筆記具
【課題】簡単な構成で、筆記具の軸筒とインキカートリッジとのねじ嵌合を容易に行なうことができ、しかも確実に締め込むことができる筆記具を提供する。
【解決手段】前端にペン芯を取り付けるとともにキャップ3を被嵌した軸筒1と、前記軸筒1の後端に設けた挿入口11から挿入し、軸筒1内に着脱可能にねじ嵌合するインキカートリッジ4と、からなる筆記具において、前記インキカートリッジ4を前記軸筒1内にねじ嵌合したとき、前記インキカートリッジ4の後端44が前記挿入口11の内側に収納され、前記キャップ3の内周面に係合部を設け、前記インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設け、前記係合部の側面と前記被係合部41の側面とを係合回動することで、前記インキカートリッジ4を前記軸筒1から着脱可能とした。
【解決手段】前端にペン芯を取り付けるとともにキャップ3を被嵌した軸筒1と、前記軸筒1の後端に設けた挿入口11から挿入し、軸筒1内に着脱可能にねじ嵌合するインキカートリッジ4と、からなる筆記具において、前記インキカートリッジ4を前記軸筒1内にねじ嵌合したとき、前記インキカートリッジ4の後端44が前記挿入口11の内側に収納され、前記キャップ3の内周面に係合部を設け、前記インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設け、前記係合部の側面と前記被係合部41の側面とを係合回動することで、前記インキカートリッジ4を前記軸筒1から着脱可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキカートリッジを交換する筆記具に関するものである。
本発明において、「前」とはペン芯側を指し、「後」とはインキカートリッジ側を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、インキの消費のみにより全体を廃棄することは、資源の有効活用や廃棄物処理の観点から問題となり、インキを消費したら中綿を内蔵したインキカートリッジを繰り返し交換する筆記具が特許文献1により知られており、インキカートリッジは、容器に嵌合させる方式やねじ嵌合する方式が開示されている。
また、インキを直接内蔵した筆記具では、後端を押圧すると弁が開放する所謂後端ノック式の筆記具が特許文献2により知られている。しかし、この種筆記具では、インキを消費してもインキカートリッジを交換できるものはなかった。
【特許文献1】実開平06−3688号公報
【特許文献2】実用新案登録第2604419号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の筆記具のうち、容器にインキカートリッジを嵌合する方式では、インキカートリッジ交換時に容器からインキカートリッジを取り外す際に、インキカートリッジを引き抜くために大きな力を必要とするため、開閉操作が面倒であった。また、容器にインキカートリッジをねじ嵌合する方式では、ねじ嵌合に十分な荷重をかけられない問題があり、容器とインキカートリッジとの嵌合不足により筆記不良やインキ漏れが生じていた。またこの問題を解決するために、仮に治具やスパナ等を使用する場合は、インキカートリッジを交換する際にこれらを準備する必要があり面倒であった。
また、特許文献2のような後端ノック式の筆記具では、インキカートリッジを交換できるものがなかった。
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、容器とインキカートリッジとのねじ嵌合を容易に行なうことができ、しかも確実に締め込むことができる筆記具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために完成された第1の発明の筆記具は、前端にペン芯を取り付けるとともにキャップを被嵌した軸筒と、
前記軸筒の後端に設けた挿入口から挿入し、軸筒内に着脱可能にねじ嵌合するインキカートリッジと、
からなる筆記具において、
前記インキカートリッジを前記軸筒内にねじ嵌合したとき、前記インキカートリッジの後端が前記挿入口の内側に収納され、
前記キャップの内周面に係合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被係合部を設け、前記係合部の側面と前記被係合部の側面とを係合回動することで、前記インキカートリッジを前記軸筒から着脱可能としたことを特徴とする。
また、第2の発明は、前記キャップの内周面に嵌合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被嵌合部を設け、
インキカートリッジが前記軸筒内にねじ嵌合しているとき、前記嵌合部と前記被嵌合部は嵌脱可能であるが、
インキカートリッジと前記軸筒とのねじ嵌合を解除してインキカートリッジを挿入口から引き抜くとき、前記嵌合部の後面と対向する前記被嵌合部の前面とが係止することを特徴とする第1の発明の筆記具である。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明では、キャップを用いてインキカートリッジを軸筒から着脱可能としたため、インキカートリッジを軸筒内に確実に締め込むことができるとともに、治具やスパナ等を別途準備する必要がない。また、インキカートリッジの後端が挿入口の内側に収納されるため、誤ってインキカートリッジの嵌合が緩むような不具合や、不用意にインキカートリッジ後端が押圧される不具合が予防できる。また、後端ノック式の筆記具で、後端が挿入口の内側に収納されている場合でも、キャップを用いて後端をノックする構成とするため、使用に際して問題を生じない。
第2の発明では、インキカートリッジを交換する際、キャップにインキカートリッジが付いてくるため、軸筒からインキカートリッジを取り出す手間が省け、交換作業をより効率よく行うことができる。インキカートリッジが軸筒内の比較的深い位置に配置された場合は、特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を、図に基づいて詳細に説明する。
