筒状の断熱材およびその製造方法
【課題】シリカエアロゲル粒子の高い断熱性を活用して高温の熱機器本体を断熱させ薄型化もしくはコンパクト化した筒状の断熱材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の筒状の断熱材は、熱機器本体Aに挿着して熱機器本体Aを断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材1で、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてシリカエアロゲル粒子を密に配合させた断熱材およびそのシリカエアロゲル粒子として水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料を用いた製造方法である。
【解決手段】本発明の筒状の断熱材は、熱機器本体Aに挿着して熱機器本体Aを断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材1で、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてシリカエアロゲル粒子を密に配合させた断熱材およびそのシリカエアロゲル粒子として水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料を用いた製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の改質器本体のような高温の熱機器本体を断熱する筒状の断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
高温で発熱する熱機器においてその熱機器本体を断熱する必要のある熱機器本体としては、燃料電池の改質器本体があり、このような熱機器本体を断熱する断熱材としては断熱性を十分に維持しつつ薄型化もしくはコンパクト化さらには熱機器本体に配置する施工性の効率化などが望まれている。そのために熱機器本体を挿着する筒状の断熱材が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、シリカのような無機ナノ粒子(シリカナノ粒子)を用いた圧縮成形体の断熱層を筒状成形体の被覆層で被覆してできた筒状の断熱材や、特許文献2のように、無機繊維からなる中空成形体の中空部にシリカのような無機粉体からなる充填材を充填してできた筒状の断熱材さらには、特許文献3のように、可撓性無機質断熱材と可撓性エアロゲル断熱材と可撓性無機質断熱材とを順に積層してできた筒状の断熱材がそれぞれ提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2009−299893号公報
【特許文献2】特開2007−100750号公報
【特許文献3】特開2010−33745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これら特許文献1、2および3で提案の筒状の断熱材では、断熱性に優れた無機ナノ粒子や無機粉体やエアロゲル断熱材が何れも、他の断熱材と別体で構成されている。そのため、これら断熱性に優れた無機ナノ粒子や無機粉体やエアロゲル断熱材が他の断熱材を介して熱機器本体を断熱することになるので、無機ナノ粒子や無機粉体やエアロゲル断熱材の断熱性が十分に活用されておらず、高温の熱機器本体を断熱させかつ薄型化ができる筒状の断熱材として制約がある。
【0006】
さらに、特許文献1で提案の筒状の断熱材では、無機ナノ粒子(シリカナノ粒子)が発塵しないように被覆シートの端部を接着して筒状の袋としたり、被覆層を二重にしたりする作業工程が必要である。また、特許文献2で提案の筒状の断熱材では、中空成形体が損傷した際、中空部に充填された無機粉体が飛散しないようにする配慮が必要である。また、特許文献3で提案の筒状の断熱材では、各断熱材を密着させたり積層したりする作業が必要である。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消し、シリカエアロゲル粒子の高い断熱性を活用して高温の熱機器本体を断熱させかつ薄型化もしくはコンパクト化した筒状の断熱材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の筒状の断熱材は、熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材において、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてできたことを特徴とする。さらに、請求項2記載の筒状の断熱材は、請求項1記載の筒状の断熱材で前記シリカエアロゲル粒子の平均粒径は1.5mmであることを特徴とする。請求項3記載の筒状の断熱材は、請求項1または2記載の筒状の断熱材は、前記珪酸カルシウム成形体は粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させてできたことを特徴とする。また、請求項4記載の筒状の断熱材は、請求項1から3の何れかひとつに記載の筒状の断熱材を無機繊維クロスで被覆させてできたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の筒状の断熱材の製造方法は、熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材の製造方法において、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料と粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と水とを混合させてシリカエアロゲル粒子を粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料に密に配合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物として後、前記一次成形物を蒸気養生し乾燥させて固化した珪酸カルシウム成形体とすることにより、その珪酸カルシウム成形体の前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させることを特徴とする。さらに、請求項6記載の筒状の断熱材の製造方法は、請求項5記載の筒状の断熱材の製造方法で前記粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させて粉末状親水性シリカエアロゲル原料と水とを撹拌し混合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする。また、請求項7記載の筒状の断熱材の製造方法は、請求項5または6記載の筒状の断熱材の製造方法で、無機繊維クロスを配置させた状態で前記スラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1および2および請求項5記載の筒状の断熱材およびその製造方法により、熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材において、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてできているので、シリカエアロゲル粒子が密に配合されて多量のシリカエアロゲル粒子をからなる珪酸カルシウム成形体とすることにより、シリカエアロゲルの断熱性を有効に活用した高温の熱機器本体の断熱ができるとともに、薄型化もしくはコンパクト化した筒状の断熱材を提供する。さらに、請求項3および請求項6記載の筒状の断熱材およびその製造方法により、前記珪酸カルシウム成形体は粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させてできているので、強度を高くすることができ、また、請求項4および請求項7記載の筒状の断熱材およびその製造方法により、筒状の断熱材を無機繊維クロスで被覆させてできているので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料などの組成物特に、シリカエアロゲル粒子が、運搬作業や挿着作業における装置や作業者に付着することを防ぐ筒状の断熱材を提供するなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す筒状の断熱材を熱機器本体に挿着した状態の断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示す筒状の断熱材の断面図である。
