説明

競合に基づく上りアクセス方法、装置およびシステム

【課題】データパケットの伝送遅延を効果的に低減する、競合に基づく上りアクセス方法、装置およびシステムを提供する。
【解決手段】該方法は、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、各上りアクセスモードに対応するインデックスを作成し、CB−RNTIと、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードとを決定し、基地局が、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知し、UEが、CB−RNTIにより、下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、上りアクセスモードのインデックスに基づいて自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信技術に関し、特に、競合に基づく上りアクセス方法、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー移動電話は人々の通信に極めて大きな便利さをもたらし、第2世代グローバル移動通信システム(GSM:Global System for Mobile Communication)はデジタル通信技術を採用して、移動通信の通話品質をさらに向上させる。第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)は、移動通信分野での重要な組織として、第3世代移動通信技術(3G:The Third Generation)の標準化の進展を大幅に促進し、広帯域符号分割多元接続(WCDMA:Wide Code Division Multiple Access)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:High Speed Downlink Packet Access)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA:High Speed Uplink Packet Access)などを含む一連の通信システム規格を制定した。
【0003】
広帯域アクセス技術の挑戦に対処し、かつ、増加しつつある新たなサービスの需要を満たすために、3GPPは2004年末から3G長期的な進化(LTE:Long Term Evolution)技術の標準化作業を開始したことで、スペクトル効率をさらに向上させ、セル端ユーザの性能を改善し、システム遅延を低下させ、高速移動ユーザに更なる高速のアクセスサービスを提供することなどを図る。
【0004】
ユーザ体験を向上させるために、3GPP標準では、ユーザ機器(UE)がドーマント(dormant)状態からアクティブ(active)状態に移行する遅延が10ミリ秒より小さいことが要求されるが、従来のUEの上りアクセス方法では、この要求を満たすことができない。そのため、競合に基づく上りアクセス方法が提案されている。図1に示すように、この方法は主に以下のようなステップを含む。
【0005】
ステップ101で、競合アクセス用の識別子(CB−RNTI)を決定する。
【0006】
本ステップは、以下の2種類の方式により実現することができる。
【0007】
方式1として、UEが基地局にアクセスするとき、基地局は、例えば無線リソース制御(RRC)シグナリングを介して、使用されるCB−RNTIをUEに通知する。
【0008】
方式2として、CB−RNTIを予め設定し、基地局およびUEは、予め設定されたCB−RNTIを用いる。このような方式では、基地局とUEとの間はシグナリングをやりとりする必要がない。
【0009】
この方法では、CB−RNTIは、基地局が下り制御チャネル(PDCCH)で送信した競合アクセス許可シグナリングを識別するための識別子であり、UEは、この識別子を用いて、PDCCHでの競合アクセス許可シグナリングを監視する。
【0010】
ステップ102で、上りに空きリソースがあるとき、基地局は、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、上り空きリソースの位置、大きさ、およびUEが使用する上り参照信号(RS:Reference Signal)の循環シフト値をUEに通知する。
【0011】
ここで、基地局は、競合アクセス許可シグナリングにおける循環シフトフィルドによって、上り参照信号の循環シフト値を付ける。
【0012】
ステップ103で、UEは、CB−RNTIにより、PDCCHでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、監視された競合アクセス許可シグナリングに付けられた、上り参照信号の循環シフト値に基づいて、上り参照信号シーケンスを決定し、上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の方法によれば、UEが比較的迅速な上りアクセスを実現することができるが、複数のUEがデータを同時に送信しようとする場合、データパケットの衝突が発生するおそれがある。その原因として、上記の方法では、基地局から送信された競合アクセス許可シグナリングにおけるチャネル推定用の上り参照信号の循環シフト値は、一意に指定されるものであり、即ち、UEが上りアクセス過程で使用できる上り参照信号は、一意に決定されるものであり、そうすると、複数のUEがデータを同時に送信しようとする場合、これらのUEは同じ上り参照信号を使用することになり、この場合で、上りデータパケットの衝突が発生する。衝突が発生する上りデータパケットはいずれも同じ上り参照信号を使用するため、基地局は、異なるUEの上りチャネルに対する推定を完成することができなくなり、複数のユーザのデータパケットの検出を同時に行うことができない。このとき、これらのUEは、衝突が発生するデータパケットを再送する必要がある。これにより、データパケットの伝送遅延を大幅に増加させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記に鑑みてなされて、本発明の実施例は、データパケットの伝送遅延を効果的に低減するために、競合に基づく上りアクセス方法およびシステムを提供している。
【0015】
本発明の実施例に係る競合に基づく上りアクセス方法は、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成し、上りに空きリソースがあるとき、競合アクセス用の識別子CB−RNTIと、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードとを決定し、基地局が、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知し、UEが、CB−RNTIにより、下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、競合アクセス許可シグナリングに付けられた、上りアクセスモードに対応するインデックスに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定する、ことを含む。
【0016】