軸筒1は、両端が開口した筒体であって、先端にペン芯2を取り付けるとともに、後端にインキカートリッジ4の挿入口11を設ける。
ペン芯2は、インキ自吸性のあるものであれば採用可能であり、材質として、例えばアクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維素材、フェルト素材、プラスチック素材等が適宜採用可能である
【0008】
前記軸筒1には、キャップ3を被嵌する。キャップ3は有底筒体で、前記ペン芯2を覆って前記軸筒1の前方に着脱可能に嵌合する。
【0009】
前記挿入口11からインキカートリッジ4を挿入し、前記軸筒内に着脱可能にねじ嵌合する。ねじ嵌合するには、軸筒内周面に設けたねじ溝13とインキカートリッジ外周面に設けたねじ溝48を嵌合させる。
インキカートリッジ4を軸筒1内にねじ嵌合したとき、インキカートリッジの後端44が、前記挿入口11の内側に収納される。後端44が、挿入口11より内側に収納されるのであれば、挿入口11からの距離は適宜採用可能である。
インキカートリッジ4は有底筒体で、内部にインキを直接内蔵する構成や、インキを含浸したインキ吸蔵体5を配置する構成を採用できる。インキを直接内蔵する構成の場合、ペン芯を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂ペン芯ノック式タイプや、後端を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂後端ノック式タイプが採用できる。インキは、水性、油性、染料系、顔料系、を適宜採用することができる。
インキ吸蔵体5は、毛細間隙を備えるものであればよく、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、フェルトのニードルパンチ加工体、合成樹脂の多孔質気泡体等の多孔質材料、または軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。その材質は、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維樹脂を使用できる。また、インキ吸蔵体5の外周面に合成樹脂フィルム等よりなる外皮を備える構成でもよい。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、互いに係合する形状であればよく、例えば凸対凸や凸対凹の形状が考えられる。大きさにも制限はなく、係合部31と被係合部41が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される形状であればよい。
【0010】
本発明の実施形態は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
本発明の筆記具の筆記操作は、従来から知られている筆記具と同じである。そして、筆記によりインキが消費されインキカートリッジ4を交換する際は、キャップ3を利用する。
インキが消費され、インキカートリッジ4を交換するときは、まず、キャップ3を軸筒1から取り外したのち、インキカートリッジ4の後方から装着する。そして、キャップ3を装着したのち、前後方向を軸線としてこの軸線を中心に、キャップ3を回動する。このとき、時計周りでねじ嵌合する設計とした場合は、反時計回りに回動する。すると、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4のねじ嵌合が外れ、インキカートリッジ4は軸筒1後端に設けた挿入口11から取り外すことができる。
次に、新しいインキカートリッジ4を装着する際は、前記工程を逆にたどる。つまり、新しいインキカートリッジ4を軸筒1後端に設けた挿入口11から挿入し、キャップ3を用いて、軸筒内にねじ嵌合する。ねじ嵌合する際は、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4をねじ嵌合する。このときの回動方向は、時計回りとなる。後端ノック式タイプのペン芯2にインキを供給するには、前記インキカートリッジ4の後端44を、キャップ3の内壁面32で押圧する。
また、インキカートリッジの後端44が前記挿入口11より内側に位置するため、インキカートリッジ4が、軸筒1から不用意に外れてインキ漏れが生じることがない。また、インキカートリッジ4の後端44が意に反して過度にノックされることがないため、ペン芯2へインキが過度に供給されることによって生じるインキ漏れを防止できる。
【0011】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により何等限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
実施例1は、軸筒1の先端にペン芯2を取り付ける。軸筒1には、キャップ3を被嵌する。軸筒1の後端に設けた挿入口11からインキカートリッジ4を挿入し、軸筒内に着脱可能にねじ嵌合する。インキカートリッジ4を軸筒1内にねじ嵌合したとき、インキカートリッジ4の後端44が、前記挿入口11の内側に収納される。
インキカートリッジ4内に、インキを含浸したインキ吸蔵体5を配置する。インキ吸蔵体5は、繊維束の樹脂加工体で、外周面に合成樹脂フィルムの外皮を備える。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、それぞれ突形状とし、互いに側面で係合する。被係合部41の側面と係合部31の側面が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される。
【0013】
実施例1は、以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
インキが消費され、インキカートリッジ4を交換するときは、まず、キャップ3を軸筒1から取り外したのち、インキカートリッジ4の後方から装着する。そして、キャップ3を装着したのち、前後方向を軸線としてこの軸線を中心に、キャップ3を回動する。すると、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4のねじ嵌合が外れ、インキカートリッジ4は軸筒1後端に設けた挿入口11から取り外すことができる。
