説明

竹材の連続又は半連続的平板化方法及びその装置

【課題】 生産性に優れ、安価な製品を容易に得られる、竹材の連続又は半連続的平板化方法及びその装置を提供する。
【解決手段】断面円弧状の柱面を持つ竹分割片1を加熱したうえ、ロール加工によって平板化するに当たって、成形容易に均一加熱された前記竹分割片1を、互いに平行な軸の周りにそれぞれ回転する、左右一対の第一ロール11,11の間を通過させることによって、それの左右両側縁を拘束しながら、他方、その竹分割片1を、前記一対の第一ロール11,11と,その一対の第一ロール11,11の2つの軸に共通の垂線に平行な軸の周りに回転する、別の第二ロール12と,の間を通過させることによって、前記第一ロール11,11に同軸一体に突設された円形のフランジ11a,11aで内面、凹の側から支え、第二ロール12で外面側から押圧し、平板化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長が速く、且つ地球温暖化の原因である二酸化炭素を吸収する竹を建築材や家具素材として平板化するに当たって、生産性に優れ、且つ安価な製品が容易に得られる、竹材の連続又は半連続的平板化方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
石油を初めとする化石燃料の利用で排出される二酸化炭素による地球温暖化の問題が高まっている。それに対して植物はその光化学反応によって二酸化炭素を吸収しながら、成長するため、地球上の二酸化炭素の削減に貢献している。従って、森林資源の保全を図りながら、それから得られるバイオマスを有効利用すると共に、二酸化炭素を吸収し、その増加を抑制することは、環境保全、資源の有効活用の上から極めて望ましいことである。なお、バイオマスの有効活用は、その発生場所の周辺地域の振興と利便性向上の一助にもなる。
【0003】
バイオマスのうち、竹は稲科植物に属し、一般の樹木に比較して繁殖力が旺盛で、4〜5年で成竹となり、10年間で2倍以上に拡がり、近年それに対する需要が減少しているため、荒れるままに放置された竹林域が増大し、他の樹林や畑を侵食さえしていると言う問題点がある。従って、それの計画的な伐採利用は、上記効果に加えて、地域の雇用確保、活性化、過疎化の抑制を、長期にわたって図る一助とすることが出来る。
【0004】
竹材の利用の一つとしてそれを平板化し、集成せずにそのまま建築材や家具素材等へ利用するものが提案されている(例えば、特許文献1乃至3)。
【0005】
そのうち、特許文献1には、縦割り竹材の前処理加工及びその前処理加工された縦割り竹材からの平板製造について記されている。さらに後者の平板製造については、縦割り竹材を一方向に長く、長手方向に順次下面の形状が変化する、トンネル状の加熱展開テーブル*1に、その下方長手方向に配置された複数の圧延送りロール*2で送り込み、前記加熱展開テーブルに内蔵の高周波電極で均一加熱すると共に、その縦割り竹材の幅方向の両端を左右一対の展開ガイドで挟持した状態で、その内面側を前記圧延送りロールで順次加圧することによって、展開(平板化)して行き、その展開の進行と同時に、前記展開ガイドの挟持間隔を順次拡大して行くことが記されている。
1:その断面は、内蔵の高周波電極と共に、入口では曲率半径が小さい、上に凸の円弧状であるが、その円弧の曲率半径が下流に向かって順次増大し、出口では平面状となっている。
2:その形状は、入口側では球状であるが、順次曲率半径が下流に向かって増大した楕円回転体状を経て、最後は円柱状となっている。
【0006】
それに対して、特許文献2には、長手方向に形成された1本の溝を上にして、水平に配置された丸竹を高周波又は電磁波又はスチームを利用した加熱設備で内外から加熱した後、複数対の内外の回転プレスローラで内外から連続して加圧することによって板状にすることが記されている。
【0007】
