説明

管台および曲がり管並設保持構造

【課題】曲がり管同士を互いに結合保持させる一対の管保持部材に横方向への無理な力が作用するのを回避できると共に、管保持部材同士を管保持部材に対して管保持部の延びる方向からの組み付けることができる管台および曲がり管並設保持構造を提供すること。
【解決手段】管台12は、凹部13g,管保持孔17をそれぞれ有し且つ互いに合わせられた下面13b1,上面15a1をそれぞれ有する第上管枕13,下管枕14を備えている。また、下面13b1,上面15a1の一方に係合溝24,24′が形成され且つ下面13b1,上面15a1の他方に係合溝24,24)にスライド自在に係合する係合突起23,23′が設けられている。しかも、係合溝24,24′は、凹部13g,管保持孔17に保持される第1,第2の曲がり管10,11の中心線O1,O2が延びる方向と平行な第1の係合溝24a,24a′、及び第1の係合溝24a,24a′と直交する第2の係合溝24b,24b′から十字状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、並設される曲がり管同士を結合保持させる管台および曲がり管並設保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電力ケーブルや通信ケーブル等のケーブルを例えば共同溝に配設するような場合に、ケーブルの種類毎に設けた複数の管を並設させた状態で共同溝に沿って配設し、種類毎に分けたケーブルを各管に挿通保持させるようにしているのが普通である。
【0003】
このような複数の管は、上下に多段に配設するために、互いに間隔をおいて管枕(管台)により結合保持させることが行われている。このような管枕としては、例えば図17(a)に示したように、管保持部1a,2aの延びる方向に相対移動可能に結合した2つの管保持部材1,2を備えるものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
ところで、上述した管としては、障害物を避けたり、向きを変えたりするために曲がり管等を用いることも考えられている。
【0005】
このような場合、図17(b)に矢印Bで示したように管保持部材2が管保持部材1に対して横方向にスライドできれば、並設された曲がり管同士を管保持部部材1,2で互いに結合保持させる際に、曲がり管から管保持部材1,2に横方向への無理な力が作用しない。
【0006】
しかしながら、管保持部材2が管保持部材1に対して横方向にスライドできなかったために、並設された曲がり管同士を互いに結合保持させる際に、曲がり管から管保持部材1,2に横方向への無理な力が作用することもあった。
【0007】
このような問題を解決するものとして、図17(b)に矢印Bで示したように管保持部材2が管保持部材1に対して横方向にスライドできるようにした管枕や配管用枕台も知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
【特許文献1】実公平07−03622号公報
【特許文献2】特開平10−227374号公報
【特許文献3】特開平10−169840号公報
【特許文献4】特開平10−160049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、この管枕や配管用枕台では、管保持部材2が管保持部材1に対して管保持部1a,2aの延びる方向へのスライドができないため、管保持部材2を管保持部材1に対して管保持部1a,2aの延びる方向からの組み付ける必要があるような場所では、管保持部材2を管保持部材1に対して管保持部1a,2aの延びる方向からの組み付けることができないものであった。
【0009】
そこで、この発明は、曲がり管同士を互いに結合保持させる一対の管保持部材に横方向への無理な力が作用するのを回避できると共に、管保持部材同士を管保持部材に対して管保持部の延びる方向からの組み付けることができる管台および曲がり管並設保持構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、請求項1の発明は、管保持部をそれぞれ有し且つ互いに合わせられた第1,第2の平面をそれぞれ有する第1,第2の管保持部材を備え、前記第1,第2の平面の一方に蟻溝が形成され且つ前記第1,第2の平面の他方に前記蟻溝にスライド自在に係合する突部が設けられた管台において、
