説明

筋電センサ

【課題】信頼性が高く、筋電位をより正確に測定できる小型の筋電センサを提供する。
【解決手段】筋電センサ10は、MEMS素子20、計測用回路素子30、ベース基板40、検出用外部電極51,52、筐体60、ワイヤ配線70、ビア電極71,72を備える。MEMS素子20、計測用回路素子30は、ベース基板40に実装され、ベース基板40のこれら素子の実装面と反対側の面には、検出用外部電極51,52が配設されている。ベース基板40の素子の実装面には、筐体60が配設されている。筋電センサ10は、検出用外部電極51,52を生体100に当接させた状態で、筋電位測定を実行する。MEMS素子20は、駆動信号により距離が変動する二対の櫛歯電極を備える。対をなす櫛歯電極は、それぞれ、ビア電極71,72を介して検出用外部電極51,52に接続されるとともに、ワイヤ配線70を介して計測用回路素子30へ接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体に発生する筋電位を測定する筋電センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の筋電センサが考案されている。筋電センサには、抵抗型と静電容量型とがある。抵抗型の筋電センサは、皮膚と検出電極との間に導電性ペーストを介在させた状態で皮膚に検出電極を装着させ、筋電位の測定を行う。しかしながら、このような測定方法では、導電性ペーストの経時変化によるノイズの増加や、長時間の装着による皮膚のかぶれ等が問題となる。
【0003】
このような問題が生じない静電容量型の筋電センサが、特許文献1および特許文献2に記載されている。これらの静電容量型の筋電センサでは、筋電位の測定に、生体と検出電極との間に生じる静電容量が利用されている。これらの静電容量型の筋電センサでは、生体に発生する筋電位と静電容量とから決定される電流を筋電位測定回路で測定することで、筋電位の測定が行われる。
【0004】
そして、特許文献1の筋電センサでは、筋電位測定回路のハイパスフィルタの設計要素に、生体と検出電極との間で生じる静電容量を含むようにしている。
【0005】
特許文献2の筋電センサは、いわゆる振動容量型筋電センサであり、検出電極と皮膚との距離を所定周期で変化させることで、静電容量を周期的に変化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−261735号公報
【特許文献2】特開平8−38437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載の筋電センサでは、筋電位を測定するために重要な周波数成分を検出するには、生体と検出電極との間に生じる静電容量の値を大きくしなければならず、必然的に、検出電極の面積を大きくしなければならなくなる。したがって、筋電センサを小型に形成することできない。
【0008】
また、特許文献2に記載の筋電センサは、生体側(皮膚側)が開口した構造である。このため、検出電極が外部環境の影響を受けやすく、信頼性および耐環境性に劣る可能性がある。また、検出電極を数百Hzの周波数で振動させるため、生体の動作により生じる数十Hzの周波数成分の影響を受けやすい。
【0009】
したがって、本発明の目的は、信頼性が高く、筋電位をより正確に測定できる小型の筋電センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の筋電センサは、生体の筋電位を測定する筋電センサであって、筋電位に応じた検出電流を出力するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子からなる検出部と、検出電流に基づいて筋電位を計測する計測部と、を備える。
【0011】
この構成では、筋電位に応じた検出電流を出力する素子がMEMS素子であるので、小型になり、ひいては筋電センサ自体が小型になる。
【0012】
また、この発明の筋電センサは、次の構成であることが好ましい。筋電センサには、生体の表面に装着される検出用外部電極が備えられている。MEMS素子は、検出用外部電極に接続され、MEMS素子内に形成された検出用内部電極と、検出用内部電極に対する距離が可変であり、検出用内部電極との間の距離に応じた静電容量を形成する振動電極と、を備える。筋電センサとしての検出電流は、振動電極から出力される電流である。
【0013】
この構成では、筋電位に応じた検出電流を出力する機構が、MEMS素子内に形成されているため、高い信頼性および耐環境性を実現できる。また、振動電極の振動に応じた周波数で静電容量が変化し、この静電容量の変化に応じた検出電流に筋電位を重畳させた形(言い換えれば、筋電位を静電容量変化の周波数で変調した形)で検出される。したがって、計測部で周波数振動に対する検波を行えば、筋電位を正確に測定することができる。
【0014】
また、この発明の筋電センサは、検出用内部電極と振動電極とは、櫛歯電極であり、検出用内部電極と振動電極とで、IDT構造を構成していることが好ましい。
【0015】
この構成では、IDT(Interdigital Transducer)構造を用いることで、小型でありながら、大きな静電容量を実現できる。したがって、小型でありながら、筋電位の検出性能を向上させることができる。
【0016】
