説明

筆記具装着用ルーペおよびそれを装着したルーペ付筆記具

【課題】筆記具の軸筒に装着するためのシリンダ状の筆記具装着用ルーペを提供するとともに、ルーペを筆記具の軸筒に装着したルーペ付筆記具において、筆記具の使用時であってもルーペを独立して使用でき、また、筆記具の全体形状のデザイン性を損なうことのないものを提供する。
【解決手段】筆記具装着用ルーペを、前方を小幅とし後方を前記小幅より大幅とした、小幅部と大幅部との2段からなるシリンダ状に形成する。筆記具の軸筒の開口した後端部に空間部を設ける。前記筆記具装着用ルーペを、該筆記具装着用ルーペの小幅部を前記軸筒の空間部に挿入し、大幅部を軸筒の後端より露出させて、筆記具の後端に着脱自在に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ状の筆記具装着用ルーペ、およびこのルーペを筆記具の軸筒の開口した後端部に形成した空間部に着脱自在に挿着したルーペ付筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字等が記載された紙面上に載置することにより文字等を拡大して視認できる、シリンダ状のルーペは知られている。また、このシリンダ状のルーペは携帯性が良く使い勝手も良いことから、筆記具に装着したものも提案されている。例えば、「透明プラスチック半円柱を装着したボールペン」なる考案が実開昭61−22684号公報により、また「ルーペ付き筆記具」なる考案が登録実用新案第3029850号公報により提案されている。
【0003】
しかし、こうした従来の考案のルーペ付筆記具は、ルーペが軸筒に一体に組み込まれた構造となっており、筆記具を使用時にはルーペを使用することができないという問題がある。また、ルーペを軸筒の後端に単に連接した構造では、軸筒の後端に軸筒形状と相違したルーペが連接した形状となり、全長が長くなるということだけではなく、デザイン性も良くないという問題がある。
【0004】
ところで、筆記具の前方に複数の筆記体を収納して、夫々の筆記先端部を選択的に軸先から出没可能とすると共に筆記具の後端に塗布体を備えた複式筆記具が、特開平11−115377号公報により開示されいる。塗布体は、軸筒の開口した後端部に形成された空間部に挿着されている。本願発明者は、こうした構造に着目し、塗布体に替えてシリンダ状のルーペを、軸筒の開口した後端部に形成された空間部に着脱自在に挿着することにより、前記諸問題を解消することを思いつき、本発明に至った。
【特許文献1】実開昭61−22684号公報
【特許文献2】登録実用新案第3029850号公報
【特許文献3】特開平11−115377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、筆記具の軸筒に装着するためのシリンダ状の筆記具装着用ルーペを提供するとともに、ルーペを筆記具の軸筒に装着したルーペ付筆記具において、筆記具の使用時であってもルーペを独立して使用でき、また、筆記具の全体形状のデザイン性を損なうことのないものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
「1.筆記具に装着するためのシリンダ状のルーペであって、前方を小幅とし後方を大幅とした2段のシリンダ状であることを特徴とする筆記具装着用ルーペ。
2.前記ルーペを、側面が長手方向に直交する方向の幅が小幅と大幅の2段形状とした、矩形状の当接面と該当接面に対向した面が曲面で構成した第1のルーペ部材部と第2のルーペ部材を設け、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材の各々の一方の端部を連結手段により開閉可能に連結し、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材の各々の当接面が当接した閉じた状態でシリンダ状となる、前記1項に記載の筆記具装着用ルーペ。
3.前記第1のルーペ部材および第2のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、大幅の当接面に対向した曲面の曲率を小幅の当接面に対向した曲面の曲率より大きくしたことを特徴とする、前記2項に記載の筆記具装着用ルーペ。
4.前記第1のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率を同一に、前記第2のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、小幅の当接面に対向した曲面の曲率を大幅の当接面に対向した曲面の曲率をより小さくしたことを特徴とする、前記2項に記載の筆記具装着用ルーペ。
