説明

第四級アンモニウム塩

以下の式(1)で表される第四級アンモニウム塩。
{(R(R(R(ROCHCHOCHCHN}・A (1)
[式中、R、RおよびRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(2)
OCHCH− (2)
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す)
で表されるアルキルオキシエチル基を示し、Rは、メチル基またはエチル基を示し、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、a、bおよびcは0〜3の整数を示し、dは1〜4の整数を示し、a、bおよびcの合計は3以下であり、a、b、cおよびdの合計は4であり、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、第四級アンモニウム塩に関する。
【背景技術】
常温(25℃)において液状を示す第四級アンモニウム塩が、有機合成反応溶媒として注目を浴びている(T.Welton,Chem.Rev.,99,2071−2083(1999)参照)。前記文献に記載されているように、エチルメチルイミダゾリウム塩等の第四級アンモニウム塩は、揮発性が極めて小さく、熱的に安定で高温反応にも耐えること、化学的に安定であること、さらに各種有機化合物の溶解性が高いこと等の特性を有することから、繰り返し利用可能な反応溶媒として利用でき、環境負荷の低い新しい溶媒として、グリーンケミストリーの見地からも注目を浴びている。また、イオン伝導度を有すること、電気化学的に安定であること等の特性を有することから、有機電解合成用の電解質としての応用が期待されている。常温において液状を示す第四級アンモニウム塩としては、例えば、N−ブチル−N−メチルピペリジニウム塩やN−ブチル−N−メチルピロリジニウム塩等があり、そのアニオンとしてはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)、またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)等が知られている。
このような用途に於いては攪拌負荷や物質移動による反応促進の観点から、アニオン成分のそれぞれにおいて、より低粘度の第四級アンモニウム塩の開発が望まれていた。
【発明の開示】
本発明は、常温(以下、25℃を意味する)において液状を示す従前の第四級アンモニウム塩に比べて粘度が低い第四級アンモニウム塩を提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、置換基としてアルキルオキシエトキシエチル基を少なくとも1つ有する第四級アンモニウム塩が、従前の第四級アンモニウム塩に比べて低粘度であることを見出した。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1] 以下の式(1)で表される第四級アンモニウム塩。
{(R(R(R(ROCHCHOCHCHN}・A (1)
[式中、R、RおよびRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(2)
OCHCH− (2)
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す)
で表されるアルキルオキシエチル基を示し、Rは、メチル基またはエチル基を示し、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、a、bおよびcは0〜3の整数を示し、dは1〜4の整数を示し、a、bおよびcの合計は3以下であり、a、b、cおよびdの合計は4であり、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]
[2] R、RおよびRの少なくとも一つがメチル基であり、かつa、bおよびcの合計が1〜3である[1]記載の第四級アンモニウム塩。
[3] R、RおよびRのいずれか二つがメチル基であり、かつa、bおよびcの合計が1〜3である[1]記載の第四級アンモニウム塩。
[4] 以下の式(3)で表される[1]記載の第四級アンモニウム塩。
(RN)・A (3)
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(4):
OCHCHOCHCH− (4)
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す)
で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、R、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、R、R、RおよびRのうち少なくとも一つは式(4)で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]
[5] R、R、RおよびRの少なくとも一つがメチル基である[4]記載の第四級アンモニウム塩。
[6] R、R、RおよびRのいずれか二つがメチル基である[4]記載の第四級アンモニウム塩。
[7] 以下の式(5)で表される[1]記載の第四級アンモニウム塩。
{(R10(R11(ROCHCH(ROCHCHOCHCHN}・A (5)
[式中、R10およびR11は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示し、末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示し、kおよびlは0〜2の整数、mおよびnは1〜3の整数を示し、kおよびlの合計は2以下であり、k、l、m、およびnの合計は4であり、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]
[8] R10およびR11のいずれかがメチル基であり、かつkおよびlの合計が1または2である[7]記載の第四級アンモニウム塩。
[9] R10およびR11がメチル基であり、かつkおよびlが1である[7]記載の第四級アンモニウム塩。
[10] [1]、[4]または[7]記載の第四級アンモニウム塩を含有してなる電解質。
発明を実施するための形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第四級アンモニウム塩は、上記式(1)で表される第四級アンモニウム塩である。
式(1)において、R、R、およびRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(2)
OCHCH− (2)
で表されるアルキルオキシエチル基を示し、式(2)中のRはメチル基またはエチル基を示す。また、式(1)中のRは、メチル基またはエチル基を示す。
、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよい。
