筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物
【課題】筆や刷毛を用いても均一かつ綺麗に塗ることができる被覆組成物を得る。
【解決手段】粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であり、被覆材ベース中に30〜300μの大きさの粗粒子が10〜30%配合されており、被覆組成物の粘度が160〜880ポイズである。
(ここに、「係数」とは、ずり速度400〜2500(s−1)の任意の測定値に対するずり応力(Pa)を測定し、各測定値における〔ずり応力(Pa)/ずり速度(s−1)〕を算出した値の平均値をいう。「粘度の数値」は、RVT粘度計を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させた場合の測定値をいう。)
【解決手段】粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であり、被覆材ベース中に30〜300μの大きさの粗粒子が10〜30%配合されており、被覆組成物の粘度が160〜880ポイズである。
(ここに、「係数」とは、ずり速度400〜2500(s−1)の任意の測定値に対するずり応力(Pa)を測定し、各測定値における〔ずり応力(Pa)/ずり速度(s−1)〕を算出した値の平均値をいう。「粘度の数値」は、RVT粘度計を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させた場合の測定値をいう。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情景ジオラマ、景観ジオラマ、鉄道情景ジオラマ、建築情景ジオラマなどのジオラマや、鉄道模型、自動車模型、建築模型などの模型に、筆や刷毛で塗ることによって実物と同じように見せるのに適した被覆組成物に関し、さらに詳しくは、被覆材ベース中に比較的大きな粗粒子を含有し、筆や刷毛で塗っても前記粗粒子が動かずに、綺麗に塗ることが出来る被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物として、例えば、粒径が0.1〜1.2mmもある粒状骨材を用いた仕上塗材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−83630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された仕上塗材はいわゆる壁用であって、各種ジオラマや各種模型に塗るのには適していない。そして、この仕上塗材には、通常の鏝塗用の壁面仕上材と比較して顔料を多量に配合して隠蔽力を高めるように工夫されている。
【0005】
一方、筆や刷毛を用いて各種ジオラマや各種模型に被覆組成物を塗るに当っては、無数の粒子が均一になるように塗ることができないため、従来、スプレーや鏝を用いていたが、スプレーや鏝を用いることなく被覆組成物を塗ることができれば、ジオラマ作製や模型作製に極めて有利である。
この目的を達成するために、本発明では、被覆組成物の粘度、粘性を変化させることにより、筆や刷毛を用いても均一かつ綺麗に塗ることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による被覆組成物は、粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であることを特徴とするものである。
(ここに、「係数」とは、ずり速度400〜2500(s−1)の任意の測定値に対するずり応力(Pa)を測定し、各測定値における〔ずり応力(Pa)/ずり速度(s−1)〕を算出した値の平均値をいう。)
【0007】
本発明における試験によれば、被覆材ベース中に大きな粒子(粗粒子)を含有していると、塗料の粘度の違いにより、筆あるいは刷毛で塗布したとき図7(b)に示すように、粒子の滑りが見られてうまく塗れない場合と、図7(a)に示すように、粒子の滑りは見られず、綺麗に塗れる場合があることが分かった。しかも、この粒子の滑りは、粘度特性を変化させることにより抑えることができることも分かった。この知見に基づき、被覆材ベース中に大きな粒子(粗粒子)を含有している被覆組成物でも、被覆組成物の粘度特性を変化させることにより、筆や刷毛で綺麗に塗ることができるということを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
上述の知見に基づき、被覆組成物の粘度特性を変化させることを試みた。被覆組成物が被塗布体に塗布されるのに近い状態をコーンプレート型粘度計〔ハーケ(HAAKE)社製〕で再現できることから、前記コーンプレート型粘度計を用いて増粘剤の添加量、種類の違う十数種類の試験サンプル品の粘度特性について、以下に述べるような種々の試験を行い、被覆組成物の粘度特性を考察することとした。
【0009】
しかしながら、前記コーンプレート型粘度計の特性上、計器の精度や傷が付く等の理由により、粒子を含有しているサンプルは使用できない。そこで、増粘剤の添加量、種類の違う試験サンプル品であって、粒子を含有していないもの(サンプルST、A〜Uの22品)を用意し、前記コーンプレート型粘度計のずり速度を0〜2500s−1に設定し、前記各サンプルのサンプル温度を20±0.5℃に保ちながら、ずり速度が400〜2500s−1の範囲内の8つの場合について「ずり応力(Pa)」を測定した。ここにいう「ずり速度」の設定値2500s−1とは、使用したコーンプレート型粘度計で計測し得る最大の値である。なお、サンプルNo.STは標準品としての被覆組成物をいい、それを基準にして各サンプルの特性について対比した。