【図3】図2の筒状の断熱材の分解した断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】同上の筒状の断熱材の製造プロセスを示すフローチャートである。
【図8】同上の筒状の断熱材の製造に用いるスラリー形成装置の断面図である。
【図9】同上の筒状の断熱材の製造に用いる成形装置の断面図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】図9のE−E断面図である。
【図12】図9の成形装置の上型と下型に無機繊維クロスを被覆した断面図である。
【図13】図12の成形装置の上型と下型とを閉じた状態を示す断面図である。
【図14】図13の成形装置でスラリーを充填した状態を示す断面図である。
【図15】図14で成形して上型と下型とを開いた状態を示す断面図である。
【図16】図15の上型と下型とを開いて後、下型から取り出して養生させて筒状の断熱材を製造する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の筒状の断熱材の実施形態について図を参照して、以下説明する。
【0013】
(熱機器本体の実施形態)
図1は、特開2010−161047号公報(以下、例示公報1という)に記載する燃料電池用円筒型水蒸気改質器を高温で発熱する熱機器として例示するとともにこれを簡略化して図示した熱機器本体の実施形態で、筒状の断熱材を熱機器本体に挿着した状態の断面図である。この例示公報1の図1および図6において、改質器本体は700℃程度まで達する温度の改質触媒層が配置された小径の円筒体と300〜330℃の温度のCO変成触媒層及び170℃程度の温度のCO除去触媒層が配置された大径の円筒体とからなり、小径の円筒体の外周に充填する粉状ヒュームドシリカからなる断熱材層とこの粉状ヒュームドシリカからなる断熱材層および大径の円筒体の外周に配置されたセラミックファイバー系断熱材層が配置されているが、本発明の実施形態では、小径の円筒体と大径の円筒体とを簡略化して同一径で円筒状の熱機器本体Aとし、原燃料供給管、CO除去用空気供給管、水供給管、水蒸気供給管、燃焼排ガス排出管、改質ガス導出管などを簡略化してパイプA1としている。
【0014】
このような高温の熱機器本体Aを断熱させるために、周壁1Aと頂上壁1Bと空間部1Cとを有する一端が開口した筒状の断熱材1を熱機器本体Aに挿着するので、筒状の断熱材1は同一径の円筒体として図示しているが、熱機器本体Aが小径の円筒体と大径の円筒体とで構成されておれば、筒状の断熱材1を熱機器本体Aに挿着できるように熱機器本体Aの形状に対応して、小径の円筒体と大径の円筒体とすればよい。この場合、熱機器本体Aは断面が真円や非真円の筒体であったり断面が矩形の筒体であってもよいので、筒状の断熱材1は熱機器本体Aの形状に対応して、断面が真円や非真円の筒体であったり断面が矩形の筒体であってもよい。
【0015】
また、パイプA1は熱機器本体Aの一端(図1では下端)から外方に突出しているが、周壁(図1では左右)から外方に突出している熱機器本体Aであれば、筒状の断熱材1は予めその周壁1Aに孔加工して形成した孔(図示せず)を設けて、筒状の断熱材1を熱機器本体AにパイプA1のない状態で挿着した後、周壁1Aに形成した孔を介してパイプA1を熱機器本体Aに取り付けるようにしてもよい。
【0016】
この筒状の断熱材1は多量のシリカエアロゲル粒子をからなる珪酸カルシウム成形体でできているので、そのシリカエアロゲル粒子が運搬作業や挿着作業における装置や作業者に付着するのを防止するために、筒状の断熱材1の外周面および内周面をそれぞれ無機繊維クロス2および3で被覆することが望ましく、これら組成物の粒径よりも小さいメッシュを有すればよいが、用途によっては珪酸カルシウム成形体の状態としてこれら無機繊維クロス2および3を用いなくてもよい。
【0017】
(筒状の断熱材の実施形態)
図2から図6は無機繊維クロス2および3で被覆された筒状の断熱材の実施形態を示す。図2において、筒状の断熱材1は周壁1Aと頂上壁1Bと空間部1Cとを有する一端が開口(図2では、下方が開口)した円筒体で全体にわたって均一にシリカエアロゲル粒子を含有した珪酸カルシウム成形体でできており、この空間部1Cは熱機器本体Aの外周に密着して挿着できる大きさおよび形状に形成されている。なお、この珪酸カルシウム成形体にはシリカエアロゲル粒子を含有しているが、強度を高めるためにガラス繊維などの無機繊維フィラーを添加させてもよい。
【0018】
筒状の断熱材1はシリカエアロゲル粒子を含有した珪酸カルシウム成形体でできているので、筒状の断熱材1を燃料電池の改質器本体のような高温の熱機器本体に挿着する作業や挿着した状態で、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料などの組成物が、特に、シリカエアロゲル粒子が運搬作業や挿着作業における装置や作業者に付着する可能性があるので、その付着を防ぐために、周壁1Aと頂上壁1Bの外周面または周壁1Aと頂上壁1Bの内周面および開口した端面をガラス繊維やシリカ繊維などの無機繊維クロス3で被覆させることが望ましい。
【0019】
図3から図6は、無機繊維クロス2および3を筒状の断熱材1に挿着して被覆させる実施形態を示す。無機繊維クロス2は周壁1Aの外径に相当する大きさの空間部を有する一端が開口した中空の円筒体であり、無機繊維クロス3は周壁1Aの内径に相当する大きさの外径で一端が開口し、その開口端の厚さ(周壁1Aの厚さ)に相当する大きさで外方向に突出した環状の鍔部3Aが形成された中空の円筒体である。このように形成された無機繊維クロス2を矢印P1方向から筒状の断熱材1に挿着し、無機繊維クロス3を矢印P2方向から筒状の断熱材1に挿着することにより、周壁1Aと頂上壁1Bの外周面は無機繊維クロス2で被覆されており、周壁1Aと頂上壁1Bの内周面および開口した端面は無機繊維クロス3で被覆されている。また、筒状の断熱材1の外周面および内周面は無機繊維クロス2および3で被覆されているが、筒状の断熱材1の外周面または内周面の何れか一方のみを無機繊維クロス2または3で被覆してもよい。さらに、これら無機繊維クロス2および3は筒状の断熱材1に挿着して被覆されているが、図7から図16に記載するように筒状の断熱材1を珪酸カルシウム成形体として成形する際に一体にしてもよい。
【0020】
(製造工程の概要)
図7は、筒状の断熱材の製造プロセスを示すフローチャートで、製造工程の概要を示し、先ず、スラリー形成工程101にて粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料からなる原料を多量の水で撹拌して混合させスラリーSを形成し、次に、成形工程102にて所定量のスラリーSを脱水成形型へ注入して一次成形物Tを形成して後、養生工程103にて脱水成形型から一次成形物Tを取り出して、所定時間、オートクレーブ(蒸気養生)処理し、乾燥させて固化した筒状の断熱材1が形成される。その際、スラリーSには、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料が密に配合されており、筒状の断熱材1は多量のシリカエアロゲル粒子からなる珪酸カルシウム成形体でできた筒状の成形ボードとなっている。なお、上記原料にはガラス繊維などの無機繊維フィラーを添加させてもよい。