a、bおよびcは0〜3の整数を示し、dは1〜4の整数を示し、a、bおよびcの合計は3以下であり、a、b、cおよびdの合計は4である。
、RおよびRの少なくとも一つがメチル基であり、かつa、bおよびcの合計が1〜3である、N−メチル体、N,N−ジメチル体、N,N,N−トリメチル体が好ましく使用される。
また、R、RおよびRのいずれか二つがメチル基であり、かつa、bおよびcの合計が1〜3である、N,N−ジメチル体、N,N,N−トリメチル体がより好ましく使用される。
は、ビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す。
ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。
、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合して形成されるアルキレン鎖としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられる。
形成されるアルキレン鎖がテトラメチレン基の場合、該テトラメチレン基と第四級アンモニウム塩のカチオンを構成する窒素原子との間でピロリジン環が形成される。
また形成されるアルキレン鎖がペンタメチレン基の場合、該ペンタメチレン基と第四級アンモニウム塩のカチオンを構成する窒素原子との間でピペリジン環が形成される。
本発明の式(1)で表される第四級アンモニウム塩は、種々の方法で製造することができるが、好ましい製造法としては、以下に示す製造方法などが挙げられる。
例えば、式(6)
{(R(R(R(ROCHCHOCHCHN}・X (6)
(式中、R〜R、a、b、cおよびdは、前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される第四級アンモニウム=ハライドを式(7)
MA (7)
(式中、Mは水素原子又はアルカリ金属を示し、Aは前記と同じ意味を示す。)
で表される化合物とを反応させて、第四級アンモニウム=ハライド(6)のハロゲンイオンをビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)にイオン交換することによって製造する方法などが挙げられる。
第四級アンモニウム=ハライド(6)のハロゲンイオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンなどが挙げられる。
化合物(7)としては、例えば、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸[HN(SOCF]、テトラフルオロ硼酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、それらのアルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)などが挙げられる。
イオン交換は、通常、以下のような方法により実施される。
第四級アンモニウム=ハライド(6)と化合物(7)とを水中で混合し、得られた水溶液に水に対する溶解性が低い有機溶媒(例えば、酢酸エチル、塩化メチレン等)を混合した後、水層と有機層を分液することにより、有機層として本発明の第四級アンモニウム塩の溶液を得ることができる。本発明の第四級アンモニウム塩は、得られた有機層を必要に応じて水洗し、次いで有機溶媒を留出除去することにより、残渣として得ることができる。
ここで、化合物(7)の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(6)1モルに対して、通常、1.0モル〜1.5モル、好ましくは1.0モル〜1.1モルである。第四級アンモニウム=ハライド(6)と化合物(7)とを混合する際に用いる水の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(6)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。水中での第四級アンモニウム=ハライド(6)と化合物(7)との混合は、通常、10℃〜60℃、好ましくは10℃〜30℃で、通常、1時間〜24時間、好ましくは1時間〜4時間実施される。
有機溶媒の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(6)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。
第四級アンモニウム=ハライド(6)は、式(8)
(R12(R13(R14N (8)
[式中、R12、R13、およびR14は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、式(2)
OCHCH− (2)
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)
で表されるアルキルオキシエチル基、または式(4)
OCHCHOCHCH− (4)
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)
で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、またR12、R13、およびR14のいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、RおよびRは前記と同じ意味を示し、e、f、およびgは0〜3の整数を示し、e、f、およびgの合計は3である。]で表される第三級アミンと、式(9)
OCHCHOCHCH−X (9)
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を示す)
で表されるハロゲノエーテル化合物と反応させることにより製造することができる。
例えば、第三級アミン(8)とハロゲノエーテル化合物(9)と溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等)とを混合して、攪拌することにより、第四級アンモニウム=ハライド(6)を得ることができる。
ハロゲノエーテル化合物(9)の使用量は、第三級アミン(8)1モルに対して、通常、0.5モル〜2.0モルであり、好ましくは0.8モル〜1.2モルである。また、溶媒の使用量は、第三級アミン(8)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。
また、混合、攪拌の温度と時間は、反応に使用する溶媒の種類により適宜選択されるが、反応温度は、通常、20℃以上、好ましくは60℃〜120℃であり、反応時間は、通常、4時間以上、好ましくは4〜24時間、より好ましくは4〜12時間である。