5.前記第1のルーペ部材および第2のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、各々の曲面の曲率を各々相違させたことを特徴とする、前記2項に記載の筆記具装着用ルーペ。
6.筆記具の軸筒の開口した後端部に空間部を設け、前記1項乃至5項のいずれか1項に記載の筆記具装着用ルーペを、該筆記具装着用ルーペの小幅部を前記軸筒の空間部に挿入し大幅部を軸筒の後端より突出させて筆記具の軸筒の後端に着脱自在に装着したことを特徴とする、ルーペ付筆記具。
7.前記1項乃至5項のいずれか1項に記載の筆記具装着用ルーペの小幅部の側面に軸心方向に沿って延びた突起又は凹溝からなる係合手段を設け、筆記具の軸筒の空間部の内壁面に軸心に沿った方向に延びた前記係合手段と係合する突起又は凹溝からなる被係合手段を設け、前記筆記具装着用ルーペの係合手段と筆記具の被係合手段とを係合することにより前記筆記具装着用ルーペの軸筒の空間部に対する回転防止手段としたことを特徴とする、前記6項に記載のルーペ付筆記具。」
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の筆記具装着用ルーペは、シリンダ状で、軸筒内に挿入する小幅部と軸筒の後端開口部から外方に突出する大幅部の2段形状とし、小幅部のみを筆記具の軸筒の開口した後端部に形成した空間部に挿入するので、大幅部は筆記具装着用ルーペを軸筒の空間部に着脱する際の把持部となり、大幅部を把持して容易に前記空間部に着脱することができる。
【0008】
また、シリンダ状のルーペにける倍率は、曲面の曲率により左右されることが知られているが、シリンダ形状を構成する曲面を、曲率が相違する複数の曲面で構成してシリンダ形状とすることで、1つのルーペで複数の倍率を有した筆記具装着用ルーペを提供できるが、本発明の筆記具装着用ルーペの形状は、小幅部と大幅部からなる2段のシリンダ状の形状にしてあるので、小幅部と大幅部との曲率を相違させることで2種類の倍率を有したルーペとなる。さらに、筆記具装着用ルーペを第1のルーペ部材と第2のルーペ部材とでシリンダ状に形成し、連結手段により連結した連結部を中心に開閉可能とすることにより、ルーペを閉じた状態でも使用できるし、ルーペを開いた場合には当接面を紙面に接して載置すれば、ルーペが転がることがないので手で持って使用する必要がない。さらに、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材における小幅部と大幅部の各曲面の曲率を色々変えることにより、一つの筆記具装着用ルーペで何種類の倍率を有したルーペとすることができるという利点がある。
【0009】
本発明のルーペ付筆記具は、ルーペを軸筒の開口した後端部に形成した空間部に着脱自在に装着するので、筆記具で筆記中に、ルーペを軸筒から取り外して使用でき、文字等が記載された紙面上に載置することで文字等を拡大して視認することができる。また、前記ルーペの小幅部の側面に設けた係合手段と、筆記具の軸筒の空間部を構成する内壁面に設けた被係合手段とを係合して軸筒に装着するので、ルーペは軸筒に装着した際に回転することがないので、軸筒内に装着されたルーペの小幅部が回転により軸筒の内壁面と擦れて表面に傷が付くということがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における筆記具装着用ルーペはシリンダ状に形成するが、1部材でシリンダ状に形成したものでも良いし、当接面と該当接面に対向した面を曲面とした2つのルーペ部材で、各ルーペ部材の当接面を当接することでシリンダ状としたものでも良い。当接面は、平面である必要性はなく、中央部が若干内側にくぼんだ凹状または若干突出した凸状の曲面であっても良い。ルーペの材質としては、ガラス、アクリル樹脂等の合成樹脂が挙げられる。また、本発明における筆記具装着用ルーペは、軸筒の後端部の空間部に挿入される小幅部と、軸筒の外方に突出する軸筒の空間部の径より大径な大幅部都で構成された2段のシリンダ状の形状とする。前記したように1つでシリンダ状のルーペとしても良いし、2つのルーペ部材を組み合わせてシリンダ状のルーペとしても良い。その際、2つのルーペ部材の各々の一方の端部を開閉可能な連結手段により連結すれば、一方のルーペ部材を紛失して筆記具の空間部に装着できないということがない。また、2つのルーペ部材部材で構成したルーペにおいては、第1のルーペ部材における倍率、第2のルーペ部材における倍率、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を組み合わせた得られる倍率と、複数の倍率を有したルーペとして提供できる。
【0011】
