説明

管理システム、監視装置及び管理方法

【課題】絶え間なく印刷が実行される画像形成装置の稼働情報の収集に関して、複数の稼働情報の整合性を保って取得する仕組みが提供されていないため、課金に必要な情報を締め日に送信することができない。
【解決手段】監視装置は、画像形成装置がジョブ処理中かどうかの状態を監視する。ジョブ処理中でないと判断すると、サブセット(課金に最低限必要な課金カウンタ値)のスナップショット作成を画像形成装置に依頼する。そして、課金のための情報を管理サーバに送信する際、通常のフルセット(部門カウンタ値、課金カウンタ値)のデータが未取得であると判断すると、サブセットを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば画像形成装置の状態などを監視するための管理システム、監視装置及び管理方法に関するものであって、特に、画像形成装置からの情報の取得に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機ビジネスにおいては、複写機等の画像形成装置から印刷枚数の総数などの課金情報を取得して、取得した課金情報に基づいて課金するということが一般的に行われている。例えば、顧客先に設置された複数台の画像形成装置について、部門単位で印刷枚数を集計し、その集計した情報に基づいて保守費用をそれぞれの部門に分配して課金することが広く行われている。
【0003】
また、部門単位の印刷枚数と画像形成装置単位の印刷枚数とを、当該装置の持つ現在値を示すカウンタから順次取得すると、印刷の進行によって部門単位の合計値と装置単位の値との不一致が生じることがあるため、その不一致を防止する方法が提案されている(特許文献1)。その方法では、画像形成装置単位の印刷枚数を、部門単位の印刷枚数の取得の前後でそれぞれ取得し、装置単位の印刷枚数が変化していないことをもって印刷枚数の取得に成功したとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−018500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、印刷枚数を取得する対象となる画像形成装置において絶え間なく印刷が実行されている場合、たとえばPODセンタに配置された画像形成装置などでは、特許文献1記載の方法では印刷枚数の取得に成功することが少なくなる。画像形成装置の使用者の業務時間を外して集計すれば問題は軽減されるが、業務終了時に画像形成装置の電源が切られることもあるし、自動化などにより24時間業務していればそもそも業務時間外がない。このような場合には遠隔の管理サーバへ課金のための情報を送信できないことがある。課金のための情報が、費用請求の締め日(請求書作成日)に管理サーバに送信されない場合、販売会社担当者は顧客先に出向き、印刷枚数を確認しなければならない。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、画像形成装置側に供えられた機能を利用することによって、絶え間なく印刷が実行される画像形成装置であっても課金のための情報を送信する仕組みを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、画像形成して出力された枚数をカウンタ情報として管理する画像形成装置の使用量に関する情報を管理する管理システムであって、
前記画像形成装置は、
カウンタ情報として、複数の種類のカウンタ値を、前記画像形成装置の記憶装置に記録する記録手段と、
前記カウンタ情報の一部を、画像形成動作の合間に記憶装置に複製する複製手段とを有し、
前記画像形成装置に接続された監視装置は、
前記記憶装置に記録された複数の種類のカウンタ値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がある場合には、取得したカウンタ値を有効なカウンタ値として格納する格納手段と、
前記画像形成装置から、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部の取得を試みる試行手段と、を有し、
前記格納手段は、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納する。
【0008】
あるいは他の側面によれば、本発明は以下の構成を有する。
【0009】
カウンタ情報として、複数の種類のカウンタ値を、前記画像形成装置の記憶装置に記録する記録手段と、前記カウンタ情報の一部を、画像形成動作の合間に記憶装置に複製する複製手段とを有する画像形成装置からカウンタの値を取得する監視装置であって、
前記記憶装置に記録された複数の種類のカウンタ値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がある場合には、取得したカウンタ値を有効なカウンタ値として格納する格納手段と、
前記画像形成装置から、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部の取得を試みる試行手段と、を有し、