また、この発明の筋電センサは、検出用内部電極と振動電極との距離を所定の周波数で変化させる力を与える駆動部を備え、この駆動部は、筋電位の周波数成分よりも十分に高い周波数で検出用内部電極と振動電極との距離を変化させることが好ましい。
【0017】
この構成では、上述の静電容量の変化に応じた検出電流に、筋電位による変化を重畳させた形からなる検出電流を得るための具体的な一構成例を示している。そして、十分に高い周波数を用いれば、筋電位の検出感度を向上させることができる。
【0018】
また、この発明の筋電センサは次の構成であることが好ましい。検出用外部電極、検出用内部電極、および振動電極からなる電極の組は、複数である。計測部は、各電極の組で得られる検出電流に基づく筋電位を差動で検出する。
【0019】
この構成では、筋電位を差動で出力することで、外部ノイズがキャンセルされ、筋電位の測定精度を向上させることができる。
【0020】
また、この発明の筋電センサは、次の各構成であることが好ましい。
【0021】
一例として、計測部は、IC化された計測用回路素子からなる。MEMS素子と計測用回路素子とが第1主面に実装され、検出用外部電極が第2主面に実装された平板状のベース基板と、ベース基板の第1主面を覆う形状からなる筐体と、をさらに備える。
【0022】
また別の一例として、計測部は、IC化された計測用回路素子からなる。該計測用回路素子は、MEMS素子上に実装されている。計測用回路素子が実装されたMEMS素子が第1主面に実装され、検出用外部電極が第2主面に実装された平板状のベース基板と、該ベース基板の第1主面を覆う形状からなる筐体と、をさらに備える。
【0023】
これらの構成では、検出部と計測部とが密閉された筐体内に設置されるので、高い信頼性且つ耐環境性を有し、外部ノイズにも対しても強い筋電センサを実現できる。さらに、各素子が小型であるので、筋電センサを小型にできる。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、外部環境や生体の動作等の影響を殆ど受けることなく筋電位をより正確に測定できる小型且つ高信頼性の筋電センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る筋電センサ10の構成を示す側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る筋電センサ10の回路ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るMEMS素子20の構造を示す電極パターン図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るMEMS素子20の構造を示すための断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る筋電センサ10を用いた場合の筋電位の波形図、および、従来の静電容量型の筋電センサを用いた場合の筋電位の波形図を示す。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る筋電センサ10Aの構成を示す側面断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る筋電センサ10Aの回路ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るMEMS素子20Aの構造を示す電極パターン図である。
【図9】本発明の別の筐体形状からなるMEMS素子20Bの構造を示すための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の第1の実施形態に係る筋電センサについて、図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る筋電センサ10の構成を示す側面断面図である。
【0027】
本実施形態の筋電センサ10は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子20、計測用回路素子30、ベース基板40、検出用外部電極51,52、筐体60、ワイヤ配線70、ビア電極71,72を備える。MEMS素子20は「検出部」に相当し、計測用回路素子30は「計測部」に対応する。
【0028】
ベース基板40は絶縁性基板からなる。ベース基板40の第1主面には、MEMS素子20と計測用回路素子30とが実装されている。計測用回路素子30は、ICである。ベース基板40の第1主面とは反対側にある第2主面には、検出用外部電極51,52が所定間隔をおいて、形成されている。検出用外部電極51は、ビア電極71を介してMEMS素子20に接続され、検出用外部電極52は、ビア電極72を介してMEMS素子20に接続されている。MEMS素子20と計測用回路素子30とは、ワイヤ配線70によって接続されている。ベース基板40の第1主面側には、一つの面を開口した箱状の筐体60が配設されている。この際、筐体60は、開口面がベース基板40側となるように配設される。この構成により、MEMS素子20および計測用回路素子30は、ベース基板40および筐体60で形成される閉空間内に配置される。これにより、MEMS素子20および計測用回路素子30は、外部環境から保護され、これらMEMS素子20および計測用回路素子30に対して高い信頼性および耐環境性を実現できる。なお、筐体60は、電磁シールド機能を有するものであるとよりよい。
【0029】