前記蟻溝は、前記管保持部に保持される管部材の中心線が延びる方向と平行な第1の蟻溝部、及び前記第1の蟻溝部と直交する第2の蟻溝部から十字状に形成されている管台としたことを特徴とする。
【0011】
また、上述した目的を達成するため、請求項2の発明は、並設された第1,第2の曲がり管の延びる方向に間隔をおいて配設され複数の管台が設けられ、前記管台は第1,第2の管保持部材を備え、前記第1,第2の管保持部材は第1,第2の管保持部をそれぞれ有すると共に互いに合わせられた第1,第2の平面をそれぞれ有し、前記第1,第2の平面の一方に蟻溝が形成され且つ他方に前記蟻溝にスライド自在に係合する突部が設けられ、前記第1,第2の管保持部に前記第1,第2の曲がり管をそれぞれ保持させることにより、前記第1,第2の曲がり管同士を互いに結合保持させるようにした曲がり管並設保持構造であって、前記蟻溝は、前記管保持部に保持される曲がり管の中心線が延びる方向と平行な第1の蟻溝部、及び前記第1の蟻溝部と直交する第2の蟻溝部から十字状に形成されて、前記第1,第2の管保持部材は前記第1,第2の曲がり管の延びる方向とこれに直交する方向に相対移動可能に設けられている曲がり管並設保持構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような管台および曲がり管並設保持構造によれば、曲がり管同士を互いに結合保持させる一対の管保持部材に横方向への無理な力が作用するのを回避できる。しかも、管保持部材同士を管保持部材に対して管保持部の延びる方向からの組み付けることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1(a)は、共同溝(図示せず)の配管棚(図示せず)上に図1(b)のように上下に位置させて並設した第1,第2の曲がり管10,11の平面図を示したものである。この第1,第2の曲がり管10,11は、配管棚(図示せず)の水平方向への曲がりに合わせて図1(a)に示したように水平方向に湾曲させられている。尚、第1,第2の曲がり管10,11内には通信ケーブルや電線等のケーブルCが配設されている。
【0014】
この第1の曲がり管10は、直線管10a,10d間に2つの曲管10b,10cを直列に接続したものである。この2つの曲管10b,10cは水平方向に且つ互いに反対方向に湾曲させられている。
【0015】
また、第2の曲がり管11も第1曲がり管10と略同様に構成されていて、図2(b)に示すように直線管11a,11dと2つの曲管11b,11cを有する。尚、図示の便宜上、第2の曲がり管11の詳細な構成は図1(a)では省略している。
【0016】
次に、図1(a)において、曲管10b,10c,11b,11cの水平方向の曲がり(曲率半径)を5mR(Rは半径の略)とした場合について説明する。この場合、第1の曲がり管10の管10a〜10dの各接続部と第2の曲がり管11の管11a〜11d各接続部は、上下の第1,第2の曲がり管10,11同士の間隔を狭くするために、図1(b)に示すように略300mmだけずらす必要があった。
【0017】
また、図1(a)の曲管10bの曲がり部Bにおける図1(b)の曲管10b,11bの水平方向の間軸のズレ量、及び曲管10cの曲がり部Bにおける図1(b)の曲管10c,11cの軸線の水平方向のズレ量は図1(e)に示すように略25mmとなった。
【0018】
尚、曲管10b,10c,11b,11cの水平方向の曲がり(曲率半径)を5mR(Rは半径の略)とした場合、曲管の接続本数に拘わらず、即ち図1(c)の如く第1の曲がり管10の曲管10b及び10cをそれぞれ二本設け、同様に第2の曲がり管11の曲管11b及び11cをそれぞれ二本設けた場合であっても、第1の曲がり管10を構成する複数の管同士の接続部と第2の曲がり管11を構成する複数の管同士の接続部は、即ち上下で隣接する接続部同士は、図1(d)に示すように略300mmだけずらす必要がある。この場合も、曲がり部Bにおける上下の曲管の軸線の水平方向のズレ量は図1(e)に示すように略25mmとなった。
【0019】