【0010】
得られた測定値を図1〜図6に示すようにグラフ化し、ずり速度が400〜2500s−1の範囲内の8つの場合における「ずり応力」と「ずり速度」から「係数」の平均値を求めた(表1〜表6参照)。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【表6】
【0017】
次に、粒子を含有していない前記サンプルST、A〜U全てに粒子を添加し、粒子を添加した各サンプルを用いて被塗布体への塗布試験を実施し、後述する「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」を判定した。
【0018】
「仕上がり」については、乾燥後に筆や刷毛の跡、凹凸が見られないか否かによって評価した(図8、図9参照)。また、「塗料の垂れ」については、被塗布体であるアクリル板に粒子を添加した各サンプルを300〜600g/m2の範囲内でいずれも同量塗布し、直ちに指で横に一線を掻き、一部分のみ塗料が塗られていない状態を作った上で、直ちに前記アクリル板を垂直に立て、乾燥するまで放置したとき指で一線を掻いた部分に塗料が垂れるかどうかの度合いによって評価した(図10参照)。さらに、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」については、筆、刷毛を使って綺麗に塗料を伸ばしながら作業できるか否かによって評価した。
【0019】
被塗布体であるアクリル板に塗布可能なサンプルとその場合の「係数」を表7に、塗布不可能なサンプルとその場合の「係数」を表8に示す。
【0020】
【表7】
【0021】
【表8】
【0022】
さらに、粒子を添加した各サンプルST、A〜Uのうち、塗布可能なサンプルから無作為に選んだサンプルDと、前記「係数」の最小のサンプルQと最大のサンプルSとを、また、塗布不可能なサンプルについては、前記「係数」の数値の小さいものから4つ、すなわち、L、N、M、Tと、前記「係数」の最大のサンプルUとを抽出し、それらを温度20±0.5℃に保ちながら、ウエルズ−ブルックフィールド社製のRVT粘度計(B型粘度計、No.7のローター使用、中粘度用)により各サンプルの粘度(P)を測定した。ここに、「粘度の数値」とは、RVT粘度計を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させた場合の測定値をいう。また、粒子の含有率を10%、30%とした場合(実施例)と、それ以外の5%と40%の場合(比較例)の試験も合わせて実施した。これらの場合における前記「係数」と「粘度」、ならびに、前記「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の評価を表9、表10に纏めて示す。
【0023】
【表9】
【0024】
【表10】
【0025】
一方、それぞれの場合における「評価の基準」を表11に示す。「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」についての評価のポイントはすでに述べたが、3点以上の点数評価を得たサンプルを合格品とした。
【0026】
【表11】
【0027】
なお、「仕上がり」の評価の点数については、図8の左側から順に示すように、仕上がり度に応じて5点〜1点とした。それらの一部をさらに拡大した状態を、図9に示す。また、「塗料の垂れ」の評価の点数については、図10に示すように、塗られていない部分に垂れが全く見られない場合を5点とし、その部分への垂れの度合が大きくなる順に減点して行った。
【0028】
「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の前記各条件を全て充足する試験サンプル品が、本発明において好ましいとされる被覆組成物ということができ、以下、どのサンプルが合格品であるかについて考察することとする。
【0029】
〔係数の下限〕
サンプルMを塗布したところ、垂れが発生し、かつ、粒子も逃げてしまうことから、うまく塗布することができないと判定した。また、サンプルTを塗布したところ、塗布可能であったが、「仕上がり」の面で要求事項を満足できていないと判定した。さらに、サンプルN、Lについても同様の試験をしたが、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」はサンプルMとほとんど変わらなかった。しかし、「仕上がり」と「塗料の垂れ」はサンプルMよりも格段にひどかった。一方、サンプルQを塗布したところ、塗布可能であった。サンプルTとサンプルQのそれぞれの「係数」の値から、本発明において好ましいとされる被覆組成物の「係数」の最下限を1.0(四捨五入の値)とした。
【0030】
〔係数の上限〕
