説明

端末機器およびその動作の通知方法

【課題】携帯電話等の端末機器において、音声やバイブレーション等の聴覚による通知ではなく、色の変化や模様の変化等の視覚による通知をすることができる結果、着信音やバイブレーションの振動による雑音を回避することができ、他人に不快な思いをさせることなく受信や着信を認識することができる。
【解決手段】本発明に係る端末機器の動作を通知する方法は、着信信号を入力し、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、筐体を形成する材料に塗布した示温インキによる識別部の色を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度によって色の変化や模様の変化等の外観の変化によって、視覚的に受信または着信等の動作を通知する端末機器およびその動作の通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やWLANの普及により、これら端末機器での伝達が頻繁に行われてきている。このような状況下、消音にするためにサイレントモードにした結果、着信に気付かず、また着信に気付くために着信音やマナーモードの設定のまま机上におくことにより、騒音となり周囲に迷惑をかけるという問題点が生じている。
これまで、端末機器、特に携帯電話へのメールや通話の動作を通知する手段として、音源装置による音声もしくはバイブレーションによる振動を用いてきた。
【0003】
しかしながら、電車等の交通機関や会議中等、音声や振動を発生させたくない場合において、着信動作の通知のためにバイブレーションにした場合、その振動が電車内等の公共の場や会議での進行に支障をきたすという問題があった。
また、サイレントモードや電源をOFFにした場合においても、重要な受信を受け損ねる可能性があり、日常生活や業務等に支障をきたすという問題があった。
さらに、端末機器において、LCDの表示もあるが、気付かないという問題があった。
【0004】
例えば、特許文献1に係る端末装置においては、消費電力を大きくすることなく、動作があったことを端末装置使用者に通知することを目的とし、端末装置の動作に起因する要因に応じて少なくともその一部がその外観を変化する素材からなる部材を備え、外観の変化によって動作を通知する端末装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献2に係る電子装置カバーにおいては、カバーを取り外すことなく少なくとも1つの制御信号によって、色を繰り返しかつ素早く変えることを目的とし、少なくとも1つの制御信号によって、少なくとも部分的に変更可能な色を持つ材料を用いて、少なくとも部分的にカバーが形成あるいは被覆される電子装置カバーが記載されている。
【0006】
さらに、特許文献3に係る装置は、外装体の付け替えや塗装の塗り替え、外装シールの張り替えなどを行うことなく、外観を自由に変更できることを目的とし、供給された画像情報を表示する表示媒体を有する筐体を備え、表示媒体に表示させる画像または色調を変化させることにより、その外観を変化させる装置が記載されている。
【0007】
しかし、上記特許文献に係る装置は、音声やバイブレーションによる聴覚による通知方法を採用するため、公共の場や会議等において、雑音が生じるという問題点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−118435号公報
【特許文献2】特開2001−86213号公報
【特許文献3】特開2007−194625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した、背景技術にかかる端末機器においては、音声やバイブレーションによる聴覚による通知方法であるため、公共の場や会議等において、不都合が生じるという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、上述した課題である、音声やバイブレーションによる聴覚による通知方法ではなく、色の変化や模様の変化等の視覚による動作の通知方法と端末機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る端末機器の動作を通知する方法は、着信信号を入力し、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、筐体を形成する材料に塗布した示温インキによる識別部の色を変化させるものである。
【0012】
本発明に係る端末機器の動作を通知する方法は、受信または着信時の振動をセンサーが感知し、前記センサーが発する信号によって、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、筐体を形成する材料に塗布した示温インキによる識別部の色を変化させるものである。
【0013】
本発明に係る端末機器は、着信信号を入力し、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、示温インキを塗布した材料を有する筐体を備えた端末機器であって、前記温度変化によって変色する示温インキによる識別部の温度範囲を2以上設けたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯電話等の端末機器において、音声やバイブレーション等の聴覚による通知ではなく、色の変化や模様の変化等の視覚による通知をすることができる結果、着信音やバイブレーションの振動による雑音を回避することができ、他人に不快な思いをさせることなく受信や着信を認識することができる。さらに、外観の見栄えも向上させることができ、携帯電話等の端末機器に付加価値をつけることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の模式図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る外観変化後の形態電話機の模式図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る携帯電話機の断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る携帯電話機の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る携帯電話機の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る携帯電話機の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る外観変化前の形態電話機の模式図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る外観変化後の形態電話機の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0017】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係る携帯電話機の模式図を示す。
