説明

筐体取付構造

【課題】筐体を板状部材に必要十分な強度で取付けることが可能であり、且つ取付け及び取外し操作の簡単な筐体取付構造を提供する。
【解決手段】胴部2a及びつば2cを有する筐体2を、胴部2aの背面側から板状部材3に穿設された取付孔4に嵌入し、つば2cと胴部2aに装着される取付具1とにより取付孔4の周囲の板状部材3を間に挟むようにして筐体2を板状部材3に取り付ける筐体取付構造であって、取付具1は、胴部2aに設けられた係合部5と係合する第1支軸11が一端部に設けられた第1部材10と、取付孔4の周囲の板状部材3と当接する当接部材21が一端部に設けられた第2部材20とを備え、第2部材20は、当接部材21が設けられた一端部を回動端部として所定範囲で回動可能に且つ第1支軸11と当接部材21との距離が長くなる方向に回動するように付勢部材13により付勢されて、第2支軸12により第1部材10と連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体を板状部材に取付ける場合に使用される筐体取付構造に関し、例えば調節計等の計器類のケースを計器取付用パネルに取付ける場合に使用される筐体取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の取付装置としては、計器ケースの前面操作部側の外周にフランジを突設させ、この計器ケースの胴部をパネルの取付孔に嵌入し、ケース胴部に装着した取付具によりフランジとの間で取付孔周囲のパネルを間に挟むようにして、計器ケースをパネルに固定する構成が良く知られている。そして、このような取付具は例えば、ねじをフランジに対して進退可能に設けて、ねじの軸部先端でパネルを裏面側から押圧するようにして、ケースをパネルに固定している。
【0003】
【特許文献1】特開平6−69666号公報
【0004】
【特許文献2】特開平11−160109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した構成の取付装置では、ねじを使用して計器ケースをパネルに固定しているために、計器ケースの取り付け、取り外しの際にねじ回し(ドライバー)等の工具が必要となるとともに、煩雑なねじ回し操作が必要となり、取り付け、取り外しが頻繁に行われる場合には、その煩雑さが増幅されるという問題が生じる。
【0006】
従って、本発明は、上述した課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、筐体を板状部材に必要十分な強度で取り付けることが可能であり、且つ取付け及び取外し操作の簡単な筐体取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、胴部及び前面の縁に設けられたつばを有する筐体を、上記胴部の背面側から板状部材に穿設された取付孔に嵌入し、上記つばと上記胴部に装着される取付具とにより上記取付孔の周囲の板状部材を間に挟むようにして上記筐体を上記板状部材に取り付ける筐体取付構造であって、上記取付具は、上記筐体の胴部に設けられた係合部と係合する第1支軸が一端部に設けられた第1部材と、上記取付孔の周囲の板状部材と当接する当接部材が一端部に設けられた第2部材とを備え、上記第2部材は、上記当接部材が設けられた一端部を回動端部として所定範囲で回動可能に且つ上記第1支軸と上記当接部材との距離が長くなる方向に回動するように付勢部材により付勢されて、第2支軸により上記第1部材と連結されており、上記筐体を上記板状部材に取り付けるときには上記第1支軸を上記係合部と係合させ且つ上記当接部材を上記取付孔の周囲の板状部材と当接させた状態で上記付勢部材の付勢力に抗して上記取付具を上記第1支軸の周りに所定位置まで回動させて上記当接部材により上記取付孔の周囲の板状部材を上記つばに向かって押圧する一方、上記筐体を上記板状部材から取り外すときには上記所定位置から逆方向に上記取付具を回動させて上記当接部材による上記取付孔の周囲の板状部材の押圧を解除することを特徴とする。
【0008】