次に、新しいインキカートリッジ4を装着する際は、前記工程を逆にたどる。つまり、新しいインキカートリッジ4を軸筒1後端に設けた挿入口11から挿入し、キャップ3を用いて、軸筒内にねじ嵌合する。ねじ嵌合する際は、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4をねじ嵌合する。
【実施例2】
【0014】
次に、実施例2を図5〜図8に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施例と異なる点のみを説明する。
実施例2では、インキカートリッジ4の内部にインキを直接内蔵し、後端を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂後端ノック式タイプの構成を採用する。
軸筒1を前筒1aと、後筒1bで構成する。前筒1aの後方に後筒1bを配置する。前記前筒1aの前端にペン芯2を取り付け、前記ペン芯2を覆ってキャップ3を着脱可能に嵌合する。後筒1b内面に弁座12を設ける。前記前筒1aと前記後筒1bの間に弾性体6を配置し、前記弾性体6の前端は前筒1aと当接し、後端はノック棒7と当接する。前記ノック棒7は、前記弾性体6によって後方に向かって付勢される。ノック棒7には、前記弁座12に圧接される弁71を設ける。これにより、弁71は、前記弁座12と前筒1aの間で前後動可能に配置される。
前記後筒1bの後端に挿入口11を設け、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入する。前記インキカートリッジ4は略有底筒体で、前方に開口部42を設けるとともに後方に蛇腹部43を設ける。インキカートリッジ4内には、インキを内蔵する。前記ノック棒後端72は、インキカートリッジ4後端44の内壁近傍に配置されるように設計する。
ここで、前記インキカートリッジ4の開口部42に栓体45を装着しておき、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入した際、栓体45が開栓する構成でもよい。この構成の場合、開栓後、栓体45はインキカートリッジ4内で撹拌球として使用することもできる。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、それぞれ突形状とし、互いに側面で係合する。被係合部41の側面と係合部31の側面が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される。
【0015】
実施例2は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
ペン芯2にインキを供給する場合は、インキカートリッジ4の後端44を前方に向かって押圧する。すると、蛇腹部43が前方に向かって押し潰されて変形し、後端44の内壁近傍に配置されていたノック棒後端72が、前記後端44の内壁に押圧され、前記弾性体6の弾発力に反して前方に移動し、弁座12と弁71の圧接が解除され、インキカートリッジ4内のインキがペン芯2に供給される。
後端44の押圧を解除すると、前記工程を逆にたどる。つまり、前記弾性体6の弾発力によりノック棒7は、弁71が弁座12に圧接される位置まで移動する。そして、前記蛇腹部43は、後方に向かって回復し初期状態に戻る。
このとき、後端44を前方に向かって押圧する手段は、指で後端44を直接押圧してもよいし、キャップ3を後端44に装着して、キャップ3に設けた内壁面32で押圧してもよいものである。
インキが消費されインキカートリッジ4を交換するとき、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41を係合してインキカートリッジ4を着脱する構成は、前記実施例1と同様である。
【実施例3】
【0016】
次に、実施例3を図9に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施例と異なる点のみを説明する。
実施例3では、インキカートリッジ4の内部にインキを直接内蔵し、ペン芯を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂ペン芯ノック式タイプの構成を採用する。
軸筒1を前筒1aと、後筒1bで構成する。前筒1a内面に弁座12を設ける。前記前筒1aと前記後筒1bの間に弾性体6を配置し、前記弾性体6の後端は後筒1bと当接し、前端はノック棒7と当接する。前記ノック棒7は、前記弾性体6によって前方に向かって付勢される。ノック棒7には、前記弁座12に圧接される弁71を設ける。これにより、弁71は、前記弁座12と後筒1bの間で前後動可能に配置される。
前記後筒1bの後端に挿入口11を設け、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入する。前記インキカートリッジ4は略有底筒体で、前方に開口部42を設けるとともに、インキを内蔵する。ここで、前記実施例2と同様、前記インキカートリッジ4の開口部42に栓体45を装着しておき、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入した際、栓体45が開栓する構成でもよい。この構成の場合、開栓後、栓体45はインキカートリッジ4内で撹拌球として使用することもできる。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、それぞれ突形状とし、互いに側面で係合する。被係合部41の側面と係合部31の側面が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される。
【0017】
実施例3は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