このようにして、第四級アンモニウム=ハライド(6)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を濃縮乾固して第四級アンモニウム=ハライド(6)を主成分とする残渣を得る。この残渣をそのままイオン交換反応に用いることもできるが、必要に応じて、残渣を有機溶媒(例えば、エチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)と混合し、残渣に含まれる未反応原料等を有機溶媒に溶解した後、濾過すると濾滓として高純度の第四級アンモニウム=ハライド(6)を得ることができる。
本発明の第四級アンモニウム塩は、前記式(3)で表わされる第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
式(3)において、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(4)
OCHCHOCHCH− (4)
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す)
で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、またR、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよい。ただし、R、R、RおよびRのうち少なくとも一つは式(4)で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示す。
、R、RおよびRは、少なくとも一つがメチル基であることが好ましい。
また、R、R、RおよびRは、そのいずれか二つがメチル基であることがより好ましい。
はビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す。
ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。
、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合して形成されるアルキレン鎖としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられる。
形成されるアルキレン鎖がテトラメチレン基の場合、該テトラメチレン基と第四級アンモニウム塩のカチオンを構成する窒素原子との間でピロリジン環が形成される。
また、形成されるアルキレン鎖がペンタメチレン基の場合、該ペンタメチレン基と第四級アンモニウム塩のカチオンを構成する窒素原子との間でピペリジン環が形成される。
式(3)で表される第四級アンモニウム塩としては、例えば、
{(CH(CHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N,N−トリメチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH)(CHCH(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CHCH(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N,N−トリエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、

で示されるN−メチル−N−メトキシエトキシエチルピロリジニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHCHOCHCHOCHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジメチル−N,N−ジエトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHOCHCHOCHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジメチル−N−エトキシエトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N,N−トリメチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH)(CHCH(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CHCH(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N,N−トリエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH(CHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、

で示されるN−メチル−N−メトキシエトキシエチルピロリジニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH(CHCHOCHCHOCHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジメチル−N,N−ジエトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH(CHOCHCHOCHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジメチル−N−エトキシエトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレートなどが挙げられる。
これらの中で
N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート({(CH(CHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF)、
N,N,N−トリメチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート({(CH(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF)、
N,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート({(CH(CHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF)、
N−メチル−N−メトキシエトキシエチルピロリジニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート(下記式)、

N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート({(CH(CHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・BF)、
N,N,N−トリメチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート({(CH(CHOCHCHOCHCH)N}・BF)、
N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート({(CH)(CHCH(CHOCHCHOCHCH)N}・BF)、