【0021】
(製造装置並びに製造方法)
次に、図8から図16を参照して、全体にわたってシリカエアロゲル粒子を含有した珪酸カルシウム成形体からなる筒状の断熱材1の製造方法についてその製造装置とともに説明する。
【0022】
(スラリー形成工程)
図8は、スラリー形成工程101におけるスラリー形成装置を示し、スラリー収容筐体4には、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料からなる原料さらには無機繊維フィラー原料を添加させた原料と多量の水とが混練するように収容されている。この場合、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料により、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体となる量を予め試験し確認して原料を用意する。
【0023】
先ず、このように、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体となるように確認して用意する原料のうち、粉末状珪酸原料は石英、珪石、珪砂などを粒径が30μm以下で平均粒径が2〜3μm程度に粉末状としたもので、粉末状カルシウム原料は酸化カルシウム、水酸化カルシウム、生石灰などを粒径が30μm以下で平均粒径が2〜3μm程度に粉末状としたものであり、これら粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とをほぼ等量とし、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料を選択する。この選択した粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料にシリカエアロゲル原料を配合する。粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に対してその重量比で1/2〜1/6に相当するシリカエアロゲル原料を配合する。この場合のシリカエアロゲル原料を配合する量は、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体を狙いかつその気孔がシリカエアロゲル粒子となるようにする必要があるので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料におけるシリカエアロゲル原料の配合重量比は上記例示した重量比を試験確認により再設定して選択すればよい。このシリカエアロゲル原料は、球状の微粒子が融合したクラスター構造で、60%以上の気孔率を有するシリカエアロゲル粒子であって、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子を界面活性剤で処理することにより、その表面に親水性被膜が形成されたシリカエアロゲル粒子でできている。このシリカエアロゲル粒子の粒径は0.5〜4mmで、平均粒径は1.5mmであり、粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料の粒径よりも大きいので、個々のシリカエアロゲル粒子言い換えればシリカエアロゲル粒子間に粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料が配合されやすくしているので、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でその気孔がシリカエアロゲル粒子となるようにすることが容易となる。
【0024】
次に、上記選択した粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料を10〜30重量%として、スラリー収容筐体4にて70〜90重量%の水と混合させて撹拌し混練して水和反応により粘性のあるスラリーSが得られる。この場合、シリカエアロゲル原料は、スラリーSを構成する水が内部に侵入してシリカエアロゲル粒子のクラスター構造が崩壊されないようにするために疎水性のシリカエアロゲル粒子の表面において水と親和性を作用させており、シリカエアロゲル粒子を含有した多量の水が粉末状珪酸原料や粉末状カルシウム原料と混合して混練されることにより、水和過程でシリカエアロゲル粒子が密に配合されたスラリーSが得られる。
【0025】
上記原料を多量の水と混合させて撹拌し混練するには、原料と水とを撹拌させる撹拌治具5が用いられる。この撹拌治具5は原動機(図示せず)にてR方向またはその逆方向の一方向に回転もしくはR方向とその逆方向とに交互に回動されるブレード5Aを備えており、スラリー収容筐体4に収容された上記原料を水と撹拌させて混練して水和反応により、所定の粘性をもたせたスラリーSが得られるまで回転させる。このようにして撹拌治具5による混練作用の過程で、スラリーSの粘度を確認するために、先ず、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と多量の水を収容させておいて、これらを撹拌治具5で撹拌しながらシリカエアロゲル原料を少量ずつスラリー収容筐体4に供給することが好ましい。なお、シリカエアロゲル原料は水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜が形成されているので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と水とを撹拌させて混練する過程で、シリカエアロゲル原料がスラリー収容筐体4内で浮き上がったり偏在したりせず、シリカエアロゲル原料の個々のシリカエアロゲル粒子が粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料に均一に配合される。
【0026】
上記粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料からなる原料には平均粒径が数10μm程度のガラス繊維などの無機繊維フィラーを添加させてあってもよい。この場合、スラリー収容筐体4に予め粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に少量の無機繊維フィラーを混合させて多量の水を収容させておいて、これらを撹拌治具5で撹拌しながらシリカエアロゲル原料を少量ずつスラリー収容筐体4に供給することが好ましい。このように粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させることにより珪酸カルシウム成形体の強度を高くすることができる。
【0027】
(スラリー成形工程)
図9〜図11は、スラリー成形工程102における成形装置の脱水成形型を示し、この脱水成形型を有する成形装置6は、上型9と下型10とスラリー供給部材7と吸水部材12と振動機構部材13とから構成されている。
【0028】
上型9は図10に示すように筒壁9Aと頂壁9Bを有し、下型10は図11に示すように円柱体10Aとベース10Bを有する。この上型9と下型10とは相対的に開閉されるが、この実施形態では下型10が可動するので、下型10が上型9の方向に移動して閉じることにより、上型9の頂壁9Bと下型10のベース10Bとがシール部材14で密閉された脱水成形型部11となる空間部が形成される。上型9の頂壁9Bには、スラリー供給部材7のノズル部8が脱水成形型部11と連通した注入口9Dが形成されている。
【0029】