塗布不可能なサンプルのうち、サンプルRを塗布したところ、筆、刷毛での塗布は厳しかった。サンプルRよりも若干粘度の低いサンプルUを塗布したところ、「仕上がり」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」において若干満足できないと判定するに至った。一方、サンプルSを塗布したところ、塗布可能であり、しかも、「仕上がり」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」においても、良好であると判定することができた。サンプルSとサンプルUのそれぞれの「係数」の値から、本発明において好ましいとされる被覆組成物の「係数」の最上限を3.7(四捨五入の値)とした。
【0031】
よって、本発明において好ましいとされる被覆組成物の前記「係数」は、1.0〜3.7であると判定した。
なお、表7において、サンプルRの「係数」を『不可』としたのは、粘度が高過ぎて測定することができなかったためである。したがって、サンプルRの「係数」2.08(表5参照)は、参考数値とした。
【0032】
〔粗粒子の大きさ(粒子径)〕
一方、筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物に含有させるべき粗粒子の大きさ(粒子径)については、要求された点としての質感を満足するには、30μ以下では目視で認識しづらく、すでに上市されている一般的な塗料、絵の具との差異がなくなることから、30μ以下の粒子は使用しないこととした。逆に、300μ以上の粒子を使用すると、極端に塗りにくくなるので、300μ以上の粒子も使用できない。
【0033】
よって、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物に含有させるべき「粗粒子の大きさ(粒子径)」は、30〜300μであると判定した。
【0034】
〔粒子の含有率〕
また、粒子の含有率については、10%より少なくなった場合には、隠蔽力が悪くなって塗膜に与える質感が乏しくなり、要求されるような質感を得られないことから、10%以下では製品として使用できないと判定した。逆に、30%よりも多くなった場合には、流動性が悪く、筆や刷毛で塗ることができなかった。
【0035】
よって、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物における「粒子の含有率」は10〜30%であると判定した。
【0036】
〔被覆組成物の粘度〕
さらに、「粘度」については、前記「係数」、「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の全ての条件を充足するものを、本発明において好ましいとされる被覆組成物であると判定した。そして、前記「係数」の最下限であるサンプルQ(表7参照)の「粘度」の値160を最小値(単位:ポイズ)と、前記「係数」の最上限であるサンプルS(表7参照)の「粘度」の値880を最大値(単位:ポイズ)と判定した。
【0037】
よって、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物における「粘度」は、160〜880ポイズであると判定した。
【0038】
以上から明らかなように、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物は、粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であり、被覆材ベース中に30〜300μの大きさの粗粒子が10〜30%配合されており、しかも、被覆組成物の粘度が160〜880ポイズのものであることが判明した。
【発明の効果】
【0039】
請求項1又は2記載の被覆組成物を用いた場合には、筆や刷毛を用いても均一かつ綺麗に被塗布体に塗ることができ、垂れることもないので、各種ジオラマや模型に塗るのに最適な被覆組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明に係る被覆組成物をさらに詳細に説明する。
ここに例示する被覆組成物は、着色顔料、体質顔料、アクリルエマルション樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを70〜90%有しており、粒径30〜300μの大きな粗粒子を塗膜中に10〜30%含有する水性塗料である。
【0041】
粒子は、着色されていても、されていなくても良い。粒子として、火山灰地から得られるシラスバルーン、中空セラミックス等の無機粒子、塩化ビニルの粉末などを使用することができる。また、着色粒子としては、着色した樹脂を粉砕したものや、顔料を含んだ状態の懸濁重合等で得られるものを使用することができる。
【0042】
粗粒子の大きさ(粒子径)については、上述した理由により、30〜300μが適しており、粒子の含有率については、上述した理由により、10〜30%である。なお、粒子含有率40%の塗料を被塗布体に塗布したときの塗料表面の状態を撮影した写真を、図11に示す。粒子の含有率が30%を超えると、流動性が悪くなることはすでに述べたが、その結果、この写真からも分かるように塗膜が浮き上がった状態になっており、好ましくない。
【0043】
コーンプレート型粘度計〔ハーケ(HAAKE)社製〕を用いて増粘剤の添加量、種類の違う十数種類の試験サンプル品の粘度特性を考察するに当っては、上述した理由により、粒子を含有していないサンプル品を用意し、前記コーンプレート型粘度計のずり速度を0〜2500s−1に設定し、前記サンプル品のサンプル温度を20±0.5℃に保ちながら、ずり速度が400〜2500s−1の範囲内の8つの場合について「ずり応力(Pa)」を測定した。
