説明

符号化開口イメージングのための処理

各フレームに対して異なる符号化開口アレイ6を使用してデータの多数のフレームを得るステップを含む符号化開口イメージングシステム(2)で、検出器(8)により出力されるデータから情景(4)の画像を復元する方法。データの各フレームに対して、そのフレームを得るために使用される符号化開口アレイに対応する点光源回折パターンである復号パターンが利用される。復号パターンはグラム行列に結合される。2次元から1次元への写像がデータのフレームに適用される。積分演算子により情景(4)に関連するデータに対する解が構築される。積分演算子は、検出器ピクセルサイズよりも小さな主ローブ幅を有する平均化カーネルを有する。データの処理がサブピクセル解像度を有する、すなわち検出器(8)に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は符号化イメージングシステムで得られる画像データを処理するための方法に関し、特にサブピクセル画像解像度を達成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
符号化開口イメージングは、適切なレンズ物質が一般に存在しないX線またはγ線のイメージングなどの高エネルギイメージングで主に使用される知られているイメージング技法である。たとえば、E.Fenimore and T.M.Cannon、「Coded aperture imaging with uniformly redundant arrays」、Applied Optics、Vol.17、No.3、337〜347ページ、1978年2月1日を参照されたい。符号化開口イメージングはまた、3次元イメージングのために提案された。たとえば、「Tomographical imaging using uniformly redundant arrays」Cannon TM、Fenimore EE、Applied Optics 18、no.7、1052〜1057ページ(1979年)を参照されたい。
【0003】
符号化開口イメージングはピンホールカメラの原理を利用する。しかしながら、単一の小さな開口の代わりに、小さな開口のアレイを有する符号化開口マスクが使用される。符号化開口イメージングシステムでは、放射が情景からマスクを通って、信号処理のための出力を提供するピクセルアレイを含む検出器まで進む。小さなサイズのマスク開口が高解像度をもたらし、開口数の増加が検出器に到達する放射を増大させ、したがって、SN比を改善する。各開口は情景の画像を検出器まで通過させ、したがって、検出器は情景として認識できない一連の重複する画像を含むパターンを受け取る。検出器出力から情景の認識できる画像を生成するために復元処理が必要とされる。
【0004】
復元処理はマスクの開口アレイおよびシステム構成の知識を必要とし、開口アレイは、その後のよい品質の画像復元を可能にするためにしばしば符号化される。そのような処理は、設定された位置で特定の開口アレイの数学的モデルを使用して行われる。
【0005】
Busboomらの「Coded aperture imaging with multiple measurements」J.Opt.Soc.Am.A、Vol.14、No.5、1997年5月が、それぞれが異なる開口アレイを使って得られる情景の多数の測定を行う符号化開口イメージング技法を提案している。Busboomらは、相互相関技法を使用して画像復元を行うことについて説明し、情報源の量子雑音を考慮し、SN比を最大にするアレイの選択について説明している。従来の符号化開口イメージングは幾何学的イメージング技法として考えられることができる。開口イメージングの通常の応用、たとえば天文学については回折が無視できる。Busboomらにより提案される技法は回折に関係なく、したがって、画像復元に対する回折の影響が説明されていない。
【0006】
本明細書で使用されるように、符号化開口マスク装置上に表示されるパターン全体が符号化開口マスクとして記載される。符号化開口マスクの少なくとも一部が符号化開口アレイを含み、符号化開口アレイという用語は、マスク内の開口の構成を含むマスクの一部を指すものとする。マスク装置上に表示されるパターン全体が符号化開口アレイでも、符号化開口アレイを含むマスクの一部だけであってよく、マスクの残りが不透明でもよい。疑念を回避するために、本明細書で使用される用語「開口」はマスク装置内の物理的穴を意味するのではなく、放射が検出器に到達することができるようにするパターンの単なる領域を意味する。同様に、「不透明な」は、入射する放射が検出器に到達することができないようにするマスクの一部を単に意味する。
【0007】
公開された国際特許出願の国際公開第2006/125975号では、再構成可能な符号化開口マスク装置を有する再構成可能な符号化開口イメージングシステムを使用することが提案された。再構成可能な符号化開口マスク装置を使用することにより、異なる符号化開口マスクが異なる時間に表示されることができるようになる。このことにより、たとえばイメージングシステムの方向および視野が可動部を必要とせずに変更されることができるようになる。さらに、イメージングシステムの解像度も符号化開口マスク装置上に表示される符号化開口マスクを変更することにより変えられることができる。
【0008】
国際公開第2006/125975号は、符号化開口マスク装置内のおそらく一部の小さな可動部以外に、可動部なしに異なる視野または解像度を有するように速やかに構成されることができる用途の広い軽量のイメージングシステムを教示している。このイメージング装置は従来の光学機器の必要性をなくし、等角イメージング能力を与え、無限の被写界深度を有することができ、画像の復元には使用される符号化開口アレイの知識を必要とするので、このイメージングシステムは固有のパワーフリー暗号化を提供する。国際公開第2006/125975号に記載されるイメージング装置は可視、赤外、または紫外の波長帯で、いくつかのイメージングおよび監視の応用に特に適している。
【0009】
しかしながら、高解像度イメージングは小さな開口サイズ、および検出器からマスクまでより長い光路を必要とし、このことが回折効果を増大させる。回折は検出器アレイ上のマスクにより形成されるパターンのぼけを引き起こし、マスクの変調を低減し、その結果、復元される画像品質に有害な影響がある。
【0010】
