説明

筒形継手

本発明は、平滑端(6)を受けるための内面溝(18)を備えたインターロック端(4)および内面溝(18)に配置された密封ライナー(8)を含む筒形継手に関する。また、密封ライナー(8)が筒形継手内を循環する流体の圧力を受けるとき密封ライナー(8)の押出しを防ぐための、密封ライナー(8)に隣接する押出し防止手段(10)も含む。本発明は、飲料水配水管要素に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
内面溝を備え、第2の管要素の平滑端を受けるために適切な、第1の管要素のインターロック端と、
内面溝内に配置された密封ライナーとを含むタイプの筒形継手であって、
密封ライナーに隣接し、前記ライナーが管要素内を循環する流体の圧力を受けるとき密封ライナーの押出しを防ぐために適切な押出し防止手段を含む筒形継手に関する。
【0002】
これは特に、飲料水または下水道の排水を輸送する管に適用される。
【背景技術】
【0003】
そのような筒形継手は最先端技術において知られている。筒形継手が嵌合し、圧力を受けた流体が管要素内を循環するとき、圧力を受けた流体の作用によって、インターロック端と平滑端との間の密封ライナーが押し出されることがあり、または放出されることもあるというリスクがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
その結果、既知の筒形継手は信頼性が限られている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は上述されたタイプの筒形継手の信頼性の向上に関する。
【0006】
したがって、本発明は、密封ライナーに対向する側に、押出し防止手段に隣接して配置された少なくとも1つのロック要素を含むことを特徴とする、上述されたタイプの筒形継手に関する。
【0007】
特定の実施形態によれば、筒形継手は、
押出し防止手段が押出し防止リングを含む、
押出し防止リングが開口しており、内面溝内に嵌合するとき、周方向で重なり合う2つの端部部分を含む、
押出し防止リングが密封ライナーに固定される、
押出し防止リングが密封ライナー上で自由に適応される、
押出し防止手段が、リングセグメントの形態の少なくとも2つの押出し防止要素を含む、
押出し防止要素が押出し防止リングと一体化されている、
少なくとも1つのロック要素が押出し防止リングに固定されている、
少なくとも1つのロック要素が押出し防止リングに解除可能に固定される、
ロック要素が、相補的な形態、特にラッチによって押出し防止リングに固定される、
1つのまたは各ロック要素が押出し防止要素によって形成された間隙に挿入され、少なくとも1つのロック要素と押出し防止要素の少なくとも1つの外面が同一平面をなす、
押出し防止リングが、1つのまたは各ロック要素に軸方向に密封ライナーから離れるように応力を加えるために適切な推力手段を含む、
推力手段が押出し防止リングと一体化された推力突起を含む、
密封ライナーが、1つのまたは各ロック要素に軸方向に密封ライナーから離れるように応力を加えるために適切な推力手段、特に密封ライナーと一体化された可撓性のリップを含む、
推力手段が径方向外向きまたは内向きを向いている自由端部を含む、
筒形継手がインターロック端に挿入される平滑端を含み、密封ライナーが平滑端とインターロック端との間で径方向に圧迫される、という特徴の1つまたは複数を含む。
【0008】
本発明は、例としてのみ示された以下の説明を、添付の図面を参照しながら読むことで、より良く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明による筒形継手を示し、全体を参照番号2で示す。
【0010】
筒形継手2は、インターロック端4を備えた第1の管要素、平滑端6を備えた第2の管要素、密封ライナー8、押出し防止リング10、および分割ロックリング12を含む。
【0011】
筒形継手2は中心軸X−Xを画成する。以下の本文では、「軸方向」、「径方向」および「周方向」という表現はこの中心軸X−Xに関して使用される。
【0012】
インターロック端4は、対応するフランジを備えた管要素(図示せず)と組み立てるための固定フランジ14、および平滑端6の方を向いた自由端部16を含む。インターロック端4はまた、環状内面溝18も含む(図2を参照)。この特定の場合では、溝18は実質的に円弧である断面を有するが、例えば長方形断面など、他の形態を有することもできる。
【0013】
図2から分かるように、組み立てられた状態の筒形継手では、密封ライナー8、押出し防止リング10およびロックリング12は内面溝18内に挿入され、平滑端6はインターロック端の自由端部16内に挿入されている。密封ライナー8は軸方向に固定フランジ14に向いた側に配置され、ロックリング12は軸方向に自由端部16の側に配置され、押出し防止リング10は密封ライナー8とロックリング12との間に挟まれている。
