説明

端末装置、およびディスプレイパネルの支持方法

【課題】衝撃に耐える性能を向上させることが可能な端末装置を提供する。
【解決手段】第1の透明基板11aと、第1の透明基板11aよりも平面積が小さく、第1の透明基板11aの一部に積層されている第2の透明基板11bと、第2の透明基板11bを挟んで第1の透明基板11aと対向している第1の部分2aと、第1の部分2aから外側に張り出し、第1の透明基板11aと間隔をおいて対向している第2の部分2bと、を有するディスプレイパネル2と、ディスプレイパネル2の第2の部分2bと、第1の透明基板11aの、第2の部分と対向する部分との間に設けられた緩衝部材8と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスを保護するディスプレイパネルを備えた端末装置、および該ディスプレイパネルの支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機に代表される端末装置の一つとして、画像を形成して表示する表示デバイスと、表示デバイスを保護するディスプレイパネルと、を備えた端末装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上述した端末装置では、表示デバイスとディスプレイパネルとの間に隙間を設けた構造が一般的であったが、近年、端末装置の薄型化のために、表示デバイスをディスプレイパネルに接合して一体化した構造が主流になり始めている。
【0004】
図8は、本発明に関連する端末装置の要部の構造を示す断面図である。
【0005】
図8に示す端末装置100では、表示デバイス101とディスプレイパネル200とが一体化している。表示デバイス101は、偏光板111と、透明基板112と、透明基板113と、偏光板114とを有する。透明基板112と透明基板113の間には、液晶素子(不図示)が挟まれている。この液晶素子は、透明基板112に実装されたドライブ回路210の制御に基づいて画像を形成する。一方、ディスプレイパネル200は、平板状で透明である。
【0006】
端末装置100では、光源の光が、表示デバイス1に入射したときに画像が形成され表示される。ディスプレイパネル200が透明なので、表示デバイス1に表示された画像は、ディスプレイパネル200を通じて見ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−154366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図8に示す端末装置100の構造では、ディスプレイパネル200の上方とドライブ回路210との間に空隙が形成されている。そのため、ディスプレイパネル200に大きな静荷重Aが加えられたとき、ディスプレイパネル200がたわんで破損することが懸念される。また、端末装置100が、例えば落下による衝撃荷重によって、振動が端末装置100全体に伝播した場合、ドライブ回路210が実装されている透明基板112の端部が上下方向(図8の矢印B参照)に振動することによって破損することが懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、外力に耐える性能を向上させることが可能な端末装置、およびディスプレイパネルの支持方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の端末装置は、第1の透明基板と、前記第1の透明基板よりも平面積が小さく、前記第1の透明基板の一部に積層されている第2の透明基板と、前記第2の透明基板を挟んで前記第1の透明基板と対向している第1の部分と、前記第1の部分から外側に張り出し、前記第1の透明基板と間隔をおいて対向している第2の部分と、を有するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前記第2の部分と、前記第1の透明基板の、前記第2の部分と対向する部分との間に設けられた緩衝部材と、を有する。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のディスプレイパネルの支持方法は、第1の透明基板と、前記第1の透明基板よりも平面積が小さく、前記第1の透明基板の一部に積層されている第2の透明基板と、前記第2の透明基板を挟んで前記第1の透明基板と反対側に位置するディスプレイパネルと、を有する端末装置におけるディスプレイパネルの支持方法において、前記ディスプレイパネルの第1の部分が、前記第2の透明基板を挟んで前記第1の透明基板に対向し、前記ディスプレイパネルの、前記第1の部分から外側に張り出した第2の部分が、前記第1の透明基板に間隔をおいて対向するように前記ディスプレイパネルを前記端末装置に取り付けるステップと、前記ディスプレイパネルの前記第2の部分と、前記第1の透明基板の、前記第2の部分と対向する部分との間に緩衝部材を詰めるステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外力に耐える性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の端末装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す端末装置の断面図である。