2つのルーペである第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を開閉可能に連結するには、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を同材質で形成し、端部を開閉可能に薄肉状体で連接することで可能である。または、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材の各々の端部に連結部材を配し、第1のルーペ部材と連結部材の一方の端部をピンを介して回転可能に連接し、第2のルーペ部材と連結部材の他方の端部をピンを介して回転可能に連接し、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を連設することで可能である。
【0012】
ルーペ付筆記具は、前記したような筆記具挿着用ルーペを、筆記具の軸筒の開口した後端部に形成した空間部に着脱自在に装着するが、簡単にルーペが軸筒の空間部より抜け落ちないように、ルーペを軸筒内に圧入や、ルーペと軸筒の内壁に形成した、従来より嵌合手段として知られている落込嵌合手段や乗越嵌合手段により装着する。ルーペに突起又は凹溝を設け、筆記具の軸筒の空間部の内壁面に前記突起又は凹溝に係合する凹溝又は突起を設けて、前記突起と凹溝を係合することにより、或いはルーペに1つ又は2つの突起を設け、筆記具の軸筒の空間部の内壁面に前記突起を挟むように並列に配設した1つの突起または前記2つの突起間に係合する1つの突起を設けて、一方の1つの突起を他方の2つの突起間に係合することにより、ルーペが軸筒の空間部内で回転しないようにする。
【0013】
筆記具は、筆記体の筆記先端部が軸筒の先端開口部より常時突出した構造のものであっても良いし、従来より良く知られている回転繰出機構やサイドノック式繰出機構等を軸筒内に設けて、筆記具の筆記先端部を軸筒の先端開口部より出没させる構造のものであっても良い。本発明における筆記具は、軸筒内にどのような内部構造を有したものでも良い。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を図面を用いて説明する。同じ部材、同じ箇所を示すものには同じ符号を付してある。図1〜図2は、筆記具装着用ルーペの第1の実施例を示すものである。図1は筆記具装着用ルーペの斜視図であり、図2は、図1におけるA−A線部分の横断面図である。
【0015】
本実施例の筆記具装着用ルーペ1は、径が小幅な断面形状が略円形状の小幅部1aと大幅な横断面形状が円形状の大幅部1bの2段からなるシリンダ状に形成してある。小幅部1aの側面上には、軸心に沿った方向に延びた平地部2が設けてあり、該平地部2の大幅部1b側の後方端部1abには小幅部1aと大幅部1bとの段差の長さより短い突出量の突起3を設けてある。
【0016】
本筆記具装着用ルーペ1は、シリンダ状の小幅部1aと大幅部1bとで曲面の曲率が相違しているので、2種類の倍率を有している。
【0017】
図3〜図5は、前記筆記具装着用ルーペを装着したルーペ付筆記具の実施例を示すものであり、図3は、前記実施例のルーペを、筆記具本体に装着する前の状態を示した図である。図4は、図3におけるB−B線部分の拡大端面図である。図5は、前記実施例のルーペ1を筆記具本体に装着した状態を示す、ルーペ付筆記具側面図である。
【0018】
本実施例に示すルーペ付筆記具100は、軸筒102内にボールペン等の筆記体を収納した筆記具本体101の後端に前記筆記具装着用ルーペ1を着脱自在に装着したものである。筆記具本体101は、筆記体の筆記先端部103aが軸筒102の先端開口部102aより常時突出したものである。
【0019】
クリップ104を一体に形成した軸筒102の開口した後端部102bには、空間部105を形成してある。図4に示すように、空間部105を構成する軸筒102の内壁面106のクリップ104側の部分には、軸心に沿った方向に延びた2つの並列した係合突起107を設けてある。前記筆記具装着用ルーペ1は、先ずルーペ1に設けた突起3を前記軸筒102の内壁面106に設けた2つの係合突起の間の部分108に係合して、ルーペ1を空間部105に装着する。ルーペ1の突起3は、軸筒102の係合突起の間の部分108の内壁面圧入状態で当接するような寸法形状にしてあるので、容易に空間部105から離脱することはない。また、突起3が2つの係合突起107に挟まれているので、ルーペ1が筆記具本体101の空間部105内で回転することもない。また、図5に示すように、ルーペ1は、筆記具本体101に装着した際に大幅部1bが筆記具本体101の軸筒102の開口後端部102bより外方に突出するので、着脱時に大幅部1bを挟持して着脱操作を行うことができる。
【0020】
図6〜図7は、筆記具装着用ルーペの第2の実施例を示すものであり、図6はその筆記具装着用ルーペの斜視図である。図7は、図6におけるC−C線部分の横断面図である。
