説明

管のための結合装置

結合装置は円筒形の管(10)又は管区分を接続体(20)に接続するために働く。接続体(20)は、端面(24)から延びる第1の円錐形の孔(23)と、該円錐形の孔(23)に接続していて管(10)を受容するために働く第1の円筒形の孔(21)と、該第1の円筒形の孔(21)に接続していて直径を減じられた第2の円筒形の孔(22)とを有している。ユニオンナット(30)が、管(10)又は管区分のための孔(31)を有している。このユニオンナット(30)は、該ユニオンナット(30)を接続体(20)の対応ねじ山(28)に螺合可能なねじ山(38)と、接続体(20)の円錐形の孔(23)とは逆向きに先細になる円錐形の孔(33)とを有している。さらに、ユニオンナット(30)の円錐形の孔(33)内に位置する第1の円錐部(42)を有する切断リング(40)が設けられていて、該切断リング(40)は、管(10)又は管区分を貫通案内する孔(46)と、管(10)又は管区分に向かって半径方向に突出する少なくとも1つの環状の切刃(41,42)とを有している。さらにまた、管(10)又は管区分のための孔(51)を有する中間リング(50)が設けられていて、該中間リング(50)は切断リング(40)と接続体(20)との間に配置されており、中間リング(50)は円錐形の孔(53)を有していて、該円錐形の孔(53)に切断リング(40)の第2の円錐部(44)が押圧される。切断リング(40)が、管(10)の軸線に対して平行に延びるスリット(47)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形の管又は管区分を接続体に接続するための結合装置であって、接続体が、端面から延びる第1の円錐形の孔と、該円錐形の孔に接続していて管を受容するために働く第1の円筒形の孔と、該第1の円筒形の孔に接続していて直径を減じられた第2の円筒形の孔とを有しており、管又は管区分のための孔を有するユニオンナットが設けられていて、該ユニオンナットが、該ユニオンナットを接続体の対応ねじ山に螺合可能なねじ山と、接続体の円錐形の孔とは逆向きに先細になる円錐形の孔とを有しており、ユニオンナットの円錐形の孔内に位置する第1の円錐部を有する切断リングが設けられていて、該切断リングが、管又は管区分を貫通案内する孔と、管又は管区分に向かって半径方向に突出する少なくとも1つの環状の切刃とを有しており、管又は管区分のための孔を有する中間リングが設けられていて、該中間リングが切断リングと接続体との間に配置されており、中間リングが円錐形の孔を有していて、該円錐形の孔に切断リングの第2の円錐部が押圧される形式のものに関する。
【0002】
このような形式の結合装置によって管の螺合による結合が可能になる。この場合特に金属製の管路が、この管路のための受容開口を有する接続管片に接続されるようになっている。接続管片と螺合可能なユニオンナットは、接続時に回転することができ、これによって、ユニオンナットと接続管片との間に位置する切断リングに対して軸方向運動を加える。種々異なった円錐形の孔とその中に位置する対応部材との配置によって、軸方向運動が切刃を備えた切断リングに伝達され、ユニオンナットの引き締め時に部分的に半径方向内側に向かっての変形が生じる。そして切刃は形状結合式に切欠き効果を伴って管路の材料内に切り込む。
【0003】
このような構成は、例えばDE19637129C2又はEP0863354B1に基づいて公知である。このような構成は実地においても様々に使用される。
【0004】
このような公知の構成には次のような欠点がある。すなわち公知の構成では、すべてが接続される管を取り囲む、相対的に可動の小さなエレメントが多数存在することによって、種々異なった変向運動を保証するためには、かなり大きな力が加えられねばならない。
【0005】
ゆえに本発明の課題は、使用者に対する信頼性及び機能性を損なうことなしに、僅かな力で螺合により結合させることができる結合装置を提供することである。
【0006】
この課題を解決するために本発明の構成では、冒頭に述べた形式の結合装置において、切断リングが、管の軸線に対して平行に延びるスリットを有しているようにした。
【0007】
このように構成された結合装置において、切断リングはスリットによってその機能を些かも損失しない。切断リングは、管の外面に切欠き効果を伴って切り込むことができる環状の切刃を変わらずに有している。つまりスリットは何も不都合な変化を生ぜしめない。切断リングはそれにもかかわらず、著しく簡単に半径方向に変形することができる。切断リングは相応な力及び運動に対してほとんど抵抗を受けない。すなわち使用者は、結合装置の組立て時に、つまり接続体のねじ山へのユニオンナットの螺合時に、著しく減じられた力を使うだけでよい。
【0008】
スリットを備えた切断リングのこのような作用を特に良好に変換するために、種々異なった角度のための特別な値が、特に有効であるということが判明した。
【0009】
例えば、切断リングの第2の円錐部の円錐角と中間リングの円錐形の孔の円錐角とがそれぞれ、20°よりも大きな角度、特に約30°(±5°)であると、有利である。