吸水部材12は吸水ポンプPと連結した管を有し、この管には、脱水成形型部11内の水分や空気を吸引して脱水・脱気できるようなフィルターや濾水性シートが着脱自在(図示せず)に設けられている。この吸水部材12の管は上型9の筒壁9Aに形成した小孔を介して脱水成形型部11と連通するように上型9の筒壁9Aに設けられている。吸水部材12の吸水ポンプPを駆動させることにより、脱水成形型部11内に充填されたスラリーSの水分や空気を吸引して脱水・脱気してスラリーSの粘性を高くして粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料にシリカエアロゲル粒子が密に配合されるように半硬化させる作用がある。また、吸水部材12は、複数本が例えば3本が120度間隔でかつ筒壁9A方向にも3本が重ならないように上型9の筒壁9Aに設けられており、脱水・脱気作用が効率よく行なわれるようにしている。
【0030】
また、下型10のベース10Bには毎分6000〜15000回で振幅が0.01〜2mmで下型10および上型9を振動させるように振動機構部材13が設けられている。この振動機構部材13の振動源は超音波発振装置を例示しているが、電磁振動装置でもよい。この振動機構部材13を駆動させて下型10を振動させることにより、上型9も下型10を介して振動させることにより、スラリーSは下型10および上型9の型面との間に気泡が発生しないようにするとともにスラリーS内の水分や空気が均一に排出され内部に気孔が存在せずシリカエアロゲル粒子が密に配合されるようにしている。
【0031】
次に、図12〜図14にて、一次成形物Tが形成される製造方法を説明する。先ず、図12にて、上型9と下型10とは開いた状態で、前述の図3〜6にて例示した無機繊維クロス2を上型9の筒壁9Aと頂壁9Bに配置するように挿着し、無機繊維クロス3を鍔部3Aが下型10のベース10Bに配置するように下型10の円柱体10Aに挿着して後、下型10を矢印P1方向(図12では上方向)に移動させて、図13に示すように上型9と下型10とは閉じた状態とする。この場合、図12において矢印Q1は、下型10が上型9と対面させない位置から対面する位置に移動(図12では左方向に移動)する移動方向を示す。
【0032】
次に、図13にて、上記のように上型9と下型10とは閉じて、シール部材14で密閉された脱水成形型部11の空間部に、無機繊維クロス2および3が配置された状態で、水和反応されて粘性のあるスラリーSを所定量、成形装置6の脱水成形型部11へ注入して流し込んで、充填させる。このスラリーSを流し込む量は、予め、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体となる量を試験し確認してあるので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料にシリカエアロゲル粒子が密に配合されるようにするためにスラリーS内の排出される水分や空気の容積を考慮して脱水成形型部11の空間部を満たす量を制御すればよい。また、このスラリーSの注入方法は、図8に示すスラリー形成装置と連結(図示せず)させて混練させながら流し込むかまたは圧送により流し込むようにすればよい。このスラリーSの注入時に、振動機構部材13を駆動させて下型10および上型9を振動させるとともに吸水ポンプPを駆動させて吸水部材12にて脱水成形型部11内でスラリーSの水分や空気を吸引して粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料が半硬化される。このようにして成形装置6の脱水成形型部11にて筒状の断熱材1となる一次成形物Tが形成される(図14参照)。
【0033】
(養生工程)
図15および図16は、上記のように形成された一次成形物Tを所定時間、オートプレープ(蒸気養生)処理し、乾燥させて固化した筒状の断熱材1が形成される養生工程103における作業を示す。
【0034】
図15において、下型10を矢印P2方向に移動させて上型9と下型10とが開いた状態とすることにより、一次成形物Tは筒状の断熱材1に対応した円筒状で、中空部は下型10の円柱体10Aにあり、開口した端面は下型10のベース10Bにある状態で下型10に載置されるように、上型9から分離する。次に、下型10を矢印Q2方向に移動させることにより、下型10は上型9と対面させた位置から対面しない位置に移動する。
【0035】
図16において、下型10を矢印Q2方向に移動させた位置で、一次成形物Tを下型10から矢印P1方向に取り出して、この一次成形物Tを図示しないが、養生装置に送る。このように一次成形物Tは取り出すので、無機繊維フィラーを添加させて強度を高くして半硬化させることが好ましい。この養生装置にて一次成形物Tを150℃から200℃の飽和水蒸気圧で、3〜10時間のオートクレープ(蒸熱処理)処理する。この場合、珪酸とカルシウムにもしくは無機繊維フィラーが添加された珪酸とカルシウムからなる珪酸カルシウム成形体にその気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔がシリカエアロゲル粒子となっているので、オートクレープ(蒸熱処理)処理をして後、図示しないが乾燥炉に送り乾燥させて固化すると、珪酸カルシウム成形体の内部の多数の微細な気孔がシリカエアロゲル粒子で構成された筒状の成形ボードが得られるので、シリカエアロゲル粒子が密に配合されて多量のシリカエアロゲル粒子を有することとなり、シリカエアロゲルの断熱性を有効に活用した高温の熱機器本体を断熱する筒状の断熱材1が出来上がる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、多量のシリカエアロゲル粒子からなる珪酸カルシウム成形体でできた筒状の成形ボードとなった断熱材であるので、高温の熱機器本体を断熱する断熱材として種々用途展開ができ、例えば、固体高分子形燃料電池の改質器や固体酸化物形燃料電池(または固体電解質形燃料電池)の本体を断熱する断熱材として利用できる。特に、熱機器の設置面積が大きくとれないような設備にも有効である。
【符号の説明】
【0037】
1 筒状の断熱材
2 無機繊維クロス
3 無機繊維クロス
4 スラリー収容筐体
5 撹拌治具
A 熱機器本体
S スラリー
T 一次成形物
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池の改質器本体のような高温の熱機器本体を断熱する筒状の断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
高温で発熱する熱機器においてその熱機器本体を断熱する必要のある熱機器本体としては、燃料電池の改質器本体があり、このような熱機器本体を断熱する断熱材としては断熱性を十分に維持しつつ薄型化もしくはコンパクト化さらには熱機器本体に配置する施工性の効率化などが望まれている。そのために熱機器本体を挿着する筒状の断熱材が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、シリカのような無機ナノ粒子(シリカナノ粒子)を用いた圧縮成形体の断熱層を筒状成形体の被覆層で被覆してできた筒状の断熱材や、特許文献2のように、無機繊維からなる中空成形体の中空部にシリカのような無機粉体からなる充填材を充填してできた筒状の断熱材さらには、特許文献3のように、可撓性無機質断熱材と可撓性エアロゲル断熱材と可撓性無機質断熱材とを順に積層してできた筒状の断熱材がそれぞれ提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2009−299893号公報
【特許文献2】特開2007−100750号公報
【特許文献3】特開2010−33745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これら特許文献1、2および3で提案の筒状の断熱材では、断熱性に優れた無機ナノ粒子や無機粉体やエアロゲル断熱材が何れも、他の断熱材と別体で構成されている。そのため、これら断熱性に優れた無機ナノ粒子や無機粉体やエアロゲル断熱材が他の断熱材を介して熱機器本体を断熱することになるので、無機ナノ粒子や無機粉体やエアロゲル断熱材の断熱性が十分に活用されておらず、高温の熱機器本体を断熱させかつ薄型化ができる筒状の断熱材として制約がある。
【0006】
