説明

筐体

【課題】筐体本体内に設置した電子機器から放射された電磁波ノイズが開口部から筐体本体の外部へ放射されないようにすると共に、筐体本体内の温度が高くならないようにしたコストの安い筐体を提供する。
【解決手段】電子機器5を収納可能で且つ内周に電磁波ノイズ6を反射するための突起部3,4を有し、しかも所要箇所に外部と連通する開口部2を有する筐体本体1と、筐体本体1内に設置された電磁波吸収体7と、電磁波吸収体7を冷却する冷却媒体8が流通する流通路9とを備え、電子機器5から放射された電磁波ノイズ6は、突起部3,4において反射して後、電磁波吸収体7に吸収されるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境条件の厳しい車等に収納された電子機器から放射された電磁波ノイズが外部に放射されないようにすると共に、前記電子機器に熱による悪影響を与えないようにした筐体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器がその周囲の他の機器システムに影響を与えないか、又は、電子機器がその周囲の他の機器からの影響を受けても性能の低下及び誤動作が生じないか等の相互適合能力として、EMC (Electromagnetic Compatibility)(電磁両立性)が要求される。
【0003】
一方、近年、電子機器は、小型化、高機能化、デジタル化が進み、これに伴って電子機器から放射されて他の機器に性能の低下や誤動作といった悪影響を与える電磁波ノイズも増加しており、この電磁波ノイズを低減させるための対策が取られるようになっている。
【0004】
この対策としては、金属製の導電性のケース内部に電子機器を収納して電子機器から発生する電磁波ノイズが外部へ放射されるのを防止するようにしている。しかし、電子機器をケースにより覆っただけでは、電磁波ノイズのケース外部への放射を完全には防止することができないため、このことに対する対策として種々の出願が成されている。而して、この電磁波ノイズがケースから外部へ放射されるのを低減するようにした先行技術文献としては特許文献1〜4がある。
【0005】
特許文献1は、電子機器を収納した開口部を有する金属製の筐体において、電磁波反射体として突起部を内壁面に形成し、該突起部により電磁波ノイズを開口から離反する方向へ反射させるようにし、又、突起部の間の空隙部に電磁波吸収体を充填している。
【0006】
特許文献2では、筐体の上部筐体部分の内面には、電子機器から放射された電磁波ノイズを吸収する電磁波吸収体が設けられると共に、上部筐体部の外側部、内側部がアルミニウム性の場合は、上部筐体部は電磁波ノイズ反射体として機能するようになっている。
【0007】
特許文献3においては、シールドケースは、電磁波ノイズを減衰させる磁性体を含む内層と、電磁波ノイズを遮断し反射させる導電体からなる外層の二重構造を有する。筐体は、電磁波ノイズを減少させるための電磁波吸収体として機能する内層と、電磁波ノイズを遮断し反射させる導電体からなる外層を備えた二重構造で、シールドケース内の電子機器から放射された電磁波ノイズは、電磁波反射体として機能する内層における減衰作用、外層における内方への反射作用、内層における再減衰作用を受けるようになっている。
【0008】
特許文献4においては、筐体は軟磁性体粉末と有機結合剤からなる複合磁性体層又は導電体層で構成されており、電磁波吸収体として機能する複合磁性体層により電磁波ノイズは吸収されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−310255号公報
【特許文献2】特開2001−274582号公報
【特許文献3】特開平11−261270号公報
【特許文献4】特開平10−98274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1、2は何れも電磁波吸収体と電磁波ノイズ反射体を備え、電子機器から発生する電磁波ノイズを電磁波ノイズ反射体により反射させて開口部から外部へ電磁波ノイズが放射されないようにしていると共に、電磁波吸収体により電磁波ノイズを吸収するようにしているが、開口部から外部へ電磁波ノイズが放射されないようにしただけでは、内部の電磁波ノイズが減衰するわけではなく、内部の電子機器に悪影響を与える虞がある。又、特許文献1、2のように電磁波吸収体を設けると、電磁波ノイズ吸収体において電磁波ノイズは、熱に変換するので、温度条件が厳しい場合は筐体の温度が上昇して筐体内の電子機器等に悪影響を与える虞がある。更に、特許文献1のように、突起部の間に電磁波吸収体を敷設すると、多量の電磁波吸収体が必要となり、コストアップを招来する。
【0010】
