端子金具
【課題】弾性接触片の横揺れを防ぐことが可能な端子金具を提供する。
【解決手段】前方から相手側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、前記本体部10内に備えられて前記相手側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とが、異種の金属で形成され、前記弾性接触片20は前後方向に長い形状をなし、その後端部22における側部が、前記本体部10の一部を切り起こして形成されたかしめ部30によって、前記本体部10にかしめ付けられている。このような構成によれば、かしめ部30によって弾性接触片20の後端部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができる。
【解決手段】前方から相手側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、前記本体部10内に備えられて前記相手側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とが、異種の金属で形成され、前記弾性接触片20は前後方向に長い形状をなし、その後端部22における側部が、前記本体部10の一部を切り起こして形成されたかしめ部30によって、前記本体部10にかしめ付けられている。このような構成によれば、かしめ部30によって弾性接触片20の後端部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方から相手側端子金具が挿入される箱型の本体部と、本体部内に備えられて相手側端子金具に弾性的に接触する弾性接触片とを、異種の金属で形成した端子金具が知られている。このような端子金具によれば、例えば、弾性接触片を高価な耐熱銅合金等で形成することで、端子金具の耐久性を高める一方、本体部を安価な黄銅等で形成することで、端子金具の材料コストを低く抑えることができる。
【0003】
弾性接触片を本体部に取り付ける方法としては、例えば下記特許文献に記載の方法が知られている。すなわち、本体部の側壁の一部を内側に切り起こすことで、係止孔と、係止孔の上縁から内側に突出する係止突起とを形成し、この係止孔に、弾性接触片の両側に突設した突片を係合させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2988608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構成では、弾性接触片が本体部から脱落することを防ぐことはできるけれども、弾性接触片の横揺れを防ぐことは難しく、相手側端子金具との間で接触状態が安定しない虞があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、弾性接触片の横揺れを防ぐことが可能な端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端子金具は、前方から相手側端子金具が挿入される箱型の本体部と、前記本体部内に備えられて前記相手側端子金具に弾性的に接触する弾性接触片とが、異種の金属で形成され、前記弾性接触片は前後方向に長い形状をなし、その後端部における側部が、前記本体部に形成されたかしめ部によって、前記本体部にかしめ付けられているものである。このような構成によれば、かしめ部によって弾性接触片の後端部の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片の横揺れを防ぐことができる。
【0008】
また、前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の横方向の変位を、より確実に抑制することができる。
【0009】
また、前記本体部のうち前記弾性接触片の後側には、前記弾性接触片の後端部を後方からかしめ付ける後側かしめ部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の後方への変位を抑制することができ、かつ、端子金具を製造する際に、後側かしめ部を、本体部に対する弾性接触片の位置決めとして用いることができる。
【0010】
また、前記かしめ部は前記弾性接触片の両側に一対が設けられ、前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられるとともに、前記一対のかしめ部は溶接されているものとしてもよい。このような構成によれば、より強固に弾性接触片を固定することができる。
【0011】
また、前記弾性接触片の後端部と前記本体部とが溶接されているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片と本体部とを導通接続することができるから、優れた導電性を実現することができる。
【0012】
また、前記本体部には、前記弾性接触片の前方に立つ保護壁が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片が本体部の前方に飛び出すこと、および外部の異物が弾性接触片に接触することを防いで、弾性接触片を保護することができる。
【0013】
また、前記本体部には、前記弾性接触片よりも前記相手側端子金具との接触面側に位置して、前記弾性接触片の過度の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、相手側端子金具の挿入時に、弾性接触片が、過度に浮き上がることを防止することができる。
【0014】
また、前記弾性接触片は、前記かしめ部の前縁に係合する前側係合部と、同かしめ部の後縁に係合する後側係合部とを備えているものとしてもよい。このような構成によれば、かしめ部の前縁と前側係合部の係合によって弾性接触片の後方への変位が抑制され、かしめ部の後縁と後側係合部の係合によって弾性接触片の前方への変位が抑制される。したがって、弾性接触片の前後方向の移動を抑制することができる。
【0015】
前記弾性接触片の後端部の側縁部には、前記かしめ部が入り込む凹部が凹設されており、前記凹部の周縁部を構成する前側部分が前記前側係合部とされ、同後側部分が前記後側係合部とされているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の後端部の側縁部に凹部を凹設することによって、前側係合部および後側係合部を構成することができる。
【0016】
前記凹部の周縁部は、前記かしめ部によって前記弾性接触片の板厚方向からかしめ付けられているものとしてもよい。このような構成によれば、かしめ部によって凹部の周縁部を押さえることができるため、弾性接触片が板厚方向に浮くことを抑制できる。
【0017】
前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、前記弾性接触片の後端部の両側縁部に一対の前記前側係合部および一対の前記後側係合部がそれぞれ設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の前後方向の移動および浮きをより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、弾性接触片の横揺れを防ぐことが可能な端子金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1における端子金具を示す正面図
【図2】端子金具の本体部を示す一部拡大側面図
【図3】端子金具の本体部を示す一部拡大平面図
【図4】端子金具の本体部を示す一部拡大底面図
【図5】端子金具の本体部を示す一部拡大縦断面図
【図6】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す端子金具の一部拡大平断面図
【図7】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す端子金具の一部拡大横断面図
【図8】雄側端子金具が挿入された状態を示す端子金具の一部拡大縦断面図
【図9】実施形態2における端子金具の本体部を示す一部拡大平断面図
【図10】一対の第一かしめ部を溶接する様子を示す端子金具の一部拡大縦断面図
【図11】実施形態3における端子金具の本体部を示す一部拡大平断面図
【図12】弾性接触片と本体部とを溶接する様子を示す端子金具の一部拡大縦断面図
【図13】実施形態4における端子金具を示す正面図
【図14】端子金具の本体部を示す一部拡大側面図
【図15】端子金具の本体部を示す一部拡大平面図
【図16】端子金具の本体部を示す一部拡大底面図
【図17】端子金具の本体部を示す一部拡大縦断面図
【図18】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す端子金具の一部拡大平断面図
