説明

管体や継手の接続方法、及び管体接続用マーキングゲージ

【課題】 管体や継手の接続方法において、接続後挿入側管体が特定された最終挿入長を維持して挿入されたか否かを確認できる管体の接続方法と、同管体の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージを提供する。
【解決手段】 挿入側管体の特定された最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面に予めマーキング線を施しておき、該挿入側管体を被挿入側管体に挿入する際、前記マーキング線が被挿入側管体の後端位置よりも所定距離だけ離れた位置に止まるように挿入して、接続作業時に挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足無く維持でき、かつ挿入側管体の挿入時にその表面に塗布された接着剤、又は溶剤による溶融樹脂のはみ出しがあっても前記マーキング線が隠れることなく特定最終挿入長を容易に確保できる管体の接続方法、及び同管体の接続方法に使用される管体接続用マーキングゲージによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質ビニル管や、その規格(JIS K6741)より派生した用途別の各種規格に準拠した樹脂製管における管体と継手、あるいは管体同士の接続方法、特に管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長(以下特定最終挿入長と記す)を過不足なく維持でき、かつ接続によって隠されることのないマーキング線を挿入側管体表面へ施して行う管体や継手の接続方法、及びその接続方法を実施すために使用する管体接続用マーキングゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ビニル管や、その規格(JIS K6741)より派生した用途別の各種規格に準拠した、溶剤を用いて接着が可能な樹脂製管における管と継手、あるいは管同士の接着接合は、前記継手、あるいは被挿入側管体後部のテーパ形状をなす受け口に、挿入側管体前部に接着剤が塗布された差し口を挿入し、接着面の膨潤及び継手と管との材質が備える弾力性を利用して行われているが、その際、管体の用途と管径によってそれぞれ特定された最終挿入長が決められていることから、接続作業に当たっては挿入側管体の前部表面に特定最終挿入長に相当する位置に予めマーキング線を施すことが行われている。そしてこのマーキング線を容易かつ正確に施すための治具がいろいろ提案され、利用されている。
例えば、特開2001−289354号公報に開示の「配管接続代マーキングスケール」は、「管の端口に当接する管端当接部と、管端当接部2を管の端口に当接した際に、管に沿って延設される本体部3と、本体部3において、各径の管の接続代に対応するように管体当接部2から所定の位置に形成される複数のマーキング孔4と、各マーキング孔4の近傍に付され、各管の径を指し示す表示部5とを備えた」ものであり、作業者が管端当接部を管の端口にあてがい、当該管の径が表示されたマーキング孔を介して管の外周にマジックペン等で印を付けることで目的を達している。
【0003】
また、特開2004−90116号公報に開示の「パイプ用マーキング装置」は、「パイプの端面に当接させる基板部と、基板部をパイプの端面に当接させた状態でパイプの長手方向へ向いた状態となり、パイプの外面の周囲を回転可能なガイド板部と、ペン先がパイプの外面に接触するようにマーキングペンを保持可能で、ガイド板部に対してその長手方向へスライド自在で、かつ、ガイド板部と共にパイプの外面の周囲を回転可能なペンホルダとを具え、ペンホルダ部をガイド板部の任意の位置に係止可能とした」ものであり、ペンホルダ部にマーキングペンをセットし、基板部をパイプの端面に当接してから、ペンホルダ部をガイド板部に対してスライドさせて所定の位置で停止させ、その位置でペンホルダ部をガイド板部と共にパイプの周りを回転させ、マーキングペンのペン先によって管の外周に線を引き、パイプを継ぎ手等に挿入する場合の特定最終挿入長の位置を表示するのに用いられている。
【0004】
さらには、上記2つの従来例では、管径によってマーキング孔を選択し、又はペンホルダ部を所定の位置にスライドさせるため、作業員の錯誤によるマーキングミスの虞があり、また、管の端面に当接部を当接し、管壁に沿って延びる帯状の本体部又はガイド板部を管の外面周囲を回転させて線を引くため、管の端面に平行な線を引くには熟練を要するとして、特開2007−152513号公報には、「パイプ40の端部を差込自在な円弧状凹溝群1を有するパイプ受け部2と、凹溝群1に差し込まれたパイプ40の端面から所定の軸芯方向位置の外周面にマーキングするための筆記具35を取着する筆記具取付部3と、を備え、また、円弧状凹溝群1は、筆記具取付部3寄りに同一接点Pを有する偏心円群に対応して形成されたパイプ用マーキング治具」が開示されている。そして、円弧状凹溝群は、最も筆記取付部寄りに配設されると共に同一接点を通って複数種類の径のパイプで共用される円弧状の共同溝と、複数種類の径のパイプに対応して形成されると共に少なくとも複数種類の深さに形成された径対応溝を有しており、その径対応溝の底面と筆記具取付部に取着された筆記部のペン先との間を当該径の管の差し込み代としておけば、マーキングすべき管にこのパイプ用マーキング治具を装着して、管の周りに回転すれば、誰でも容易にミスなく差し込み代をマーキングできるとしている。
【特許文献1】特開2001−289354号公報
【特許文献2】特開2004−90116号公報
【特許文献3】特開2007−152513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に記載した従来のマーキング治具は、マーキングの精度や作業の容易さは異なるものの、いずれも挿入側管体の表面の該管体の用途及び管径によって特定された最終挿入長に相当する位置にマーキング線を施すものであった。
しかし、最近、管体、中でも塩化ビニル管の接続に使われる接着剤は、塗り忘れを防止するために着色されており、特定最終挿入長に相当する位置に施されたマーキング線では、接着剤の塗り方によっては接着剤に隠されてしまうおそれがある。また、細く書かれたマーキング線も接続によって継手や被挿入側管体の内側に隠れたり、はみ出した接着剤に隠されたりして、接続時の挿入位置確認には有用であるが、挿入完了後の再確認や第三者による確認は困難であるという問題があった。
また、筆記具を用いるマーキング治具では、筆記具のペン先の太さによってマーキング線の太さが変わり、太いペン先ではマーキング線の幅が太くなって特定最終挿入長に相当する位置が不明確になり、細いペン先ではすぐ壊れてしまうという難点もある。そして筆記具を忘れると、マーキング作業ができなくなるという重大な問題点も内在している。
さらに特願2007−152513号公報に開示の「パイプ用マーキング治具」は、最大径の管体を対象として作製しなくてはならないので嵩高くなり、工場での使用にはよいが、現場で配管作業をしながらの使用では、狭い場所で治具が壁等に突き当たるなどして使いにくいという難点がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、配管作業の現場では管体の外面の全周にマーキングが施せることよりも、挿入側管体の表面に施されたマークが、継手や被挿入側管体、あるいははみ出した接着剤に隠されて施工後の再確認、特に第三者による確認が困難になるという問題点を重視し、上記問題点を解決するとともに、作業時にマーキング線が施しやすく、接続後も顕在する位置に、確認できる程度の長さのマーキング線を表示しておく管体の接続方法と、同管体の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を下記の手段によって解決した。