N,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート({(CH(CHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・BF)、または
N−メチル−N−メトキシエトキシエチルピロリジニウム=テトラフルオロボレート(下記式)

が好ましく使用される。
本発明の式(3)で表される第四級アンモニウム塩は、種々の方法で製造することができる。好ましい製造法としては、式(10)
(RN)・X (10)
(式中、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される第四級アンモニウム=ハライドを式(7)
MA (7)
(式中、MおよびAは前記と同じ意味を示す。)
で表される化合物と反応させて、第四級アンモニウム=ハライド(10)のハロゲンイオンをビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)にイオン交換することによって製造する方法などが挙げられる。
第四級アンモニウム=ハライド(10)のハロゲンイオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。
化合物(7)としては、例えば、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸[HN(SOCF]、テトラフルオロ硼酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、それらのアルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)などが挙げられる。
イオン交換は、通常、以下のような方法により実施される。
第四級アンモニウム=ハライド(10)と化合物(7)とを水中で混合し、得られた水溶液に水に対する溶解性が低い有機溶媒(例えば、酢酸エチル、塩化メチレン等)を混合した後、水層と有機層を分液することにより、有機層として本発明の第四級アンモニウム塩の溶液を得ることができる。本発明の第四級アンモニウム塩は、得られた有機層を必要に応じて水洗し、次いで有機溶媒を留出除去することにより、残渣として得ることができる。
ここで、化合物(7)の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(10)1モルに対して、通常、1.0モル〜1.5モル、好ましくは1.0モル〜1.1モルである。第四級アンモニウム=ハライド(10)と化合物(7)とを混合する際に用いる水の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(10)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。水中での第四級アンモニウム=ハライド(10)と化合物(7)との混合は、通常、10℃〜60℃、好ましくは10℃〜30℃で、通常、1時間〜24時間、好ましくは1時間〜4時間実施される。
有機溶媒の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(10)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。
式(10)で表される第四級アンモニウム=ハライドは、式(11)
N (11)
(式中、R、R、およびRは、前記と同じ意味を示す)
で表される第三級アミンを式(12)
−X (12)
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を示す)
で表されるハロゲノ化合物とを反応させることにより製造することができる。
例えば、第三級アミン(11)とハロゲノ化合物(12)と溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等)とを混合して、攪拌することにより、第四級アンモニウム=ハライド(10)を得ることができる。
ハロゲノ化合物(12)の使用量は、第三級アミン(11)1モルに対して、通常、0.5モル〜2.0モルであり、好ましくは0.8モル〜1.2モルである。また、溶媒の使用量は、第三級アミン(11)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。
また、混合、攪拌の温度と時間は、反応に使用する溶媒の種類により適宜選択されるが、反応温度は、通常、20℃以上、好ましくは60℃〜120℃であり、反応時間は、4時間以上、好ましくは4〜24時間、より好ましくは4〜12時間である。
このようにして、第四級アンモニウム=ハライド(10)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を濃縮乾固して第四級アンモニウム=ハライド(10)を主成分とする残渣を得る。この残渣をそのままイオン交換反応に用いることもできるが、必要に応じて、残渣を有機溶媒(例えば、エチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)と混合し、残渣に含まれる未反応原料等を有機溶媒に溶解した後、濾過すると濾滓として高純度の第四級アンモニウム=ハライド(10)を得ることができる。
本発明の第四級アンモニウム塩は、前記式(5)で表される第四級アンモニウム塩であることが好ましい。
式(5)において、R10およびR11は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示し、末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよい。
kおよびlは、0〜2の整数を示し、mおよびnは1〜3の整数を示す。ただし、kおよびlの合計は2以下であり、k、l、m、およびnの合計は4である。
10およびR11のいずれかがメチル基であり、かつkおよびlの合計が1または2であることが好ましい。
また、R10およびR11がメチル基であり、かつkおよびlが1であることがより好ましい。
およびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示す。
は、ビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す。
ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などが挙げられる。
10およびR11が末端で互いに結合して形成されるアルキレン鎖としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基などが挙げられる。
形成されるアルキレン鎖がテトラメチレン基の場合、該テトラメチレン基と第四級アンモニウム塩のカチオンを構成する窒素原子との間でピロリジン環が形成される。
