端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた建築構造物のRCスラブ構築方法
【課題】かさ上げ材を必要とせずにRCスラブのかさ上げをすることを可能として、経済性に優れたRCスラブを構築可能にする。
【解決手段】本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1は、
上面の平板部2を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブを複数条備えたフラットデッキプレートにおける長手方向両端部に、平板部2を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部1aを形成した構造である。端部閉塞フラットデッキプレート1の長手方向両端の閉塞端部1aを梁6に載せた捨て型枠でRCスラブ15を構築すると、梁6の上面に対してかさ上げされたRCスラブ15が得られる。かさ上げ材を必要とせずに、RCスラブ15のスラブ厚dが過剰に厚くなる過剰設計を避けることができる。
【解決手段】本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1は、
上面の平板部2を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブを複数条備えたフラットデッキプレートにおける長手方向両端部に、平板部2を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部1aを形成した構造である。端部閉塞フラットデッキプレート1の長手方向両端の閉塞端部1aを梁6に載せた捨て型枠でRCスラブ15を構築すると、梁6の上面に対してかさ上げされたRCスラブ15が得られる。かさ上げ材を必要とせずに、RCスラブ15のスラブ厚dが過剰に厚くなる過剰設計を避けることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長手方向の端部を閉塞した端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた建築構造物のRCスラブ(鉄筋コンクリートスラブ)構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に示すように、フラットデッキプレート10は、上面の平板部を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブ3を複数条備えた断面形状で、ロール成形により製造される建築鋼材であり、主として、建築構造物の床スラブ、屋根スラブなどの鉄筋コンクリートスラブ(以下、RCスラブと称す)を構築する際に、捨て型枠として複数枚を敷き並べて用いられる。図示の補剛用リブ3は上面につながる2枚重ね部3aとその下方の三角形の中空部3bを持つ中空型である。なお、中空部のない閉塞型(後述の図9)もある。
このフラットデッキプレート10は、一方の縁部に短幅平坦部2aを備え、他方の縁部にL形に折り曲げた係止片4を備え、平板部2に多数のエンボス5を形成している。なお、他の図ではエンボス5の図示は省略している。
隣接する2つのフラットデッキプレート10同士は、一方のフラットデッキプレート10の係止片4を他方のフラットデッキプレート10の側端の垂直な2枚重ね部3aの隙間に差し込んで連結する。
【0003】
このフラットデッキプレート10は通常、長手方向の両端部を押し潰して閉塞する閉塞加工をして用いる。この端部を閉塞したフラットデッキプレートは一般に端部閉塞フラットデッキプレートと称される。
図10、図11に示すように、従来の端部閉塞フラットデッキプレート1’の閉塞端部(押し潰して閉塞した閉塞を指す)1a’は、図示の通り、補剛用リブ3が上面側(平板部2側)に押し潰されており、両端の閉塞端部1a’を梁6に掛けて捨て型枠として用いる(特許文献1)。図示例の梁6はH形鋼梁(H形鋼による鉄骨梁)である。
端部閉塞フラットデッキプレートは、両端が閉塞されていることで、コンクリート打設時に補剛用リブのスパン方向両端からコンクリートが漏れることが防止される、などの利点を有する。
【0004】
ところで、事務所ビルなどの建築物の最近の傾向としては、経済性、快適性、汎用性を兼ね備えた仕様となるように、用途別の床構造を複数種類用いて設計することが多くなっている。
例えば、図12は、H形鋼梁6を境界として、片側に、適宜構造のスラブ11といわゆるOA床等の二重床12とからなる執務部床13、他側にRCスラブ15とカーペット等の仕上16とからなる廊下、トイレ等の共用部床17を構築する場合を示す。18は壁を示す。
【0005】
事務を行う執務部床13のスラブ11としては、合成スラブ構造、一方向性スラブ構造、RCスラブ構造などの各種のスラブが採用されるが、図示例では、経済性を重視して、合成スラブ用のデッキプレートを用いて構築した合成スラブ構造を採用する場合を想定している。11aはデッキプレート、11bはコンクリート層部分を示す。
また、仕上には快適性、汎用性を考慮し、LAN環境に対応したOA床(すなわち二重床)12を配置している。
なお、合成スラブ用のデッキプレートを含めて、山部と谷部とが並んで波形をなすデッキプレート11の場合には、図示のように、上面側(山面)を下面側(谷面)に押し潰した閉塞端部をもつデッキプレートを用いることが従来より行われている。
前記合成スラブ構造とは、コンクリートに対するズレ・剥離防止機構を設けた合成スラブ用のデッキプレートを用いて施工する構造であり、デッキプレートとコンクリートとが一体化して剛性に寄与する床構造である。一方向性スラブ構造とは、デッキプレートの溝を利用して一方向に配筋する鉄筋コンクリートスラブであり、デッキプレートはスラブ自重を負担する床構造である。
【0006】
一方、廊下やトイレ等の共用部床17には、配管空調等を配慮して、端部閉塞フラットデッキプレート1’を用いたRCスラブ構造15を採用し、仕上16はカーペット敷き等を配置している。この共用部床17にはOA床の採用は、経済的なスラブ構造を設計する観点からみて過剰設計となるため殆ど行われない。
【0007】
この場合、共用部床17の床面17aと執務部床13の床面13aとは同じ高さレベルである必要があるが、図12のように、端部閉塞フラットデッキプレート(以下、場合により単にフラットデッキプレートと略す)1’の閉塞端部1a’を梁6に直接載せてコンクリートを打設したのでは、OA床12のために執務部床13の床面13aが高くなっているので、共用部床17のRCスラブ15のスラブ厚dが過剰に厚くなり、経済性に欠ける。このため、この工法はあまり採用されない。
【0008】
そこで、従来は、共用部床17として、図13のように、剛性上必要なスラブ厚に合わせて、仕上高さから逆算した位置にフラットデッキプレート1’を敷設する工法、すなわち、フラットデッキプレート1’の上面をH形鋼梁6の上面より高い位置にかさ上げするかさ上げ工法を採用しており、そのためにかさ上げ材19として溝形鋼または山形鋼を事前に梁脇に溶接して取り付ける構造としていた。これにより、共用部床17のRCスラブ15が経済設計となる。
【0009】
なお、かさ上げ材19を用いる図13の構造を構築する場合の具体的事例では、執務部床13のスラブ11として合成スラブを採用した場合、例えば次のような寸法範囲での設計が多く採用されている。
執務部床13については、合成スラブ11のスラブ厚aが145〜165mm、二重床12の高さbが100mm、スラブ厚aと二重床高さbとの合計cが245〜265mm、共用部床17については、RCスラブ15のスラブ厚dが140〜165mm、カーペット敷等の仕上げeが0〜10mmである。それらの各寸法の具体的設定に応じてかさ上げ高さfが決まる。