上記内外の回転プレスローラについて説明すると、上流側入口では、竹の中心と溝とを通る平面を対称面として、その対称面に対称に竹の溝のすぐ両側、竹の外面に当接する左右一対の円柱状ローラと,それに対応して、竹の内面に当接する左右対称の円錐台状ローラが設けられている。以下、下流に向かって順次外側の回転ローラの外面への当接位置が両側に移動すると共に、それに対応する内面側の回転ローラは円柱状のものへと変化している。さらに下流側、当接位置が溝の反対側に近くなると、二つの内面側の回転ローラ(円柱状)が一体化されると共に、そのローラの両側の角が切り欠かれたものになり、その切り欠かけた左右両側の部分だけが、竹の内面、対称の位置に当接するが、それもさらにその表面全体で当接するものになると共に、外側のローラも一つになった後、最後は平板化された竹の幅と略等しい長さの内外一対の円柱状ロールになっている。
【0008】
さらに同じ出願人による特許文献3では、長手方向に形成された1本の溝を上にして、水平に配置された丸竹を高周波又はスチームを利用した加熱設備で上下(内外)から加熱した後、複数対の支持ローラ*1と加圧ローラ*2とで上下(内外)から連続して加圧することによって板状にすることが記されている。
1:その表面形状は、入口では曲率半径が小さい、両側が切断された、上に凸の略球状であるが、それの曲率半径が下流に向かって順次増大した(両側が切断された)略楕円回転体状を経て、出口では円柱状となっている。
2:その形状は、入口では曲率半径が小さく、その曲率半径が下流に向かって順次増大する鼓状であるが、出口では円柱状となっている。
【0009】
以上の従来例は、形状が長手方向に変化する加熱展開テーブルとそれに対応して長手方向に形状の異なる複数の圧延送りロール、又は長手方向に順次形状と数が変化する複数対の内外の回転プレスローラ、又は長手方向に形状が異なる複数の加圧ロールとそれに対応して形状が長手方向に変化する支持ローラを、それぞれ備えている。しかしながら、いずれもその機構が極めて複雑であって、1番目のものは、内面の伸び抑制のための展開ガイドで幅方向両側縁を拘束しているが、移動時にそれと摺動するため、滑り摩擦が大きく、また、2番目、3番目のものは、内面への割れ抑制機能が弱く、三者いずれも高速処理は困難であって、設備負担が高く、生産性が低いと言う問題点がある。そのうえ、平均径の違うものは勿論、根元側と先端側とで径が異なる広範囲の竹材を処理するためには、装置のさらなる複雑化は免れず、いずれにしても設備コスト、製品コストが高くなると言う問題点がある。
【0010】
その他、特許文献2には、竹の平板の固定のための乾燥について触れられているが、熱風によるとだけしかなく、それによる均一加熱は困難であって、加熱むらによる変形は避けられそうにない。
【0011】
【特許文献1】特許2098043号公報((請求項1),(請求項3)及び(請求項4),第1図,第3図乃至第5図)
【特許文献2】特開2741328号公報((請求項1),(請求項4)及び(請求項6),(実施例)の(0039),図6乃至図12)
【特許文献3】特開平8−336810号公報((特許請求の範囲)(但し(請求項4)と(請求項7)以下を除く),図8乃至図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のことから、本発明は、従来の欠点を除いた、生産性に優れ、安価な製品が容易に得られる、竹材の連続又は半連続的平板化方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達するために、請求項1の発明に係わる竹材の連続又は半連続的平板化方法は、竹が縦に複数に分割されることによって形成された、一つの断面円弧状の柱面を持つ竹分割片を加熱したうえ、ロール加工によって平板化するものであって、成形容易に均一加熱された前記竹分割片を、互いに平行な軸の周りにそれぞれ回転する、左右一対の第一ロールの間を通過させることによって、それの内面側の伸びが抑制されるよう、左右両側縁を拘束しながら、他方、その竹分割片を、前記一対の第一ロールに同軸一体に突設された円形のフランジと,その一対の第一ロールの軸に共通の垂線に平行な軸の周りに回転する、別の第二ロールと,の間を通過させることによって、それの内外面から幅方向及び長手方向に垂直な方向に圧縮し、平板化する。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成に加えて、長手方向にその幅径又は/及び肉厚が変化する竹分割片に対しては、その幅径又は/及び肉厚に応じて、前記第一ロール同士の左右方向の間隔又は/及びその第一ロールのフランジと第二ロールとの間隔を変化させる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明の構成に加えて、前記平板化された竹分割片にマイクロ波を照射、均一加熱し、かつガス抜き減圧して,それの残留水分を急速に除去することによって、平板の形をそのまま固定する
