説明

管体引込み装置および管体引込み方法

【課題】マンホール内に簡便に設置して更生管をマンホールから既設の排水管内に円滑に案内することができる管体引込み装置および管体引込み方法を提供する。
【解決手段】可撓性を有する合成樹脂管を、マンホールからそのマンホールに接続されている既設の排水管内に引き込むための引込み装置であって、上記マンホール内で排水管に向けて配置される本体フレーム2と、本体フレームに設けられ、マンホール内に降下される合成樹脂管を排水管内に案内するガイド部3a〜3dと、本体フレームに伸縮可能に設けられ、マンホールの内壁を押圧して本体フレームを解除可能に固定する固定機構8を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した下水管等の排水管を補修する際に使用される管体引込み装置およびそれを用いた管体引込み方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土中に埋設され長い年月を経た下水管が老朽化することによって耐荷能力や止水能力が低下すると、道路が陥没したり流下能力が不足するという問題が生じてくる。
【0003】
これを解消する方法として、老朽化した下水管の内部に新たな排水管を形成する排水管補修方法が提案され実施されている。
【0004】
各種の排水管補修方法が存在する中で例えば製管方法では、マンホール内に帯状の硬質塩化ビニル材を供給し、既設管の入口部分でその帯状の硬質塩化ビニル材を製管機によって管状に形成しながら既設管に挿入していく。
【0005】
また、図9に示すように、既設下水管の内径よりも小さい外径からなる樹脂管、いわゆる更生管を予め製造し、マンホールから下水管内に挿入する方法も知られている。
【0006】
詳しくは、可撓性を有する更生管50を回転ドラム51から繰り出し、更生管50が可撓性を有することを利用してマンホール52を通じて下水管53の一方から挿入し、下水管53の他方側からウインチ54で引き取るという方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
なお、図中、55は更生管50の先端に取り付けられるキャップであり、56はそのキャップ55に接続されたワイヤである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−38581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の方法によれば、前者の製管方法のような製管機を必要としないため工法が簡単になる反面、既に管体として製造されている更生管50を狭いマンホール52を通じて下水管53内に引き込まなければならないため、引き込み作業が困難であるという問題がある。
【0010】
更生管50の引き込み作業を支援するため、通常、マンホール52には、更生管50の引き込みを容易にするためのローラ57付きの引込み治具58が固定される。しかしながら、その引込み治具58をマンホール52内に設置するには、マンホール52側壁に貫通穴を穿設してボルトを植設し、引込み治具58に設けた固定用穴にそのボルトを挿通させてナットで固定する作業が必要になる。このように、引込み治具58を使用すると、新たに工程が増えることになり、更生管50の引き込み作業は依然として簡便に行えなかった。
【0011】
本発明は以上のような従来の更生管引き込み作業における課題を考慮してなされたものであり、マンホール内に簡便に設置して更生管をマンホールから既設の排水管に円滑に案内することができる管体引込み装置および管体引込み方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、可撓性を有する管体を、マンホールからそのマンホールに接続されている既設の排水管内に引き込むための引込み装置であって、
上記マンホール内で上記排水管に向けて配置される本体フレームと、
上記本体フレームに設けられ、上記マンホール内に降下される上記管体を上記排水管内に案内するガイド部と、
上記本体フレームに伸縮可能に設けられ、上記マンホールの内壁を押圧して上記本体フレームを解除可能に固定する固定機構を備えてなる管体引込み装置である。
【0013】