前記格納手段は、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カウンタ値の取得中にカウンタが進み、カウンタ間の整合性が取れない状態が続いても、画像形成装置が画像形成していない間にカウンタを複製しておくことにより、課金に必要な情報を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態におけるシステムの例を示す図である
【図2】実施形態における監視装置101のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】実施形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】実施形態における監視装置101のソフトウェア構成例を示す図である。
【図5】実施形態における監視装置101のモジュールの関連を示す図である。
【図6】実施形態における画像形成装置のモジュールの関連を示す図である。
【図7】実施形態における画像形成装置内に保持されるカウンタ値の保持形態を示す図である。
【図8】実施形態における監視装置101内に保持するカウンタの保持形態を示す図である。
【図9】実施形態における監視装置101のカウンタ値を取得する契機を説明する図である。
【図10】実施形態における監視装置101の操作画面の一例を示す図である。
【図11】監視装置101が保持するカウンタ取得および送信設定データの一例を示す図である。
【図12】監視装置101のカウンタ値取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】監視装置101のカウンタ値取得処理を示すフローチャートである。
【図14】監視装置101のカウンタ値取得処理を示すフローチャートである。
【図15】監視装置101のカウンタ値取得処理を示すフローチャートである。
【図16】監視装置101のスナップショット作成処理を示すフローチャートである。
【図17】監視装置101のスナップショット取得処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態1]
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は本発明における管理システムの構成の例を示す図である。監視装置101は、顧客先などの監視対象となる画像形成装置102,103,104が設置された顧客ネットワークであるローカルシステム内の装置であり、例えばコンピュータにより実現される。監視装置101は画像形成装置102,103,104から取得した稼動情報をインターネット106経由で管理装置107に送信する。ここで、稼動情報には、印刷枚数や構成部品の使用回数を示すカウンタ情報(あるいは課金情報)、エラーやジャムなどの障害情報、及び環境ログといった履歴情報が含まれる。カウンタ情報は画像形成装置の使用量を示す情報であり、画像形成装置ごとの保守手数料の算定の基礎となる情報である。102、103、及び104は、管理システムでの監視対象となる画像形成装置である。画像形成装置としては、例えばプリンタ及びスキャナ機能やFAX機能などを備える複合機などがあり、何れの機器であっても本発明に関する後述の処理は適用可能である。なお、以下では画像形成装置102を画像形成装置の代表として説明する。
【0014】
管理装置107は、遠隔から監視装置、及び画像形成装置を集中管理する装置であり、例えばコンピュータにより実現される。管理内容としては、監視装置101にカウンタ情報の送信スケジュールを設定したり、稼動情報の中で収集すべき情報の種類を画像形成装置102や監視装置101に設定したりする。なお、管理装置107は、インターネット106を介して多数の顧客ネットワークに接続され、各顧客ネットワークに接続された莫大な台数の監視対象機器を管理することになる。また、管理装置107は、画像形成装置から重大な障害イベントが発生したことを通知された場合には、保守要員を手配するための通知処理などを行う。
【0015】
ここで、管理装置107で管理すべき稼動情報の中で、カウンタ情報は定期的に取得すべき情報である。カウンタ情報には、課金などに用いる印刷枚数が含まれる。管理される印刷枚数には、ひとつの画像形成装置で処理された全印刷枚数の他に、各部門ごとの印刷枚数や、各ユーザごとの印刷枚数も含まれる。この場合、課金に用いるなど厳密な管理が必要な場合は、画像形成装置で処理された全印刷枚数と、各部門(および各ユーザ)の印刷枚数の合計との整合性を保証する必要がある。
【0016】
そこで、たとえば事業所のネットワークなどのローカルシステム内に監視装置101が設置されている場合は、これら印刷枚数を取得したなら一旦記憶し、整合性を検証できた場合に管理装置107にカウンタ情報を送信することが考えられる。
【0017】
本実施形態の管理システムでは、上述した課題を鑑みて、画像形成装置で処理された印刷枚数と、各部門(各ユーザ)による印刷枚数の合計との整合性を保証することが難しい状況に応じた適切な収集手法を実施する。
【0018】
監視装置101は、監視対象として設定された画像形成装置102と接続されると、その画像形成装置102から稼動情報をネットワーク105経由で収集する。本実施形態では、監視装置の情報収集の方法として、監視装置101からの要求に応じて稼動情報を画像形成装置102から取得する方式(プル方式)と、画像形成装置102が自発的に監視装置101に稼動情報を送信してくることで取得する方式(プッシュ方式)の2種類を用いる。