【0010】
これによってまた、極めて正確な半径方向の切り込みが可能になる。ユニオンナットの螺合時に軸方向力を、管の外面への切断リングの切刃の切り込みのための半径方向力に変換することは、著しく正確に行われる。
【0011】
従来、切断リングの第2の円錐部の円錐角は通常約12°に設定されていた。しかしながら有利に特徴によって、新しい切断リングの場合に円錐角は約30°である。すなわち、本発明による結合装置の組立て中における軸方向移動距離が同じ場合に、切断リングは著しく深く切り込み、ひいては著しく確実な結合を生ぜしめる。考察によれば、結合部はいまや、従来技術による結合部に比べて約2.8倍も改善される。
【0012】
数値例を用いた詳しい考察では、例えば汎用の12°の円錐角における1mmの軸方向移動距離は、0.21mmの半径方向移動距離に相当するのに対して、円錐角が30°の本発明の構成では1mmの軸方向移動距離は、0.57mmの半径方向移動距離を生ぜしめる。
【0013】
すなわち本発明のように構成されていると、切断リングは急勾配の角度によって、切断リングにおいて扁平な円錐角を備えた汎用の構造におけるよりも、著しく多く半径方向に変形される。従って切断リングは本発明によって管材料内に良好に食い込む。
【0014】
いまや切断リングの著しく正確かつ確実な半径方向の切り込みが行われることによって、切断リングの製作誤差もまたより良好に補償される。例えば切断リングの直径誤差は、許容範囲が著しく大きくなり、その結果作用全体がさらにより確実になる。
【0015】
切断リングが半径方向においても著しく良好に切り込むことによって、直径誤差のみならず、切刃の丸みも、著しく許容範囲が大きくなり、かつより安全になる。
【0016】
本発明の別の有利な構成では、中間リングが当接制限面を有しており、切断リングが、中間リングに隣接した側に、当接制限面に対応する支持面を有しており、中間リングの当接制限面と円錐形の孔とが互いの間に角度を成している。
【0017】
この構成もさらなる利点を有している。すなわち中間リングのこのような特殊な構成によって、切り込みと保持の機能を、同様に有利に望まれているシール機能から切り離すことが可能になる。
【0018】
そのために本発明の別の有利な構成では、中間リングが軟質シールエレメントを有しており、該軟質シールエレメントが、管の壁と中間リングと接続体の円錐形の孔との間において管を取り囲むように環状に配置されている。
【0019】
この場合、軟質シールエレメントが、管の外側に接触している中間リングによって、切断リングから隔てられていると、特に有利である。
【0020】
さらに本発明の特に有利な構成では、切断リング及び中間リングの寸法は、切断リングが組付け終了後に支持面で中間リングの当接制限面に接触し、かつ切刃を有する面で管の外側面に接触するように、寸法設定されている。
【0021】
このように構成されていると、切断リングが中間リングに接触した時に、組立て終了の明らかな信号化が可能になる。そして切断リングの過剰組付けを阻止することができる。
【0022】
全体としてユニオンナットと切断リングの軸方向移動距離は、本発明によって最適に半径方向移動距離に変換される。また切断リングの切り込みは著しく改善される。このことは、最適化された角度によって助成される。
【0023】
さらに別の有利な構成では、切刃丸み部(Schneidenverrundung)が設けられている。切刃丸み部によって、管の引き裂けるおそれが減じられ、つまり大きな力が加わることによる結合装置の意図しない解除のおそれが減じられる。このように大きな力が加えられた場合にすべての力は切刃によって受け止められねばならないということを、考慮しなくてはならない。
【0024】
次に図面を参照しながら本発明の1実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による結合装置の1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のBで示された領域を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明による切断リングを示す平面図である。
【図4】図3に示された切断リングを示す斜視図である。
【0026】
管10と接続体20との螺合による結合装置が、図1に示されている。管10は円筒形であり、図1には管10の下端部が例示されており、この下端部は図示よりもさらに長くてもよく、管路装置の一部であってもよい。
【0027】
この管10は、接続体20内に差し込まれる。接続体20はそのために第1の円筒形の孔21を有しており、この孔21は、この孔21内に管10が差し込まれ得るように正確に寸法設定されている。第2の孔22は、第1の孔に比べて小さな直径を備えて形成されている。この第2の孔22は第1の孔を、接続体20の内部に向かって延長している。管10の内部に存在する媒体は、第2の孔22内に達することができ、さらにその中を搬送されることができる。
【0028】
管10はこの場合、第1の孔21と第2の孔22とが互いに面しているもしくは切り離されている端面25において、支持されている。