本発明において、上記固定機構として、上記本体フレームに設けられた支持体と、その支持体からマンホールの直径方向に伸縮し、伸張した場合は上記マンホールの内壁を押圧し、収縮した場合は上記マンホールの内壁から離間する伸縮部品を有することができる。
【0014】
本発明において、上記支持体がマンホールの直径方向に配置され、上記伸縮部品として、その支持体に沿ってスライド移動する可動部と、この可動部と上記記支持体とを連結しているリンク機構とを有することができる。
【0015】
本発明において、上記伸縮部品として、上記支持体から伸縮するボールねじを有することができる。
【0016】
本発明において、上記ガイド部として、上記本体フレームに設けられ、上記マンホール内に降下される上記管体の上面と接触して転動するローラを有することができる。
【0017】
本発明において、上記ローラは上記管体案内方向において複数段配置することができる。
【0018】
本発明において、上記ガイド部として、上記管体の外周下部を支承して上記管体を摺動させる、そり状に配設された複数の棒状部材をさらに有することができる。
【0019】
本発明は、上記構成を有する管体引込み装置をマンホール内に配置し、
上記固定機構によって上記管体引込み装置を上記マンホール内に固定し、
上記管体を上記マンホールの上部開口から挿入し、
挿入した上記管体を上記ガイド部を介して移動させることにより、排水管に案内し、
案内された上記管体を排水管内に挿入する管体引込み方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、マンホール内に簡単に設置することができ、更生管をそのマンホールから排水管内に円滑に案内することができる管体引込み装置および管体引込み方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る引込み装置が適用される排水管構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明の引込み装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2のガイド部とガイド輪の配置を示す正面図である。
【図4】(a)は引込み装置の平面図、(b)は側面図、(c)は右正面図である。
【図5】(a)は引込み装置に設けられた治具固定装置の固定解除状態を示す斜視図、(b)は固定状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る引込み装置をマンホール内に固定した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す斜視図である。
【図9】従来の管体引込み方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0023】
1.引込み装置が適用される排水管構造
図1は、本発明の管体引込み装置(以下、引込み装置と略称する)が適用される排水管構造を示した縦断面図である。
【0024】
同図において、土中に複数本埋設される排水管(下水管)53は通常、コンクリート製管からなり、各排水管53は、排水経路に配設されたマンホール52および59の下部に設けられた開口部52aおよび59aにそれぞれ接続されている。
【0025】
なお、本実施形態では左側のマンホール52から老朽化した排水管53内に、可撓性を有する管体としての更生管を挿入する場合を例に取り説明する。
【0026】
排水管53を更生するにあたってその排水管53を点検する場合、まず、その内部にカメラを挿入し、亀裂が発生しているかどうか調査が行われる。調査した結果、亀裂が発生しており補修の必要があれば、補修準備として排水管53内を高圧洗浄水で洗浄する。なお、図中、60は洗浄水が他の排水管内に入ることを防止するための止水栓である。
【0027】
次に、更生管を引き込むための準備としてマンホール52内に引込み装置を設置する。
【0028】
2.引込み装置
図2は引込み装置の全体構成を示す斜視図である。
【0029】
2.1 本体フレーム
同図において、引込み装置1は、平面から見て窓枠状に形成された本体フレーム2を有している。なお、この本体フレーム2において、更生すべき排水管に向けて配置される側をフレーム前側2aと呼び、その反対側をフレーム後側2bと呼ぶ。
【0030】