(1)挿入側管体の前部を継手の開口部に挿入し、あるいは被挿入側管体の後部に挿入側管体の前部を挿入して、接着剤による接着、又は溶剤による接着面膨潤を利用しての管体や継手の接続方法において、
挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて、前記挿入管体の特定最終挿入長位置よりも所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面に予めマーキング線を施しておき、
前記挿入側管体の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤又は溶剤を塗布した後、前記挿入側管体を、前記継手の開口部あるいは被挿入側管体の後端が前記特定最終挿入長位置に止まるように、前記長尺体の管体接続用マーキングゲージに予め設けられた、所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を、前記継手の開口部あるいは被挿入管体の後端に当接して計測した位置に、前記挿入側管体の表面に施されたマーキング線が合致するように挿入することによって、
接続作業時に前記挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足なく維持でき、かつ前記挿入側管体の挿入時に前記挿入側管体の表面に前記接着剤、又は溶剤による溶融樹脂のはみ出しがあっても前記マーキング線が隠れることなく特定最終挿入長を容易に確保できるようにしてなることを特徴とする管体や継手の接続方法。
【0008】
(2) 挿入側管体の前部を継手の開口部に挿入して管体と継手とを接着剤で接続し、あるいは被挿入側管体の後部に挿入側管体の前部を挿入して両管体を接着剤で接続し、接着剤による接着面膨潤を利用した管体や継手の接続方法において、
挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さと、特定最終挿入長に相当する長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて、前記挿入管体の特定最終挿入長位置長よりも所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面と、前記挿入側管体の特定最終挿入長位置の表面との2箇所に予めマーキング線を施しておき、
前記挿入側管体の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤を塗布した後、前記挿入側管体を、前記継手の開口部あるいは被挿入側管体の後端が、前記挿入側管体の前部に付された特定最終挿入長位置に施されたマーキング線の位置に止まるように挿入することによって、
接続作業時に前記挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足なく維持でき、かつ前記挿入側管体の挿入時に前記挿入側管体の表面に前記接着剤のはみ出しがあって前記特定最終挿入位置に施されたマーキング線が隠されても、前記特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置に施されたマーキング線が視認できるので該マーキング線によって前記特定最終挿入長を容易に確保できるようにしてなることを特徴とする管体や継手の接続方法。
【0009】
(3)前項(1)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、表面に特定の目盛りを有する長尺体よりなり、該特定の目盛りは挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さを示すものであり、かつ前記長尺体の一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えたものであることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【0010】
(4)前項(2)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、表面に特定の目盛りを有する長尺体よりなり、該特定の目盛りは挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長に相当する長さと、特定された最終挿入長位置より所定距離だけ長い長さとを示すものであり、かつ前記長尺体の一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えたものであることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【0011】
(5)前項(1)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、
管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さの目盛り複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有し、かつその一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えた長尺体よりなる主尺と、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ前記主尺に表示された目盛りのいずれかをマーキング線を施す管体の用途、管径によって選択するための基準線と、挿入側管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線を施すマーキング機構を備えた副尺とからなり、
前記副尺に表示された基準線を、マーキング線を施そうとする管体の用途と呼び径が付された主尺の目盛りに合わせることによって、前記挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線が施されるよう構成されてなることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【0012】
(6)前項(2)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、
接続する管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離長い長さの目盛り複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有し、かつその一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えた長尺体よりなる主尺と、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ前記主尺に表示された目盛りのいずれかをマーキング施そうとする管体の用途と管径によって選択するための基準線と、挿入側管体の特定最終挿入長位置の表面と、挿入側管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面の2箇所にマーキング線を施せるマーキング機構を備えた副尺とからなり、