ペン芯2にインキを供給する場合は、ペン芯2の先端を後方に向かって押圧する。すると、ノック棒前端73が、前記ペン芯2の後端に押圧され、前記弾性体6の弾発力に反して後方に移動し、弁座12と弁71の圧接が解除され、インキカートリッジ4内のインキがペン芯2に供給される。
ペン芯2の押圧を解除すると、前記工程を逆にたどる。つまり、前記弾性体6の弾発力によりノック棒7は、弁71が弁座12に圧接される位置まで移動する。そして、ペン芯2は、前方に向かって移動し初期状態に戻る。
インキが消費されインキカートリッジ4を交換するとき、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41を係合してインキカートリッジ4を着脱する構成は、前記実施例1と同様である。
また、インキカートリッジ4が軸筒内にねじ嵌合されたときに弁が開き開栓し、ねじ嵌合が外れたときに弁が閉まって閉栓するバルブ装置を開口部42に装着する構成であってもよい。バルブ装置を装着している場合は、インキカートリッジ4内にインキが残っている状態でインキカートリッジ4がインキ軸筒内から外されたとしても、弁の作用により開口部42が閉栓されるため、インキ漏れは生じない。
【実施例4】
【0018】
次に、実施例4を図10、図11に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施例と異なる点のみを説明する。
実施例4では、キャップの内周面に嵌合部33を設け、インキカートリッジ4の後方外周面に被嵌合部46を設ける。嵌合部33と被嵌合部46の形状は、互いに嵌合する形状であればよく、例えば凸対凸や凸対凹の形状が考えられる。大きさにも制限はなく、嵌合部33と被嵌合部46が互いに嵌合するものであればよい。この嵌合力は、インキカートリッジ4が軸筒内にねじ嵌合しているときは、嵌脱可能であるが、インキカートリッジ4が軸筒内から外れたときは嵌合状態を維持するものであればよい。インキカートリッジ4を挿入口11から引き抜くときは、嵌合部33の後面と被嵌合部46の前面とが係わりあって止まり、嵌合状態を維持したまま、挿入口から取り出すことができる。
また、この嵌合は、前記係合部31と前記被係合部41との係合に緩衝しないように形成する。例えば図10に示すように、被嵌合部46を、回動方向に沿って周上に突起を設ける構成とし、キャップ3が回動する際に緩衝を与えない構成とする。
嵌合部33と被嵌合部46は、キャップ3をインキカートリッジ4の後方に装着した際、嵌合する構成であればよく、嵌合後はキャップ3が前後方向に動かないように係止する構成でもよいし、キャップ3が前後動可能な構成でもよい。図10に、前後方向に動かないように係止する構成の例を示し、図11に前後動可能な構成の例を示す。前後方向に動かないように係止する構成は、インキカートリッジ4内にインキ吸蔵体5を配置する構成や、ペン芯ノック式タイプで採用可能である。前後動可能な構成は、必要であれば全てのタイプで採用可能であるが、後端ノック式タイプの場合は、前後動可能なことが必須構成となる。インキカートリッジ4の後端44をノックする後端ノック式タイプの場合は、キャップ3で後端44を押圧する必要があるため、蛇腹部43が変形できる程度に前記嵌合部33が前後方向に移動可能な摺接部47を設ける。
【0019】
実施例4は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
嵌合部33と被嵌合部46を設ける目的は、インキカートリッジ4を交換する際、軸筒1からインキカートリッジ4を抜き取り易くするものである。インキカートリッジ4が軸筒1にねじ嵌合しているときは、嵌合部33と被嵌合部46の嵌合は容易に外れるものであるが、インキカートリッジ4と軸筒1とのねじ嵌合を解除して、挿入口11から引き抜くときは、嵌合部33と被嵌合部46が係止し、キャップ3はインキカートリッジ4を伴って挿入口11から引き出されるものである。ここで係止とは、嵌合部33の後面と被嵌合部46の前面とが係わりあって止まり、この状態を維持したまま、挿入口から取り出すことができることをいう。
【0020】
以上、本発明を前記実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1を示す図
【図2】実施例1のキャップをインキカートリッジの後方に装着した状態を示す図
【図3】実施例1のインキカートリッジを取り外した状態を示す図
【図4】実施例1のキャップとインキカートリッジを示す斜視図
【図5】実施例2を示す図
【図6】実施例2のキャップをインキカートリッジの後方に装着した状態を示す図
【図7】実施例2のインキカートリッジを取り外した状態を示す図
【図8】実施例2のキャップとインキカートリッジを示す斜視図
【図9】実施例3を示す図
【図10】実施例4を示す図
【図11】実施例4の他の例を示す図
【符号の説明】
【0022】
1 軸筒
1a 前筒
1b 後筒
11 挿入口
12 弁座
13 ねじ溝
2 ペン芯
3 キャップ
31 係合部
32 内壁面
33 嵌合部
4 インキカートリッジ
41 被係合部
42 開口部
43 蛇腹部
44 後端
45 栓体
46 被嵌合部
47 摺接部
48 ねじ溝
5 インキ吸蔵体
6 弾性体
7 ノック棒
71 弁
72 ノック棒後端
73 ノック棒前端
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキカートリッジを交換する筆記具に関するものである。
本発明において、「前」とはペン芯側を指し、「後」とはインキカートリッジ側を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、インキの消費のみにより全体を廃棄することは、資源の有効活用や廃棄物処理の観点から問題となり、インキを消費したら中綿を内蔵したインキカートリッジを繰り返し交換する筆記具が特許文献1により知られており、インキカートリッジは、容器に嵌合させる方式やねじ嵌合する方式が開示されている。
また、インキを直接内蔵した筆記具では、後端を押圧すると弁が開放する所謂後端ノック式の筆記具が特許文献2により知られている。しかし、この種筆記具では、インキを消費してもインキカートリッジを交換できるものはなかった。