又、特許文献3、4では、電磁波吸収体に相当する部材を備えているため、特許文献1、2の場合と同様、電磁波吸収体として機能する内層や複合磁性体層が電磁波ノイズを吸収することにより熱を持つため、特許文献1、2と同様な問題がある。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、筐体内に設置した電子機器から放射された電磁波ノイズが開口部から筐体外部へ放射されないようにすると共に、筐体内の温度が高くならないようにしたコストの安い筐体を提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1の筐体は、電子機器を収納可能な導電性ケースで且つ天井部下面及び壁部内面に電磁波ノイズを反射するための突起部若しくは凹部を有し、しかも所要壁部に外部と連通する開口部を有する筐体本体と、該筐体本体内に設置された電磁波吸収体と、該電磁波吸収体を冷却する手段を備え、前記電子機器から放射された電磁波ノイズは、前記突起部若しくは凹部において反射した後、前記電磁波吸収体に吸収されるよう構成したことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項2の筐体においては、突起部は、断面が略三角形状で且つ頂部が下方へ向くよう辺部を介して天井部に連なると共に、筐体本体の開口部を有する前側の壁部に対し対向配置された奥側の壁部から前側の壁部へ向って、その上下方向のデプスが順次大きくなるよう構成されている。
【0014】
本発明の請求項3の筐体においては、突起部は、断面が略三角形状で且つ頂部が水平方向へ向くよう、辺部を介して、一面以上の壁部において開口部以外の部分に連なり、しかも前記突起部は、壁部の下側から上側へ向って、その水平方向のデプスが大きくなるよう構成されている。
【0015】
本発明の請求項4の筐体は、電子機器を収納可能な導電性ケースで且つ、所要壁部に外部と連通する開口部を有する筐体本体と、該筐体本体の内面の何れか一面以上において、電子機器が接触しない箇所に貼設又は塗布された一種類以上の電磁波吸収体と、該電磁波吸収体を冷却する手段を備え、前記電子機器から放射された電磁波ノイズは、前記電磁波吸収体に吸収されるよう構成したことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項5の筐体においては、冷却手段は、筐体本体に形成されて内部を冷却媒体が流通するようにした流通路を備えたものであり、請求項6の筐体においては、冷却手段は、筐体本体外部に設置された送風機であり、請求項7の筐体においては、冷却手段は、筐体本体の板枠部内に形成された空間内に充填された冷却媒体であり、請求項8の筐体においては、冷却手段は、筐体本体が搭載されるようにした冷却ブロックである。
【0017】
本願発明においては、電子機器から放射された電磁波ノイズの多くは、電磁波吸収体に吸収される。又、本発明においては、電磁波吸収体は冷却手段により冷却される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1〜8に記載の筐体によれば、電子機器から放射された電磁波ノイズは電磁波吸収体に吸収されるため、開口部から筐体本体の外部へ放射される電磁波ノイズを効率良く制限することができて外部の電子機器に悪影響を与えることがなく、又、電磁波吸収体延いては筐体本体が冷却されるため、筐体本体内に設置された電子機器は熱に伴う悪影響を受けることがなく、更には構造が簡単であるため安価に提供できる、という優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の筐体の実施の形態の第一例であって、図中、1は天井部、底部、前壁部、奥壁部、左側側壁部、右側側壁部の六面を有する箱形状で金属製の筐体本体である。筐体本体1の前壁部の上部側には、開口部2が形成されている。筐体本体1の天井部下面と、開口部2が形成された前壁部に対向する奥壁部の内面には、筐体本体1内に突出する複数の導電性の突起部3,4が形成されている。突起部3,4は何れも紙面に対し直交する左右側壁側から見た側面視形状が略正三角形状で、突起部3の下端頂点及び突起部4の水平方向頂点は筐体本体1の内部中央側に向いている。突起部3,4は天井部、奥壁部とプレス加工等により一体に形成しても良いし、或は別体に形成して天井部或は奥壁部に固設するようにしても良い。なお、開口部2はコネクタ、信号線、動力線等を通すための孔である。
【0020】