国際公開第2007/091049号が、画像品質を改善するために、データの各フレームが異なる符号化開口アレイから得られる、同じ情景のデータのいくつかのフレームを得て、いくつかのフレームを一緒に処理する処理方法を記載している。そこに記載される処理はかなり大きな回折が存在しても高品質画像を復元する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第2006/125975号
【特許文献2】国際公開第2007/091049号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】E.Fenimore and T.M.Cannon、「Coded aperture imaging with uniformly redundant arrays」、Applied Optics、Vol.17、No.3、337〜347ページ、1978年2月1日
【非特許文献2】「Tomographical imaging using uniformly redundant arrays」Cannon TM、Fenimore EE、Applied Optics 18、no.7、1052〜1057ページ(1979年)
【非特許文献3】Busboomらの「Coded aperture imaging with multiple measurements」J.Opt.Soc.Am.A、Vol.14、No.5、1997年5月
【非特許文献4】Linear inverse problems with discrete data.I:General formulation and Singular system analysis.M.Bertero、C.de Mol、E.R.Pike、Inverse Problems 1(1985年)pp301〜330
【非特許文献5】Fishらの、A scanning singular−value decomposition method for restoration of images with space−variant blur.D.A.Fish、J.Grochmalicki and E.R.Pike、J.Opt.Soc.Am.A、13、no3、1996年3月、pp464〜469
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述のように、ある程度の検出器ピクセルサイズを有する符号化開口イメージングシステムの解像度は、マスクの開口サイズにより、またマスクから検出器までの光路長により一部は決定される。より小さなピクセルを有する検出器を使用することにより解像度が改善されることができるが、達成されることができるピクセルサイズには限度があり、非常に小さなピクセルを有する検出器はより費用がかかる可能性がある。しかしながら、検出器とマスクの間のより大きな経路距離は所与の対象領域をカバーするためにより多くのまたはより大きな検出器アレイを必要とする。符号化開口イメージングシステムでは検出器の費用がかなり大きくなる可能性があり、システムサイズがある種の応用で問題となる。
【0014】
したがって、符号化開口イメージングのための処理の別の方法を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は情景の画像を形成する方法を提供し、方法は、異なる符号化開口アレイを使用してデータの複数のフレームを得るために符号化開口イメージングシステムを使用するステップと、各フレームについてそのフレームを得るために使用される符号化開口アレイに対応する個々の復号パターンを使用するステップと、検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像解を提供するためにフレームを処理するステップとを含む。
【0016】
したがって、本発明はデータの複数のフレームからのデータを使用し、データの複数のフレームを使用して検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を提供する。すなわち、方法はサブピクセル解像度が達成されることができるようにする。方法は、カーネルが平均化カーネル(averaging kernel)である積分演算子により真の情景に関連するデータの解を構築することを伴う。平均化カーネルは、情景から個々のデータまで、復元される情景まで全体の工程のための点広がり関数(point spread function)として考えられることができる。平均化カーネルは一般に主ローブおよび副ローブを有し、カーネルの主ローブはシステムの解像度の効果的な尺度となる。本発明の方法は、平均化カーネルの主ローブの幅が検出器ピクセルサイズよりも小さいことを保証する。
【0017】
方法は、それぞれが異なる符号化開口マスクを使用して得られるデータの複数のフレームを得ることを伴う。各マスクの復号パターンも必要とされる。回折がない場合、復号パターンはマスクの開口パターンとすることができる。しかしながら、回折がかなり大きい場合、復号パターンはシステムの点光源回折パターン、すなわち情景内の点光源が検出器上に生成する強度パターンに対応する。各マスクの復号パターンは計算されることも、測定により決定されることもある。復号パターンは、すなわち点光源回折パターンは高精度で知られるべきである。すなわち1組の復号パターンが各マスク開口パターンに対して必要とされ、それぞれがサブピクセルスケールで変動する点光源に対応する。
【0018】
方法はデータの複数のフレーム、および復号パターンを解明することを伴う。従来、復号パターンはグラム行列(Gram matrix)に結合される。当業者に理解されているように、1組の関数φに対するグラム行列はGmn=<φ,φにより与えられる。符号化開口イメージングでは、関数φは、検出器で測定されるサブピクセル移動された点光源に対応する点広がり関数である。
【0019】
2次元データおよび復号パターンについては、方法は2次元から1次元への写像を適用する初期ステップを伴う。これにより、逆問題を解決するために1次元線形代数技法が使用されることができるようになる。解が見いだされると、復元画像を与えるために1Dの解がアンパックされ2次元に戻されることができる。
【0020】
多数の復号パターンがグラム行列に組み込まれ、行列は各次元でM倍にサイズが増やされ、ここでMは使用される異なるマスクパターン数である。
【0021】
次に、方法は、データをグラム行列に合わせる複数の係数ベクトルを計算することを伴う。すなわち、方法は以下を解くことを伴う:
【数1】