【特許文献1】実開平06−3688号公報
【特許文献2】実用新案登録第2604419号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の筆記具のうち、容器にインキカートリッジを嵌合する方式では、インキカートリッジ交換時に容器からインキカートリッジを取り外す際に、インキカートリッジを引き抜くために大きな力を必要とするため、開閉操作が面倒であった。また、容器にインキカートリッジをねじ嵌合する方式では、ねじ嵌合に十分な荷重をかけられない問題があり、容器とインキカートリッジとの嵌合不足により筆記不良やインキ漏れが生じていた。またこの問題を解決するために、仮に治具やスパナ等を使用する場合は、インキカートリッジを交換する際にこれらを準備する必要があり面倒であった。
また、特許文献2のような後端ノック式の筆記具では、インキカートリッジを交換できるものがなかった。
【0004】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、容器とインキカートリッジとのねじ嵌合を容易に行なうことができ、しかも確実に締め込むことができる筆記具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために完成された第1の発明の筆記具は、前端にペン芯を取り付けるとともにキャップを被嵌した軸筒と、
前記軸筒の後端に設けた挿入口から挿入し、軸筒内に着脱可能にねじ嵌合するインキカートリッジと、
からなる筆記具において、
前記インキカートリッジを前記軸筒内にねじ嵌合したとき、前記インキカートリッジの後端が前記挿入口の内側に収納され、
前記キャップの内周面に係合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被係合部を設け、前記係合部の側面と前記被係合部の側面とを係合回動することで、前記インキカートリッジを前記軸筒から着脱可能としたことを特徴とする。
また、第2の発明は、前記キャップの内周面に嵌合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被嵌合部を設け、
インキカートリッジが前記軸筒内にねじ嵌合しているとき、前記嵌合部と前記被嵌合部は嵌脱可能であるが、
インキカートリッジと前記軸筒とのねじ嵌合を解除してインキカートリッジを挿入口から引き抜くとき、前記嵌合部の後面と対向する前記被嵌合部の前面とが係止することを特徴とする第1の発明の筆記具である。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明では、キャップを用いてインキカートリッジを軸筒から着脱可能としたため、インキカートリッジを軸筒内に確実に締め込むことができるとともに、治具やスパナ等を別途準備する必要がない。また、インキカートリッジの後端が挿入口の内側に収納されるため、誤ってインキカートリッジの嵌合が緩むような不具合や、不用意にインキカートリッジ後端が押圧される不具合が予防できる。また、後端ノック式の筆記具で、後端が挿入口の内側に収納されている場合でも、キャップを用いて後端をノックする構成とするため、使用に際して問題を生じない。
第2の発明では、インキカートリッジを交換する際、キャップにインキカートリッジが付いてくるため、軸筒からインキカートリッジを取り出す手間が省け、交換作業をより効率よく行うことができる。インキカートリッジが軸筒内の比較的深い位置に配置された場合は、特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を、図に基づいて詳細に説明する。
軸筒1は、両端が開口した筒体であって、先端にペン芯2を取り付けるとともに、後端にインキカートリッジ4の挿入口11を設ける。
ペン芯2は、インキ自吸性のあるものであれば採用可能であり、材質として、例えばアクリル繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等の合成繊維素材、フェルト素材、プラスチック素材等が適宜採用可能である
【0008】
前記軸筒1には、キャップ3を被嵌する。キャップ3は有底筒体で、前記ペン芯2を覆って前記軸筒1の前方に着脱可能に嵌合する。
【0009】
前記挿入口11からインキカートリッジ4を挿入し、前記軸筒内に着脱可能にねじ嵌合する。ねじ嵌合するには、軸筒内周面に設けたねじ溝13とインキカートリッジ外周面に設けたねじ溝48を嵌合させる。
インキカートリッジ4を軸筒1内にねじ嵌合したとき、インキカートリッジの後端44が、前記挿入口11の内側に収納される。後端44が、挿入口11より内側に収納されるのであれば、挿入口11からの距離は適宜採用可能である。
インキカートリッジ4は有底筒体で、内部にインキを直接内蔵する構成や、インキを含浸したインキ吸蔵体5を配置する構成を採用できる。インキを直接内蔵する構成の場合、ペン芯を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂ペン芯ノック式タイプや、後端を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂後端ノック式タイプが採用できる。インキは、水性、油性、染料系、顔料系、を適宜採用することができる。
インキ吸蔵体5は、毛細間隙を備えるものであればよく、例えば、繊維束の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体、フェルト加工体、フェルトのニードルパンチ加工体、合成樹脂の多孔質気泡体等の多孔質材料、または軸方向のインキ誘導路を有する合成樹脂の押出成形体等が挙げられる。その材質は、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維樹脂を使用できる。また、インキ吸蔵体5の外周面に合成樹脂フィルム等よりなる外皮を備える構成でもよい。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、互いに係合する形状であればよく、例えば凸対凸や凸対凹の形状が考えられる。大きさにも制限はなく、係合部31と被係合部41が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される形状であればよい。
