続構造を分解して示し、図8は図7の組み立てた状態の端子接続構造を示し、図9は図8の状態の構造の断面を示し、図10は図9の要部を拡大して示す。
【0038】
この端子接続構造10は、第1端子11と、第2端子12と、金属シート13とを有する。第1端子11はその素材が、第1端子2と同様、銅または黄銅であり、第2端子12はその素材が第2端子3と同様、アルミニウムである。また金属シート13は、上記金属シート4と同様の素材で構成されている。
【0039】
第1端子11は、端子主部11a1,11a2と、これらの一端側に連成された端子片11b1,11b2とを含む。端子片11b1,11b2には端子穴11c1,11c2が設けられている。端子主部11a1,11a2それぞれの他方側端部が多重折りの一例としてつづら折り部11dで連結されている。
【0040】
第2端子12は、端子主部12a1,12a2と、これらの一端側に連成された端子片12b1,12b2とを含む。端子片12b1,12b2には端子穴12c1,12c2が設けられている。端子主部12a1,12a2それぞれの他方側端部がつづら折り部12dで連結されている。
【0041】
第1端子11の他方側端部の複数のつづら折り部11dと第2端子12の他方側端部のつづら折り部12dとが互いに入り組んだ状態とされ、この状態で金属シート13が第1端子11のつづら折り部11dと第2端子12のつづら折り部12dとの対向面間に介装される。
【0042】
以上のつづら折りにかかる端子接続構造においても、銅や黄銅製の第1端子11の一方側端部が雌雄共用コネクタ、アルミニウム製の第2端子12の他方側端部が雌雄共用コネクタをそれぞれ構成し、それらがコネクタ結合されて重なる部位間にイオン化傾向が両端子の中間の素材からなる金属シート13が介装され、その金属シート13に導入された半田により接続されているので、両端子11,12が銅や黄銅とアルミニウムという異種金属であっても、金属シート13によりそれら端子11,12同士は確実強固に半田で接続された端子接続構造を提供することができる。
【0043】
図11に本発明のさらに別の実施形態に係る端子構造を構成する各シートの外観構成を示す。実施形態の端子構造は、図11で示す順序で上下に配置したいずれも平面視同一寸法の矩形形状でミウラ折りのための同一の折り目線を有する4枚のシート21,23,25,27から製造される。各シート21,23,25,27それぞれのシート厚さは図解の都合で示す。
【0044】
シート21は素材が銅、黄銅、その他の銅合金、もしくは銅系複合材料からなり、かつ端子部分を構成する突起21aを備えた第1金属シートである。
【0045】
シート23は、素材が半田からなる半田シートである。
【0046】
シート25は、素材が、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材とし、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金したものを素材とし、あるいは錫亜鉛合金を素材とした中間シートである。
【0047】
シート27は、素材がアルミニウムからなり、かつ、端子部分を構成する突起27aを備えた第2金属シートである。
【0048】
実施形態では説明の都合でシートと称するが、この名称に限定されるものでは何等なく、例えば箔やフィルムやその他の名称を含むことができる。
【0049】
第1金属シート21と第2金属シート27それぞれのシート厚さは、実施形態の多重折り例であるミウラ折りした際に端子として必要な厚さを得ることができる厚さが好ましい。
【0050】
半田シート23は、第1金属シート21と第2金属シート27とを半田付けするのに必要とする半田量を提供することができることが好ましく、また、そのシート厚さもそれに対応した厚さが好ましい。
【0051】
中間シート25は発泡やメッシュ加工されてフラックスを保持できる複数の孔25aを具備しこれら孔25aには一部を拡大して示すようにフラックス25bを保持している。中間シート25は第1金属シート21と第2金属シート27との間に介在して両金属のイオン化傾向に対してそのイオン化傾向が略中間の金属であるが、そのシート厚さは第1金属シート21と第2金属シート27とを互いに半田付け接続するに適した厚さに設定することが好ましい。中間シート25は多数の孔を備えるが、これら各孔の数、大きさは、それらに保持しているフラックスがアルミニウムからなる第2金属シート27表面の酸化膜を除去することができる量を保持できる程度であることが好ましい。
【0052】
以上の各シート21,23,25,27には、上記したように多重折りの一例としてミウラ折りするための山折りと谷折りそれぞれの折り目線が形成されている。点線は山折りする折り目線であり、一点鎖線は谷折りする折り目線を示す。なお、この実施形態では多重折りの一例としてミウラ折りを示すが、このミウラ折りに限定されるものではなく、他の多重折り、例えば、観音折り、等の各種の多重折りを含む。
【0053】
これら各シート21,23,25,27はそれぞれ図11のシート形態の状態で図12で示すように積層され、その積層状態から、図13から図14で一方向に上記折り目線から谷折り、山折りしてつづら折りし、次いで図15で示すように他方向に上記折り目線から谷折り、山折りしてつづら折りし、図16で示すように、図11の状態の各シート21,23,25,27はミウラ折りされた積層体29を得る。図17に積層体29の要部断面を拡大した構成を示す。図17に示す積層体29断面では第2金属シート27表面に酸化アルミニウム(Al2O3)27bが形成されている。
【0054】
こうして形成した積層体29は、それを構成している積層内部は各シートが積層されミウラ折りされただけで互いに対して半田付け接続されていない。
【0055】
そこで、図18で示すように、積層体29にプラスとマイナスの電極31,33を接触し、これら電極31,33間に電流を印加すると、図19Aから図19Bで示すように、中間シート25の各孔25a内に保持しているフラックス25bが溶けて第2金属シート27に流れこんで、第2金属シート27表面の酸化アルミニウム27bが除去される。なお、フラックス25bは上記酸化アルミニウム27bの除去後、気化する。