【0021】
第2の実施例の筆記具装着用ルーペ11は、横断面形状が略ラグビーボール形状で、その長径側の長さが小幅な小幅部11aと大幅な大幅部11bの2段からなるシリンダ状に形成してある。前記小幅部11aと大幅部11bの長径側の両端は、平地部12、13としてある。小幅部11aは、前記筆記具本体101の軸筒102の空間部105に挿入可能に形成してあり、大幅部11bは空間部105の内径より長径側の長さを大径に形成してある。また、本筆記具装着用ルーペ1は、小幅部1aと大幅部1bとにおける曲面の曲率は同一であるので、従って、小幅部11aと大幅部11bにおけるルーペとしての倍率は同じである。
【0022】
小幅部11aの両端の平地部12には、小幅部11aの前方端部11aaと大幅部11b側の後方端部11abに、小幅部1aと大幅部1bとの段差より短い突出量の突起14、15を設けてある。
【0023】
第2の実施例の筆記具装着用ルーペ11を装着したルーペ付筆記具とするには、図示していないが、図3に示す筆記具本体101に、前記実施例と同様にして、本実施例の筆記具装着用ルーペ11を、小幅部11aの一方の平地部12の突起14、15を前記筆記体101の軸筒102の内壁面106に形成した


係合突起の間の部分108に係合させて、ルーペ11を空間部105に装着すれば良い。前記第1の実施例のルーペ1と同様に、一方の平地部12の突起14、15は係合突起の間の部分108の内壁面に、他方の平地部12の突起14、15は軸筒の内壁面106に圧入状態で当接するような寸法形状にしてあるので、容易に空間部105から離脱することはない。
【0024】
図8〜図9は、筆記具装着用ルーペの第3の実施例を示すものであり、図8は開閉可能な筆記具装着用ルーペの斜視図である。図9は、ルーペを開いた状態を示す筆記具装着用ルーペの平面図である。
【0025】
第3の実施例の筆記具装着用ルーペ21は、第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23とからなる。第1のルーペ部材22は、平面状の当接面24と該当接面24に対向した面を屈曲させた曲面25とで構成されており、当接面24における長手方向に直交する方向の幅が小幅な当接面24aと曲面25aで構成された小幅部26と、当接面24における長手方向に直交する方向の幅が大幅な当接面24bと曲面25bで構成された大幅部27を有する。大幅部27の曲面25bの横断面形状は半円状に形成してあり、小幅部26の曲面25aの形状は大幅部27の曲面25bの曲率より小さな曲率の円弧状に形成してある。第2のルーペ部材23は、第1のルーペ部材22と全く同形状に形成してある。
【0026】
第1のルーペ部材22および第2のルーペ部材23の小幅部26の当接面24aにおける長辺側の両端には平地部28を設けてあり、第1のルーペ部材22および第2のルーペ部材23の同側の一方の平地部28a(図9において上側の平地部)の大幅部27側の端部には、小幅部26と大幅部27との段差より短い突出量の突起29を設けてある。
【0027】
第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23は、各々の当接面24が同一平面上となるように配設して、第1のルーペ部材22の小幅な当接面24a側の端部と第2のルーペ部材23の小幅な当接面24a側の端部が薄皮状態で連接している。これにより、第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23の互いの当接面24を当接、離間状態(図8において矢印方向)に開閉可能に設けてある。第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23を閉じて互いの当接面24を当接することにより、筆記具装着用ルーペ21として2段からなるシリンダ形状となる。第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23の小幅部26で構成されるシリンダ状の小幅部は、前記筆記具本体101の軸筒102の開口した後端部102bに形成した空間部105に挿入可能に形成してあり、第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23の大幅部27で構成されるシリンダ状の大幅部は、前記筆記具本体101の空間部105の内径より大径で、開口後端部102bの軸径と略同径に形成してある。
【0028】
本実施例のルーペ21は、第1のルーペ部材22における小幅部26と大幅部27の曲面の曲率が相違しているので、従ってルーペとしての2種類の倍率が得られ、第2のルーペ部材27における小幅部26と大幅部27の曲面の各々の曲率は、第1のルーペ部材22における小幅部26と大幅部27の曲面の曲率と同じであり、同じ倍率である。第1のルーペ部材22と第2のルーペ部材23を閉じた状態のシリンダー状の小幅部と大幅部における倍率は、前記2種類の倍率と相違した倍率が得られ、本実施例のルーペ21は4種類の倍率を得ることができる。
