説明

筋ジストロフィーの治療用薬剤のニトロオキシ誘導体の使用

本発明は、デュシェンヌ型およびベッカー型ジストロフィーのような筋ジストロフィーを遅らせるか、または逆行させるための、一酸化窒素放出性化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュシェンヌ型およびベッカー型ジストロフィーのような筋ジストロフィーを遅らせるか、または逆行させるための、一酸化窒素放出性化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
筋ジストロフィーは、骨格筋線維の進行性変性によって引き起こされる。原形質膜かまたは内部膜内のどちらかに位置するいくつかのタンパク質の1つの欠乏が、収縮の間の損傷の確率を増加させ、最終的に、免疫担当細胞の浸潤を有する重篤な局所炎症を伴う線維変性をもたらす。
【0003】
筋ジストロフィーは、骨格筋衰弱の選択的分布によって臨床的に見分けられる、遺伝性、進行性の筋障害の一群を含む。筋ジストロフィーの最も一般的な2つの形はデュシェンヌ型およびベッカー型ジストロフィーであり、それぞれ、Xp21座に位置するジストロフィン遺伝子の突然変異の遺伝をもたらす。その他のジストロフィーは、限定されないが、肢帯筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕(ランドジー‐デジェリーヌ)筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、およびエメリー‐ドライフス型筋ジストロフィーを含む。
【0004】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーのような最も重篤な形態において、再生は枯渇し、骨格筋は次第に脂肪組織および線維組織と交換される。この状態は、進行性衰弱ならびに呼吸不全および/または心不全により最終的には死を示す患者をもたらす。
【0005】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの症状は、ほとんど独占的に男性に起こり、約3〜7歳の年齢で始まり、たいていの患者が10〜12歳までに車椅子に腰掛けたきりとなり、多くは呼吸器の合併症により約20歳の年齢で死亡する。
【0006】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーのための有力な治療として試みられている異なる薬物療法の中で、プレドニゾン、プレドニゾロンおよびデフラザコートのようなコルチコステロイドだけが、一時的改善を与える可能性を示している。この改善は、主に、進行の速度を遅くするか、または筋肉の強度および機能を固定化することから生まれる。コルチコステロイド療法は、副作用ももたらし、いまのところまだ、標準治療としてのこれらの使用に関して意見の一致はない。
【0007】
プレドニゾンのようなコルチコステロイドは、疾病を引き起こす筋線維の損傷により促進される免疫細胞の活性化および浸潤を遮断することにより作用すると信じられている。
【0008】
筋ジストロフィーの改善措置として、コルチコステロイドでの長期間の治療は、骨粗鬆症、高血圧およびクッシング症候群、プレドニゾロンの場合における体重増加、白内障、低身長症、胃腸症状、行動変化ならびにデフラザコートに関して体重増加および白内障のような副作用を伴う。
【0009】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95 (1998), 14592-14593にBredt D. S. は、構造的および機能的に筋細胞膜でジストロフィン複合体と結合される、筋肉のNO合成酵素によって発生された一酸化窒素(NO)は、血管拡張を調節することにより、骨格筋の生理的発達および機能に関与し、そのようにして、筋繊維へのグルコースの取り込みを増加し、細胞のエネルギー代謝に関する酵素の活性を調節することにより、運動の間、酸素を供給することを報告している。
【0010】
EP 759899は、NSAIDのニトロオキシ誘導体を記載している。該文献に報告されている薬理データは、これらの化合物が良好な抗炎症活性、鎮痛活性および抗血栓活性ならびに対応する親化合物より増加した胃の忍容性を示すことを示している。該文献は、これらの化合物が筋肉の変性疾患の治療に有効であることを報告していない。
【0011】
WO 2004/105754は、強力な抗炎症、抗血栓および抗血小板活性を示すスタチンのニトロ誘導体を記載している。該文献は、スタチンのニトロ誘導体が、心血管疾患および末梢血管疾患ならびに糖尿病患者における血管系の合併症およびアテローム性動脈硬化症のような内皮の機能障害に関係する全ての障害を治療または予防するのに用いられ得ることを報告している。この文献もまた、これらの化合物が筋肉の変性疾患の治療に有効であることを報告していない。
【0012】
WO 00/53191は、デュシェンヌ型ジストロフィー、ベッカー型ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕(ランドジー‐デジェリーヌ)筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー、およびエメリー‐ドライフス型筋ジストロフィーを含む筋肉の疾病の治療に、一酸化窒素(NO)、NO供与体、NO活性の阻害剤またはNO産生の調節剤の使用を記載している。
【0013】
特に、該文献は、デフラザコート、デフラザコート+L-NAME(NOS酵素阻害剤)またはデフラザコート+L-アルギニン(NO供与体)で処理したmdxジストロフィーマウスの研究結果を記載している。該実験において、前脛骨筋および横隔膜の筋組織が処理した動物から採取され、筋肉の損傷指標の有益な尺度である、中心核形成(central nucleation)インデックス(CNI)が評価された。その結果は、デフラザコートにNO供与体の添加は、mdxマウスの筋肉の状態を改善せず、L-NAMEは、デフラザコートの有利な効果を横隔膜でのみ増大したことを示している。該著者は、この結果は、L-NAMEまたはその他のNOS阻害剤が、その場所で適用されたとき、ステロイドの効果を改善するのに用いられ得ることを示していると結論付けた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、筋肉線維の損傷を遅くし、筋ジストロフィーの患者の障害の発現を遅らせるが、現行の治療法より骨格筋萎縮の度合がより少ない治療剤を発見することの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
全く驚くべきことにかつ予想されず、式M-X-Y-ONO2(ここで、MはNSAIDまたはスタチンである治療剤の残基である)の一酸化窒素放出性化合物が、筋ジストロフィーを遅らせるか、または逆行させること(治療)に効果的であることを見出した。さらに、それらは、よりほとんど副作用を誘発せず、患者の忍容性も良好で、それゆえ、長期の治療に用いられ得る長所を有する。
【0016】
本発明の目的は、筋ジストロフィーの治療のための、式(Ia):
M-X-Y-ONO2 (Ia)
[一般式(Ia)中、M、XおよびYは次の意味を有する:
Mは、
【化1】