【0016】
請求項4の発明は、竹が縦に複数に分割されることによって形成された、一つの断面円弧状の柱面を持つ竹分割片を加熱したうえ、ロール加工によって平板化する、竹材の連続又は半連続的平板化装置であって、互いに平行な軸の周りにそれぞれ回転する、左右一対の第一ロール、及びその一対の第一ロールの軸に共通の垂線に平行な軸の周りに回転する、別の第二ロールを備えており、しかも、成形容易に均一加熱された前記竹分割片を、前記左右一対の第一ロールの間を通過させることによって、それの内面側の伸びが抑制されるよう、左右両側縁を拘束しながら、他方、その竹分割片を、前記一対の第一ロールに同軸一体に突設された円形のフランジと,前記第二ロールと,の間を通過させることによって、それの内外面から幅方向及び長手方向に垂直方向に圧縮し、平板化する
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の発明の構成に加えて、長手方向にその幅径又は/及び肉厚が変化する竹分割片に対しては、その幅径又は/及び肉厚に応じて、前記第一ロール同士の左右方向の間隔又は/及びその第一ロールのフランジと第二ロールとの間隔を変化させることが可能に構成されている。
【0018】
請求項6の発明は、請求項4又は5の発明の構成に加えて、横断面が、前記竹分割片の内外面にマイクロ波を均一に照射するよう、その竹分割片の内外面に沿って彎曲する多孔金属板を有する加熱装置を備えている。
【0019】
請求項7の発明は、請求項4乃至6のずれかの発明の構成に加えて、前記平板化された竹分割片の水分を除去し、平板の形をそのまま固定するために、それを暫時減圧して加熱する、乾燥装置を備えている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、竹分割片は、フランジ付きの第一ロールによって両側縁が拘束され、内面の伸びによる割れを生じることなく、しかも、その第一ロールと第二ロールとの組み合わせの単段のみによるロール加工だけで、容易に平板化される。従って、複数段のロール加工よりなる、上述のいずれの従来例に比較しても、操作が著しく単純であり、その運転制御が著しく容易である。しかも、第一ロールによる両側縁の拘束に当たって、それらと竹分割片との間の摩擦が転がり摩擦であって、その抵抗が著しく低いため、両側縁の拘束の状態を確実に保持したまま、何ら支障なく、その走行速度を容易に高めることが可能であって、生産性が著しく優れている。
【0021】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、竹分割片の幅径又は/及び肉厚に応じて、前記第一ロール同士の左右方向の間隔又は/及びその第一ロールのフランジと第二ロールとの間隔を変化させるだけで、それの平板化を容易に実施可能であり、例えば幅径又は/及び肉厚の小さい先端から根元側に向かって処理される場合、その幅径又は/及び肉厚の増大に応じて、若干の時間差を以って上記ロールの間隔を次第に拡げれば、長い竹分割片を幅径又は/及び肉厚の比較的揃った短いものに裁断する必要がなく、長いものを一度に平板化可能であって、生産性が著しく向上する。
【0022】
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、ロール加工によって平板化された竹分割片が急速且つ均一加熱され、かつガス抜き減圧によって,残留水分が急速に除去され、平板の形が固定されるため、折角平板化され、加熱むら等があって、変形するおそれがある、例えば特許文献2によるものと比較して、良質の竹材の平板が得られる。
【0023】
請求項4の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、いずれの従来例に比較しても装置の機構が著しく簡単で、部品点数が僅少であるため、設備コストは勿論、保全コストが著しく低くなる。