ここで、前記UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成することは、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを、基地局とUEとの両方に予め記憶しておく、ことを含み、または、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルを、基地局とUEとの両方に予め記憶しておき、基地局が、下り制御シグナリングを介して、係る上りアクセスに前記複数のテーブルのうちのいずれを使用するかをUEに通知する、ことを含み、または、基地局が、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを定義し、下り制御シグナリングを介して、自局で定義された前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスをUEに通知する、ことを含む。
【0017】
ここで、前記上りアクセスモードには、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値により識別される、UEの1つの上りアクセスモード、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値によって区分される、UEの複数の上りアクセスモード、UEの上りアクセスに使用されるサブバンド/タイムスロットにより識別される、UEの1つの上りアクセスモード、UEの上りアクセスに使用されるサブバンド/タイムスロットによって区分される、UEの複数の上りアクセスモード、またはUEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値とサブバンド/タイムスロットとによって区分される、UEの複数の上りアクセスモードが含まれる。
【0018】
前記上りアクセスモードが、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値によって区分される、UEの複数の上りアクセスモードである場合、前記UEの複数の上りアクセスモードを区分する複数の上り参照信号の循環シフト値の間は最大の距離を有する。一方、前記上りアクセスモードが、サブバンドによって区分される、UEの複数の上りアクセスモードである場合、前記UEの複数の上りアクセスモードを区分する複数のサブバンドのバンド幅が同じであり、または同じではない。
【0019】
前記UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知することは、競合アクセス許可シグナリングにおける上り参照信号の循環シフトフィルドによって、前記インデックスを付ける、ことを含む。
【0020】
前記係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定することは、トラフィックロード、衝突確率、基地局の受信アンテナ数、上り空きリソース数、およびユーザのサービス種別のうちの1つまたは任意の組み合わせに基づいて、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する、ことを含む。
【0021】
自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定した後に、該方法は、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードではアクセス機会を1つのみ提供する場合、UEが、基地局で決定された前記上りアクセスモードに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値を決定し、競合アクセス許可シグナリングにより指示された上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングし、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードではアクセス機会を複数提供する場合、UEが、前記上りアクセスモードで定義された上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドの中から、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドを選択してから、競合アクセス許可シグナリングにより指示された上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングする、ことをさらに含む。
【0022】
上記方法は、基地局が、自局で決定された、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードに基づいて、1つまたは複数の上りチャネルのチャネル推定およびデータ検出を行い、データ検出の結果によって、データパケットの衝突確率情報を得る、ことをさらに含む。
【0023】
本発明の実施例に係る基地局は、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成する上りアクセスモード決定手段と、上りに空きリソースがあるとき、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する上りアクセスモード選択手段と、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知する競合アクセス許可手段と、を備える。
【0024】
ここで、前記上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを含む。または、前記上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルと、前記複数のテーブルの中から、係る上りアクセスに使用されるテーブルを決定する上りアクセスモード決定モジュールと、係る上りアクセスに使用されるテーブルをUEに通知する上りアクセスモード通知モジュールと、を含む。または、前記上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを定義する上りアクセスモード定義モジュールと、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスをUEに通知する上りアクセスモード通知モジュールと、を含む。
【0025】
前記上りアクセスモード選択手段は、トラフィックロード、衝突確率、基地局の受信アンテナ数、ユーザのサービス種別、および上り空きリソース数のうちの1つまたは任意の組み合わせに基づいて、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する。
【0026】
前記基地局は、決定された、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードに基づいて、1つまたは複数の上りチャネルのチャネル推定およびデータ検出を行い、データ検出の結果によって、データパケットの衝突確率情報を得るデータ検出手段、をさらに備える。
【0027】