前面の縁につばを有する筐体の胴部を背面側から板状部材の取付孔に嵌入し、筐体のつばと取付孔の周囲の板状部材とを重ね合わせ、取付具の第1支軸を筐体の胴部の係合部と係合させ且つ取付具の当接部材を取付孔の周囲の板状部材と当接させた状態で、付勢部材の付勢力に抗して取付具を第1支軸の周りに所定位置まで回動させることにより、当接部材により取付孔の周囲の板状部材が筐体のつばに向かって押圧されて、筐体が板状部材に取り付けられる。一方、筐体を板状部材から取り外すときには、取付具を上記第1支軸の周りに所定位置から逆方向に回動させることによって上記当接部材による押圧が解除されて、筐体が取り外し可能となる。
このように、本発明は、取付具の第1支軸を係合部に係合させる係合操作と取付具の回動操作とを行うだけで、筐体の板状部材への取り付け及び取り外しができるので、従来技術におけるようなねじ回し(ドライバー)等の工具及び煩雑なねじ回し操作を要せずに、ワンタッチの操作で筐体の板状部材への取り付け、取り外しを行うことが可能となる。
【0009】
上記取付具を上記第1支軸の周りに回動させるときに上記第2支軸と係合して上記取付具の上記所定位置までの回動及び上記所定位置から逆方向への回動を案内する案内部が上記筐体の胴部に設けられているのが望ましい。
第2支軸が案内部と係合して、筐体を板状部材に取り付けたときに取付具が位置すべき所定位置までの取付具の第1支軸の周りの回動が案内される。これにより、取付具を所定位置まで確実に回動させて、筐体を板状部材に確実に取り付けることが可能となる。一方、筐体を板状部材から取り外すときにも第2支軸が案内部と係合して取付具の第1支軸の周りの回動が案内されるので回動操作が容易となり、筐体を板状部材から取り外す取り外し操作が容易となる。
【0010】
上記所定位置が、上記付勢部材の付勢力が最大となる上記取付具の回動位置を若干過ぎるべき位置に設定されているのが望ましい。
このような位置に筐体を取り付けるときの所定位置を設定することによって、加震などに起因して取付具が外れるのを防止することができる。すなわち、このような位置に設定された所定位置から取付具を外すように取付具を逆方向に回動させるためには、一旦、付勢部材の付勢力が最大となる位置まで付勢部材の付勢力に抗して取付具を回動させることが必要となる。このため、少々の加震により取付具が逆方向に回動して外れたりするのを避けることができる。これに対して、例えば付勢部材の付勢力が最大となる取付具の回動位置を、筐体を取り付けるときの所定位置として設定すると、取付具の逆方向への回動が非常に起こり易くなる。したがって、このような位置に所定位置を設定することは望ましくない。
【0011】
上記第2部材が上記第1部材側に突出する突起を有するとともに、上記第1部材が上記突起と係合して上記第2部材の第1部材に対する回動範囲を所定範囲に規定する回動範囲規定長孔を有してなるのが望ましい。
これにより、第2部材の第1部材に対する姿勢が所望の回動範囲に保たれるので、取付具の取り扱いが容易となる。
【0012】
上記当接部材の当接面が、上記当接部材の上記第1支軸を中心とする回動半径に対応する曲率で曲げられているのが望ましい。
このような曲率で当接部材の当接面を曲げるものとすることによって、筐体が取付けられる板状部材の厚みが一定ではない場合にも当接部材の角部ではなく当接面を取付孔の周囲の板状部材に当接させて筐体を板状部材に取り付けることが可能となり、より安定した状態で筐体を板状部材に取り付けることができる。
【0013】
また、本発明は、上記の構成以外に、以下に述べる各構成をそれぞれ有する場合もある。
上記係合部及び案内部が上記筐体の胴部の天板及び/又は底板と側板とに亘って穿設された長孔から成るのが望ましい。
これにより、筐体の胴部の天板及び/又は底板と側板とが交わる角部に孔を穿設するだけで係合部及び案内部を設けることが可能となる。したがって、部品点数の増加を抑えることができる。
【0014】
上記係合部及び案内部が上記筐体の胴部の天板、底板及び/又は側板の単独にそれぞれ穿設された長孔から成るのが望ましい。