また、図2(a)において曲管10b,10c,11b,11cの水平方向の曲がり(曲率半径)を10mR(Rは半径の略)とした場合、第1の曲がり管10を構成する複数の管同士の接続部と第2の曲がり管11を構成する複数の管同士の接続部は、即ち上下で隣接する接続部同士は、図2(b)に示すように略300mmだけずらす必要がある。この場合、曲がり部Bにおける上下の曲管の軸線の水平方向のズレ量は図2(c)に示すように略12mmとなった。
<管台>
このような第1,第2の曲がり管10,11同士を複数箇所で支持する管台12は、図1(e),図2(c),図3に示すように上管枕(第1の管保持部材)13と下管枕(第2の管保持部材)14を有する。
(上管枕13の中空構造)
この上管枕13は、図3に示すように上壁13aと下壁(底壁)13b及び左右の側壁13c,13dから中空に形成されている。しかも、この上壁13aと下壁13bとの間には、図3に示したように側壁13c,13d間に等ピッチで配列され且つ上壁13aと下壁13bに一体に形成された複数の第1縦リブ13eと、図4のように複数の第1縦リブ13eと直交し且つ第1縦リブ13e及び側壁13c,13dと一体に設けられた第2縦リブ13fを有する。尚、第2縦リブ13fは、図5に示したように上壁13a及び下壁13bと一体に形成されている。
【0020】
そして、上壁13aには、図3に示したように半円状の凹部13gが第1の管保持部(管支持部)として形成されている。また、このような凹部13g上には、図1(e)に示したように第1の曲がり管10が支持(保持)される。尚、この図1(e)において、O1は第1の曲がり管10の中心線を示す。
(下管枕14の中空構造等)
また、下管枕14は、図1(e),図2(c),図3に示したように上下に分割された第1下管枕15と第2下管枕16を有する。
【0021】
この第1下管枕15は、図3に示すように上壁15aと下壁(底壁)15b及び左右の側壁15c,15dから中空に形成されている。しかも、この上壁15aと下壁15bとの間には、図3に示したように側壁15c,15d間に等ピッチで配列され且つ上壁15aと下壁15bに一体に形成された複数の第1縦リブ15eと、図4のように複数の第1縦リブ15eと直交し且つ第1縦リブ15e及び側壁15c,15dと一体に設けられた第2縦リブ15fを有する。尚、第2縦リブ15fは、図5に示したように上壁15a及び下壁15bと一体に形成されている。そして、下壁15bには、図3に示したように半円状の凹部15gが形成されている。
【0022】
更に、第2下管枕16は、図3に示すように上壁16aと下壁(底壁)16b及び左右の側壁16c,16dから中空に形成されている。しかも、この上壁16aと下壁16bとの間には、図3に示したように側壁16c,16d間に等ピッチで配列され且つ上壁16aと下壁16bに一体に形成された複数の第1縦リブ16eと、図4のように複数の第1縦リブ16eと直交し且つ第1縦リブ16e及び側壁16c,16dと一体に設けられた第2縦リブ16fを有する。尚、第2縦リブ16fは、図5に示したように上壁16a及び下壁16bと一体に形成されている。そして、上壁16aには、図3に示したように半円状の凹部16gが形成されている。
【0023】
また、図3に示すように、第1下管枕15の下壁15bは第2下管枕16の上壁16a上に配設されていて、下壁15bと上壁16aは互いに対向させられている。しかも、この下壁部15aの凹部15gと上壁16aの凹部16g間には管保持孔17が第2の管保持部(管支持部)として形成されている。この管保持孔17内には図1(e),図2(c)に示すように第2の曲がり管11が嵌合保持される。この図1(e),図2(c)において、O2は第2の曲がり管11の中心線を示す。
【0024】
更に、図3に示したように、第1下管枕15の下壁15bには、管保持孔17の左右の外側に位置させて係止突起18と係止孔19がそれぞれ形成されている。また、第2下管枕16の上壁16aには、管保持孔17の左右の外側に位置させて係止孔20と係止突起21がそれぞれ形成されている。
【0025】
そして、第1下管枕15の係止突起18は第2下管枕16の係止孔20に着脱可能に嵌着固定され、第2下管枕16の係止突起21は第1下管枕15の係止孔19に着脱可能に嵌着固定されている。これにより、第1下管枕15と第2下管枕16は互いに着脱可能に固定されている。