【図19】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す横断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における端子金具Tは、タブ状の雄側端子金具(相手側端子金具)40と接続される雌側の端子金具である。端子金具Tは、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とを有し、本体部10と弾性接触片20とが異種の金属で形成されたものである。以下、各構成部材において、雄側端子金具40との接続方向前側を前方、その反対側を後方とし、また、図1の上側を上方、下側を下方として説明する。
【0021】
端子金具Tは、導電性の金属板材を打ち抜き加工した後、折り曲げ加工等することにより形成されるものであって、本体部10には、別の導電性金属板で形成した弾性接触片20が装着されている。端子金具Tは、全体として前後方向に細長い形状をなし、本体部10の後方には、電線の端末部に圧着される図示しない電線圧着部が設けられている。
【0022】
本体部10は、黄銅、ベリリウム銅等の銅合金からなり、前後方向に細長い角筒状をなし、その前端には、雄側端子金具40が挿入される端子挿入口11が設けられている(図8参照)。本体部10は、図1に示すように、底板12と、底板12の幅方向両端縁から上方へ起立した一対の側板13A,13Bと、一対の側板13A,13Bの上端に跨って内側と外側とに重なって配される内天板14Aおよび外天板14Bとを備えている。内天板14Aは、一対の側板13A,13Bのうち一方の側板13Aの上端から他方の側板13Bに向けて曲げ形成されたものであり、外天板14Bは、他方の側板13Bから一方の側板13Aに向けて曲げ形成されたものである。
【0023】
内天板14Aは、底板12に対して略平行に配されている。内天板14Aには、上側(弾性接触片20とは反対側)から雄側端子金具40に接触する接触部15が形成されている。接触部15は、内天板14Aを部分的に内側(下側)へ叩き出すことによって形成され、前後方向に長い形状をなしている。接触部15は、内天板14Aのうち前端寄りの部分に形成され、その略全体は底板12と略平行とされている。端子金具Tが、雄側端子金具40と正規に接続した状態では、雄側端子金具40の先端部は接触部15よりも後方に至り、接触部15の略全体が雄側端子金具40に接触する(図8参照)。
【0024】
外天板14Bには、箱型をなして上方に突出する突出部16が形成されている(図1参照)。外天板14Bのうち突出部16を除く部分は、内天板14Aの板面に沿って配され、突出部16の後側には、前後方向に長い孔部17が開口している(図3参照)。
【0025】
弾性接触片20は、耐熱銅合金等からなり、全体として前後方向に細長い形状とされている。弾性接触片20は、その全体が本体部10内に収容され、本体部10内において上下方向に弾性変位可能とされている。弾性接触片20の自然状態では、その前端縁は、本体部10の底板12よりも前方に突出することなく配され、後端縁は、本体部10の天板14A,14Bよりも後方に突出することなく配されている。
【0026】
弾性接触片20を側方から見た断面形状は、前端寄りの位置に頂点が形成された山状とされている(図5参照)。弾性接触片20の前端部および後端部は、それぞれ本体部10の底板12に接する前側支点部21および後側支点部22とされ、弾性接触片20のうち最も内天板14Aに近い位置に配される頂点は、雄側端子金具40と接触する接点部23とされている。前側支点部21から接点部23にかけての勾配は、接点部23から後側支点部22にかけての勾配よりもきつくされている。前側支点部21のうち底板12と接触する下面(接触面)は、後側支点部22のうち底板12と接触する下面(接触面)よりも面積が小さくされている。なお、弾性接触片20の幅寸法は、全長にわたり略一定とされている。
【0027】
弾性接触片20の自然状態においては、接点部23と本体部10の接触部15との間隔は、雄側端子金具40の厚さ寸法より若干小さい寸法に設定されている。そして、接点部23と本体部10の接触部15との間に雄側端子金具40が挟持されることにより、雄側端子金具40との電気的接続が図られる。
【0028】
さて、弾性接触片20の後側支点部22は、第一かしめ部(かしめ部)30および第二かしめ部(後側かしめ部)31によって、本体部10にかしめ付けられている。第一かしめ部30および第二かしめ部31は、本体部10の一部を切り起こして形成されたものである。
【0029】
第一かしめ部30は、弾性接触片20の両側に一対が設けられている。弾性接触片20は、一対の第一かしめ部30によって、後側支点部22の両側部(左右両側部)が、本体部10の底板12にかしめ付けられている。第一かしめ部30は、本体部10の底板12から側板13A,13Bにわたる部分を、内側に切り起こして形成されている(図2及び図4参照)。第一かしめ部30は、角部が丸められた方形状に形成され、一対の第一かしめ部30は、本体部10の軸線を挟んで対称形状をなしている(図6参照)。一対の第一かしめ部30は、弾性接触片20の幅方向の中心側に倒されて、弾性接触片20の側縁部を底板12との間に挟み込んでかしめ付けられる。弾性接触片20の両側部をかしめ付けた一対の第一かしめ部30は、互いに重なることなく、先端に若干の隙間をあけて配される。
【0030】
第二かしめ部31は、弾性接触片20の後側に設けられている。弾性接触片20の後側支点部22は、この第二かしめ部31によって後方からかしめ付けられている。第二かしめ部31は、底板12の幅方向の中央部分を、内側に切り起こして形成され、第一かしめ部30よりも一回り小さい方形状をなしている。第二かしめ部31は、前方に倒されて、弾性接触片20の後端縁を底板12との間に挟み込み、弾性接触片20の幅方向の中央部にかしめ付けられる。弾性接触片20の後端部をかしめ付けた第二かしめ部31は、第一かしめ部30と重なることなく、第一かしめ部30から後方に若干離れて配される。
【0031】
弾性接触片20の後側支点部22は、一対の第一かしめ部30にかしめ付けられることで、左右方向(幅方向)への移動が抑制され、第二かしめ部31にかしめ付けられることで、後方(雄側端子金具40の挿入方向)への移動が抑制されている。また、このように後側支点部22が本体部10にかしめ付けられることで、弾性接触片20は、本体部10から離脱することなく、本体部10内に保持される。
【0032】
一方、弾性接触片20の前側支点部21は、本体部10に固定されることなく、前後方向の変位が可能とされている。これにより、雄側端子金具40との接続時には、弾性接触片20の弾性撓みを阻害することなく、前側支点部21が前方に移動するので、雄側端子金具40の低挿入力化を実現することができる。
【0033】
本体部10には、第一かしめ部30を形成したことによって、底板12から側板13A,13Bにかけて、第一かしめ部30よりも一回り大きい第一開口部32が形成されている。第一開口部32は、その全体が、外天板14Bの孔部17よりも後側にずれた位置に形成されている。また、本体部10の底板12には、第二かしめ部31を形成したことによって、第二かしめ部31よりも一回り大きい第二開口部33が形成されている。第二開口部33は、第二かしめ部31の後側に形成され、その全体が、本体部10の外側(後側)にずれて形成されている。
【0034】
本体部10には、図5に示されるように、弾性接触片20の前方に立つ保護壁34が設けられている。保護壁34は、側板13A,13Bと一体に形成され、底板12とは切り離されている(図4参照)。保護壁34は、一対の側板13A,13Bの両方に設けられ、側板13A,13Bの前端から内側に略直角に屈曲されてなる。保護壁34は略方形をなし、一対の保護壁34の間には、隙間が形成されている(図1参照)。一対の保護壁34は、本体部10の下側(端子挿入口11の下方)を覆っている。保護壁34は、弾性接触片20が弾性変形したときに前側支点部21が当接しない程度に、弾性接触片20から前方に離れて位置している(図8参照)。
【0035】
本体部10には、弾性接触片20の前側支点部21の上側(雄側端子金具40との接触面側)に位置して、前側支点部21の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部35が設けられている。浮き上がり防止部35は、保護壁34の上端から後方に略直角に屈曲されてなる。浮き上がり防止部35は、一対の保護壁34の両方に設けられている。浮き上がり防止部35は、保護壁34と底板12との間に渡り、その下側の空間に、前側支点部21が入り込むようになっている(図8参照)。
【0036】
次に、雄側端子金具40との接続について説明する。
雄側端子金具40を端子挿入口11に挿入すると、雄側端子金具40が弾性接触片20の接点部23に接触し、接点部23と本体部10の接触部15との間を押し広げるようにして前進する(図8参照)。その間、弾性接触片20は、前側支点部21を前方へ滑らせて下方へ弾性撓みする。やがて、雄側端子金具40が本体部10内の正規の位置まで挿入されると、雄側端子金具40と正規の接続状態に至る。