【0044】
一方、粒子を含有していない前記サンプル品全てに粒子を添加し、粒子を添加した各サンプルを用いて被塗布体であるアクリル板(6.7×12.0cm、厚さ3.0mm)への塗布試験を実施し、上述の「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」を判定した。また、各サンプル品のサンプル温度を20±0.5℃に保ちながら、ウエルズ−ブルックフィールド社製のRVT粘度計(B型粘度計、No.7のローター使用、中粘度用)を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させ、粒子を添加した各サンプルの粘度(P)を測定した。
【0045】
試験サンプルに粒子を入れて被塗布体であるアクリル板(6.7×12.0cm、厚さ3.0mm)へ塗布したときの、「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」に関する評価を示す表9において、試験ナンバー5、6(サンプルT)の「仕上がり」の評価の点数2.5は、3点に限りなく近いが、若干透けた感じとなり満足できないという理由で、要求事項を満足できていないと判定した。
【0046】
なお、試験ナンバー5、6(サンプルT)の「塗料の垂れ」については、許容範囲であるため、3〜4点とした。また、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」については、粘度が低いため伸ばしやすいという理由で、4〜5点とした。
【0047】
一方、前記表9における試験ナンバー21、22(サンプルU)の「仕上がり」の評価は、表面に若干凹凸が出来るという理由で、2〜2.5点とした。また、「塗料の垂れ」については、全く起らなかったという理由で、5点とした。さらに、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」については、粘度が高くて塗りにくいが、塗布可能という理由で、3点とした。
【0048】
次に、ハーケ(HAAKE)社製のコーンプレート型粘度計及びウエルズ−ブルックフィールド社製のRVT粘度計(B型粘度計)を用いた根拠について、説明する。
塗料や絵の具を塗布する場合には、ずり速度とずり応力との相関関係を考慮する必要がある。これら2つのパラメーターを求める際には、コーンプレート型粘度計を用いるのが一般的であるが、今回の試験サンプル品には、粒子が入っているため、コーンプレート型粘度計の精度や傷を考えると使用できない。そこで、コーンプレート型粘度計は、粒子が含有されていないサンプルの粘度特性を求めるためにのみ使用し、粒子が含有されている試験サンプル品に関しては、再現性があり、かつ、測定値も正確であるRVT粘度計(B型粘度計)を用いることとし、試験サンプル品の温度を20±0.5℃に保ちながら、この粘度計で粘度を測定して試験サンプル品の「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の評価の判定に供することとした。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】サンプルST、サンプルA〜Cのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図2】サンプルST、サンプルD〜Gのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図3】サンプルST、サンプルH〜Kのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図4】サンプルST、サンプルL〜Nのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図5】サンプルST、サンプルO〜Qのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図6】サンプルST、サンプルR〜Uのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図7】被覆材ベース中に大きな粒子(粗粒子)を含有している塗料の粘度の違いにより、筆あるいは刷毛で被塗布体に塗布したとき、綺麗に塗れているか否かの状況を示す写真で、図7(a)は、粒子の滑りは見られず、綺麗に塗れている場合を、図7(b)は、粒子の滑りが見られてうまく塗れていない場合を示す。
【図8】仕上がりの評価を示す写真である。
【図9】図8に示す仕上がりの評価を拡大して示す写真である。
【図10】塗料の垂れの評価を示す写真である。
【図11】粒子含有率40%の塗料を被塗布体に塗布したときの塗料表面の状態を撮影した写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情景ジオラマ、景観ジオラマ、鉄道情景ジオラマ、建築情景ジオラマなどのジオラマや、鉄道模型、自動車模型、建築模型などの模型に、筆や刷毛で塗ることによって実物と同じように見せるのに適した被覆組成物に関し、さらに詳しくは、被覆材ベース中に比較的大きな粗粒子を含有し、筆や刷毛で塗っても前記粗粒子が動かずに、綺麗に塗ることが出来る被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物として、例えば、粒径が0.1〜1.2mmもある粒状骨材を用いた仕上塗材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−83630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された仕上塗材はいわゆる壁用であって、各種ジオラマや各種模型に塗るのには適していない。そして、この仕上塗材には、通常の鏝塗用の壁面仕上材と比較して顔料を多量に配合して隠蔽力を高めるように工夫されている。
