管体の接続用維持具
【課題】管体の接続時に、作業員の時間のロスをなくすと共に、接続費用を削減する。
【解決手段】合成樹脂製の第1管体1に合成樹脂製の第2管体2が外嵌され、接着剤で固定されて、両管体1,2が接続される際に、両管体1,2に外嵌されて、それらの接続状態を維持する。軸心方向各端部に、それぞれ、「内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心方向中央部側に移行する傾斜状とされ、各管体1,2への外嵌時に、径方向外方に弾性変形して、各管体1,2を囲繞状に保持する突起」12,13が周方向に3個以上配設されている。
【解決手段】合成樹脂製の第1管体1に合成樹脂製の第2管体2が外嵌され、接着剤で固定されて、両管体1,2が接続される際に、両管体1,2に外嵌されて、それらの接続状態を維持する。軸心方向各端部に、それぞれ、「内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心方向中央部側に移行する傾斜状とされ、各管体1,2への外嵌時に、径方向外方に弾性変形して、各管体1,2を囲繞状に保持する突起」12,13が周方向に3個以上配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体の接続用維持具に関する。
【背景技術】
【0002】
給水給湯配管や排水配管では、一対の合成樹脂管を接続する際に、合成樹脂製の管継手が使用されている。このような管継手としては、図12に示すように、管継手22の内部の軸心方向両端部に、合成樹脂管21が接続される一対のテーパー孔23が形成されたものがある。このテーパー孔23は、合成樹脂管21の製作誤差等に対応するため、軸心方向中央部に向かってテーパー状とされ、その奥側、即ち、小径側端部の内径が、合成樹脂管21の外径よりも若干小径とされている。この管継手22により、一対の合成樹脂管21を接続する際には、合成樹脂管21の端部の外周面及びテーパー孔23の内周面に接着剤を塗布した後、各合成樹脂管21の端部をテーパー孔23内に強制的に押し込んで、接着している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−18471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の場合には、テーパー孔23に合成樹脂管21を挿入しているため、合成樹脂管21とテーパー孔23内周面の実際の接着面積は非常に小さい。そのため、上記接続時には、接着剤が固化し、所定の接続強度を発揮するまでの数十秒間、合成樹脂管21と管継手22の接続状態を維持する必要がある。これをしないと、接着剤による固定が不十分となり、テーパー孔23に強制的に押し込まれた合成樹脂管21がテーパー孔23から外部に押し出されたり、或いは、合成樹脂管21がテーパー孔23内で斜めに固定されたりする惧れがある。
【0005】
そこで、従来においては、手や特殊な工具により、合成樹脂管21と管継手22の接続状態を、数十秒間、維持していた。然しながら、手で維持することは、作業員にとって、面倒で、時間のロスともなっていた。又、特殊な工具を使用すれば、手で維持する場合の問題は解決できるが、工具が高いため、接続費用が高くなるという新たな問題を生じさせていた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決できる管体の接続用維持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の管体の接続用維持具の特徴とするところは、合成樹脂製の第1管体に合成樹脂製の第2管体が外嵌され、接着剤で固定されて、両管体が接続される際に、両管体に外嵌されて、それらの接続状態を維持する管体の接続用維持具であって、軸心方向各端部の内周面に、それぞれ、・
内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心方向中央部側に移行する傾斜状とされ、各管体への外嵌時に、径方向外方に弾性変形して、各管体を囲繞状に保持する突起が周方向に3個以上配設された点にある。
尚、内周面が、半円以上の大きさの円弧状とされることもある。
又、筒状とされることもある。
更に、A.第1管体に外嵌される小径部と、B.第2管体に外嵌される大径部と、C.小径部と大径部を連結する連結部を有することもある。
又、突起が周方向等間隔に配設されることもある。
更に、第2管体における、第1管体に外嵌される端部の内部が、反対側端部に向かってテーパー状であるテーパー孔とされることもある。
