説明

笑気ガス処理装置

【課題】空気中の笑気ガスを除去することのできる笑気ガス処理装置を提供する。
【解決手段】活性炭カートリッジ2と笑気ガスセンサ3と送風機4とを備えた。活性炭カートリッジ2を交換可能に構成した。活性炭カートリッジ2は、笑気ガス吸着能を高めた活性炭を備えた。笑気ガスを検知して送風機4を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると送風機4を停止させるとともに、送風機4の運転時間を積算して、活性炭カートリッジ2の交換時期を報知する制御手段6を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、笑気ガス処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
笑気ガス(亜酸化窒素、NO)は、第二種有害ガス15種の中に含まれており、ホスゲンなどと同じ規制を受けている。また、温暖化対策上も環境への排出をできるだけ抑制すべきガスである。しかしながら、笑気ガスの主な用途である病院の手術室では、麻酔ガスとして、密閉された手術場に垂れ流す状態であり、スタッフの被爆は重要な問題である。これにもかかわらず、従来は、医療という緊急避難事態という口実の元に、この問題は放置されたままで、特別の回収や無害化方法は行われていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−114347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、空気中の笑気ガスを除去することのできる笑気ガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の笑気ガス処理装置は、活性炭カートリッジと笑気ガスセンサと送風機とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、前記活性炭カートリッジを交換可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
また、前記活性炭カートリッジは、笑気ガス吸着能を高めた活性炭を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、笑気ガスを検知して前記送風機を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記送風機の運転時間を積算して、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、笑気ガスを検知して前記送風機を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記活性炭カートリッジの下流側にも笑気ガスセンサを備え、笑気ガスが前記活性炭カートリッジの下流側で検出されたときに、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の笑気ガス処理装置によれば、活性炭カートリッジと笑気ガスセンサと送風機とを備えたことにより、活性炭カートリッジに空気中の笑気ガスを吸着させて除去することができる。
【0011】
また、前記活性炭カートリッジを交換可能に構成したことにより、常に新しい活性炭カートリッジを使用することができる。
【0012】
また、前記活性炭カートリッジは、笑気ガス吸着能を高めた活性炭を備えたことにより、笑気ガスを確実に吸着することができる。
【0013】
また、笑気ガスを検知して前記送風機を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記送風機の運転時間を積算して、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことにより、適宜送風機を停止させて活性炭カートリッジの寿命を延ばすとともに、活性炭カートリッジを適正な時期に交換することができる。
【0014】
また、笑気ガスを検知して前記送風機を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記活性炭カートリッジの下流側にも笑気ガスセンサを備え、笑気ガスが前記活性炭カートリッジの下流側で検出されたときに、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことにより、活性炭カートリッジの性能が低下したときに、活性炭カートリッジの交換時期であることを報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の笑気ガス処理装置の一実施例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の笑気ガス処理装置の一実施例について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
本実施例の笑気ガス処理装置の断面の構成を模式的に示した図1を参照しながら、本実施例の笑気ガス処理装置について説明する。
【0018】
1は、笑気ガス処理装置の本体であり、本体1は、空気中の笑気ガスを吸着するための活性炭カートリッジ2、空気中の笑気ガスを検知するための笑気ガスセンサ3、空気を吸入して活性炭カートリッジ2に通すための送風機4を備えている。なお、従来、笑気ガスを吸着させて除去するものはなかった。
【0019】
活性炭カートリッジ2は、ゴム製のパッキン5を介して本体1に着脱可能に固定されており、これにより、活性炭カートリッジ2は交換可能に構成されている。また、活性炭カートリッジ2がゴム製のパッキン5を介して固定されることによって、送風機4により本体1に吸入される空気が確実に活性炭カートリッジ2を通過するようになっている。さらに、活性炭カートリッジ2は、特別に笑気ガス吸着能を高めた活性炭を備えている。
【0020】
6は、笑気ガスセンサ3と送風機4に接続して設けられた制御手段である。制御手段6は、笑気ガスセンサ3が笑気ガスを検知した信号に基づき送風機4を起動させ、一方、笑気ガスセンサ3が笑気ガスを検知した信号を出力しないときには、送風機4を停止させるように構成されている。また、制御手段6は、送風機4の運転時間を積算して、所定の時間が経過したときに音や光を発する報知手段(図示せず)を備えている。そして、この報知手段により、活性炭カートリッジ2の交換時期が報知されるようになっている。
【0021】