ここでgは知られているノイズレベルを考慮する係数ベクトルaに対するデータである。
【0022】
従来、係数ベクトルはグラム行列の逆行列を求めることにより決定される。一般に、グラム行列は悪条件(ill conditioned)であり、本発明は正則化を必要とする。グラム行列の逆行列を求めることは、Tikhonov正則化を使用して行われることがあるが、Tikhonov正則化は平均化カーネルの幅を実際に増大させ、したがって解像度を低下させる傾向がある。代替として、グラム行列の逆行列が擬似逆行列(pseudo−inverse)および適切なノイズレベルで切り捨てられた擬似逆行列により近似されることがある。したがって、方法はグラム行列Gの擬似逆行列を計算し、この擬似逆行列を切り捨てるステップを含むことがある。
【0023】
次に、方法は係数ベクトルを使用して正規解(normal solution)を復元することを伴うことがある。正規解は
【数2】

により与えられる。これがサブピクセル解像度を有する復元画像をもたらす。
【0024】
情景全体に対して上述の処理方法を使用することで、多数のピクセルを有する検出器に対して非常に大きな行列をもたらす可能性があり、上述のように、グラム行列の成分数がM倍で拡大し、ここでMは使用されるマスクパターン数である。
【0025】
したがって、方法は局所処理を適用して情景画像の一部だけを決定するステップを伴うことがある。このことは、点光源に対する回折パターンが比較的小さいということを当てにする。したがって、方法は、検出器ボックスと呼ばれる検出器アレイの一部に対応する各フレームからのデータのサブセット、および各復号パターンの対応するサブセットを得て、データおよび復号パターンのサブセットだけを使用して方法を実行するステップを含むスライディングウィンドウ手法を使用することがある。検出器ボックスの領域は回折パターンのサイズに関連付けられ、少なくとも回折パターンのサイズとすべきである。しかしながら、検出器ボックスは各寸法が回折パターンの約2倍の大きさであることが好ましい。アーチファクトを避けるために、解が生成されたとき、ウィンドウの中央の解だけが保持され、1つの回折パターン幅の領域が捨てられる。このことが画像領域を生成する際に計算負荷を著しく低減する。多数の画像領域がこの方法で処理され、画像全体を与えるためにスティッチングされることができる。
【0026】
回折パターンのサイズは必要とされる計算量を決定するのに重要であるので、比較的コンパクトな点光源回折パターンを有する符号化開口画像を使用してデータが得られることが好ましい。したがって、データは、コンパクトな回折パターンを生成するために光路内に配置される少なくとも1つの光学的要素を有する符号化開口イメージングシステムを使用して得られることがある。したがって、データを得るために使用される符号化開口イメージングシステムは、検出器上に放射を集中させるために、1つもしくは複数のレンズ、または焦点を合わせる効果がある要素を有することがある。しかしながら、レンズを有する符号化開口イメージングシステムは、焦点合わせレンズを有する従来のイメージングシステムと全く異なることが留意されるべきである。従来のイメージングシステムでは、レンズは情景から検出器の点まで放出される放射の焦点を合わせるために使用され、検出器上の強度パターンが必要とされる画像である。符号化開口イメージングシステムでレンズが使用されるとき、レンズは小さな回折スポットサイズを保証する。しかしながら、レンズは検出器上に情景の画像の焦点を合わせず、画像を復元するために依然として処理が必要とされる。
【0027】
別の様態では、本発明は、異なる符号化開口マスクを使用して得られるデータの多数のフレームを処理するためのプロセッサを有する再構成可能な符号化開口マスク装置を介して情景から放射を受け取って、検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像を生成するように構成される検出器を含む符号化開口イメージングシステムを提供する。プロセッサは、本発明の利点を備える本発明の方法を使用するように適合される。符号化開口イメージングシステムは、検出器に到達する放射が少なくとも1つの光学的要素が存在しない場合よりも多く集中するように放射が構成される1つまたは複数の光学的要素を含むことがある。すなわち、符号化開口イメージングシステムは1つまたは複数のレンズなどの集中光学系を含む。
【0028】
別の様態では、本発明は、データのフレーム間で変更可能な複数の異なる符号化開口アレイを提供するように構成される再構成可能な符号化開口マスク装置を組み込む符号化開口イメージングシステムを提供し、検出器が、マスク装置を介して情景からの放射を受け取るための、およびデータのフレームを生成するためのピクセルアレイを含み、イメージングシステムは、検出器ピクセルサイズよりも小さなマスク回折スポットサイズを有し、イメージングシステムは、データの各フレームを、そのフレームを得るために使用される符号化開口アレイに対応する個々の復号パターンの助けを借りて処理するためのプロセッサを含み、かつ検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像解を提供する。
【0029】
ここで、本発明は例だけによって添付図面に関して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】国際公開第2006/125975号に記載されるような符号化イメージングシステムを概略的に示す。
【図2】レンズを含む符号化開口イメージングシステムの一実施形態を示す。
【図3】4つのシミュレートされた点光源マスク回折パターンに対する検出器での信号を示す。
【図4】図3に示されるパターンのピクセル化されたバージョンを示す。
【図5】本発明の方法を使用する、2つの点光源について検出器ピクセルに対する復元画像強度を示す。
【図6】典型的な点光源回折パターンを示す。
【図7】図6に示されるパターンの拡大図を示す。
【図8】図6のパターンのピクセル化された形式を示す。
【図9】本発明の方法を使用する復元画像信号を示す。
【図10】ピクセル化されシミュレートされた検出器信号を示す。