【0019】
<監視装置のハードウェア構成>
図2は監視装置101のハードウェア構成図である。CPU201は、監視装置101全体を制御するためのものである。ROM202はシステム起動に必要なブートプログラムや監視処理などを実現するため各種プログラムを記憶するための読み出し専用メモリである。RAM203は、CPU201でプログラムを実行する際に必要とされる作業メモリ等として用いられる。Network I/F204は、画像形成装置と通信を行い、かつ、管理装置107とインターネット106を介して通信を行うための構成要素になる。表示制御部206には表示部209が接続され、入力制御部207には入力部210、211が接続されている。管理装置107からの情報を含むシステムを運用する上で必要な情報は、これら入出力デバイス(209〜211)を通じて入出力されることになる。HDD208は、CPU201で実行するプログラムやアプリケーション情報などを格納する。また、ここで挙げた構成は、システムバス205に接続された構成をとっている。
【0020】
<画像形成装置のハードウェア構成>
図3は、本実施例において利用する画像形成装置102〜104のハードウェア構成図である。原稿給送部301は、原稿を自動的にイメージリーダ302に送り、イメージリーダ(スキャナ)302により原稿が読み込まれる。画像形成部303は、読み込んだ原稿およびネットワークなどから受信したデータを印刷画像に変換・印刷する。給紙部304は、印刷用の用紙を給紙する。排紙部305は、印刷した用紙のソートやステイプルといった後処理などを施し、排出する。Network I/F306は、LANおよびインターネットなどに接続し、外部との通信を行う。センサ307は、画像形成装置の各部分の状態を検知する。CPU308は、画像形成装置全体を制御する。ROM309は、システム起動に必要なブートプログラムや各種処理を実現するため各種プログラムを記憶する。RAM310は、一時的に記憶すべきデータの記憶する際やCPU201でプログラムを実行する際に必要とされる作業メモリなどとして用いられる。HDD311は、各種処理に関わるプログラムや自装置内で検出された各種情報を含む稼動情報、外部から送信されてきたユーザ情報などを記憶する。画像形成装置単位の印刷枚数カウンタや、部門単位の印刷枚数カウンタはHDD311に格納される。もちろん電源バックアップされたRAMや消去可能なROMに格納することもできる。操作部312は、指示入力を受け付ける。表示部313は、自装置の稼動情報及び操作部312での操作に関わる情報などを表示する。モデム314は、外部接続のための接続回線に接続する。システムバス315は、ここで挙げた各構成を接続する。
【0021】
本実施形態の方法は、図3で示す装置構成以外、具体的にはイメージリーダ302、画像形成部303、及びモデム314などの動作、仕組みが異なったり、構成要素として含まれなかったりする画像形成装置であっても適用可能である。
【0022】
<監視装置のソフトウェア>
図4は監視装置101のソフトウェアブロック図である。監視装置101のソフトウエアには、OS(オペレーティングシステム)401、ライブラリ402、Webサーバ403、アプリケーション404を含む。アプリケーション404の一部として画像形成装置102に関する情報の管理や、管理装置107からの情報に基づく制御などを行うための監視プログラム405を含む。ハードウェア制御プログラム406は、その一部としてネットワークボード制御プログラム407、HD(ハードディスク)制御プログラム408を含む。
【0023】
図5は監視装置101のモジュール関連図である。監視装置101のCPU201が監視プログラム405を実行することで、モジュール501〜507として機能することになる。
【0024】
起動処理部501は、監視プログラムの起動時の処理を制御するものである。起動処理部501は、コマンド処理部502を呼び出す。コマンド処理部502は、カウンタ情報に基づいた顧客への請求期間の最終日である締め日の設定、及び、変更要求を受け付け、設定変更部503を呼び出す。
【0025】
設定変更部503は、コマンド処理部502の前述した要求に応じて取得した情報により、締め日情報を記憶部507に格納する。記憶部507は、格納すべき情報を、RAM203、または、HDD208に記憶させる。また、画像形成装置102から取得する情報の種類に応じた収集方法がプッシュ方式かプル方式かを判断する。
【0026】
取得処理部504は、記憶部507から締め日情報を読み取り、締め日に応じた処理を行う。また、タイマ505からの通知で画像形成装置102からのカウンタ情報取得処理を開始し、取得した情報を記憶部507に格納する。
【0027】
受信制御部506は画像形成装置102からの通知をNetworkI/F204を介して受信し、記憶部507に格納する。
【0028】
コマンド発行部508は、記憶部507から、画像形成装置102からの通知データを取得し、必要に応じて、画像形成装置102に対して送信制御部509を介してコマンドを発行する。
【0029】
送信制御部509はNetworkI/f204を介して画像形成装置102にコマンドを送信する。
【0030】