このような筋電センサ10は、検出用外部電極51,52が生体100の皮膚表面に当接するように、配置される。
【0030】
また、筋電センサ10は、図2に示すような回路構成を実現している。図2は、本実施形態に係る筋電センサ10の回路ブロック図である。
【0031】
検出用外部電極51は、接触抵抗110を介して生体100に接続されている。検出用外部電極51には、設置位置の皮膚下の筋肉の動きに応じた筋電位Vh1が印加される。
【0032】
検出用外部電極52は、接触抵抗110を介して生体100に接続されている。検出用外部電極52には、設置位置の皮膚下の筋肉の動きに応じた筋電位Vh2が印加される。
【0033】
検出用外部電極51は、MEMS素子20の櫛歯電極204に接続されている。検出用外部電極52は、MEMS素子20の櫛歯電極205に接続されている。櫛歯電極204,205が本発明の「検出用内部電極」に相当する。
【0034】
MEMS素子20の櫛歯電極206は、計測用回路素子30のIV変換回路301に接続されている。MEMS素子20の櫛歯電極207は、計測用回路素子30のIV変換回路302に接続されている。IV変換回路301,302は、電流−電圧変換回路である。櫛歯電極206,207は、本発明の「振動電極」に相当する。
【0035】
ここで、櫛歯電極204,205,206,207の具体的な構造は後述するが、櫛歯電極204と櫛歯電極206とで第1の静電容量が形成され、櫛歯電極205と櫛歯電極207とで第2の静電容量が形成される。
【0036】
IV変換回路301,302は、差動回路303に接続されている。差動回路303は、同期検波回路304に接続されている。同期検波回路304の出力端は、筋電センサ10の出力端子11に接続されている。
【0037】
また、MEMS素子20には駆動信号発生部305が接続されている。駆動信号発生部305から出力される高周波電圧の駆動信号は、MEMS素子20に入力される。また、MEMS素子20から出力されるモニター信号は、駆動信号発生部305に入力される。駆動信号発生部305は、モニター信号に基づいて、駆動信号の周波数を一定に制御する。なお、駆動信号発生部305から出力される駆動信号は、同期検波回路304へも入力される。また、駆動信号発生部305は、計測用回路素子30内に設けてもよく、計測用回路素子30とは別素子で形成してもよい。
【0038】
次に、MEMS素子20の具体的な構造について説明する。MEMS素子20は、図3に示すような構成からなる。図3は、本実施形態に係るMEMS素子20の構造を示す電極パターン図である。また、図4は、本実施形態に係るMEMS素子20の構造を示すための断面図である。図4の断面図は、図3のA−A’面を切った断面図である。
【0039】
MEMS素子20は、複数の櫛歯電極により構成されるIDT構造群を備える。より具体的に、MEMS素子20は、櫛歯電極201,202,203,204,205,206,207から構成されている。
【0040】
櫛歯電極201は、矩形状からなる複数の電極指211,212と、矩形状のバスバー213とから構成される。バスバー213の延びる方向に平行な各辺から、該バスバー213の延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指211および複数の電極指212が形成されている。
【0041】
複数の電極指211は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー213の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。複数の電極指212も、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー213の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。複数の電極指211の配列方向と複数の電極指212の配列方向は平行である。
【0042】
櫛歯電極202は、櫛歯電極201の電極指211群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極202は、矩形状からなる複数の電極指221と、矩形状のバスバー222とから構成される。バスバー222の延びる方向は、バスバー213の延びる方向と平行である。バスバー222の延びる方向に平行な櫛歯電極201側の辺から、該バスバー222の延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指221が形成されている。
【0043】
複数の電極指221は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー222の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0044】
櫛歯電極201の複数の電極指211と、櫛歯電極202の複数の電極指221は、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極201の電極指211間に櫛歯電極202の電極指221が配設され、櫛歯電極202の電極指221間に櫛歯電極201の電極指211が配設されている。これにより、駆動信号印加用のIDT構造が実現される。
【0045】