【0005】
一方、筆や刷毛を用いて各種ジオラマや各種模型に被覆組成物を塗るに当っては、無数の粒子が均一になるように塗ることができないため、従来、スプレーや鏝を用いていたが、スプレーや鏝を用いることなく被覆組成物を塗ることができれば、ジオラマ作製や模型作製に極めて有利である。
この目的を達成するために、本発明では、被覆組成物の粘度、粘性を変化させることにより、筆や刷毛を用いても均一かつ綺麗に塗ることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による被覆組成物は、粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であることを特徴とするものである。
(ここに、「係数」とは、ずり速度400〜2500(s−1)の任意の測定値に対するずり応力(Pa)を測定し、各測定値における〔ずり応力(Pa)/ずり速度(s−1)〕を算出した値の平均値をいう。)
【0007】
本発明における試験によれば、被覆材ベース中に大きな粒子(粗粒子)を含有していると、塗料の粘度の違いにより、筆あるいは刷毛で塗布したとき図7(b)に示すように、粒子の滑りが見られてうまく塗れない場合と、図7(a)に示すように、粒子の滑りは見られず、綺麗に塗れる場合があることが分かった。しかも、この粒子の滑りは、粘度特性を変化させることにより抑えることができることも分かった。この知見に基づき、被覆材ベース中に大きな粒子(粗粒子)を含有している被覆組成物でも、被覆組成物の粘度特性を変化させることにより、筆や刷毛で綺麗に塗ることができるということを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
上述の知見に基づき、被覆組成物の粘度特性を変化させることを試みた。被覆組成物が被塗布体に塗布されるのに近い状態をコーンプレート型粘度計〔ハーケ(HAAKE)社製〕で再現できることから、前記コーンプレート型粘度計を用いて増粘剤の添加量、種類の違う十数種類の試験サンプル品の粘度特性について、以下に述べるような種々の試験を行い、被覆組成物の粘度特性を考察することとした。
【0009】
しかしながら、前記コーンプレート型粘度計の特性上、計器の精度や傷が付く等の理由により、粒子を含有しているサンプルは使用できない。そこで、増粘剤の添加量、種類の違う試験サンプル品であって、粒子を含有していないもの(サンプルST、A〜Uの22品)を用意し、前記コーンプレート型粘度計のずり速度を0〜2500s−1に設定し、前記各サンプルのサンプル温度を20±0.5℃に保ちながら、ずり速度が400〜2500s−1の範囲内の8つの場合について「ずり応力(Pa)」を測定した。ここにいう「ずり速度」の設定値2500s−1とは、使用したコーンプレート型粘度計で計測し得る最大の値である。なお、サンプルNo.STは標準品としての被覆組成物をいい、それを基準にして各サンプルの特性について対比した。
【0010】
得られた測定値を図1〜図6に示すようにグラフ化し、ずり速度が400〜2500s−1の範囲内の8つの場合における「ずり応力」と「ずり速度」から「係数」の平均値を求めた(表1〜表6参照)。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】
【表3】
【0014】
【表4】
【0015】
【表5】
【0016】
【表6】
【0017】
次に、粒子を含有していない前記サンプルST、A〜U全てに粒子を添加し、粒子を添加した各サンプルを用いて被塗布体への塗布試験を実施し、後述する「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」を判定した。
【0018】
「仕上がり」については、乾燥後に筆や刷毛の跡、凹凸が見られないか否かによって評価した(図8、図9参照)。また、「塗料の垂れ」については、被塗布体であるアクリル板に粒子を添加した各サンプルを300〜600g/m2の範囲内でいずれも同量塗布し、直ちに指で横に一線を掻き、一部分のみ塗料が塗られていない状態を作った上で、直ちに前記アクリル板を垂直に立て、乾燥するまで放置したとき指で一線を掻いた部分に塗料が垂れるかどうかの度合いによって評価した(図10参照)。さらに、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」については、筆、刷毛を使って綺麗に塗料を伸ばしながら作業できるか否かによって評価した。
【0019】
被塗布体であるアクリル板に塗布可能なサンプルとその場合の「係数」を表7に、塗布不可能なサンプルとその場合の「係数」を表8に示す。
【0020】
【表7】
【0021】
【表8】
【0022】
