説明

筆記具

【課題】 筆記具は衣服のポケットやペンケース等に収納して携帯されることが多いが、ペン先又は筆記時にペン先への視認性を確保する為に先細り形状にされた軸筒が収納具を傷めてしまう。また、両頭式筆記具では、ノック式筆記具と間違えてノックしようとした指をペン先又は先細り形状の軸筒で傷めてしまうこともある。そこで、両頭式筆記具の両端部に蓋を被せる方式にすると、蓋の付け外しや保管が煩わしく、また子供の蓋誤飲問題も考慮する必要がある。
【解決手段】 棒状の筆記具(1)及び筆記具(11)の長手方向の一端部(2)及び一端部(12)をそれぞれ、中間部(14)又は他端部(16)の収容部(15)、及び中間部(4)又は他端部(6)の収容部(5)に挿入して携帯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
筆記具においては、特許文献1の実施例のように、ペン先が備えられる一端部を蓋に収容自在な2本の棒状の筆記具が同心となるようにそれぞれの他端部に備えられた雌ネジ及び雄ネジを螺合させることで両頭式筆記具の形態となり、携帯しやすくなるアイデアが知られている。
【0003】
また、筆記具においては、特許文献2の実施例のように、両端部の軸筒が先細り形状であり、軸筒内から出し入れ自在なペン先が備えられる両頭式筆記具のアイデアが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登3138920号公報
【特許文献2】特開2008−307803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
筆記具においては、移動時に衣服のポケットやペンケース等に収納して携帯されることが多いが、一端部のペン先又は筆記時にペン先への視認性を確保する為に先細り形状にされた一端部の軸筒が収納具を傷めてしまうことがある。また、例えば特許文献2の実施例のような両頭式筆記具では、ノック式筆記具と間違えてノックしようとした指をペン先又は先細り形状の軸筒で傷めてしまうこともある。そこで、両頭式筆記具の両端部のペン先又は軸筒の少なくともいずれかに蓋を被せる方式にすると、蓋をしていれば収納具や指を傷めにくい設計が容易であるが、蓋の付け外しや保管は煩わしく、また子供の蓋誤飲問題も考慮する必要がある。また、複式筆記具では一端部に複数のペン先を備え操作部で選択して1つのペン先を突出させるものが一般的だが、このタイプは軸筒が太くなり過ぎて携帯性能や筆記性能が落ちてしまうことがある。そこで、両頭式筆記具にすると軸筒は比較的細く出来るが、筆記具をプロペラのように回してペン先を切り替えるというのは高い操作性能とは言い難く、不意に周囲をペン先で汚してしまう。そこで、棒状の筆記具の中央部で分離可能な例えば特許文献1の実施例のような両頭式筆記具にすると、分離状態での筆記時に筆記具全長が短過ぎて手での保持が不安定となり筆記性能が落ちることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
【0007】
発明1に係る筆記具は、例えば図1及び2の組み、図3及び4の組み、図5及び6の組み、のいずれかの組みのように、
棒状の筆記具1の長手方向の一端部2に備えられるペン先3と、
筆記具1の長手方向の中間部4又は他端部6に備えられる収容部5と、
棒状の筆記具11の長手方向の一端部12に備えられるペン先13と、
筆記具11の長手方向の中間部14又は他端部16に備えられる収容部15と、
を具備し、
筆記具1及び11が分離されそれぞれ筆記具として機能する分離状態と、
前記分離状態から一端部2及び12をそれぞれ収容部15及び5に挿入することで、一端部2及び12がそれぞれ収容部15及び5に同時に収容された収容状態と、
前記収容状態を保持して前記分離状態への状態変化を妨げる保持力と、
を有する、筆記具である。
【0008】
ここで、筆記具とは鉛筆、芯を送り出すタイプの鉛筆、フェルトペン、万年筆、ボールペン、修正ペン、スタイラスペン、芯を送り出すタイプの消しゴム、化粧用のペン、等である。
【0009】
発明2に係る筆記具は、発明1の筆記具において、例えば図1及び2の組み、又は図3及び4の組みのように、