(上管枕13の下管枕14への係合構造)
また、図3に示したように、上管枕13の下壁13bと第1下管枕15の上壁15aは互いに対向させられ、この下壁13bと上壁15aは互いに対向する下面(平面)13b1及び上面(平面)15a1をそれぞれ有する。この上面15a1は、図3及び図6に示したように下面13b1よりも左右方向の幅が広く形成されている。
【0026】
この上管枕13の下壁13bの左の部分には、図6に示したように、第1の曲がり管10の長手方向、即ち中心線O1の延びる方向に延びる凹部(補強溝)22が形成されている。この凹部22は下壁13bを下方に膨出成形することにより形成されている。しかも、上管枕13の下壁13bの左の部分には、係合突起23が設けられている。
【0027】
この係合突起23は、図7(a)に示したように左右に延びて基部が凹部22の側面22a,22a及び凹部22の上面22bに一体に設けられた起立部23aと、起立部23aの先端に垂直方向に突設されたフランジ23bとを有する。この係合突起23は、図7(b)に示すように、起立部23aとフランジ23bから断面がT字状に形成されている。この起立部23aは、基部が凹部22の側面22a,22a及び凹部22の上面22bに一体に設けられることにより、板面に垂直な方向への外力に対して基端が破損しないように補強されている。
【0028】
また、フランジ23bは、図7に示したように凹部22の幅方向に延びるフランジ部23b1と、フランジ部23b1の両側部から凹部22の長手方向に延びるフランジ部23b2,23b2から平面形状がH字状に形成されている。これによりT字状の蟻溝等に係合したときに遊びによるガタツキが生じないようになっている。
【0029】
また、上管枕13の下壁13bの右側の部分には、図6に示したように、下面13b1に開放する断面T字状の係合溝(蟻溝)24が設けられている。この係合溝24は、第1の曲がり管10の長手方向、即ち中心線O1の延びる方向に延びる第1の係合溝(第1の蟻溝)24aと、この中心線O1と直交する方向に延びる第2の係合溝(第2の蟻溝)24bから十字状に形成されている。尚、第1の係合溝24aは中心線O1の延びる方向における下壁13bの両端に開放し、第2の係合溝24bは右端が側方に開放している。
(下管枕14の上管枕13への係合構造)
また、第1下管枕15の上壁15aには、図6に示したように、凹部22と略同じ凹部22′と、係合突起23と構造が略同じ係合突起23′と、十字状の係合溝24と構造が略同じ十字状の係合溝24′を有する。この構造において、係合溝24′を構成する第2の係合溝24b′が左側方に開放している以外は、係合溝24′は係合溝24と同じである。従って、係合突起23′の係合突起23と同じ部分又は類似する部分、及び係合溝24′の係合溝24と同じ部分又は類似する部分には、係合突起23及び係合溝24に付した符号と同じ符号を付してその構造の説明は省略する。
[作用]
次に、このような構成の管台及び曲がり管の並設保持構造を説明する。
【0030】
上述したように、例えば、曲管10b,10c,11b,11cの水平方向の曲がり(曲率半径)を5mR(Rは半径の略)とした場合、曲管の接続本数に拘わらず、即ち図1(c)の如く第1の曲がり管10の曲管10b及び10cをそれぞれ二本設け、同様に第2の曲がり管11の曲管11b及び11cをそれぞれ二本設けた場合であっても、第1の曲がり管10を構成する複数の管同士の接続部と第2の曲がり管11を構成する複数の管同士の接続部は、即ち上下で隣接する接続部同士は、図1(d)に示すように略300mmだけずらす必要がある。 この場合も、曲がり部Bにおける上下の曲管の軸線の水平方向(軸線O1,02と直交する方向)すなわち横方向のズレ量は図1(e)に示すように略25mmとなる。
【0031】
このような横方向のズレ量が略25mmの第1の曲がり管10と第2の曲がり管11の曲がり部Bを管台12により図示しない共同溝の支持枠等の上に保持(支持)させる場合、先ず下管枕14の第2下管枕16を支持枠(図示せず)上に配設し、第2の曲がり管11の曲がり部Bを第2下管枕16の半円状の凹部16g上に載置する。
【0032】