なお、図12において、執務部床13が前記各寸法a、b、cの通りである場合、RCスラブ15のスラブ厚dはc(=245〜265mm)から仕上げ厚e(0〜10mm)を引いた厚みとなり、前述の通りスラブが過剰に厚くなる設計となる。
なお、共用部床17として、経済性に優れた合成スラブ構造でなくRCスラブ構造を採用するのは、前述した配管空調等を配慮してのことである。すなわち、建築物の設計では、共用部床に各種配管を貫通させることが多いが、デッキプレートが強度部材として機能している合成スラブでは、デッキプレートに配管のための貫通穴をあけることは強度を損なうため設計が難しく、各種配管を貫通させる共用部床には合成スラブ構造は採用しずらい。
【0010】
引用文献2は、フラットデッキプレートではないが、建築構造物において、例えば広いスパンと狭いスパンとが隣接していて梁の両側で波高さの異なるデッキプレートが用いられる場合に、波高さの異なるデッキプレートを梁上で接合する接合方法として、波高さの低いデッキプレートを、梁上に載せた仕切り材の上に載せて、波高さの異なるデッキプレートの上面高さを揃える方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2736587号(特開平6−123154)
【特許文献2】実公昭63−7613の第1図など。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記図13のように、かさ上げ材19を梁に溶接固定してフラットデッキプレート1’をかさ上げする方法は、別部材として必要となるかさ上げ材19の材料費及び加工費のためにコスト増となり、また、かさ上げ材19を溶接固定する作業が煩雑でその工数及び管理箇所増のためにコスト増となる。
また、図12のようにかさ上げ材を用いない場合は、コンクリート量増大のためにコスト増となり、また、それに伴う重量増大に応じて必要となる鉄骨部材のサイズアップのためにコスト増となる。
【0013】
ところで、鉄骨構造物においては、コスト削減の観点から合成梁の設計を行うケースがある。図14に示すように、合成梁21とは、鉄骨梁6上に頭付きスタッド22を配置し、頭付きスタッド22を介して梁直上のコンクリート23を鉄骨梁6の挙動と一体化させることにより、梁構造の断面性能向上を図ったものである。この場合、梁直上のコンクリート厚Kは、その合成梁に要求される断面性能に対応する適正なコンクリート厚と同厚以上とする。なお、梁直上のコンクリート(合成梁を構成するコンクリート)23は、鉄骨梁6の両側の適宜構造のスラブ25を構築する際に行うコンクリート打設により同時に打設される。
【0014】
図15に示すように、鉄骨梁6を境界とする両側にいずれも、従来のフラットデッキプレート1’を鉄骨梁6に直接載せてRCスラブ25を構築する場合で、梁を合成梁21とする場合、合成梁に要求される断面性能に対応する適正なコンクリート厚Kに対して、RCスラブ25のスラブ厚gが過剰に厚くなり、経済性に欠けるというケースがある。この場合、図16のように、RCスラブ25のスラブ厚gを当該RCスラブ25に要求される適正なスラブ厚gにすると、合成梁21ではコンクリート厚Kが不足して合成梁の断面性能が不十分になるため、採用できない。
そこで、RCスラブ25のスラブ厚gを適正厚にすることと、合成梁21のコンクリート厚Kを適正厚にすることとを両立させるために、図17のように、図13のRCスラブと同じくかさ上げ材19でかさ上げしたRCスラブ25とすると、前述のように、かさ上げ材19を用いることに伴うコスト増という問題が生じる。
【0015】
本発明は上記背景のもとになされたもので、かさ上げ材を必要とせずにRCスラブのかさ上げをすることが可能で、経済性に優れたRCスラブを構築することが可能な端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた経済性に優れた建築構造物のRCスラブ構築方法を提供することを目的とし、また、合成梁構造を採用してRCスラブを構築する際に、合成梁として要求される断面性能を満たすことと、RCスラブをかさ上げ材なしに適正なスラブ厚とすることを両立させることが可能な建築構造物のRCスラブ構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する請求項1の発明の端部閉塞フラットデッキプレートは、上面の平板部を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブを複数条備えたフラットデッキプレートにおける長手方向両端部に、平板部を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、梁を境界として片側に、スラブ上に二重床を備えた第1の床、他側に、RCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1のフラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、梁を境界として片側に第1の床、他側に、設計強度上要求されるスラブ厚が第1の床よりも小のRCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、梁が鉄骨梁である場合に請求項2又は3の建築構造物のRCスラブ構築方法によりRCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、鉄骨梁を境界とする両側にいずれもRCスラブを構築する際に、両側とも請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いることで、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記RCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、
前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする。
【0021】
請求項6の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いてRCスラブを構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明の端部閉塞フラットデッキプレートによれば、長手方向の両端部に、平板部を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部を持つ構造であるから、この端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠としてRCスラブを構築した場合、RCスラブが梁上面位置より概ね補剛用リブの高さ分だけかさ上げされる。
このように、かさ上げ材を用いることなく、かさ上げRCスラブを構築することができ、かさ上げ材の材料費及び加工費によりコスト増や、かさ上げ材設置工数及び管理箇所増によるコスト増の問題のない経済設計が実現される。
【0023】
請求項2の発明のRCスラブ構築方法によれば、梁の片側にスラブ上に二重床を備えた第1の床、他側にRCスラブを備えた第2の床を構築する場合で、第2の床と第1の床の床面高さを揃える場合に、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いることで、経済性に優れたRCスラブを構築することが可能となる。