本発明の実施例に係るUEは、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記憶する上りアクセスモード記憶手段と、CB−RNTIにより下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、競合アクセス許可シグナリングに付けられた上りアクセスモードに対応するインデックスに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定する競合アクセス許可監視手段と、を備える。
【0028】
ここで、前記上りアクセスモード記憶手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを含む。または、前記上りアクセスモード記憶手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルと、基地局の通知に基づいて、前記複数のテーブルの中から、係る上りアクセスに使用されるテーブルを決定する上りアクセスモード決定モジュールと、を含む。または、前記上りアクセスモード記憶手段は、基地局から通知された前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを受信して記憶する。
【0029】
また、本発明の実施例は、前記基地局とUEとを備える上りアクセスシステムを開示している。
【発明の効果】
【0030】
ここからわかるように、本発明は、明示的な方式で、一回のみの許可によりUEに1つまたは複数の上りアクセス機会を提供することができ、基地局は、下り制御チャネルの共用検索空間容量の制限を受けずに、複数のUEの上りデータパケットを同時に検出して受信することができる。このように、データパケットの伝送遅延を大幅に低減し、衝突が発生しても、UEの上りアクセスの性能を大幅に改善することができる。次に、基地局は、UEの上りアクセスモードを決定するために、自局のアンテナ状況、自局の空きリソースの多さ、および上りアクセスデータパケットの衝突などの要因に基づいて、柔軟にパラメータ調整を自己適応的に行うことができ、最適なチャネル推定性能を得て、計算複雑度を低減することができる。また、UEが選択可能な、上りアクセスモードを設計することにより、最適なチャネル推定性能を得ることができ、データ検出の性能を向上させることができる。最後に、明示的な通知方式で、基地局はブラインド検出を行う必要がないため、基地局の複雑度に対する要求は高くない。なお、明示的な通知方式は、異なるアンテナ配置を有する基地局に柔軟に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】競合に基づく従来の上りアクセス方法のフローチャートである。
【図2】本発明の実施例に係る競合に基づく上りアクセス方法のフローチャートである。
【図3】本発明の実施例に係る基地局の内部構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係るUEの内部構成を示す図である。
【図5(a)】競合に基づく上りアクセスの従来案と本発明案との遅延性能を示すグラフである。
【図5(b)】競合に基づく上りアクセスの従来案と本発明案との遅延性能を示すグラフである。
【図6(a)】競合に基づく上りアクセスの従来案を採用するとき、上りアクセスの遅延分布性能を示すグラフである。
【図6(b)】本発明案を採用して、一回の許可でUEに2つの上りアクセス機会を提供するときの遅延分布性能を示すグラフである。
【図6(c)】本発明案を採用して、一回の許可でUEに8つの上りアクセス機会を提供するときの遅延分布性能を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的、解決手段およびメリットをさらに明確にするために、以下、図面を参照して実施例を挙げながら、本発明をさらに詳しく説明する。
【0033】
複数のUEの上りアクセス過程で出現可能な上りデータパケットの衝突の課題を解決するために、本発明の実施例は、競合に基づく上りアクセス方法を提供していいる。該方法は、明示的な方式で、一回の許可によりUEに1つまたは複数の上りアクセス機会を提供することができ、複数のUEがデータを同時に送信しようとする場合でUEの上りアクセスの成功率を向上させ、さらに、UEの上りアクセスの性能を向上させる。図2は、本実施例に係る競合に基づく上りアクセス方法のフローチャートを示す。図2に示すように、該方法は主に以下のようなステップを含む。
【0034】
ステップ201で、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成する。
【0035】
本実施例では、上記の上りアクセスモードは、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値により識別される、UEの1つの上りアクセスモード、またはUEの上りアクセスに使用される上り参照信号の複数の循環シフト値によって区分される、UEの複数の上りアクセスモード、あるいは、UEの上りアクセスに使用されるサブバンド(Subband、即ち若干のサブキャリアの集合)/タイムスロットにより識別される、UEの1つの上りアクセスモード、または複数のサブバンド/タイムスロットによって区分される、UEの複数の上りアクセスモード、あるいは、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値とサブバンド/タイムスロットとによって区分される、UEの複数の上りアクセスモードを指す。さらに、上記の上りアクセスモードには、ほかの内容が含まれるようにしてもよい。説明すべきところとして、本実施例では、各上りアクセスモードはいずれも、1つまたは複数のアクセス機会を定義するものであり、即ち、1つまたは複数のUEの同時アクセスをサポートすることができる。例えば、各上りアクセスモードそれぞれは、1つまたは複数の上り参照信号の循環シフト値を含むことができ、複数の上り参照信号の循環シフト値が含まれる場合、UEは、その中の1つを任意に選択して、自局の上り参照信号の循環シフト値とすることができる。あるいは、各上りアクセスモードそれぞれは、1つまたは複数のサブバンドを含むことができ、複数のサブバンドが含まれる場合、UEは、その中の1つを任意に選択して、自局の上りアクセスに使用されるサブバンドとすることができる。あるいは、各上りアクセスモードそれぞれは、1つまたは複数の上り参照信号の循環シフト値とサブバンドとの組み合わせを含むことができ、複数の上り参照信号の循環シフト値とサブバンドとの組み合わせが含まれる場合、UEは、その中の1つの組み合わせを任意に選択して、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値およびサブバンドとすることができる。説明すべきところとして、上りアクセスモードに複数の上り参照信号の循環シフト値が含まれる場合、最適なチャネル推定性能を得るために、複数の上り参照信号の循環シフト値の間は最大の距離を有することが好ましい。一方、上りアクセスモードに複数のサブバンドが含まれる場合、複数のサブバンドのバンド幅は、同じでもよいし、同じでなくてもよい。
【0036】
上りアクセスモードは長さnビット(bit)のインデックスを使用すると、ユーザが選択可能な、最大2種の上りアクセスモードを決定できることが知られている。例えば、長さ3bitのインデックスを使用すると、ユーザが選択可能な、最大8種の上りアクセスモードを決定することができる。もちろん、上りアクセスモードには、ほかの内容、例えば、サブバンドを分割して得られた1つまたは複数のタイムスロットも含まれる。複数のタイムスロットが含まれる場合、UEは、その中の1つのタイムスロットを任意に選択して、自局の上りアクセスのタイムスロットとすることができる。