さらに、粒子を添加した各サンプルST、A〜Uのうち、塗布可能なサンプルから無作為に選んだサンプルDと、前記「係数」の最小のサンプルQと最大のサンプルSとを、また、塗布不可能なサンプルについては、前記「係数」の数値の小さいものから4つ、すなわち、L、N、M、Tと、前記「係数」の最大のサンプルUとを抽出し、それらを温度20±0.5℃に保ちながら、ウエルズ−ブルックフィールド社製のRVT粘度計(B型粘度計、No.7のローター使用、中粘度用)により各サンプルの粘度(P)を測定した。ここに、「粘度の数値」とは、RVT粘度計を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させた場合の測定値をいう。また、粒子の含有率を10%、30%とした場合(実施例)と、それ以外の5%と40%の場合(比較例)の試験も合わせて実施した。これらの場合における前記「係数」と「粘度」、ならびに、前記「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の評価を表9、表10に纏めて示す。
【0023】
【表9】
【0024】
【表10】
【0025】
一方、それぞれの場合における「評価の基準」を表11に示す。「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」についての評価のポイントはすでに述べたが、3点以上の点数評価を得たサンプルを合格品とした。
【0026】
【表11】
【0027】
なお、「仕上がり」の評価の点数については、図8の左側から順に示すように、仕上がり度に応じて5点〜1点とした。それらの一部をさらに拡大した状態を、図9に示す。また、「塗料の垂れ」の評価の点数については、図10に示すように、塗られていない部分に垂れが全く見られない場合を5点とし、その部分への垂れの度合が大きくなる順に減点して行った。
【0028】
「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の前記各条件を全て充足する試験サンプル品が、本発明において好ましいとされる被覆組成物ということができ、以下、どのサンプルが合格品であるかについて考察することとする。
【0029】
〔係数の下限〕
サンプルMを塗布したところ、垂れが発生し、かつ、粒子も逃げてしまうことから、うまく塗布することができないと判定した。また、サンプルTを塗布したところ、塗布可能であったが、「仕上がり」の面で要求事項を満足できていないと判定した。さらに、サンプルN、Lについても同様の試験をしたが、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」はサンプルMとほとんど変わらなかった。しかし、「仕上がり」と「塗料の垂れ」はサンプルMよりも格段にひどかった。一方、サンプルQを塗布したところ、塗布可能であった。サンプルTとサンプルQのそれぞれの「係数」の値から、本発明において好ましいとされる被覆組成物の「係数」の最下限を1.0(四捨五入の値)とした。
【0030】
〔係数の上限〕
塗布不可能なサンプルのうち、サンプルRを塗布したところ、筆、刷毛での塗布は厳しかった。サンプルRよりも若干粘度の低いサンプルUを塗布したところ、「仕上がり」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」において若干満足できないと判定するに至った。一方、サンプルSを塗布したところ、塗布可能であり、しかも、「仕上がり」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」においても、良好であると判定することができた。サンプルSとサンプルUのそれぞれの「係数」の値から、本発明において好ましいとされる被覆組成物の「係数」の最上限を3.7(四捨五入の値)とした。
【0031】
よって、本発明において好ましいとされる被覆組成物の前記「係数」は、1.0〜3.7であると判定した。
なお、表7において、サンプルRの「係数」を『不可』としたのは、粘度が高過ぎて測定することができなかったためである。したがって、サンプルRの「係数」2.08(表5参照)は、参考数値とした。
【0032】
〔粗粒子の大きさ(粒子径)〕
一方、筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物に含有させるべき粗粒子の大きさ(粒子径)については、要求された点としての質感を満足するには、30μ以下では目視で認識しづらく、すでに上市されている一般的な塗料、絵の具との差異がなくなることから、30μ以下の粒子は使用しないこととした。逆に、300μ以上の粒子を使用すると、極端に塗りにくくなるので、300μ以上の粒子も使用できない。
【0033】
よって、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物に含有させるべき「粗粒子の大きさ(粒子径)」は、30〜300μであると判定した。
【0034】
〔粒子の含有率〕
また、粒子の含有率については、10%より少なくなった場合には、隠蔽力が悪くなって塗膜に与える質感が乏しくなり、要求されるような質感を得られないことから、10%以下では製品として使用できないと判定した。逆に、30%よりも多くなった場合には、流動性が悪く、筆や刷毛で塗ることができなかった。
【0035】