【0024】
請求項5の発明によれば、請求項2の効果と同様の効果を発揮する。
【0025】
請求項6の発明によれば、請求項4又は5の発明の効果に加えて、竹分割片を容易に均一且つ急速に加熱することが可能となり,ロール加工の迅速化を促進する。
【0026】
請求項7の発明によれば、請求項4乃至6の発明のいずれかの効果に加えて、請求項3の発明の効果と同様の効果を発揮すると共に、構造簡単、空間占有度が少く、安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に関わる竹材の連続又は半連続的平板化方法及びその装置のうち、先ず成形方法及びその装置の最良の形態例について図1及び図2によって説明すると,10は成形容易に均一加熱された、断面円弧状の竹分割片1を成形し、平板化する成形装置であって、次のように構成される。すなわち、左右一対の同一形状、同一大きさであって、それぞれ鉛直軸11xの周りに回転し、竹分割片1を左右両側から挟み、その両側縁を拘束しながら、前方に送る第一ロール11,11、及び水平軸12xの周りに回転し、且つ第一ロール11,11に、後述するように、それぞれ同軸一体に突設されたフランジ11a,11aと共に、竹分割材1を内外面両側から圧縮しながら、前方に送る円柱状の第2ロール12を備えている。なお、各ロール11,12には図示されない駆動装置が設けられている。また、第一ロール11,11、第二ロール12の各軸11x,12xの方向は、上述のものが最も自然であって、好ましいが、その逆に軸11xが水平で、軸12xが鉛直であっても差し支えなく、上述のものに限定されるものではない、
【0028】
第一ロール11について詳細説明すると、その形状は、円錐台11bの下底側に同軸一体の円形のフランジ11aが突設されたものであり、その両円錐台11b,11bの間に竹分割片1を挟み、それの内外面両側からの圧縮時に、それの内面1b側が左右方向に伸びるのを抑制し、内面割れを生じさせないよう、その左右両側縁を拘束すると共に、前述の内外面両側からの圧縮が可能に、それを両フランジ11a,11aの上面で下から支えるように構成されている。
【0029】
ここで、竹分割片1の走行方向についての第一ロール11,11、第二ロール12の位置関係について説明すると、図2では、第一ロール11の鉛直軸11x(第一ロール11,11の間隔が最も狭い位置)が、第二ロール12の水平軸12x(第二ロール12が第一ロール11に最も接近する位置)よりも僅かに竹分割片1の走行方向の上流側に位置し、その竹分割片1を鉛直方向に圧縮している区間のうち、その竹分割片1を略平板化するまでは、その竹分割片1の幅の左右両側縁を第二ロール11,11によってその内面側が伸びないよう確実に拘束すると言う点で好ましいが、この関係は第一ロール11の円錐台11bや第二ロール12の径によって若干異なって来る。
【0030】
前記成形装置10の作用について説明する。水平に送られて来る竹分割片1の長手方向に垂直な各横断面は、先ず前記一対の第一ロール11,11の両フランジ11a,11a上に到達し、それによって下から支えられる。次いで前記各断面は両円錐台11b,11bの間に進入する。それに伴い、前記各断面は両円錐台11b,11bに挟まれ、それらによって左右両側縁の拘束されると同時又は略同時に、第二ロール12と当接する(図1(a))。その各断面はさらに前方に走行すると、その第一ロール11,11のフランジ11a,11aと第二ロール12とによる鉛直方向の圧縮が開始され、平板化が進行する(図1(b))。
【0031】
そして、上述の両円錐台11b,11bの間隔が最も狭くなる位置までは、左右両側縁の拘束の度合は次第に強くなると共に(図1(c))、第一ロール11,11のフランジ11a,11aに第二ロール12が最も接近する位置までは鉛直方向の圧縮度合も次第に増大し、その位置で竹分割片1の平板化は最終段階に達する。なお、竹分割片1の平板化の最終段階では、鉛直方向の圧縮度合は最大に達するが、その位置ではもはやその竹分割片1は内面の伸びによる割れを生じることもないため、第一ロール11,11の間隔も拡がって、左右両側縁の拘束は解かれてもよい(図1(d))。