又、第2管体が管継手とされることもある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管体の接続時に、その接続状態を維持するために、維持具を使用するようにしたので、手で、接続状態を維持する必要がなく、面倒でないと共に、作業員の時間のロスもない。又、高価で特殊な工具を使用する必要もないので、管体の接続費用も削減できる。更に、維持具の突起により、維持具が管体の接続部位から軸心方向にずれることを防止できる。又、管体の接続後も、維持具は両管体の接続部位に外嵌された状態で残されるので、管体の接続強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す縦側断面図である。
【図2】図1の要部の側面図である。
【図3】図1のA−A線矢視断面図である。
【図4】図1のB−B線矢視断面図である。
【図5】図1の接続方法を説明するための縦側断面図である。
【図6】図1の接続方法を説明するための縦側断面図である。
【図7】図5のC−C線矢視断面図である。
【図8】図5のD−D線矢視断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第2例を示す横断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第3例を示す縦側断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の第4例を示す横断面図である。
【図12】従来一例を示す縦側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の第1例を図1〜図8の図面に基づき説明すると、図1は、一対の合成樹脂管1を管継手2及び接続用維持具3で接続した状態を示している。尚、図1では、便宜上、右側の合成樹脂管1と管継手2の接続にのみ、維持具3を使用しているが、維持具3を、左側の合成樹脂管1と管継手2の接続に使用することもある。
【0011】
合成樹脂管1は、小径の第1管体として例示されるもので、軟質又は硬質の合成樹脂により形成されており、両合成樹脂管1は、長さは別として、同一形状とされている。合成樹脂管1の内・外周面は滑らかな湾曲面とされ、内径及び外径が、軸心方向全長にわたって、(略)一定とされている。上記合成樹脂としては硬質塩化ビニール樹脂が使用される。管継手2も同様の合成樹脂により形成されている。
【0012】
管継手(ソケット)2は、両合成樹脂管1を接続するもので、大径の第2管体として例示されている。管継手2は円筒状とされ、その内部における、軸心方向両端部側は、合成樹脂管1が挿入される一対のテーパー孔5とされると共に、その内周面の軸心方向中央部は、全周にわたって径方向内方に突出する突条部6とされている。テーパー孔5は、軸心方向中央部に向かって、テーパー状とされて、その奥側、即ち、小径側端部の内径は、合成樹脂管1の外径よりも小とされている。
【0013】
図2〜図8に示すように、接続用維持具(固定具、保持具、クランプ)3は、合成樹脂管1と管継手2に外嵌されて、それらの接続状態を維持するもので、円筒状とされている。維持具3は、合成樹脂管1に外嵌される小径部8と、管継手2の端部に外嵌される大径部9と、小径部8と大径部9とを連結する連結部10を有し、一体形成されている。維持具3は、スチール等の金属製とされている。尚、維持具3の肉厚は、図面で示すよりも薄いが、分かり易くするために、図面では、実際よりも厚く描いている。
【0014】
小径部8と大径部9には、これらに一体形成され且つ径方向外方に弾性変形可能とされた小径部側・大径部側突起12,13が周方向等間隔に3個以上(図例では、10個)配設されている。突起12,13は、小径部8又は大径部9の内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心方向中央部に移行する傾斜状とされており、例えば、略4角錐形状とされて、先鋭状とされている。図7に示すように、各小径部側突起12の先端が円周上にある仮想円14を想定した場合には、仮想円14の直径は合成樹脂管1の外径よりも小とされる。又、図8に示すように、各大径部側突起13の先端が円周上にある仮想円15を想定した場合には、仮想円15の直径は管継手2の外径よりも小とされる。これにより、維持具3の合成樹脂管1及び管継手2への外嵌時には、合成樹脂管1及び管継手2に対し、小径部側・大径部側突起12,13が径方向外方への弾性変形を介して当接し、合成樹脂管1及び管継手2を囲繞状に保持することで、合成樹脂管1、管継手2及び維持具3の軸心を一致させる。又、小径部8及び大径部9における、小径部側・大径部側突起12,13が形成された箇所には、突起12,13と対応する窓部16,17が形成され、突起12,13の径方向外方への弾性変形が許容されている。