【0029】
第3の実施例の筆記具装着用ルーペ21を装着したルーペ付筆記具とするには、図示していないが、図3に示す筆記具本体101に、前記実施例と同様にして、本実施例の筆記具装着用ルーペ21を、小幅部26の一方の平地部28に形成した突起32を前記筆記体101の軸筒102の内壁面106の係合突起の間の部分108に係合させて、ルーペ21を空間部105に装着すれば良い。前記第1の実施例のルーペ1と同様に、一方の平地部12の突起32は係合突起の間の部分108の内壁面に圧入状態で当接するような寸法形状にしてあるので、容易に空間部105から離脱することはない。
【0030】
図10〜図12は、筆記具装着用ルーペの第4の実施例を示すものであり、図10は開閉可能な筆記具装着用ルーペであって、開いた状態を示す図である。図11は、そのルーペを分解した状態を示す、筆記具装着用ルーペの分解図である。図12は、そのルーペの組立て状態を示す、筆記具装着用ルーペの組立状態図である。
【0031】
第4の実施例の筆記具装着用ルーペ41は、前記第3の実施例の筆記具装着用ルーペ21と同様に第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43とからなる。第1のルーペ部材42および第2のルーペ部材43は、若干内側にくぼんだ凹状の曲面である当接面44における長手方向に直交する方向の幅が小幅な当接面44aと曲面45aで構成された小幅部46と、当接面における長手方向に直交する方向の幅が大幅な当接面44bと曲面45bで構成された大幅部47を有する。
【0032】
前記第3の実施例の筆記具装着用ルーペ21と同様に、第1のルーペ部材42および第2のルーペ部材43の小幅部46の両端(図10において上下端)には平地部48を設けてあり、両平地部48の小幅部46の大幅部47側の端部には、小幅部46と大幅部47との段差より短い突出量の突起49を設けてある。
【0033】
第1のルーペ部材と第2のルーペ部材の大幅部47の反対側の小幅部46の端部には切欠部50が設けてあり、該切欠部50には連結部材51を配設して、該連結部材51の一方端51aをピン52を介して第1のルーペ部材42に、連結部材51の他方端51bをピン51を介して第2のルーペ部材43に互いに回動可能に枢着して、第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43を連接し、第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43の互いの当接面44を当接、離間状態に開閉可能に設けてある。第3の実施例の筆記具装着用ルーペ21と同様に、第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43を閉じて互いの当接面44を当接することにより、筆記具装着用ルーペ41として2段からなるシリンダ形状となる。第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43の小幅部46で構成されるシリンダ状の小幅部は、前記筆記具本体101の軸筒102の開口した後端部102bに形成した空間部105に挿入可能に形成してあり、第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43の大幅部46で構成されるシリンダ状の大幅部は、前記筆記具本体101の空間部105の内径より大径で、開口後端部102bの軸径と略同径に形成してある。
【0034】
本実施例のルーペ41は、第1のルーペ部材42における小幅部46と大幅部47の曲面の曲率が相違しているので、従ってルーペとしての2種類の倍率が得られ、第2のルーペ部材43における小幅部46と大幅部47の曲面の各々の曲率は、第1のルーペ部材42における小幅部46と大幅部47の曲面の曲率と同じであり、同じ倍率である。第1のルーペ部材42と第2のルーペ部材43を閉じた状態のシリンダー状の小幅部と大幅部における倍率は、前記2種類の倍率と相違した倍率が得られ、本実施例のルーペ41は4種類の倍率を得ることができる。
【0035】
第4の実施例の筆記具装着用ルーペ41を装着したルーペ付筆記具とするには、図示していないが、本実施例の筆記具装着用ルーペ41を、小幅部46の一方の平地部48に形成した突起49を前記筆記体101の軸筒102の内壁面106の係合突起の間の部分108に係合させて、他方の平地部48の突起49は軸筒の内壁面106に圧入状態で当接するような寸法形状にしてあるので、容易に空間部105から離脱することはない。