【0024】
請求項3の発明のRCスラブ構築方法によれば、梁の片側に強度上要求されるスラブ厚が大のスラブを備えた第1の床、他側に強度上要求されるスラブ厚が小のRCスラブを備えた第2の床を構築する場合で、第2の床と第1の床の床面高さを揃える場合に、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いることで、経済性に優れたRCスラブを構築することが可能となる。
【0025】
請求項4の発明のRCスラブ構築方法により、請求項2又は3の建築構造物のRCスラブ構築方法を、梁が鉄骨梁で合成梁を構築する場合に適用することができる。
【0026】
請求項5の発明のRCスラブ構築方法によれば、合成梁の両側にいずれもRCスラブを構築する場合に、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いることで、合成梁として要求される断面性能を満たすことと、かさ上げ材なしに適正なスラブ厚のRCスラブを構築することを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の端部閉塞フラットデッキプレートを用いてRCスラブを構築する際に、端部閉塞フラットデッキプレートを梁間に架け渡した状態を示す側面図である。
【図2】(イ)は図1の閉塞端部近傍の拡大図、(ロ)は(イ)のA−A要部切断端面図である。
【図3】本発明の実施例の端部閉塞フラットデッキプレートの端部閉塞加工前のフラットデッキプレートを示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は断面形状を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の端部閉塞フラットデッキプレートの閉塞端部近傍を示す斜視図である。
【図5】上記端部閉塞フラットデッキプレートを用いて構築した本発明の一実施例の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図6】図5の実施例のRCスラブ構造における梁を合成梁とする場合の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図7】梁の両側にRCスラブを構築する場合で梁を合成梁とする場合の本発明の一実施例の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図8】梁の両側に要求スラブ厚の異なるRCスラブを構築する場合の本発明の一実施例の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図9】本発明の端部閉塞フラットデッキプレートの端部閉塞加工前のフラットデッキプレートの断面形状の他の例を示す図である。
【図10】従来の端部閉塞フラットデッキプレートを用いてRCスラブを構築する際に、端部閉塞フラットデッキプレートを梁間に架け渡した状態を示す側面図である。
【図11】(イ)は図10の閉塞端部近傍の拡大図、(ロ)は(イ)のB−B要部切断端面図である。
【図12】図10の従来の端部閉塞フラットデッキプレートを梁に直接載せて構築した建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図13】図10の従来の端部閉塞フラットデッキプレートを、梁に固定したかさ上げ材に載せて構築した建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図14】合成梁について説明する図である。
【図15】梁の両側にRCスラブを構築する場合で梁を合成梁とする場合に、従来の端部閉塞フラットデッキプレートを梁に直接載せて構築したRCスラブ構造を説明する図である。
【図16】図15において、RCスラブの要求スラブ厚に合わせて合成梁を構築した場合の不都合を説明する図である。
【図17】梁の両側にRCスラブを構築する場合で梁を合成梁とする場合に、従来の端部閉塞フラットデッキプレートを、梁に固定したかさ上げ材に載せて構築した建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた建築構造物のRCスラブ構築方法の実施例を、図1〜図9を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1を用いてRCスラブを構築する際に、複数枚の端部閉塞フラットデッキプレート1を、捨て型枠として梁6間に架け渡して敷き並べた状態を示す側面図、図2(イ)は図1の閉塞端部近傍の拡大図、図2(ロ)は補剛用リブ3の部分の断面図である。
この端部閉塞フラットデッキプレート1は、先に説明した図3のフラットデッキプレート10の長手方向の両方の端部を閉塞したものである。図3の再度の説明は省略する。
【0030】
図1、図2、及び、図4の斜視図に示すように、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1は、図10、図11で説明した従来の端部閉塞フラットデッキプレート1’とは逆に、上面側(平板部2側)が補剛用リブ3の略下面位置まで押し潰されている。すなわち、平板部2を補剛用リブ3の略下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部(以下、単に閉塞端部と言う)1aを備えている。
【0031】
図5は、この端部閉塞フラットデッキプレート(以下、場合により単にフラットデッキプレートと略す)1を用いてRCスラブ15を構築する一実施例を示す。
この実施例は、H形鋼梁6を境界として、片側に適宜構造のスラブ11といわゆるOA床等の二重床12とからなる執務部床13、他側にRCスラブ15とカーペット等の仕上16とからなる廊下等の共用部床17を構築する場合である。18は壁である。
【0032】
事務を行う執務部床13のスラブ11としては、合成スラブ構造、一方向性スラブ構造、RCスラブ構造などの各種のスラブが採用されるが、この実施例では、経済性を重視して、合成スラブ用のデッキプレートを用いて構築した合成スラブ構造を採用する場合を想定している。11aはデッキプレート、11bはデッキプレート上面より上のコンクリート層部分を示す。
RCスラブでは捨て型枠のデッキプレートは剛性を負担しないのでデッキプレート上面より上の鉄筋コンクリート部分dがスラブ厚dとされるが、合成スラブでは合成スラブ用のデッキプレート11aがコンクリートと一体化して引張り剛性を負担するので、デッキプレート11aを含めた厚みaがスラブ厚aとされる。
また、スラブ11の上に快適性、汎用性を考慮し、LAN環境に対応したOA床(すなわち二重床)12を配置している。
一方、廊下やトイレ等の共用部床17には、配管空調等を配慮して、フラットデッキプレートを用いたRCスラブ構造を採用し、仕上16はカーペット敷き等を配置している。
【0033】
この場合、共用部床17の床面17aと執務部床13の床面13aとは同じ高さレベルである必要があるが、図12のように従来の端部閉塞フラットデッキプレート1’を梁6に直接載せてRCスラブ15を構築したのでは、スラブ厚dが過剰に厚い過剰設計となる。
そこで、図示のように、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1を共用部床17のRCスラブ15を構築する捨て型枠としてを用いる。フラットデッキプレート1は図1、図2、図4の態様でスパン両側のH形鋼梁6間に架け渡され、これを捨て型枠としてRCスラブを構築すれば、図5のようなスラブ厚dのかさ上げRCスラブ15が構築される。