フレーム前側2aの前板2cには円弧状の切欠きが形成されており、その切欠きに沿って円弧状の鍔部2dが設けられている。この鍔部2dは、排水管53の内壁に対し部分的に当接することにより引込み装置1の位置決めをするようになっている。
【0031】
前板2cの左右両側にはマンホールの内壁周面に沿うことができるアール部2e,2eが縦方向に設けられており、前板2cの左右両側をマンホール52の内壁に当接させることができるようになっている。
【0032】
また、本体フレーム2の側壁にはフランジ部2hが形成されており、このフランジ部2hから高さ調整用のボルト(図示しない)を垂下させれば、マンホール52の底面から所定の高さに本体フレーム2を配置することができる。
【0033】
2.2 ガイド部
フレーム後側2bには、更生管を排水管に案内するための複数のガイド部3a〜3dが固定されている。複数のガイド部3a〜3dは下向き凸に湾曲するパイプ(棒状部材)によって構成されており、更生管の下面を支承して更生管を摺動させることができるように全体として「そり」の形態に構成されている。
【0034】
フレーム後側2bの後板2fには車輪4を備えた脚部4aが設けられている(図4(b)参照)。この脚部4aは後板2fに設けられた水平軸(図示しない)を中心として矢印A方向に揺動することができるように構成されている。
【0035】
また、本体フレーム2の中間部にはフレーム幅方向にシャフト5が架設されており、そのシャフト5にはローラとしてのガイド輪5a,5bが離間した状態で設けられている。
【0036】
なお、フレーム中間部には垂直方向にスリット2gが設けられており、このスリット2gを介して上記シャフト5がナット5cによって固定されている。すなわち、ナット5cを緩めれば、シャフト5をスリット2g長さの範囲内で昇降させることができ、それにより、ガイド輪5a,5bとガイド部3a〜3dとの間隔を調整することができるようになっている。
【0037】
上記ガイド部3a〜3dおよびガイド輪5a,5bは、マンホール内に降下される更生管RPを排水管方向に案内するガイド部として機能する。
【0038】
図3は、上記ガイド部3a〜3dと上記ガイド輪5a,5bの配置を正面から示したものである。
【0039】
同図において、各ガイド部3a〜3dは、更生管RPの外周下部に沿うことができるように円弧に配列されており、一方、ガイド輪5a,5bは更生管RPの外周上部を押えることができるように配置されている。
【0040】
詳しくは、ガイド輪5a,5bは、裾部が円錐状に拡がっているテフロン(登録商標)製のローラからなり、更生管RPの外周上部の二か所に部分的に接触し、更生管RPを排水管53内に引き込む際に更生管RPの浮き上がりを防止するようになっている。
【0041】
上記ガイド部3a〜3dおよびガイド輪5a,5bによって囲まれる空間は、更生管を通過させるための通路として機能する。
【0042】
図4(a)は上記引込み装置1の構成を示す平面図、同図(b)はその側面図、同図(c)はその右正面図である。
【0043】
図4(a)〜(c)において、ガイド部3a〜3dの上部は接続フレーム6によってフレーム幅方向に接続されており、その接続フレーム6からフレーム前側2aに向けてアーム7が延設されている。
【0044】
このアーム7はガイド部3a〜3dとの間に、遊びを持たせた状態で更生管RPを通すことができる程度にU字状に折り曲げ加工されたパイプからなり、アーム7の両端7a,7bは接続フレーム6の各側壁6a,6bから突出している水平軸9に枢支されている。
【0045】
したがって、アーム7は上記水平軸9まわりに揺動することができるようになっている。
【0046】
このアーム7の先端部7cに後述する引込み装置固定機構8が設けられている。
【0047】
なお、接続フレーム6の後板6cについてもアール部6dが設けられており、後板6cをマンホールの側壁に密着させることができるようになっている。
【0048】
上記アール部6dにスペーサを1または複数枚設ければ、マンホール内壁に対し後板6cを当接しやすくなる。
【0049】
2.3 引込み装置固定機構
図5は引込み装置固定機構(以下、固定機構と略称する)8を拡大して示した側面図であり、同図(a)は固定を解除した状態を示し、同図(b)は固定状態を示している。
【0050】
両図において、固定機構8は、アーム7の先端部7cからフレーム前側2aに向けて延設された外筒部(支持体)8aとこの外筒部8aに入れ子式に挿入される内筒部(可動部)8bとを有している。