さらに、情報送信部510はタイマ511からの通知によって処理を開始し、記憶部507から、画像形成装置102から取得したカウンタ情報を読み込み、送信制御部509を介して管理装置107にカウンタ情報を送信する。情報送信部510は、情報の送信に際し、記憶部507に格納されているカウンタ情報のうち、何れを送信するかを判断する。
【0031】
<画像形成装置の構成モジュール>
図6は画像形成装置102〜104のモジュール関連図である。以下の説明でも画像形成装置102を代表として説明する。画像形成装置102においても、CPU308が監視用の制御プログラム(不図示)を実行することでモジュール601〜608として機能することになる。
【0032】
起動処理部601は前述の制御プログラムに基づく画像形成装置102の監視機能の起動時の処理を制御するものである。起動処理部601は、コマンド処理部602を呼び出す。コマンド処理部602は、操作部312、あるいはNetworkI/F306経由での監視装置101からのコマンドを受け付けて、解析して処理する。
【0033】
コマンド処理部602が受け付けたコマンドが、監視装置101からのカウンタ情報送信要求であると判断すると、取得部603が記憶部606に格納されたカウンタ情報を送信制御部605経由で監視装置101に送信する。
【0034】
コマンド処理部602が受け付けたコマンドが、監視装置101からのスナップショット記録要求であると判断すると、現在のカウンタ値(画像形成装置単位および各部門単位のカウンタ)を記憶部606に格納(複製)する。複製されたカウンタ値は、新たなスナップショット記録要求で上書きされたり、あるいは削除されたりしない限り、その値が保持される。なおスナップショットとは、画像形成装置が生成する、或る時点におけるカウンタの複製である。生成のきっかけは監視装置101からの指示などでよい。また複製するカウンタは適宜選択されてよいが、課金カウンタ(課金の基礎となる第1のカウンタ)は少なくとも含まれる。もちろん部門カウンタ(使用者ごとの使用頻度を示す第2のカウンタ)もスナップショットに含めることもできるが、スナップショットは短時間で作成する必要があるため、対象のカウンタの数などに応じて決定すべきであろう。
【0035】
さらに、コマンド処理部602が受け付けたコマンドが、監視装置101からの印刷状態変更通知依頼であると判断すると、通知先となる監視装置101のIPアドレスを記憶部606に格納する。このとき、通知先が格納されているか否かを示す情報としても、格納されていることを示す値をセットする。
【0036】
監視部604は、自装置の印刷状態を監視し、印刷状態が例えば、印刷中から印刷していない状態に変わった場合、記憶部606を参照して、通知先が格納されているか判定し、格納されていると判断すると、送信制御部605経由で印刷状態を通知先すなわち監視装置101に通知する。
【0037】
記憶部606は、本実施形態では各種データをHDD311に格納する。前述したようにRAM310やROM309でもよい。
【0038】
以上が本発明の一実施形態にかかわる管理システムの基本構成である。以下、図7から図17を参照して、本発明の一実施形態に係る詳細、すなわち異なる2つのカウンタである部門カウンタと課金カウンタとの整合性が取れない場合であっても、カウンタ情報を管理装置107に送信するためのカウンタ情報取得処理について詳細に説明する。
【0039】
<部門カウンタおよび課金カウンタ>
ここでは、課金カウンタとは、部門に係りなく、画像形成装置ごとに画像形成した面の数(画像の数)を計数するカウンタを意味する。課金カウンタは課金の基礎となる印刷枚数を数えるものであり、たとえばサイズごとに、かつカラーと白黒の別ごとに設けられる。これをカウンタの種類と呼び、そのカウンタを種類別カウンタと呼ぶことにする。またそれとは別に、印刷枚数の総合計を示すカウンタもある。これをトータルカウンタと呼ぶことにする。種類別カウンタは、形成した画像の総数を示すトータルカウンタを種類ごとに示すことになる。部門カウンタは、部門ごとの印刷枚数を示すものであり、部門ごとの種類別カウンタとトータルカウンタとを含む。すなわち総計を示すトータルカウンタの部門ごとの内訳を示す。ただし、課金カウンタとは異なる構成を持つことも許容されており、たとえばトータルカウンタのみを含めてもよい。なお本実施形態では印刷「枚数」と呼んでいるが、両面印刷などでは各面を1と数える場合もある。この場合カウンタは画像形成装置で形成した面(画面)の数を示す。
【0040】
例えば、2つの部門A,Bが画像形成装置102に設定されており、ある種類の部門カウンタの値が、部門Aについては1000枚、部門Bについては1500枚であれば、画像形成装置のその種類の課金カウンタ値は2500となる。また、部門カウンタの種類と画像形成装置カウンタの種類とは必ずしも一致していなくとも良く、例えば、画像形成装置としての課金カウンタのみに存在するカウンタ値があっても良い。
【0041】
図7は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置内に保持されているカウンタ値の形式の一例を説明するための図である。本実施形態では、1つの画像形成装置が1つ以上の部門によって使用されており、画像形成装置102および監視装置101および管理装置107は、監視対象の画像形成装置に登録された全部門の部門毎のカウンタ情報を図7の形式で保持している。