また、形成されるアルキレン鎖がペンタメチレン基の場合、該ペンタメチレン基と第四級アンモニウム塩のカチオンを構成する窒素原子との間でピペリジン環が形成される。
式(5)で表される第四級アンモニウム塩としては、例えば、R10およびRのいずれかがメチル基であり、かつkおよびlの合計が1または2である、
{(CH(CHCHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH)(CHCH)(CHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN−エチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチル−N−メチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジメチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、

で示されるN−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチルピロリジニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH)(CHCHOCHCH)(CHCHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジエトキシエチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH)(CHCHOCHCH)(CHCHOCHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
で示されるN,N−ジエトキシエチル−N−エトキシエトキシエチル−N−メチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート、
{(CH(CHCHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH)(CHCH)(CHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN−エチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチル−N−メチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH(CHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジメチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、

で示されるN−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチルピロリジニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH)(CHCHOCHCH)(CHCHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジエトキシエチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メチルアンモニウム=テトラフルオロボレート、
{(CH)(CHCHOCHCH)(CHCHOCHCH)(CHCHOCHCHOCHCH)N}・BF
で示されるN,N−ジエトキシエチル−N−エトキシエトキシエチル−N−メチルアンモニウム=テトラフルオロボレートなどが挙げられる。
これらの中で、R10およびR11がメチル基であり、かつkおよびlが1である、
N,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート({(CH(CHCHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF)、
N,N−ジメチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート({(CH(CHOCHCH)(CHOCHCHOCHCH)N}・N(SOCF
が好ましく使用される。
本発明の式(5)で表される第四級アンモニウム塩は、種々の方法で製造することができる。好ましい製造法としては、式(13)
{(R10(R11(ROCHCH(ROCHCHOCHCHN}・X (13)
(式中、R、R、R10、R11、k、l、mおよびnは前記と同じ意味を示し、Xはハロゲン原子を示す。)
で表される第四級アンモニウム=ハライドを式(7):
MA (7)
(式中、MおよびAは前記と同じ意味を示す。)
で表される化合物と反応させて、第四級アンモニウム=ハライド(13)のハロゲンイオンをビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)にイオン交換することによって製造する方法などが挙げられる。
第四級アンモニウム=ハライド(13)のハロゲンイオンとしては、例えば、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。
化合物(7)としては、例えば、ビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸[HN(SOCF]、テトラフルオロ硼酸(HBF)、ヘキサフルオロリン酸(HPF)、それらのアルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。
イオン交換は、通常、以下のような方法により実施される。
第四級アンモニウム=ハライド(13)と化合物(7)とを水中で混合し、得られた水溶液に水に対する溶解性が低い有機溶媒(例えば、酢酸エチル、塩化メチレン等)を混合した後、水層と有機層を分液することにより、有機層として本発明の第四級アンモニウム塩の溶液を得ることができる。本発明の第四級アンモニウム塩は、得られた有機層を必要に応じて水洗し、次いで有機溶媒を留出除去することにより、残渣として得ることができる。
ここで、化合物(7)の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(13)1モルに対して、通常、1.0モル〜1.5モル、好ましくは1.0モル〜1.1モルである。第四級アンモニウム=ハライド(13)と化合物(7)とを混合する際に用いる水の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(14)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。水中での第四級アンモニウム=ハライド(13)と化合物(7)との混合は、通常、10℃〜60℃、好ましくは10℃〜30℃で、通常、1時間〜24時間、好ましくは1時間〜4時間実施される。
有機溶媒の使用量は、第四級アンモニウム=ハライド(13)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。