【0010】
本発明の実施形態は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
本発明の筆記具の筆記操作は、従来から知られている筆記具と同じである。そして、筆記によりインキが消費されインキカートリッジ4を交換する際は、キャップ3を利用する。
インキが消費され、インキカートリッジ4を交換するときは、まず、キャップ3を軸筒1から取り外したのち、インキカートリッジ4の後方から装着する。そして、キャップ3を装着したのち、前後方向を軸線としてこの軸線を中心に、キャップ3を回動する。このとき、時計周りでねじ嵌合する設計とした場合は、反時計回りに回動する。すると、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4のねじ嵌合が外れ、インキカートリッジ4は軸筒1後端に設けた挿入口11から取り外すことができる。
次に、新しいインキカートリッジ4を装着する際は、前記工程を逆にたどる。つまり、新しいインキカートリッジ4を軸筒1後端に設けた挿入口11から挿入し、キャップ3を用いて、軸筒内にねじ嵌合する。ねじ嵌合する際は、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4をねじ嵌合する。このときの回動方向は、時計回りとなる。後端ノック式タイプのペン芯2にインキを供給するには、前記インキカートリッジ4の後端44を、キャップ3の内壁面32で押圧する。
また、インキカートリッジの後端44が前記挿入口11より内側に位置するため、インキカートリッジ4が、軸筒1から不用意に外れてインキ漏れが生じることがない。また、インキカートリッジ4の後端44が意に反して過度にノックされることがないため、ペン芯2へインキが過度に供給されることによって生じるインキ漏れを防止できる。
【0011】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により何等限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例1を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
実施例1は、軸筒1の先端にペン芯2を取り付ける。軸筒1には、キャップ3を被嵌する。軸筒1の後端に設けた挿入口11からインキカートリッジ4を挿入し、軸筒内に着脱可能にねじ嵌合する。インキカートリッジ4を軸筒1内にねじ嵌合したとき、インキカートリッジ4の後端44が、前記挿入口11の内側に収納される。
インキカートリッジ4内に、インキを含浸したインキ吸蔵体5を配置する。インキ吸蔵体5は、繊維束の樹脂加工体で、外周面に合成樹脂フィルムの外皮を備える。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、それぞれ突形状とし、互いに側面で係合する。被係合部41の側面と係合部31の側面が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される。
【0013】
実施例1は、以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
インキが消費され、インキカートリッジ4を交換するときは、まず、キャップ3を軸筒1から取り外したのち、インキカートリッジ4の後方から装着する。そして、キャップ3を装着したのち、前後方向を軸線としてこの軸線を中心に、キャップ3を回動する。すると、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4のねじ嵌合が外れ、インキカートリッジ4は軸筒1後端に設けた挿入口11から取り外すことができる。
次に、新しいインキカートリッジ4を装着する際は、前記工程を逆にたどる。つまり、新しいインキカートリッジ4を軸筒1後端に設けた挿入口11から挿入し、キャップ3を用いて、軸筒内にねじ嵌合する。ねじ嵌合する際は、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41が係合し、キャップ3とインキカートリッジ4が一緒に動くことでインキカートリッジ4をねじ嵌合する。
【実施例2】
【0014】
次に、実施例2を図5〜図8に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施例と異なる点のみを説明する。
実施例2では、インキカートリッジ4の内部にインキを直接内蔵し、後端を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂後端ノック式タイプの構成を採用する。
軸筒1を前筒1aと、後筒1bで構成する。前筒1aの後方に後筒1bを配置する。前記前筒1aの前端にペン芯2を取り付け、前記ペン芯2を覆ってキャップ3を着脱可能に嵌合する。後筒1b内面に弁座12を設ける。前記前筒1aと前記後筒1bの間に弾性体6を配置し、前記弾性体6の前端は前筒1aと当接し、後端はノック棒7と当接する。前記ノック棒7は、前記弾性体6によって後方に向かって付勢される。ノック棒7には、前記弁座12に圧接される弁71を設ける。これにより、弁71は、前記弁座12と前筒1aの間で前後動可能に配置される。
前記後筒1bの後端に挿入口11を設け、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入する。前記インキカートリッジ4は略有底筒体で、前方に開口部42を設けるとともに後方に蛇腹部43を設ける。インキカートリッジ4内には、インキを内蔵する。前記ノック棒後端72は、インキカートリッジ4後端44の内壁近傍に配置されるように設計する。