【0036】
第5の実施例の筆記具装着用ルーペは、図示していないが、第1のルーペ部材の当接面に対向した小幅部と大幅部の曲面の曲率を同一に形成した以外は、第4の実施例の筆記具装着用ルーペ51と同様にして形成した。その結果、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を開いた状態ではルーペとしての3種類の倍率が得られ、閉じた状態ではシリンダー状の小幅部と大幅部において2種類の倍率が得られ、1つのルーペで5種類の倍率を得ることができる。
【0037】
第6の実施例の筆記具装着用ルーペは、図示していないが、第1のルーペ部材及び第2のルーペ部材の当接面に対向した各々の小幅部と大幅部の曲面の曲率を相違させて形成した以外は、第4の実施例の筆記具装着用ルーペ51と同様にして形成した。その結果、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を開いた状態ではルーペとしての4種類の倍率が得られ、閉じた状態ではシリンダー状の小幅部と大幅部において2種類の倍率が得られ、1つのルーペで6種類の倍率を得ることができる。
【0038】
第5及び第6の実施例の筆記具装着用ルーペを装着したルーペ付筆記具とするには、図示していないが、各筆記具装着用ルーペにおける第1のルーペ部材と第2のルーペ部材を閉じた状態にして、前記した第4の実施例の筆記具装着用ルーペ51の場合と同様にして、ルーペを前記筆記具本体101の空間部105に装着する。
【0039】
図13は、筆記具本体の実施例の要部断面図である。本実施例の筆記具本体121は、軸筒122内に回転繰出機構を配設した、いわゆる回転式筆記具と呼ばれているものである。軸筒122は胴軸122aと回転軸である鞘軸122bとで構成されており、鞘軸122bは胴軸122aに対して回転可能に連設してある。軸筒122内には、黒色、赤色及び青色の油性インキ(図示せず)を充填した3本のボールペンの筆記体123(図においては便宜上2本しか描いていない。)を収納している。軸筒122内には、前記各々の筆記体123の筆記先端部(図示せず)を軸筒の先端開口部(図示せず)より繰出すための回転繰出機構を具備してある。
【0040】
回転繰出機構は従来より知られており、簡単に説明すると、胴軸122aの後方端部は鞘軸122bに被覆されており、3つの摺動溝124を形成してある。各々の摺動溝124には、後端にスライダー部材125a、125bを挿着した前記筆記体123a、123bがコイルスプリング126により後方に付勢されて収納してある。前記スライダー部材125a、125bの側面には、後方に向かって尖った頂部127を有した突起128を設けてある。鞘軸12bの内側面には、軸心に沿った方向に変位するように形成したカム斜面129を有した回転カム130を設けてあり、前記突起128に当接させてある。鞘軸122bを胴軸122aに対して回転することにより、回転カム130も回転し、カム斜面と該カム斜面に当接した各スライダー部材125の突起128とのカム作用で各筆記体123を前後動させ、筆記体の筆記先端部を前軸の先端開口部より出没させる構造である。
【0041】
鞘軸122bの後端部は、胴軸122aの後端部122abが鞘軸122bの内方に突起した突起部131に係合してある。鞘軸122bの後端の外周面にはクリップ132を一体に形成してあり、鞘軸122bの後端内部は開口した空間部133としてある。該空間部133のクリップ132側の内壁面134の部分には軸心に沿った方向に延びた2つの並列した係合突起135が、前記した筆記体101と同様に設けてある。前記空間部133に、前記した筆記具装着用ルーペを、前記筆記体101と同様にして装着する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の筆記具装着用ルーペは、筆記具に着脱自在に装着するためのものであり、筆記具と一緒に携帯でき、文章等を書きながらルーペとして活用することができ、例えば参考書等の細かい文字を参照したいときも、文字等を書きながら前記細かい文字を拡大して見ることができ、わざわざルーペ等を探す必要もない等の利点があり、ルーペとして有効に利用可能である。また、ルーペをシリンダ状とし、シリンダ状の曲面の曲率を変えることにより倍率も容易に変更することができ、様々な形態の形状にすることにより、1つのルーペで何種類の倍率を有したルーペとなり、さらに有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施例を示す、筆記具装着用ルーペの斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線部分の横断面図である。