【0015】
連結部10は、軸心方向一方である小径部8に向かって、テーパー状とされて、管継手2の端部と合成樹脂管1に跨がって外嵌されている。尚、連結部10は、管継手2の端縁と当接する場合と、当接しない場合があり、管継手2と当接させた場合には、連結部10は、管継手2のストッパとしての機能を果たし、管継手2が連結部10内に必要以上に挿入されることを防止する。
【0016】
上記構成例によれば、管継手2により、一対の合成樹脂管1を接続する際には、まず、図5及び図6に示すように、管継手2の一端部に維持具3の大径部9を相対的に外嵌する。この際、大径部側突起13は径方向外方に弾性変形して、管継手2の外周面を軸心方向に摺動する。
【0017】
この場合、維持具3を管継手2の軸心方向中央部側に相対的に移動させた際には、大径部側突起13は上記のように摺動するだけで、何ら抵抗とならず、維持具3を容易に移動させることができる。然しながら、逆に、維持具3を管継手2の端部側に相対的に移動させようとすると、大径部側突起13が管継手2の外周面に食い込むように作用する。これにより、大きな抵抗が生じ、維持具3を管継手2の端部側に相対的に移動させようとすることが極めて困難、乃至は、移動させることが不可能となる。
【0018】
上記のようにして、管継手2に維持具3を所定の位置まで外嵌した後、管継手2のテーパー孔5の内周面及び合成樹脂管1の端部の外周面に接着剤を塗布する。その後、図6及び図1に示すように、合成樹脂管1の端部に維持具3の小径部8を相対的に外嵌しながら、合成樹脂管1の端部を管継手2のテーパー孔5内に強制的に押し込んで、接着する。尚、管継手2に維持具3を外嵌する前に、管継手2のテーパー孔5の内周面及び合成樹脂管1の端部の外周面に接着剤を塗布することもある。
【0019】
ところで、合成樹脂管1の端部に維持具3の小径部8を外嵌した際も、小径部側突起12は径方向外方に弾性変形して、合成樹脂管1の外周面を軸心方向に摺動する。この場合も、維持具3を合成樹脂管1の軸心方向中央部側に相対的に移動させる際には、小径部側突起12は、上記のように摺動するだけで、何ら抵抗とならず、維持具3を容易に移動させることができる。然しながら、逆に、維持具3を合成樹脂管1の端縁側に相対的に移動させようとすると、小径部側突起12が管継手2の外周面に食い込むように作用する。これにより、大きな抵抗が生じて、維持具3を管継手2の端縁側に相対的に移動させようとすることが極めて困難、乃至は、移動させることが不可能となる。
【0020】
上記のように、維持具3を合成樹脂管1及び管継手2に外嵌することにより、これら3者の軸心が一致し、合成樹脂管1及び管継手2は、正しい接続姿勢で、接続状態を維持される。又、小径部側・大径部側突起12,13により、維持具3が、合成樹脂管1と管継手2の接続部位から軸心方向にずれる惧れもない。
【0021】
ところで、上記接続状態で、数十秒間経過すると、接着剤が固化し、所定の接続強度を発揮するので、合成樹脂管1と管継手2は、正しい接続姿勢で、強固に接続され、テーパー孔5に強制的に押し込まれた合成樹脂管1がテーパー孔5から外部に押し出されたり、或いは、合成樹脂管1がテーパー孔5内で斜めに固定されたりする惧れはない。尚、上記接続後も、維持具3は合成樹脂管1及び管継手2に外嵌された状態で残されるのて、合成樹脂管1と管継手2の接続強度を向上させることができる。
【0022】
上記のように、管継手2と合成樹脂管1の接続時において、その接続状態を維持するために、維持具3を使用するようにしたので、手で、接続状態を維持する必要がなく、面倒でないと共に、作業員の時間のロスもない。又、高価で特殊な工具を使用する必要もないので、管継手2と合成樹脂管1の接続費用も削減できる。
【0023】
図9は本発明の実施の形態の第2例を示し、維持具3は円筒の一部を切り欠いた形状とされて、その横断面が、半円以上の大きさの円弧状とされている。
【0024】
図10は本発明の実施の形態の第3例を示し、連結部10がテーパー状とされておらず、小径部8から径方向外方に真っ直ぐ突設されている。
【0025】
図11は本発明の実施の形態の第4例を示し、小径部側突起12が周方向に長く形成されている。尚、図示していないが、大径部側突起も同様に構成されている。