【0051】
内筒部8bは外筒部8aよりも長く形成されており、内筒部8bの後部には更生管RPが接触してもその更生管RPの引き込み動作を阻害しないように円弧状の滑り板8cが取り付けられている。
【0052】
また、内筒部8bの先端には雌ねじ部が設けられており、その雌ねじ部に六角頭付きボルト8dが螺合されている。この雄ねじ部を締める方向または緩める方向に回転させることにより、六角頭付きボルト8dの突出量を調整することができるようになっている。なお、突出量が調整された六角頭付きボルト8dはナット8eで固定される。
【0053】
また、内筒部8bの前側端部を上から覆うようにして断面コ字状の可動片8fが配置されている。
【0054】
この可動片8fの前端部8gは内筒部8bを幅方向に貫通する軸8hに枢支されており、可動片8fの後端部は一対のリンク8jを介して外筒部8aの側壁に連結されている。
【0055】
可動片8fは軸8hを支点として矢印B方向に揺動し、可動片8fと外筒部8aはリンク8jを介して連結され、外筒部8aは固定であるため、可動片8fの上面に立設された操作レバー8iを矢印C方向に操作すると、L字形に曲っていた可動片8fおよびリンク8jが、図5(b)に示すように略直線に変位し、内筒部8bが外筒部8aをガイドとしてその外筒8aの端部から矢印D方向に伸張する。
【0056】
これとは逆に、操作レバー8iを元の姿勢に戻すと、可動片8fおよびリンク8jがL字形に折り曲がり内筒部8bが外筒部8aをガイドとして縮小する。上記可動片8fおよびリンク8jはリンク機構を構成している。
【0057】
なお、上記内筒部8bおよびそれを移動させる可動片8f、リンク8j、操作レバー8iは伸張した場合はマンホールの内壁を押圧し、縮小した場合はマンホールの内壁から離間する伸縮部品として機能する。
【0058】
2.4 更生管
更生管RPは、直管部と、その直管部の外壁に螺旋状に形成された突条部とを有し、上記直管部はさらに下巻軟質樹脂層と上巻軟質樹脂層とその両樹脂層の間に介設された網状補強材とから構成されている。
【0059】
下巻および上巻軟質樹脂層は、耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂、例えば塩化ビニル樹脂,ポリオレフィン樹脂や、例えばオレフィン系、スチレン系の熱可塑性エラストマー等から成形することができ、網状補強材は下巻軟質樹脂層と上巻軟質樹脂層が管状に成形される際に両樹脂層の間に挟み込まれる。
【0060】
この網状補強材は、更生管RPの一方端から他方端まで通っているため管軸方向の引っ張りに対して対抗するようになる。
【0061】
また、突条部は耐薬品性に優れた熱可塑性樹脂、例えば塩化ビニル、ポリオレフィン樹脂等から構成することができる。
【0062】
また、上記更生管RPの突条部は螺旋状に形成したものに限らず、リング状に形成したものであってもよい。
【0063】
3.引込み装置の固定方法
図6において、マンホール52の内側底部には通常、排水管53と連通するインバート52bが形成されている。
【0064】
クレーンを使用し、引込み装置1を傾斜させた姿勢で吊り下げ、マンホール52内にゆっくりと降ろす。この際、車輪4を矢印E方向に引き出し、マンホール52の側壁にその車輪4を当てることにより、引込み装置1を滑らかに降ろす。
【0065】
上記インバート52bの向きに引込み装置1を一致させる。詳しくは、本体フレーム2の前側2aを排水管53に対向させ、インバート52bとガイド部3a〜3dの向きとを一致させる。
【0066】
次いで、フレーム前側2aの鍔部2dを排水管53内に挿入する。
【0067】
次いで、アーム7を略水平姿勢になるように引き上げる。
【0068】
この状態で固定機構8の操作レバー8iを矢印C方向に倒し、図5(b)に示したように、外筒部8aをガイドとして内筒部8bを矢印D方向に伸張させ、六角頭付きボルト8dをマンホール52の側壁に強く押し付ける。
【0069】
それにより、固定機構8の反対側に位置する接続フレーム6の後板6cがマンホール52の側壁に押圧される。
【0070】
その結果、後板6cの左右両側に設けられている一対のアール部6d(図4(a)参照)と六角頭付きボルト8dとの3点によって引込み装置1はマンホール52内に安定した状態で固定される。
【0071】