【0037】
また、UEの上りアクセス時の衝突状況に基づいて、上りアクセスモードを動的に調整してUEの上りアクセスの性能を向上させるために、本ステップで決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードは、異なるサポート可能な最大ユーザ数に対応するものであることが好ましい。このように、衝突の確率が比較的に小さいとき、サポート可能なユーザ数が比較的に少ない上りアクセスモードを選択することができ、衝突の確率が比較的に大きいとき、サポート可能なユーザ数が比較的に多い上りアクセスモードを選択することができる。
【0038】
下記の表1〜5は、本ステップで決定された上りアクセスモード、そのインデックス、およびサポート可能な最大ユーザ数の5つの例をそれぞれ示す。表1〜5に示す例において、インデックスの長さはいずれも3bitである。
【0039】
【表1】

【0040】
上記の表1からわかるように、決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードは、合計8種があり、それぞれ最大1つ〜8つのUEの同時アクセスをサポートすることができる。そして、本例において、各上りアクセスモードが定義するのは、1つまたは複数のUEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値α12345678である。
【0041】
【表2】

【0042】
上記の表2からわかるように、決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードは、合計8種があり、それぞれ最大1つ、2つ、3つ、4つおよび8つのUEをサポートすることができる。そして、本例において、各上りアクセスモードが定義するのは、1つまたは複数のサブバンドである。
【0043】
【表3】

【0044】
上記の表3からわかるように、決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードは、合計8種があり、それぞれ最大1つ、2つ、4つ、8つおよび16個のUEをサポートすることができる。そして、本例において、上りアクセスモードが定義するのは、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値α12345678とサブバンドとの組み合わせである。
【0045】
【表4】

【0046】
上記の表4からわかるように、決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードは、合計8種があり、それぞれ最大4つ、6つ、8つ、12個、16個および24個のUEをサポートすることができる。そして、本例において、上りアクセスモードが定義するのは、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値α12345678とサブバンドとの組み合わせである。
【0047】
【表5】

【0048】
上記の表5からわかるように、決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードは、合計8種があり、それぞれ最大1つ、2つ、4つ、8つおよび16個のUEをサポートすることができる。そして、本例において、上りアクセスモードが定義するのは、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値α12345678とサブバンドとの組み合わせである。例えば、このフィルドの値が101であるとき、4つのアクセス機会があることを表す。上り空きリソースが2つのサブバンドに分けられ、各サブバンドでマルチアンテナ信号処理を用いて2つのユーザをサポートする。α1234は、参照信号の循環シフトフィルドの値を表す。循環シフト値の間の最大の差は12であると、|α1−α2|=6,|α3−α4|=6のように設定し、即ち、α1とα2との間、α3とα4との間は最大の距離を有するようにすることにより、最適なチャネル推定性能を得ることができる。
【0049】
説明すべきところとして、上記の表1〜表5に示されたのは、上記のステップ201で決定されたUEが選択可能な上りアクセスモードの具体例にすぎず、実際の応用では、実際の状況に応じて、存在可能な各種の上りアクセスモードの中から一部を選択して、UEが選択可能な上りアクセスモードとするようにしてもよい。なお、上りアクセスモードを決定する過程において、該上りアクセスモードに複数の上り参照信号の循環シフト値が含まれる場合、これらの循環シフト値の間の差を設計することにより、最適なチャネル推定性能を得ることができる(例えば、2つの循環シフト値の間の差が大きいほど、チャネル推定性能がよい)。該上りアクセスモードに複数のサブバンドが含まれる場合、これらの複数のサブバンドのバンド幅の大きさは、同じでもよいし、同じでなくてもよい。このように、セルにおけるUEは異なるサービス種別を有するとき、最適な性能を得ることができる。
【0050】
本実施例では、上り参照信号の循環シフト値の数の増加、サブバンド数の増加、または、上り参照信号の循環シフト値の数とサブバンド数との同時増加により、上りアクセスモードがサポート可能な最大ユーザ数を増加させることができる。
【0051】
また、説明すべきところとして、受信アンテナ数の異なりによって、異なる基地局がサポートできる上りアクセスモードも異なり、即ち、若干の基地局にとって、若干の上りアクセスモードをサポートできない。従って、本ステップでは、基地局は、自局の受信アンテナ数に基づいて、自局がサポートできる上りアクセスモードの中から、UEが選択可能な上りアクセスモードを決定する必要があることも可能である。
【0052】
ステップ202で、上りに空きリソースがあるとき、競合アクセス用の識別子(CB−RNTI)を決定する。
【0053】
上記のように、本ステップは、以下の2種類の方式により実現することができる。方式1として、UEが基地局にアクセスするとき、基地局は、例えばRRCシグナリングを介して、使用されるCB−RNTIをUEに通知する。方式2として、CB−RNTIを予め設定し、基地局およびUEは、予め設定されたCB−RNTIを用いる。
【0054】
本発明では、CB−RNTIは、基地局がPDCCHで送信した競合アクセス許可シグナリングを識別するための識別子であり、UEは、この識別子を用いて、PDCCHでの競合アクセス許可シグナリングを監視する。
【0055】
ステップ203で、基地局は、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する。
【0056】
本ステップでは、基地局は、下記のようなパラメータの1つまたは任意の組み合わせに基づいて、係る上りアクセにUEが使用する上りアクセスモードを決定するようにしてよい。これらのパラメータは以下のものを含む。
【0057】
(1)トラフィックロード(Traffic Load):トラフィックロードが比較的に大きいとき、アクセスしようとするUEが比較的に多いことを表し、このとき、上りアクセスの衝突確率が比較的に大きい。従って、サポート可能なユーザ数を向上させるように、比較的に多いユーザ数をサポートできる上りアクセスモードを用いる必要がある。