さらに、特許文献1で提案の筒状の断熱材では、無機ナノ粒子(シリカナノ粒子)が発塵しないように被覆シートの端部を接着して筒状の袋としたり、被覆層を二重にしたりする作業工程が必要である。また、特許文献2で提案の筒状の断熱材では、中空成形体が損傷した際、中空部に充填された無機粉体が飛散しないようにする配慮が必要である。また、特許文献3で提案の筒状の断熱材では、各断熱材を密着させたり積層したりする作業が必要である。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消し、シリカエアロゲル粒子の高い断熱性を活用して高温の熱機器本体を断熱させかつ薄型化もしくはコンパクト化した筒状の断熱材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の筒状の断熱材は、熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材において、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてできたことを特徴とする。さらに、請求項2記載の筒状の断熱材は、請求項1記載の筒状の断熱材で前記シリカエアロゲル粒子の平均粒径は1.5mmであることを特徴とする。請求項3記載の筒状の断熱材は、請求項1または2記載の筒状の断熱材は、前記珪酸カルシウム成形体は粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させてできたことを特徴とする。また、請求項4記載の筒状の断熱材は、請求項1から3の何れかひとつに記載の筒状の断熱材を無機繊維クロスで被覆させてできたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の筒状の断熱材の製造方法は、熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材の製造方法において、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料と粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と水とを混合させてシリカエアロゲル粒子を粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料に密に配合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物として後、前記一次成形物を蒸気養生し乾燥させて固化した珪酸カルシウム成形体とすることにより、その珪酸カルシウム成形体の前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させることを特徴とする。さらに、請求項6記載の筒状の断熱材の製造方法は、請求項5記載の筒状の断熱材の製造方法で前記粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させて粉末状親水性シリカエアロゲル原料と水とを撹拌し混合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする。また、請求項7記載の筒状の断熱材の製造方法は、請求項5または6記載の筒状の断熱材の製造方法で、無機繊維クロスを配置させた状態で前記スラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1および2および請求項5記載の筒状の断熱材およびその製造方法により、熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材において、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてできているので、シリカエアロゲル粒子が密に配合されて多量のシリカエアロゲル粒子をからなる珪酸カルシウム成形体とすることにより、シリカエアロゲルの断熱性を有効に活用した高温の熱機器本体の断熱ができるとともに、薄型化もしくはコンパクト化した筒状の断熱材を提供する。さらに、請求項3および請求項6記載の筒状の断熱材およびその製造方法により、前記珪酸カルシウム成形体は粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させてできているので、強度を高くすることができ、また、請求項4および請求項7記載の筒状の断熱材およびその製造方法により、筒状の断熱材を無機繊維クロスで被覆させてできているので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料などの組成物特に、シリカエアロゲル粒子が、運搬作業や挿着作業における装置や作業者に付着することを防ぐ筒状の断熱材を提供するなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す筒状の断熱材を熱機器本体に挿着した状態の断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示す筒状の断熱材の断面図である。
【図3】図2の筒状の断熱材の分解した断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図3のC−C断面図である。
【図7】同上の筒状の断熱材の製造プロセスを示すフローチャートである。
【図8】同上の筒状の断熱材の製造に用いるスラリー形成装置の断面図である。
【図9】同上の筒状の断熱材の製造に用いる成形装置の断面図である。
【図10】図9のD−D断面図である。
【図11】図9のE−E断面図である。
【図12】図9の成形装置の上型と下型に無機繊維クロスを被覆した断面図である。
【図13】図12の成形装置の上型と下型とを閉じた状態を示す断面図である。
【図14】図13の成形装置でスラリーを充填した状態を示す断面図である。
【図15】図14で成形して上型と下型とを開いた状態を示す断面図である。
【図16】図15の上型と下型とを開いて後、下型から取り出して養生させて筒状の断熱材を製造する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の筒状の断熱材の実施形態について図を参照して、以下説明する。
【0013】
(熱機器本体の実施形態)
図1は、特開2010−161047号公報(以下、例示公報1という)に記載する燃料電池用円筒型水蒸気改質器を高温で発熱する熱機器として例示するとともにこれを簡略化して図示した熱機器本体の実施形態で、筒状の断熱材を熱機器本体に挿着した状態の断面図である。この例示公報1の図1および図6において、改質器本体は700℃程度まで達する温度の改質触媒層が配置された小径の円筒体と300〜330℃の温度のCO変成触媒層及び170℃程度の温度のCO除去触媒層が配置された大径の円筒体とからなり、小径の円筒体の外周に充填する粉状ヒュームドシリカからなる断熱材層とこの粉状ヒュームドシリカからなる断熱材層および大径の円筒体の外周に配置されたセラミックファイバー系断熱材層が配置されているが、本発明の実施形態では、小径の円筒体と大径の円筒体とを簡略化して同一径で円筒状の熱機器本体Aとし、原燃料供給管、CO除去用空気供給管、水供給管、水蒸気供給管、燃焼排ガス排出管、改質ガス導出管などを簡略化してパイプA1としている。
【0014】
このような高温の熱機器本体Aを断熱させるために、周壁1Aと頂上壁1Bと空間部1Cとを有する一端が開口した筒状の断熱材1を熱機器本体Aに挿着するので、筒状の断熱材1は同一径の円筒体として図示しているが、熱機器本体Aが小径の円筒体と大径の円筒体とで構成されておれば、筒状の断熱材1を熱機器本体Aに挿着できるように熱機器本体Aの形状に対応して、小径の円筒体と大径の円筒体とすればよい。この場合、熱機器本体Aは断面が真円や非真円の筒体であったり断面が矩形の筒体であってもよいので、筒状の断熱材1は熱機器本体Aの形状に対応して、断面が真円や非真円の筒体であったり断面が矩形の筒体であってもよい。