この後、この第2下管枕16上に第1管枕15を配設して、第1管枕15の凹部15gが第2の曲がり管11の曲がり部Bに係合させると共に、第1下管枕15の係止突起18を第2下管枕16の係止孔20に着脱可能に嵌着固定し、第2下管枕16の係止突起21を第1下管枕15の係止孔19に着脱可能に嵌着固定する。これにより、第1下管枕15と第2下管枕16を互いに着脱可能に固定させて、第1下管枕15と第2下管枕16との間に形成される管保持孔17内に第2の曲がり管11の曲がり部Bを保持(支持)させる。
【0033】
この状態で、第2の曲がり管11上に第1の曲がり管10の曲がり部Bを支持させる場合、管台12の下管枕14上に上管枕13を組み付ける。この場合、図9に示したように、上管枕13の凹部22端を下管枕14の第1の係合溝24′の端に合わせると共に、上管枕13の第1の係合溝24の端を下管枕14の凹部22′の端に合わせて、軸線O1,O2の延びる方向に且つ上管枕13が下管枕14上に重なるように移動させる。
【0034】
これにより、上管枕13の係合突起23が下管枕14の第1の係合溝24a′に軸線方向O1,O2方向には移動可能に且つ上下方向には離反可能に係合すると共に、下管枕14の第1の係合突起23′が上管枕13の第2の係合溝24aに軸線方向O1,O2方向には移動可能に且つ上下方向には離反可能に係合する。
【0035】
そして、上管枕13と下管枕14が軸線O1,O2方向で図10(a),図10(b)に示したように重なると、図6の上管枕13の係合突起23が下管枕14の第2の係合溝24b′に係合し得る位置に対応すると共に、図6の下管枕14の第1の係合突起23′が上管枕13の第2の係合溝24bに係合し得る位置に対応する。
【0036】
この状態で、上管枕13の凹部13gに第1の曲がり管10の曲がり部Bを載置する際、曲がり部Bの部分においては第1の曲がり管10と第2の曲がり管11は上述したように横方向に25mmずれているので、図1(e)に示したように上管枕13を下管枕14に対して横方向に25mm移動させ、曲がり部Bの部分における第1,第2の曲がり管10,11のズレを吸収させる。
【0037】
この結果、第1,第2の曲がり管10,11の曲がり部Bの部分において、上下の第1,第2の曲がり管10,11を管台12で保持させても、第1の曲がり管10と上管枕13との間、第2の曲がり管11と下管枕14との間及び上管枕13と下管枕14との間に横方向への無理な力が作用するのを未然に防止できる。
(変形例1)
また、上述した管台12は、図11(a),図12(a)に示したように左上から右下に湾曲する縦下向きの第1,第2の曲がり管10,11の保持に使用することもできるし、図11(b),図12(b)に示したように左下から右上に湾曲する縦上向きの第1,第2の曲がり管10,11の保持に使用することもできる。
【0038】
この図11(a),図11(b)において曲管10b,10c及び11b,11cは曲率半径が5mとなっており、図12(a),図12(b)において曲管10b,10c及び11b,11cは曲率半径が10mとなっている。
【0039】
そして、図11(a)及び図12(a)の縦下向きの曲管10bと11bの接続端部間の受口間の距離は200mmずらしており、図11(b)及び図12(b)の縦上向きの曲管10bと11bの接続端部間の受口間の距離は400mmずらしている。
【0040】
また、曲管10b,10c,11b,11cの水平方向の曲がり(曲率半径)を10mR(Rは半径の略)とした場合、曲がり部Bにおける上下の曲管の軸線の水平方向(軸線O1,02と直交する方向)すなわち横方向のズレ量は図2(c)に示すように略12mmとなる。このズレも同様にして吸収できる。
(使用例)
また、上述した管台12は、図13(a),図13(b)に示したように、上管枕13を下管枕14に対して左端まで移動させて使用することもできる。また、管台12は、図14(a),図13(b)に示したように、上管枕13を下管枕14に対して右端まで移動させて使用することもできる。
【0041】
更に、図15(a),図15(b)に示したように上管枕13の下面13b1を第1下管枕15の上面15a1とほぼ同じ高さで側方に配設して、図6の上管枕13の係合突起23を第1下管枕15の第2係合溝24′の端から係合させることにより、図16(a),図16(b)に示したように上管枕13を第1下管枕15の右側上に配設すると共に、上管枕13の一部を第1下管枕15の右端から突出するようにして使用することもできる。