【0032】
以上のように、単段の第一ロール11,11、第二ロール12の組み合わせだけでロール加工することによって、竹分割片1は内面の伸びによる割れを生じることなく、容易に平板化可能であるため、いずれの従来例比較しても装置が著しく簡単であって、設備コストが著しく低くなる。しかも、第一ロール11,11の両円錐台11b,11bによって両側縁の拘束が行われるが、その際の竹分割片1との間の摩擦が転がり摩擦であるため、両側縁の拘束の状態を確実に保持したまま、何ら支障なく、その走行速度を容易に高めることが可能である。従って、いずれの従来例に比較しても著しい高速度化が可能であり、生産性が著しく高くなる。
【0033】
なお、上記成形装置10はさらに次のように構成されている。すなわち、長手方向にその幅径又は/及び肉厚が変化する竹分割片1に対応可能に、その幅径d又は/及び肉厚tに応じて、前記第一ロール11,11の円錐台11b,11bの左右方向の間隔(鉛直軸11x,11xの間隔)又は/及びその第一ロール11,11のフランジ11a,11a上面と第二ロール12の下端との間隔(水平軸11bの高さ)を容易に変化させることが可能に構成されており(図示省略)、例えば幅径又は/及び肉厚の小さい先端から根元側に向かって処理される場合は、図3に示すように、幅径又は/及び肉厚の増大に応じて、若干の時間差を以って上記ロールの間隔を次第に拡げることになる。
【0034】
成形装置10の上流側に配置される機器について図2によって説明すると、20,20は竹分割材1を上下から挟んで水平方向に送る、一対の送りロール、30はその送られて来た竹分割片1を上下から均一加熱する加熱装置、40は成形装置10を含む装置全体を制御する制御部、41は前記加熱装置30を通過した竹分割片1の計測装置であって、特に上述のように、竹分割片1の幅径又は/及び肉厚が変化する場合、前記成形装置10の制御に必要な、その幅径・肉厚等を予め計測するものである。
【0035】
さらに図4の長手方向断面図(a),それに垂直な横断面図(b)によって、加熱装置30について詳細説明すると、マイクロ波を発射するマグネトロン31、そのマグネトロン31から発射されたマイクロ波を、加熱域33を通過する竹分割材1の上下両方から照射可能に導く導波管32,32、そのマイクロ波を竹分割材1に対して均一に分散し、照射する、多孔の金属よりなる均一分散板34を備えている。なお、その均一分散板34は、マイクロ波の外への漏れ防止のため、その周縁部に対して十分な広さを確保する必要があり、また、図4(b)に示すように、竹分割材1の均一加熱のため、均一分散板34は、その横断面が、竹分割片1の内外面に沿って湾曲していることが好ましい。
【0036】
その他、図5は、平板化された竹に残った水分を除き、その形状を固定するための乾燥装置50であって、その構成について詳細説明すると、51は平板化された竹を水平に挿入し、鉛直方向に積層することが可能に、直方体の箱状に形成されたケーシング、52はその上側面に形成された、蓋つきの挿入口、53はその反対側、下側面に形成された、蓋つきの排出口、54は未乾燥の竹を背後から押し、前記挿入口52に挿入するためのプッシャ、55は乾燥済みの竹を背後から押し、前記排出口53から排出するためのプッシャ、56はマグネトロン(図示省略)へ連通する、マイクロ波の導波管、57は真空ポンプ(図示省略)へ連通し、発生した水蒸気等を抜き出すガス抜き管である。それの作用として、各部の操作スケジュールを示せば、図6に示す通りである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係わる竹材の連続又は半連続的平板化方法及びその装置の最良の形態の一例として、ロール断面形状及び竹材の平板化の推移をその断面形状の変化で示す、推移断面図である。
【図2】本発明に係わる竹材の連続又は半連続的平板化装置の概略を示す機器構成図である。
【図3】本発明を長手方向にその幅径又は/及び肉厚が変化する竹分割片に適用した場合の、その変化とロール間隔の変化の関係を示すグラフである。
【図4】図2に示す加熱装置の断面図であって、それぞれ(a)は長手方向断面、(b)はそれに垂直な横断面を示す。