これにより、筐体の胴部の天板及び/又は底板と側板とが交わる角部に孔を穿設する必要がなくなり、角部に孔を空けることによる強度低下を避けることができる。しかしながら、第1支軸を係合部に係合させたり、第2支軸を案内部に係合させたりするときの視認性は低下することがある。
【0015】
上記第1及び第2の支軸が頭部と軸部とを有し、上記係合部及び上記案内部が上記各軸の頭部を筐体内側に挿し込むための頭部挿込用孔と、この頭部挿込用孔と連続して穿設され上記挿し込まれた頭部の抜けを阻止し且つ上記軸部と係合する軸係合孔とを含むのが望ましい。
これにより、各支軸と、係合部及び案内部との係合操作及び係合解除操作が容易となり、結果として、筐体の取付操作を容易にすることができる。
【0016】
上記第1部材及び第2部材が板部材からなり、上記当接部材が、上記第2部材の回動端部に立設された板部材からなるのが望ましい。
これにより、取付具の重量の増大を抑えながら、筐体の胴部と取付孔との間に少々の隙間があるような場合にも当接部材を取付孔の周囲の板状部材と確実に当接させて、筐体を板状部材に確実に取り付けることが可能となる。
【0017】
上記第1部材及び第2部材の周端部に立上り部が設けられているのが望ましい。
これにより、取付具の重量の増大を抑えながら必要十分な取付具の強度を確保することができる。
【0018】
上記第1部材の立上り部と上記第2部材の立上り部とが上記第2部材の所定の回動位置にて互いに接触して、上記第2部材の回動範囲を所定範囲に規定するように設けられているのが望ましい。
補強用の立上り部を利用して上記第2部材の回動範囲を所定範囲に規定することができるので、他に回動範囲を規定するための機構を設ける必要がなくなり、構成が簡素化される。したがって、工数を削減することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、筐体を板状部材に必要十分な強度で固定することができ、且つ取付け及び取外し操作の簡単にすることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施形態1
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る筐体取付構造の一例としての、取付具を用いて筐体をパネルに固定した状態の平面図、図2は一部断面を含む側面図である。
図1及び図2に示すように、取付具1は、計器ケース等の筐体2をパネル(板状部材)3に取り付けるために筐体2の胴部2aに装着されるものである。ここで、図2に示すように、パネル3には、筐体2の胴部2aを背面側から嵌入するための取付孔4が穿設されている。
また、図3に示すように、筐体2は、操作部及び表示部等を有する前面2bの縁につば2cが突設されており、胴部2aを背面側からパネル3の取付孔4に嵌入したときにつば2cと取付孔4の周囲のパネルとが当接するようにされている。
【0022】
図4に、取付具の詳細を示す。
取付具1は、筐体2の胴部に設けられた鉤形の係合孔5(図1)と係合する第1支軸11が基端部に設けられ、この基端部から先端部に向けて幅が漸増する概略3角形の板部材からなる第1部材10と、取付孔4の周囲のパネル3と当接する当接部材21が先端部の一角に設けられ、この先端部から基端部に向けて幅が漸減する概略4角形の板部材からなる第2部材20とを備える。
第2部材20は、当接部材21が設けられた先端部の一角20aを回動端部とし、これに対向する基端部の一角20bを回動中心として回動可能に第2支軸12により第1部材10と連結されるとともに、この第2支軸12を中心に第1支軸12と当接部材21の当接面21aとの距離Lが長くなる方向(図4(b)の矢印Aの方向)に回動するようにトーションバネ13により付勢されている。ここで、トーションバネ13は、そのコイル部に第2支軸12(小ねじ41の軸部)が挿通され、固定点側端部が第1部材10のバネ端係止部10fに係止され、作用点側端部が第2部材20のバネ端係止部20fに係止されている。一方、第1部材10は、第1支軸11を回動中心とする回動端部(先端部)の一角10aにて第2支軸12により第2部材20と連結されている。