【0014】
密封ライナー8は、例えばゴムで製造される。これは、基部本体20、密封リップ22、および径方向内向きに突出し、押出し防止リング10上に作用する推力リップ24を含む。推力リップ24は、軸方向にロックリング12に対して、押出し防止リング10に弾性的に応力を加える。
【0015】
平滑端がインターロック端4内に導入される場合、密封リップ22は平滑端6に対して径方向に作用し、圧力が加えられる場合、密封リップ22は、管要素4および6の中を循環する流体の圧力が増加すると、増加した強度で平滑端6に対して作用する。したがって、平滑端6がインターロック端4内に導入されるとき、管要素4、6間の密封ライナー8の径方向への圧迫によって自動的に密封が達成されるという点において、筒形継手は自動タイプである。
【0016】
押出し防止リング10は、例えば金属またはポリアミド6−6などの硬質プラスチック材料から形成されるリングである。押出し防止リング10は、密封ライナー8の方を向いた平坦面26、およびロックリング12の方を向いた先細面28を含む。さらに、図1から分かるように、押出し防止リング10は、押出し防止リング10を溝18内に弾性変形によって組み立てることができるようにする、径方向横断スリット30を含む。
【0017】
ロックリング12は、例えばゴムから形成される円環リング38によって連結される、円弧のセグメントの形態である2つの金属ロック要素36からなる。変形例では、ロックリングは2つ以上のロック要素36を含む。
【0018】
ロック要素36は、径方向内向きを向き、組み立てられた状態で平滑端6の外面に作用する一列の歯40を含む。さらに、ロック要素36は、軸X−Xに対して傾斜し、インターロック端4の内面溝18の対応する傾斜面に対して作用する、外面42を含む。したがって、ロック要素36は平滑端6とインターロック端4が外れることを防ぐ。
【0019】
この実施形態では、押出し防止リング10は密封ライナー8上に自由に配置され、ロックリング12は押出し防止リング10上に自由に配置される。このように、密封ライナー8、ロックリング12および押出し防止リング10の3つの構成部品は互いに対して固定されず、したがって、互いに独立に製造することができる。
【0020】
圧力が加えられるとき、押出し防止リング10は、密封ライナー8のゴムがインターロック端4の内径および平滑端6の外径によって区切られた環状空間を通って押し出されないようにする。
【0021】
図3は、本発明による筒形継手の第2の実施形態の部分断面図である。
【0022】
この筒形継手は図1と図2では次のように異なる。
【0023】
押出し防止リング10は2つの周方向端部50、52を有する開口リングである。これらの周方向端部50、52は、押出し防止リング10の残りの部分に比べて薄い軸方向厚さを有する2つの周方向部分53A、53Bによって形成される。さらに、周方向部分53A、53Bは内面溝18内で組み立てられた状態で周方向に重なり合い、押出し防止リング10の軸方向突起が閉じられるようになっている。したがって、押出し防止リング10は密封ライナー8の弾性材料が押し出されることを特に良く防ぎ、インターロック端と平滑端の異なる直径に良く適合される。
【0024】
押出し防止リング10は、平行な前方径方向面26、28Aを有するリングであり、その上に密封ライナー8およびロック要素36がそれぞれ作用する。
【0025】
さらに、ロック要素36は押出し防止リング10に解除可能に固定されている。したがって、押出し防止リング10は、各ロック要素36と一体のピン58と共に、弾性のインターロックによって協働するラッチ突起56を含む。したがって、各ロック要素36は相補的形態によって押出し防止リング10に固定されている。
【0026】
この実施形態は、筒形継手の様々な要件に特に容易に適合される。実際、ロックされた筒形継手を提供する必要がない場合は、ロック要素36は省略することができ、したがって、継手に使用される材料が低減される。ロックされた筒形継手が必要な場合は、ロック要素は押出し防止リング10にクリップされる。
【0027】
さらに、この実施形態では、ロックされたまたはロックされない継手に同じ押出し防止リング10を製造することができることから、筒形継手の製造コストが低減される。
【0028】
図5は、本発明による筒形継手の第3の実施形態を示し、これは図3とは次のように異なる。
【0029】
2つの周方向端部50、52に隣接したリング10の周方向部分は、組み立てられた状態で重なり合わず、互いの方に向いている。
【0030】
ロック要素36は押出し防止リング10にリベット60によって固定されている。
【0031】
さらに、押出し防止リング10は、リベットを受ける穴を除き、長さ全体にわたって実質的に均一な軸方向厚さを有する。
【0032】
したがって、リング10は製造が特に容易である。
