説明

筒状容器

【課題】本体からの蓋体の着脱が容易な筒状容器を提供すること。
【解決手段】この筒状容器は、上方に開口した本体1と、本体1の上部に外嵌する蓋体2を有する筒状容器であって、蓋体2は、本体1装着時における本体1の上端より上方に通気制御手段3を有しており、通気制御手段3は、ボタン30と、ボタン30の後側に取り付けられる軸部材と、蓋体2の周壁2aから内方に凹むように形成されたボタン収容部と、ボタン収容部の壁に設けられ筒状容器内部に通じるとともに軸部材が貫通する通気孔と、ボタン30を前方へ付勢する付勢部材と、軸部材の後側端部に設けられた通気孔閉塞部材からなり、ボタン30を離しているときは、通気孔閉塞部材が通気孔を塞いで空気の出入りが不可能となり、ボタン30を押しているときは、通気孔を介して空気の出入りが可能となるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、お茶の葉や海苔などを収容する筒状容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
お茶の葉や海苔などを収容する筒状容器としては、特許文献1に記載のような上方に開口した本体と、本体の上部に外嵌する蓋体等からなるものがある。この種の筒状容器は、湿気の防止のため密閉性が高くされているが、筒状容器内外への空気の出入りがほとんどないため、本体から蓋体を取り外すとき、蓋体が容易に抜けず、また、本体に蓋体を装着するときには、蓋体を本体側に容易に押し込むことができず、本体からの蓋体の着脱に困難が生じていた。
【特許文献1】実用新案登録第3122527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、この発明は、本体からの蓋体の着脱が容易な筒状容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0005】
この発明の筒状容器は、上方に開口した本体と、本体の上部に外嵌する蓋体を有する筒状容器であって、蓋体は、本体装着時における本体の上端より上方に通気制御手段を有しており、通気制御手段は、ボタンと、ボタンの後側に取り付けられる軸部材と、蓋体の周壁の内方に凹むように形成されたボタン収容部と、ボタン収容部の壁に設けられ筒状容器内部に通じるとともに軸部材が貫通する通気孔と、ボタンを前方へ付勢する付勢部材と、軸部材の後側端部に設けられた通気孔閉塞部材からなり、ボタンを離しているときは、通気孔閉塞部材が通気孔を塞いで空気の出入りが不可能となり、ボタンを押しているときは、通気孔を介して空気の出入りが可能となるようにしたものとしている。
【0006】
付勢部材は、ボタン収容部内に配された軸部材を囲むコイルばねとすることができる。
【0007】
また、通気孔閉塞部材は、弾力性を有する、通気孔より大きな径を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明の筒状容器は、上述のような構成を有しており、ボタンを押しているとき、通気孔を介して空気の出入りが可能となるため、本体からの蓋体の着脱が容易なものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0010】
図1はこの発明の実施形態の筒状容器の斜視図、図2は蓋体2の底面図、図3は蓋体2の分解斜視図、図4は蓋体2の横断面図、図5は蓋体2の通気制御手段3の説明図(ボタン30を離した状態)、図6は蓋体2の通気制御手段3の説明図(ボタン30を押した状態)、図7は蓋体2を取り外す様子を示す斜視図である。
【0011】
この筒状容器は、上方に開口した本体1と、本体1の上部1aに外嵌する蓋体2を有する筒状容器であって、蓋体2は、本体1装着時における本体1の上端より上方に通気制御手段3を有しており、通気制御手段3は、ボタン30と、ボタン30の後側に取り付けられる軸部材31と、蓋体2の周壁2aから内方に凹むように形成されたボタン収容部32と、ボタン収容部32の壁に設けられ筒状容器内部に通じるとともに軸部材31が貫通する通気孔33と、ボタン30を前方へ付勢する付勢部材34と、軸部材31の後側端部に設けられた通気孔閉塞部材35からなり、ボタン30を離しているときは、通気孔閉塞部材35が通気孔33を塞いで空気の出入りが不可能となり、ボタン30を押しているときは、通気孔33を介して空気の出入りが可能となるようにしたものである。
【0012】
本体1は、従来のお茶の葉や海苔などを収容する筒状容器と同様の材質(金属、プラスチック等)、形状のものとすることができる。蓋体2も、通気制御手段3に関する箇所を除き、従来の筒状容器と同様の材質、形状のものとすることができる。
【0013】
この実施形態では、本体1は略有底円筒状であり、蓋体2が外嵌する上部1aの径をやや小さくし、蓋体2の周壁2aの下端が位置する箇所の外周に接触面1bを形成したものとしている(図7)。
【0014】
蓋体2は、本体1の上部1aにほぼ隙間なく嵌合する周壁2aを備えたものであり、周壁2aの上端部付近に横長の長方形状に凹んだ部分を形成して、これをボタン収容部32としている。
【0015】