【0058】
(2)衝突確率:通常の場合で、基地局は、この前の上りアクセス時の衝突確率情報を記録し、上りアクセス時の衝突確率が増大していることを発見すると、サポート可能なユーザ数を向上させるように、比較的に多いユーザ数をサポートできる上りアクセスモードを用いる必要がある。
【0059】
(3)基地局の受信アンテナ数:若干の受信アンテナ数で、基地局は、若干の上りアクセスモードをサポートできない。従って、本ステップでは、基地局は、自局の受信アンテナ数に基づいて、自局がサポートできる上りアクセスモードを選択する必要がある。
【0060】
(4)ユーザのサービス種別:サブバンドのバンド幅の大きさは、ユーザのサービス種別によって決まる。例えば、音声やWebページ閲覧などのサービスについて、バンド幅が比較的に小さいサブバンドを使用して上りアクセスを行うことができるが、映像やダウンロードなどのサービスについて、バンド幅が比較的に大きいサブバンドを使用して上りアクセスを行うことができる。複数の種別のサービスがあるとき、バンド幅が異なる複数のサブバンドが含まれる上りアクセスモードを用いることができる。
【0061】
(5)上り空きリソース数:選択される上りアクセスモードに含まれるサブバンドの数は、上り空きリソースの多さとサブバンドのバンド幅の大きさとによって決まる。
【0062】
ステップ204で、基地局は、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに、使用される上りアクセスモードのインデックスを通知する。
【0063】
本実施例では、基地局は、競合アクセス許可シグナリングにおける循環シフトフィルドに、UEが使用する上りアクセスモードのインデックスを付けるようにしてよい。従来の標準の規定によれば、競合アクセス許可シグナリングにおける循環シフトフィルドの長さが3bitであるため、本実施例では、決定されたUEが使用する上りアクセスモードのインデックスも3bitであることが好ましい。このように、従来の標準と互換性があり、新しいシグナリングを追加する必要がなく、UE制御シグナリングのブラインド検出の複雑度を増加させることがない。もちろん、より多くの上りアクセスモードを定義する必要があると、UEの上りアクセスのニーズをよりよく満たすために、競合アクセス許可シグナリングにおける循環シフトフィルドの長さを変更するようにしてもよい。
【0064】
ステップ205で、UEは、CB−RNTIにより、下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、競合アクセス許可シグナリングに付けられた、上りアクセスモードのインデックスに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定する。
【0065】
自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定した後に、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードではアクセス機会を1つのみ提供する場合、UEは、前記上りアクセスモードに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドを決定し、競合アクセス許可シグナリングにより指示された上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングし、該上りアクセスモードではアクセス機会を複数提供する場合、UEは、その中から1つのアクセス機会を選択し、即ち、該上りアクセスモードで定義された上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドの中から、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドを選択してから、競合アクセス許可シグナリングにより指示された上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングする。この過程において、UEは、アクセス機会をランダムに選択することができるが、サブバンドに異なるバンド幅があるとき、UEは、自局のサービス種別に基づいて、バンド幅が適当なサブバンドを選択することができる。
【0066】
本実施例に係る方法では、複数のUEが同時に上りアクセスを行う可能性があるため、基地局は、自局で決定された、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードに基づいて、1つまたは複数の上りチャネルのチャネル推定およびデータ検出を同時に行って、データ検出の結果によって、データパケットの衝突確率情報を得る必要がある。このとき、正確なデータパケットがあると、物理ハイブリッド自動再送要求指示チャネル(PHICH)を介して確認(ACK)メッセージを送信して、該データパケットを送信したUEへ専用上り許可メッセージ(Dedicate Uplink Grant)を送信することにより、上りアクセス成功を表明する。そうすると、Dedicate Uplink Grantメッセージを受信したUEは、上りアクセスの競合に参加することがなくなるが、Dedicate Uplink Grantメッセージを受信しなかったUEは、上りアクセス過程を改めて実行することになる。逆に、データ検出により、正確なデータパケットがないことを発見すると、基地局は、PHICHを介してNACKメッセージを送信し、このとき、衝突確率が増加しているので、アクセス機会を増加させるように、より多くのUEをサポートする上りアクセスモードを改めて選択することができる。
【0067】
もちろん、データパケットの再送について、競合に基づく従来の上り再送メカニズムを用いて実現するようにしてもよい。
【0068】
また、説明すべきところとして、本実施例に係る方法を実現するために、基地局とUEとの両方は、上記のステップ201で決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそのインデックスを知る必要がある。実際の応用では、上記のステップ201で決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそのインデックスを記録するテーブル(例えば、表1〜5のうちの1つ)を、基地局とUEとの両方に予め記憶しておいてもよい。このように、上記方法を実行する過程において、基地局とUEとは、上りアクセスモードのインデックスを直接に伝達することにより、上りアクセスモードの配置を実現することができる。代替案として、上記のステップ201で決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそのインデックスを記録する複数のテーブル(例えば、表1〜5のうちのいくつか)を、基地局とUEとの両方に予め記憶しておいてもよい。そして、上記方法を実行する前に、基地局は、下り制御シグナリングを介して、いずれのテーブルを使用する必要があるかをUEに通知する。このように、基地局とUEとは、上りアクセスモードのインデックスを伝達することにより、上りアクセスモードの配置を実現することができる。しかし、このような方式では、基地局がいずれのテーブルを使用するかをUEに通知するための下り制御シグナリングを追加する必要がある。また、基地局は、動的通知方式を用いて、下り制御シグナリングを介して、選択可能な上りアクセスモードおよびインデックスを、定期的または不定期的にUEに通知するようにしてもよい。しかし、このような方式では、基地局とUEとの間は、大量の情報をやりとりする必要がある。