【0029】
接続体20の外側面として別の端面24が設けられており、この場合第1の外側の円筒形の孔21は円錐形の孔23に移行しており、この孔23は端面24に向かって開放している。
【0030】
接続体20は外側にさらにねじ山28を有しており、このねじ山28は、対応ねじ山38との螺合のために設けられていて、この対応ねじ山38については以下において詳しく述べる。
【0031】
接続体20のねじ山28には、対応ねじ山38を備えたユニオンナット30を螺合により装着することができる。ユニオンナット30は孔31を有しており、この孔31を通して管10は案内されることができる。孔31とねじ山38との間にはさらに区分が設けられていて、この区分においてユニオンナット30を貫く孔31は、円錐形の孔33として接続体20に向かって拡大している。
【0032】
接続体20とユニオンナット30との間には、切断リング40が設けられている。この切断リング40は図示の実施形態では2つの環状の切刃41,42を有しており、両切刃41,42はそれぞれ管10の外面に向かって方向付けられている。切断リング40は管10を取り囲んでいて、この管10は切断リング40の孔46を貫いて延びている。
【0033】
切断リング40はさらに第1の円錐部43を有しており、この第1の円錐部43はユニオンナット30に向けられていて、組立て中、ユニオンナット30の円錐形の孔33内に位置している。
【0034】
切断リング40はさらに第2の円錐部44を有しており、この第2の円錐部44は、第1の円錐部43とは逆向きに先細になっている。
【0035】
切断リング40と接続体20との間には中間リング50が配置されている。この中間リング50もまた、管10のための孔51を有していて、この管10を取り囲んでいる。中間リング50はアダプタエレメント又は保持リングとも呼ぶことができる。
【0036】
この中間リング50は環状の支持面52を有しており、この支持面52で中間リング50は接続体20の端面24に接触している。
【0037】
さらに中間リング50は、支持面52とは反対の側に円錐形の孔53を有している。この円錐形の孔53内には、切断リング40の第2の円錐部44が位置している。
【0038】
この円錐形の孔53は、中間リング50の孔51に隣接した、中間リング50の当接制限面54に隣接し、この当接制限面54に移行している。
【0039】
当接制限面54に向かい合って切断リング40の支持面45が位置しており、この支持面45は最初、この当接制限面54からなお間隔を有している。
【0040】
中間リング50はさらに軟質シールエレメント60を有している。この軟質シールエレメント60は、管10の外壁と接続体20の円錐形の孔23と中間リング50の相応な支持装置との間に位置している。中間リング50は同様に管10の外壁に隣接しているので、同様に管10を取り囲む環状の軟質シールエレメント60は、中間リング50によって切断リング40から持続的に機械的に隔てられている。
【0041】
図1のBで示された領域を拡大して示す図2には、円錐形の孔がどのような角度を有していて、かつ個々のエレメントの大凡の寸法関係がどのようであるかが、示されている。
【0042】
図2からはさらに、管10の壁、接続体20、軟質シールエレメント60を備えた中間リング50、切断リング40及びユニオンナット30の互いに連続した領域が、良く分かる。
【0043】
切断リング40は特に図3において平面図で分かり易く示されている。この図3から分かるように、切断リング40は、孔46を取り囲んでいる連続して閉鎖されたリングではなく、スリット47を有している。これによって切断リング40は、管10を取り囲んでいる場合でも、半径方向において極めて容易に変形可能である。
【0044】
さらに図4の斜視図からは、スリット47がそのように形成されているのか、かつスリット47が円錐形の領域に対してどのような状態にあるのかが、分かる。
【0045】
接続体20との管10の組付け時に、ユニオンナット30はその中に位置する切断リング40及び中間リング50と一緒に、下から管に被せ嵌められ、次いで管は接続体20に挿入され、その後でユニオンナット30が螺合される。
【0046】
円錐形の孔23,33,53は円錐形のエレメント43,44に対して正確に合うので、ユニオンナット30の中に位置する切断リング40及び中間リング50は、自動的にその位置を占める。
【0047】
ユニオンナット30の螺合によって、最初になお残っていた、切断リング40における支持面45と中間リング50における当接制限面54との間の小さな間隙もまた閉鎖され、しかもこれによって同時に切断リング40の過剰組付け(Uebermontage)が阻止される。
【符号の説明】
【0048】