前記副尺に表示された基準線をマーキング線を施そうとする管体の用途と呼び径が付された主尺の目盛りに合わせることによって、前記挿入管の用途、管径ごとに特定された最終挿入長位置と、該特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置との2箇所にマーキング線が施されるよう構成されてなることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【0013】
(7)前記長尺体の先端部下面に、マーキング線を施す位置までの長さの基準点となる突起面を有してなることを特徴とする前項(3)〜(6)のいずれか1項に記載の管体接続用マーキングゲージ。
【0014】
(8)前記副尺に備えたマーキング機構が、副尺の基準線の真下の位置、又は副尺の基準線の真下の位置とその前方に所定距離だけ離れた位置とに配設されたケガキ用の金属爪であることを特徴とする前項(5)又は(6)に記載の管体接続用マーキングゲージ。
【0015】
(9)前記副尺に備えたマーキング機構が、副尺の基準線の真下の位置、又は副尺の基準線の真下の位置とその前方に所定距離だけ離れた位置とに配設された線引き用のインク内蔵式スタンプであることを特徴とする前項(5)又は(6)に記載の管体接続用マーキングゲージ。
【発明の効果】
【0016】
本発明の管体の接続方法、及び管体接続用マーキングゲージによって、下記の効果が発揮できる。
〈1〉請求項1の発明によれば、
挿入側管体の前部を継手の開口部に挿入し、あるいは挿入側管体の前部を被挿入側管体の後部に挿入して、接着剤による接着、溶剤による接着面膨潤を利用しての管体や継手の接続方法において、
挿入側管体の用途と管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて、前記挿入管体の特定最終挿入長位置よりも所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面に予めマーキング線を施しておき、
前記挿入側管体の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤又は溶剤を塗布した後、前記挿入側管体を、前記継手の開口部あるいは被挿入側管体の後端が前記特定最終挿入長位置に止まるように、前記長尺体の管体接続用マーキングゲージに予め設けられた所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を、前記継手の開口部あるいは被接続管体の後端に当接して計測した位置に、前記挿入側管体の表面に施されたマーキング線が合致するように挿入するので、
接続作業時に前記挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足なく維持でき、かつ前記挿入側管体の挿入時に前記挿入側管体の表面に前記接着剤、又は溶剤による溶融樹脂のはみ出しがあっても前記マーキング線が隠れることなく特定最終挿入長を容易に確認でき、確保できる。
また、施工後もマーキング線が目視できることから管体表面全周にマーキングする必要がなく、さらに、挿入側管体表面へのマーキング線の付与が、挿入側管体に特定された最終挿入長位置よりも管中央寄りに所定距離だけ離れた位置に相当する長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージに備えられた確認用治具を接近させることで容易に寸法適正確認が行われるので、熟練した作業者でなくとも確実にマーキング作業が実施できる。
【0017】
〈2〉請求項2の発明によれば、
挿入側管体の前部を継手の開口部に挿入し、あるいは被挿入側管体の後部に挿入側管体の前部を挿入して、接着剤による接着、又は溶剤による接着面膨潤を利用しての管体や継手の接続方法において、
挿入側管体の用途や管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さと、特定最終挿入長に相当する長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて、前記挿入管体の特定最終挿入長位置長よりも所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面と、前記挿入側管体の特定最終挿入長位置の表面との2箇所に予めマーキング線を施しておき、
前記挿入側管体の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤、又は溶剤を塗布した後、前記挿入側管体を、前記継手の開口部あるいは被挿入側管体の後端が、前記挿入側管体の特定最終挿入長位置に施されたマーキング線の位置に止まるように挿入するので、
接続作業時に前記挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足なく維持でき、かつ前記挿入側管体の挿入時に前記挿入側管体の表面に前記接着剤、又は溶剤による溶融樹脂のはみ出しがあって前記特定最終挿入位置に施されたマーキング線が隠れても、前記特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置に施されたマーキング線によって前記特定最終挿入長を容易に確認でき、確保できる。
また、施工後もマーキング線が目視できることから管体表面全周にマーキングする必要がなく、さらに、挿入側管体表面へのマーキング線の付与が、挿入側管体に特定された最終挿入長位置よりも管中央寄りに所定距離だけ離れた位置に相当する長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて行われるので、熟練した作業者でなくとも確実にマーキング作業が実施できる。
【0018】
〈3〉請求項3の発明によれば、
前項(1)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、表面に特定の目盛りを有する長尺体よりなり、該特定の目盛りは挿入側管体の用途や管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さを示すものであり、かつ前記長尺体の一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えたものであるので、
前記管体接続用マーキングゲージを、そのゼロ目盛りを挿入側管体の前端に当接させて挿入側管体に沿わせて配設すれば、前記長尺体表面に付された特定の目盛り位置に対応する前記挿入側管体の表面にケガキ、スタンプ、筆記具などのマーキング手段によって容易にマーキング線が施せる。
また接続完了後、前記管体接続用マーキングゲージの所定距離確認用治具を継手の開口部、又は被挿入管体の後端に当接し、前記挿入側管体に施されたマーキング線が所定距離確認治具の長さと合致するか否かを計測することによって、特定最終挿入位置長が確保されたか否かの判定が可能になる。
【0019】
〈4〉請求項4の発明によれば、