【0015】
また、パイプA1は熱機器本体Aの一端(図1では下端)から外方に突出しているが、周壁(図1では左右)から外方に突出している熱機器本体Aであれば、筒状の断熱材1は予めその周壁1Aに孔加工して形成した孔(図示せず)を設けて、筒状の断熱材1を熱機器本体AにパイプA1のない状態で挿着した後、周壁1Aに形成した孔を介してパイプA1を熱機器本体Aに取り付けるようにしてもよい。
【0016】
この筒状の断熱材1は多量のシリカエアロゲル粒子をからなる珪酸カルシウム成形体でできているので、そのシリカエアロゲル粒子が運搬作業や挿着作業における装置や作業者に付着するのを防止するために、筒状の断熱材1の外周面および内周面をそれぞれ無機繊維クロス2および3で被覆することが望ましく、これら組成物の粒径よりも小さいメッシュを有すればよいが、用途によっては珪酸カルシウム成形体の状態としてこれら無機繊維クロス2および3を用いなくてもよい。
【0017】
(筒状の断熱材の実施形態)
図2から図6は無機繊維クロス2および3で被覆された筒状の断熱材の実施形態を示す。図2において、筒状の断熱材1は周壁1Aと頂上壁1Bと空間部1Cとを有する一端が開口(図2では、下方が開口)した円筒体で全体にわたって均一にシリカエアロゲル粒子を含有した珪酸カルシウム成形体でできており、この空間部1Cは熱機器本体Aの外周に密着して挿着できる大きさおよび形状に形成されている。なお、この珪酸カルシウム成形体にはシリカエアロゲル粒子を含有しているが、強度を高めるためにガラス繊維などの無機繊維フィラーを添加させてもよい。
【0018】
筒状の断熱材1はシリカエアロゲル粒子を含有した珪酸カルシウム成形体でできているので、筒状の断熱材1を燃料電池の改質器本体のような高温の熱機器本体に挿着する作業や挿着した状態で、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料などの組成物が、特に、シリカエアロゲル粒子が運搬作業や挿着作業における装置や作業者に付着する可能性があるので、その付着を防ぐために、周壁1Aと頂上壁1Bの外周面または周壁1Aと頂上壁1Bの内周面および開口した端面をガラス繊維やシリカ繊維などの無機繊維クロス3で被覆させることが望ましい。
【0019】
図3から図6は、無機繊維クロス2および3を筒状の断熱材1に挿着して被覆させる実施形態を示す。無機繊維クロス2は周壁1Aの外径に相当する大きさの空間部を有する一端が開口した中空の円筒体であり、無機繊維クロス3は周壁1Aの内径に相当する大きさの外径で一端が開口し、その開口端の厚さ(周壁1Aの厚さ)に相当する大きさで外方向に突出した環状の鍔部3Aが形成された中空の円筒体である。このように形成された無機繊維クロス2を矢印P1方向から筒状の断熱材1に挿着し、無機繊維クロス3を矢印P2方向から筒状の断熱材1に挿着することにより、周壁1Aと頂上壁1Bの外周面は無機繊維クロス2で被覆されており、周壁1Aと頂上壁1Bの内周面および開口した端面は無機繊維クロス3で被覆されている。また、筒状の断熱材1の外周面および内周面は無機繊維クロス2および3で被覆されているが、筒状の断熱材1の外周面または内周面の何れか一方のみを無機繊維クロス2または3で被覆してもよい。さらに、これら無機繊維クロス2および3は筒状の断熱材1に挿着して被覆されているが、図7から図16に記載するように筒状の断熱材1を珪酸カルシウム成形体として成形する際に一体にしてもよい。
【0020】
(製造工程の概要)
図7は、筒状の断熱材の製造プロセスを示すフローチャートで、製造工程の概要を示し、先ず、スラリー形成工程101にて粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料からなる原料を多量の水で撹拌して混合させスラリーSを形成し、次に、成形工程102にて所定量のスラリーSを脱水成形型へ注入して一次成形物Tを形成して後、養生工程103にて脱水成形型から一次成形物Tを取り出して、所定時間、オートクレーブ(蒸気養生)処理し、乾燥させて固化した筒状の断熱材1が形成される。その際、スラリーSには、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料が密に配合されており、筒状の断熱材1は多量のシリカエアロゲル粒子からなる珪酸カルシウム成形体でできた筒状の成形ボードとなっている。なお、上記原料にはガラス繊維などの無機繊維フィラーを添加させてもよい。
【0021】
(製造装置並びに製造方法)
次に、図8から図16を参照して、全体にわたってシリカエアロゲル粒子を含有した珪酸カルシウム成形体からなる筒状の断熱材1の製造方法についてその製造装置とともに説明する。
【0022】
(スラリー形成工程)
図8は、スラリー形成工程101におけるスラリー形成装置を示し、スラリー収容筐体4には、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料からなる原料さらには無機繊維フィラー原料を添加させた原料と多量の水とが混練するように収容されている。この場合、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料により、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体となる量を予め試験し確認して原料を用意する。
【0023】
先ず、このように、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体となるように確認して用意する原料のうち、粉末状珪酸原料は石英、珪石、珪砂などを粒径が30μm以下で平均粒径が2〜3μm程度に粉末状としたもので、粉末状カルシウム原料は酸化カルシウム、水酸化カルシウム、生石灰などを粒径が30μm以下で平均粒径が2〜3μm程度に粉末状としたものであり、これら粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とをほぼ等量とし、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料を選択する。この選択した粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料にシリカエアロゲル原料を配合する。粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に対してその重量比で1/2〜1/6に相当するシリカエアロゲル原料を配合する。この場合のシリカエアロゲル原料を配合する量は、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体を狙いかつその気孔がシリカエアロゲル粒子となるようにする必要があるので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料におけるシリカエアロゲル原料の配合重量比は上記例示した重量比を試験確認により再設定して選択すればよい。このシリカエアロゲル原料は、球状の微粒子が融合したクラスター構造で、60%以上の気孔率を有するシリカエアロゲル粒子であって、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子を界面活性剤で処理することにより、その表面に親水性被膜が形成されたシリカエアロゲル粒子でできている。このシリカエアロゲル粒子の粒径は0.5〜4mmで、平均粒径は1.5mmであり、粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料の粒径よりも大きいので、個々のシリカエアロゲル粒子言い換えればシリカエアロゲル粒子間に粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料が配合されやすくしているので、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でその気孔がシリカエアロゲル粒子となるようにすることが容易となる。