而して、天井部下面に形成した突起部3は、開口部2を有する前壁部に対し対向配置された奥壁部側のものが上下方向のデプスHa及び天井部下面に当接する辺部の水平方向の長さLaが夫々最も短く、天井面下面に沿って奥壁側から前壁側に向かうに従い、突起部3は順次デプスHa及び長さLaが大きくなるように形成されている。最奥部の突起部3は奥壁部前面近傍に位置している。又、各突起部3の斜辺は、夫々前後部に位置している。
【0021】
奥壁部の前面に形成した突起部4は、床面側が水平方向のデプスHb及び壁面に当接する辺部の上下方向の長さLbが夫々最も短く、前壁部に沿って床面側から上昇するに従い、突起部4は順次デプスHb及び長さLbが大きくなるように形成されている。最下段の突起部4は底部近傍に位置している。又、各突起部4の斜辺は上下に位置している。
【0022】
突起部は奥壁部のみならず、左右の側壁部に設けても良い。この場合の突起部の配置は奥壁部に配置した突起部4と同様、頂点は水平向きで筐体本体1の内部中央側へ向いた配置状態となる。
【0023】
又、筐体本体1の開口部から奥側の奥壁部に近接した床面には、ブロック状の電磁波吸収体7が設置されている。而して、電磁波吸収体7は例えばフェライトより形成されており、その設置位置は上述のように、奥壁部に近いが、これは突起部3,4の斜面で反射された電磁波ノイズ6をできるだけ多量に受けるためである。
【0024】
筐体本体1は例えば、内側板と外側板とを備えた二重構造で、内側板と外側板との間には水等の冷却媒体の流通路9が形成されている。又、筐体本体1は一枚板製とし、板内に流通路を穿設するようにしても良い。
【0025】
次に、上記した実施の形態の作動を説明する。
図1の構成において、電子機器5から放射される電磁波ノイズ6は、開口部2に向うもの(直接成分)と、突起部3が設けられている天井部下面に向うもの(反射成分)及び突起部4が設けられている奥壁内面に向うもの(反射成分)と、突起部3,4に向うもの(反射成分)とがある。而して、直接成分は電子機器5から放射されるごく一部であるのに対し、天井部下面や奥壁部に向う反射成分及び突起部3,4に向う反射成分が大きな割合をしめる。
【0026】
而して、電磁波ノイズ6のうち、突起部3,4に向ったうえ、その斜面で反射した電磁波ノイズの多くは、電磁波吸収体7に向い、電磁波吸収体7により吸収される。又、電磁波吸収体7により吸収されなかった電磁波ノイズ6の反射成分は、筐体本体1内部で何回か乱反射を行なうことにより減衰して消滅する。又、乱反射している間に電磁波吸収体7に吸収されるものもある。
【0027】
突起部3の斜面は、奥壁部側から開口部2が設けてある前壁部側に向って下方向へ向けて順次長くなるよう構成されており、且つ、突起部4の斜面は奥壁部の下側から上部側に向かって順次長くなるよう構成されているため、突起部3,4で反射する電磁波ノイズ6を多くして電磁波吸収体7に向けて放射させ、吸収させることができる。
【0028】
このため、電子機器5から放射された電磁波ノイズ6のうち開口部2から外部に放射されるものは限定的でごく僅かであり、外部の他の電子機器に悪影響を与えることがない。
【0029】
電磁波吸収体7は電磁波ノイズ6を吸収することにより熱が発生するが、筐体本体1の流通路9には冷却媒体8が流通されるため、電磁波吸収体7延いては筐体本体1が昇温することを防止できて、性能を良好に保持することができる。又、構成が簡単であるため、価格も安価にすることができる。
【0030】
図2は本発明の筐体の実施の形態の第二例であって、基本的構成は図1のものと略同一である。図2中、図1に示す符号と同一のものには同一の符号が付してあり、又、10は筐体本体1の外部下方側に設置した送風機である。而して、本図示例の実施の形態の第一例と異なるところは、図1において筐体本体1に形成した流通路9は設けず、電磁波ノイズが電磁波吸収体7に吸収されることにより発生した熱を、筐体本体1の外部下面に設置した送風機10により冷却するようにしたものである。
【0031】
本図示例においても、電磁波ノイズ6は図1の場合と同様にして電磁波吸収体7に吸収される。又、電磁ノイズ6のうち開口部2から外部に放射されるものは限定的でごく僅かである。従って、筐体本体1の外部の他の電子機器に悪影響を与えることがない。
【0032】
又、電磁波吸収体7で発生した熱は送風機10から電磁波吸収体7の下面に向けて吹付けられる空気により冷却される。このため、筐体本体1が昇温することを防止できて性能を良好に保持することができる。更には、構造簡単で安価である。
【0033】
図3は本発明の筐体の実施の形態の第三例であって、基本的構成は図1のものと略同一である。図3中、図1に示す符号と同一の符号のものは同一のものを示している。而して、本図示例が実施の形態の第一例と異なるところは、筐体本体1の内側板1aと外側板1bとで包囲された空間に、筐体本体1内の電子機器5や電磁波吸収体7が収納された空間を包囲するよう、水、不凍液等の冷却媒体を11を充填した点である。電磁波ノイズ6が電磁波吸収体7に吸収されることにより発生した熱は、筐体本体1の内側板1aと外側板1bとの間に形成された空間に充填した冷却媒体11により冷却するようにしている。