【図3】前記実施例のルーペを、筆記具本体に装着する前の状態を示した図である。
【図4】図3における、B−B線部分の拡大端面図である。
【図5】前記実施例のルーペを筆記具本体に装着した状態を示す、ルーペ付筆記具の側面図である。
【図6】第2の実施例を示す、筆記具装着用ルーペの斜視図である。
【図7】図6における、C−C線部分の拡大横断面図である。
【図8】第3の実施例を示す筆記具装着用ルーペの図で、開閉可能な筆記具装着用ルーペの斜視図である。
【図9】前記ルーペの開いた状態を示す、筆記具装着用ルーペの平面図である。
【図10】第4の実施例を示す筆記具装着用ルーペの図で、開閉可能な筆記具装着用ルーペであって、開いた状態を示す図である。
【図11】前記ルーペを分解した状態を示す、筆記具装着用ルーペの分解図である。
【図12】前記ルーペをの組立て状態を示す、筆記具装着用ルーペの組立状態図である。
【図13】筆記具本体の実施例の要部断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1、11、21、41 ボールペン
1a 小幅部
1b 大幅部
2、12、13 平地部
3、14、15 突起
22、42 第1のルーペ部材
23、43 第2のルーペ部材
24、44 当接面
25、45 曲面
26、46 小幅部
27、47 大幅部
28、48 平地部
29、49 突起
51 連結部材
100 筆記具装着用ルーペ
101、121 筆記具本体
102、122 軸筒
105、133 空間部
107、135 係合突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記具に装着するためのシリンダ状のルーペであって、前方を小幅とし後方を大幅とした2段のシリンダ状であることを特徴とする筆記具装着用ルーペ。
【請求項2】
前記ルーペを、側面が長手方向に直交する方向の幅が小幅と大幅の2段形状とした、矩形状の当接面と該当接面に対向した面が曲面で構成した第1のルーペ部材部と第2のルーペ部材を設け、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材の各々の一方の端部を連結手段により開閉可能に連結し、第1のルーペ部材と第2のルーペ部材の各々の当接面が当接した閉じた状態でシリンダ状となる、請求項1に記載の筆記具装着用ルーペ。
【請求項3】
前記第1のルーペ部材および第2のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、大幅の当接面に対向した曲面の曲率を小幅の当接面に対向した曲面の曲率より大きくしたことを特徴とする、請求項2に記載の筆記具装着用ルーペ。
【請求項4】
前記第1のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率を同一に、前記第2のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、小幅の当接面に対向した曲面の曲率を大幅の当接面に対向した曲面の曲率をより小さくしたことを特徴とする、請求項2に記載の筆記具装着用ルーペ。
【請求項5】
前記第1のルーペ部材および第2のルーペ部材の小幅の当接面に対向した曲面の曲率と大幅の当接面に対向した曲面の曲率において、各々の曲面の曲率を各々相違させたことを特徴とする、請求項2に記載の筆記具装着用ルーペ。
【請求項6】
筆記具の軸筒の開口した後端部に空間部を設け、前記請求項1乃至5のいずれか1項に記載の筆記具装着用ルーペを、該筆記具装着用ルーペの小幅部を前記軸筒の空間部に挿入し大幅部を軸筒の後端より突出させて筆記具の軸筒の後端に着脱自在に装着したことを特徴とする、ルーペ付筆記具。
【請求項7】
前記請求項1乃至5項のいずれか1項に記載の筆記具装着用ルーペの小幅部の側面に軸心方向に沿って延びた突起又は凹溝からなる係合手段を設け、筆記具の軸筒の空間部の内壁面に軸心に沿った方向に延びた前記係合手段と係合する突起又は凹溝からなる被係合手段を設け、前記筆記具装着用ルーペの係合手段と筆記具の被係合手段とを係合することにより前記筆記具装着用ルーペの軸筒の空間部に対する回転防止手段としたことを特徴とする、請求項6に記載のルーペ付筆記具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−17785(P2006−17785A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192723(P2004−192723)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(303022891)株式会社パイロットコーポレーション (647)
【Fターム(参考)】