【0037】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の端子金具Tは、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、本体部10内に備えられて雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とが、異種の金属で形成され、弾性接触片20のうち後側支点部22における側部は、本体部10の一部を切り起こして形成された第一かしめ部30によって、本体部10にかしめ付けられている。
【0038】
これにより、第一かしめ部30によって、弾性接触片20の後側支点部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができ、もって雄側端子金具40との安定した接触状態を保つことができる。
また、第一かしめ部30は弾性接触片20の両側に一対が設けられ、弾性接触片20は、一対の第一かしめ部30によって、後側支点部22の両側部が本体部10にかしめ付けられている。これにより、弾性接触片20の横方向の変位を、より確実に抑制することができる。
【0039】
また、弾性接触片20の後側支点部22は、この弾性接触片20の後側に設けられた第二かしめ部31によって、後方からかしめ付けられている。これにより、弾性接触片20の後方への変位を抑制することができ、かつ、端子金具Tを製造する際に、第二かしめ部31を、本体部10に対する弾性接触片20の位置決めとして用いることができる。
【0040】
なお、第一かしめ部30および第二かしめ部31は、本体部10の一部を切り起こして形成されているから、例えば、本体部とは別に、かしめ部を延出して形成する場合に比べて材料取りがよく、材料コストを低く抑えることができる。また、第一かしめ部30および第二かしめ部31を、本体部10の後端部に設けたから、第一開口部32および第二開口部33を比較的大きく形成することができる。
【0041】
また、本体部10には、弾性接触片20の前方に立つ保護壁34が設けられている。これにより、弾性接触片20が過度に弾性変形して前側支点部21が本体部10の前方に飛び出すこと、および外部の異物が弾性接触片20に接触することを防ぐことができ、もって弾性接触片20を保護することができる。
【0042】
また、本体部10には、弾性接触片20の前側支点部21の上側に位置して、弾性接触片20の過度の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部35が設けられている。これにより、雄側端子金具40の挿入時に、弾性接触片20が過度に浮き上がることを防止することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2に係る端子金具50を図9および図10によって説明する。
本実施形態の端子金具50は、一対の第一かしめ部30が溶接されている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る端子金具50は、実施形態1と同様に、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とを有し、本体部10と弾性接触片20とが異種の金属で形成されたものである。また、弾性接触片20の後側支点部22は、実施形態1と同様に、本体部10の一部を切り起こして形成された一対の第一かしめ部30によって、本体部10にかしめ付けられている。なお、本実施形態の端子金具50においては、第二かしめ部31は設けられていない。
【0045】
そして、一対の第一かしめ部30は、レーザー溶接により互いに接合されている。一対の第一かしめ部30は、弾性接触片20にかしめ付けられた後、その先端付近(溶接部51)にレーザー溶接機52からレーザー光が照射されて溶接される。この際、熱の伝播のために弾性接触片20の上面も溶融し、一対の第一かしめ部30と弾性接触片20とが互いに接合する。
【0046】
本体部10には、図10に示すように、レーザー溶接のための窓部53が開口されている。窓部53は、本体部10のうち溶接部51の上方に位置する内天板14Aおよび外天板14Bの後端部に形成されている。この窓部53を介して、本体部10の上方から本体部10内に、レーザー光を照射することができる。
【0047】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様に、一対の第一かしめ部30によって弾性接触片20の後側支点部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができる。
また、一対の第一かしめ部30は溶接されているから、より強固に弾性接触片20を固定することができる。さらに、レーザー溶接により、弾性接触片20と本体部10とが溶着されるから、優れた導電性を実現することができる。また、溶接個所が1か所のみであるから、加工費を低く抑えることができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3に係る端子金具60を図11および図12によって説明する。
本実施形態の端子金具60は、弾性接触片20と本体部10とが溶接されている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係る端子金具60は、実施形態1と同様に、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とを有し、本体部10と弾性接触片20とが異種の金属で形成されたものである。また、弾性接触片20の後側支点部22は、実施形態1と同様に、本体部10の一部を切り起こして形成された一対の第一かしめ部30によって、本体部10にかしめ付けられている。なお、本実施形態の端子金具60においては、第二かしめ部31は設けられていない。
【0050】
そして、弾性接触片20の後側支点部22と本体部10とが、レーザー溶接により接合されている。弾性接触片20の後側支点部22が、一対の第一かしめ部30にかしめ付けられた後、弾性接触片20の後端縁付近(溶接部61)に、レーザー溶接機62からレーザー光が照射され、後側支点部22の後端と底板12とが溶接される。溶接部61は、図12に示すように、本体部10の後端に位置しているので、本体部10に窓部等を形成することなく、本体部10の上方からレーザー光を照射することができる。
【0051】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様に、一対の第一かしめ部30によって弾性接触片20の後側支点部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができる。
また、弾性接触片20と本体部10とが溶接されているから、より強固に弾性接触片20を固定することができ、さらに、レーザー溶接により、弾性接触片20と本体部10とが導通接続されるから、優れた導電性を実現することができる。また、溶接個所が1か所のみであるから、加工費を低く抑えることができる。
【0052】
<実施形態4>
次に、本発明を具体化した実施形態4に係る端子金具70を図13〜図19を参照しつつ説明する。
本実施形態の端子金具70は、実施形態1における弾性接触片20を本体部10にかしめ付ける構成を変更したものであって、実施形態1と重複する説明については省略する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付すものとする。
【0053】
本実施形態に係る端子金具70は、実施形態1と同様に、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部80と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片90とを有し、本体部80と弾性接触片90とが異種の金属で形成されたものである。また、本実施形態の接点部23は、プレス加工によって叩き出されることで上方に膨出する形態をなしている。この接点部23は、図18に示すように、前後方向に長く延びている。
【0054】
弾性接触片90における接点部23の両側には、一対の過度撓み防止片91が形成されている。各過度撓み防止片91は、弾性接触片90の幅方向両側縁から幅方向外側に張り出す形態をなしている。各過度撓み防止片91の先端は、本体部80の両側板13A,13Bの外側面から幅方向外側にはみ出さない位置に配されている。一方、本体部80の両側板13A,13Bには、各過度撓み防止片91が進入可能な逃がし部81が切り欠き形成されている。逃がし部81は、図14に示すように、略方形をなしており、その上縁に過度撓み防止片91の先端が下方から当接可能とされている。したがって、雄側端子金具40が斜めに挿入されるなどして弾性接触片90が上方に持ち上げられた場合に、各過度撓み防止片91が各逃がし部81の上縁に当接することで、弾性接触片90が過度に撓んで変形することを抑制できる。
【0055】