第四級アンモニウム=ハライド(13)は、式(14)
N(R15(R16(CHCHOR (14)
[式中、R15およびR16は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(4)
OCHCHOCHCH− (4)
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)
で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、またR15およびR16が末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよい。Rは前記と同じ意味を示す。pおよびqは0〜2の整数を示し、rは1〜3の整数を示す。ただし、pおよびqの合計は2以下であり、p、q、およびrの合計は3である。]で表される第三級アミンを式(9)
OCHCHOCHCH−X (9)
(式中、RおよびXは前記と同じ意味を示す。)
で表されるハロゲノエーテル化合物と反応させることにより製造することができる。
例えば、第三級アミン(14)とハロゲノエーテル化合物(9)と溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等)とを混合して、攪拌することにより、第四級アンモニウム=ハライド(13)を得ることができる。
ハロゲノエーテル化合物(9)の使用量は、第三級アミン(14)1モルに対して、通常、0.5モル〜2.0モルであり、好ましくは0.8モル〜1.2モルである。また、溶媒の使用量は、第三級アミン(14)1重量部に対して、通常、1重量部〜10重量部、好ましくは1重量部〜4重量部である。
また、混合、攪拌の温度と時間は、反応に使用する溶媒の種類により適宜選択されるが、反応温度は、通常、20℃以上、好ましくは60℃〜120℃であり、反応時間は、通常、4時間以上、好ましくは4〜24時間、より好ましくは4〜12時間である。
このようにして、第四級アンモニウム=ハライド(13)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を濃縮乾固して第四級アンモニウム=ハライド(13)を主成分とする残渣を得る。この残渣をそのままイオン交換反応に用いることもできるが、必要に応じて、残渣を有機溶媒(例えば、エチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)と混合し、残渣に含まれる未反応原料等を有機溶媒に溶解した後、濾過すると濾滓として高純度の第四級アンモニウム=ハライド(13)を得ることができる。
第三級アミン(14)は種々の方法で製造することができる。好ましい製造法としては、式(15)
NH(R17(CHCHOR (15)
[式中、R17は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または式(4)
OCHCHOCHCH− (4)
(式中、Rは前記と同じ意味を示す。)
で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、Rは前記と同じ意味を示す。sは0〜1の整数を示し、rは1〜2の整数を示す。ただし、sおよびtの合計は2である。]
で表される第一級アミンまたは第二級アミンを式(16)
18CHO (16)
(式中、R18は水素原子、または炭素数1〜3のアルキル基を示す)
で表されるアルデヒドとオートクレーブ中、触媒存在下、水素加圧条件下で反応させることによって製造する方法などが挙げられる。
例えば、第一級または第二級アミン(15)、溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等)、金属触媒(例えば、スポンジNi、パラジウムカーボン等)、およびアルデヒド(16)を、混合してオートクレーブに仕込み、水素を供給して反応させる。また、アルデヒド(16)は、必要に応じて、オートクレーブ加熱後に圧入して反応させてもよい。このようにして第三級アミン(14)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を蒸留して第三級アミン(14)を得ることができる。
ここで、溶媒の使用量は、第一級または第二級アミン(15)1重量部に対して、通常、0.2重量部〜10重量部、好ましくは0.2重量部〜2重量部である。金属触媒の使用量は、第一級または第二級アミン(15)1重量部に対して、通常、0.01重量部〜0.3重量部、好ましくは0.05重量部〜0.15重量部である。アルデヒド(16)の使用量は、(15)で表されるアミンが第一級アミンの時は、第一級アミン1モルに対して、通常、2.0モル〜4.0モル、好ましくは2.0モル〜2.2モル、(15)で表されるアミンが第二級アミンの時は、第二級アミン1モルに対して、通常、1.0モル〜2.0モル、好ましくは1.0モル〜1.2モルである。水素を供給するときの温度は、通常、40℃以上、好ましくは60℃〜120℃、および水素圧力は通常、1MPa以上、好ましくは3MPa〜7MPaである。反応時間は、通常、4〜12時間である。
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
【実施例1】
ジメチルエチルアミン5.12g(0.070モル)、1−ブロモ−2−(メトキシエトキシ)エタン14.2g(0.070モル)及びアセトニトリル10.2gの混合物を、80℃で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を濃縮し、残渣を減圧下に乾燥してN,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ブロミド18.4g(0.070モル)を得た。
上記で得たN,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ブロミド18.4g(0.070モル)に水36.8g及び活性炭0.2gを加えて1時間室温で攪拌し、濾過した。濾液にビストリフルオロメチルスルホニルイミド酸リチウム〔(FCSONLi〕20.3g(0.071モル)を混合して1時間室温で攪拌し、得られた混合物に塩化メチレン36.8gを加えて混合した後、分液して得られた有機層を水36.8gで3回洗浄した。その後有機層から塩化メチレンを留去して油状のN,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート26.3g(0.058モル、収率82.2%)を得た。得られたN,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデートのNMRの分析結果を次に示す。
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.90(bm、2H)、3.66−3.64(m、2H)、3.54−3.48(m、6H)、3.34(s、3H)、3.12(s、6H)、1.39(t、3H)