【0042】
図7(a)は部門カウンタの保持形式を示すものであり、画像形成装置102には、部門数と、部門ごとのカウンタ種類数と、部門数分の部門IDを含む部門IDテーブル701と、部門毎の種類別カウンタのIDと各カウンタの値を含む部門カウンタテーブル702が保持されている。部門カウンタテーブル702を単に部門カウンタと呼ぶこともある。また、図7(b)は画像形成装置単位のカウンタ値である課金カウンタの保持形式を示す。本実施形態では、課金カウンタとして、カウンタ種類数703と、カウンタ種類毎のカウンタ値のテーブル704とを保持する。ここで画像形成装置単位のカウンタ値とは、ある1台の画像形成装置における、部門やユーザに係りないカウンタ値を示す。同じ種類のカウンタが部門カウンタと課金カウンタの両方にふくまれていれば、その種類について、この画像形成装置単位のカウンタ値と部門毎に集計されたカウンタ値の総和とは一致するはずである。
【0043】
尚、本実施形態では、部門毎のカウンタID1と課金カウンタのカウンタID1とがトータルカウンタであるものとして説明する。もちろん、対応する種類別カウンタがあればトータルカウンタと同様に扱える。
【0044】
なお上記カウンタとは別に、或る時点におけるカウンタの複製、すなわちスナップショットが記憶部606に保持される。スナップショットの作成は、監視装置101からの指示に応じて行われる。後述するようにスナップショットは、画像形成動作の合間に作成される。
【0045】
図8は、図14,図15、図17のフローチャートで説明するカウンタ取得動作で監視装置101が取得した、画像形成装置についての部門カウンタ値、課金カウンタ値、及び、スナップショットとして取得したカウンタ値を保持するために、監視装置101が有するテーブルの一例を示す図である。図8の保持形式は基本的に図7で説明したカウンタ保持形式に従う。
【0046】
デバイス特定情報801には、該当する画像形成装置の識別情報たとえばIPアドレスが格納される。監視装置101が通信を行うべき画像形成装置を特定できる情報であれば、IPアドレスに限るものではない。データ取得時刻802は、カウンタ値を取得した時刻が記録され、部門カウンタ値と課金カウンタ値を整合性を保って取得できたかどうかの判断に用いることもできる。
【0047】
トータル枚数808、812とは、用紙サイズや用紙種類、ジョブの種類に係らない、ある部門における全体のカウンタ値を示す。また、カラーコピー枚数809、813は、カラーの複写ジョブの出力枚数を示す。また、カラープリント枚数810、814は、カラーのPDL印刷出力枚数を示す。ここで、PDL印刷とは、外部のコンピュータからの画像形成装置へのPDLジョブ投入による印刷のことを指す。
【0048】
一方、課金カウンタ1(トータル枚数)815、821は、複数部門を跨いだ1台の画像形成装置全体としてのカウンタ値を示す。カウンタ815、808、812は整合性を保って取得したものであるため、カウンタ815の値はカウンタ808とカウンタ812の値の和と一致している。例では、カウンタ821は、カウンタ815,カウンタ808,カウンタ812を取得した後で取得した課金カウンタの値であり、その間に進行した印刷処理によってカウンタ値が増加している。また、カウンタ818(課金カウンタ4のカラーラージ)は用紙サイズが例えばA3以上のカラー印刷をした枚数を示し、カウンタ819(課金カウンタ5のモノクロラージ)は用紙サイズが例えばA3以上の白黒印刷をした枚数を示す。
【0049】
課金カウンタについては、課金カウンタ2ないし5(カウンタ817ないし819)の和が課金カウンタ1(カウンタ816)に一致している。しかしながら、必ずしも一致する必要はない。例えば、課金カウンタ5を除いて図8に示されるカウンタ値保持テーブルを構築しても良い。
【0050】
カウンタ821,822は、課金カウンタ815乃至819の一部のスナップショットである。
【0051】
<カウンタ取得タイミング>
図9は、監視装置101が、部門カウンタと課金カウンタとを取得するタイミングとスナップショットの作成を画像形成装置に依頼をするタイミング、及び、部門カウンタと課金カウンタの整合性がとれない場合を説明する図である。図9中の左側から右側への矢印は時間の経過を現すものである。
【0052】
タイミング901〜904は、監視装置101が画像形成装置102から定期的に部門カウンタ値と課金カウンタ値を取得するタイミングである。タイミング908〜910は、不定期にスナップショットを作成するタイミングである。期間905〜907は、監視対象となる画像形成装置にてジョブが実行されている期間を示す。
【0053】
図14のフローチャートを用いて詳細に説明するが、監視装置101は、定期的なカウンタ値取得では、課金カウンタ値、部門カウンタ値、もう一度課金カウンタ値の順に画像形成装置からカウンタ値を取得する。
【0054】
監視装置101がタイミング901で部門カウンタ値と課金カウンタ値を取得した場合、ジョブ実行中でないため、初めに取得した課金カウンタ値と、最後に取得した課金カウンタ値とは一致する。このため、部門カウンタと課金カウンタの整合性が保たれ、カウンタ値の取得は成功したと判断する。しかし、タイミング902ではジョブ実行中であるため、初めに取得した課金カウンタ値と最後に取得した課金カウンタ値とは一致しないことがあり得る。一致しなければ部門カウンタと課金カウンタの整合性が保たれず、カウンタ値の取得は失敗と判断される。