前記収容状態において、棒状の筆記具1及び11は略同心となる、筆記具である。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明では、収容状態にすると棒状の筆記具1及び11の一端部2及び12が収納具を傷めにくく、両頭式筆記具の両端部に蓋をしたような携帯に適したまとまりのある状態となり、少ない工程数で収容状態と分離状態を往来することが出来、分離状態では太過ぎず適度な全長の筆記具1及び11となり、蓋が分離しないので蓋の紛失や誤飲の心配も無い、というような設計が容易となる。
【0011】
また、発明2では、本発明の効果に加えて、収容状態でも分離状態の筆記具1又は11の太さと大差ない、さらに携帯性能の高い筆記具の設計が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の筆記具1の分離状態を表した図
【図2】第1実施形態の収容状態を表した図
【図3】第2実施形態の筆記具1の分離状態を第三角法で表した図
【図4】第2実施形態の収容状態を表した図
【図5】第3実施形態の筆記具1の分離状態を表した図
【図6】第3実施形態の収容状態を表した図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態を図1及び2に基づいて説明する。
【0014】
全体としておよそ円柱棒状の筆記具1は樹脂一体成形製であり、中央部から一端部2に向かうにつれて軸筒22は先細り形状9になり内側からフェルトペンのペン芯が突出して先端がペン先3となっており、中央部から他端部6方向は径方向に270度程開放された空間7があり、他端部6には一端部2方向に空間7に開口し開口縁にゴムパッキンが装着された収容部5が備えられ、開口に対向する空間7内壁8には磁石が埋め込まれている。
筆記具1を右手に、筆記具1と同一形状の筆記具11を左手で持って筆記具1及び11を平行に保ちながら径方向に近付けて内壁8及び18が擦れ合うように空間7及び17にそれぞれ軸筒32及び22を挿入して筆記具1及び11が同心位置になってから左手を離してやると、内壁8及び18にそれぞれ埋め込まれた磁石が同極で対向し磁気反発力によって筆記具1及び11は長手方向に内壁8及び18が離れるように移動し、一端部2及び6はそれぞれ収容部15及び5に挿入されることでゴムパッキンによってペン先3及び13は密閉され収容状態となる。また、逆の手順で筆記具1及び11を移動させることで分離状態に戻すことが出来るが、この時妨げとなる磁気反発力が状態変化を妨げる保持力である。ここで、例えば磁石を用いずに、収容部5及び15開口縁のゴムパッキンにそれぞれ軸筒32の先細り形状19及び軸筒22の先細り形状9を挿入した際のゴムパッキンによる締め付け力を保持力として使用してもよいだろう。
【0015】
また、例えば筆記具1をフェルトペンではなく芯を送り出すタイプの鉛筆に変更する場合、サイドノック式の送り出し機構が適しており、収容状態において軸筒22外周の空間17からはみ出る位置にノック操作部を設けておけば、フェルトペンの筆記具11とおよそ同一形状として取り扱うことが出来、例えばフェルトペン、芯を送り出すタイプの鉛筆、ボールペン等を単品販売し、ユーザーの好きな種類を選んで購入してもらい、交換も自由自在というような楽しい販売方法が容易となるだろう。
また、芯を送り出すタイプの鉛筆に変更した筆記具1の他端部6に大きな消しゴムを配置する為に収容部5を筆記具1の中央部寄りに移設した場合、収容部5は中間部4に備えられていると言えるだろう。
また、筆記具1をノック式のボールペンに変更する場合は軸筒22外周にスライド式操作部を設ければよいだろうし、複数のスライド式操作部を設けてペン先を切り替えてもよいだろう。
【0016】
本発明の第2実施形態を図3及び4に基づいて説明する。
【0017】
第2実施形態は、第1実施形態の構造を小変更したものであるので、変更箇所について記載する。
第1実施形態の磁石、ゴムパッキン、クリップ10及び20を取り去り、フェルトペンからボールペンに変更し、内壁8及び18を長手方向に対向する面ではなく斜面によって径方向に作用するカム面に変更し、空間7及び17を径方向に90度程開放された案内溝に変更し、案内溝の内側21及び31でそれぞれ軸筒32及び22の外周を素材の弾力性によって挟み込む力が保持力となるものである。
収容状態から他端部6及び16が長手方向で互いに離れる方向に両手で引いてやると、内壁8及び18によるカム面が作用して筆記具1及び11は保持力に逆らって径方向にも離れだし、簡便に分離状態にすることが出来る。ここで、素材の弾力性による保持力の代わりに、例えば筆記具1の長手方向に順にN極、S極という配置で中央部に磁石を埋め込み、収容状態で同一構造の筆記具11との間に働く磁気吸着力を保持力にしてもよいだろう。