【0042】
また、図14(b)に二点鎖線で示したように、上管枕13の下壁13bと第1下管枕15の上壁15aをクリップ30で保持させることにより、上管枕13と下第1管枕15とが横方向にずれるのを防止できる。
【0043】
以上説明したように、この発明の実施の形態の管台12は、管保持部(凹部13g,管保持孔17)をそれぞれ有し且つ互いに合わせられた第1,第2の平面(下面13b1,上面15a1)をそれぞれ有する第1,第2の管保持部材(上管枕13,下管枕14)を備えている。また、前記第1,第2の平面(下面13b1,上面15a1)の一方に蟻溝(係合溝24,24′)が形成され且つ前記第1,第2の平面(下面13b1,上面15a1)の他方に前記蟻溝(係合溝24,24′)にスライド自在に係合する突部(係合突起23,23′)が設けられている。しかも、前記蟻溝(係合溝24,24′)は、前記管保持部(凹部13g,管保持孔17)に保持される管部材(第1,第2の曲がり管10,11)の中心線(O1,O2)が延びる方向と平行な第1の蟻溝部(第1の係合溝24a,24a′)、及び前記第1の蟻溝部(第1の係合溝24a,24a′)と直交する第2の蟻溝部(第2の係合溝24b,24b′)から十字状に形成されている。
【0044】
この構成によれば、曲がり管同士を互いに結合保持させる一対の管保持部材に横方向への無理な力が作用するのを回避できる。しかも、管保持部材同士を管保持部材に対して管保持部の延びる方向からの組み付けることができる
また、この発明の実施の形態の曲がり管並設保持構造は、並設された第1,第2の曲がり管(10,11)の延びる方向に間隔をおいて配設され複数の管台12が設けられ、前記管台12は第1,第2の管保持部材(上管枕13,下管枕14)を備えている。しかも、前記第1,第2の管保持部材(上管枕13,下管枕14)は第1,第2の管保持部(凹部13g,管保持孔17)をそれぞれ有すると共に互いに合わせられた第1,第2の平面(下面13b1,上面15a1)をそれぞれ有し、前記第1,第2の平面(下面13b1,上面15a1)の一方に蟻溝(係合溝24,24′)が形成され且つ他方に前記蟻溝(係合溝24,24′)にスライド自在に係合する突部(係合突部23,23′)が設けられている。また、前記第1,第2の管保持部(凹部13g,管保持孔17)に前記第1,第2の曲がり管(10,11)をそれぞれ保持させることにより、前記第1,第2の曲がり管(10,11)同士を互いに結合保持させるようになっている。しかも、前記蟻溝(係合溝24,24′)は、前記管保持部(凹部13g,管保持孔17)に保持される曲がり管(10,11)の中心線(O1,O2)が延びる方向と平行な第1の蟻溝部(第1の係合溝24a,24a′)、及び前記第1の蟻溝部(第1の係合溝24a,24a′)と直交する第2の蟻溝部(第1の係合溝24b,24b′)から十字状に形成されて、前記第1,第2の管保持部材(上管枕13,下管枕14)は前記第1,第2の曲がり管(10,11)の延びる方向とこれに直交する方向に相対移動可能に設けられている。
【0045】
このような構成によれば、曲がり管同士を互いに結合保持させる一対の管保持部材に横方向への無理な力が作用するのを回避できる。しかも、管保持部材同士を管保持部材に対して管保持部の延びる方向からの組み付けることができる
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】(a)は曲がり管の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の曲がり管に用いる曲管の数を増やした状態の平面図、(d)は(c)の側面図、(e)は(c)の曲がり部における縦断面図である。
【図2】(a)は曲がり管の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(a)の曲がり部における縦断面図である。
【図3】図1(e),図2(c)の管台の詳細な正面図である。
【図4】図3の上管枕,第1,第2下管枕のリブの部分における水平断面図である。
【図5】図3の上管枕,第1,第2下管枕のリブ間の部分における縦断面図である。