このように、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1によれば、かさ上げ材を用いることなく、かさ上げRCスラブを構築することができ、かさ上げ材の材料費及び加工費によりコスト増や、かさ上げ材設置工数及び管理箇所増によるコスト増の問題のない経済設計が実現される。
【0034】
なお、図5の構造の具体的寸法例について説明すると、執務部床13の仕様は図13と同じであり、合成スラブ11のスラブ厚aが145〜165mm、二重床12の高さbが100mm、スラブ厚aと二重床高さbとの合計cが245〜265mmを想定している。
共用部床17については、フラットデッキプレート1として成(せい)hが一般的なフラットデッキプレートの成75mmより高い100mmのものを用いている。RCスラブ15のスラブ厚dが図13と同じく140〜165mm、カーペット敷等の仕上げeが0〜10mmである。
【実施例2】
【0035】
図6は、図5におけるH形鋼梁6を合成梁とした実施例を示す。
すなわち、図5のRCスラブ15及び合成スラブ11を構築する際のコンクリート打設に際して、H形鋼梁(鉄骨梁)6の上面に予め頭付きスタッド22を溶接固定した上で梁直上にもコンクリート23を打設して、合成梁21を同時に構築したものである。
【実施例3】
【0036】
図7は、H形鋼梁6の両側にいずれも、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1を捨て型枠として用いてRCスラブ25を構築する場合で、かつ、H形鋼梁6を合成梁21とする場合の実施例である。
すなわち、H形鋼梁6の両側にいずれも、本発明のフラットデッキプレート1を捨て型枠として用いてRCスラブ25を構築する際のコンクリート打設に際して、H形鋼梁(鉄骨梁)6の上面に予め頭付きスタッド22を溶接固定した上で梁直上にもコンクリート23を打設して、合成梁21を同時にRCスラブ25を構築したものである。図示例ではカーペットなどの仕上げ16を配置している。
図15のように、従来のフラットデッキプレート1’を直接梁6に載せて両側のRCスラブ25を構築したとすると、前述の通り、合成梁21に要求される断面性能に対応する適正なコンクリート厚Kに対して、RCスラブ25のスラブ厚g(g=K)が過剰に厚い過剰設計となるが、図7のように本発明のフラットデッキプレート1を用いてRCスラブ25を構築すると、RCスラブ25のスラブ厚gを適正にすることができ、過剰に厚い過剰設計になることを避けることができる。
また、かさ上げ材を用いることでコスト増になることも避けることができる。
したがって、合成梁21として要求される断面性能を満たすことと、かさ上げ材なしに適正なスラブ厚gのRCスラブ25を構築することを両立させることができる。
【実施例4】
【0037】
図8は、梁6を境界として片側に、重量設備が設置されるなどにより強度上要求されるスラブ厚mが大のスラブ31を備えた第1の床33、他側に、荷重があまりかからず強度上要求されるスラブ厚nが小のRCスラブ35を備えた第2の床37を構築する際に、前記第2の床37のRCスラブ35を、第2の床37の床面37aと第1の床33の床面33aとを同じ高さレベルとなるように構築する場合の実施例である。
図示の第1の床33のスラブ31は合成スラブを想定している。但し、一方向性スラブ構造、あるいは波形の通常のデッキプレートを用いたRCスラブ構造、その他のスラブであってもよい。
第2の床37のRCスラブ35を構築する際の捨て型枠として、上記実施例の端部閉塞フラットデッキプレート1を用いる。
これにより、梁6の上面に対してかさ上げされたRCスラブ35が構築される。
第2の床37のRCスラブを構築する際に、図12の共用部のRCスラブ15のように、従来のフラットデッキプレート1’を用いてRCスラブを構築したのでは、この第2の床37のRCスラブが過剰設計になってしまうが、本発明のフラットデッキプレート1を用いてかさ上げして適性なスラブ厚nのRCスラブ35を構築することで、過剰設計を回避できる。
【実施例5】
【0038】
本発明で用いるフラットデッキプレートにおける補剛用リブの断面形状は、上述の実施例の補剛用リブ3のような断面形状に限らず、同じ中空型でも、中空部3bの形状や大きさが異なるもの、2枚重ね部3aの高さ(上下方向の長さ)が異なるものなど種々の断面形状が可能である。
また、例えば、図9に示したフラットデッキプレート10’の補剛用リブ3’のように、中空部がなく全体が2枚重ね部3a’で、その2枚重ね部3a’がL形をなしている断面形状のものでもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 端部閉塞していないフラットデッキプレート
1 端部閉塞フラットデッキプレート
1a 閉塞端部
2 平板部
3、3’ 補剛用リブ
3a、3a’ 二枚重ね部
3b 中空部
6 梁(鉄骨梁(H形鋼梁))
11 (第1の床13の)スラブ
11a デッキプレート
11b コンクリート層部分
12 (第1の床13の)二重床
13 第1の床(執務部の床)
13a 第1の床の床面
15 (第2の床17の)RCスラブ
16 (第2の床17の)仕上
17 第2の床(共用部の床)
17a 第2の床の床面
18 壁
a 第1の床のスラブ11のスラブ厚
b 二重床12の高さ
c 第1の床のスラブのスラブ厚aと二重床の高さbの合計厚み
d 第2の床のRCスラブ15のスラブ厚
e 第2の床の仕上16の厚み
21 合成梁
22 頭付きスタッド
23 コンクリート
25 (鉄骨梁の両側にRCスラブを構築する場合の)RCスラブ
g (鉄骨梁の両側にRCスラブを構築する場合の)RCスラブ25のスラブ厚
K 合成梁のコンクリート厚
31 (第1の床33の)スラブ
31a デッキプレート
31b コンクリート層部分
33 第1の床
33a 第1の床の床面
35 (第2の床37の)RCスラブ
36 (第2の床37の)仕上
37 第2の床
37a 第2の床の床面
m 第1の床のスラブ31のスラブ厚
n 第2の床のRCスラブ35のスラブ厚
【技術分野】
【0001】
この発明は、長手方向の端部を閉塞した端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた建築構造物のRCスラブ(鉄筋コンクリートスラブ)構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図3に示すように、フラットデッキプレート10は、上面の平板部を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブ3を複数条備えた断面形状で、ロール成形により製造される建築鋼材であり、主として、建築構造物の床スラブ、屋根スラブなどの鉄筋コンクリートスラブ(以下、RCスラブと称す)を構築する際に、捨て型枠として複数枚を敷き並べて用いられる。図示の補剛用リブ3は上面につながる2枚重ね部3aとその下方の三角形の中空部3bを持つ中空型である。なお、中空部のない閉塞型(後述の図9)もある。
このフラットデッキプレート10は、一方の縁部に短幅平坦部2aを備え、他方の縁部にL形に折り曲げた係止片4を備え、平板部2に多数のエンボス5を形成している。なお、他の図ではエンボス5の図示は省略している。
隣接する2つのフラットデッキプレート10同士は、一方のフラットデッキプレート10の係止片4を他方のフラットデッキプレート10の側端の垂直な2枚重ね部3aの隙間に差し込んで連結する。
【0003】