【図5】乾燥装置の断面図である。
【図6】図5に示す乾燥装置の各部の作動スケジュールを示すグラフである。
【符号の説明】
【0038】
1 竹分割片
11 第一ロール
11a フランジ
11b 円錐台
11x 鉛直軸
12 第二ロール
12x 水平軸
20 送りロール
30 加熱装置
31 マグネトロン
32 導波管
33 加熱域
34 均一分散板
40 制御部
41 計測装置
50 乾燥装置
51 ケーシング
52 挿入口
53 排出口
54 プッシャ
55 プッシャ
56 導波管
57 ガス抜き管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹が縦に複数に分割されることによって形成された、一つの断面円弧状の柱面を持つ竹分割片を加熱したうえ、ロール加工によって平板化する、竹材の連続又は半連続的平板化方法であって、成形容易に均一加熱された前記竹分割片を、互いに平行な軸の周りにそれぞれ回転する、左右一対の第一ロールの間を通過させることによって、それの内面側の伸びが抑制されるよう、左右両側縁を拘束しながら、他方、その竹分割片を、前記一対の第一ロールに同軸一体に突設された円形のフランジと,その一対の第一ロールの軸に共通の垂線に平行な軸の周りに回転する、別の第二ロールと,の間を通過させることによって、それの内外面両側から幅方向及び長手方向に垂直な方向に圧縮し、平板化することを特徴とする、竹材の連続又は半連続的平板化方法。
【請求項2】
長手方向にその幅径又は/及び肉厚が変化する竹分割片に対しては、その幅径又は/及び肉厚に応じて、前記第一ロール同士の左右方向の間隔又は/及びその第一ロールのフランジと第二ロールとの間隔を変化させることを特徴とする、請求項1に記載の竹材の連続又は半連続的平板化方法。
【請求項3】
前記平板化された竹分割片にマイクロ波を照射、均一加熱し、かつガス抜き減圧によって,それの残留水分を急速に除去することによって、平板の形をそのまま固定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の竹材の連続又は半連続的平板化方法。
【請求項4】
竹が縦に複数に分割されることによって形成された、一つの断面円弧状の柱面を持つ竹分割片を加熱したうえ、ロール加工によって平板化する、竹材の連続又は半連続的平板化装置であって、互いに平行な軸の周りにそれぞれ回転する、左右一対の第一ロール、及びその一対の第一ロールの軸に共通の垂線に平行な軸の周りに回転する、別の第二ロールを備えており、しかも、成形容易に均一加熱された前記竹分割片を、前記左右一対の第一ロールの間を通過させることによって、それの内面側の伸びが抑制されるよう、左右両側縁を拘束しながら、他方、その竹分割片を、前記一対の第一ロールに同軸一体に突設された円形のフランジと,前記第二ロールと,の間を通過させることによって、それの内外面両側から幅方向及び長手方向に垂直に圧縮し、平板化することを特徴とする、竹材の連続又は半連続的平板化装置。
【請求項5】
長手方向にその幅径又は/及び肉厚が変化する竹分割片に対しては、その幅径又は/及び肉厚に応じて、前記第一ロール同士の左右方向の間隔又は/及びその第一ロールのフランジと第二ロールとの間隔を変化させることが可能に構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の竹材の連続又は半連続的平板化装置。
【請求項6】
前記竹分割片の内外面にマイクロ波を均一に照射するよう、横断面が、その竹分割片の内外面に沿って彎曲する多孔金属板を有する加熱装置を備えていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の竹材の連続又は半連続的平板化装置。
【請求項7】
前記平板化された竹分割片の水分を除去し、平板の形をそのまま固定するために、それを暫時減圧して加熱する、乾燥装置を備えていることを特徴とする、請求項4乃至6のいずれかに記載の竹材の連続又は半連続的平板化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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