【0034】
而して、本図示例においても、前記各図示例と同様の作用効果を奏することができるうえ、筐体本体1全体を水、不凍液等の冷却媒体11で包囲することにより、電磁波吸収体7だけではなく、筐体本体1全体を冷却することができる。
【0035】
図4は本発明の筐体の実施の形態の第四例であって、図3に示す筐体の変形例である。図中、図3に示すものと同一のものには同一の符号が付してある。而して、本図示例においては、図3に示す図と異なるところは筐体本体1の内側板1aと外側板1bとで包囲された空間に充填された冷却媒体11を筐体本体1の外部に設けた送風機10により冷却し得るようにした点である。
【0036】
斯かる構成とすることにより、図3の図示例と同様な作用効果を奏することができるうえ、送風機10から吹付けられる冷却空気により、筐体本体1の内側板1aや外側板1bとで包囲された空間内の、電磁波吸収体7冷却用の冷却媒体11を冷却することができるため、冷却媒体11の使用可能期間を延長させることができる。
【0037】
図5は本発明の筐体の実施の形態の第五例であって、図4の図示例と異なるところは筐体本体1の下面に冷却媒体11を封入された冷却ブロック13を敷設したことである。図中、図4に示すものと同一のものには同一の符号が付してある。斯かる構成とすることにより、筐体本体1を冷却ブロック13に搭載することにより、電磁波吸収体7を冷却するという前述の図示例と同様の作用効果を奏することができる。
【0038】
図6は本発明の筐体の実施の形態の第六例であって、前記各図示例と異なるところは、筐体本体1内に突出する突起部3,4やブロック状の電磁波吸収体7(図1〜図5参照)は設けず、筐体本体1に形成した流通路9を冷却媒体8が流通するようにした当該筐体本体1の内側周面の天井部、底部、前壁部、奥壁部、左右側壁部の六面に、フェライト製でシート状の電磁波吸収体14を貼設したことである。但し、電子機器5の下面と、開口部2には設けない。
【0039】
本図示例では、電子機器5からの電磁波ノイズは略全て電磁波吸収体14に吸収されるため、開口部2から外部へ放射される電磁波ノイズは限定的でごく僅かであり、筐体本体1外部の他の電子機器に悪影響を与える虞はない。
【0040】
電磁波ノイズを吸収することにより電磁波吸収体14は熱を発するが、筐体本体1に形成した流通路9を通る冷却媒体8により冷却されるため、電磁波吸収体14延いては筐体本体1全体の温度が上昇することを防止できて電子機器5に悪影響が生じることはない。
【0041】
図7は本発明の筐体の実施の形態の第七例であって、本図示例が実施の形態の第六例と異なるところは、図6の筐体本体1の冷却媒体8を流通させる流通路9に替えて、外部に送風機10を設置したことである。
【0042】
本図示例においても開口部2から放射される電磁波ノイズは限定的でごく僅かであるため、外部の電子機器に悪影響を与えることがない。又、送風機10から冷却空気を筐体本体1に吹付けて筐体本体1及び電磁波吸収体14を冷却するため、電子機器5に悪影響を与えることもない。
【0043】
図8は本発明の筐体の実施の形態の第八例であって、本図示例が実施の形態の第七例と異なるところは、筐体本体1の内側板1aと外側板1bとで包囲された内部空間に水等の冷却媒体11を充填するようにした点である。而して、本図示例においては、電磁波吸収体14だけではなく、筐体本体1全体を冷却することができるため、前記各図示例と同様の作用効果を奏することができるうえ、筐体本体1全体を冷却媒体11で包囲することができるため、電磁波吸収体14の冷却をより効果的に行なうことができる。
【0044】
図9は本発明の実施の形態の第九例であり、図8に示す筐体本体1の外側に送風機11を設置した例である。斯かる構成としても図6以降の各図示例と同様の作用効果を奏することができるうえ、冷却媒体11を冷却できるため、冷却媒体11の使用期間を延長することができる。
【0045】
図10は本発明の筐体の実施の形態の第十例で、図7のものから冷却媒体11及び送風機10を除去して代りに、内部に水等の冷却媒体11を密封した冷却ブロック13を設け、筐体本体1を冷却ブロック13の上面に搭載するようにしている。斯かる構成しても図6以降の各図示例と同様の作用効果を奏することができる。
【0046】
本発明の代替案としては以下のようなものが考えられる。
i)箱状の筐体本体を導電性の材料と電磁波吸収体からなる二層構造、若しくは導電性材料に電磁波吸収体を塗布した構成とし、熱問題を解決するために筐体本体に水冷構造を設けた筐体。