【0056】
そしてフラックス25bは気化すると共に、すでに溶けていた半田シート23からの半田23aは第1金属シート21に付着すると共に中間シート25の各孔25aから抜け出て第2金属シート27に付着する。
【0057】
こうして積層体29はそれを構成する各シート21,23,25,27は半田付け接続されることで図20で示すような端子構造35とされる。
【0058】
35aは突起21aに対応する端子部分、35bは突起27aに対応する端子部分である。
【0059】
以上のようにして製造した端子構造35は、互いに異種金属同士である少なくとも2枚の第1、第2金属シート21,27の対向間に、上記両金属に対しイオン化傾向が略中間の金属からなる中間シート25を介装した状態で積層しミウラ折りした構造を具備し、この構造を構成する各積層内部を半田付け接続した構造となっているので、第1、第2金属シート21,27が互いに異種金属であっても、イオン化傾向が第1、第2金属シート21,27のそれらの略中間の素材からなる中間シート25によりイオン化傾向が緩和される結果、両異種金属間のイオン化傾向の相違による急激な金属間電位差が緩和されて電食が抑えられ、かつ、半田付けで一体化されており、また、積層状態でミウラ折りされているので、形状や寸法が小型化されている。
【符号の説明】
【0060】
1 端子接続構造
2 第1端子
2a 端子主部
2c 端子片
2d 円錐台状突部
2e 円形開口
3 第2端子
3a 端子主部
3c 端子片
3d 円柱状部
3e 円周溝
4 金属シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異種金属である少なくとも一対の端子同士を半田接続する端子接続構造において、上記両端子それぞれの端部同士がコネクタ結合されていると共に、上記コネクタ結合で重なる部位間に、フラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が上記両端子それぞれのイオン化傾向の略中間である素材からなる金属シートが介装され、上記両端子は上記重なり部位間に介在する金属シートに導入された半田により接続されている、ことを特徴とする端子接続構造。
【請求項2】
上記両端子のうちの、一方端子は、端部に開口を有する雌コネクタ構造を有し、他方端子は、端部に上記一方端子の上記端部の開口に挿入可能な柱状部を有した雄コネクタ構造を有し、上記一方端子の上記端部開口に上記他方端子の柱状部が金属シートを介在して挿入されて、上記コネクタ結合が行われている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
上記両端子の端部は、多重折りで形成されており、上記両端子の多重折り端部同士が重なり合っていると共に、その重なり部位に上記金属シートが介装されて、上記コネクタ結合が行われている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項4】
上記両端子の一方の素材が銅または黄銅であり、他方の素材がアルミニウムであり、上記金属シートは、銅、もしくは、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材とし、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金した素材とし、その素材のイオン化傾向が銅とアルミニウムとの中間にある、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の構造。
【請求項1】
互いに異種金属である少なくとも一対の端子同士を半田接続する端子接続構造において、上記両端子それぞれの端部同士がコネクタ結合されていると共に、上記コネクタ結合で重なる部位間に、フラックス保持が可能な形状でかつイオン化傾向が上記両端子それぞれのイオン化傾向の略中間である素材からなる金属シートが介装され、上記両端子は上記重なり部位間に介在する金属シートに導入された半田により接続されている、ことを特徴とする端子接続構造。
【請求項2】
上記両端子のうちの、一方端子は、端部に開口を有する雌コネクタ構造を有し、他方端子は、端部に上記一方端子の上記端部の開口に挿入可能な柱状部を有した雄コネクタ構造を有し、上記一方端子の上記端部開口に上記他方端子の柱状部が金属シートを介在して挿入されて、上記コネクタ結合が行われている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項3】
上記両端子の端部は、多重折りで形成されており、上記両端子の多重折り端部同士が重なり合っていると共に、その重なり部位に上記金属シートが介装されて、上記コネクタ結合が行われている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造。
【請求項4】
上記両端子の一方の素材が銅または黄銅であり、他方の素材がアルミニウムであり、上記金属シートは、銅、もしくは、銅、錫、ニッケル、亜鉛等を含む合金を素材とし、あるいは、銅に錫と亜鉛を鍍金した素材とし、その素材のイオン化傾向が銅とアルミニウムとの中間にある、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の構造。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20】
【公開番号】特開2012−64438(P2012−64438A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207707(P2010−207707)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000217491)田淵電機株式会社 (67)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000217491)田淵電機株式会社 (67)
【Fターム(参考)】
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