【図11】シミュレートされた典型的なノイズ信号を示す。
【図12】図10および図11の信号の解の復元された信号成分を示す。
【図13】図10および図11の信号の解のノイズ成分を示す。
【図14】本発明の方法の出力ノイズと解像度の間の関係を図示する。
【図15】低い解像度レベルについて、ノイズレベルと解像度の関係を示す図14のグラフの拡大された部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、一般に2で示される符号化開口イメージング(coded aperture imaging、CAI)システムの一例を概略的に示す。情景4内の点から矢印により示される光線が符号化開口アレイ6の上に落ちる。符号化開口アレイはシャドーマスクの役割を果たし、小さな正方形で示されるピクセルのアレイからなる検出器8上に一連の重複する符号化された画像を生じさせる。各ピクセルは重複する符号化された画像のすべてからの個々の強度寄与を受け取り、それらの寄与を合計する。検出器8はプロセッサ10に渡される出力を生成する。プロセッサ10は様々なデジタル信号処理技法の任意の1つを使用して、検出器出力から情景4の画像を復号または復元する。
【0032】
最近、国際公開第2006/125975号が、再構成可能なマスク開口6を使用して、回折効果がかなり大きい場合に使用されることができる再構成可能な符号化開口アレイを提供することを提案した。符号化開口マスク装置6は、異なる符号化開口マスクを表示するための再構成可能なマスク装置を制御するコントローラ12により制御される。符号化開口マスク装置の一部だけが符号化開口アレイを表示し、マスクの残りが、放射が検出器に到達するのを妨害する場合、装置の視野は検出器に対する符号化開口アレイの位置およびサイズにより決定され、符号化開口アレイの位置およびサイズを変更することは、イメージングシステムの視野および/または解像度を変える。
【0033】
符号化開口マスクを速やかに再構成する能力は、イメージングシステムの視野が瞬時に変更されることができるようにするだけでなく、同じ情景の多数のフレームが得られることができるようにする。各フレームが、異なる符号化開口マスクを使用して捕捉される場合、検出器出力を処理する際に、多数のフレームが、国際公開第2007/091049号で教示されるように画像品質を改善するために使用されることができる。
【0034】
したがって、CAIは、大きな被写界深度を有し、かつ大きく扱いにくい可動部を必要とせずに変更可能な視野を有するコンパクトで軽量なイメージング装置を提供する能力を提案する。
【0035】
本発明は、CAIシステムにより記録されるデータを処理してサブピクセル解像度を生成する方法を提供する。サブピクセル解像度に至るこの手段はフレーム間でマスクパターンを変更することに依存する。その結果本発明は、再構成可能なマスク上に入射する放射の振幅および/または位相を修正することにより実現されることがある再構成可能マスクを使う。
【0036】
本発明の方法は回折効果がかなり大きい場合でも実行可能である。本発明の方法は検出器ピクセルサイズよりも小さなマスク回折スポットサイズを使用する。この場合、目的はこのスポットサイズにより与えられる解像度で画像を取り出すことである。
【0037】
回折スポットサイズが比較的小さくなることを保証するために、CAIシステムは有利には1つまたは複数のレンズを含むことがある。そのようなレンズは回折パターンを検出器上の比較的小さな領域上に集中させるように動作する。図2は、再構成可能な符号化開口マスク6と検出器アレイ8の間の光路内に配置される単一体レンズ20を有する符号化開口イメージングシステムの一実施形態を図示し、前に説明された要素は同様に参照される。レンズ20はマスク6のごく近傍に配置される。レンズ20は情景4からの放射を1点に焦点を合わせないように配置されるが、代わりに、角度を増加させるもの、または集中させる装置の役割を果たし、マスク6を通過する光子をレンズ20がない場合よりも検出器の小さな領域に集中させる。このことにはいくつかの利点がある。このことは、回折パターンの広がりを低減し、サブピクセル解像度が達成されることができることを保証する。さらに、後で説明されるように、コンパクトな点広がり回折パターンが著しい計算の節約を提供することができる。情景の各点からの検出器ピクセル当たりの光子計数が、レンズがないCAIシステム2と比較して増えるという点でも、レンズの使用は有益である。ピクセル当たりの光子計数の増加はSN比を著しく改善することができる。さらに、レンズの使用により光路均等化がもたらされ、このことがCAIシステムの色彩帯域幅を増大させることができる。
【0038】
図2は単一レンズだけを示すが、実際には、必要な光学特性を提供し、光学収差全体を制御するために、多要素光学系が使用されることがある。
【0039】
まるで検出器がデータを点でサンプルし、かつ有限の検出器ピクセル幅が無視されるように符号化開口イメージングを分析することができる。しかしながらこの手法は解像度性能に限界を課し、この限界を超えるためには、有限な検出器ピクセル幅の影響を組み込む必要がある。ここで、情景から、情景の復元画像に対する個々のデータまでの全行程に対する点広がり関数として考えられることができる平均化カーネルの概念が導入される。平均化カーネルは一般に主ローブおよび副ローブを有し、主ローブの幅はシステムの解像度の尺度と見なされることができる。連続データを伴う線形逆問題と同様に、復元工程は不安定となる可能性があり、情景の復元画像がデータになめらかに依存することを保証するために、正則化が必要とされる。
【0040】
以下に提示される数学的分析は、説明を簡略化するために1次元問題に関する。この説明は2次元に拡張可能である。
【0041】
離散データを伴う線形逆問題を支配する基本方程式がある(Linear inverse problems with discrete data.I:General formulation and Singular system analysis.M.Bertero、C.de Mol、E.R.Pike、Inverse Problems 1(1985年)pp301〜330を参照されたい)。この方程式は:
【数3】