【0018】
また、第1実施形態のようにフェルトペンで構成する場合は、収容部5及び15の構造を第1実施形態のように戻し、ゴムパッキンの締め付け力を保持力とすればよいだろう。
【0019】
また、ペン先3に接続される金属製等の比較的高剛性なペン芯を使用してペン芯を軸筒22から大きく突出させる構造とすれば、軸筒22が先細り形状9ではなく寸胴であってもペン先3の視認性は十分確保されるだろう。この時、筆記具1の一端部2はペン先3とペン芯で構成されていると言えるだろう。
【0020】
本発明の第3実施形態を図5及び6に基づいて説明する。
【0021】
全体として棒状の筆記具1は四角断面で先細り形状9を有する樹脂製の軸筒22を備え、筆記具1の一端部2にペン先3、他端部6に軸筒22に寄り添うように四角断面の蓋がクリップ10としても機能するように備えられており、蓋の内側が収容部5になっている。
筆記具1を右手に、筆記具1と同一形状の筆記具11を左手に持って筆記具1及び11を近付けて軸筒22及び32が寄り添うように保ちながら、収容部5の開口から筆記具11の一端部12を挿入して軽く圧入してやることで締め付け力による保持力が働く。この手順によって同時に収容部15にも一端部2が挿入される。この時、軸筒22と蓋の間にクリップ10としてメモ用紙を挟むことが出来る適度な弾力性をもって軸筒22と蓋が連結されているので、筆記具1及び11の寸法精度が悪くても同時に2つの蓋に一端部2及び12を圧入することが容易である。また、分離状態でクリップ10にメモ用紙を挟んでから収容状態にすると、クリップ10が閉じる方向の力が上昇して、よりしっかりとメモ用紙を挟持することが出来るだろう。
【0022】
また、同一形状の筆記具を2本以外にも4本、6本・・・と偶数本数用意すれば、すべての筆記具がエンドレスに連結された新たな収容状態を得ることが出来る。
【0023】
本発明のその他の実施形態を説明する。
【0024】
前記すべての実施形態において、従来の筆記具に用いられてきた例えば多角形状や涙形状等の様々な断面形状であっても良い。
【0025】
前記すべての実施形態において、ボールペンやフェルトペンをその他の筆記具に設計変更することは当業者には容易であるので、詳しい記載は省略する。
【符号の説明】
【0026】
1,11. 筆記具
2,12. 一端部
3,13. ペン先
4,14. 中間部
5,15. 収容部
6,16. 他端部
7,17. 空間
8,18. 内壁
9,19. 先細り形状
10,20. クリップ
21,31. 内側
22,32. 軸筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の第1筆記具の長手方向の第1一端部に備えられる第1ペン先と、
前記第1筆記具の長手方向の第1中間部又は第1他端部に備えられる第1収容部と、
棒状の第2筆記具の長手方向の第2一端部に備えられる第2ペン先と、
前記第2筆記具の長手方向の第2中間部又は第2他端部に備えられる第2収容部と、
を具備し、
前記第1及び第2筆記具が分離されそれぞれ筆記具として機能する分離状態と、
前記分離状態から前記第1及び第2一端部をそれぞれ前記第2及び第1収容部に挿入することで、前記第1及び第2一端部がそれぞれ前記第2及び第1収容部に同時に収容された収容状態と、
前記収容状態を保持して前記分離状態への状態変化を妨げる保持力と、
を有する、
筆記具。
【請求項2】
前記収容状態において、棒状の前記第1及び第2筆記具は略同心となる、
請求項1に記載の筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−78870(P2013−78870A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218817(P2011−218817)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【特許番号】特許第4921610号(P4921610)
【特許公報発行日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【出願人】(504474323)
【Fターム(参考)】