よって、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物における「粒子の含有率」は10〜30%であると判定した。
【0036】
〔被覆組成物の粘度〕
さらに、「粘度」については、前記「係数」、「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の全ての条件を充足するものを、本発明において好ましいとされる被覆組成物であると判定した。そして、前記「係数」の最下限であるサンプルQ(表7参照)の「粘度」の値160を最小値(単位:ポイズ)と、前記「係数」の最上限であるサンプルS(表7参照)の「粘度」の値880を最大値(単位:ポイズ)と判定した。
【0037】
よって、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物における「粘度」は、160〜880ポイズであると判定した。
【0038】
以上から明らかなように、本発明において最も好ましいとされる被覆組成物は、粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であり、被覆材ベース中に30〜300μの大きさの粗粒子が10〜30%配合されており、しかも、被覆組成物の粘度が160〜880ポイズのものであることが判明した。
【発明の効果】
【0039】
請求項1又は2記載の被覆組成物を用いた場合には、筆や刷毛を用いても均一かつ綺麗に被塗布体に塗ることができ、垂れることもないので、各種ジオラマや模型に塗るのに最適な被覆組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明に係る被覆組成物をさらに詳細に説明する。
ここに例示する被覆組成物は、着色顔料、体質顔料、アクリルエマルション樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを70〜90%有しており、粒径30〜300μの大きな粗粒子を塗膜中に10〜30%含有する水性塗料である。
【0041】
粒子は、着色されていても、されていなくても良い。粒子として、火山灰地から得られるシラスバルーン、中空セラミックス等の無機粒子、塩化ビニルの粉末などを使用することができる。また、着色粒子としては、着色した樹脂を粉砕したものや、顔料を含んだ状態の懸濁重合等で得られるものを使用することができる。
【0042】
粗粒子の大きさ(粒子径)については、上述した理由により、30〜300μが適しており、粒子の含有率については、上述した理由により、10〜30%である。なお、粒子含有率40%の塗料を被塗布体に塗布したときの塗料表面の状態を撮影した写真を、図11に示す。粒子の含有率が30%を超えると、流動性が悪くなることはすでに述べたが、その結果、この写真からも分かるように塗膜が浮き上がった状態になっており、好ましくない。
【0043】
コーンプレート型粘度計〔ハーケ(HAAKE)社製〕を用いて増粘剤の添加量、種類の違う十数種類の試験サンプル品の粘度特性を考察するに当っては、上述した理由により、粒子を含有していないサンプル品を用意し、前記コーンプレート型粘度計のずり速度を0〜2500s−1に設定し、前記サンプル品のサンプル温度を20±0.5℃に保ちながら、ずり速度が400〜2500s−1の範囲内の8つの場合について「ずり応力(Pa)」を測定した。
【0044】
一方、粒子を含有していない前記サンプル品全てに粒子を添加し、粒子を添加した各サンプルを用いて被塗布体であるアクリル板(6.7×12.0cm、厚さ3.0mm)への塗布試験を実施し、上述の「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」を判定した。また、各サンプル品のサンプル温度を20±0.5℃に保ちながら、ウエルズ−ブルックフィールド社製のRVT粘度計(B型粘度計、No.7のローター使用、中粘度用)を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させ、粒子を添加した各サンプルの粘度(P)を測定した。
【0045】
試験サンプルに粒子を入れて被塗布体であるアクリル板(6.7×12.0cm、厚さ3.0mm)へ塗布したときの、「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」に関する評価を示す表9において、試験ナンバー5、6(サンプルT)の「仕上がり」の評価の点数2.5は、3点に限りなく近いが、若干透けた感じとなり満足できないという理由で、要求事項を満足できていないと判定した。
【0046】
なお、試験ナンバー5、6(サンプルT)の「塗料の垂れ」については、許容範囲であるため、3〜4点とした。また、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」については、粘度が低いため伸ばしやすいという理由で、4〜5点とした。
【0047】
一方、前記表9における試験ナンバー21、22(サンプルU)の「仕上がり」の評価は、表面に若干凹凸が出来るという理由で、2〜2.5点とした。また、「塗料の垂れ」については、全く起らなかったという理由で、5点とした。さらに、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」については、粘度が高くて塗りにくいが、塗布可能という理由で、3点とした。
【0048】