であり、ここでgはデータを表し、Pはサンプリング工程によるぼけを表し(たとえば、検出器ピクセル領域全体にわたる積分)、K(y,x)は装置応答(すなわち、マスク回折パターン)を表し、f(x)は画像が復元されるべき情景である(無限次元空間X内にある(と仮定される))。どの情景も情景に関連する有限な二乗全強度を有しなければならないので、Xは一般性を失うことなく二乗積分可能関数Lの空間であると仮定されることができる。サブピクセル解像度を考慮する際、fがデータピクセルと同じサイズのピクセルを有するある種の離散空間にあると主張することは正しくない。空間Xには以下のとおり空間X上で定義されるスカラ積がある:
【数4】

【0042】
方程式(1)の右辺は可能な情景の空間上の線形関数なので、方程式(1)は以下のように書き直されることがある:
【数5】

ここでFはXから実数への連続写像であると仮定される汎関数である。その結果、ある種の1組の関数φに対して
【数6】

と書くためにリース表現定理(Riesz representation theorem)が使用されることがある。(1)の精査から、φは次式により簡単に与えられることが示される。
【数7】

【0043】
次に、逆問題は次式を満たす関数fを決定することになる:
【数8】

【0044】
関数φは線形独立(しかし、必ずしも直交ではない)であると仮定される。Xをφ,n=1からNにより張られるXの有限次元部分空間とする。関数φの線形独立性により、この部分空間はN次元である。1組のφに直交するすべての関数からなるXの別の部分空間がある。この部分空間を
【数9】

で示し、その結果
【数10】

となる。このことは、逆問題に対する解が一意でないことを示す。この問題に対する解として、データと一致する別の解を得るために、
【数11】

にある任意の関数が加算されることができる。最小の2−ノルムを有する解(ほとんどすべての可能な解)が正規解と呼ばれる。解はXにある。
【0045】
問題に対する正規解
【数12】

は(解はXにあるので)次式により与えられる。
【数13】

【0046】
【数14】

は方程式(2)を満足するので、aは次式を満たす。
【数15】

ここでGは関数φに関連するグラム行列であり、次式で与えられる。
【数16】

【0047】
−Iをグラム行列の逆行列とし、X内において次式で与えられる双対基底φを定義する。
【数17】

【0048】
次に、正規解が次式で与えられる。
【数18】

【0049】
ここで、平均化カーネルA(x,x’)が以下のように定義される:
【数19】

【0050】
A(x,x’)は一般に主ローブおよび副ローブの形式を有する。
【0051】
正規解は次式を介して真の情景に関連付けられることが示されることができる。
【数20】

ここでAはカーネルが平均化カーネルである積分演算子である。平均化カーネルの主ローブの幅はCAIシステムに対する解像度の尺度である。
【0052】
平均化カーネルは次式のように書き直されることができる。
【数21】

【0053】
一般に、グラム行列Gは悪条件であり、グラム行列の逆行列を求めることは正則化を必要とする。このことが達成可能な解像度に影響を及ぼす。グラム行列の逆行列の正則化により、
【数22】