前項(2)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、表面に特定の目盛りを有する長尺体よりなり、該特定の目盛りは挿入側管体の管径ごとに特定された最終挿入長位置に相当する長さと、特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さ示すものであり、かつ長尺体の一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えたものであるので、
前記管体接続用マーキングゲージを、そのゼロ目盛りを挿入側管体の前端部に当接させて挿入側管体に沿わせて配設すれば、前記長尺体表面に付された特定の目盛り位置に対応する前記挿入側管体の表面にケガキ、スタンプ、筆記具などの手段によって容易にマーキング線が施せる。
また、接続完了後、前記特定最終挿入位置に施されたマーキング線が継手や被挿入管体の後端、あるいははみ出した接着剤に隠されても、前記管体接続用マーキングゲージの所定距離確認用治具を継手の開口部、又は被挿入管体の後端に当接し、前記挿入側管体の表面に施され特定最終挿入長位置より所定距離管中央寄りに離れた位置に施されたマーキング線が前記所定距離確認治具の長さと合致するか否かを計測することによって、特定最終挿入位置長が確保されたか否かの判定が可能になる。
【0020】
〈5〉請求項5の発明によれば、
前項(1)に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、
管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入位置より所定距離だけ長い長さの目盛り複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有する長尺体よりなる主尺と、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ前記主尺に表示された目盛りのいずれかをマーキングを施そうとする管体の用途と管径によって選択するための基準線と、前記主尺挿入側管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線を施すマーキング機構を備えた副尺とからなるので、
前項〈3〉の効果に加えて、
前記副尺に表示された基準線をマーキング線を施そうとする管体の用途と呼び径が付された主尺の目盛りに合わせ、かつ前記管体接続用マーキングゲージのゼロ目盛りを挿入側管体の前端に当接させて挿入側管体に沿わせて配設すれば、前記マーキング機構が、該挿入側管体の特定された最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置に配設されるため、前記挿入側管体表面へマーキング線を正確、かつ容易に施すことができる。
【0021】
〈6〉請求項6の発明によれば、
請求項2に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、
接続する管体の用途、管径によって位置を異にする複数の特定の目盛りとそれぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有する長尺体よりなる主尺と、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ前記主尺に表示された目盛りのいずれかをマーキングを施そうとする管体の用途と管径によって選択するための基準線と、挿入側管体の特定最終挿入長位置の表面と挿入側管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面の2箇所にマーキング線を施せるマーキング機構を備えた副尺とからなり、かつ前記副尺には前記挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長位置と、該特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置との2箇所にマーキング線が施せるマーキング機構を備えているので、
前記〈4〉の効果に加えて、
前記副尺に表示された基準線をマーキング線を施そうとする管体の用途と呼び径が付された主尺の目盛りに合わせ、かつ前記管体接続用マーキングゲージのゼロ目盛りを挿入側管体の前端に当接させて挿入側管体に沿わせて配設すれば、前記マーキング機構が、該挿入側管体の特定された最終挿入長位置、及び特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置に配設されるため、前記挿入側管体表面2箇所へマーキング線を正確、かつ容易に施すことができる。
【0022】
〈7〉請求項7の発明によれば、
前記長尺体の先端部下面に、マーキング線を施す位置までの長さの基準点となる突起面を有しているので、管体接続用マーキングゲージと挿入側管体との当接が容易かつ正確になされ、管体表面へマーキング線を容易、正確、かつ迅速に施すことができる。
【0023】
〈8〉請求項8,9の発明によれば、
前記副尺に備えたマーキング機構が、副尺の基準線の真下の位置、又は副尺の基準線の真下の位置とその前方に所定距離離れた位置とに配設されたケガキ用の金属爪、又は線引き用のインク内蔵式スタンプであるので、マーキングのための筆記具を必要とせず、本管体接続用マーキングゲージのみでマーキング作業が行え、したがって、筆記具に起因する、例えば筆記具が太いために施されたマーキングのどの位置が特定最終挿入長位置かが判断できないとか、筆記具がないためマーキング作業ができないとかの不都合が発生するおそれがなくなる。
また、前記ケガキ用金属爪と線引き用インク内蔵式スタンプとを、着脱、交換可能にしておけば、作業環境に応じてケガキ用金属爪とインク内蔵式スタンプとを切り替えて使用でき、より好ましいマーキング線を施すことができる。
さらに、請求項5記載の管体接続用マーキングゲージのマーキング機構として、管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央よりに離れた位置のマーキング線をケガキ用金属爪で、特定最終挿入長位置のマーキング線をインク内蔵用スタンプで施すようにした複合マーカーを採用すれば、管体接続後、挿入側管体表面に顕在して管体特定最終挿入長が維持されて接続されたか否かを判定する基準となるマーキング線Aが細いケガキ線で、挿入時の目安として使用されるマーキング線Bが視認しやすい太さと色とで施されるので、作業性が向上し、正確な接続にも寄与できる。
【0024】
〈9〉前記請求項3〜9に記載の各管体接続用マーキングゲージが、小形、軽量、かつ低廉に製作できるので、携帯に便利で多数の作業者に持たせて作業現場で簡便に使用させることができ、上記〈3〉〜〈8〉の各効果に加えて、作業効率を高め、作業品質の向上にも寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明を実施するための最良の形態を、実施例の図に基づいて説明する。
まず最初に、図1の管体接続方法の説明図、図2の管体へのマーキングの施し方の説明図によって、本発明の管体の接続方法について説明する。