【0023】
ここで、当接部材21は、その当接面21aが、後掲の第2部材20の回動許容範囲における例えば最小の前記距離Lを半径とする曲率で曲げられている。このような曲率で当接部材21の当接面21aを曲げることによって、筐体2が取付けられるパネル3の厚みが一定ではない場合にも当接部材21の当接面21aをパネル3に当接させて筐体2をパネル3に取り付けることが可能となり、より安定した状態で筐体を板状部材に取り付けることが可能となる。
【0024】
図5に取付具の分解図を示す。
第2部材20の下面側には第1部材10との重なり部分に突出するように突起22が設けられる一方、第1部材10の第2部材20との重なり部分には突起22と係合して第2部材20の第1部材10に対する回動許容範囲を規定するための回動範囲規定長孔14が設けられている。
ここで、第1部材10及び第2部材20のそれぞれの前方端部には板部材からなる立上り部10c、20cが立設されている。このように板部材である第1部材10及び第2部材20の端部に立上り部10c、20cを設けることによって、取付具10の重量の増大を抑えながら必要十分な強度を確保することができる。
また、第2支軸12は、例えばトラス頭の十字穴付き小ねじ41を、第1部材10の先端部の一角10aに穿設されたねじ挿通孔10d及び第2部材20の基端部の一角20bに穿設されたねじ挿通孔20dに挿通し、小ねじ41のねじ頭を第2支軸の頭部12aとし、小ねじ41の軸部を第2支軸の頭部12bとして、頭部12aと第1部材10の下面との間に所定の隙間Dを空けてナット31、32により両部材10,20に留めるようにして構成されている。第1支軸11も同様に、小ねじ42を、第1部材10の基端部に穿設されたねじ挿通孔10eに挿通し、小ねじ42のねじ頭を第1支軸の頭部11aとし、小ねじ42の軸部を第1支軸の頭部11bとして、頭部11aと第1部材10の下面との間に所定の隙間を空けてナット33により第1部材10に留めるようにして構成されている。
【0025】
次に、筐体2を詳細に説明する。
筐体2の胴部2aには、前掲の係合部5とセットにして、筐体2をパネル3に取り付ける際に第2支軸と係合して取付具1を所定位置まで回動するように案内する案内孔6が穿設されている。
係合孔5は、胴部2aの側板51、52に穿設され第1支軸11の頭部11aを筐体2の内部に挿し込むための頭部挿込用孔5aと、この頭部挿込用孔5aと連続して胴部2aの天板53又は底板54に穿設され、頭部11aの抜けを阻止しながら軸部11bと係合して第1支軸11をつばから所定距離L1の位置に係止するための係止部5cまで誘導する鉤形の軸係合孔5bとを含む。
また、案内孔6は、胴部2aの側板51,52に穿設され第2支軸12の頭部12aを筐体2の内部に挿し込む頭部挿込用孔6aと、この頭部挿込用孔6aと連続して胴部2aの天板53又は底板54に穿設され、頭部12aの抜けを阻止しながら軸部12bと係合して筐体2をパネル3に取付けるときの所定位置までの取付具1の回動を案内する軸係合孔6bとを含む。
また、軸係合孔6bは天板53又は底板54の側端から内側に向けて、第1支軸11の周りに取付具1が回動されるときの第2支軸12の軌跡に対応する曲率で曲がるように形成されており、その終端部6cが、筐体2をパネル3に取り付けた状態での取付具1の回動位置(所定位置)と対応している。
【0026】
ここで、図8に示すように、案内孔6の終端部6cの位置により決まる、筐体2をパネル3に取り付けた状態での取付具1の回動位置(所定位置)は、第1支軸11を係止部5cにおいて係合孔5と係合させ且つ第2支軸12を案内孔6と係合させて取付具1を上記所定位置まで回動させたときに、トーションバネ13の付勢力が最大となる回動位置を若干過ぎるべき位置に設定されている。すなわち、当接部材21の当接面21aとパネル3とが接する点Bが、第1支軸11からパネル3への垂線Iとパネル面との交点Cよりも筐体2の中央寄りに位置するように上記所定位置は設定される。