【0026】
尚、上記実施の形態では、第1管体を合成樹脂管とし、第2管体を管継手としたが、両管体とも、上記実施の形態のような合成樹脂管としてもよい。又、上記実施の形態では、突起を周方向等間隔に配設したが、管体を保持できるのであれば、突起を周方向等間隔に配設せずともよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、合成樹脂管と管継手の接続等に使用できる管体の接続用維持具に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 合成樹脂管(第1管体)
2 管継手(第2管体)
3 接続用維持具
5 テーパー孔
8 小径部
9 大径部
10 連結部
12,13 小径部側・大径部側突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、管体の接続用維持具に関する。
【背景技術】
【0002】
給水給湯配管や排水配管では、一対の合成樹脂管を接続する際に、合成樹脂製の管継手が使用されている。このような管継手としては、図12に示すように、管継手22の内部の軸心方向両端部に、合成樹脂管21が接続される一対のテーパー孔23が形成されたものがある。このテーパー孔23は、合成樹脂管21の製作誤差等に対応するため、軸心方向中央部に向かってテーパー状とされ、その奥側、即ち、小径側端部の内径が、合成樹脂管21の外径よりも若干小径とされている。この管継手22により、一対の合成樹脂管21を接続する際には、合成樹脂管21の端部の外周面及びテーパー孔23の内周面に接着剤を塗布した後、各合成樹脂管21の端部をテーパー孔23内に強制的に押し込んで、接着している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−18471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の場合には、テーパー孔23に合成樹脂管21を挿入しているため、合成樹脂管21とテーパー孔23内周面の実際の接着面積は非常に小さい。そのため、上記接続時には、接着剤が固化し、所定の接続強度を発揮するまでの数十秒間、合成樹脂管21と管継手22の接続状態を維持する必要がある。これをしないと、接着剤による固定が不十分となり、テーパー孔23に強制的に押し込まれた合成樹脂管21がテーパー孔23から外部に押し出されたり、或いは、合成樹脂管21がテーパー孔23内で斜めに固定されたりする惧れがある。
【0005】
そこで、従来においては、手や特殊な工具により、合成樹脂管21と管継手22の接続状態を、数十秒間、維持していた。然しながら、手で維持することは、作業員にとって、面倒で、時間のロスともなっていた。又、特殊な工具を使用すれば、手で維持する場合の問題は解決できるが、工具が高いため、接続費用が高くなるという新たな問題を生じさせていた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決できる管体の接続用維持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の管体の接続用維持具の特徴とするところは、合成樹脂製の第1管体に合成樹脂製の第2管体が外嵌され、接着剤で固定されて、両管体が接続される際に、両管体に外嵌されて、それらの接続状態を維持する管体の接続用維持具であって、軸心方向各端部の内周面に、それぞれ、・
内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心方向中央部側に移行する傾斜状とされ、各管体への外嵌時に、径方向外方に弾性変形して、各管体を囲繞状に保持する突起が周方向に3個以上配設された点にある。
尚、内周面が、半円以上の大きさの円弧状とされることもある。
又、筒状とされることもある。
更に、A.第1管体に外嵌される小径部と、B.第2管体に外嵌される大径部と、C.小径部と大径部を連結する連結部を有することもある。
又、突起が周方向等間隔に配設されることもある。
更に、第2管体における、第1管体に外嵌される端部の内部が、反対側端部に向かってテーパー状であるテーパー孔とされることもある。