このフラットデッキプレート10は通常、長手方向の両端部を押し潰して閉塞する閉塞加工をして用いる。この端部を閉塞したフラットデッキプレートは一般に端部閉塞フラットデッキプレートと称される。
図10、図11に示すように、従来の端部閉塞フラットデッキプレート1’の閉塞端部(押し潰して閉塞した閉塞を指す)1a’は、図示の通り、補剛用リブ3が上面側(平板部2側)に押し潰されており、両端の閉塞端部1a’を梁6に掛けて捨て型枠として用いる(特許文献1)。図示例の梁6はH形鋼梁(H形鋼による鉄骨梁)である。
端部閉塞フラットデッキプレートは、両端が閉塞されていることで、コンクリート打設時に補剛用リブのスパン方向両端からコンクリートが漏れることが防止される、などの利点を有する。
【0004】
ところで、事務所ビルなどの建築物の最近の傾向としては、経済性、快適性、汎用性を兼ね備えた仕様となるように、用途別の床構造を複数種類用いて設計することが多くなっている。
例えば、図12は、H形鋼梁6を境界として、片側に、適宜構造のスラブ11といわゆるOA床等の二重床12とからなる執務部床13、他側にRCスラブ15とカーペット等の仕上16とからなる廊下、トイレ等の共用部床17を構築する場合を示す。18は壁を示す。
【0005】
事務を行う執務部床13のスラブ11としては、合成スラブ構造、一方向性スラブ構造、RCスラブ構造などの各種のスラブが採用されるが、図示例では、経済性を重視して、合成スラブ用のデッキプレートを用いて構築した合成スラブ構造を採用する場合を想定している。11aはデッキプレート、11bはコンクリート層部分を示す。
また、仕上には快適性、汎用性を考慮し、LAN環境に対応したOA床(すなわち二重床)12を配置している。
なお、合成スラブ用のデッキプレートを含めて、山部と谷部とが並んで波形をなすデッキプレート11の場合には、図示のように、上面側(山面)を下面側(谷面)に押し潰した閉塞端部をもつデッキプレートを用いることが従来より行われている。
前記合成スラブ構造とは、コンクリートに対するズレ・剥離防止機構を設けた合成スラブ用のデッキプレートを用いて施工する構造であり、デッキプレートとコンクリートとが一体化して剛性に寄与する床構造である。一方向性スラブ構造とは、デッキプレートの溝を利用して一方向に配筋する鉄筋コンクリートスラブであり、デッキプレートはスラブ自重を負担する床構造である。
【0006】
一方、廊下やトイレ等の共用部床17には、配管空調等を配慮して、端部閉塞フラットデッキプレート1’を用いたRCスラブ構造15を採用し、仕上16はカーペット敷き等を配置している。この共用部床17にはOA床の採用は、経済的なスラブ構造を設計する観点からみて過剰設計となるため殆ど行われない。
【0007】
この場合、共用部床17の床面17aと執務部床13の床面13aとは同じ高さレベルである必要があるが、図12のように、端部閉塞フラットデッキプレート(以下、場合により単にフラットデッキプレートと略す)1’の閉塞端部1a’を梁6に直接載せてコンクリートを打設したのでは、OA床12のために執務部床13の床面13aが高くなっているので、共用部床17のRCスラブ15のスラブ厚dが過剰に厚くなり、経済性に欠ける。このため、この工法はあまり採用されない。
【0008】
そこで、従来は、共用部床17として、図13のように、剛性上必要なスラブ厚に合わせて、仕上高さから逆算した位置にフラットデッキプレート1’を敷設する工法、すなわち、フラットデッキプレート1’の上面をH形鋼梁6の上面より高い位置にかさ上げするかさ上げ工法を採用しており、そのためにかさ上げ材19として溝形鋼または山形鋼を事前に梁脇に溶接して取り付ける構造としていた。これにより、共用部床17のRCスラブ15が経済設計となる。
【0009】
なお、かさ上げ材19を用いる図13の構造を構築する場合の具体的事例では、執務部床13のスラブ11として合成スラブを採用した場合、例えば次のような寸法範囲での設計が多く採用されている。
執務部床13については、合成スラブ11のスラブ厚aが145〜165mm、二重床12の高さbが100mm、スラブ厚aと二重床高さbとの合計cが245〜265mm、共用部床17については、RCスラブ15のスラブ厚dが140〜165mm、カーペット敷等の仕上げeが0〜10mmである。それらの各寸法の具体的設定に応じてかさ上げ高さfが決まる。
なお、図12において、執務部床13が前記各寸法a、b、cの通りである場合、RCスラブ15のスラブ厚dはc(=245〜265mm)から仕上げ厚e(0〜10mm)を引いた厚みとなり、前述の通りスラブが過剰に厚くなる設計となる。
なお、共用部床17として、経済性に優れた合成スラブ構造でなくRCスラブ構造を採用するのは、前述した配管空調等を配慮してのことである。すなわち、建築物の設計では、共用部床に各種配管を貫通させることが多いが、デッキプレートが強度部材として機能している合成スラブでは、デッキプレートに配管のための貫通穴をあけることは強度を損なうため設計が難しく、各種配管を貫通させる共用部床には合成スラブ構造は採用しずらい。
【0010】
引用文献2は、フラットデッキプレートではないが、建築構造物において、例えば広いスパンと狭いスパンとが隣接していて梁の両側で波高さの異なるデッキプレートが用いられる場合に、波高さの異なるデッキプレートを梁上で接合する接合方法として、波高さの低いデッキプレートを、梁上に載せた仕切り材の上に載せて、波高さの異なるデッキプレートの上面高さを揃える方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第2736587号(特開平6−123154)
【特許文献2】実公昭63−7613の第1図など。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記図13のように、かさ上げ材19を梁に溶接固定してフラットデッキプレート1’をかさ上げする方法は、別部材として必要となるかさ上げ材19の材料費及び加工費のためにコスト増となり、また、かさ上げ材19を溶接固定する作業が煩雑でその工数及び管理箇所増のためにコスト増となる。
また、図12のようにかさ上げ材を用いない場合は、コンクリート量増大のためにコスト増となり、また、それに伴う重量増大に応じて必要となる鉄骨部材のサイズアップのためにコスト増となる。
【0013】
ところで、鉄骨構造物においては、コスト削減の観点から合成梁の設計を行うケースがある。図14に示すように、合成梁21とは、鉄骨梁6上に頭付きスタッド22を配置し、頭付きスタッド22を介して梁直上のコンクリート23を鉄骨梁6の挙動と一体化させることにより、梁構造の断面性能向上を図ったものである。この場合、梁直上のコンクリート厚Kは、その合成梁に要求される断面性能に対応する適正なコンクリート厚と同厚以上とする。なお、梁直上のコンクリート(合成梁を構成するコンクリート)23は、鉄骨梁6の両側の適宜構造のスラブ25を構築する際に行うコンクリート打設により同時に打設される。
【0014】
図15に示すように、鉄骨梁6を境界とする両側にいずれも、従来のフラットデッキプレート1’を鉄骨梁6に直接載せてRCスラブ25を構築する場合で、梁を合成梁21とする場合、合成梁に要求される断面性能に対応する適正なコンクリート厚Kに対して、RCスラブ25のスラブ厚gが過剰に厚くなり、経済性に欠けるというケースがある。この場合、図16のように、RCスラブ25のスラブ厚gを当該RCスラブ25に要求される適正なスラブ厚gにすると、合成梁21ではコンクリート厚Kが不足して合成梁の断面性能が不十分になるため、採用できない。