ボタン30は、ボタン収容部32の開口よりやや小さな略直方体形状であり、その前面は蓋体2の周壁2aの曲面よりやや大きな曲率の曲面状であり、その左右両側部は後方に延びるとともに空気を出入りさせるための凹部30aが設けられた形状としている。
【0016】
軸部材31は、ボタン30の後側(裏側)にボタン30と一体に形成された細長い丸筒状のものとしている。軸部材31の断面径は通気孔33より小さく、通気孔33を貫通した軸部材31と通気孔33周囲の壁との間に空気の通る隙間ができるようにしている。
【0017】
ボタン収容部32は、後面側、上下各面側及び左右各面側を蓋体2の周壁2aと一体に形成された壁で区画された部分となっており、前面側が開口し、後面側の壁に通気孔33が設けられている。
【0018】
付勢部材34は、軸部材31を囲むコイルばねとしている。この付勢部材34は、前端部がボタン30の後側又は軸部材31の前端部に接着等により固定され、ボタン収容部32内に配される。付勢部材34の内径は、軸部材31及び通気孔33よりも大きいものとしている。付勢部材34は、その後端部がボタン収容部32の後側の通気孔33の周囲の壁に接して、ボタン30を前方(筒状容器の外方、使用者の手前側)に押し出すように付勢する。
【0019】
通気孔閉塞部材35は、軟質プラスチック等の弾力性のある素材よりなる、通気孔33より大きな径を有する裏面が平面である凸レンズ状であり、裏面の中央に軸部材31の後側(ボタン30の反対側)の端部に固定される短い丸棒状の接続部35aが一体に形成されている。
【0020】
通気制御手段3は、前述の部材30〜35からなるものであり、図3に示したように、ボタン30と一体の軸部材31に付勢部材34が取り付けられ、通気孔33を貫通した軸部材31の端部に、蓋体2の内部に位置する通気孔閉塞部材35の接続部35aが差し込まれ、固定されることにより完成する。
【0021】
この筒状容器は、ボタン30を離しているときには、図4、図5に示したように、付勢部材34によりボタン30が前方に押し出され、通気孔閉塞部材35が通気孔33の周囲の壁面に密着し、通気孔33を塞ぐ。そのため、筒状容器は空気の出入りが不可能になり、湿気が防止される。
【0022】
一方、ボタン30を押しているときには、図6に示したように、軸部材31が通気孔33の後方へ移動し、通気孔閉塞部材35が通気孔33の周囲の壁面から離れる。そのため、通気孔33及びボタン30の凹部30aを介して空気の出入りが可能となり、比較的小さい力で、図7に示したように蓋体2を着脱することができる。
【0023】
なお、この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、素材、形状、寸法等を適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施形態の筒状容器の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態の筒状容器の蓋体の底面図である。
【図3】この発明の実施形態の筒状容器の蓋体の分解斜視図である。
【図4】この発明の実施形態の筒状容器の蓋体の横断面図である。
【図5】この発明の実施形態の筒状容器の蓋体の通気制御手段の説明図(ボタンを離した状態)である。
【図6】この発明の実施形態の筒状容器の蓋体の通気制御手段の説明図(ボタンを押した状態)である。
【図7】この発明の実施形態の筒状容器の蓋体を取り外す様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 本体
2 蓋体
3 通気制御手段
30 ボタン
31 軸部材
32 ボタン収容部
33 通気孔
34 付勢部材
35 通気孔閉塞部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口した本体と、本体の上部に外嵌する蓋体を有する筒状容器であって、蓋体は、本体装着時における本体の上端より上方に通気制御手段を有しており、通気制御手段は、ボタンと、ボタンの後側に取り付けられる軸部材と、蓋体の周壁の内方に凹むように形成されたボタン収容部と、ボタン収容部の壁に設けられ筒状容器内部に通じるとともに軸部材が貫通する通気孔と、ボタンを前方へ付勢する付勢部材と、軸部材の後側端部に設けられた通気孔閉塞部材からなり、ボタンを離しているときは、通気孔閉塞部材が通気孔を塞いで空気の出入りが不可能となり、ボタンを押しているときは、通気孔を介して空気の出入りが可能となるようにしたことを特徴とする筒状容器。
【請求項2】
付勢部材が、ボタン収容部内に配された軸部材を囲むコイルばねである請求項1記載の筒状容器。
【請求項3】
通気孔閉塞部材が、弾力性を有する、通気孔より大きな径を有するものである請求項1又は2記載の筒状容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−1062(P2010−1062A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163021(P2008−163021)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(507317775)千鳥屋宗家株式会社 (1)
【Fターム(参考)】