となるようなある種の近似
【数23】

が意図される。ここで、μは正則化パラメータである。正則化の程度はSN比に依存する。
【0054】
グラム行列の逆行列を求めることはTikhonov正則化を使用して行われることができる。従来のTikhonov正則化と同様に、正則化パラメータを増大させることが解像度の低下に、すなわち平均化カーネルの主ローブの幅の増大につながる。正則化の別の方法が、グラム行列の逆行列をグラム行列の擬似逆行列により近似し、ノイズレベルを反映する適切な許容範囲で擬似逆行列を切り捨てることである。擬似逆行列はグラム行列の特異値分解に関して書かれ、所与のしきい値を超える特異値に対応する項だけが保持される。このしきい値はノイズレベルに依存する。Tikhonov正則化と、擬似逆行列の特異値展開を切り捨てることによる正則化の間には密接な関係がある。
【0055】
グラム行列の特異値分解を次式で示す。
【数24】

ここでUおよびVは直交行列であり、Σは特異値が対角の下方に降順で配置される対角行列である。Gの対称性によりV=Uであることに留意されたい。Gの擬似逆行列は次式で与えられる。
【数25】

ここでΣは、特異値がゼロとなる点までΣの対角上に特異値の逆数を含む対角行列である。この点を越えるとΣの対角成分はゼロに設定される。正則化はΣ内の特異値の逆数をさらにゼロに設定することを伴い、これらの数はSN比に依存する。
【0056】
ここで、カーネルが次式である積分演算子Φが導入される。
【数26】

【0057】
この演算子には特異関数展開
【数27】

がある。ここでWは(ゼロ特異値が存在しない)空間Xを張るNの特異関数を含む。特異値の対角行列
【数28】

は次式によりグラム行列の対角行列に関連付けられる。
【数29】

【0058】
グラム行列の擬似逆行列に対する切り捨て点を決定するために、
【数30】

を調べ、SN比の逆数よりも小さな特異値をすべてゼロに設定する。したがって、グラム行列の擬似逆行列の切り捨ては、SN比の2乗の逆数により決定される。次に、この切り捨てられた擬似逆行列を平均化カーネルの中に挿入することが、特定のSN比に対する解像度を与える。
【0059】
ここで、上記の分析が符号化開口イメージングに適用される。式(1)および(2)から、関数φが次式により与えられる。
【数31】

【0060】
光学では、点広がり関数(point spread function)がイメージングシステムを特徴づけるための有用な量である。点広がり関数は、システムにより観測される情景内に配置される点光源により光学系内の検出器アレイ上に生成される光のパターンとして定義される。符号化開口イメージングでは、関数φは検出器アレイ上で測定されるxにある点光源に対応する点広がり関数を、すなわち、検出器ピクセル全体にわたる積分を伴うマスク回折パターンの絶対値2乗を表す。
【0061】
グラム行列は次式により与えられる。
【数32】

【0062】
積分の順序を交換することにより、この式は以下の形式で書かれることがある。
【数33】

ここで
【数34】

は連続データの場合に対する回折パターンの自己相関である。この式を評価するためには、マスク+サブピクセル精度までのレンズの回折パターンの知識を必要とする。
【0063】
上記の分析から、情景復元の基本的方法は以下のとおりである:
1.知られている点光源回折パターンを使用してグラム行列Gを構築する。
2.次式を解く。
【数35】

ここでgは知られているノイズレベルを考慮する係数ベクトルaに対するデータである。このことは通常、行列Gの擬似逆行列を計算することにより行われる。ノイズが存在する際、擬似逆行列は解の「ブローイングアップ(blowing up)」を防ぐために、一定の許容範囲で切り捨てられる必要がある。
3.正規解を復元する。
【数36】

【0064】
実際には関数φは連続ではないが、所望の解像度よりも細かいスケールでxの寸法で離散化される。
【0065】
ここで、マスクパターンを変更することが説明される。関数φは前に定義された部分空間Xを張る。静的単一マスクの場合と比較して解像度を高めることを達成するために、この部分空間は前に
【数37】