4.更生管の引込み
次に、本発明の引込み装置1を用いた更生管RPの引き込み方法について図6を参照しながら説明する。
【0072】
なお、説明に際してはマンホール52から排水管53に更生管RPを引き込む場合を例に取り説明する。
【0073】
引込み装置1を上述した方法でマンホール52に固定した後、更生管RPをマンホール52の上部開口から引き込む。
【0074】
引き込みにあたっては、更生管RPの先端に予め引込み用のキャップ10を取り付け、そのキャップ10に対し他方側のマンホール59(図1参照)から引込んだワイヤ11を接続するものとする。上記ワイヤ11はマンホール59側に設置した図示しないウインチを駆動させることによって巻き取る。
【0075】
ワイヤ11によって引っ張られマンホール52内を降下する更生管RPの先端は、ガイド部3a〜3dとアーム7とによって囲まれた空間に案内される。
【0076】
更生管RPは、ガイド部3a〜3dにその下面を支持されながらガイド部3a〜3dの湾曲に沿って移動しその向きを次第に水平方向に変更する。
【0077】
このとき、ガイド輪5a,5bは、更生管RPの上面と接触しながら転動し、更生管RPの浮き上がりを防止する。
【0078】
フレーム前側2aの鍔部2dは排水管53内に挿入されているため、水平方向に向きを変えた更生管RPは排水管53内に円滑に案内される。
【0079】
なお、更生管RPの引き込みが完了すると、操作レバー8iを矢印C方向と逆方向に戻すだけで引込み装置1の固定を解除することができる。
【0080】
5.本発明に係る引込み装置の第2の実施形態
図7は本実施例の第2実施形態を示したものであり、底面に凹部10aを形成したマンホール10で使用する引込み装置の構造である。
【0081】
下部フレーム13は、平面視すると、十文字形状を構成し、その一方端の外周縁部に、横スライドボルト13bを設置し、この横スライドボルトでマンホール10への当接を行う。さらに、この当接を確実に行うために、凹部10aの側壁10bに、板状のストッパー13aが下部フレーム13に溶接されている。
【0082】
下部フレーム13の中央部に立設したガイド輪14付きのフレーム17を、高さ調整ボルト12を介して、高さ調整を行う。なお、この高さ調整ボルト12は、中央部に限定されず、排水管(図示しない)の開口部から近い位置に設ける。
【0083】
複数の外ガイド部11及び内ガイド部11aは、上述した実施形態と同様に、「そり」の形態に構成されている。
なお、この外ガイド部11及び内ガイド部11aは、フランジ補強板19を介して、複数箇所において、溶接固定されており、強度の安定性を図る。
【0084】
フランジ18は、外ガイド部11及びフレーム17に溶接固定されている。
【0085】
外ガイド部11及び内ガイド部11aの上部には、方形状のアーム15が水平方向で固定されている。そして、この両端には、雄ネジ部15bを形成し、この雄ネジ部15bにボルト15aを介して、フレームストッパー15cが、接続されている。なお、この雄ネジ15bを締める又は緩める動作により、フレームストッパー15cが、マンホール10の内側に、当接又は離間される。上記アーム15およびボルト15aは固定機構として機能する。
【0086】
管体としての管16は、マンホール10の上部より挿入され、外ガイド部11及び内ガイド部11aに沿って、開口部10cより引き込む。
【0087】
6.本発明に係る引込み装置の第3の実施形態
6.1 本体フレーム
図8に示す第三の引込み装置20は本体フレーム21を有し、その本体フレーム21の前側には、複数用意されている前板(支持体)21aの中から選択された前板21aが脱着可能に接続されている。
【0088】
その前板21aの下部には円弧状の切欠き21bが形成され、その切欠き21bに沿って円弧状の鍔部21cが設けられている。この鍔部21cは、排水管53(図1参照)の内壁上部に対し部分的に当接することにより引込み装置20の位置決めをするようになっている。また、鍔部21cは更生管RPを円滑に排水管内に案内できるよう側面から見た断面は先下がりに形成されている。
【0089】
更生管RPの径に応じて適切な前板21aを取り替えることにより、更生管RPを円滑にインバートの底面と鍔部21cとに当接させ、最小の曲げ半径で更生管RPを排水管内に引き込むことが可能になる。
【0090】