櫛歯電極203は、櫛歯電極201の電極指212群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極203は、矩形状からなる複数の電極指231と、矩形状のバスバー232とから構成される。バスバー232の延びる方向は、バスバー213の延びる方向と平行である。バスバー232の延びる方向に平行な櫛歯電極201側の辺から、該バスバー232の延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指231が形成されている。
【0046】
複数の電極指231は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー232の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0047】
櫛歯電極201の複数の電極指212と、櫛歯電極203の複数の電極指231は、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極201の電極指212間に櫛歯電極203の電極指231が配設され、櫛歯電極203の電極指231間に櫛歯電極201の電極指212が配設されている。これにより、駆動信号周波数のモニター用のIDT構造が実現される。
【0048】
櫛歯電極204は、矩形状からなる複数の電極指241と、矩形状のバスバー242とから構成される。櫛歯電極205は、矩形状からなる複数の電極指251と、矩形状のバスバー252とから構成される。
【0049】
バスバー242,252は、櫛歯電極201のバスバー213の延びる方向の一方端から、当該延びる方向に沿ってさらに延びる形状で形成されている。バスバー242,252の幅は、バスバー213の略半分の幅からなる。なお、ここで、幅とは、各バスバーの延びる方向に直交し、電極の主面に平行な方向の長さを示す。バスバー242は、バスバー213の電極指211側の略半分に続くような形状で形成され、バスバー252は、バスバー213の電極指212側の略半分に続くような形状で形成されている。
【0050】
バスバー213、242,252のそれぞれの間には、互いに電気的に絶縁されるように、絶縁体208が介在されている。
【0051】
バスバー242の延びる方向に平行なバスバー252が位置する側と反対側の辺から、該辺に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指241が形成されている。複数の電極指241は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー242の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0052】
バスバー252の延びる方向に平行なバスバー242が位置する側と反対側の辺から、該辺に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指251が形成されている。
【0053】
複数の電極指251は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー252の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0054】
櫛歯電極206は、櫛歯電極204の電極指241群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極206は、矩形状からなる複数の電極指261と、矩形状のバスバー262とから構成される。バスバー262の延びる方向は、バスバー242の延びる方向と平行である。バスバー262の延びる方向に平行な櫛歯電極241側の辺から、該バスバー262の延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指261が形成されている。
【0055】
複数の電極指261は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー262の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0056】
櫛歯電極204の複数の電極指241と、櫛歯電極206の複数の電極指261は、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極204の電極指241間に櫛歯電極206の電極指261が配設され、櫛歯電極206の電極指261間に櫛歯電極204の電極指241が配設されている。これにより、筋電位検出用の第1のIDT構造が実現される。
【0057】
櫛歯電極207は、櫛歯電極205の電極指251群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極207は、矩形状からなる複数の電極指271と、矩形状のバスバー272とから構成される。バスバー272の延びる方向は、バスバー252の延びる方向と平行である。バスバー272の延びる方向に平行な櫛歯電極251側の辺から、該バスバー272の延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指271が形成されている。
【0058】
複数の電極指271は、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー272の延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0059】