図1に示すように、本実施の形態に係る携帯電話機は、筐体を形成する材料(A)を温度の変化によって変色する示温インキ(B)でコーティングした識別部が搭載されている。ここで、示温インキ(thermochromic ink)とは、コレステロールの高級脂肪酸エステル等の結晶配列により変化するサーモクロミック物質をマイクロカプセル化し、インキにしたものをいい、温度変化によって変化する。図1の断面図を図2に示す。
【0018】
図中、材料(A)は、樹脂であり、その裏面に施した示温インキ(B)による識別部を斜線部で示している。ここで、材料(A)としては、樹脂に限らず、ガラス等の透明な材料であれば、特に限定されるものではない。
例えば、金属、繊維、紙、セラミック、植物等、端末機器に使用できる物質であれば何れでも構わない。また、携帯電話機に内蔵し、温度変化手段としては、ヒーターに限らず、クーラー等の温度を変化させることができるものであれば特に限定されない。
【0019】
次に、本実施の形態に係る携帯電話機の通知の動作について説明する。
まず、携帯電話機に受信または着信があった場合、その信号を、携帯電話機に内蔵されているヒーター等に入力することにより、携帯電話機の温度を上昇させる。温度を上昇させることにより、携帯電話機の表面にコーティングした識別部としての示温インキの色を変化させ、視覚により受信または着信を認識することができる。携帯電話機の変化後の外観を図3に示す。
【0020】
図3に示すように、携帯電話機内のヒーターによって、携帯電話機の温度が上昇し、筐体の色が変化し、視覚により電話の着信、メール受信等を容易に確認することができる。
本実施の形態は、携帯電話機に限らず、ゲーム機器やパソコン等の通信を行う端末機器に採用することができる。
【0021】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0022】
図4に、本発明の実施の形態2に係る携帯電話機の断面図を示す。
図4に示すように、材料(A)の表面にコーティング材(B)を塗布しても構わない。
また、コーティング方法としては、印刷、塗装等を用いることができる。
【0023】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0024】
図5に、本発明の実施の形態3に係る携帯電話機の断面図を示す。
図5に示すように、材料(A)に顔料Bを混ぜ込むことも可能である。
【0025】
ここで、本実施の形態で使用する顔料は、インク、塗料等、コーティングが可能であれば何れであっても構わない。
【0026】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、実施の形態1と同様の部分についての説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
【0027】
図6に、本実施の形態に係る携帯電話機の正面図を示し、図7に、本実施の形態に係る携帯電話機の断面図を示し、図8に、本実施の形態に係る外観変化前の形態電話機の模式図を示し、図9に、本発明の実施の形態4に係る外観変化後の形態電話機の模式図を示す。
【0028】
さらに、図6および図7に示すように、温度によって変化する示温インキによる識別部の温度範囲を所定の温度に区切って、携帯電話機の外観を変化させることもできる。識別部は、2以上に区切ることができる。
【0029】
例えば、図6に示すように、識別部B−1は10℃未満、識別部B−2は10℃以上30℃未満、識別部B−3は30℃以上において変色するように設定しておくことにより、各温度によって異なる外観を得ることが可能となり、視覚的変化を楽しむ効果も得られる。
【0030】
その他、信号を入力してヒーターを作動させることもできる。例えば、バイブレーションの振動を検知したセンサーからの信号によってヒーターを作動させて温度を変化させることも可能である。
【0031】
以上説明した本実施の形態によれば、携帯電話等の通信機器において、音声やバイブレーション等の聴覚による通知ではなく、色の変化や模様の変化(図9参照)等の視覚による通知をすることができ、その結果、着信音やバイブレーションの振動による雑音を回避することができ、他人に不快な思いをさせることなく着信やメール受信に気付くことができる。さらに、外観の見栄えも向上させることができ、携帯電話等の端末機器に付加価値をつけることが可能となる
【0032】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
A 樹脂材料
B 示温インキによる識別部
B−1 10℃未満で変色する識別部
B−2 10〜30℃で変色する識別部
B−3 30℃以上で変色する識別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信信号を入力し、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、筐体を形成する材料に塗布した示温インキによる識別部の色を変化させ、動作を通知する方法。
【請求項2】
受信または着信時の振動をセンサーが感知し、前記センサーが発する信号によって、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、筐体を形成する材料に塗布した示温インキによる識別部の色を変化させ、動作を通知する方法。
【請求項3】
前記温度変化手段が、ヒーターまたはクーラーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の通知方法。
【請求項4】
前記材料は、金属、繊維、紙、セラミック、植物のうちいずれか1以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通知方法。
【請求項5】
前記材料に顔料を混合したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通知方法。
【請求項6】
前記温度変化によって変色する示温インキの温度範囲を2以上設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の通知方法。
【請求項7】
前記温度範囲は、10℃未満、10℃以上30℃未満、30℃以上であることを特徴とする請求項6に記載の通知方法。
【請求項8】
着信信号を入力し、実装した温度変化手段によって温度を変化させ、前記温度変化に伴い、示温インキを塗布した材料を有する筐体を備えた端末機器であって、
前記温度変化によって変色する示温インキによる識別部の温度範囲を2以上設けた端末機器。
【請求項9】
前記温度範囲は、10℃未満、10℃以上30℃未満、30℃以上であることを特徴とする請求項8に記載の端末機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−54746(P2012−54746A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195558(P2010−195558)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】