そこで、RCスラブ25のスラブ厚gを適正厚にすることと、合成梁21のコンクリート厚Kを適正厚にすることとを両立させるために、図17のように、図13のRCスラブと同じくかさ上げ材19でかさ上げしたRCスラブ25とすると、前述のように、かさ上げ材19を用いることに伴うコスト増という問題が生じる。
【0015】
本発明は上記背景のもとになされたもので、かさ上げ材を必要とせずにRCスラブのかさ上げをすることが可能で、経済性に優れたRCスラブを構築することが可能な端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた経済性に優れた建築構造物のRCスラブ構築方法を提供することを目的とし、また、合成梁構造を採用してRCスラブを構築する際に、合成梁として要求される断面性能を満たすことと、RCスラブをかさ上げ材なしに適正なスラブ厚とすることを両立させることが可能な建築構造物のRCスラブ構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決する請求項1の発明の端部閉塞フラットデッキプレートは、上面の平板部を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブを複数条備えたフラットデッキプレートにおける長手方向両端部に、平板部を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、梁を境界として片側に、スラブ上に二重床を備えた第1の床、他側に、RCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1のフラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、梁を境界として片側に第1の床、他側に、設計強度上要求されるスラブ厚が第1の床よりも小のRCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、梁が鉄骨梁である場合に請求項2又は3の建築構造物のRCスラブ構築方法によりRCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、鉄骨梁を境界とする両側にいずれもRCスラブを構築する際に、両側とも請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いることで、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記RCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、
前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする。
【0021】
請求項6の発明の建築構造物のRCスラブ構築方法は、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いてRCスラブを構築することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明の端部閉塞フラットデッキプレートによれば、長手方向の両端部に、平板部を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部を持つ構造であるから、この端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠としてRCスラブを構築した場合、RCスラブが梁上面位置より概ね補剛用リブの高さ分だけかさ上げされる。
このように、かさ上げ材を用いることなく、かさ上げRCスラブを構築することができ、かさ上げ材の材料費及び加工費によりコスト増や、かさ上げ材設置工数及び管理箇所増によるコスト増の問題のない経済設計が実現される。
【0023】
請求項2の発明のRCスラブ構築方法によれば、梁の片側にスラブ上に二重床を備えた第1の床、他側にRCスラブを備えた第2の床を構築する場合で、第2の床と第1の床の床面高さを揃える場合に、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いることで、経済性に優れたRCスラブを構築することが可能となる。
【0024】
請求項3の発明のRCスラブ構築方法によれば、梁の片側に強度上要求されるスラブ厚が大のスラブを備えた第1の床、他側に強度上要求されるスラブ厚が小のRCスラブを備えた第2の床を構築する場合で、第2の床と第1の床の床面高さを揃える場合に、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いることで、経済性に優れたRCスラブを構築することが可能となる。
【0025】
請求項4の発明のRCスラブ構築方法により、請求項2又は3の建築構造物のRCスラブ構築方法を、梁が鉄骨梁で合成梁を構築する場合に適用することができる。
【0026】
請求項5の発明のRCスラブ構築方法によれば、合成梁の両側にいずれもRCスラブを構築する場合に、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いることで、合成梁として要求される断面性能を満たすことと、かさ上げ材なしに適正なスラブ厚のRCスラブを構築することを両立させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の端部閉塞フラットデッキプレートを用いてRCスラブを構築する際に、端部閉塞フラットデッキプレートを梁間に架け渡した状態を示す側面図である。
【図2】(イ)は図1の閉塞端部近傍の拡大図、(ロ)は(イ)のA−A要部切断端面図である。
【図3】本発明の実施例の端部閉塞フラットデッキプレートの端部閉塞加工前のフラットデッキプレートを示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は断面形状を示す図である。
【図4】本発明の一実施例の端部閉塞フラットデッキプレートの閉塞端部近傍を示す斜視図である。
【図5】上記端部閉塞フラットデッキプレートを用いて構築した本発明の一実施例の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図6】図5の実施例のRCスラブ構造における梁を合成梁とする場合の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図7】梁の両側にRCスラブを構築する場合で梁を合成梁とする場合の本発明の一実施例の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図8】梁の両側に要求スラブ厚の異なるRCスラブを構築する場合の本発明の一実施例の建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図9】本発明の端部閉塞フラットデッキプレートの端部閉塞加工前のフラットデッキプレートの断面形状の他の例を示す図である。
【図10】従来の端部閉塞フラットデッキプレートを用いてRCスラブを構築する際に、端部閉塞フラットデッキプレートを梁間に架け渡した状態を示す側面図である。
【図11】(イ)は図10の閉塞端部近傍の拡大図、(ロ)は(イ)のB−B要部切断端面図である。
【図12】図10の従来の端部閉塞フラットデッキプレートを梁に直接載せて構築した建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図13】図10の従来の端部閉塞フラットデッキプレートを、梁に固定したかさ上げ材に載せて構築した建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【図14】合成梁について説明する図である。