図16に示すように、弾性接触片90の前端部は、前方に向かうほど幅狭となるように形成されている。一方、弾性接触片90の後端部90Rは、やや幅広で前後方向に延びて形成されており、その幅寸法は、本体部80の両側板13A,13Bの対向壁間の距離とほぼ同じ寸法とされている。
【0056】
さて、弾性接触片90の後端部90Rにおける両側縁部には、一対の凹部92が凹設されている。両凹部92は、後端部90Rの両側縁部に1つずつ配されている。凹部92の前側部分92Fと後側部分92Rは、いずれもテーパ状とされており、凹部92は全体として幅方向外側に開いた形状とされている。また、凹部92における前側部分92Fと後側部分92Rは、前後方向に直線状に延びる直線部分92Sによって互いに連結されている。言い換えると、凹部92の周縁部は、前側部分92Fと直線部分92Sと後側部分92Rとによって構成されている。
【0057】
本体部80において凹部92と対応する位置には、かしめ部82が形成されている。本実施形態のかしめ部82は、実施形態1の第一かしめ部30と同様に、本体部80の一部を切り起こして形成されたものである。また、かしめ部82は、弾性接触片90の幅方向両側にそれぞれ配されている。すなわち、一対の凹部92に対応して一対のかしめ部82が設けられている。
【0058】
かしめ部82は、凹部92の直線部分92Sに入り込む軸部82Aと、軸部82Aよりも前後方向に大きめに形成された頭部82Bとを備えている。この頭部82Bは、凹部92の周縁部における上面側に配される。したがって、図19に示すように、両かしめ部82を両凹部92に入り込ませて全周に亘ってかしめ付けると、両凹部92の周縁部が両かしめ部82によって固着され、弾性接触片90が本体部80に保持される。
【0059】
弾性接触片90が本体部80に保持された状態では、両軸部82Aによって両直線部分92Sが幅方向両側から挟持されて互いに係合することで弾性接触片90の横揺れ(幅方向の変位)を抑制することができる。また、凹部92の周縁部が両頭部82Bと底板12との間で上下方向(弾性接触片90の板厚方向)から挟持されて互いに係合することで弾性接触片90の浮き上がりを抑制することができる。また、図16に示すように、軸部82Aの前縁が凹部92の前側部分92Fに後方から係合することで弾性接触片90の後方への移動を抑制できる。また、軸部82Aの後縁が凹部92の後側部分92Rに前方から係合することで弾性接触片90の前方への移動を抑制できる。
【0060】
なお、両かしめ部82の両軸部82Aを両凹部92に挿入する際には、前側部分92Fと後側部分92Rによって挿入の案内がなされるため、弾性接触片90を本体部80に対して正規の装着姿勢で固着することができる。
【0061】
上記のように構成された実施形態4によれば、両凹部92の周縁部を両かしめ部82によってかしめ付けることにより、弾性接触片90の前後方向の移動、横方向(幅方向)の移動、上下方向の移動をいずれも抑制することができる。また、両過度撓み防止片91を両逃がし部81の上縁に当接させることにより、弾性接触片90が過度に撓むことを防止できる。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態によれば、本体部10は、黄銅、ベリリウム銅等の銅合金からなり、弾性接触片20は、耐熱銅合金等からなるものとされているが、これに限らず、本体部および弾性接触片の材料の組み合わせは、用途に応じて様々に変えることができる。
(2)実施形態1〜3によれば、弾性接触片20の前端部は、本体部10の底板12に接する前側支点部21とされているが、これに限らず、弾性接触片の前端部は、本体部の底板から離れて上方に浮いている(すなわち弾性接触片が片持ち状をなしている)ものとしてもよい。
(3)実施形態1〜3によれば、第一かしめ部30は弾性接触片20の両側に一対が設けられているが、これに限らず、第一かしめ部をいずれか一方のみに設けてもよい。また、この場合、第一かしめ部を他方の側まで延出するものとし、端子金具の両側部を一の第一かしめ部でかしめ付けるものとしてもよい。
(4)実施形態1〜3によれば、弾性接触片20の自然状態では、その後端縁は、本体部10の天板14A,14Bよりも後方に突出することなく配されているが、これに限らず、弾性接触片の後端縁が天板よりも後方に突出して配されるものとしてもよい。
(5)実施形態1によれば、第二かしめ部31は、第一かしめ部30よりも一回り小さいものとされているが、これに限らず、第二かしめ部を、第一かしめ部よりも大きいものとしてもよい。
(6)実施形態2によれば、レーザー溶接により、一対の第一かしめ部30のみならず弾性接触片20も接合されるものとしているが、これに限らず、一対の第一かしめ部のみを互いに接続するものとしてもよい。この場合、一対の第一かしめ部を上下に重なりあう形状にしてもよい。
(7)実施形態2によれば、第二かしめ部31は設けられていないものとされているが、これに限らず、一対の第一かしめ部を溶接するのに加えて、第二かしめ部により弾性接触片の後端をかしめ付けるものとしてもよい。
(8)実施形態2および実施形態3によれば、一対の第一かしめ部30、または弾性接触片20と本体部10との溶接は、レーザー溶接により行うものとしているが、例えば抵抗溶接等により行うことも可能である。
(9)上記実施形態によれば、かしめ部を切り起こしによって形成しているものの、切り起こしに限定されず、叩き出しによってかしめ部を形成してもよい。
(10)実施形態4によれば、一対のかしめ部82および一対の凹部92を設けているものの、1つだけのかしめ部および凹部を設けてもよいし、3つ以上のかしめ部および凹部を設けてもよい。
(11)実施形態4によれば、凹部92の前側部分92Fと後側部分92Rを直線部分92Sに対してテーパ状をなすように形成しているものの、前側部分と後側部分を直線部分92Sに対して直交するように形成してもよい。この場合、かしめ部82の軸部82Aを直線部分92Sと同じかやや大きめに形成しておき、軸部82Aを凹部に対して圧入すればよい。
【符号の説明】
【0064】
T,50,60,70…端子金具
10,80…本体部
20,90…弾性接触片
30…第一かしめ部(かしめ部)
31…第二かしめ部(後側かしめ部)
34…保護壁
35…浮き上がり防止部
40…雄側端子金具(相手側端子金具)
82…かしめ部
90R…後端部
92…凹部
92F…前側部分(前側係合部)
92R…後側部分(後側係合部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前方から相手側端子金具が挿入される箱型の本体部と、本体部内に備えられて相手側端子金具に弾性的に接触する弾性接触片とを、異種の金属で形成した端子金具が知られている。このような端子金具によれば、例えば、弾性接触片を高価な耐熱銅合金等で形成することで、端子金具の耐久性を高める一方、本体部を安価な黄銅等で形成することで、端子金具の材料コストを低く抑えることができる。
【0003】
弾性接触片を本体部に取り付ける方法としては、例えば下記特許文献に記載の方法が知られている。すなわち、本体部の側壁の一部を内側に切り起こすことで、係止孔と、係止孔の上縁から内側に突出する係止突起とを形成し、この係止孔に、弾性接触片の両側に突設した突片を係合させる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2988608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構成では、弾性接触片が本体部から脱落することを防ぐことはできるけれども、弾性接触片の横揺れを防ぐことは難しく、相手側端子金具との間で接触状態が安定しない虞があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、弾性接触片の横揺れを防ぐことが可能な端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の端子金具は、前方から相手側端子金具が挿入される箱型の本体部と、前記本体部内に備えられて前記相手側端子金具に弾性的に接触する弾性接触片とが、異種の金属で形成され、前記弾性接触片は前後方向に長い形状をなし、その後端部における側部が、前記本体部に形成されたかしめ部によって、前記本体部にかしめ付けられているものである。このような構成によれば、かしめ部によって弾性接触片の後端部の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片の横揺れを防ぐことができる。
【0008】
また、前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の横方向の変位を、より確実に抑制することができる。
【0009】
また、前記本体部のうち前記弾性接触片の後側には、前記弾性接触片の後端部を後方からかしめ付ける後側かしめ部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の後方への変位を抑制することができ、かつ、端子金具を製造する際に、後側かしめ部を、本体部に対する弾性接触片の位置決めとして用いることができる。
【0010】