【図6】図3の裏面側を手前側にした状態で、上管枕の下面と第1下管枕の上面に設けられる係合突起と係合溝の説明のための分解斜視図である。
【図7】(a)は図6の上管枕の係合突起と第1下管枕の係合溝との関係を示す断面図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図8】(a)は図6の上管枕の係合溝と第1下管枕の係合突起との関係を示す断面図、(b)は(a)の縦断面図である。
【図9】図6の上管枕を管保持部の中心線方向から第1下管枕上に組み付けるための説明用の斜視図である。
【図10】(a)は図9の上管枕が第1下管枕上に組み付けられた状態において矢印A1方向から見た斜視図、(b)は(a)の右正面図である。
【図11】(a)は曲がり管を左上方から右下方に湾曲させて配設したときの説明図、(b)は曲がり管を左下方から右上方に湾曲させて配設したときの説明図である。
【図12】(a)は曲がり管を左上方から右下方に湾曲させて配設したときの他の例を示す説明図、(b)は曲がり管を左下方から右上方に湾曲させて配設したときの説明図である。
【図13】(a)は図10の上管枕を第1下管枕に対して左側にずらした状態の説明図、(b)は(a)の右正面図である。
【図14】(a)は図10の上管枕を第1下管枕に対して右側にずらした状態の説明図、(b)は(a)の右正面図である。
【図15】(a)は上管枕を管保持部の横方向から第1下管枕上に組み付けるための説明用の斜視図、(b)は(a)の右正面図である。
【図16】(a)は上管枕を管保持部の横方向から第1下管枕上に組み付け途中の説明用の斜視図、(a)の上管枕が第1下管枕上に組み付けられた後の右正面図である。
【図17】従来の管台の説明図である。
【符号の説明】
【0047】
10・・・第1の曲がり管
11・・・第2の曲がり管
12・・・管台
13・・・上管枕(第1の管保持部材)
13b1・・・下面(平面)
13g・・・凹部(第1の管保持部)
14・・・下管枕(第2の管保持部材)
15・・・第1下管枕
15a1・・・上面(平面)
17・・・管保持孔(第2の管保持部)
23,23′・・・係合突起(突起)
24,24′・・・係合溝(蟻溝)
24a,24a′・・・第1の係合溝(第1の蟻溝部)
24b,24b′・・・第2の係合溝(第2の蟻溝部)
O1,O2・・・中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管保持部をそれぞれ有し且つ互いに合わせられた第1,第2の平面をそれぞれ有する第1,第2の管保持部材を備え、前記第1,第2の平面の一方に蟻溝が形成され且つ前記第1,第2の平面の他方に前記蟻溝にスライド自在に係合する突部が設けられた管台において、
前記蟻溝は、前記管保持部に保持される管部材の中心線が延びる方向と平行な第1の蟻溝部、及び前記第1の蟻溝部と直交する第2の蟻溝部から十字状に形成されていることを特徴とする管台。
【請求項2】
並設された第1,第2の曲がり管の延びる方向に間隔をおいて配設され複数の管台が設けられ、
前記管台は第1,第2の管保持部材を備え、前記第1,第2の管保持部材は第1,第2の管保持部をそれぞれ有すると共に互いに合わせられた第1,第2の平面をそれぞれ有し、前記第1,第2の平面の一方に蟻溝が形成され且つ他方に前記蟻溝にスライド自在に係合する突部が設けられ、前記第1,第2の管保持部に前記第1,第2の曲がり管をそれぞれ保持させることにより、前記第1,第2の曲がり管同士を互いに結合保持させるようにした曲がり管並設保持構造であって、
前記蟻溝は、前記管保持部に保持される曲がり管の中心線が延びる方向と平行な第1の蟻溝部、及び前記第1の蟻溝部と直交する第2の蟻溝部から十字状に形成されて、前記第1,第2の管保持部材は前記第1,第2の曲がり管の延びる方向とこれに直交する方向に相対移動可能に設けられていることを特徴とする曲がり管並設保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−157376(P2008−157376A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347915(P2006−347915)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】