【0033】
さらに、図6に示すように、および押出し防止リング10の保持の効果を上げるために、ロック要素36の一部分が、押出し防止リングの端部52、50によって形成されたスリット30に完全に重なり合い、押出し防止リング10およびロック要素36の軸方向突起が閉じられるようになっている。
【0034】
この実施形態は図3および4と同じ利点を有する。
【0035】
図7では、本発明による筒形継手の第4の実施形態が示されている。
【0036】
上述の他の実施形態とは異なり、保持リング62は密封ライナー8の凹部に配置されており、さらに推力リップ24を含まない。この保持リング62は、例えばポリエチレン、ナイロンまたはポリカーボネートなどのプラスチック材料で製造され、密封ライナー8をインターロック端4の内面に対して圧迫し、溝18内でのライナー8の安定性を確保する。
【0037】
さらに、押出し防止リング10は、密封ライナー8に対して作用するように設計され、押出し防止リング10を軸方向に密封ライナー8から離れるように押し付けるために適切な推力突起70を備えている。推力突起70は、径方向外向きを向き、押出し防止リング10の径方向内部部分上に固定されるリップの形態を有する。
【0038】
したがって、平滑端6とインターロック端4との間の最小限の遊びでは、この推力突起70は弾性的に折り畳まれ、したがって、様々な密封およびロック構成部品8、10、12のためのハウジングとして機能する環状溝18内の空間要件を制限し、このように平滑端6のインターロックの応力を低減することができるように追加の容積を提供する。平滑端6とインターロック端4との間の最大限の遊びでは、このリップ70は折り畳まれ、圧力が加えられる前にロック要素36をインターロック端4の内面に対して押し付け、したがって、圧力が加えられたとき平滑端の後方への動きを制限する。リップ70は平均的な遊びでは、圧力が加えられたときロック要素36の係合を助け、したがって、平滑端6の後方への動きを最小限にする。
【0039】
図8では、ロック要素36が定位置に配置される前の押出し防止リング10の軸方向断面図が示されている。押出し防止リング10の効果を高めるために、押出し防止リングは、押出し防止リング10の周方向部分にわたって延びる押出し防止要素72を圧迫し、したがってそれらの間にある間隙73をロック要素36のハウジングとして機能させ、前記ロック要素は適切な手段によって押出し防止リングに固定される。押出し防止要素72はリングセグメントの形態を有し、一部の先端を切り取った円錐の形態の外面74を有し、これは組み立てられた状態でインターロック端4の自由端部16の方を向いている。さらに、各押出し防止要素72は、軸X−Xの円筒形内面76の一部を含む。有利には、押出し防止要素72はロック要素36の断面と実質的に同一の断面を有し、したがって外面74はロック要素36の外面と同一平面をなす。
【0040】
図示されていないが、変形例では、押出し防止手段、すなわち押出し防止リング10および/または押出し防止要素72を密封ライナー8に固定することができ、したがってこれらの構成部品の取扱いが容易になり、したがってより早く組み立てられる。
【0041】
この主題に関して、押出し防止手段が、密封ライナーとは異なる材料で、密封ライナーとともに一部品で製造されることが特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】組み立てられていない状態の、本発明による筒形継手の斜視図である。
【図2】組み立てられた状態の、図1の筒形継手の一部分の長手方向断面図である。
【図3】本発明による筒形継手の第2の実施形態の、図2と同じ図である。
【図4】図3の筒形継手で使用される押出し防止リングの斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による筒形継手の、図2に対応する図である。
【図6】図5の筒形継手の押出し防止リングの斜視図である。
【図7】本発明による筒形継手の第4の実施形態の、図2に対応する図である。
【図8】図7の筒形継手で使用される押出し防止リングの部分断面側面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 筒形継手
4 インターロック端
6 平滑端
8 密封ライナー
10 押出し防止リング
12 分割ロックリング
14 固定フランジ
16 自由端部
18 内面溝
20 基部本体
22 密封リップ
24 推力リップ
26 平坦面
26 前方径方向面
28 先細面
28A 前方径方向面
30 スリット
36 ロック要素
38 円環リング
40 歯
42 外面
50 周方向端部
52 周方向端部
53A 周方向部分
53B 周方向部分
56 ラッチ突起
58 ピン
60 リベット
62 保持リング
70 推力突起
72 押出し防止要素