また、前記かしめ部は前記弾性接触片の両側に一対が設けられ、前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられるとともに、前記一対のかしめ部は溶接されているものとしてもよい。このような構成によれば、より強固に弾性接触片を固定することができる。
【0011】
また、前記弾性接触片の後端部と前記本体部とが溶接されているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片と本体部とを導通接続することができるから、優れた導電性を実現することができる。
【0012】
また、前記本体部には、前記弾性接触片の前方に立つ保護壁が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片が本体部の前方に飛び出すこと、および外部の異物が弾性接触片に接触することを防いで、弾性接触片を保護することができる。
【0013】
また、前記本体部には、前記弾性接触片よりも前記相手側端子金具との接触面側に位置して、前記弾性接触片の過度の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部が設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、相手側端子金具の挿入時に、弾性接触片が、過度に浮き上がることを防止することができる。
【0014】
また、前記弾性接触片は、前記かしめ部の前縁に係合する前側係合部と、同かしめ部の後縁に係合する後側係合部とを備えているものとしてもよい。このような構成によれば、かしめ部の前縁と前側係合部の係合によって弾性接触片の後方への変位が抑制され、かしめ部の後縁と後側係合部の係合によって弾性接触片の前方への変位が抑制される。したがって、弾性接触片の前後方向の移動を抑制することができる。
【0015】
前記弾性接触片の後端部の側縁部には、前記かしめ部が入り込む凹部が凹設されており、前記凹部の周縁部を構成する前側部分が前記前側係合部とされ、同後側部分が前記後側係合部とされているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の後端部の側縁部に凹部を凹設することによって、前側係合部および後側係合部を構成することができる。
【0016】
前記凹部の周縁部は、前記かしめ部によって前記弾性接触片の板厚方向からかしめ付けられているものとしてもよい。このような構成によれば、かしめ部によって凹部の周縁部を押さえることができるため、弾性接触片が板厚方向に浮くことを抑制できる。
【0017】
前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、前記弾性接触片の後端部の両側縁部に一対の前記前側係合部および一対の前記後側係合部がそれぞれ設けられているものとしてもよい。このような構成によれば、弾性接触片の前後方向の移動および浮きをより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、弾性接触片の横揺れを防ぐことが可能な端子金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態1における端子金具を示す正面図
【図2】端子金具の本体部を示す一部拡大側面図
【図3】端子金具の本体部を示す一部拡大平面図
【図4】端子金具の本体部を示す一部拡大底面図
【図5】端子金具の本体部を示す一部拡大縦断面図
【図6】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す端子金具の一部拡大平断面図
【図7】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す端子金具の一部拡大横断面図
【図8】雄側端子金具が挿入された状態を示す端子金具の一部拡大縦断面図
【図9】実施形態2における端子金具の本体部を示す一部拡大平断面図
【図10】一対の第一かしめ部を溶接する様子を示す端子金具の一部拡大縦断面図
【図11】実施形態3における端子金具の本体部を示す一部拡大平断面図
【図12】弾性接触片と本体部とを溶接する様子を示す端子金具の一部拡大縦断面図
【図13】実施形態4における端子金具を示す正面図
【図14】端子金具の本体部を示す一部拡大側面図
【図15】端子金具の本体部を示す一部拡大平面図
【図16】端子金具の本体部を示す一部拡大底面図
【図17】端子金具の本体部を示す一部拡大縦断面図
【図18】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す端子金具の一部拡大平断面図
【図19】弾性接触片がかしめ付けられている状態を示す横断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1について、図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における端子金具Tは、タブ状の雄側端子金具(相手側端子金具)40と接続される雌側の端子金具である。端子金具Tは、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とを有し、本体部10と弾性接触片20とが異種の金属で形成されたものである。以下、各構成部材において、雄側端子金具40との接続方向前側を前方、その反対側を後方とし、また、図1の上側を上方、下側を下方として説明する。
【0021】
端子金具Tは、導電性の金属板材を打ち抜き加工した後、折り曲げ加工等することにより形成されるものであって、本体部10には、別の導電性金属板で形成した弾性接触片20が装着されている。端子金具Tは、全体として前後方向に細長い形状をなし、本体部10の後方には、電線の端末部に圧着される図示しない電線圧着部が設けられている。
【0022】
本体部10は、黄銅、ベリリウム銅等の銅合金からなり、前後方向に細長い角筒状をなし、その前端には、雄側端子金具40が挿入される端子挿入口11が設けられている(図8参照)。本体部10は、図1に示すように、底板12と、底板12の幅方向両端縁から上方へ起立した一対の側板13A,13Bと、一対の側板13A,13Bの上端に跨って内側と外側とに重なって配される内天板14Aおよび外天板14Bとを備えている。内天板14Aは、一対の側板13A,13Bのうち一方の側板13Aの上端から他方の側板13Bに向けて曲げ形成されたものであり、外天板14Bは、他方の側板13Bから一方の側板13Aに向けて曲げ形成されたものである。
【0023】
内天板14Aは、底板12に対して略平行に配されている。内天板14Aには、上側(弾性接触片20とは反対側)から雄側端子金具40に接触する接触部15が形成されている。接触部15は、内天板14Aを部分的に内側(下側)へ叩き出すことによって形成され、前後方向に長い形状をなしている。接触部15は、内天板14Aのうち前端寄りの部分に形成され、その略全体は底板12と略平行とされている。端子金具Tが、雄側端子金具40と正規に接続した状態では、雄側端子金具40の先端部は接触部15よりも後方に至り、接触部15の略全体が雄側端子金具40に接触する(図8参照)。
【0024】
外天板14Bには、箱型をなして上方に突出する突出部16が形成されている(図1参照)。外天板14Bのうち突出部16を除く部分は、内天板14Aの板面に沿って配され、突出部16の後側には、前後方向に長い孔部17が開口している(図3参照)。
【0025】
弾性接触片20は、耐熱銅合金等からなり、全体として前後方向に細長い形状とされている。弾性接触片20は、その全体が本体部10内に収容され、本体部10内において上下方向に弾性変位可能とされている。弾性接触片20の自然状態では、その前端縁は、本体部10の底板12よりも前方に突出することなく配され、後端縁は、本体部10の天板14A,14Bよりも後方に突出することなく配されている。
【0026】
弾性接触片20を側方から見た断面形状は、前端寄りの位置に頂点が形成された山状とされている(図5参照)。弾性接触片20の前端部および後端部は、それぞれ本体部10の底板12に接する前側支点部21および後側支点部22とされ、弾性接触片20のうち最も内天板14Aに近い位置に配される頂点は、雄側端子金具40と接触する接点部23とされている。前側支点部21から接点部23にかけての勾配は、接点部23から後側支点部22にかけての勾配よりもきつくされている。前側支点部21のうち底板12と接触する下面(接触面)は、後側支点部22のうち底板12と接触する下面(接触面)よりも面積が小さくされている。なお、弾性接触片20の幅寸法は、全長にわたり略一定とされている。
【0027】
弾性接触片20の自然状態においては、接点部23と本体部10の接触部15との間隔は、雄側端子金具40の厚さ寸法より若干小さい寸法に設定されている。そして、接点部23と本体部10の接触部15との間に雄側端子金具40が挟持されることにより、雄側端子金具40との電気的接続が図られる。
【0028】