【0055】
一方、監視装置101は、ジョブが実行されていないタイミング908,909,910などで画像形成装置にスナップショット作成を依頼する。ここで、部門カウンタ値と課金カウンタ値のデータ量は、スナップショットに比べて非常に大きいため、ジョブが実行されていないタイミングで取得することは困難である。これに対してスナップショットはカウンタの一部を対象としており、ジョブが実行されていない期間に複製を完了することができる。
【0056】
<カウンタ取得に係る設定>
図10は、監視装置101が表示制御部206を介して表示装置209に表示する締め日受け付け画面の一例である。図10の例では、締め日指定方法として、日付指定、毎月最終日、管理サーバからの取得の3つの選択肢から、たとえば管理者が指定できる。日付指定の場合には、指定した日付も入力される。なお管理サーバとは管理装置107のことである。この画面での指定はコマンド処理部502によって受け付けられ、次に設定変更部503にて処理され、その結果を記憶部507に記録する。記憶部507に記録した締め日情報は、取得部504により、詳細には図12のステップS1202にて読み込まれる。
【0057】
図11は、監視装置101が保持する、カウンタ取得および送信に係る設定データの一例である。本設定データは記録部507によって、RAM203、あるいは、HDD208に格納されている。またこれらの設定データは不図示のユーザインターフェースにより管理者に入力されても、あるいは管理装置107から取得されてもよい。またその他の方法で設定されてもよい。
【0058】
設定データには、送信メソッド名、対応する送信データの数、送信データの種類が含まれる。図11(a)及び図11(b)は、監視装置101から管理装置107へのデータ送信種類を表す例である。図11(a)は、課金用カウンタとして、部門カウンタ値と課金カウンタ値を送信する際の設定データの例である。図11(b)は、課金用カウンタとして課金カウンタ値のみを送信する際の設定データの例である。図11(a)の設定データは、たとえば販売会社から課金カウンタ値だけでなく、部門毎の課金情報を顧客に提示する場合などに、図11(b)の設定データは、部門毎の課金情報を顧客に提示しない場合に監視装置101の送信情報として設定される。
【0059】
設定データにはまた、定期的に部門カウンタ値と課金カウンタ値とを取得するための時間の設定が含まれる。図11(c)は、定期的に部門カウンタ値と課金カウンタ値とを取得するための設定である。「取得」は、監視装置101の監視対象である全画像形成装置からのカウンタ値取得処理を示し、「再取得」は、「取得」処理で取得に失敗した画像形成装置を対象とした、取得対象となるカウンタ値の取得処理を示す。「取得間隔」と「再取得間隔」とでは、通常、「取得間隔」は例えば12時間、24時間程度であり、「再取得間隔」は、たとえば1から2時間程度である。
【0060】
設定データにはさらに、スナップショットのための設定が含まれる。図11(d)は、スナップショット取得に係る設定であり、取得開始時刻と取得間隔を持つ。スナップショットの取得指示を画像形成装置に送信する時刻を示す。スナップショット取得間隔は、画像形成装置の通信負荷を軽減するために、図11(c)の取得間隔とは別に保持することが望ましい。なおスナップショットの取得指示の時刻は、当該指示が画像形成装置に対して送信される時刻であってスナップショットの取得の時刻ではないことに注意すべきである。
【0061】
<監視装置101によるカウンタ値の取得処理>
図12は、監視装置101が、ROM202に格納された監視プログラム405を実行して画像形成装置102からカウンタ値を取得する処理を示すフローチャートである。処理が開始される前に、RAM203、あるいは、HDD208に図11の形式にてデータが設定されている。
【0062】
ステップS1201において、部門カウンタ値と課金カウンタ値の定期取得処理を開始する。ここで開始する定期取得処理については、図13〜15のフローチャートを用いて詳細に後述する。定期取得処理は、たとえば図12の処理からは独立したプロセスとして実行される。したがって、いったんS1201で開始されれば、別途当該プロセスを停止するまで実行されて定期的にカウンタ値の取得が行われる。 次にステップS1202において、RAM203、あるいは、HDD208に締め日が設定されているかを判断する。ここで、締め日が設定されていると判断すると、ステップS1203において締め日と現在日を比較する。一致していると判断した場合は、ステップS1204に処理を行い、そうでない場合は、ステップS1205以降の処理を行う。
【0063】
一方、ステップS1202において、締め日が設定されていないと判断すると、ステップS1204以降の処理を行う。
【0064】
ステップS1204において、カウンタ値の取得に先立って、スナップショット作成処理と、取得処理とを開始する。ここで開始する処理については、それぞれ図16,17を用いて詳細に後述する。スナップショット作成処理、スナップショット取得処理とも、たとえば図12の処理からは独立したプロセスとして実行される。プロセスは画像形成装置ごとに用意してもよいし、また、ひとつのプロセスですべての画像形成装置に対応してもよい。説明の簡単化のために、ここでは図16、図17のプロセスは全画像形成装置に対してひとつであるとする。なお、S1204では、図16のプロセスに対して「開始」命令を発行する。