ここで、前記インキカートリッジ4の開口部42に栓体45を装着しておき、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入した際、栓体45が開栓する構成でもよい。この構成の場合、開栓後、栓体45はインキカートリッジ4内で撹拌球として使用することもできる。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、それぞれ突形状とし、互いに側面で係合する。被係合部41の側面と係合部31の側面が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される。
【0015】
実施例2は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
ペン芯2にインキを供給する場合は、インキカートリッジ4の後端44を前方に向かって押圧する。すると、蛇腹部43が前方に向かって押し潰されて変形し、後端44の内壁近傍に配置されていたノック棒後端72が、前記後端44の内壁に押圧され、前記弾性体6の弾発力に反して前方に移動し、弁座12と弁71の圧接が解除され、インキカートリッジ4内のインキがペン芯2に供給される。
後端44の押圧を解除すると、前記工程を逆にたどる。つまり、前記弾性体6の弾発力によりノック棒7は、弁71が弁座12に圧接される位置まで移動する。そして、前記蛇腹部43は、後方に向かって回復し初期状態に戻る。
このとき、後端44を前方に向かって押圧する手段は、指で後端44を直接押圧してもよいし、キャップ3を後端44に装着して、キャップ3に設けた内壁面32で押圧してもよいものである。
インキが消費されインキカートリッジ4を交換するとき、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41を係合してインキカートリッジ4を着脱する構成は、前記実施例1と同様である。
【実施例3】
【0016】
次に、実施例3を図9に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施例と異なる点のみを説明する。
実施例3では、インキカートリッジ4の内部にインキを直接内蔵し、ペン芯を押圧することで弁が開いてインキが供給される所謂ペン芯ノック式タイプの構成を採用する。
軸筒1を前筒1aと、後筒1bで構成する。前筒1a内面に弁座12を設ける。前記前筒1aと前記後筒1bの間に弾性体6を配置し、前記弾性体6の後端は後筒1bと当接し、前端はノック棒7と当接する。前記ノック棒7は、前記弾性体6によって前方に向かって付勢される。ノック棒7には、前記弁座12に圧接される弁71を設ける。これにより、弁71は、前記弁座12と後筒1bの間で前後動可能に配置される。
前記後筒1bの後端に挿入口11を設け、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入する。前記インキカートリッジ4は略有底筒体で、前方に開口部42を設けるとともに、インキを内蔵する。ここで、前記実施例2と同様、前記インキカートリッジ4の開口部42に栓体45を装着しておき、インキカートリッジ4を挿入口11から挿入した際、栓体45が開栓する構成でもよい。この構成の場合、開栓後、栓体45はインキカートリッジ4内で撹拌球として使用することもできる。
インキカートリッジ4の後方外周面に被係合部41を設ける。被係合部41は、前記キャップ3の内周面に設けた係合部31と係合する。このときの係合とは、前後方向を軸線として、この軸線を中心に回転する方向に対して係合する。被係合部41と係合部31の形状は、それぞれ突形状とし、互いに側面で係合する。被係合部41の側面と係合部31の側面が互いに係わり合って、キャップ3の回動力がインキカートリッジ4に伝達される。
【0017】
実施例3は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
ペン芯2にインキを供給する場合は、ペン芯2の先端を後方に向かって押圧する。すると、ノック棒前端73が、前記ペン芯2の後端に押圧され、前記弾性体6の弾発力に反して後方に移動し、弁座12と弁71の圧接が解除され、インキカートリッジ4内のインキがペン芯2に供給される。
ペン芯2の押圧を解除すると、前記工程を逆にたどる。つまり、前記弾性体6の弾発力によりノック棒7は、弁71が弁座12に圧接される位置まで移動する。そして、ペン芯2は、前方に向かって移動し初期状態に戻る。
インキが消費されインキカートリッジ4を交換するとき、キャップ3に設けた係合部31とインキカートリッジ4に設けた被係合部41を係合してインキカートリッジ4を着脱する構成は、前記実施例1と同様である。
また、インキカートリッジ4が軸筒内にねじ嵌合されたときに弁が開き開栓し、ねじ嵌合が外れたときに弁が閉まって閉栓するバルブ装置を開口部42に装着する構成であってもよい。バルブ装置を装着している場合は、インキカートリッジ4内にインキが残っている状態でインキカートリッジ4がインキ軸筒内から外されたとしても、弁の作用により開口部42が閉栓されるため、インキ漏れは生じない。
【実施例4】
【0018】
次に、実施例4を図10、図11に基づいて詳細に説明する。ここでは、前記した実施例と異なる点のみを説明する。
実施例4では、キャップの内周面に嵌合部33を設け、インキカートリッジ4の後方外周面に被嵌合部46を設ける。嵌合部33と被嵌合部46の形状は、互いに嵌合する形状であればよく、例えば凸対凸や凸対凹の形状が考えられる。大きさにも制限はなく、嵌合部33と被嵌合部46が互いに嵌合するものであればよい。この嵌合力は、インキカートリッジ4が軸筒内にねじ嵌合しているときは、嵌脱可能であるが、インキカートリッジ4が軸筒内から外れたときは嵌合状態を維持するものであればよい。インキカートリッジ4を挿入口11から引き抜くときは、嵌合部33の後面と被嵌合部46の前面とが係わりあって止まり、嵌合状態を維持したまま、挿入口から取り出すことができる。
また、この嵌合は、前記係合部31と前記被係合部41との係合に緩衝しないように形成する。例えば図10に示すように、被嵌合部46を、回動方向に沿って周上に突起を設ける構成とし、キャップ3が回動する際に緩衝を与えない構成とする。