本体フレーム21の側壁21dの下部にはフランジ部21e(手前側のみ図示)が形成されており、これらのフランジ部21eの前側および後側にそれぞれナット22が固定されている。
【0091】
これらのナット22にアジャスタボルト23が螺合しており、それらのアジャスタボルト23を垂直軸まわりに回転させると、マンホール52(図1参照)の底面から所定の高さに且つ水平に、本体フレーム21を配置することができる。
【0092】
また、本体フレーム21の後部は、水平に配置された2枚の接続板21fによって接続されている。
【0093】
これらの接続板21fには、下向き凸に湾曲した筒状のガイド部26a、26bが取り付けられており、更生管RPの下部を支承して排水管の方向に向けてガイドするようになっている。なお、ガイド部26aとガイド部26bは連結部26cを介して接続されており、ガイド部26aをガイド部26bから取り外すことができるようになっている。
【0094】
本体フレーム21をマンホール内にスリング等で吊り下げ、設置するような場合には、ガイド部26aがマンホール内壁に衝突しないようにガイド部26aを取り外すことができる。
【0095】
なお、図中、27は把手部であり、本体フレーム21をマンホール内に設置する際に、その把手部27を把持することで本体フレーム21を簡単に移動させることができる。
【0096】
6.2 ガイド輪
本体フレーム21の前側上部には一対のブラケット21g,21gが設けられている。
【0097】
2つのブラケット21g,21gの間にはフレーム幅方向にシャフト24が架設されており、そのシャフト24にはローラとしてのガイド輪25a,25bが離間した状態で設けられている。
【0098】
本体フレーム21の側壁21dにはブラケット取付孔21hが複数箇所設けられており、垂直方向および水平方向へブラケット21gを移動させることができるようになっている。このようにブラケット21gを移動させることにより、ガイド輪25a,25bの位置調整が可能になり、最小の曲げ半径でしかも更生管RPに対し過度な負荷を与えることなく引込みを行うことができる。
【0099】
上記ガイド輪25a,25bは、更生管RPを排水管入口に案内するガイド部として機能するようになっている。詳しくは、ガイド輪25a,25bは、裾部が円錐状に拡がっているテフロン(登録商標)製のローラからなり、更生管RPの外周上部について円周方向二か所に部分的に接触するようになっている。
【0100】
それにより、更生管RPを排水管53内に引き込む際に、上記ガイド部26a、26bと協働して、更生管RPの向きを排水管入口方向に向けることができ、ガイド輪25a,25bは更生管RPの浮き上がりを防止するようになっている。
【0101】
なお、上記実施形態では本体フレーム21に1組みのガイド輪を設けたが、更生管RPをガイドする方向にガイド輪を複数組み設けることもできる。
【0102】
6.3 固定機構
固定機構28は、矢印F方向にまたはその逆方向に伸縮し得る押圧板28aを有している。
【0103】
この押圧板28aは、プレート28bに設けられた支点28cを中心として矢印G方向に若干、揺動することができ、マンホールの躯体内壁に密着させることができるようになっている。
【0104】
上記プレート28bは平行に配置された2本のガイドピン28dの先端に固定されており、これらガイドピン28dは前板21aに設けられた軸受け28eによって摺動するようになっている。
【0105】
プレート28bの中央部にはボールねじ(伸縮部品)28fの先端が連結されており、そのボールねじ28fに後端に設けられた操作部28gを、時計まわりまたは反時計まわりに回転させることにより、押圧板28aを矢印F方向またはその逆方向に移動させることができるようになっている。
【0106】
また、本体フレーム21の後部を接続している接続板21fの中央にも、本体フレーム21の後部をマンホール内壁に固定する固定部29が備えられている。
【0107】
この固定部29は、円弧状の固定板29aと、この固定板29aを接続板21fに接続するための接続金具29bを備えており、固定板29aはその接続金具29bに設けられた支点部29cを介して垂直軸まわりに若干、揺動(矢印H方向)できるようになっている。
【0108】
また、本体フレーム21の前側に設けられた上板21iの中央には水準器30が設けられている。
【0109】
6.4 更生管の引込み