さて、弾性接触片20の後側支点部22は、第一かしめ部(かしめ部)30および第二かしめ部(後側かしめ部)31によって、本体部10にかしめ付けられている。第一かしめ部30および第二かしめ部31は、本体部10の一部を切り起こして形成されたものである。
【0029】
第一かしめ部30は、弾性接触片20の両側に一対が設けられている。弾性接触片20は、一対の第一かしめ部30によって、後側支点部22の両側部(左右両側部)が、本体部10の底板12にかしめ付けられている。第一かしめ部30は、本体部10の底板12から側板13A,13Bにわたる部分を、内側に切り起こして形成されている(図2及び図4参照)。第一かしめ部30は、角部が丸められた方形状に形成され、一対の第一かしめ部30は、本体部10の軸線を挟んで対称形状をなしている(図6参照)。一対の第一かしめ部30は、弾性接触片20の幅方向の中心側に倒されて、弾性接触片20の側縁部を底板12との間に挟み込んでかしめ付けられる。弾性接触片20の両側部をかしめ付けた一対の第一かしめ部30は、互いに重なることなく、先端に若干の隙間をあけて配される。
【0030】
第二かしめ部31は、弾性接触片20の後側に設けられている。弾性接触片20の後側支点部22は、この第二かしめ部31によって後方からかしめ付けられている。第二かしめ部31は、底板12の幅方向の中央部分を、内側に切り起こして形成され、第一かしめ部30よりも一回り小さい方形状をなしている。第二かしめ部31は、前方に倒されて、弾性接触片20の後端縁を底板12との間に挟み込み、弾性接触片20の幅方向の中央部にかしめ付けられる。弾性接触片20の後端部をかしめ付けた第二かしめ部31は、第一かしめ部30と重なることなく、第一かしめ部30から後方に若干離れて配される。
【0031】
弾性接触片20の後側支点部22は、一対の第一かしめ部30にかしめ付けられることで、左右方向(幅方向)への移動が抑制され、第二かしめ部31にかしめ付けられることで、後方(雄側端子金具40の挿入方向)への移動が抑制されている。また、このように後側支点部22が本体部10にかしめ付けられることで、弾性接触片20は、本体部10から離脱することなく、本体部10内に保持される。
【0032】
一方、弾性接触片20の前側支点部21は、本体部10に固定されることなく、前後方向の変位が可能とされている。これにより、雄側端子金具40との接続時には、弾性接触片20の弾性撓みを阻害することなく、前側支点部21が前方に移動するので、雄側端子金具40の低挿入力化を実現することができる。
【0033】
本体部10には、第一かしめ部30を形成したことによって、底板12から側板13A,13Bにかけて、第一かしめ部30よりも一回り大きい第一開口部32が形成されている。第一開口部32は、その全体が、外天板14Bの孔部17よりも後側にずれた位置に形成されている。また、本体部10の底板12には、第二かしめ部31を形成したことによって、第二かしめ部31よりも一回り大きい第二開口部33が形成されている。第二開口部33は、第二かしめ部31の後側に形成され、その全体が、本体部10の外側(後側)にずれて形成されている。
【0034】
本体部10には、図5に示されるように、弾性接触片20の前方に立つ保護壁34が設けられている。保護壁34は、側板13A,13Bと一体に形成され、底板12とは切り離されている(図4参照)。保護壁34は、一対の側板13A,13Bの両方に設けられ、側板13A,13Bの前端から内側に略直角に屈曲されてなる。保護壁34は略方形をなし、一対の保護壁34の間には、隙間が形成されている(図1参照)。一対の保護壁34は、本体部10の下側(端子挿入口11の下方)を覆っている。保護壁34は、弾性接触片20が弾性変形したときに前側支点部21が当接しない程度に、弾性接触片20から前方に離れて位置している(図8参照)。
【0035】
本体部10には、弾性接触片20の前側支点部21の上側(雄側端子金具40との接触面側)に位置して、前側支点部21の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部35が設けられている。浮き上がり防止部35は、保護壁34の上端から後方に略直角に屈曲されてなる。浮き上がり防止部35は、一対の保護壁34の両方に設けられている。浮き上がり防止部35は、保護壁34と底板12との間に渡り、その下側の空間に、前側支点部21が入り込むようになっている(図8参照)。
【0036】
次に、雄側端子金具40との接続について説明する。
雄側端子金具40を端子挿入口11に挿入すると、雄側端子金具40が弾性接触片20の接点部23に接触し、接点部23と本体部10の接触部15との間を押し広げるようにして前進する(図8参照)。その間、弾性接触片20は、前側支点部21を前方へ滑らせて下方へ弾性撓みする。やがて、雄側端子金具40が本体部10内の正規の位置まで挿入されると、雄側端子金具40と正規の接続状態に至る。
【0037】
上記のように構成された実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の端子金具Tは、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、本体部10内に備えられて雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とが、異種の金属で形成され、弾性接触片20のうち後側支点部22における側部は、本体部10の一部を切り起こして形成された第一かしめ部30によって、本体部10にかしめ付けられている。
【0038】
これにより、第一かしめ部30によって、弾性接触片20の後側支点部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができ、もって雄側端子金具40との安定した接触状態を保つことができる。
また、第一かしめ部30は弾性接触片20の両側に一対が設けられ、弾性接触片20は、一対の第一かしめ部30によって、後側支点部22の両側部が本体部10にかしめ付けられている。これにより、弾性接触片20の横方向の変位を、より確実に抑制することができる。
【0039】
また、弾性接触片20の後側支点部22は、この弾性接触片20の後側に設けられた第二かしめ部31によって、後方からかしめ付けられている。これにより、弾性接触片20の後方への変位を抑制することができ、かつ、端子金具Tを製造する際に、第二かしめ部31を、本体部10に対する弾性接触片20の位置決めとして用いることができる。
【0040】
なお、第一かしめ部30および第二かしめ部31は、本体部10の一部を切り起こして形成されているから、例えば、本体部とは別に、かしめ部を延出して形成する場合に比べて材料取りがよく、材料コストを低く抑えることができる。また、第一かしめ部30および第二かしめ部31を、本体部10の後端部に設けたから、第一開口部32および第二開口部33を比較的大きく形成することができる。
【0041】
また、本体部10には、弾性接触片20の前方に立つ保護壁34が設けられている。これにより、弾性接触片20が過度に弾性変形して前側支点部21が本体部10の前方に飛び出すこと、および外部の異物が弾性接触片20に接触することを防ぐことができ、もって弾性接触片20を保護することができる。
【0042】
また、本体部10には、弾性接触片20の前側支点部21の上側に位置して、弾性接触片20の過度の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部35が設けられている。これにより、雄側端子金具40の挿入時に、弾性接触片20が過度に浮き上がることを防止することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2に係る端子金具50を図9および図10によって説明する。
本実施形態の端子金具50は、一対の第一かしめ部30が溶接されている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
本実施形態に係る端子金具50は、実施形態1と同様に、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とを有し、本体部10と弾性接触片20とが異種の金属で形成されたものである。また、弾性接触片20の後側支点部22は、実施形態1と同様に、本体部10の一部を切り起こして形成された一対の第一かしめ部30によって、本体部10にかしめ付けられている。なお、本実施形態の端子金具50においては、第二かしめ部31は設けられていない。
【0045】
そして、一対の第一かしめ部30は、レーザー溶接により互いに接合されている。一対の第一かしめ部30は、弾性接触片20にかしめ付けられた後、その先端付近(溶接部51)にレーザー溶接機52からレーザー光が照射されて溶接される。この際、熱の伝播のために弾性接触片20の上面も溶融し、一対の第一かしめ部30と弾性接触片20とが互いに接合する。
【0046】
本体部10には、図10に示すように、レーザー溶接のための窓部53が開口されている。窓部53は、本体部10のうち溶接部51の上方に位置する内天板14Aおよび外天板14Bの後端部に形成されている。この窓部53を介して、本体部10の上方から本体部10内に、レーザー光を照射することができる。