内にあった一部の関数を含むように拡大されなければならない。解像度を高める1つの方法が、異なるマスクパターンを使ってより多くのデータを記録することである。そのような1つのパターン変更が行われたとする。その変更は、たとえば対応する新しい1組の関数Ψを有する新しいデータを生じさせ、集合{Φn,Ψn}に対応する平均化カーネルが直前の関数φに対応する主ローブよりも狭い主ローブを有する可能性がある。
【0066】
解像度を高めるためには、関数Ψが関数φと線形独立となることである。関数Ψがそうでない場合、集合{Φn,Ψn}に対応するグラム行列が階数を下げ、平均化カーネルは1組のΦだけに対する主ローブ幅と同じ主ローブ幅を有する。
【0067】
ノイズがない場合(すなわち、正規化パラメータがゼロにセットされる)に対する1組のΦだけに対応する平均化カーネルは、部分空間Xを拡大することなく達成可能な最良の解像度を表す。この解像度に勝るためには、関数φと線形独立な新しい関数Ψが導入されなければならない。
【0068】
未知数の数だけ方程式が必要とされる線形システムの方程式に対する基本定理の点から解像度が分析されることができる。符号化開口イメージングとの関連では、このことは、検出器ピクセルの数とマスクパターン数の積が解像セルの数と等しい必要があることを意味する。そのため、1次元では、1/Mのピクセル解像度を得るためには、少なくともMの異なるマスクが必要とされる。2次元では、Mのサブピクセルを解像するためには、少なくともMのマスクが必要とされる。
【0069】
符号化開口イメージングでの画像復元のための基本アルゴリズムは、多数のマスクパターンを使用することを組み込むように修正されることができる。関数φおよびグラム行列内のピクセルインデックスが、結合されたマスクパターンおよびピクセルインデックスに変換される。このことはピクセルおよびマスクのインデックスをインタリーブすることにより行われることがある。2つのマスクについては、奇数インデックスが第1のマスク、すなわちマスク1に、および偶数インデックスが第2のマスク、すなわちマスク2に対応する。
【0070】
3つ以上のマスクへの拡張は以下のとおりである。Mのマスクについては、組み合わせられたピクセル/マスク数インデックスがマスク番号を回復するためにモジュロMで還元される。ピクセル数は、組み合わせられたピクセル/マスク数インデックス割るMの整数部分に1を加算することにより得られる。
【0071】
グラム行列は各次元でサイズがM倍だけ増大させられ、ここで、Mは使用されるマスクパターン数である。
【0072】
上記に説明される原理を実証するためにシミュレーションが実施された。
【0073】
ここで図3を参照すると、4つの異なる点光源マスク回折パターンを使用する1次元シミュレーションが示されている。ピクセル化された形式では、これらのパターンは図4に示されるようになる。
【0074】
図5は、上記の多マスク復号アルゴリズムを4分の1ピクセル離れた2点からなる情景に適用することにより得られた結果を示す。図5の2つの曲線は2つの復元された点光源を表す。アルゴリズムは線形なので、アルゴリズムを2つの点光源の和に適用する結果が、今度はアルゴリズムを各点光源に適用する結果の和をとることを同じである。
【0075】
16番目のピクセル解像のためには、少なくとも16の異なるマスクが必要とされる。図6は典型的な点光源マスク回折パターンを示す。このパターンの細かい構造を示すために、拡大された小さな部分が図7に示されている。微細構造が、必要とされるサブピクセル解像度と同じオーダとなるように選択されていることが理解される。図6のパターンのピクセル化された形式が図8に示されている。
【0076】
図6の点光源マスク回折パターンと共に16のマスクを使用することで図9に示される結果がもたらされる。この結果は2つの復元された点光源を表す2つの曲線を示す。2つの曲線についての説明は図5についての説明と同じである。図9は、点光源回折パターンの特徴サイズが同じサイズである場合、1/16のピクセル解像が16の異なるマスクパターンを使用して可能であることを示す。
【0077】
ここで、ノイズ分析が行われる。検出器ノイズが加法的であり、かつ多マスク復号アルゴリズムが線形なので、解は信号成分とノイズ成分の和として書かれることができる。アルゴリズムを使用した処理に対する検出器出力信号が図10に示される形式であると仮定され、ノイズ信号が図11に示される形式であると仮定される。アルゴリズムは図12に示される信号成分を有する解をもたらし、ノイズ成分が図13に示される。
【0078】
擬似逆行列のより小さな許容範囲がより高い解像度を与えるが、より大きなRMSノイズを与える。
【0079】
グラム行列の擬似逆行列の許容範囲を変更した影響を理解するために、検出されたノイズレベルが解像度に対してプロットされることがある。図14は、基準パターンとの相関によりピクセル化されたデータを復号するときに生成される出力ノイズに対する2乗平均二乗根(rms)ノイズレベル対解像度の図である。図15は拡大された垂直スケールで図14の一部を示す。ノイズの2つの形式間の関係は、図15から理解されることができるように、より低い解像度に対してほぼ線形である。
【0080】
これらの結果を得るために、16の回折パターンが使用され、各パターンでは特徴スケールがピクセルのほぼ1/16である。解像度がこのスケールを超えるとき、出力ノイズが非常に急激に増大することは留意されたい。
【0081】
多マスク復号アルゴリズムの2次元への拡張は、以下のとおりである:
1.2次元の情景座標x1、x2を単一座標xに写像し、
2.2次元の検出器ピクセルインデックス(i,j)を単一インデックスkに写像し、
3.単一インデックスkおよびマスクパターン識別子lを(多マスク1次元アルゴリズムのように)単一インデックスに写像し、
4.1次元アルゴリズムを使用し、
5.2次元から1次元への写像を元に戻して、2次元の解を得る。
【0082】
2次元から1次元への写像の一例が次式のような辞書式写像である:
【数38】