10 管(円筒形)、 20 接続体、 21 孔(管10のための第1の円筒形の孔)、 22 孔(小さな直径を備えた第2の孔)、 23 円錐形の孔、 24 中間リングに対する端面、 25 管10に対する端面、 28 ユニオンナット30との螺合のためのねじ山、 30 ユニオンナット、 31 管10のための孔、 33 円錐形の孔、 38 接続体20との螺合のためのねじ山、 40 切断リング、 41 第1の切刃(環状)、 42 第2の切刃(環状)、 43 ユニオンナット30に対する第1の円錐部、 44 中間リング50に対する第2の円錐部、 45 中間リング50に対する支持面、 46 管10のための孔、 47 スリット、 50 中間リング、 51 管10のための孔、 52 接続体20に対する支持面、 53 切断リング40のための円錐部、 54 切断リング40のための当接制限面、 60 軟質シールエレメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の管(10)又は管区分を接続体(20)に接続するための結合装置であって、
接続体(20)が、端面(24)から延びる第1の円錐形の孔(23)と、該円錐形の孔(23)に接続していて管(10)を受容するために働く第1の円筒形の孔(21)と、該第1の円筒形の孔(21)に接続していて直径を減じられた第2の円筒形の孔(22)とを有しており、
管(10)又は管区分のための孔(31)を有するユニオンナット(30)が設けられていて、該ユニオンナット(30)が、該ユニオンナット(30)を接続体(20)の対応ねじ山(28)に螺合可能なねじ山(38)と、接続体(20)の円錐形の孔(23)とは逆向きに先細になる円錐形の孔(33)とを有しており、
ユニオンナット(30)の円錐形の孔(33)内に位置する第1の円錐部(42)を有する切断リング(40)が設けられていて、該切断リング(40)が、管(10)又は管区分を貫通案内する孔(46)と、管(10)又は管区分に向かって半径方向に突出する少なくとも1つの環状の切刃(41,42)とを有しており、
管(10)又は管区分のための孔(51)を有する中間リング(50)が設けられていて、該中間リング(50)が切断リング(40)と接続体(20)との間に配置されており、中間リング(50)が円錐形の孔(53)を有していて、該円錐形の孔(53)に切断リング(40)の第2の円錐部(44)が押圧される形式のものにおいて、
切断リング(40)が、管(10)の軸線に対して平行に延びるスリット(47)を有していることを特徴とする、管のための結合装置。
【請求項2】
切断リング(40)の第2の円錐部(44)の円錐角と中間リング(50)の円錐形の孔(53)の円錐角とがそれぞれ、20°よりも大きな角度、特に約30°(±5°)である、請求項1記載の結合装置。
【請求項3】
中間リング(50)が当接制限面(54)を有しており、切断リング(40)が、中間リング(50)に隣接した側に、当接制限面に対応する支持面(45)を有しており、中間リング(50)の当接制限面(54)と円錐形の孔(53)とが互いの間に角度を成している、請求項1又は2記載の結合装置。
【請求項4】
中間リング(50)の当接制限面(54)と円錐形の孔(53)との間の角度が、110°(±5°)の角度を成している、請求項3記載の結合装置。
【請求項5】
中間リング(50)が軟質シールエレメント(60)を有しており、該軟質シールエレメント(60)が、管(10)の壁と中間リング(50)と接続体(20)の円錐形の孔(23)との間において管(10)を取り囲むように環状に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の結合装置。
【請求項6】
軟質シールエレメント(60)が、管(10)の外側に接触している中間リング(50)によって、切断リング(40)から隔てられている、請求項5記載の結合装置。
【請求項7】
切断リング(50)及び中間リング(50)の寸法は、切断リング(50)が組付け終了後に支持面(45)で中間リング(50)の当接制限面(54)に接触し、かつ切刃(41,42)を有する面で管(10)の外側面に接触するように、寸法設定されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の結合装置。
【請求項8】
切断リング(50)が切刃丸み部を備えて形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の結合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−530506(P2010−530506A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512527(P2010−512527)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056016
【国際公開番号】WO2008/154950
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(509348982)ヴァイトマン リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】WEIDMANN LTD.
【住所又は居所原語表記】Biberweg 28a, D−53842 Troisdorf, Germany
【Fターム(参考)】