又、第2管体が管継手とされることもある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管体の接続時に、その接続状態を維持するために、維持具を使用するようにしたので、手で、接続状態を維持する必要がなく、面倒でないと共に、作業員の時間のロスもない。又、高価で特殊な工具を使用する必要もないので、管体の接続費用も削減できる。更に、維持具の突起により、維持具が管体の接続部位から軸心方向にずれることを防止できる。又、管体の接続後も、維持具は両管体の接続部位に外嵌された状態で残されるので、管体の接続強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す縦側断面図である。
【図2】図1の要部の側面図である。
【図3】図1のA−A線矢視断面図である。
【図4】図1のB−B線矢視断面図である。
【図5】図1の接続方法を説明するための縦側断面図である。
【図6】図1の接続方法を説明するための縦側断面図である。
【図7】図5のC−C線矢視断面図である。
【図8】図5のD−D線矢視断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の第2例を示す横断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第3例を示す縦側断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の第4例を示す横断面図である。
【図12】従来一例を示す縦側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態の第1例を図1〜図8の図面に基づき説明すると、図1は、一対の合成樹脂管1を管継手2及び接続用維持具3で接続した状態を示している。尚、図1では、便宜上、右側の合成樹脂管1と管継手2の接続にのみ、維持具3を使用しているが、維持具3を、左側の合成樹脂管1と管継手2の接続に使用することもある。
【0011】
合成樹脂管1は、小径の第1管体として例示されるもので、軟質又は硬質の合成樹脂により形成されており、両合成樹脂管1は、長さは別として、同一形状とされている。合成樹脂管1の内・外周面は滑らかな湾曲面とされ、内径及び外径が、軸心方向全長にわたって、(略)一定とされている。上記合成樹脂としては硬質塩化ビニール樹脂が使用される。管継手2も同様の合成樹脂により形成されている。
【0012】
管継手(ソケット)2は、両合成樹脂管1を接続するもので、大径の第2管体として例示されている。管継手2は円筒状とされ、その内部における、軸心方向両端部側は、合成樹脂管1が挿入される一対のテーパー孔5とされると共に、その内周面の軸心方向中央部は、全周にわたって径方向内方に突出する突条部6とされている。テーパー孔5は、軸心方向中央部に向かって、テーパー状とされて、その奥側、即ち、小径側端部の内径は、合成樹脂管1の外径よりも小とされている。
【0013】
図2〜図8に示すように、接続用維持具(固定具、保持具、クランプ)3は、合成樹脂管1と管継手2に外嵌されて、それらの接続状態を維持するもので、円筒状とされている。維持具3は、合成樹脂管1に外嵌される小径部8と、管継手2の端部に外嵌される大径部9と、小径部8と大径部9とを連結する連結部10を有し、一体形成されている。維持具3は、スチール等の金属製とされている。尚、維持具3の肉厚は、図面で示すよりも薄いが、分かり易くするために、図面では、実際よりも厚く描いている。
【0014】
小径部8と大径部9には、これらに一体形成され且つ径方向外方に弾性変形可能とされた小径部側・大径部側突起12,13が周方向等間隔に3個以上(図例では、10個)配設されている。突起12,13は、小径部8又は大径部9の内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心方向中央部に移行する傾斜状とされており、例えば、略4角錐形状とされて、先鋭状とされている。図7に示すように、各小径部側突起12の先端が円周上にある仮想円14を想定した場合には、仮想円14の直径は合成樹脂管1の外径よりも小とされる。又、図8に示すように、各大径部側突起13の先端が円周上にある仮想円15を想定した場合には、仮想円15の直径は管継手2の外径よりも小とされる。これにより、維持具3の合成樹脂管1及び管継手2への外嵌時には、合成樹脂管1及び管継手2に対し、小径部側・大径部側突起12,13が径方向外方への弾性変形を介して当接し、合成樹脂管1及び管継手2を囲繞状に保持することで、合成樹脂管1、管継手2及び維持具3の軸心を一致させる。又、小径部8及び大径部9における、小径部側・大径部側突起12,13が形成された箇所には、突起12,13と対応する窓部16,17が形成され、突起12,13の径方向外方への弾性変形が許容されている。
【0015】