櫛歯電極205の複数の電極指251と、櫛歯電極207の複数の電極指271は、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極205の電極指251間に櫛歯電極207の電極指271が配設され、櫛歯電極207の電極指271間に櫛歯電極205の電極指251が配設されている。これにより、筋電位検出用の第2のIDT構造が実現される。
【0060】
上述のMEMS素子20を構成する各櫛歯電極201,202,203,204,205,206,207は、図4に示すように、上側ケース401と、下側ケース402とによって形成される内部空間に密閉されている。この際、内部空間は、減圧状態もしくは真空状態にされている。このような減圧状態もしくは真空状態であれば、振動に対する空気抵抗等が抑圧でき、感度を向上させることができる。そして、このような減圧状態もしくは真空状態を実現するために、上側ケース401および下側ケース402は、ガラスもしくはSiから形成されている。
【0061】
櫛歯電極201、櫛歯電極205、櫛歯電極204(図4には図示せず)、および絶縁体208からなる一体型の電極は、バネ209を介して、支持電極400に接続されている。バネ209は、櫛歯電極201,204,205と同じ材料で形成されている。バネ209は、所定の弾性を有するように、例えばミアンダ形状に形成されている。
【0062】
支持電極400も、バネ209と同様に、櫛歯電極201,204,205と同じ材料で形成されている。支持電極400は、上側ケース401および下側ケース402によって主面が狭持されている。この構造により、櫛歯電極201、櫛歯電極205、櫛歯電極204(図4には図示せず)、および絶縁体208からなる一体型の電極は、振動可能な状態で支持される。また、櫛歯電極201,204,205は、バネ209、支持電極400を介して外部回路へ接続される。なお、図4では、櫛歯電極202,203,206,207も図示していないが、これらは、上側ケース401および下側ケース402に固定設置されている。
【0063】
このような構造からなるMEMS素子20は、上述のように、櫛歯電極204,205が検出用外部電極51,52にそれぞれ接続され、櫛歯電極206,207がIV変換回路301,302にそれぞれ接続されている。また、櫛歯電極201は接地されている。櫛歯電極202には、駆動信号発生部305の出力端が接続されている。また、櫛歯電極203には、駆動信号発生部305の入力端が接続されている。
【0064】
以上の機構的構成および回路構成により、筋電センサ10は、次に示すように、筋電位を測定する。
【0065】
駆動信号発生部305から高周波の駆動信号が櫛歯電極202に印加されると、駆動信号の電圧に応じた電位差が、櫛歯電極201の電極指211と櫛歯電極202の電極指221との間に生じる。これにより、駆動信号の周波数に応じて変動する静電力が発生し、当該発生した静電力とバネ209の弾性との関係に応じて、電極指211と電極指221との距離が変化する。すなわち、櫛歯電極201に対して櫛歯電極202が相対的に振動する。
【0066】
櫛歯電極204,205は、櫛歯電極201と物理的に接合されているので、上記振動により、櫛歯電極206は、櫛歯電極204に対して相対的に振動し、櫛歯電極207は、櫛歯電極205に対して相対的に振動する。これにより、櫛歯電極204、206間に生じる第1静電容量C1と、櫛歯電極205,207間に生じる第2静電容量C2とは、駆動信号の周波数に応じて、周期的に変化する。
【0067】
第1静電容量C1は、駆動信号の各周波数をωとし、定常状態の静電容量をC1とし、ΔCを変動量とし、tを時刻とすると、式1で表される。
【0068】
C1=C1+ΔC・sin(ωt) −(式1)
これにより、櫛歯電極204に印加される筋電位をVh1とすると、発生する電荷の変動量ΔQ1は、式2で表される。
【0069】
ΔQ1=Vh1・ΔC・sin(ωt) −(式2)
したがって、櫛歯電極206からIV変換回路301へ出力される検出電流I1は、式3で表される。
【0070】
I1=ΔQ1/Δt=Vh1・ΔC・ω・cos(ωt) −(式3)
同様に、櫛歯電極205に印加される筋電位をVh2とし、第2静電容量C2を第1静電容量C1と同様に考え、発生する電荷の変動量ΔQ2を変動量ΔQ1と同様に考えると、櫛歯電極207からIV変換回路302へ出力される検出電流I2は、式4で表される。
【0071】
I2=ΔQ2/Δt=Vh2・ΔC・ω・cos(ωt) −(式4)
このように、本実施形態の構成を用いることで、測定位置の筋電位に応じた検出電流を得ることができる。
【0072】
IV変換回路301は、検出電流I1を電圧変換し、差動回路303へ出力する。IV変換回路302は、検出電流I2を電圧変換し、差動回路303へ出力する。差動回路303は、検出電流I1に基づく電圧と検出電流I2に基づく電圧を差動増幅して、同期検波回路304へ出力する。同期検波回路304は、差動信号を駆動信号によって同期検波し、筋電位の差分(Vh1−Vh2)からなる検出データを出力する。
【0073】