(ここで、RAは水素原子または-C(O)CH3である)
【0017】
【化2−1】

【0018】
【化2−2】

【0019】
【化2−3】

【0020】
【化2−4】

【0021】
【化2−5】

【0022】
から選択される残基であり、
Xは、-O-、-S-または-NR1-(ここで、R1はHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6アルキルである)であり、
【0023】
Yは次の意味:
a)
−ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20アルキレン、好ましくはC1-C10アルキレン;
より好ましくはYはC1-C10アルキレンである;
−直鎖状または分枝鎖状のC1-C10アルキル基、好ましくはCH3で任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
【0024】
【化3】

【0025】
(ここで、nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜5の整数であり、より好ましくはnは0であり;
n1は1〜20の整数であり、好ましくはn1は1〜5の整数であり、より好ましくはn1は1である);
但し、Yがb)およびc)で挙げられた2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-に結合している;
【0026】
d)
【化4】

(ここで、X1 = -OCO-または-COO-であり、R2はHまたはCH3であり;
naは1〜20の整数であり;好ましくはnは1〜5の整数であり;
n2は0〜2の整数である);
【0027】
e)
【化5】

(ここで、Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2-;または-CH=CH-(CH2)n2-であり;
X1、na、n2およびR2は上記で定義されたとおりである);
【0028】
f)
【化6】

(ここで、naおよびR2は上記で定義されたとおりであり、R3はHまたは-COCH3である);
但し、Yがd)〜f)で挙げられた2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)naに結合しており;
Xが-NR1-(ここで、R1は上記で定義されたとおりである)であるとき、Yはf)でない;
【0029】
g)
【化7】