【0047】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様に、一対の第一かしめ部30によって弾性接触片20の後側支点部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができる。
また、一対の第一かしめ部30は溶接されているから、より強固に弾性接触片20を固定することができる。さらに、レーザー溶接により、弾性接触片20と本体部10とが溶着されるから、優れた導電性を実現することができる。また、溶接個所が1か所のみであるから、加工費を低く抑えることができる。
【0048】
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3に係る端子金具60を図11および図12によって説明する。
本実施形態の端子金具60は、弾性接触片20と本体部10とが溶接されている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0049】
本実施形態に係る端子金具60は、実施形態1と同様に、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部10と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片20とを有し、本体部10と弾性接触片20とが異種の金属で形成されたものである。また、弾性接触片20の後側支点部22は、実施形態1と同様に、本体部10の一部を切り起こして形成された一対の第一かしめ部30によって、本体部10にかしめ付けられている。なお、本実施形態の端子金具60においては、第二かしめ部31は設けられていない。
【0050】
そして、弾性接触片20の後側支点部22と本体部10とが、レーザー溶接により接合されている。弾性接触片20の後側支点部22が、一対の第一かしめ部30にかしめ付けられた後、弾性接触片20の後端縁付近(溶接部61)に、レーザー溶接機62からレーザー光が照射され、後側支点部22の後端と底板12とが溶接される。溶接部61は、図12に示すように、本体部10の後端に位置しているので、本体部10に窓部等を形成することなく、本体部10の上方からレーザー光を照射することができる。
【0051】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様に、一対の第一かしめ部30によって弾性接触片20の後側支点部22の横方向の変位が抑制されるから、弾性接触片20の横揺れを防ぐことができる。
また、弾性接触片20と本体部10とが溶接されているから、より強固に弾性接触片20を固定することができ、さらに、レーザー溶接により、弾性接触片20と本体部10とが導通接続されるから、優れた導電性を実現することができる。また、溶接個所が1か所のみであるから、加工費を低く抑えることができる。
【0052】
<実施形態4>
次に、本発明を具体化した実施形態4に係る端子金具70を図13〜図19を参照しつつ説明する。
本実施形態の端子金具70は、実施形態1における弾性接触片20を本体部10にかしめ付ける構成を変更したものであって、実施形態1と重複する説明については省略する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付すものとする。
【0053】
本実施形態に係る端子金具70は、実施形態1と同様に、前方から雄側端子金具40が挿入される箱型の本体部80と、雄側端子金具40に弾性的に接触する弾性接触片90とを有し、本体部80と弾性接触片90とが異種の金属で形成されたものである。また、本実施形態の接点部23は、プレス加工によって叩き出されることで上方に膨出する形態をなしている。この接点部23は、図18に示すように、前後方向に長く延びている。
【0054】
弾性接触片90における接点部23の両側には、一対の過度撓み防止片91が形成されている。各過度撓み防止片91は、弾性接触片90の幅方向両側縁から幅方向外側に張り出す形態をなしている。各過度撓み防止片91の先端は、本体部80の両側板13A,13Bの外側面から幅方向外側にはみ出さない位置に配されている。一方、本体部80の両側板13A,13Bには、各過度撓み防止片91が進入可能な逃がし部81が切り欠き形成されている。逃がし部81は、図14に示すように、略方形をなしており、その上縁に過度撓み防止片91の先端が下方から当接可能とされている。したがって、雄側端子金具40が斜めに挿入されるなどして弾性接触片90が上方に持ち上げられた場合に、各過度撓み防止片91が各逃がし部81の上縁に当接することで、弾性接触片90が過度に撓んで変形することを抑制できる。
【0055】
図16に示すように、弾性接触片90の前端部は、前方に向かうほど幅狭となるように形成されている。一方、弾性接触片90の後端部90Rは、やや幅広で前後方向に延びて形成されており、その幅寸法は、本体部80の両側板13A,13Bの対向壁間の距離とほぼ同じ寸法とされている。
【0056】
さて、弾性接触片90の後端部90Rにおける両側縁部には、一対の凹部92が凹設されている。両凹部92は、後端部90Rの両側縁部に1つずつ配されている。凹部92の前側部分92Fと後側部分92Rは、いずれもテーパ状とされており、凹部92は全体として幅方向外側に開いた形状とされている。また、凹部92における前側部分92Fと後側部分92Rは、前後方向に直線状に延びる直線部分92Sによって互いに連結されている。言い換えると、凹部92の周縁部は、前側部分92Fと直線部分92Sと後側部分92Rとによって構成されている。
【0057】
本体部80において凹部92と対応する位置には、かしめ部82が形成されている。本実施形態のかしめ部82は、実施形態1の第一かしめ部30と同様に、本体部80の一部を切り起こして形成されたものである。また、かしめ部82は、弾性接触片90の幅方向両側にそれぞれ配されている。すなわち、一対の凹部92に対応して一対のかしめ部82が設けられている。
【0058】
かしめ部82は、凹部92の直線部分92Sに入り込む軸部82Aと、軸部82Aよりも前後方向に大きめに形成された頭部82Bとを備えている。この頭部82Bは、凹部92の周縁部における上面側に配される。したがって、図19に示すように、両かしめ部82を両凹部92に入り込ませて全周に亘ってかしめ付けると、両凹部92の周縁部が両かしめ部82によって固着され、弾性接触片90が本体部80に保持される。
【0059】
弾性接触片90が本体部80に保持された状態では、両軸部82Aによって両直線部分92Sが幅方向両側から挟持されて互いに係合することで弾性接触片90の横揺れ(幅方向の変位)を抑制することができる。また、凹部92の周縁部が両頭部82Bと底板12との間で上下方向(弾性接触片90の板厚方向)から挟持されて互いに係合することで弾性接触片90の浮き上がりを抑制することができる。また、図16に示すように、軸部82Aの前縁が凹部92の前側部分92Fに後方から係合することで弾性接触片90の後方への移動を抑制できる。また、軸部82Aの後縁が凹部92の後側部分92Rに前方から係合することで弾性接触片90の前方への移動を抑制できる。
【0060】
なお、両かしめ部82の両軸部82Aを両凹部92に挿入する際には、前側部分92Fと後側部分92Rによって挿入の案内がなされるため、弾性接触片90を本体部80に対して正規の装着姿勢で固着することができる。
【0061】
上記のように構成された実施形態4によれば、両凹部92の周縁部を両かしめ部82によってかしめ付けることにより、弾性接触片90の前後方向の移動、横方向(幅方向)の移動、上下方向の移動をいずれも抑制することができる。また、両過度撓み防止片91を両逃がし部81の上縁に当接させることにより、弾性接触片90が過度に撓むことを防止できる。
【0062】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)上記実施形態によれば、本体部10は、黄銅、ベリリウム銅等の銅合金からなり、弾性接触片20は、耐熱銅合金等からなるものとされているが、これに限らず、本体部および弾性接触片の材料の組み合わせは、用途に応じて様々に変えることができる。
(2)実施形態1〜3によれば、弾性接触片20の前端部は、本体部10の底板12に接する前側支点部21とされているが、これに限らず、弾性接触片の前端部は、本体部の底板から離れて上方に浮いている(すなわち弾性接触片が片持ち状をなしている)ものとしてもよい。
(3)実施形態1〜3によれば、第一かしめ部30は弾性接触片20の両側に一対が設けられているが、これに限らず、第一かしめ部をいずれか一方のみに設けてもよい。また、この場合、第一かしめ部を他方の側まで延出するものとし、端子金具の両側部を一の第一かしめ部でかしめ付けるものとしてもよい。