73 間隙
74 外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面溝(18)を備え、第2の管要素の平滑端(6)を受けるために適切な、第1の管要素のインターロック端(4)と、
前記内面溝(18)内に配置された密封ライナー(8)と、を備えるタイプの筒形継手であって、
前記密封ライナー(8)に隣接し、前記ライナーが前記管要素内を循環する流体の圧力を受ける場合に前記密封ライナー(8)の押出しを防ぐために適切な押出し防止手段(10、72)を含んでいる筒形継手において、
前記密封ライナー(8)に対向する側に、前記押出し防止手段(10、72)に隣接して配置された少なくとも1つのロック要素(36)を含むことを特徴とする筒形継手。
【請求項2】
前記押出し防止手段が押出し防止リング(10)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の筒形継手。
【請求項3】
前記押出し防止リング(10)が開口しており、前記内面溝(18)内で組み立てられた状態で周方向に重なり合う、2つの端部部分(53A、53B)を含むことを特徴とする、請求項2に記載の筒形継手。
【請求項4】
前記押出し防止リング(10)が前記密封ライナー(8)に固定されることを特徴とする、請求項2または3に記載の筒形継手。
【請求項5】
前記押出し防止リング(10)が前記密封ライナー(8)上に自由に適応されることを特徴とする、請求項2または3に記載の筒形継手。
【請求項6】
前記押出し防止手段がリングセグメントの形態の少なくとも2つの押出し防止要素(72)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の筒形継手。
【請求項7】
前記押出し防止要素(72)が前記押出し防止リング10と一体化されることを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項と併せて請求項6に記載の筒形継手。
【請求項8】
少なくとも1つのロック要素(36)が前記押出し防止リング(10)に固定されることを特徴とする、請求項2または請求項2に従属する請求項のいずれか一項に記載の筒形継手。
【請求項9】
少なくとも1つの前記ロック要素(36)が前記押出し防止リング(10)に解除可能に固定されることを特徴とする、請求項8に記載の筒形継手。
【請求項10】
前記ロック要素(36)が相補的形態、特にラッチによって前記押出し防止リング(10)に固定されることを特徴とする、請求項9に記載の筒形継手。
【請求項11】
1つのまたは各ロック要素(36)が前記押出し防止要素(72)によって形成された間隙(73)に挿入され、少なくとも1つのロック要素(36)と少なくとも1つの前記押出し防止要素(72)の外面が同一平面をなすことを特徴とする、請求項6または7に記載の筒形継手。
【請求項12】
前記押出し防止リング(10)が1つのまたは各ロック要素(36)に軸方向に前記密封ライナー(8)から離れるように応力を加えるために適切な推力手段(70)を含むことを特徴とする、請求項2または請求項2に従属する請求項のいずれか一項に記載の筒形継手。
【請求項13】
前記推力手段が前記押出し防止リング(10)と一体化された推力突起(70)を含むことを特徴とする、請求項12に記載の筒形継手。
【請求項14】
前記密封ライナー(8)が、1つのまたは各ロック要素(36)に軸方向に前記密封ライナー(8)から離れるように応力を加えるために適切な推力手段、特に前記密封ライナー(8)と一体化された可撓性リップ(24)を含むことを特徴とする、請求項2または請求項2に従属する請求項のいずれか一項に記載の筒形継手。
【請求項15】
前記推力手段(70、24)が径方向外向きまたは内向きを向いた自由端部を有することを特徴とする、請求項13または14に記載の筒形継手。
【請求項16】
前記インターロック端(4)に挿入された平滑端(6)を含み、前記密封ライナー(8)が前記平滑端(6)と前記インターロック端(4)との間で径方向に圧迫されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の筒形継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−523982(P2009−523982A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550801(P2008−550801)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000093
【国際公開番号】WO2007/083028
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(503288565)
【Fターム(参考)】