図1、図2において、1は挿入側管体、2は被挿入側管体(継手を含む)、3は接着剤(溶剤を含む)、10は管体接続用マーキングゲージ、11は所定距離確認治具としての所定距離確認用目盛り(以下、所定距離確認用目盛りと記す)、Lは特定最終挿入長、Aは特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置に施されたマーキング線、Bは特定最終挿入長位置に施されたマーキング線、A’は管体接続用マーキングゲージに付された特定最終挿入長より所定距離だけ長い長さの目盛り、B’は管体接続用マーキングゲージに付された特定最終挿入長に相当する長さの目盛り、αは特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の所定距離に相当する長さである。
【0026】
本発明の管体の接続方法は、図1に示すように、継手又は被挿入側管体(以下継手を含め被挿入管体2と記す)の後部に挿入側管体1の前部を挿入して両管体を接続する際、挿入側管体1の特定された最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面に予めマーキング線Aを施しておき〔図1(a)〕、同挿入側管体1の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤又は溶剤(以下溶剤を含めた接着剤3と記す)を塗布した後〔図1(b)〕、該挿入側管体1を被挿入側管体2の後部に挿入し、その際被挿入側管体2の後端位置が前記マーキング線Aよりも前記所定距離αだけ手前の位置に止まるように挿入して、接続作業時に挿入側管体1の特定最終挿入長Lを容易に過不足なく維持でき、かつ挿入側管体1の挿入時にその表面に前記接着剤3のはみ出しがあっても前記マーキング線Aが隠れることなく視認でき〔図1(c)〕、かつ管体接続用マーキングゲージ10に備えられた所定距離確認用目盛り11によって容易に前記継手の開口部、あるいは被挿入側管体2の後端が、前記マーキング線Aから所定距離α離れて接続されていることが確認できるようにしたものである。
【0027】
そしてマーキング線を施すに当たっては、図2に示すように長尺体の管体接続用マーキングゲージ10をその端部(又は基準線)が挿入側管体1の前端に当接するようにして沿わせ、前記管体接続用マーキングゲージ10に付された特定最終挿入長Lより所定距離αだけ長い長さ(L+α)を示す目盛りA’と合致する位置の前記挿入側管体1の表面に、ケガキ、スタンプ、筆記具等のマーキング用具によってマーキング線Aを施す。
また、特定最終挿入長Lより所定距離αだけ長い長さ(L+α)を示す目盛りA’と特定最終挿入長Lに相当する長さを示す目盛りB’とを付した管体接続用マーキングゲージ10を用いて、挿入側管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキングAを、特定最終挿入長位置にマーキングBを施すことも好ましい。
さらに、所定距離αは、マーキング線Aが被挿入管体2の内側に隠れたり、はみ出した接着剤3によって隠されたりしない長さ、例えば5〜15mmであればよく、特に接続後特定最終挿入長Lが過不足なく維持されているかどうかを確認する際に計測が容易となる10mmとすることがより好ましい。
なお、溶剤による接着面膨潤による接続で使用する溶剤としては、例えば、積水化学工業(株)社製「エスロンNo.73」:塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂液や、それに含まれるアセトン、もしくはメチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0028】
次いで上記管体の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージについて実施例の図に基づいて説明する。
図3は本発明の管体接続用マーキングゲージの第1の実施例の構造図、図4は本発明の管体接続用マーキングゲージの第2、第3の実施例の構造図、図5は本発明の管体接続用マーキングゲージの第4、第5、第6の実施例の構造図、図6は本発明の管体接続用マーキングゲージの第7の実施例の構造図である。
図において10は管体接続用マーキングゲージ、10aは主尺、10bは副尺、11は所定距離確認目盛り、12は突起面、13、13’は基準線、14はケガキ用金属爪、14’は二つの爪を持つケガキ用金属製爪、15は線引き用インク内蔵式スタンプ、15’は二本の線がスタンプできるインク内蔵式スタンプ、16は複合マーカーである。
【実施例1】
【0029】
本発明の管体接続用マーキングゲージ10の第1の実施例は、図3に示すように、長尺体の表面に、該長尺体の端部を基準点0として、管体の用途(例えば給水管用、排水管用)と、管径によって異なる複数の特定最終挿入長Lよりも所定距離αだけ長い長さ(L+α)の目盛りA’(以下目盛りA’と略記する)が、それぞれの目盛りA’が適用される管体の用途と呼び径が付されて表示されてなるものである。そして、用途(例えば給水管用と排水管用)の異なる目盛りA’は、不透明な素材でなる長尺体の表裏に分けて表示されていることが使用上便利で好ましい。
この管体接続用マーキングゲージ10を用いて挿入側管体1にマーキング線Aを施すに当たっては、前記管体接続用マーキングゲージ10の端部(図3に管端位置と表示)を挿入側管体1の前端に当接して沿わせ、前記管体接続用マーキングゲージ10に付された目盛りA’に合致する前記挿入側管体1の表面に、ケガキ、スタンプ、筆記具等のマーキング用具によってマーキング線Aを描けばよい。
なお、図3に示したように、本管体接続用マーキングゲージ10の両端部を基準点0として両端部からの目盛りA’を表示しておくと、前記管体接続用マーキングゲージ10の向きに配慮することなく使用でき、作業効率の向上が図れて好ましい。
また、前記目盛りA’に加えて、特定最終挿入長Lに相当する長さの目盛りB’(以下目盛りB’と略記する)を表示しておき、前記挿入側管体1の表面の特定最終挿入長位置よりも所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキング線Aを、特定最終挿入長位置にマーキング線Bを描けるようにしておくのもよい。
【実施例2】
【0030】
本発明の第2の実施例は、図4の(a)(b)に示すように、表面に管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長Lより所定距離αだけ長い長さ(L+α)の目盛りA’複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有し、かつその一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離を備えた長尺体よりなる主尺10aと、
前記主尺10aに摺動可能に装着され、かつ前記主尺10aに表示された複数の目盛りA’のいずれかを、マーキング線を施す管体の用途、管径によって選択するための基準線13と、前記基準線13の真下に設けられ、挿入側管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線Aを施すマーキング機構としてのケガキ用金属爪14を備えた副尺10bと、
前記主尺10aの先端部下面に設けられ、挿入側管体1の前端に当接し、マーキング位置までの長さの基準点0となる突起面12とから構成されてなるものである。