【0065】
ステップS1205にて、監視装置101から管理サーバ107へカウンタ値を送信する時刻になるまで待機する。送信時刻については図示していないが、記録部507によってRAM203、あるいは、HDD208に格納されている。
【0066】
ステップS1206において、RAM203、あるいは、HDD208に図8の形式にて格納されているカウンタ値情報を参照する。定期取得データ、これは、部門カウンタ値と課金カウンタ値を指すものであるが、これらが有効なデータかを判断する。有効なデータとは、前回送信時刻よりも後に取得したデータである。取得時刻が前回送信時刻以前、あるいは、設定されていない場合、データは有効でないと判断する。なおカウンタ値の取得と送信とは本実施形態では別プロセスで非同期に行われるので、前回送信時刻として、例えばステップS1207でカウンタ値の送信を完了した日時を所定の不揮発の記憶領域に記憶しておく。記憶された時刻を「前回送信時刻」として参照すればよい。またカウンタ値の取得に失敗した場合には、カウンタ値の取得時刻として、通常は記録されない程度に古い日時を記録しておくことによってもデータが有効でないことは判断でき、逆にデータが有効であることも判断できる。
【0067】
ステップS1206にて有効な定期取得データがあると判断すると、ステップS1207の処理を行う。ステップS1207では、RAM203、あるいは、HDD208に格納されている部門カウンタ値、課金カウンタ値を送信制御部509がNetworkI/F204経由で管理サーバ107に送信する。
【0068】
一方、ステップS1206にて有効な定期取得データがないと判断すると、スナップショット送信に係るステップS1209、S1210の処理を行う。
【0069】
ステップS1209において、図8の形式にて格納されているカウンタ情報のうち、取得時刻820から有効なデータであるかを判断する。判断方法はステップS1206と同様である。
【0070】
ステップS1209において有効であると判断すると、ステップS1210にて、スナップショットとして取得した課金カウンタ値を送信制御部509がNetworkI/F204経由で管理サーバ107に送信する。
【0071】
ステップS1208で、その日の管理サーバ107へのカウンタ情報送信が終わったと判断すると、スナップショット作成、取得処理を終了し、日付が変わるまで待機したのち、ステップS1202に戻る。そうでない場合は、ステップS1205に戻り、次の送信時刻まで待機する。S1208では例えば、監視対象の画像形成装置すべてについて、カウンタ値の取得および送信の試みが完了したことをもって、終了と判断される。終了した場合にはスナップショットももはや不要なので、S1204で開始した図16のプロセスの対して「終了」命令を送信して、スナップショットの作成処理を中止させる。
【0072】
<カウンタ値の定期取得処理>
図13、14、15のフローチャートを用いて、ステップS1201で開始する定期取得処理を詳細に説明する。これらフローチャートは、
まず、図13は、定期取得処理全体を表すフローチャートで、図12のステップS1201で実行が開始される。これらフローチャートで示す処理は、監視装置101のROM202に格納された監視プログラム405にて実行されるものである。
【0073】
ステップS1301にて、RAM203、または、HDD208に格納された図11(c)の取得開始時刻を読み込こむ。現在時刻が「次回取得開始時刻」以降であると判断すると、ステップS1302以降の処理を行う。現在時刻が「次回取得開始時刻」より前であると判断すると、ステップS1304以降の処理を行う。
【0074】
ステップS1302において、全監視対象画像形成装置から部門カウンタ値と課金カウンタ値とを取得する。本ステップの処理詳細は、図14のフローチャートを用いて詳細に後述する。
【0075】
取得処理終了後、ステップS1303にて、「次回取得開始時刻」に「取得間隔」を加算し、新しい「次回取得開始時刻」として設定する。
【0076】
ステップS1304において、現在時刻が「次回再取得開始時刻」以降であると判断すると、ステップS1305以降の処理を行う。現在時刻が「次回再取得開始時刻」以前であると判断すると、ステップS1301に戻る。
【0077】
ステップS1305において、ステップS1302の取得処理で取得に失敗した画像形成装置から部門カウンタ値と課金カウンタ値とを取得する。本ステップの処理詳細は、図15のフローチャートを用いて詳細に後述する。
【0078】
取得処理終了後、ステップS1306にて、「次回再取得開始時刻」に「再取得間隔」を加算し、新しい「次回再取得開始時刻」として設定する。
【0079】
<監視対象の画像形成装置からのカウンタ値の取得処理>
図14のフローチャートを用いて、ステップS1302の処理を詳細に説明する。
【0080】