このようにして、本実施形態の構成を用いれば、筋電位を測定できるが、本実施形態の構成を用いれば、次に示す各効果を得ることができる。図5(A)は本実施形態の筋電センサ10を用いた場合の筋電位の波形図であり、図5(B)は従来の静電容量型の筋電センサを用いた場合の筋電位の波形図である。なお、図5では、1点の計測結果を示す。すなわち、検出電流I1に基づく筋電位の波形や検出電流I2に基づく筋電位の波形を示す。
【0074】
本実施形態に示すように、MEMS素子20を用いることで、静電容量を形成する櫛歯電極204と櫛歯電極206との間隔並びに櫛歯電極205と櫛歯電極207との間隔を極狭くすることができる。したがって、小型でありながら静電容量を大きくすることができる。また、MEMS素子20を用いることで、櫛歯電極を振動させる駆動信号の周波数を高くすることができる。
【0075】
これらにより、従来構成では図5(B)に示すように感度が低くなるが、本実施形態の構成では、図5(A)に示すように、高感度に筋電位を測定することができる。すなわち、小型でありながら、筋電位の検出精度が高い筋電センサを実現できる。また、駆動信号を高周波化できることで、生体100の不要な動作(例えば、測定箇所が移動すること)によって生じるノイズの影響を受け難くすることができる。
【0076】
また、上述のように、本実施形態では、外部環境から遮断されたMEMS素子20内で検出電流が発生するので、従来構成では図5(B)に示すように外的ノイズの影響を受けやすいのに対して、本実施形態の構成では、静止時、動作時に関係なく、図5(A)に示すように外部ノイズに影響されていない筋電位の波形が得られる。これにより、信頼性が高く且つ耐環境性の高い筋電センサを実現できる。
【0077】
さらに、本実施形態に示すように差動電圧を用いることで、さらに外的なノイズの影響をキャンセルして、より精度良く筋電位を測定することができる。
【0078】
次に、第2の実施形態に係る筋電センサについて、図を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る筋電センサ10Aの構成を示す側面断面図である。図7は、本実施形態に係る筋電センサ10Aの回路ブロック図である。
【0079】
本実施形態の筋電センサ10Aは、第1の実施形態に示した筋電センサ10に対して、アクチュエータ80でMEMS素子20Aに振動を与える機構を有するものである。そして、この機構に応じて、MEMS素子20Aの構造が異なるものである。したがって、異なる箇所のみを詳細に説明する。
【0080】
アクチュエータ80は、例えば圧電アクチュエータからなり、MEMS素子20Aの側面に当接するようにして、ベース基板40の第1主面へ実装されている。アクチュエータ80には、駆動信号発生部305が接続されている。アクチュエータ80は、駆動信号発生部305からの駆動信号により作動し、上述のような高周波数の振動をMEMS素子20Aに与える。
【0081】
MEMS素子20Aは、図8に示すような構造からなる。図8は、本実施形態に係るMEMS素子20Aの構造を示す電極パターン図である。
【0082】
MEMS素子20Aは、複数の櫛歯電極により構成されるIDT構造群を備える。これらのIDT構造群は、詳細を図示しないが外部から保護される構造となっている。本実施形態のMEMS素子20Aは、第1の実施形態に示したMEMS素子20に対して、駆動信号発生部305からの駆動信号を受けるIDTを省略したものであり、他の基本的な構造は、第1の実施形態に示したMEMS素子20と同じである。
【0083】
具体的には、MEMS素子20Aは、櫛歯電極201A,203A,204A,205A,206A,207Aから構成されている。
【0084】
櫛歯電極201Aは、矩形状からなる複数の電極指212Aと、矩形状のバスバー213Aとから構成される。バスバー213Aの幅(バスバー213Aの延びる方向に対して直交し、電極の主面(平板面)に平行な方向の長さ)は、第1の実施形態に示したバスバー213の幅の略半分である。バスバー213Aの延びる方向に平行な一方の辺から、該バスバー213Aの延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指212Aが形成されている。
【0085】
複数の電極指212Aは、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー213Aの延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0086】
櫛歯電極203Aは、櫛歯電極201Aの電極指212A群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極203Aは、矩形状からなる複数の電極指231Aと、矩形状のバスバー232Aとから構成される。バスバー232Aの延びる方向は、バスバー213Aの延びる方向と平行である。バスバー232Aの延びる方向に平行な櫛歯電極201A側の辺から、該バスバー232Aの延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指231Aが形成されている。
【0087】
複数の電極指231Aは、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー232Aの延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0088】