【0069】
上記の競合に基づく上りアクセス方法以外に、本発明の実施例は、上記方法を実現する上りアクセスシステムも提供している。この上りアクセスシステムは、基地局とUEとを備える。ここで、基地局の内部構成は、図3に示すように、主に、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成する上りアクセスモード決定手段301と、上りに空きリソースがあるとき、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する上りアクセスモード選択手段302と、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知する競合アクセス許可手段303と、を備える。
【0070】
ここで、上記の上りアクセスモードには、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値により区分される、UEの1つまたは複数の上りアクセスモード、サブバンド/タイムスロットにより区分される、UEの1つまたは複数の上りアクセスモード、またはUEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値とサブバンド/タイムスロットとによって区分される、UEの1つまたは複数の上りアクセスモードが含まれる。
【0071】
ここで、上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを含むようにしてよい。または、上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルと、前記複数のテーブルの中から、係る上りアクセスに使用されるテーブルを決定する上りアクセスモード決定モジュールと、を含む。または、上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを定義する上りアクセスモード定義モジュールと、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスをUEに通知する上りアクセスモード通知モジュールと、を含む。
【0072】
UEの内部構成は、図4に示すように、主に、基地局で決定された、UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそのインデックスを記憶する上りアクセスモード記憶手段401と、CB−RNTIにより下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、競合アクセス許可シグナリングに付けられた、上りアクセスモードのインデックスに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定する競合アクセス許可監視手段402と、を備える。
【0073】
ここで、上りアクセスモード記憶手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを含む。または、上りアクセスモード記憶手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記憶する複数のテーブルと、基地局の通知に基づいて、前記複数のテーブルの中から、係る上りアクセスに使用されるテーブルを決定する上りアクセスモード決定モジュールと、を含む。または、上りアクセスモード記憶手段は、基地局から通知された前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを受信して記憶する。
【0074】
上記の基地局において、上りアクセスモード選択手段302は、トラフィックロード、衝突確率、基地局の受信アンテナ数、ユーザのサービス種別、および上り空きリソース数のうちの1つまたは任意の組み合わせに基づいて、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定するようにしてよい。
【0075】
上記の基地局は、決定された、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードに基づいて、1つまたは複数の上りチャネルのチャネル推定およびデータ検出を同時に行い、データ検出によって、データパケットの衝突確率情報を得るデータ検出手段をさらに備えるようにしてもよい。具体的に、正確なデータパケットがある場合、PHICHを介して確認メッセージを送信して、該データパケットを送信したUEへ専用上り許可メッセージ(Dedicate Uplink Grant)を送信し、正確なデータパケットがない場合、PHICHを介してNACKメッセージを送信する。
【0076】
上記の競合に基づく上りアクセス方法およびシステムからわかるように、本発明は、明示的な方式で、一回のみの許可によりUEに1つまたは複数の上りアクセス機会を提供することができる。これにより、基地局は、UEの上りアクセスモードを決定するために、自局のアンテナ状況、自局の空きリソースの多さ、および上りアクセスデータパケットの衝突などの要因に基づいて、柔軟にパラメータ調整を自己適応的に行うことができ、最適なチャネル推定性能を得て、計算複雑度を低減することができる。次に、基地局は、下り制御チャネルの共用検索空間容量の制限を受けずに、複数のUEの上りデータパケットを同時に検出して受信することができる。このように、衝突が発生しても、UEの上りアクセスの性能を大幅に改善することができる。また、UEが選択可能な、上りアクセスモードを設計することにより、最適なチャネル推定性能を得ることができ、データ検出の性能を向上させることができる。最後に、明示的な通知方式で、基地局はブラインド検出を行う必要がないため、基地局の複雑度に対する要求は高くなくて、異なるアンテナ配置を有する基地局に適用することができる。本発明案の遅延性能および遅延分布を検証するために、従来案および本発明案に対してシミュレーションを行った。シミュレーションの過程では、サービスモデルがポアソン分布であって、データパケットの到達時間の平均間隔が2秒であると仮定する。そして、以下のような数式1に示すタイムスロットALOHAモデルに従って、衝突確率を設定する。
【0077】
【数1】


ここで、G=λ×Nであり、λはデータパケットの到達速度であり、Nはユーザ数であり、kは同時に送信されるデータパケット数である。また、毎回の再送が8ミリ秒の付加遅延を引き起こし、最大の再送回数が4であると仮定する。
【0078】
図5(a)および図5(b)は、競合に基づく上りアクセスの従来案と本発明案との遅延性能を示す。ここで、図5(a)は、一回の許可でUEに2つの上りアクセス機会を提供するとき、本発明案と、競合に基づく上りアクセスの従来案との遅延性能の比較を示す。図5(b)は、一回の許可でUEに8つの上りアクセス機会を提供するとき、本発明案と、競合に基づく上りアクセスの従来案との遅延性能の比較を示す。具体的に、図5(a)および図5(b)において、丸印の曲線は、競合に基づく上りアクセスの従来案を用いるとき、上りアクセス遅延とユーザ数との関係曲線を表す。十字印、三角印、および四角印の曲線は、衝突が発生して、データパケットの回復確率(Pr)が50%、80%および100%である場合、本発明案を用いるとき、上りアクセス遅延とユーザ数との関係曲線をそれぞれ表す。図5(a)および図5(b)からわかるように、本発明案によれば、伝送遅延を効果的に低減することができ、かつ、一回の許可でUEに提供される上りアクセス機会の数Mの増加に従って、得られる利得も増加する。