次に、上記引込み装置20を用いた更生管RPの引き込み方法について説明する。
【0110】
引込み装置20をマンホール52内に降ろし、凹部10a(図7参照)近傍の段部に、アジャスタボルト23の下端を据え、水準器30を見ながら各アジャスタボルト23を垂直軸まわりに回転させることにより、本体フレーム21の姿勢を水平にする。このとき、固定板29をマンホール内壁に接触させておく。
【0111】
次に、操作部28gを時計回りに回転させることにより、押圧板28aをマンホール内壁に押し付けていく。それにより、本体フレーム21がマンホール内壁に固定される。
【0112】
次に、更生管RPをマンホール52の上部開口から引き込む。
【0113】
ワイヤによって引っ張られマンホール52内を降下する更生管RPは、まず、ガイド部26a、26bに支承されて、その方向を排水管の方向に向け、次に、ガイド輪25a,25bと接触し、それらガイド輪25a,25bが転動することにより、浮き上がりが防止された状態で排水管53内に案内される。
【0114】
更生管RPの引き込みが全て完了すると、操作部28gを反時計方向に回転させることにより、本体フレーム21の固定が解除され、引込み装置20をマンホールから取り出すことができる。
【符号の説明】
【0115】
1 引込み装置
2 本体フレーム
2a フレーム前側
2b フレーム後側
2c 前板
2d 鍔部
2e アール部
2f 後板
2g スリット
3a〜3d ガイド部
4 車輪
4a 脚部
5 シャフト
5a,5b ガイド輪
5c ナット
6 接続フレーム
6a,6b 側壁
6c 後板
6d アール部
7 アーム
7a,7b 両端
7c 先端部
8 固定機構
8a 外筒部
8b 内筒部
8c 滑り板
8d 六角頭付きボルト
8e ナット
8f 可動片
8g 前端部
8h 軸
8i 操作レバー
8j リンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する管体を、マンホールからそのマンホールに接続されている既設の排水管内に引き込むための引込み装置であって、
上記マンホール内で上記排水管に向けて配置される本体フレームと、
上記本体フレームに設けられ、上記マンホール内に降下される上記管体を上記排水管内に案内するガイド部と、
上記本体フレームに伸縮可能に設けられ、上記マンホールの内壁を押圧して上記本体フレームを解除可能に固定する固定機構を備えてなることを特徴とする管体引込み装置。
【請求項2】
上記固定機構として、上記本体フレームに設けられた支持体と、その支持体からマンホールの直径方向に伸縮し、伸張した場合は上記マンホールの内壁を押圧し、収縮した場合は上記マンホールの内壁から離間する伸縮部品を有する請求項1に記載の管体引込み装置。
【請求項3】
上記支持体がマンホールの直径方向に配置され、上記伸縮部品として、その支持体に沿ってスライド移動する可動部と、この可動部と上記記支持体とを連結しているリンク機構とを有する請求項2に記載の管体引込み装置。
【請求項4】
上記伸縮部品として、上記支持体から伸縮するボールねじを有する請求項2に記載の管体引込み装置。
【請求項5】
上記ガイド部として、上記本体フレームに設けられ、上記マンホール内に降下される上記管体の上面と接触して転動するローラを有する請求項1または2に記載の管体引込み装置。
【請求項6】
上記ローラが上記管体案内方向において複数段配置されている請求項5に記載の管体引込み装置。
【請求項7】
上記ガイド部として、上記管体の外周下部を支承して上記管体を摺動させる、そり状に配設された複数の棒状部材をさらに有する請求項1または2に記載の管体引込み装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の管体引込み装置をマンホール内に配置し、
上記固定機構によって上記管体引込み装置を上記マンホール内に固定し、
上記管体を上記マンホールの上部開口から挿入し、
挿入した上記管体を上記ガイド部を介して移動させることにより、排水管に案内し、
案内された上記管体を排水管内に挿入することを特徴とする管体引込み方法。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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