ii)図1の筐体本体内に電磁波吸収体を配置する際に、筐体本体の電磁波ノイズが集中する箇所に直接電磁波吸収体を塗布した筐体。
iii)周波数帯域が異なった電磁波ノイズに対応できるように筐体本体内面の必要箇所に少なくとも二種類以上の電磁波吸収体を塗布した筐体。
iv)図1に示す突起部を導電性の筐体本体と一体で製作したものではなく、電磁波吸収体から形成した導電性の筐体本体の内面の必要箇所に電磁波ノイズを効率良く減衰させる突起部を接合し、且つ、水冷構造を備えた筐体。
v)筐体本体に冷却媒体が自然循環するようにした流通路を設けた筐体。
vi)冷却を冷却媒体ではなく、空冷構造とするもの。
【0047】
なお、本発明の図示例においては、図1〜図5では、筐体本体の内面に突起部を設ける場合について説明したが、電子機器からの電磁波ノイズを好適に反射させることができるよう、突起部に代えて凹部を形成しても実施し得ること、筐体は種々の装置に対して適用できるが、電子機器が車載機器のような厳しい条件のものに対しても適用できること、更に、前記図示例や代替案に記載したものに限るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の筐体の実施の形態の第一例の縦断面図である。
【図2】本発明の筐体の実施の形態の第二例の縦断面図である。
【図3】本発明の筐体の実施の形態の第三例の縦断面図である。
【図4】本発明の筐体の実施の形態の第四例の縦断面図である。
【図5】本発明の筐体の実施の形態の第五例の縦断面図である。
【図6】本発明の筐体の実施の形態の第六例の縦断面図である。
【図7】本発明の筐体の実施の形態の第七例の縦断面図である。
【図8】本発明の筐体の実施の形態の第八例の縦断面図である。
【図9】本発明の筐体の実施の形態の第九例の縦断面図である。
【図10】本発明の筐体の実施の形態の第十例の縦断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 筐体本体
2 開口部
3 突起部
4 突起部
5 電子機器
6 電磁波ノイズ
7 電磁波吸収体
8 冷却媒体(冷却手段)
9 流通路(冷却手段)
10 送風機(冷却手段)
11 冷却媒体(冷却手段)
13 冷却ブロック(冷却手段)
14 電磁波吸収体
Ha デプス
Hb デプス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を収納可能な導電性ケースで且つ天井部下面及び壁部内面に電磁波ノイズを反射するための突起部若しくは凹部を有し、しかも所要壁部に外部と連通する開口部を有する筐体本体と、該筐体本体内に設置された電磁波吸収体と、該電磁波吸収体を冷却する手段を備え、前記電子機器から放射された電磁波ノイズは、前記突起部若しくは凹部において反射した後、前記電磁波吸収体に吸収されるよう構成したことを特徴とする筐体。
【請求項2】
突起部は、断面が略三角形状で且つ頂部が下方へ向くよう、辺部を介して天井部に連なると共に、筐体本体の開口部を有する前側の壁部に対し対向配置された奥側の壁部から前側の壁部へ向って、その上下方向のデプスが順次大きくなるよう構成した請求項1に記載の筐体。
【請求項3】
突起部は、断面が略三角形状で且つ頂部が水平方向へ向くよう、辺部を介して、一面以上の壁部において開口部以外の部分に連なり、しかも前記突起部は、壁部の下側から上側へ向って、その水平方向のデプスが大きくなるよう構成した請求項1又は2に記載の筐体。
【請求項4】
電子機器を収納可能な導電性ケースで且つ、所要壁部に外部と連通する開口部を有する筐体本体と、該筐体本体の内面の何れか一面以上において、電子機器が接触しない箇所に貼設又は塗布された一種類以上の電磁波吸収体と、該電磁波吸収体を冷却する手段を備え、前記電子機器から放射された電磁波ノイズは、前記電磁波吸収体に吸収されるよう構成したことを特徴とする筐体。
【請求項5】
冷却手段は、筐体本体に形成されて内部を冷却媒体が流通するようにした流通路を備えた請求項1乃至4の何れかに記載の筐体。
【請求項6】
冷却手段は、筐体本体外部に設置された送風機である請求項1乃至5に記載の筐体。
【請求項7】
冷却手段は、筐体本体の板枠部内に形成された空間内に充填された冷却媒体である請求項1乃至6の何れかに記載の筐体。
【請求項8】
冷却手段は、筐体本体が搭載されるようにした冷却ブロックである請求項1乃至7の何れかに記載の筐体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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