そして、挿入側管体1の表面にマーキング線Aを施す際には、前記副尺10bに表示された基準線13を、マーキング線Aを施そうとする前記挿入側管体1の用途と呼び径が付された主尺10aの目盛りA’に合わせた後、前記主尺10aの先端部下面に突出して設けられた突起面12を該挿入側管体1の前端に当接させて、管体接続用マーキングゲージ10を挿入側管体1に沿わせれば、前記ケガキ用金属爪14が特定された最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面に当接するので、前記管体接続用マーキングゲージ10を前記挿入側管体1に軽く押し当てて左右に移動すれば、該挿入側管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置に前記ケガキ用金属爪14によってマーキング線Aが施される。
【実施例3】
【0031】
本発明の第3の実施例は、図4の(b’)に示すように、前記第2の実施例に示した管体接続用マーキングゲージ10の副尺10bに装着されたマーキング機構としてのケガキ用金属製爪14が、挿入側管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキング線Aが 特定最終挿入長位置にマーキング線Bが施せるように前記副尺10bの基準線13’の真下とその前方に所定距離αの間隔を保って配設される二つのケガキ用金属爪14’、14’で構成されているものであり、その他の構造は実施例2の管体接続用マーキングゲージ10と異なるところはない。
したがって、実施例2で記述したのと同じ操作によって、マーキング対象の挿入側管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキング線Aが、特定最終挿入長Lの位置マーキング線Bが施される。
【実施例4】
【0032】
本発明の第4の実施例は、図5の(a)(b)に示すように、表面に管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長Lより所定距離αだけ長い長さ(L+α)の目盛りA’複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有し、かつその一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離を備えた長尺体よりなる主尺10aと、
前記主尺10aに摺動可能に装着され、かつ前記主尺10aに表示された複数の目盛りA’のいずれかを、マーキング線を施す管体の用途、管径によって選択するための基準線13と、前記基準線13の真下に設けられ、挿入側管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線Aを施すマーキング機構としてのインク内蔵型スタンプ15を備えた副尺10bと、
前記主尺10aの先端部下面に設けられ、マーキング位置までの長さの基準点0となる突起面12とから構成されてなるものである。
そして、挿入側管体1の表面にマーキング線Aを施す際には、前記副尺10bに表示された基準線13を、マーキング線Aを施そうとする前記挿入側管体1の用途と呼び径が付された主尺10aの目盛りA’に合わせた後、前記主尺10aの先端部下面に突出して設けられた突起面12を該挿入側管体1の前端に当接させて、管体接続用マーキングゲージ10を挿入側管体1に沿わせれば、前記線引き用インク内蔵スタンプ15が特定された最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面に当接するので、前記管体接続用マーキングゲージ10を前記挿入側管体1に軽く押し当てて左右に移動すれば、該挿入側管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置に前記線引き用インク内蔵スタンプ15によってマーキング線Aが施される。本発明の第4の実施例は、図5(a)、(b)に示すように、表面に管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長Lより所定距離αだけ長い長さ(L+α)の目盛りA’複数と、それぞれの目盛りA’に付された管体の用途と呼び径とが付されて表示された長尺体よりなる主尺10aと、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ前記主尺10aに表示された複数の目盛りA’のいずれかを、管体の用途、管径によって選択するための基準線13と、前記基準線13の真下に設けられ、挿入管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面に、該基準線13の真下に設けたマーキング機構としての線引き用インク内蔵スタンプ15を備えた副尺10bと、
前記主尺10aの先端部下面に設けられ、挿入側管体1の前端に当接し、マーキング位置までの長さの基準点0となる突起面12とから構成されてなるものである。
そして、挿入側管体1の表面にマーキング線Aを施す際には、前記副尺10bに表示された基準線13を、マーキング線Aを施そうとする前記挿入側管体1の用途と呼び径が付された主尺10aの目盛りA’に合わせた後、前記主尺10aの先端部下面に突出して設けられた突起面12を当該挿入側管体1の前端に当接させて、管体接続用マーキングゲージ10を挿入側管体1に沿わせれば、前記線引き用インク内蔵スタンプ15が特定された最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面に当接するので、前記管体接続用マーキングゲージ10を前記挿入側管体1に軽く押し当てて左右に移動すれば、該挿入側管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置に前記線引き用インク内蔵スタンプ15によってマーキング線Aが施される。
【実施例5】
【0033】
本発明の第5の実施例は、図5の(b’)に示すように、前記第4の実施例に示した管体接続用マーキングゲージ10の副尺10bに装着されたマーキング機構としての線引き用インク内蔵スタンプ15が、挿入側管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキング線Aが 特定最終挿入長Lの位置にマーキング線Bが施せるように前記副尺10bの基準線13’の真下とその前方に所定距離αの間隔を保って配設される二つの線引き用インク内蔵スタンプ15’、15’で構成されているものであり、その他の構造は実施例2の管体接続用マーキングゲージ10と異なるところはない。
したがって、実施例2で記述したのと同じ操作によって、マーキング対象の挿入側管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキング線Aが、特定最終挿入長Lの位置マーキング線Bが施される。
【実施例6】
【0034】
本発明の第6の実施例は、図5の(b”)に示すように、前記第4の実施例に示した管体接続用マーキングゲージ10の副尺10bに装着されたマーキング機構が、挿入側管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置にマーキング線を施すのがケガキ用金属爪14であり、特定最終挿入長Lの位置にマーキング線Bを施すのが線引き用インク内蔵スタンプ15である複合マーカー16であることを除いては実施例4の管体接続用マーキングゲージ10と異なるところはない。