(4)実施形態1〜3によれば、弾性接触片20の自然状態では、その後端縁は、本体部10の天板14A,14Bよりも後方に突出することなく配されているが、これに限らず、弾性接触片の後端縁が天板よりも後方に突出して配されるものとしてもよい。
(5)実施形態1によれば、第二かしめ部31は、第一かしめ部30よりも一回り小さいものとされているが、これに限らず、第二かしめ部を、第一かしめ部よりも大きいものとしてもよい。
(6)実施形態2によれば、レーザー溶接により、一対の第一かしめ部30のみならず弾性接触片20も接合されるものとしているが、これに限らず、一対の第一かしめ部のみを互いに接続するものとしてもよい。この場合、一対の第一かしめ部を上下に重なりあう形状にしてもよい。
(7)実施形態2によれば、第二かしめ部31は設けられていないものとされているが、これに限らず、一対の第一かしめ部を溶接するのに加えて、第二かしめ部により弾性接触片の後端をかしめ付けるものとしてもよい。
(8)実施形態2および実施形態3によれば、一対の第一かしめ部30、または弾性接触片20と本体部10との溶接は、レーザー溶接により行うものとしているが、例えば抵抗溶接等により行うことも可能である。
(9)上記実施形態によれば、かしめ部を切り起こしによって形成しているものの、切り起こしに限定されず、叩き出しによってかしめ部を形成してもよい。
(10)実施形態4によれば、一対のかしめ部82および一対の凹部92を設けているものの、1つだけのかしめ部および凹部を設けてもよいし、3つ以上のかしめ部および凹部を設けてもよい。
(11)実施形態4によれば、凹部92の前側部分92Fと後側部分92Rを直線部分92Sに対してテーパ状をなすように形成しているものの、前側部分と後側部分を直線部分92Sに対して直交するように形成してもよい。この場合、かしめ部82の軸部82Aを直線部分92Sと同じかやや大きめに形成しておき、軸部82Aを凹部に対して圧入すればよい。
【符号の説明】
【0064】
T,50,60,70…端子金具
10,80…本体部
20,90…弾性接触片
30…第一かしめ部(かしめ部)
31…第二かしめ部(後側かしめ部)
34…保護壁
35…浮き上がり防止部
40…雄側端子金具(相手側端子金具)
82…かしめ部
90R…後端部
92…凹部
92F…前側部分(前側係合部)
92R…後側部分(後側係合部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方から相手側端子金具が挿入される箱型の本体部と、前記本体部内に備えられて前記相手側端子金具に弾性的に接触する弾性接触片とが、異種の金属で形成され、
前記弾性接触片は前後方向に長い形状をなし、その後端部における側部が、前記本体部に形成されたかしめ部によって、前記本体部にかしめ付けられている端子金具。
【請求項2】
前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、
前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられている請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記本体部のうち前記弾性接触片の後側には、前記弾性接触片の後端部を後方からかしめ付ける後側かしめ部が設けられている請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記かしめ部は前記弾性接触片の両側に一対が設けられ、
前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられるとともに、前記一対のかしめ部は溶接されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項5】
前記弾性接触片の後端部と前記本体部とが溶接されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項6】
前記本体部には、前記弾性接触片の前方に立つ保護壁が設けられている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項7】
前記本体部には、前記弾性接触片よりも前記相手側端子金具との接触面側に位置して、前記弾性接触片の過度の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部が設けられている請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項8】
前記弾性接触片は、前記かしめ部の前縁に係合する前側係合部と、同かしめ部の後縁に係合する後側係合部とを備えている請求項1に記載の端子金具。
【請求項9】
前記弾性接触片の後端部の側縁部には、前記かしめ部が入り込む凹部が凹設されており、前記凹部の周縁部を構成する前側部分が前記前側係合部とされ、同後側部分が前記後側係合部とされている請求項8に記載の端子金具。
【請求項10】
前記凹部の周縁部は、前記かしめ部によって前記弾性接触片の板厚方向からかしめ付けられている請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項11】
前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、前記弾性接触片の後端部の両側縁部に一対の前記前側係合部および一対の前記後側係合部がそれぞれ設けられている請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項1】
前方から相手側端子金具が挿入される箱型の本体部と、前記本体部内に備えられて前記相手側端子金具に弾性的に接触する弾性接触片とが、異種の金属で形成され、
前記弾性接触片は前後方向に長い形状をなし、その後端部における側部が、前記本体部に形成されたかしめ部によって、前記本体部にかしめ付けられている端子金具。
【請求項2】
前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、
前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられている請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記本体部のうち前記弾性接触片の後側には、前記弾性接触片の後端部を後方からかしめ付ける後側かしめ部が設けられている請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記かしめ部は前記弾性接触片の両側に一対が設けられ、
前記弾性接触片は、前記一対のかしめ部によって、その後端部における両側部が前記本体部にかしめ付けられるとともに、前記一対のかしめ部は溶接されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項5】
前記弾性接触片の後端部と前記本体部とが溶接されている請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項6】
前記本体部には、前記弾性接触片の前方に立つ保護壁が設けられている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項7】
前記本体部には、前記弾性接触片よりも前記相手側端子金具との接触面側に位置して、前記弾性接触片の過度の浮き上がりを防止する浮き上がり防止部が設けられている請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項8】
前記弾性接触片は、前記かしめ部の前縁に係合する前側係合部と、同かしめ部の後縁に係合する後側係合部とを備えている請求項1に記載の端子金具。
【請求項9】
前記弾性接触片の後端部の側縁部には、前記かしめ部が入り込む凹部が凹設されており、前記凹部の周縁部を構成する前側部分が前記前側係合部とされ、同後側部分が前記後側係合部とされている請求項8に記載の端子金具。
【請求項10】
前記凹部の周縁部は、前記かしめ部によって前記弾性接触片の板厚方向からかしめ付けられている請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の端子金具。
【請求項11】
前記かしめ部は前記本体部の一部を切り起こして形成されたものであって、前記弾性接触片の両側に一対の前記かしめ部が設けられ、前記弾性接触片の後端部の両側縁部に一対の前記前側係合部および一対の前記後側係合部がそれぞれ設けられている請求項8ないし請求項10のいずれか一項に記載の端子金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−62230(P2013−62230A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133710(P2012−133710)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
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