【0083】
情景全体に対してこの処理方法を使用することは(大域的処理(global processing))、非常に大きな行列をもたらす。グラム行列は(単一マスクパターンを有する)通常の大きさの問題に対して一般に〜10×10の成分を有する。このことは、ある種の応用で適切でないことがある大きな処理オーバヘッドをもたらす。
【0084】
しかしながら、点光源に対する回折パターンは比較的小さいので、情景内の所与の点に関する情報が小さな領域内部に含まれ、局所的処理が使用されることができる。さらに、ある種の応用が、ある時点に情景の小さな部分で、すなわち情景内部の興味のある点で高い解像度を必要とすることがある。
【0085】
局所的処理は情景全体にわたり変動する回折パターンに対処することができる。したがって、スライディングウィンドウ手法は、まさしく検出器アレイ全体の小さな部分である「検出器ボックス」内部のデータを使用して、情景の必要とされる部分の端から端まで走査するために使用されることができる。次に、「復元ボックス」内部で解を見いだし、解を復元ボックス(「解ボックス」)の中央でのみ保持し、1つの回折パターン幅の領域を捨てる。
【0086】
この手法の複雑さは、局所的復元に必要とされる検出器ボックスのサイズに依存する。回折パターンのサイズがN×Nピクセルである場合、Fishらの(A scanning singular−value decomposition method for restoration of images with space−variant blur.D.A.Fish、J.Grochmalicki and E.R.Pike、J.Opt.Soc.Am.A、13、no3、1996年3月、pp464〜469)が、検出器ボックスのサイズは約(2N−1)×(2N−1)ピクセルとすべきであることを示唆している。たとえば、N=20で、392×392のグラム行列を有する。Mのマスクが使用される場合、この値はM×392×392成分まで増大する。
【0087】
したがって、計算負荷は点光源回折パターンのサイズの強い相関的要素であり、この観点から、コンパクトな回折パターンが望ましい。
【0088】
したがって、本発明はサブピクセル解像度が符号化開口イメージング処理で達成されることができるようにする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情景の画像を形成する方法であって、異なる符号化開口アレイを使用してデータの複数のフレームを得るために符号化開口イメージングシステムを使用するステップと、各フレームに対してそのフレームを得るために使用される符号化開口アレイに対応する個々の復号パターンを使用するステップと、検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像解を提供するためにフレームを処理するステップとを含む、方法。
【請求項2】
検出器ピクセルサイズよりも小さな主ローブの幅を伴う平均化カーネルを有する積分演算子により、真の情景に関連するデータに対する解を構築するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各復号パターンが、特定のマスクに対する符号化開口イメージングシステムの点光源回折パターンに対応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
データの各フレームに2次元から1次元への写像を適用し、1次元画像解を提供するためにデータを処理し、その後、2次元画像を形成するために1次元画像解をアンパックする初期ステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
復号パターンがグラム行列に結合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
データの複数のフレームをグラム行列に合わせる複数の係数ベクトルを計算するステップをさらに含み、係数ベクトルがグラム行列の逆行列を求めることにより決定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
Tikhonov正則化により、またはグラム行列の切り捨てられた擬似逆行列を計算することにより、グラム行列が逆行列を求められる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
係数ベクトルを使用して画像解を復元するステップを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
検出器アレイの一部に対応する各フレームからのデータのサブセットからなるデータウィンドウを定義することにより情景画像の一部を決定するステップと、各復号パターンの対応するサブセットを得るステップと、データサブセットおよび復号パターンサブセットを使用して方法を実行するステップとを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各フレームからのデータのサブセットのサイズが、各次元で検出器のその部分での点光源回折パターンのサイズの実質的に2倍の大きさである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
データウィンドウの中心にある画像解を保持するステップと、1つの点光源回折パターンの幅を有する領域を捨てるステップとを含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
コンパクトな回折パターンを生成するために光路内に配置される少なくとも1つの光学的要素を有する符号化開口イメージングシステムを使用してデータが得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
再構成可能な符号化開口マスク装置を介して情景から放射を受け取るための検出器を含み、検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像を生成するために、異なる符号化開口マスクを使用して得られるデータの多数のフレームを処理するためのプロセッサを有する、符号化開口イメージングシステム。
【請求項14】
検出器に到達する放射が、少なくとも1つの光学的要素がない場合よりも多く集中させられるように構成される少なくとも1つの光学的要素を含む、請求項13に記載の符号化開口イメージングシステム。
【請求項15】
データのフレーム間で変更可能な複数の異なる符号化開口アレイを提供するように構成される再構成可能な符号化開口マスク装置を組み込む符号化開口イメージングシステムであって、検出器がマスク装置を介して情景から放射を受け取るための、およびデータのフレームを生成するためのピクセルアレイを含み、イメージングシステムが検出器ピクセルサイズよりも小さなマスク回折スポットサイズを有し、イメージングシステムが、データの各フレームを、そのフレームを取得するために使用される符号化開口アレイに対応する個々の復号パターンの助けを借りて処理するためのプロセッサを含み、検出器に本来備わっている解像度よりも高い解像度を有する画像解を提供する、符号化開口イメージングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2011−530848(P2011−530848A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521626(P2011−521626)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001870
【国際公開番号】WO2010/015805
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】