したがって、前記管体接続用マーキングゲージ10を突起面12を挿入側管体の前端部に当接しながら前記挿入側管体1に、ケガキ用金属爪14または線引き用インク内蔵スタンプ15を介して軽く押し当て、左右に移動すれば、該管体1の表面に特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置を示すマーキング線Aがケガキで、また特定最終挿入長Lの位置を示すマーキング線Bがスタンプで施される。
本実施例の管体接続用マーキングゲージ10では、管体接続後、挿入側管体1の表面に顕在して管体特定最終挿入長が維持されて接続されたか否かを判定する基準となるマーキング線Aが細いケガキ線で、挿入時の目安として使用されるマーキング線Bが視認しやすい太さと色とで施されるので、作業性が向上し、正確な接続にも寄与できる。
【0035】
なお、実施例2のケガキ用金属爪14、実施例3のケガキ用金属爪14’、実施例4の線引き用インク内蔵スタンプ15、実施例5の線引き用インク内蔵スタンプ15’、実施例6の複合マーカー16の各マーキング機構は、いずれも着脱、交換可能に副尺10bに装着する構造にしておくと、必要に応じて実施例2〜6の管体接続用マーキングゲージ10が構成でき、利便性が高まる。
【実施例7】
【0036】
本発明の第7の実施例は、図6に示すように、中央に幅広の長方形状の孔を有し、その表面の長軸方向に、管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長Lより所定距離αだけ長い長さ(L+α)の目盛りA’とそれぞれの目盛りA’に管体の用途と呼び径が付された長尺体と、前記長方形状の孔に摺動可能に装着されるマーキング機構とからなり、かつ長尺体の先端が挿入側管体1の前端に係止可能に折り曲げられて突起面12とされ、そして長尺体の長方形状の孔に摺動可能に装着されるマーキング機構が、ケガキ用金属爪14、間隔αを保つて配設される2本のケガキ用金属爪14’14’、あるいは線引き用インク内蔵スタンプ15、間隔αを保って2本の線が描ける線引き用インク内蔵スタンプ15’、15’、ケガキ用金属爪と線引き用インク内蔵スタンプ15とでなる複合マーカー16の内からからいずれか1種を選択使用可能に構成されてなるものである。
本実施例で挿入側管体1の表面にマーキングを施すには、施すマーキングに適合するマーキング機構を選択して装着し、該管体の用途、呼び径に対応する目盛りの位置に前記マーキング機構を摺動固定した後、前記突起面12を挿入側管体1の前端部に係止して管体に沿わせ、管体接続用マーキングゲージ10を軽く押し付け、又は左右に移動させることによって、所定の位置にマーキング線A及びBが施せる。
【0037】
前記実施例1〜7に示した管体接続用マーキングゲージ10を使用してマーキング線A、又はマーキング線A及びBを施した挿入側管体1の前部を被挿入側管体2の後部に挿入して両者接続した後は、図7に示すように、管体接続用マーキングゲージ10の端部(管端位置)を前記被挿入側管体2の後端に当接して挿入側管体1に沿わせ、前記挿入側管体1の表面に施された特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置を示すマーキング線Aと、前記管体接続用マーキングゲージ10に表示されている所定距離としての確認目盛り11との合致状態を計測することによって、前記挿入側管体1がその特定最終挿入長Lを過不足なく達成して挿入されているか否かを確認する。
なお、図7では管体接続用マーキングゲージ10を実施例1の長尺体のもので説明したが、図4、図5の管体接続用マーキングゲージ10の所定距離確認目盛り11も、図6の突起面外側の先端から所定距離αの位置に設けられた所定距離確認目盛り11としての切り込みも、前記長尺体の所定距離確認目盛り11同様に管体接続用マーキングゲージの端部、あるいは前記突起面の外側を被挿入側管体2の後端に当接し、挿入側管体1に沿わせ、前記挿入側管体1の表面に施された特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置を示すマーキング線Aと、前記確認目盛り11との合致状態によって、前記挿入側管体1がその特定最終挿入長Lを過不足なく達成して挿入されているか否かが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記管体の接続方法は、挿入側管体1の特定最終挿入長位置より所定距離αだけ管中央寄りに離れた位置の表面に予めマーキング線Aを施すことによって前記挿入側管体1を被挿入側管体2に挿入した際、その表面に接着剤3のはみ出しがあっても前記マーキング線Aが隠れることなく特定最終挿入長Lを容易に確認、確保でき、かつそのために使用する管体接続用マーキングゲージも、簡単な構造で小型・軽量にでき、携帯に便利で使用も容易であり、管体の接続が、正確、迅速、容易にでき、管体接続作業の効率向上、接続品質の向上にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】管体の接続方法の説明図
【図2】管体へのマーキングの施し方の説明図
【図3】管体接続用マーキングゲージの第1の実施例の構造図
【図4】管体接続用マーキングゲージの第2、第3の実施例の構造図
【図5】管体接続用マーキングゲージの第4、第5、第6の実施例の構造図
【図6】管体接続用マーキングゲージの第7の実施例の構造図
【図7】管体接続状態の確認方法の説明図
【符号の説明】
【0040】
1:挿入側管体
2:継手又は被挿入側管体
3:接着剤
10:管体接続用マーキングゲージ
10a:主尺
10b:副尺
11:所定距離確認治具としての所定距離確認用目盛り
12:突起面
13、13’:基準線
14:ケガキ用金属製爪
14’:二つの爪を持つケガキ用金属製爪
15:線引き用インク内蔵式スタンプ
15’:二本の線がスタンプできるインク内蔵スタンプ
16:複合マーカー
A:特定最終挿入長位置より管中央寄りに所定距離だけ離れた位置に施されたマーキング線
B:特定最終挿入長位置に施されたマーキング線
A’は管体接続用マーキングゲージに付された特定最終挿入長位置より管中央寄りに所定距離だけ離れた位置に相当する長さの目盛り
B’は管体接続用マーキングゲージに付された特定最終挿入長に相当する長さの目盛り、
L:特定最終挿入長
α:特定最終挿入長位置より所定距離だけ離れた位置の所定距離に相当する長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入側管体の前部を継手の開口部に挿入し、あるいは被挿入側管体の後部に挿入側管体の前部を挿入して両管体を接着剤で接続し、接着剤による接着、又は溶剤による接着面膨潤を利用しての管体や継手の接続方法において、
挿入側管体の用途と管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて、前記挿入管体の特定最終挿入長位置よりも所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面に予めマーキング線を施しておき、
前記挿入側管体の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤、又は溶剤を塗布した後、前記挿入側管体を、前記継手の開口部あるいは被挿入側管体の後端が前記特定最終挿入長位置に止まるように、前記長尺体の管体接続用マーキングゲージに予め設けられた、所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を、前記継手の開口部あるいは被挿入管体の後端に当接して計測した位置に、前記挿入側管体の表面に施されたマーキング線が合致するように挿入することによって、