実施例2〜9、比較例1〜3
出発原料として表1に示す第三級アミン、アルコキシエトキシエチルハライド、アルコキシエチルハライド、またはアルキルハライド、および化合物(7)を用いる以外は、実施例1と同様にして第四級アンモニウム塩を得た。得られた第四級アンモニウム塩のNMRの分析結果を以下に示す。

実施例2の第四級アンモニウム塩:N,N,N−トリメチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:3.83(bm、2H)、3.60−3.57(m、2H)、3.54−3.50(m、2H)、3.48−3.46(m、2H)、3.26(s、3H)、3.10(s、9H)
実施例3の第四級アンモニウム塩:N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(DMSO−d)δ ppm:3.80(bm、2H)、3.59−3.56(m、2H)、3.48−3.44(m、4H)、3.35(q、4H)、3.26(s、3H)、2.96(s、3H)、1.21(t、6H)
実施例4の第四級アンモニウム塩:N,N,N−トリエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.85(bm、2H)、3.65−3.62(m、2H)、3.53−3.51(m、2H)、3.44−3.34(m、11H)、1.32(t、9H)
実施例5の第四級アンモニウム塩:N,N−ジメチル−N−エチル−N−エトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.90(bm、2H)、3.66−3.63(m、2H)、3.57−3.55(m、2H)、3.51−3.48(m、6H)、3.12(s、6H)、1.38(t、3H)、1.18(t、3H)
実施例6の第四級アンモニウム塩:N−メチル−N−メトキシエトキシエチルピロリジニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.83(bm、2H)、3.60−3.54(m、4H)、3.51−3.46(m、6H)、3.26(s、3H)、3.02(s、3H)、2.08(bm、4H)
実施例7の第四級アンモニウム塩:N,N−ジメチル−N−エチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.92(bm、2H)、3.66−3.64(m、2H)、3.55−3.50(m、6H)、3.36(s、3H)、3.14(s、6H)、1.39(t、3H)
実施例8の第四級アンモニウム塩:N,N,N−トリメチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.93(bm、2H)、3.67−3.63(m、2H)、3.60−3.56(m、2H)、3.55−3.51(m、2H)、3.36(s、3H)、3.23(s、9H)
実施例9の第四級アンモニウム塩:N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=テトラフルオロボレート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.91(bm、2H)、3.66−3.64(m、2H)、3.54−3.49(m、4H)、3.45(q、4H)、3.36(s、3H)、3.06(s、3H)、1.36(t、6H)
比較例1の第四級アンモニウム塩:N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.79(bm、2H)、3.51−3.49(m、2H)、3.44(q、4H)、3.37(s、3H)、3.05(s、3H)、1.36(t、6H)
比較例2の第四級アンモニウム塩:N,N−ジアリル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:5.95−5.87(m、2H)、5.76−5.70(m、4H)、3.85(d、4H)、3.18−3.13(m、2H)、2.96(s、3H)、1.82−1.62(bm、2H)、1.43−1.24(bm、6H)、0.89(bt、3H)
比較例3の第四級アンモニウム塩:N,N−ジアリル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウム=テトラフルオロボレート
H−NMR(CDCl)δ ppm:5.98−5.92(m、2H)、5.78−5.71(m、4H)、3.94(d、4H)、3.21−3.17(m、2H)、3.03(s、3H)、1.89−1.64(bm、2H)、1.39−1.20(bm、6H)、0.88(bt、3H)
上記実施例において得られた第四級アンモニウム塩の粘度およびイオン伝導度の測定結果を下表にまとめる。粘度はE型粘度計(東京計器株式会社製)を、イオン伝導度は卓上電導度計CM−30S(東亜ディーケーケー株式会社製)を使用して測定した。また表中、MTEはメトキシエチル基、MTETEはメトキシエトキシエチル基、およびETETEはエトキシエトキシエチル基を表す。


【実施例10】
2−エトキシエチルアミン133.7g(1.50モル)、スポンジNi13.4g、およびメタノール22.5gの混合物を1Lオートクレーブに仕込み、90℃、水素4MPa条件下、46%ホルムアルデヒド水溶液201.3g(3.09モル)を6時間かけて圧入して反応させた。反応終了後反応混合物を濾過し、得られたろ液に氷冷下で35%塩酸152.1g(1.50モル)を滴下し濃縮した。濃縮残渣を水150gで希釈し、氷冷下で30%水酸化ナトリウム水溶液210gを滴下した後、塩化メチレン300gで抽出した。得られたオイル層の塩化メチレンを留去後、単蒸留してN,N−ジメチル−N−エトキシエチルアミン93.3g(0.80モル、収率53.0%)を得た。
上記で得たN,N−ジメチル−N−エトキシエチルアミン7.03g(0.060モル)、1−ブロモ−2−(メトキシエトキシ)エタン12.2g(0.060モル)およびアセトニトリル14.1gの混合物を、80℃で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、得られた反応混合物を濃縮し、残渣を減圧下に乾燥してN,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ブロミド16.4g(0.055モル)を得た。
上記で得たN,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ブロミド16.4g(0.055モル)、水32.8gおよび活性炭0.2gを混合して1時間室温で攪拌し、濾過した。濾液にトリフルオロメチルスルホニルイミド酸リチウム〔(FCSONLi〕15.8g(0.055モル)を混合して1時間室温で攪拌し、得られた混合物に塩化メチレン32.8gを加えて混合した後、分液して得られた有機層を水32.8gで3回洗浄した。その後有機層から塩化メチレンを留去して油状のN,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデート26.5g(0.053モル、収率88.3%)を得た。得られたN,N−ジメチル−N−エトキシエチル−N−メトキシエトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホニルイミデートのNMRの分析結果を次に示す。