櫛歯電極201Aの複数の電極指212Aと、櫛歯電極203Aの複数の電極指231Aは、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極201Aの電極指212A間に櫛歯電極203Aの電極指231Aが配設され、櫛歯電極203Aの電極指231A間に櫛歯電極201Aの電極指212が配設されている。これにより、駆動信号周波数のモニター用のIDT構造が実現される。
【0089】
櫛歯電極204Aは、矩形状からなる複数の電極指241Aと、矩形状のバスバー242Aとから構成される。櫛歯電極205Aは、矩形状からなる複数の電極指251Aと、矩形状のバスバー252Aとから構成される。
【0090】
バスバー242A,252Aは、櫛歯電極201Aのバスバー213Aに沿うように形成されている。バスバー242A,252Aは、バスバー213Aにおける複数の電極指212Aが形成される側と反対側に配置される。バスバー242A,252Aの延びる方向は、バスバー213Aの延びる方向と同じ(平行)であり、当該延びる方向に沿って、連続して形成されている。バスバー242A,252Aの幅は、バスバー213Aと略同じである。
【0091】
バスバー213A、242A,252Aのそれぞれの間には、互いに電気的に絶縁されるように、絶縁体208Aが介在されている。
【0092】
バスバー242Aの延びる方向に平行なバスバー213Aが位置する側と反対側の辺から、該辺に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指241Aが形成されている。複数の電極指241Aは、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー242Aの延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0093】
バスバー252Aの延びる方向に平行なバスバー213Aが位置する側と反対側の辺から、該辺に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指251Aが形成されている。
【0094】
複数の電極指251Aは、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー252Aの延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0095】
櫛歯電極206Aは、櫛歯電極204Aの電極指241A群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極206Aは、矩形状からなる複数の電極指261Aと、矩形状のバスバー262Aとから構成される。バスバー262Aの延びる方向は、バスバー242Aの延びる方向と平行である。バスバー262Aの延びる方向に平行な櫛歯電極241A側の辺から、該バスバー262Aの延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指261Aが形成されている。
【0096】
複数の電極指261Aは、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー262Aの延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0097】
櫛歯電極204Aの複数の電極指241Aと、櫛歯電極206Aの複数の電極指261Aは、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極204Aの電極指241A間に櫛歯電極206Aの電極指261Aが配設され、櫛歯電極206Aの電極指261A間に櫛歯電極204Aの電極指241Aが配設されている。これにより、筋電位検出用の第1のIDT構造が実現される。
【0098】
櫛歯電極207Aは、櫛歯電極205Aの電極指251A群が形成される側に、配置されている。櫛歯電極207Aは、矩形状からなる複数の電極指271Aと、矩形状のバスバー272Aとから構成される。バスバー272Aの延びる方向は、バスバー252Aの延びる方向と平行である。バスバー272Aの延びる方向に平行な櫛歯電極251A側の辺から、該バスバー272Aの延びる方向に対する法線方向へ突出するように、複数の電極指271Aが形成されている。
【0099】
複数の電極指271Aは、それぞれの突出する方向、すなわち延びる方向に対する法線方向(バスバー272Aの延びる方向)に沿って、所定間隔で形成されている。
【0100】
櫛歯電極205Aの複数の電極指251Aと、櫛歯電極207Aの複数の電極指271Aは、これらの配列方向に沿って、交互に配設されている。言い換えれば、櫛歯電極205Aの電極指251A間に櫛歯電極207Aの電極指271Aが配設され、櫛歯電極207Aの電極指271A間に櫛歯電極205Aの電極指251Aが配設されている。これにより、筋電位検出用の第2のIDT構造が実現される。
【0101】
このような構造からなるMEMS素子20Aは、櫛歯電極204A,205Aが検出用外部電極51,52にそれぞれ接続され、櫛歯電極206A,207AがIV変換回路301,302にそれぞれ接続されている。また、櫛歯電極201Aは接地されている。櫛歯電極203Aには、駆動信号発生部305の入力端が接続されている。
【0102】
このような構造であっても、第1の実施形態と同様に、耐環境性および信頼性が高く、ノイズの影響を受けにくい筋電センサを実現することができる。さらに、本実施形態の構成では、MEMS素子を小型化できる。また、駆動信号がMEMS素子20A内に印加されないので、駆動信号による筋電位の検出結果への影響を、さらに抑制することができる。