接続作業時に前記挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足なく維持でき、かつ前記挿入側管体の挿入時に前記挿入側管体の表面に前記接着剤、又は溶剤による溶融樹脂のはみ出しがあっても前記マーキング線が隠れることなく特定最終挿入長を容易に確保できるようにしてなることを特徴とする管体や継手の接続方法。
【請求項2】
挿入側管体の前部を継手の開口部に挿入し、あるいは被挿入側管体の後部に挿入側管体の前部を挿入して、接着剤による接着、又は溶剤による接着面膨潤を利用しての管体や継手の接続方法において、
挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さと、特定最終挿入長に相当する長さの目盛りを付した長尺体の管体接続用マーキングゲージを用いて、前記挿入管体の特定最終挿入長位置長よりも所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面と、前記挿入側管体の特定最終挿入長位置の表面との2箇所に予めマーキング線を施しておき、
前記挿入側管体の前部表面、及び継手あるいは被挿入側管体の後部内面に接着剤、又は溶剤を塗布した後、前記挿入側管体を、前記継手の開口部あるいは被挿入側管体の後端が、前記挿入側管体の前部に付された特定最終挿入長位置に施されたマーキング線の位置に止まるように挿入することによって、
接続作業時に前記挿入側管体の特定最終挿入長を容易に過不足なく維持でき、かつ前記挿入側管体の挿入時に前記挿入側管体の表面に前記接着剤、又は溶剤による溶融樹脂のはみ出しがあって前記特定最終挿入位置に施されたマーキング線が隠されても、前記特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置に施されたマーキング線が視認できるので該マーキング線によって前記特定最終挿入長を容易に確保できるようにしてなることを特徴とする管体や継手の接続方法。
【請求項3】
請求項1に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、表面に特定の目盛りを有する長尺体よりなり、該特定の目盛りは挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さを示すものであり、かつ前記長尺体の一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えたものであることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【請求項4】
請求項2に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、表面に特定の目盛りを有する長尺体よりなり、該特定の目盛りは挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長に相当する長さと、特定された最終挿入長より所定距離だけ長い長さとを示すものであり、かつ前記長尺体の一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えたものであることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【請求項5】
請求項1に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、
接続する管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長よりも所定距離だけ長い長さの目盛り複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有し、かつその一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えた長尺体よりなる主尺と、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ主尺に表示された複数の目盛りのいずれかをマーキング線を施す管体の用途、管径によって選択するための基準線と、挿入側管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線を施すマーキング機構を備えた副尺とからなり、
前記副尺に表示された基準線を、マーキング線を施そうとする管体の用途と呼び径が付された主尺の目盛りに合わせることによって、前記挿入側管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面にマーキング線が施されるよう構成されてなることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【請求項6】
請求項2に記載の管体や継手の接続方法を実施するために使用される管体接続用マーキングゲージであって、
接続する管体の用途、管径ごとに特定された最終挿入長よりも所定距離だけ長い長さの目盛り複数と、それぞれの目盛りに付された管体の用途と呼び径とを表面に有し、かつその一部に前記所定距離と同じ長さを持つ所定距離確認用治具を備えた長尺体よりなる主尺と、
前記主尺に摺動可能に装着され、かつ主尺に表示された目盛りのいずれかをマーキング線を施す管体の用途、管径によって選択するための基準線と、挿入側管体の特定最終挿入長位置の表面と、挿入側管体の特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置の表面の2箇所にマーキング線を施せるマーキング機構を備えた副尺とからなり、
前記副尺に表示された基準線をマーキング線を施そうとする管体の用途と呼び径が付された主尺の目盛りに合わせることによって、前記挿入管の用途、管径ごとに特定された最終挿入長位置と、該特定最終挿入長位置より所定距離だけ管中央寄りに離れた位置との2箇所にマーキング線が施されるよう構成されてなることを特徴とする管体接続用マーキングゲージ。
【請求項7】
前記長尺体の先端部下面に、マーキング線を施す位置までの長さの基準点となる突起面を有してなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の管体接続用マーキングゲージ。
【請求項8】
前記副尺に備えたマーキング機構が、副尺の基準線の真下の位置、又は基準線の真下とその前方に所定距離離れた位置とに配設されたケガキ用の金属爪であることを特徴とする請求項5又は6に記載の管体接続用マーキングゲージ。
【請求項9】
前記副尺に備えたマーキング機構が、副尺の基準線の真下の位置、又は基準線の真下とその前方に所定距離離れた位置とに配設された線引き用のインク内蔵式スタンプであることを特徴とする請求項5又は6に記載の管体接続用マーキングゲージ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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