【図15】梁の両側にRCスラブを構築する場合で梁を合成梁とする場合に、従来の端部閉塞フラットデッキプレートを梁に直接載せて構築したRCスラブ構造を説明する図である。
【図16】図15において、RCスラブの要求スラブ厚に合わせて合成梁を構築した場合の不都合を説明する図である。
【図17】梁の両側にRCスラブを構築する場合で梁を合成梁とする場合に、従来の端部閉塞フラットデッキプレートを、梁に固定したかさ上げ材に載せて構築した建築構造物のRCスラブ構築方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート、及びこれを用いた建築構造物のRCスラブ構築方法の実施例を、図1〜図9を参照して説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1を用いてRCスラブを構築する際に、複数枚の端部閉塞フラットデッキプレート1を、捨て型枠として梁6間に架け渡して敷き並べた状態を示す側面図、図2(イ)は図1の閉塞端部近傍の拡大図、図2(ロ)は補剛用リブ3の部分の断面図である。
この端部閉塞フラットデッキプレート1は、先に説明した図3のフラットデッキプレート10の長手方向の両方の端部を閉塞したものである。図3の再度の説明は省略する。
【0030】
図1、図2、及び、図4の斜視図に示すように、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1は、図10、図11で説明した従来の端部閉塞フラットデッキプレート1’とは逆に、上面側(平板部2側)が補剛用リブ3の略下面位置まで押し潰されている。すなわち、平板部2を補剛用リブ3の略下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部(以下、単に閉塞端部と言う)1aを備えている。
【0031】
図5は、この端部閉塞フラットデッキプレート(以下、場合により単にフラットデッキプレートと略す)1を用いてRCスラブ15を構築する一実施例を示す。
この実施例は、H形鋼梁6を境界として、片側に適宜構造のスラブ11といわゆるOA床等の二重床12とからなる執務部床13、他側にRCスラブ15とカーペット等の仕上16とからなる廊下等の共用部床17を構築する場合である。18は壁である。
【0032】
事務を行う執務部床13のスラブ11としては、合成スラブ構造、一方向性スラブ構造、RCスラブ構造などの各種のスラブが採用されるが、この実施例では、経済性を重視して、合成スラブ用のデッキプレートを用いて構築した合成スラブ構造を採用する場合を想定している。11aはデッキプレート、11bはデッキプレート上面より上のコンクリート層部分を示す。
RCスラブでは捨て型枠のデッキプレートは剛性を負担しないのでデッキプレート上面より上の鉄筋コンクリート部分dがスラブ厚dとされるが、合成スラブでは合成スラブ用のデッキプレート11aがコンクリートと一体化して引張り剛性を負担するので、デッキプレート11aを含めた厚みaがスラブ厚aとされる。
また、スラブ11の上に快適性、汎用性を考慮し、LAN環境に対応したOA床(すなわち二重床)12を配置している。
一方、廊下やトイレ等の共用部床17には、配管空調等を配慮して、フラットデッキプレートを用いたRCスラブ構造を採用し、仕上16はカーペット敷き等を配置している。
【0033】
この場合、共用部床17の床面17aと執務部床13の床面13aとは同じ高さレベルである必要があるが、図12のように従来の端部閉塞フラットデッキプレート1’を梁6に直接載せてRCスラブ15を構築したのでは、スラブ厚dが過剰に厚い過剰設計となる。
そこで、図示のように、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1を共用部床17のRCスラブ15を構築する捨て型枠としてを用いる。フラットデッキプレート1は図1、図2、図4の態様でスパン両側のH形鋼梁6間に架け渡され、これを捨て型枠としてRCスラブを構築すれば、図5のようなスラブ厚dのかさ上げRCスラブ15が構築される。
このように、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1によれば、かさ上げ材を用いることなく、かさ上げRCスラブを構築することができ、かさ上げ材の材料費及び加工費によりコスト増や、かさ上げ材設置工数及び管理箇所増によるコスト増の問題のない経済設計が実現される。
【0034】
なお、図5の構造の具体的寸法例について説明すると、執務部床13の仕様は図13と同じであり、合成スラブ11のスラブ厚aが145〜165mm、二重床12の高さbが100mm、スラブ厚aと二重床高さbとの合計cが245〜265mmを想定している。
共用部床17については、フラットデッキプレート1として成(せい)hが一般的なフラットデッキプレートの成75mmより高い100mmのものを用いている。RCスラブ15のスラブ厚dが図13と同じく140〜165mm、カーペット敷等の仕上げeが0〜10mmである。
【実施例2】
【0035】
図6は、図5におけるH形鋼梁6を合成梁とした実施例を示す。
すなわち、図5のRCスラブ15及び合成スラブ11を構築する際のコンクリート打設に際して、H形鋼梁(鉄骨梁)6の上面に予め頭付きスタッド22を溶接固定した上で梁直上にもコンクリート23を打設して、合成梁21を同時に構築したものである。
【実施例3】
【0036】
図7は、H形鋼梁6の両側にいずれも、本発明の端部閉塞フラットデッキプレート1を捨て型枠として用いてRCスラブ25を構築する場合で、かつ、H形鋼梁6を合成梁21とする場合の実施例である。
すなわち、H形鋼梁6の両側にいずれも、本発明のフラットデッキプレート1を捨て型枠として用いてRCスラブ25を構築する際のコンクリート打設に際して、H形鋼梁(鉄骨梁)6の上面に予め頭付きスタッド22を溶接固定した上で梁直上にもコンクリート23を打設して、合成梁21を同時にRCスラブ25を構築したものである。図示例ではカーペットなどの仕上げ16を配置している。
図15のように、従来のフラットデッキプレート1’を直接梁6に載せて両側のRCスラブ25を構築したとすると、前述の通り、合成梁21に要求される断面性能に対応する適正なコンクリート厚Kに対して、RCスラブ25のスラブ厚g(g=K)が過剰に厚い過剰設計となるが、図7のように本発明のフラットデッキプレート1を用いてRCスラブ25を構築すると、RCスラブ25のスラブ厚gを適正にすることができ、過剰に厚い過剰設計になることを避けることができる。
また、かさ上げ材を用いることでコスト増になることも避けることができる。
したがって、合成梁21として要求される断面性能を満たすことと、かさ上げ材なしに適正なスラブ厚gのRCスラブ25を構築することを両立させることができる。
【実施例4】
【0037】
図8は、梁6を境界として片側に、重量設備が設置されるなどにより強度上要求されるスラブ厚mが大のスラブ31を備えた第1の床33、他側に、荷重があまりかからず強度上要求されるスラブ厚nが小のRCスラブ35を備えた第2の床37を構築する際に、前記第2の床37のRCスラブ35を、第2の床37の床面37aと第1の床33の床面33aとを同じ高さレベルとなるように構築する場合の実施例である。
図示の第1の床33のスラブ31は合成スラブを想定している。但し、一方向性スラブ構造、あるいは波形の通常のデッキプレートを用いたRCスラブ構造、その他のスラブであってもよい。
第2の床37のRCスラブ35を構築する際の捨て型枠として、上記実施例の端部閉塞フラットデッキプレート1を用いる。