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.94(bm、2H)、3.83(bm、2H)、3.66−3.62(m、6H)、3.54−3.50(m、4H)、3.36(s、3H)、3.22(s、6H)、1.20(t、3H)
【実施例11〜12】
出発原料として表4に示すアミンならびにアルコキシエトキシエチルハライドを用いる以外は、合成例1と同様にして目的化合物を得た。得られた化合物のNMRの分析結果を以下に示す。

実施例11の第四級アンモニウム塩:N−エチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチル−N−メチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホンイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.90(bm、2H)、3.77(bm、2H)、3.65−3.51(m、10H)、3.37(s、3H)、3.36(s、3H)、3.12(s、3H)、1.38(t、3H)
実施例12の第四級アンモニウム塩:N,N−ジメチル−N−メトキシエトキシエチル−N−メトキシエチルアンモニウム=ビストリフルオロメチルスルホンイミデート
H−NMR(CDCl)δ ppm:3.91(bm、2H)、3.79(bm、2H)、3.66−3.61(m、6H)、3.54−3.51(m、2H)、3.37(s、3H)、3.36(s、3H)、3.21(s、6H)
上記実施例において得られた第四級アンモニウム塩の粘度およびイオン伝導度の測定結果を表5にまとめる。粘度はE型粘度計(東京計器株式会社製)を、イオン伝導度は卓上電導度計CM−30S(東亜ディーケーケー株式会社製)を使用して測定した。また表5中、MTEはメトキシエチル基を、ETEはエトキシエチル基を、MTETEはメトキシエトキシエチル基を表す。

表5の式(17)は、

で表される第四級アンモニウム塩である。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、低粘度の第四級アンモニウム塩を提供することが可能となる。該第四級アンモニウム塩は、低粘度であることから、反応溶媒、電解質等として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(1)で表される第四級アンモニウム塩。
{(R(R(R(ROCHCHOCHCHN}・A (1)
[式中、R、RおよびRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(2)
OCHCH− (2)
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す)
で表されるアルキルオキシエチル基を示し、Rは、メチル基またはエチル基を示し、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、a、bおよびcは0〜3の整数を示し、dは1〜4の整数を示し、a、bおよびcの合計は3以下であり、a、b、cおよびdの合計は4であり、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]
【請求項2】
、RおよびRの少なくとも一つがメチル基であり、かつa、bおよびcの合計が1〜3である請求項1記載の第四級アンモニウム塩。
【請求項3】
、RおよびRのいずれか二つがメチル基であり、かつa、bおよびcの合計が1〜3である請求項1記載の第四級アンモニウム塩。
【請求項4】
以下の式(3)で表される請求項1記載の第四級アンモニウム塩。
(RN)・A (3)
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、または式(4):
OCHCHOCHCH− (4)
(式中、Rはメチル基またはエチル基を示す)
で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、R、R、RおよびRのいずれか二つが末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、R、R、RおよびRのうち少なくとも一つは式(4)で表されるアルキルオキシエトキシエチル基を示し、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]
【請求項5】
、R、RおよびRの少なくとも一つがメチル基である請求項4記載の第四級アンモニウム塩。
【請求項6】
、R、RおよびRのいずれか二つがメチル基である請求項4記載の第四級アンモニウム塩。
【請求項7】
以下の式(5)で表される請求項1記載の第四級アンモニウム塩。
{(R10(R11(ROCHCH(ROCHCHOCHCHN}・A (5)
[式中、R10およびR11は、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示し、末端で互いに結合してアルキレン鎖を形成していてもよく、RおよびRは、それぞれ互いに同じであっても異なっていてもよく、メチル基またはエチル基を示し、kおよびlは0〜2の整数、mおよびnは1〜3の整数を示し、kおよびlの合計は2以下であり、k、l、m、およびnの合計は4であり、Aはビストリフルオロメチルスルホニルイミデートイオン[N(SOCF]、テトラフルオロボレートイオン(BF)またはヘキサフルオロホスフェートイオン(PF)を示す]
【請求項8】
10およびR11のいずれかがメチル基であり、かつkおよびlの合計が1または2である請求項7記載の第四級アンモニウム塩。
【請求項9】
10およびR11がメチル基であり、かつkおよびlが1である請求項7記載の第四級アンモニウム塩。
【請求項10】
請求項1記載の第四級アンモニウム塩を含有してなる電解質。
【請求項11】
請求項4記載の第四級アンモニウム塩を含有してなる電解質。
【請求項12】
請求項7記載の第四級アンモニウム塩を含有してなる電解質。

【国際公開番号】WO2004/072015
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504953(P2005−504953)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001247
【国際出願日】平成16年2月6日(2004.2.6)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】