嵌合部33と被嵌合部46は、キャップ3をインキカートリッジ4の後方に装着した際、嵌合する構成であればよく、嵌合後はキャップ3が前後方向に動かないように係止する構成でもよいし、キャップ3が前後動可能な構成でもよい。図10に、前後方向に動かないように係止する構成の例を示し、図11に前後動可能な構成の例を示す。前後方向に動かないように係止する構成は、インキカートリッジ4内にインキ吸蔵体5を配置する構成や、ペン芯ノック式タイプで採用可能である。前後動可能な構成は、必要であれば全てのタイプで採用可能であるが、後端ノック式タイプの場合は、前後動可能なことが必須構成となる。インキカートリッジ4の後端44をノックする後端ノック式タイプの場合は、キャップ3で後端44を押圧する必要があるため、蛇腹部43が変形できる程度に前記嵌合部33が前後方向に移動可能な摺接部47を設ける。
【0019】
実施例4は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。
嵌合部33と被嵌合部46を設ける目的は、インキカートリッジ4を交換する際、軸筒1からインキカートリッジ4を抜き取り易くするものである。インキカートリッジ4が軸筒1にねじ嵌合しているときは、嵌合部33と被嵌合部46の嵌合は容易に外れるものであるが、インキカートリッジ4と軸筒1とのねじ嵌合を解除して、挿入口11から引き抜くときは、嵌合部33と被嵌合部46が係止し、キャップ3はインキカートリッジ4を伴って挿入口11から引き出されるものである。ここで係止とは、嵌合部33の後面と被嵌合部46の前面とが係わりあって止まり、この状態を維持したまま、挿入口から取り出すことができることをいう。
【0020】
以上、本発明を前記実施例により説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1を示す図
【図2】実施例1のキャップをインキカートリッジの後方に装着した状態を示す図
【図3】実施例1のインキカートリッジを取り外した状態を示す図
【図4】実施例1のキャップとインキカートリッジを示す斜視図
【図5】実施例2を示す図
【図6】実施例2のキャップをインキカートリッジの後方に装着した状態を示す図
【図7】実施例2のインキカートリッジを取り外した状態を示す図
【図8】実施例2のキャップとインキカートリッジを示す斜視図
【図9】実施例3を示す図
【図10】実施例4を示す図
【図11】実施例4の他の例を示す図
【符号の説明】
【0022】
1 軸筒
1a 前筒
1b 後筒
11 挿入口
12 弁座
13 ねじ溝
2 ペン芯
3 キャップ
31 係合部
32 内壁面
33 嵌合部
4 インキカートリッジ
41 被係合部
42 開口部
43 蛇腹部
44 後端
45 栓体
46 被嵌合部
47 摺接部
48 ねじ溝
5 インキ吸蔵体
6 弾性体
7 ノック棒
71 弁
72 ノック棒後端
73 ノック棒前端
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端にペン芯を取り付けるとともにキャップを被嵌した軸筒と、
前記軸筒の後端に設けた挿入口から挿入し、軸筒内に着脱可能にねじ嵌合するインキカートリッジと、
からなる筆記具において、
前記インキカートリッジを前記軸筒内にねじ嵌合したとき、前記インキカートリッジの後端が前記挿入口の内側に収納され、
前記キャップの内周面に係合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被係合部を設け、前記係合部の側面と前記被係合部の側面とを係合回動することで、前記インキカートリッジを前記軸筒から着脱可能としたことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記キャップの内周面に嵌合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被嵌合部を設け、
インキカートリッジが前記軸筒内にねじ嵌合しているとき、前記嵌合部と前記被嵌合部は嵌脱可能であるが、
インキカートリッジと前記軸筒とのねじ嵌合を解除してインキカートリッジを挿入口から引き抜くとき、前記嵌合部の後面と対向する前記被嵌合部の前面とが係止することを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【請求項1】
前端にペン芯を取り付けるとともにキャップを被嵌した軸筒と、
前記軸筒の後端に設けた挿入口から挿入し、軸筒内に着脱可能にねじ嵌合するインキカートリッジと、
からなる筆記具において、
前記インキカートリッジを前記軸筒内にねじ嵌合したとき、前記インキカートリッジの後端が前記挿入口の内側に収納され、
前記キャップの内周面に係合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被係合部を設け、前記係合部の側面と前記被係合部の側面とを係合回動することで、前記インキカートリッジを前記軸筒から着脱可能としたことを特徴とする筆記具。
【請求項2】
前記キャップの内周面に嵌合部を設け、前記インキカートリッジの後方外周面に被嵌合部を設け、
インキカートリッジが前記軸筒内にねじ嵌合しているとき、前記嵌合部と前記被嵌合部は嵌脱可能であるが、
インキカートリッジと前記軸筒とのねじ嵌合を解除してインキカートリッジを挿入口から引き抜くとき、前記嵌合部の後面と対向する前記被嵌合部の前面とが係止することを特徴とする請求項1に記載の筆記具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−194625(P2011−194625A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61775(P2010−61775)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【Fターム(参考)】
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