このような位置に上記所定位置を設定することによって、筐体2をパネル3に取り付けた状態で、加震等に起因して取付具1が逆方向に回動し、取付具1が外れてしまうのを防止することができる。
【0027】
しかして、本実施形態において、筐体2をパネル3に取り付ける手順は以下の通りである。
1)第1支軸11の頭部11aを係合孔5の頭部挿込用孔5aから筐体2内に挿し込み、軸部係合孔5bに沿って係止部5cまで第1支軸11を移動させる。
2)第2支軸12の頭部12aを案内孔6の頭部挿込用孔6aから筐体2内に挿し込むとともに、当接部材21を取付孔4の周囲のパネル3と当接させる。
3)取付具1をトーションバネ13の付勢力に抗して第1支軸11の周りに、第2支軸12が案内孔6の終端部6cに突き当るまで回動させる。これにより、取付具1が上記所定位置まで回動され、当接部材21により取付孔4の周囲のパネル3がつば2cに向かって押圧されて筐体2がパネル3に取り付けられる。
また、筐体2をパネル3から取り外すときには、取付具1を上記所定位置から逆方向に回動させる。これにより、当接部材21によるパネル3の押圧が解除されて、筐体2がパネル3から取り外し可能となる。
【0028】
このように、本実施形態では、取付具1の第1支軸11を係合孔5に係合させる係合操作と取付具1の回動操作とを行うだけで、筐体2のパネル3への取り付け及び取り外しができるために、ねじ回し(ドライバー)等の工具及び煩雑なねじ回し操作を要せずに、ワンタッチの操作で筐体2の取り付け及び取り外しができる。したがって、筐体2の取り付け、取り外しが頻繁に行われる場合に煩雑さが増幅されるのを回避することができる。
また、第2支軸12が案内孔6と係合して筐体を板状部材に取り付けるときの所定位置までの取付具の第1支軸の周りの回動が案内される。これにより、取付具1を所定位置まで確実に回動させて、筐体2をパネル3に確実に取り付けることが可能となる。一方、筐体2をパネル3から取り外すときにも第2支軸12が案内孔6と係合して取付具1の第1支軸11の周りの回動が案内されるので筐体2をパネル3から取り外す取り外し操作が容易となる。
【0029】
また、実施形態1では、係合孔5及び案内孔6を筐体2の胴部2aの天板53及び底板54と側板51,52とに亘って穿設された長孔としているので、第1支軸11及び第2支軸12の頭部11a,12aを頭部挿込用孔5a,6aに挿し込むときの視認性が良いとともに、孔を穿設するだけで各支軸と係合する係合部及び案内部を設けることが可能となるので、部品点数の増加を抑えることができる。
【0030】
実施形態2
以下、図9を参照して本発明の実施形態2を説明する。実施形態2は、実施形態1を改変したものであり、係合孔5A及び案内孔6Aを天板53及び底板54に単独にそれぞれ穿設したものである。
すなわち、実施形態2においては、天板53及び底板54に係合孔5A及び案内孔6Aの頭部挿込用孔5Aa、6Aaと軸係合孔5Ab、6Abとが連続して穿設されるとともに、実施形態1と同様の係止部5Ac及び終端部6Acが係合孔5A及び案内孔6Aにそれぞれ設けられている。
【0031】
このように、係合孔5A及び案内孔6Aを天板53及び底板54に単独にそれぞれ穿設するものとすることによって、筐体2の胴部2aの天板53及び底板54と側板51,52とが交わる角部に孔を穿設する必要がなく、角部に孔を空けることによる強度低下を避けることができる。
【0032】
〔その他の事項〕
(1)第1部材10の立上り部10cと第2部材20の立上り部20cとが第2部材の所定の回動位置で互いに接触して第2部材の回動範囲を所定範囲に規定するように設けるのもよい。これにより、補強用の各立上り部を利用して第2部材の回動許容範囲を設定することができるので、他に回動許容範囲を設定するための機構を設ける必要がなくなり、構成が簡素化される。