【0079】
図6(a)は、競合に基づく上りアクセスの従来案を用いるとき、上りアクセスの遅延分布性能を示す。図6(b)および図6(c)は、本発明案を用いて、一回の許可でUEに2つおよび8つの上りアクセス機会を提供するときの遅延分布性能をそれぞれ示す。シミュレーションからわかるように、競合に基づく上りアクセスの従来案を用いるとき、上りアクセス遅延の分散は約23.2ミリ秒である。一方、本発明案を用いるとき、一回の許可でUEに2つの上りアクセス機会を提供する場合、上りアクセス遅延の分散は約7.1ミリ秒まで減少し、一回の許可でUEに8つの上りアクセス機会を提供する場合、上りアクセス遅延の分散は約4.1ミリ秒まで減少する。図6(a)、図6(b)、図6(c)および上記のシミュレーション結果からわかるように、競合に基づく上りアクセスの従来案と比べて、本発明案はさらに優れた遅延分布を持つ。
【0080】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神と原則内で行われる種々の修正、均等置換え、改善などは全て本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0081】
301:上りアクセスモード決定手段
302:上りアクセスモード選択手段
303:競合アクセス許可手段
401:上りアクセスモード記憶手段
402:競合アクセス許可監視手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
競合に基づく上りアクセス方法であって、
ユーザ機器(UE)が選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成し、
上りに空きリソースがあるとき、競合アクセス用の識別子CB−RNTIと、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードとを決定し、
基地局は、CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知し、
UEは、CB−RNTIにより、下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、競合アクセス許可シグナリングに付けられた、上りアクセスモードに対応するインデックスに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定する、
ことを含むことを特徴とする競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項2】
前記ユーザ機器(UE)が選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成することは、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを、基地局とUEとの両方に予め記憶しておく、ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項3】
前記ユーザ機器(UE)が選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成することは、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルを、基地局とUEとの両方に予め記憶しておき、基地局が、下り制御シグナリングを介して、係る上りアクセスに前記複数のテーブルのうちのいずれを使用するかをUEに通知する、ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項4】
前記ユーザ機器(UE)が選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成することは、基地局が、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを定義し、下り制御シグナリングを介して、自局で定義された前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスをUEに通知する、ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項5】
前記上りアクセスモードには、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値により識別される、UEの1つの上りアクセスモード、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値によって区分される、UEの複数の上りアクセスモード、UEの上りアクセスに使用されるサブバンド/タイムスロットにより識別される、UEの1つの上りアクセスモード、UEの上りアクセスに使用されるサブバンド/タイムスロットによって区分される、UEの複数の上りアクセスモード、またはUEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値とサブバンド/タイムスロットとによって区分される、UEの複数の上りアクセスモードが含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項6】
前記上りアクセスモードが、UEの上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値によって区分される、UEの複数の上りアクセスモードである場合、前記UEの複数の上りアクセスモードを区分する複数の上り参照信号の循環シフト値の間は最大の距離を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項7】
前記上りアクセスモードが、サブバンドによって区分される、UEの複数の上りアクセスモードである場合、前記UEの複数の上りアクセスモードを区分する複数のサブバンドのバンド幅が同じであり、または同じではない、ことを特徴とする請求項5に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項8】
前記UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知することは、競合アクセス許可シグナリングにおける上り参照信号の循環シフトフィルドによって、前記インデックスを付ける、ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項9】
前記係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定することは、トラフィックロード、衝突確率、基地局の受信アンテナ数、上り空きリソース数、およびユーザのサービス種別のうちの1つまたは任意の組み合わせに基づいて、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する、ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項10】