【0024】
次に、上記選択した粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料を10〜30重量%として、スラリー収容筐体4にて70〜90重量%の水と混合させて撹拌し混練して水和反応により粘性のあるスラリーSが得られる。この場合、シリカエアロゲル原料は、スラリーSを構成する水が内部に侵入してシリカエアロゲル粒子のクラスター構造が崩壊されないようにするために疎水性のシリカエアロゲル粒子の表面において水と親和性を作用させており、シリカエアロゲル粒子を含有した多量の水が粉末状珪酸原料や粉末状カルシウム原料と混合して混練されることにより、水和過程でシリカエアロゲル粒子が密に配合されたスラリーSが得られる。
【0025】
上記原料を多量の水と混合させて撹拌し混練するには、原料と水とを撹拌させる撹拌治具5が用いられる。この撹拌治具5は原動機(図示せず)にてR方向またはその逆方向の一方向に回転もしくはR方向とその逆方向とに交互に回動されるブレード5Aを備えており、スラリー収容筐体4に収容された上記原料を水と撹拌させて混練して水和反応により、所定の粘性をもたせたスラリーSが得られるまで回転させる。このようにして撹拌治具5による混練作用の過程で、スラリーSの粘度を確認するために、先ず、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と多量の水を収容させておいて、これらを撹拌治具5で撹拌しながらシリカエアロゲル原料を少量ずつスラリー収容筐体4に供給することが好ましい。なお、シリカエアロゲル原料は水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜が形成されているので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と水とを撹拌させて混練する過程で、シリカエアロゲル原料がスラリー収容筐体4内で浮き上がったり偏在したりせず、シリカエアロゲル原料の個々のシリカエアロゲル粒子が粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料に均一に配合される。
【0026】
上記粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料からなる原料には平均粒径が数10μm程度のガラス繊維などの無機繊維フィラーを添加させてあってもよい。この場合、スラリー収容筐体4に予め粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に少量の無機繊維フィラーを混合させて多量の水を収容させておいて、これらを撹拌治具5で撹拌しながらシリカエアロゲル原料を少量ずつスラリー収容筐体4に供給することが好ましい。このように粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させることにより珪酸カルシウム成形体の強度を高くすることができる。
【0027】
(スラリー成形工程)
図9〜図11は、スラリー成形工程102における成形装置の脱水成形型を示し、この脱水成形型を有する成形装置6は、上型9と下型10とスラリー供給部材7と吸水部材12と振動機構部材13とから構成されている。
【0028】
上型9は図10に示すように筒壁9Aと頂壁9Bを有し、下型10は図11に示すように円柱体10Aとベース10Bを有する。この上型9と下型10とは相対的に開閉されるが、この実施形態では下型10が可動するので、下型10が上型9の方向に移動して閉じることにより、上型9の頂壁9Bと下型10のベース10Bとがシール部材14で密閉された脱水成形型部11となる空間部が形成される。上型9の頂壁9Bには、スラリー供給部材7のノズル部8が脱水成形型部11と連通した注入口9Dが形成されている。
【0029】
吸水部材12は吸水ポンプPと連結した管を有し、この管には、脱水成形型部11内の水分や空気を吸引して脱水・脱気できるようなフィルターや濾水性シートが着脱自在(図示せず)に設けられている。この吸水部材12の管は上型9の筒壁9Aに形成した小孔を介して脱水成形型部11と連通するように上型9の筒壁9Aに設けられている。吸水部材12の吸水ポンプPを駆動させることにより、脱水成形型部11内に充填されたスラリーSの水分や空気を吸引して脱水・脱気してスラリーSの粘性を高くして粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料にシリカエアロゲル粒子が密に配合されるように半硬化させる作用がある。また、吸水部材12は、複数本が例えば3本が120度間隔でかつ筒壁9A方向にも3本が重ならないように上型9の筒壁9Aに設けられており、脱水・脱気作用が効率よく行なわれるようにしている。
【0030】
また、下型10のベース10Bには毎分6000〜15000回で振幅が0.01〜2mmで下型10および上型9を振動させるように振動機構部材13が設けられている。この振動機構部材13の振動源は超音波発振装置を例示しているが、電磁振動装置でもよい。この振動機構部材13を駆動させて下型10を振動させることにより、上型9も下型10を介して振動させることにより、スラリーSは下型10および上型9の型面との間に気泡が発生しないようにするとともにスラリーS内の水分や空気が均一に排出され内部に気孔が存在せずシリカエアロゲル粒子が密に配合されるようにしている。
【0031】
次に、図12〜図14にて、一次成形物Tが形成される製造方法を説明する。先ず、図12にて、上型9と下型10とは開いた状態で、前述の図3〜6にて例示した無機繊維クロス2を上型9の筒壁9Aと頂壁9Bに配置するように挿着し、無機繊維クロス3を鍔部3Aが下型10のベース10Bに配置するように下型10の円柱体10Aに挿着して後、下型10を矢印P1方向(図12では上方向)に移動させて、図13に示すように上型9と下型10とは閉じた状態とする。この場合、図12において矢印Q1は、下型10が上型9と対面させない位置から対面する位置に移動(図12では左方向に移動)する移動方向を示す。
【0032】
次に、図13にて、上記のように上型9と下型10とは閉じて、シール部材14で密閉された脱水成形型部11の空間部に、無機繊維クロス2および3が配置された状態で、水和反応されて粘性のあるスラリーSを所定量、成形装置6の脱水成形型部11へ注入して流し込んで、充填させる。このスラリーSを流し込む量は、予め、気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体となる量を試験し確認してあるので、粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料にシリカエアロゲル粒子が密に配合されるようにするためにスラリーS内の排出される水分や空気の容積を考慮して脱水成形型部11の空間部を満たす量を制御すればよい。また、このスラリーSの注入方法は、図8に示すスラリー形成装置と連結(図示せず)させて混練させながら流し込むかまたは圧送により流し込むようにすればよい。このスラリーSの注入時に、振動機構部材13を駆動させて下型10および上型9を振動させるとともに吸水ポンプPを駆動させて吸水部材12にて脱水成形型部11内でスラリーSの水分や空気を吸引して粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料とシリカエアロゲル原料とからなる原料もしくはこの原料に無機繊維フィラー原料を添加させた原料が半硬化される。このようにして成形装置6の脱水成形型部11にて筒状の断熱材1となる一次成形物Tが形成される(図14参照)。
【0033】
(養生工程)
図15および図16は、上記のように形成された一次成形物Tを所定時間、オートプレープ(蒸気養生)処理し、乾燥させて固化した筒状の断熱材1が形成される養生工程103における作業を示す。