【図3】図1に示す端末装置に設けられた表示デバイスの構造を示す斜視図である。
【図4】図2に示す領域Cの拡大図である。
【図5】本発明の端末装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明の端末装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の端末装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明に関連する端末装置の要部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の端末装置の一実施形態を示す分解斜視図である。図2は、図1に示す端末装置10の断面図である。本発明の端末装置は、携帯電話機などの通信機器に限らず、ゲーム機等単独で動作する装置にも適用可能である。
【0015】
図1、2に示す端末装置10では、表示デバイス1に貼り付けられているバックライト6の光が表示デバイス1に入射されると、表示デバイス1において画像が形成され表示される。表示デバイス1に表示された画像は、表示デバイス1に接合され一体化したディスプレイパネル2を通じて見ることができる。ディスプレイパネル2は、表示デバイス1を保護するための保護部材であり、透明な平板状の部材で形成されている。ディスプレイパネル2は、その中央部が透明な接着剤または透明な両面テープで構成された平板状の接合部材3に接合されるとともに、その周縁部が枠状の接合部材5によってケース4に接合されている。
【0016】
図3は、表示デバイス1の構造を示す斜視図である。
【0017】
表示デバイス1は、図3に示すように、第1の透明基板11aと、偏光板12aと、画像形成素子20と、ドライブ回路21と、第2の透明基板11bと、偏光板12bと、を有する。
【0018】
偏光板12aは、第1の透明基板11aの裏面に貼り付けられている。第1の透明基板11aの一部には、画像形成素子20を挟んで、第1の透明基板11aよりも平面積が小さい第2の透明基板11bが積層されている。本実施形態では、画像形成素子20は液晶素子である。第1の透明基板11aの表面における、第2の透明基板11bの積層部分の外側には、画像形成素子20に画像を形成させるドライブ回路21が実装されている。第2の透明基板11bには、偏光板12bが貼り付けられている。偏光板12bは、接合部材3に接合されている(図1または図2参照)。
【0019】
図4は、図2に示す領域Cの拡大図である。
【0020】
図4に示すように、ドライブ回路21の周囲には、液晶の封止やドライブ回路21の実装面の保護を目的とした樹脂部材30が塗布されている。ディスプレイパネル2は、第2の透明基板11bを挟んで第1の透明基板11aに対向している第1の部分2aと、第1の部分2aから外側に張り出し、第1の透明基板11aに間隔をおいて対向している第2の部分2bと、を有する。ディスプレイパネル2の第2の部分2bと、第1の透明基板11aにおける第2の部分2bと対向する部分(ドライブ回路21の実装部分)との間には、緩衝部材8が設けられている。
【0021】
図8に示す端末装置100では、ディスプレイパネル200と、透明基板112におけるドライブ回路210の実装部分との間が空隙であった。そのため、ディスプレイパネル200に静荷重が加えられたとき、ディスプレイパネル200はたわみやすかった。また、端末装置100に衝撃が加えられたとき、透明基板112は、ドライブ回路210の実装部分が透明基板113の積層部分に比べ剛性が小さい(薄い)ので上下方向に振動しやすかった。一方、本実施形態の端末装置10では、図4に示すように、ディスプレイパネル2の第2の部分2bと、第1の透明基板11aにおけるドライブ回路21の実装部分との間に、緩衝部材8が設けられている。そのため、ディスプレイパネル2に静荷重(図4の矢印A参照)が加えられたとき、ディスプレイパネル2は、第2の部分2bが緩衝部材8によって支持される。その結果、ディスプレイパネル2の第2の部分2bがたわみにくくなるので、ディスプレイパネル2の支持終端部22、23(図4参照)が破断しにくくなる。第1の透明基板11aは、ドライブ回路21の実装部分の剛性が緩衝部材8によって強化される。その結果、端末装置10に衝撃荷重が加えられたとき、上下方向(図4の矢印B参照)の振動が抑制されるので、段差部13(図4参照)が破断しにくくなる。したがって、本実施形態の端末装置10は、図8に示す端末装置100に比べ、外力に耐える性能を向上させることが可能となる。
【0022】
本実施形態では、緩衝部材8は、発泡剤(例えば、ウレタン)であるが、緩衝部材8の材料は、発泡剤に限定されない。緩衝部材8は、図5に示すように、発泡剤よりも粘性が低く、樹脂部材(例えば、シリコーン樹脂)であってもよい。緩衝部材8が樹脂部材の場合、ドライブ回路21の実装部分とディスプレイパネル2の空隙の形状に即して形成される。そのため、発泡剤に比べより有効に空隙を埋めることが可能となる。緩衝部材8が樹脂部材の場合、図6に示すように、樹脂部材を袋部材9の中に充填してもよい。この場合、樹脂部材がドライブ回路21とディスプレイパネル2の空隙以外の場所へはみ出すことを防ぐことが可能となる。
【0023】