連結部10は、軸心方向一方である小径部8に向かって、テーパー状とされて、管継手2の端部と合成樹脂管1に跨がって外嵌されている。尚、連結部10は、管継手2の端縁と当接する場合と、当接しない場合があり、管継手2と当接させた場合には、連結部10は、管継手2のストッパとしての機能を果たし、管継手2が連結部10内に必要以上に挿入されることを防止する。
【0016】
上記構成例によれば、管継手2により、一対の合成樹脂管1を接続する際には、まず、図5及び図6に示すように、管継手2の一端部に維持具3の大径部9を相対的に外嵌する。この際、大径部側突起13は径方向外方に弾性変形して、管継手2の外周面を軸心方向に摺動する。
【0017】
この場合、維持具3を管継手2の軸心方向中央部側に相対的に移動させた際には、大径部側突起13は上記のように摺動するだけで、何ら抵抗とならず、維持具3を容易に移動させることができる。然しながら、逆に、維持具3を管継手2の端部側に相対的に移動させようとすると、大径部側突起13が管継手2の外周面に食い込むように作用する。これにより、大きな抵抗が生じ、維持具3を管継手2の端部側に相対的に移動させようとすることが極めて困難、乃至は、移動させることが不可能となる。
【0018】
上記のようにして、管継手2に維持具3を所定の位置まで外嵌した後、管継手2のテーパー孔5の内周面及び合成樹脂管1の端部の外周面に接着剤を塗布する。その後、図6及び図1に示すように、合成樹脂管1の端部に維持具3の小径部8を相対的に外嵌しながら、合成樹脂管1の端部を管継手2のテーパー孔5内に強制的に押し込んで、接着する。尚、管継手2に維持具3を外嵌する前に、管継手2のテーパー孔5の内周面及び合成樹脂管1の端部の外周面に接着剤を塗布することもある。
【0019】
ところで、合成樹脂管1の端部に維持具3の小径部8を外嵌した際も、小径部側突起12は径方向外方に弾性変形して、合成樹脂管1の外周面を軸心方向に摺動する。この場合も、維持具3を合成樹脂管1の軸心方向中央部側に相対的に移動させる際には、小径部側突起12は、上記のように摺動するだけで、何ら抵抗とならず、維持具3を容易に移動させることができる。然しながら、逆に、維持具3を合成樹脂管1の端縁側に相対的に移動させようとすると、小径部側突起12が管継手2の外周面に食い込むように作用する。これにより、大きな抵抗が生じて、維持具3を管継手2の端縁側に相対的に移動させようとすることが極めて困難、乃至は、移動させることが不可能となる。
【0020】
上記のように、維持具3を合成樹脂管1及び管継手2に外嵌することにより、これら3者の軸心が一致し、合成樹脂管1及び管継手2は、正しい接続姿勢で、接続状態を維持される。又、小径部側・大径部側突起12,13により、維持具3が、合成樹脂管1と管継手2の接続部位から軸心方向にずれる惧れもない。
【0021】
ところで、上記接続状態で、数十秒間経過すると、接着剤が固化し、所定の接続強度を発揮するので、合成樹脂管1と管継手2は、正しい接続姿勢で、強固に接続され、テーパー孔5に強制的に押し込まれた合成樹脂管1がテーパー孔5から外部に押し出されたり、或いは、合成樹脂管1がテーパー孔5内で斜めに固定されたりする惧れはない。尚、上記接続後も、維持具3は合成樹脂管1及び管継手2に外嵌された状態で残されるのて、合成樹脂管1と管継手2の接続強度を向上させることができる。
【0022】
上記のように、管継手2と合成樹脂管1の接続時において、その接続状態を維持するために、維持具3を使用するようにしたので、手で、接続状態を維持する必要がなく、面倒でないと共に、作業員の時間のロスもない。又、高価で特殊な工具を使用する必要もないので、管継手2と合成樹脂管1の接続費用も削減できる。
【0023】
図9は本発明の実施の形態の第2例を示し、維持具3は円筒の一部を切り欠いた形状とされて、その横断面が、半円以上の大きさの円弧状とされている。
【0024】
図10は本発明の実施の形態の第3例を示し、連結部10がテーパー状とされておらず、小径部8から径方向外方に真っ直ぐ突設されている。
【0025】
図11は本発明の実施の形態の第4例を示し、小径部側突起12が周方向に長く形成されている。尚、図示していないが、大径部側突起も同様に構成されている。
【0026】
尚、上記実施の形態では、第1管体を合成樹脂管とし、第2管体を管継手としたが、両管体とも、上記実施の形態のような合成樹脂管としてもよい。又、上記実施の形態では、突起を周方向等間隔に配設したが、管体を保持できるのであれば、突起を周方向等間隔に配設せずともよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、合成樹脂管と管継手の接続等に使用できる管体の接続用維持具に適用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 合成樹脂管(第1管体)