【0034】
図15において、下型10を矢印P2方向に移動させて上型9と下型10とが開いた状態とすることにより、一次成形物Tは筒状の断熱材1に対応した円筒状で、中空部は下型10の円柱体10Aにあり、開口した端面は下型10のベース10Bにある状態で下型10に載置されるように、上型9から分離する。次に、下型10を矢印Q2方向に移動させることにより、下型10は上型9と対面させた位置から対面しない位置に移動する。
【0035】
図16において、下型10を矢印Q2方向に移動させた位置で、一次成形物Tを下型10から矢印P1方向に取り出して、この一次成形物Tを図示しないが、養生装置に送る。このように一次成形物Tは取り出すので、無機繊維フィラーを添加させて強度を高くして半硬化させることが好ましい。この養生装置にて一次成形物Tを150℃から200℃の飽和水蒸気圧で、3〜10時間のオートクレープ(蒸熱処理)処理する。この場合、珪酸とカルシウムにもしくは無機繊維フィラーが添加された珪酸とカルシウムからなる珪酸カルシウム成形体にその気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔がシリカエアロゲル粒子となっているので、オートクレープ(蒸熱処理)処理をして後、図示しないが乾燥炉に送り乾燥させて固化すると、珪酸カルシウム成形体の内部の多数の微細な気孔がシリカエアロゲル粒子で構成された筒状の成形ボードが得られるので、シリカエアロゲル粒子が密に配合されて多量のシリカエアロゲル粒子を有することとなり、シリカエアロゲルの断熱性を有効に活用した高温の熱機器本体を断熱する筒状の断熱材1が出来上がる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、多量のシリカエアロゲル粒子からなる珪酸カルシウム成形体でできた筒状の成形ボードとなった断熱材であるので、高温の熱機器本体を断熱する断熱材として種々用途展開ができ、例えば、固体高分子形燃料電池の改質器や固体酸化物形燃料電池(または固体電解質形燃料電池)の本体を断熱する断熱材として利用できる。特に、熱機器の設置面積が大きくとれないような設備にも有効である。
【符号の説明】
【0037】
1 筒状の断熱材
2 無機繊維クロス
3 無機繊維クロス
4 スラリー収容筐体
5 撹拌治具
A 熱機器本体
S スラリー
T 一次成形物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材において、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてできたことを特徴とする筒状の断熱材。
【請求項2】
前記シリカエアロゲル粒子の平均粒径は1.5mmであることを特徴とする請求項1記載の筒状の断熱材。
【請求項3】
前記珪酸カルシウム成形体は粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させてできたことを特徴とする請求項1または2記載の筒状の断熱材。
【請求項4】
前記筒状の断熱材を無機繊維クロスで被覆させてできたことを特徴とする請求項1から3の何れかひとつに記載の筒状の断熱材。
【請求項5】
熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材の製造方法において、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料と粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と水とを混合させてシリカエアロゲル粒子を粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料に密に配合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物として後、前記一次成形物を蒸気養生し乾燥させて固化した珪酸カルシウム成形体とすることにより、その珪酸カルシウム成形体の前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させることを特徴とする筒状の断熱材の製造方法。
【請求項6】
前記粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させて前記シリカエアロゲル原料と水とを撹拌し混合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする請求項5記載の筒状の断熱材の製造方法。
【請求項7】
無機繊維クロスを配置させた状態で前記スラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする請求項5または6記載の筒状の断熱材の製造方法。
【請求項1】
熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材において、前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させてできたことを特徴とする筒状の断熱材。
【請求項2】
前記シリカエアロゲル粒子の平均粒径は1.5mmであることを特徴とする請求項1記載の筒状の断熱材。
【請求項3】
前記珪酸カルシウム成形体は粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させてできたことを特徴とする請求項1または2記載の筒状の断熱材。
【請求項4】
前記筒状の断熱材を無機繊維クロスで被覆させてできたことを特徴とする請求項1から3の何れかひとつに記載の筒状の断熱材。
【請求項5】
熱機器本体に挿着して前記熱機器本体を断熱する筒状で気孔率が50%以上となる多数の微細な気孔を内部に有する珪酸カルシウム成形体でできた断熱材の製造方法において、水が内部に侵入するのを阻止するように処理された疎水性シリカエアロゲル粒子の表面に親水性被膜を形成したシリカエアロゲル原料と粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料と水とを混合させてシリカエアロゲル粒子を粉末状珪酸原料および粉末状カルシウム原料に密に配合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物として後、前記一次成形物を蒸気養生し乾燥させて固化した珪酸カルシウム成形体とすることにより、その珪酸カルシウム成形体の前記気孔をシリカエアロゲル粒子で構成させることを特徴とする筒状の断熱材の製造方法。
【請求項6】
前記粉末状珪酸原料と粉末状カルシウム原料に無機繊維フィラーを添加させて前記シリカエアロゲル原料と水とを撹拌し混合させて得られたスラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする請求項5記載の筒状の断熱材の製造方法。
【請求項7】
無機繊維クロスを配置させた状態で前記スラリーを筒状に脱水成形して一次成形物とすることを特徴とする請求項5または6記載の筒状の断熱材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−177463(P2012−177463A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57185(P2011−57185)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000119287)井前工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000119287)井前工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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