本実施形態では、緩衝部材8は、絶縁物であることが望ましいが、ドライブ回路21に絶縁加工が施されている場合には、必ずしも絶縁物である必要はない。ドライブ回路21に絶縁加工を施す場合、例えば、ドライブ回路21の表面に絶縁シートを取り付ければよい。絶縁シートは、接着剤でドライブ回路21の表面に貼りつけるか、またはねじで第1の透明基板11aに締め付けることによって、ドライブ回路21の表面に取り付けることができる。ドライブ回路21の表面に熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂を塗布し、熱または光で各樹脂を固めることによってドライブ回路21に絶縁加工を施してもよい。ドライブ回路21に絶縁物を被せることによってドライブ回路21に絶縁加工を施してもよい。
【0024】
本実施形態では、画像形成素子20、ドライブ回路21、および第2の透明基板2bが1つである構造であったが、本発明は、この構造に限定されない。例えば、図7に示すように、1枚の第1の透明基板11aに対して複数の画像形成素子20と、複数のドライブ回路21とが交互に設けられ、互いに離れた複数の第2の透光部材12が複数の画像形成素子20を個別に挟んで1枚の第1の透明基板11aに積層されている構造であってもよい。この構造においても、ディスプレイパネル2と各ドライブ回路21との間に緩衝部材8を詰めることによって、静荷重に対してディスプレイパネル2がたわみにくくなる。よって、外力に耐える性能が維持される。
【0025】
本実施形態では、表示形式が液晶であったが、液晶の代わりに、プラズマ、電子ペーパ、有機エレクトロルミネッセンスなどであってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 表示デバイス
2 ディスプレイパネル
2a 第1の部分
2b 第2の部分
3、5 接合材
4 ケース
6 バックライト
7 フレーム
8 緩衝部材
9 袋部材
10 端末装置
11a 第1の透明基板
11b 第2の透明基板
12a、12b 偏光板
13 段差部
20 画像形成素子
21 ドライブ回路
22、23 支持終端部
30 樹脂部材
100 端末装置
101 表示デバイス
111、114 偏光板
112、113 透明基板
200 ディスプレイパネル
210 ドライブ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明基板と、
前記第1の透明基板よりも平面積が小さく、前記第1の透明基板の一部に積層されている第2の透明基板と、
前記第2の透明基板を挟んで前記第1の透明基板と対向している第1の部分と、前記第1の部分から外側に張り出し、前記第1の透明基板と間隔をおいて対向している第2の部分と、を有するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前記第2の部分と、前記第1の透明基板の、前記第2の部分と対向する部分との間に設けられた緩衝部材と、
を有する端末装置。
【請求項2】
前記第1の透明基板の前記一部と前記第2の透明基板に挟まれている画像形成素子と、
前記第1の透明基板の、前記第2の部分と対向する部分に設けられ、前記画像形成素子に画像を形成させるドライブ回路と、をさらに有する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記緩衝部材が、発泡剤である、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記緩衝部材が、樹脂である、請求項1または2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記樹脂が袋部材の中に充填されている、請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
複数の前記第2の透明基板が、1枚の前記第1の透明基板に互いに離れて積層されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の端末装置。
【請求項7】
第1の透明基板と、前記第1の透明基板よりも平面積が小さく、前記第1の透明基板の一部に積層されている第2の透明基板と、前記第2の透明基板を挟んで前記第1の透明基板と反対側に位置するディスプレイパネルと、を有する端末装置におけるディスプレイパネルの支持方法において、
前記ディスプレイパネルの第1の部分が、前記第2の透明基板を挟んで前記第1の透明基板に対向し、前記ディスプレイパネルの、前記第1の部分から外側に張り出した第2の部分が、前記第1の透明基板に間隔をおいて対向するように前記ディスプレイパネルを前記端末装置に取り付けるステップと、
前記ディスプレイパネルの前記第2の部分と、前記第1の透明基板の、前記第2の部分と対向する部分との間に緩衝部材を詰めるステップと、
を有することを特徴とするディスプレイパネルの支持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−173475(P2012−173475A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34647(P2011−34647)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】