より詳細には、制御手段6は、PIC−ICを備えた電子回路からなる。そして、制御手段6は、笑気ガスセンサ3の出力をPIC−ICの14ビットアナログ端子からIC内に取り込み、笑気ガスセンサ3の出力が規定値以上になった時間を積分するように構成されている。また、制御手段6は、笑気ガスセンサ3の出力が0、すなわち、笑気ガスが検知されないときは、送風機4のモーターをオフし、笑気ガスセンサ3の出力が規定値以上になると、送風機4のモーターをオンするように構成されている。そして、制御手段6は、笑気ガスセンサ3の出力が規定値以上になった時間の積分値が規定値をこえた時に、報知手段を稼動させるようになっている。このような報知手段としては、例えば、紫外線ランプの交換のために使用時間を積算して表示するランプを使用することができる。
【0022】
つぎに、作用について説明する。
【0023】
笑気ガスセンサ3により、空気中の笑気ガスが検知されると、その信号は制御手段6に送られ、その信号に基づき制御手段6は送風機4を起動させる。送風機4によって空気が活性炭カートリッジ2を通過し、空気中の笑気ガスは活性炭カートリッジ2の活性炭に吸着されて除去され、浄化された空気が排出される。
【0024】
笑気ガスセンサ3により、空気中の笑気ガスが検知されなくなると、笑気ガスの検知信号が笑気ガスセンサ3から出力されなくなり、制御手段6は送風機4を停止させる。
【0025】
制御手段6は、送風機4の運転時間を積算して、所定の時間が経過したときに報知手段を作動させ、使用者に活性炭カートリッジ2の交換時期を報知する。活性炭は、その製造方法により、ガスの吸着特性や吸着量に大きな差があるが、その吸着量は有限であるので、適当な時期に交換しなければ、ガスを吸着しなくなってしまう。本実施例では、活性炭カートリッジ2の使用寿命がきたら、使用者に活性炭カートリッジ2を交換するようにうながすことにより、笑気ガスの吸着性能が低下することを確実に防止することができる。
【0026】
以上のように、本実施例の笑気ガス処理装置は、活性炭カートリッジ2と笑気ガスセンサ3と送風機4とを備えたことにより、活性炭カートリッジ2に空気中の笑気ガスを吸着させて除去することができる。
【0027】
また、前記活性炭カートリッジ2を交換可能に構成したことにより、常に新しい活性炭カートリッジ2を使用することができる。
【0028】
また、前記活性炭カートリッジ2は、笑気ガス吸着能を高めた活性炭を備えたことにより、笑気ガスを確実に吸着することができる。
【0029】
また、笑気ガスを検知して前記送風機4を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機4を停止させるとともに、前記送風機4の運転時間を積算して、前記活性炭カートリッジ2の交換時期を報知する制御手段6を備えたことにより、適宜送風機4を停止させて活性炭カートリッジ2の寿命を延ばすとともに、活性炭カートリッジ2を適正な時期に交換することができる。
【0030】
なお、本実施例の笑気ガス処理装置は活性炭カートリッジ2を備えているが、空気清浄機にも活性炭を備えたものが知られている。しかしながら、従来の空気清浄機では、活性炭層の脇を通って空気が流れる設計ミスをしていて、その効力は疑わしい。すなわち、活性炭カートリッジを空気取り入れ口に配置したとき、その空気抵抗よりも100倍以上高い空気抵抗を有する構造で取り入れ口の周りを密封せねばならない。そして、カートリッジはできるだけ低抵抗の構造でなければならない。しかし、従来の空気清浄機はここまで配慮されていない。また、従来の空気清浄機の活性炭は単に袋状の容器に収納されており、目的物質を効率よく吸着することができない。
【0031】
これに対し、本実施例の笑気ガス処理装置は、活性炭カートリッジ2を備えるとともに、この活性炭カートリッジ2は、取り入れ口の周りをパッキン5により密閉する構造となっているため、空気を確実に活性炭カートリッジ2に通すことができる。
【実施例2】
【0032】
本実施例では、活性炭カートリジ2の下流側に、笑気ガスセンサ3とは別の第2の笑気ガスセンサ(図示せず)を設けている。そして、制御手段6は、笑気ガスが第2の笑気ガスセンサで検出されたときに報知手段を稼動させるようになっている。このほかの構成は、実施例1と同様である。
【0033】
この構成において、活性炭カートリッジ2の活性炭に吸着能力があれば、第2の笑気ガスセンサでは笑気ガスが検出されず、第2の笑気ガスセンサの出力信号は0である。一方、活性炭カートリッジ2の活性炭に吸着能力がなくなれば、第2の笑気ガスセンサにて笑気ガスが検出され、第2の笑気ガスセンサから信号が出力される。制御手段6は、この信号に基づき、活性炭カートリッジ2の交換時期を報知する報知手段を作動させる。
【0034】
なお、本実施例においては、活性炭カートリジ2の下流側において笑気ガスが検知されたときに活性炭カートリッジ2の交換時期を知らせるように構成されているため、実施例1で用いられたPIC−ICを省略することができる。
【0035】
このように、本実施例の笑気ガス処理装置は、笑気ガスを検知して前記送風機4を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記活性炭カートリッジの下流側にも笑気ガスセンサを備え、笑気ガスが前記活性炭カートリッジの下流側で検出されたときに、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことにより、活性炭カートリッジの性能が低下したときに、活性炭カートリッジの交換時期であることを報知することができる。
【符号の説明】
【0036】
2 活性炭カートリッジ
3 笑気ガスセンサ
4 送風機
6 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭カートリッジと笑気ガスセンサと送風機とを備えたことを特徴とする笑気ガス処理装置。
【請求項2】
前記活性炭カートリッジを交換可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の笑気ガス処理装置。
【請求項3】
前記活性炭カートリッジは、笑気ガス吸着能を高めた活性炭を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の笑気ガス処理装置。
【請求項4】
笑気ガスを検知して前記送風機を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記送風機の運転時間を積算して、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の笑気ガス処理装置。
【請求項5】
笑気ガスを検知して前記送風機を起動させ、笑気ガスが検知されなくなると前記送風機を停止させるとともに、前記活性炭カートリッジの下流側にも笑気ガスセンサを備え、笑気ガスが前記活性炭カートリッジの下流側で検出されたときに、前記活性炭カートリッジの交換時期を報知する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の笑気ガス処理装置。

【図1】
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