2 管継手(第2管体)
3 接続用維持具
5 テーパー孔
8 小径部
9 大径部
10 連結部
12,13 小径部側・大径部側突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の第1管体に合成樹脂製の第2管体が外嵌され、接着剤で固定されて、両管体が接続される際に、両管体に外嵌されて、それらの接続状態を維持する管体の接続用維持具であって、
軸心方向各端部に、それぞれ、
・ 内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心 方向中央部側に移行する傾斜状とされ、各管体への外嵌時に、径方向外方に弾性変 形して、各管体を囲繞状に保持する突起
が周方向に3個以上配設された管体の接続用維持具。
【請求項2】
内周面が、半円以上の大きさの円弧状とされた請求項1記載の管体の接続用維持具。
【請求項3】
筒状とされた請求項1記載の管体の接続用維持具。
【請求項4】
A.第1管体に外嵌される小径部と、
B.第2管体に外嵌される大径部と、
C.小径部と大径部を連結する連結部
を有する請求項1〜3の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項5】
突起が周方向等間隔に配設された請求項1〜4の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項6】
第2管体における、第1管体に外嵌される端部の内部が、反対側端部に向かってテーパー状であるテーパー孔とされた請求項1〜5の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項7】
第2管体が管継手とされた請求項1〜6の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項1】
合成樹脂製の第1管体に合成樹脂製の第2管体が外嵌され、接着剤で固定されて、両管体が接続される際に、両管体に外嵌されて、それらの接続状態を維持する管体の接続用維持具であって、
軸心方向各端部に、それぞれ、
・ 内周面よりも径方向内方に突出すると共に、径方向内方に向かうに従って、軸心 方向中央部側に移行する傾斜状とされ、各管体への外嵌時に、径方向外方に弾性変 形して、各管体を囲繞状に保持する突起
が周方向に3個以上配設された管体の接続用維持具。
【請求項2】
内周面が、半円以上の大きさの円弧状とされた請求項1記載の管体の接続用維持具。
【請求項3】
筒状とされた請求項1記載の管体の接続用維持具。
【請求項4】
A.第1管体に外嵌される小径部と、
B.第2管体に外嵌される大径部と、
C.小径部と大径部を連結する連結部
を有する請求項1〜3の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項5】
突起が周方向等間隔に配設された請求項1〜4の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項6】
第2管体における、第1管体に外嵌される端部の内部が、反対側端部に向かってテーパー状であるテーパー孔とされた請求項1〜5の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【請求項7】
第2管体が管継手とされた請求項1〜6の何れかに記載の管体の接続用維持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−57704(P2012−57704A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201105(P2010−201105)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000114994)エバック株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000114994)エバック株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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