これにより、梁6の上面に対してかさ上げされたRCスラブ35が構築される。
第2の床37のRCスラブを構築する際に、図12の共用部のRCスラブ15のように、従来のフラットデッキプレート1’を用いてRCスラブを構築したのでは、この第2の床37のRCスラブが過剰設計になってしまうが、本発明のフラットデッキプレート1を用いてかさ上げして適性なスラブ厚nのRCスラブ35を構築することで、過剰設計を回避できる。
【実施例5】
【0038】
本発明で用いるフラットデッキプレートにおける補剛用リブの断面形状は、上述の実施例の補剛用リブ3のような断面形状に限らず、同じ中空型でも、中空部3bの形状や大きさが異なるもの、2枚重ね部3aの高さ(上下方向の長さ)が異なるものなど種々の断面形状が可能である。
また、例えば、図9に示したフラットデッキプレート10’の補剛用リブ3’のように、中空部がなく全体が2枚重ね部3a’で、その2枚重ね部3a’がL形をなしている断面形状のものでもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 端部閉塞していないフラットデッキプレート
1 端部閉塞フラットデッキプレート
1a 閉塞端部
2 平板部
3、3’ 補剛用リブ
3a、3a’ 二枚重ね部
3b 中空部
6 梁(鉄骨梁(H形鋼梁))
11 (第1の床13の)スラブ
11a デッキプレート
11b コンクリート層部分
12 (第1の床13の)二重床
13 第1の床(執務部の床)
13a 第1の床の床面
15 (第2の床17の)RCスラブ
16 (第2の床17の)仕上
17 第2の床(共用部の床)
17a 第2の床の床面
18 壁
a 第1の床のスラブ11のスラブ厚
b 二重床12の高さ
c 第1の床のスラブのスラブ厚aと二重床の高さbの合計厚み
d 第2の床のRCスラブ15のスラブ厚
e 第2の床の仕上16の厚み
21 合成梁
22 頭付きスタッド
23 コンクリート
25 (鉄骨梁の両側にRCスラブを構築する場合の)RCスラブ
g (鉄骨梁の両側にRCスラブを構築する場合の)RCスラブ25のスラブ厚
K 合成梁のコンクリート厚
31 (第1の床33の)スラブ
31a デッキプレート
31b コンクリート層部分
33 第1の床
33a 第1の床の床面
35 (第2の床37の)RCスラブ
36 (第2の床37の)仕上
37 第2の床
37a 第2の床の床面
m 第1の床のスラブ31のスラブ厚
n 第2の床のRCスラブ35のスラブ厚
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の平板部を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブを複数条備えたフラットデッキプレートにおける長手方向両端部に、平板部を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部を備えたことを特徴とする端部閉塞フラットデッキプレート。
【請求項2】
梁を境界として片側に、スラブ上に二重床を備えた第1の床、他側に、RCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1のフラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項3】
梁を境界として片側に、第1の床、他側に、設計強度上要求されるスラブ厚が第1の床よりも小のRCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項4】
梁が鉄骨梁である場合に請求項2又は3の建築構造物のRCスラブ構築方法によりRCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項5】
鉄骨梁を境界とする両側にいずれもRCスラブを構築する際に、両側とも請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いることで、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記RCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、
前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項6】
請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いてRCスラブを構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項1】
上面の平板部を長さ方向にわたって下方に折り曲げて形成された補剛用リブを複数条備えたフラットデッキプレートにおける長手方向両端部に、平板部を補剛用リブ下面位置まで押し潰してなるリブ下面位置閉塞端部を備えたことを特徴とする端部閉塞フラットデッキプレート。
【請求項2】
梁を境界として片側に、スラブ上に二重床を備えた第1の床、他側に、RCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1のフラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項3】
梁を境界として片側に、第1の床、他側に、設計強度上要求されるスラブ厚が第1の床よりも小のRCスラブを備えた第2の床を構築する際に、前記第2の床のRCスラブを、第2の床が第1の床の床面高さと同じ床面高さとなるように構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記第2の床のRCスラブを構築する際の捨て型枠として、請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを用いて、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項4】
梁が鉄骨梁である場合に請求項2又は3の建築構造物のRCスラブ構築方法によりRCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項5】
鉄骨梁を境界とする両側にいずれもRCスラブを構築する際に、両側とも請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いることで、梁上面に対してかさ上げされたRCスラブを構築する建築構造物のRCスラブ構築方法であって、
前記RCスラブを構築する際のコンクリート打設に際して、
前記鉄骨梁上面に予め頭付きスタッドを溶接固定した上で鉄骨梁直上にもコンクリートを打設して合成梁を同時に構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【請求項6】
請求項1の端部閉塞フラットデッキプレートを捨て型枠として用いてRCスラブを構築することを特徴とする建築構造物のRCスラブ構築方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−26920(P2011−26920A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176417(P2009−176417)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
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