(ここで、X2は-O-または-S-であり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は上記で定義されたとおりである);
を有する2価の基である]
の一酸化窒素放出性薬物、またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーの使用である。
【0030】
本発明の1つの好ましい態様は、筋ジストロフィーの治療のための、式(Ib):
【化8】

の一酸化窒素放出性薬物の使用を含み、式(Ib)の化合物は式の2-(アセチルオキシ)安息香酸 3-(ニトロオキシメチル)フェニルエステルとして知られている。
【0031】
本発明のもう1つの好ましい態様は、筋ジストロフィーを遅らせるか、または逆行させるための、式(IIIb):
【化9】

の一酸化窒素放出性薬物の使用を含み、式(IIIb)の化合物は2-フルオロ-α-メチル-4[1,1'-ビフェニル]4-酢酸の4-ニトロオキシブチルエステルである。
【0032】
本発明のもう1つの好ましい態様は、筋ジストロフィーの治療のための、式(Ia)の一酸化窒素放出性薬物の使用を含み、ここで、式(Ia)において、Mは:
【0033】
【化10−1】

【0034】
【化10−2】

から選択され、
Xは酸素原子であり、
【0035】
Yは、
−直鎖状のC1-C10アルキレン;
b)
【化11】

(ここで、nは0〜5の整数であり;
n1は1〜5の整数であり、より好ましくはn1は1である)
から選択される。
【0036】
もう1つの好ましい態様は、
[1S-[1α(βS*,δS*),2α,6α,8β-(R*),8aα]]-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-β,δ,6-トリヒドロキシ-2-メチル-8-(2-メチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレンヘプタン酸 4-(ニトロオキシ)ブチルエステルまたはプラバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルとして知られている:
【0037】
【化12】

【0038】
[1S-[1α(βS*,δS*),2α,6α,8β-(R*),8aα]]-1,2,6,7,8,8a-ヘキサヒドロ-β,δ,6-トリヒドロキシ-2-メチル-8-(2-メチル-1-オキソブトキシ)-1-ナフタレンヘプタン酸 4-(ニトロオキシメチル)ベンジルエステルまたはプラバスタチン4-(ニトロ-オキシメチル)ベンジルエステルとして知られている:
【0039】
【化13】

【0040】
(βR,δR)-2-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸 3-(ニトロオキシ)ブチルエステルまたはアトルバスタチン3-(ニトロオキシ)ブチルエステルとして知られている:
【0041】
【化14】

【0042】
(βR,δR)-2-(4-フルオロフェニル)-β,δ-ジヒドロキシ-5-(1-メチルエチル)-3-フェニル-4-[(フェニルアミノ)カルボニル]-1H-ピロール-1-ヘプタン酸 3-(ニトロオキシメチル)ベンジルエステルまたはアトルバスタチン3-(ニトロオキシメチル)ベンジルエステルとして知られている:
【0043】
【化15】