自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定した後に、
自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードではアクセス機会を1つのみ提供する場合、UEは、基地局で決定された前記上りアクセスモードに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値を決定し、競合アクセス許可シグナリングにより指示された上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングし、
自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードではアクセス機会を複数提供する場合、UEは、前記上りアクセスモードで定義された上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドの中から、自局の上りアクセスに使用される上り参照信号の循環シフト値および/またはサブバンドを選択してから、競合アクセス許可シグナリングにより指示された上り空きリソースの大きさに基づいて、送信しようとするデータを、競合アクセス許可シグナリングにより指定された上り空きリソースの位置にマッピングする、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項11】
基地局は、自局で決定された、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードに基づいて、1つまたは複数の上りチャネルのチャネル推定およびデータ検出を行い、データ検出の結果によって、データパケットの衝突確率情報を得る、ことをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の競合に基づく上りアクセス方法。
【請求項12】
基地局であって、
ユーザ機器(UE)が選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードを定義し、前記少なくとも1種の上りアクセスモードに対応するインデックスを作成する上りアクセスモード決定手段と、
上りに空きリソースがあるとき、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する上りアクセスモード選択手段と、
CB−RNTIにより識別される競合アクセス許可シグナリングを下り制御チャネルで送信して、UEに、該UEが使用する上りアクセスモードに対応するインデックスを通知する競合アクセス許可手段と、
を備えることを特徴とする基地局。
【請求項13】
前記上りアクセスモード決定手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項14】
前記上りアクセスモード決定手段は、
前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルと、
前記複数のテーブルの中から、係る上りアクセスに使用されるテーブルを決定する上りアクセスモード決定モジュールと、
係る上りアクセスに使用されるテーブルをUEに通知する上りアクセスモード通知モジュールと、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項15】
前記上りアクセスモード決定手段は、
前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを定義する上りアクセスモード定義モジュールと、
前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスをUEに通知する上りアクセスモード通知モジュールと、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項16】
前記上りアクセスモード選択手段は、トラフィックロード、衝突確率、基地局の受信アンテナ数、ユーザのサービス種別、および上り空きリソース数のうちの1つまたは任意の組み合わせに基づいて、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードを決定する、ことを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項17】
決定された、係る上りアクセスにUEが使用する上りアクセスモードに基づいて、1つまたは複数の上りチャネルのチャネル推定およびデータ検出を行い、データ検出の結果によって、データパケットの衝突確率情報を得るデータ検出手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項12に記載の基地局。
【請求項18】
ユーザ機器(UE)であって、
UEが選択可能な、少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記憶する上りアクセスモード記憶手段と、
CB−RNTIにより下り制御チャネルでの競合アクセス許可シグナリングを監視し、競合アクセス許可シグナリングが監視されかつ送信しようとするデータがある場合、競合アクセス許可シグナリングに付けられた上りアクセスモードに対応するインデックスに基づいて、自局の上りアクセスに使用される上りアクセスモードを決定する競合アクセス許可監視手段と、
を備えることを特徴とするUE。
【請求項19】
前記上りアクセスモード記憶手段は、前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する1つのテーブルを含む、ことを特徴とする請求項18に記載のUE。
【請求項20】
前記上りアクセスモード記憶手段は、
前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを記録する複数のテーブルと、
基地局の通知に基づいて、前記複数のテーブルの中から、係る上りアクセスに使用されるテーブルを決定する上りアクセスモード決定モジュールと、
を含むことを特徴とする請求項18に記載のUE。
【請求項21】
前記上りアクセスモード記憶手段は、基地局から通知された前記少なくとも1種の上りアクセスモードおよびそれに対応するインデックスを受信して記憶する、ことを特徴とする請求項18に記載のUE。
【請求項22】
上りアクセスシステムであって、
請求項12〜17のいずれか1項に記載の基地局と、請求項18〜21のいずれか1項に記載のUEと、を備えることを特徴とする上りアクセスシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【公開番号】特開2012−227918(P2012−227918A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−74055(P2012−74055)
【出願日】平成24年3月28日(2012.3.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.WCDMA
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】