次に、ハーケ(HAAKE)社製のコーンプレート型粘度計及びウエルズ−ブルックフィールド社製のRVT粘度計(B型粘度計)を用いた根拠について、説明する。
塗料や絵の具を塗布する場合には、ずり速度とずり応力との相関関係を考慮する必要がある。これら2つのパラメーターを求める際には、コーンプレート型粘度計を用いるのが一般的であるが、今回の試験サンプル品には、粒子が入っているため、コーンプレート型粘度計の精度や傷を考えると使用できない。そこで、コーンプレート型粘度計は、粒子が含有されていないサンプルの粘度特性を求めるためにのみ使用し、粒子が含有されている試験サンプル品に関しては、再現性があり、かつ、測定値も正確であるRVT粘度計(B型粘度計)を用いることとし、試験サンプル品の温度を20±0.5℃に保ちながら、この粘度計で粘度を測定して試験サンプル品の「仕上がり」、「塗料の垂れ」、「塗りやすさ(刷毛の伸ばしやすさ)」の評価の判定に供することとした。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】サンプルST、サンプルA〜Cのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図2】サンプルST、サンプルD〜Gのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図3】サンプルST、サンプルH〜Kのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図4】サンプルST、サンプルL〜Nのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図5】サンプルST、サンプルO〜Qのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図6】サンプルST、サンプルR〜Uのずり速度とずり応力の関係を示すグラフである。
【図7】被覆材ベース中に大きな粒子(粗粒子)を含有している塗料の粘度の違いにより、筆あるいは刷毛で被塗布体に塗布したとき、綺麗に塗れているか否かの状況を示す写真で、図7(a)は、粒子の滑りは見られず、綺麗に塗れている場合を、図7(b)は、粒子の滑りが見られてうまく塗れていない場合を示す。
【図8】仕上がりの評価を示す写真である。
【図9】図8に示す仕上がりの評価を拡大して示す写真である。
【図10】塗料の垂れの評価を示す写真である。
【図11】粒子含有率40%の塗料を被塗布体に塗布したときの塗料表面の状態を撮影した写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であることを特徴とする筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物。
(ここに、「係数」とは、ずり速度400〜2500(s−1)の任意の測定値に対するずり応力(Pa)を測定し、各測定値における〔ずり応力(Pa)/ずり速度(s−1)〕を算出した値の平均値をいう。)
【請求項2】
被覆材ベース中に30〜300μの大きさの粗粒子が10〜30%配合されており、被覆組成物の粘度が160〜880ポイズであることを特徴とする請求項1記載の筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物。
(ここに、「粘度の数値」は、RVT粘度計を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させた場合の測定値をいう。)
【請求項1】
粗粒子を含まない、着色顔料、体質顔料、樹脂、増粘剤、添加剤、水からなる被覆材ベースを、温度20±0.5℃に保ちながら、コーンプレート型粘度計で測定した場合における、ずり速度−ずり応力相関図から得られるグラフの係数の値が、1.0〜3.7であることを特徴とする筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物。
(ここに、「係数」とは、ずり速度400〜2500(s−1)の任意の測定値に対するずり応力(Pa)を測定し、各測定値における〔ずり応力(Pa)/ずり速度(s−1)〕を算出した値の平均値をいう。)
【請求項2】
被覆材ベース中に30〜300μの大きさの粗粒子が10〜30%配合されており、被覆組成物の粘度が160〜880ポイズであることを特徴とする請求項1記載の筆塗り・刷毛塗り可能な被覆組成物。
(ここに、「粘度の数値」は、RVT粘度計を用いてNo.7のローターを5rpmで回転させた場合の測定値をいう。)
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−155491(P2009−155491A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335699(P2007−335699)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(593192058)ターナー色彩株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(593192058)ターナー色彩株式会社 (3)
【Fターム(参考)】
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