からなる群から選択される一酸化窒素放出性薬物の筋ジストロフィーの治療のための使用である。
【0044】
投与される用量は、例えば年齢、体重、症状、所望の治療効果、投与経路、および治療期間によって決定される。成人において、1回に1人当りの用量は、一般的に、経口投与で1 mg〜1000 mg、1日当り数回まで、非経口投与(好ましくは静脈投与)で1 mg〜100 mg、1日当り数回まで、または1〜24時間の連続投与である。
【0045】
上記のように、使用される用量は種々の状態に依存する。それゆえ、前で特定された範囲より少ないか、または多い用量が用いられ得る場合がある。
本発明の化合物は、例えば経口投与用の固体組成物、液体組成物またはその他の組成物、非経口投与用の注射剤、塗布剤または坐剤の形態で投与され得る。
【0046】
式(Ia)(ここで、Mは式(I)〜(XXIV)の残基から選択され、Xは前で定義されたとおりである)の一酸化窒素放出性薬物の一般的な合成は、EP 7 559 899に記載されている。
式(Ib)の2-(アセチルオキシ)安息香酸 3-(ニトロオキシメチル)フェニルエステルの合成方法は、EP 1 194 397に記載されている。
【0047】
式(Ia)(ここで、Mは式(XXXIV)〜(XXXIX)の残基から選択される)の一酸化窒素放出性薬物の一般的合成およびプラバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステルの合成は、WO 2004/105754に記載されている。
【実施例】
【0048】
実施例1
筋ジストロフィーモデル(α-サルコグリカン-欠乏マウス)。
動物モデルの参考:Duclos F. et al. J Cell Biol. 1998 Sep 21; 142(6):1461-71。
試験化合物は:
− 式(Ib)の2-アセチルオキシ安息香酸 3-(ニトロオキシメチル)ベンゾエート;
− 式(XXXVb)のプラバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル;
− 式(IIIb)の2-フルオロ-α-メチル-4[1,1'-ビフェニル]4-酢酸の4-ニトロオキシブチルエステル;
− 参考のコルチコステロイド薬物としてプレドニゾロン
である。
【0049】
4群のα-サルコグリカン(SG)-ヌル(null)C57BL/6マウスが、食事中毎日の投与で、2-アセチルオキシ安息香酸 3-(ニトロオキシメチル)ベンゾエート(化合物Ib)(100 mg/kg)、プラバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル(化合物XXXVb)(12 mg/kg)、2-フルオロ-α-メチル-4[1,1'-ビフェニル]4-酢酸の4-ニトロオキシブチルエステル(化合物IIIb)(30 mg/kg)、プレドニゾロン(3 mg/kg)または媒体(vehicle)で処置された。
【0050】
(20〜80日の範囲の)指示された時点で、骨格筋の機能をフリーホイール(free wheel)試験により試験した。24時間後、動物を屠殺し、組織を単離し、組織学的特徴を分析した。アザン‐マロリー手法による染色後、浸潤物を評価した;壊死線維をヘマトキシリンで染色された部分で測定した;クレアチンキナーゼは、ホイール試験24時間前に得た血液試料に市販品のキットを用いて測定した(Sampaolesi M., et al Science 301, 487-492, 2003)。そのデータを表1に報告する。
【0051】
フリーホイールランニング(running):
自発的ホイールランニングが、強制トレッドミル(treadmill)ランニングのストレスにより起こり得るあらゆる生理学的変化を避けるために、運動の実例として用いられた。マウスは、速度計に送られるその出力が1日当りの回転数の定量化を可能にする、磁気カウンターを備えたポリカーボネートランニングホイール中、24時間、単独で収容された。そのデータを表2に報告する。
【0052】
クレアチンキナーゼ活性測定:
コントロールおよび薬物処処理動物の血清中のクレアチンキナーゼ活性の定量的および動的な測定が、クレアチンキナーゼ試薬(Sigma)を用いて、製造業者の指示に従って行なわれた。血液は、2〜7ヶ月齢マウスの尾から採取され、13.000 rmp、10分間の遠心分離後に得られた血清が、測定前に-80℃で保存された。そのデータを表1に報告する。
【0053】
組織学:
無処処理および薬物処理マウスの横隔膜および前脛骨筋が分離され、Killik凍結切片媒体中に入れられ、直ぐに凍結され、低温保持装置を用いて、横の方向に筋肉線維を有する8-μmの厚さの断面に切断された。断面は、炎症性浸潤物および壊死線維(組織に対して18〜10断面)の数を評価するために、Hematoxylin & Eosinまたはアザン‐マロリーのどちらかで染色された。そのデータを表1に報告する。
【0054】
その結果は、試験化合物(Ib)、(XXXVb)および(IIIb)は、これらの動物に典型的に起こる組織学的、機能的および生化学的な変化を減少させるのに有意に効果的であったことを示している。特に、処理動物は、有意に減少した炎症性浸潤物およびほとんど検知可能な壊死線維を示した。(表1)
【0055】
筋肉損傷の顕著な特徴のクレアチンキナーゼの血漿レベルは、処理動物で有意に低下し、矛盾なく、それらは、フリーホイールランニング試験で有意により改善的に働いた。(表2)
全体で、本データは、本発明の化合物が、この病理の選択薬であるプレドニゾロンと比較してより改善されたプロファイルを有することを示している。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋ジストロフィーの治療用医薬を製造するための、式(Ia):
M-X-Y-ONO2 (Ia)
[一般式(Ia)中、M、XおよびYは次の意味を有する:
Mは、
【化1】