【0103】
なお、上述の各実施形態では、MEMS素子と計測用回路素子とを並べて、ベース基板上に実装する例を示した。しかしながら、MEMS素子上に計測用回路素子を実装し、当該計測用回路素子を実装したMEMS素子をベース基板に実装する構成を用いてもよい。この場合にも、MEMS素子と計測用回路素子とが外部環境から遮蔽されるように、筐体で覆う構成を用いる。
【0104】
また、上述の説明では、ガラスもしくはSiからなる上側ケース401および下側ケース402を用いた例を示したが、図9に示すような構造であってもよい。図9は、別の筐体形状からなるMEMS素子20Bの構造を示すための断面図である。図9に示すMEMS素子20Bは、櫛歯電極の構造、下側ケース402、バネ209、および、支持電極400の構造は、第1の実施形態で示したMEMS素子20と同じである。MEMS素子20Bは、上側ケース401AをICで形成している。このような構成であっても、上述の各実施形態に示したような作用効果が得られる。さらに、図9に示すMEMS素子20Bの構造を用いることで、計測用回路素子30を構成する回路素子の一部もしくは全部を、ICからなる上側ケース401Aで実現できる。これにより、さらに小型の筋電センサを実現することができる。
【0105】
また、上述の各実施形態では、所定間隔をおく二点での筋電位の差動を検出する例を示したが、一点の筋電位を測定する場合にも、上述の構成を適用することができる。そして、この場合には、検出用外部電極、検出用内部電極及び振動電極に相当する櫛歯電極は、一組あればよい。
【符号の説明】
【0106】
10,10A:筋電センサ、
20,20A:MEMS素子、
30:計測用回路素子、
40:ベース基板、
51,52:検出用外部電極、
60:筐体、
70:ワイヤ配線、71,72:ビア電極、
80:アクチュエータ、
201,201A,202,203,203A,204,204A,205,205A,206,206A,207,207A:櫛歯電極、
211,212,212A,221,231,231A,241,241A,251,251A,261,261A,271,271A:電極指、
213,213A,222,232,232A,242,242A,252,252A,262,262A,272,272A:バスバー、
208,208A:絶縁体、
209:バネ、
301,302:IV変換回路、
303:差動回路、
304:同期検波回路、
305:駆動信号発生部、
400:支持電極、
401,401A:上側ケース、
402:下側ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の筋電位を測定する筋電センサであって、
前記筋電位に応じた検出電流を出力するMEMS素子からなる検出部と、
前記検出電流に基づいて筋電位を計測する計測部と、を備えた筋電センサ。
【請求項2】
前記生体の表面に装着される検出用外部電極を備え、
前記MEMS素子は、
前記検出用外部電極に接続され、前記MEMS素子内に形成された検出用内部電極と、
該検出用内部電極に対する距離が可変であり、前記検出用内部電極との間に前記距離に応じた静電容量を形成する振動電極と、を備え、
前記検出電流は、該振動電極から出力される電流である、請求項1に記載の筋電センサ。
【請求項3】
前記検出用内部電極と前記振動電極とは、櫛歯電極であり、
前記検出用内部電極と前記振動電極とで、IDT構造を構成している、請求項2に記載の筋電センサ。
【請求項4】
前記検出用内部電極と前記振動電極との距離を所定の周波数で変化させる力を与える駆動部を備え、
該駆動部は、前記筋電位の周波数成分よりも十分に高い周波数で前記検出用内部電極と前記振動電極との距離を変化させる、請求項2または請求項3に記載の筋電センサ。
【請求項5】
前記検出用外部電極、前記検出用内部電極、および前記振動電極からなる電極の組は、複数であり、
前記計測部は、各電極の組で得られる検出電流に基づく筋電位を差動で検出する、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の筋電センサ。
【請求項6】
前記計測部は、IC化された計測用回路素子からなり、
前記MEMS素子と前記計測用回路素子とが第1主面に実装され、前記検出用外部電極が第2主面に形成された平板状のベース基板と、
該ベース基板の前記第1主面を覆う形状からなる筐体と、
をさらに備える、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の筋電センサ。
【請求項7】
前記計測部は、IC化された計測用回路素子からなり、
該計測用回路素子は、前記MEMS素子上に実装され、
前記計測用回路素子が実装されたMEMS素子が第1主面に実装され、前記検出用外部電極が第2主面に形成された平板状のベース基板と、
該ベース基板の前記第1主面を覆う形状からなる筐体と、
をさらに備える、請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の筋電センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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