(2)当接部材21の当接面21aに、筐体2をパネル3に取り付けるときの取付具1の回動はそのまま許容し且つ筐体2をパネル3から取り外すときの逆方向の回動を困難にする向きに各山の断面が傾斜する滑り止め部(ラチェット部)を設けてもよい。これにより、筐体3の取付状態を更に安定したものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば前面に操作部及び表示部等を有する計器ケースを制御パネル等に取り付ける場合に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態1に係る筐体取付構造の平面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る取付具により筐体をパネルに取り付けたときの一部断面を含む側面図である。
【図3】筐体の一例を示す斜視図である。
【図4】取付具の背面図(a)及び平面図(b)である。
【図5】取付具の分解図の背面図(a)及び平面図(b)である。
【図6】第2支軸の詳細を示す断面図である。
【図7】筐体2の詳細を示す背面からの斜視図である。
【図8】筐体をパネルに取り付けたときの状態を説明する説明図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る筐体取付構造の平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 取付具
2 筐体
3 パネル(板状部材)
4 取付孔
5 係合孔(係合部)
6 案内孔(案内部)
11 第1支軸
12 第2支軸
13 トーションバネ(付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部及び前面の縁に設けられたつばを有する筐体を、上記胴部の背面側から板状部材に穿設された取付孔に嵌入し、上記つばと上記胴部に装着される取付具とにより上記取付孔の周囲の板状部材を間に挟むようにして上記筐体を上記板状部材に取り付ける筐体取付構造であって、
上記取付具は、上記筐体の胴部に設けられた係合部と係合する第1支軸が一端部に設けられた第1部材と、上記取付孔の周囲の板状部材と当接する当接部材が一端部に設けられた第2部材とを備え、
上記第2部材は、上記当接部材が設けられた一端部を回動端部として所定範囲で回動可能に且つ上記第1支軸と上記当接部材との距離が長くなる方向に回動するように付勢部材により付勢されて、第2支軸により上記第1部材と連結されており、
上記筐体を上記板状部材に取り付けるときには上記第1支軸を上記係合部と係合させ且つ上記当接部材を上記取付孔の周囲の板状部材と当接させた状態で上記付勢部材の付勢力に抗して上記取付具を上記第1支軸の周りに所定位置まで回動させて上記当接部材により上記取付孔の周囲の板状部材を上記つばに向かって押圧する一方、
上記筐体を上記板状部材から取り外すときには上記所定位置から逆方向に上記取付具を回動させて上記当接部材による上記取付孔の周囲の板状部材の押圧を解除することを特徴とする筐体取付構造。
【請求項2】
上記取付具を上記第1支軸の周りに回動させるときに上記第2支軸と係合して上記取付具の上記所定位置までの回動及び上記所定位置から逆方向への回動を案内する案内部が上記筐体の胴部に設けられている、請求項1記載の筐体取付構造。
【請求項3】
上記所定位置が、上記付勢部材の付勢力が最大となる上記取付具の回動位置を若干過ぎるべき位置に設定されている、請求項1又は2記載の筐体取付構造。
【請求項4】
上記第2部材が上記第1部材側に突出する突起を有するとともに、上記第1部材が上記突起と係合して上記第2部材の第1部材に対する回動範囲を所定範囲に規定する回動範囲規定長孔を有してなる、請求項1〜3記載の筐体取付構造。
【請求項5】
上記当接部材の当接面が、上記当接部材の上記第1支軸を中心とする回動半径に対応する曲率で曲げられている、請求項1〜4記載の筐体取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−190932(P2008−190932A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24011(P2007−24011)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】