(ここで、RAは水素原子または-C(O)CH3である)
【化2−1】

【化2−2】

【化2−3】

【化2−4】

【化2−5】

から選択される残基であり、
Xは、-O-、-S-または-NR1-(ここで、R1はHまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1-C6アルキルである)であり、
Yは次の意味:
a)
−ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2またはT(ここで、Tは-OC(O)(C1-C10アルキル)-ONO2または-O(C1-C10アルキル)-ONO2である)からなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1-C20アルキレン、好ましくはC1-C10アルキレン;
より好ましくはYはC1-C10アルキレンである;
−直鎖状または分枝鎖状のC1-C10アルキル基、好ましくはCH3で任意に置換されていてもよいC5-C7シクロアルキレン基;
【化3】

(ここで、nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜5の整数であり、より好ましくはnは0であり;
n1は1〜20の整数であり、好ましくはn1は1〜5の整数であり、より好ましくはn1は1である);
但し、Yがb)およびc)で挙げられた2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)n1-に結合している;
d)
【化4】

(ここで、X1 = -OCO-または-COO-であり、R2はHまたはCH3であり;
naは1〜20の整数であり;好ましくはnは1〜5の整数であり;
n2は0〜2の整数である);
e)
【化5】

(ここで、Y1は-CH2-CH2-(CH2)n2-;または-CH=CH-(CH2)n2-であり;
X1、na、n2およびR2は上記で定義されたとおりである);
f)
【化6】

(ここで、naおよびR2は上記で定義されたとおりであり、R3はHまたは-COCH3である);
但し、Yがd)〜f)で挙げられた2価の基から選択されるとき、式(I)の-ONO2基は-(CH2)naに結合しており;
Xが-NR1-(ここで、R1は上記で定義されたとおりである)であるとき、Yはf)でない;
g)
【化7】

(ここで、X2は-O-または-S-であり、n3は1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、R2は上記で定義されたとおりである);
を有する2価の基である]
の一酸化窒素放出性化合物、またはそのエナンチオマーもしくはジアステレオマーの使用。
【請求項2】
式(Ia)の化合物が、式(Ib):
【化8】

の2-(アセチルオキシ)安息香酸 3-(ニトロオキシメチル)フェニルエステルである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(Ia)の化合物が、式(IIIb):
【化9】

の2-フルオロ-α-メチル-4[1,1'-ビフェニル]4-酢酸の4-ニトロオキシブチルエステルである、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
式(Ia)において、Mが、
【化10−1】

【化10−2】

から選択され、
Xが酸素原子であり、
Yが、
−直鎖状のC1-C10アルキレン;
b)
【化11】

(ここで、nは0〜5の整数であり;
n1は1〜5の整数であり、より好ましくはn1は1である)
から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
式(Ia)の化合物が、
プラバスタチン4-(ニトロオキシ)ブチルエステル
【化12】

プラバスタチン4-(ニトロ-オキシメチル)ベンジルエステル
【化13】

アトルバスタチン3-(ニトロオキシ)ブチルエステル
【化14】

アトルバスタチン3-(ニトロオキシメチル)ベンジルエステル
【化15】

から選択される、請求項4に記載の使用。

【公表番号】特表2009−525302(P2009−525302A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552778(P2008−552778)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050630
【国際公開番号】WO2007/088123
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】