ステップS1401にて、画像形成装置から課金カウンタ値を取得する。監視装置101からの課金カウンタ取得要求は、コマンド発行部508が発行し、送信制御部509がNetworkI/F204を介して、画像形成装置のコマンド処理部602に到達する。そして、画像形成装置の取得部603が課金カウンタ値を取得し、それを送信制御部605がNetworkI/F306経由で監視装置101に送信される。S1401で取得する課金カウンタ値は、図7のテーブル703,704に相当する。
【0081】
ステップS1402にて、部門数を取得する。監視装置101と画像形成装置とのデータ授受の経路はステップS1401と同様である。S1402で取得する部門数は、図7のテーブル701に含まれている。S1403では、部門カウンタ数を取得する。
【0082】
ステップS1404にて部門カウンタ数分の部門カウンタ値を画像形成装置から取得する。S1404で取得する部門カウンタ値は、各部門について、図7のテーブル702に相当する。
【0083】
ステップS1405にて全部門カウンタを取得していないと判断すると、ステップS1404に戻り、全部門カウンタを取得したと判断すると、ステップS1406以降の処理を行う。
【0084】
ステップS1406にて全部門について処理してないと判断すると、ステップS1403に戻り、全部門について処理したと判断すると、ステップS1407以降の処理を行う。
【0085】
全部門について部門カウンタ値取得処理が終わると、ステップS1407にて、再度、課金カウンタを取得する。このように、課金カウンタは、部門カウンタの取得の前後において取得される。
【0086】
ステップS1408にて、ステップS1401で取得した課金カウンタ値とステップS1407で取得した課金カウンタ値とを比較する。一致していると判断すると、ステップS1409以降の処理を行い、一致していないと判断すると、ステップS1410以降の処理を行う。
【0087】
ステップS1409では、部門カウンタ値と課金カウンタ値とが整合が取れていると判断し、データ取得時刻と取得したカウンタ値をRAM203、あるいは、HDD208に図8の形式にて格納する。ここで格納されるのは、データ取得時刻802から課金カウンタ819までである。
【0088】
一方、ステップS1410では、部門カウンタ値と課金カウンタ値との整合がとれていないので、取得失敗を示す情報をRAM203、あるいは、HDD208に格納する。取得失敗を示す情報の保持方法の一例として、データ取得時刻802として、記憶されている前回データ送信時刻以前の時刻、例えば、1970年1月1日0時0分0秒、などの所定の値を設定する。
【0089】
ステップS1411にて、全画像形成装置についてカウンタ取得処理が終わったと判断すると、終了する。
【0090】
図13、図15のフローチャートにて、カウンタ値の取得に成功したか否かを図8に含まれる取得時刻802から判断することができる。あるいは、フラグを設けて、成功ならば1、失敗ならば0をRAM203、または、HDD208に格納するという方法をとることもできる。
【0091】
<カウンタ値の再取得処理>
図15を用いて、ステップS1305の処理を詳細に説明する。
【0092】
ステップS1501において、対象としている画像形成装置のカウンタ値取得に失敗したかどうかを判断する。成功したと判断した場合は、ステップS1507以降の処理を行う。失敗したと判断して場合は、ステップS1502の処理を行う。
【0093】
ステップS1502からステップS1504の処理は、ステップS1401〜S1407の処理と同じであるので、ここでは省略する。ここでS1503は図14のステップS1402〜S1406を含む。
【0094】
ステップS1505において、ステップS1502で取得した課金カウンタ値とステップS1504で取得した課金カウンタ値とを比較する。一致しないと判断すると、ステップS1507以降の処理を行い、一致すると判断するとステップS1508以降の処理を行う。
【0095】
ステップS1506では、ステップS1409と同様に取得した部門カウンタ値と課金カウンタ値とデータ取得時刻とを図8の形式にてRAM203、あるいは、HDD208に格納する。
【0096】
ステップS1507において、次の2点を判断する。1つめは、全失敗デバイスの再取得処理をしたか、2つめは、現在時刻が「次回取得開始時刻」以降でないか、である。2つめの判断は、本実施形態において、再取得処理の途中であっても、定期取得処理開始時刻になったら再取得処理を中止するようにしているために必要なものであって、本発明において必須のものではない。1つめ、2つめの判断のうち1つ以上が合致した場合、YESであると判断し、1つも合致しない場合、NOであると判断する。
【0097】
ステップS1507において、YESであると判断すると再取得処理を終了し、NOであると判断すると、ステップS1508において、全画像形成装置の処理が終了したか判断する。終了したと判断すると、再取得処理を終了し、そうでない場合は、ステップS1501に戻る。
【0098】
<スナップショット作成処理>
図16と図17を用いて、スナップショットに係る処理を詳細に説明する。これらフローチャートは、監視装置101のROM202に格納された監視プログラム405の動作を示すものである。
【0099】
図16は、監視装置101の画像形成装置へのスナップショット作成依頼に係る処理を示すフローチャートである。この処理は、図12のS1204にて開始される独立したプロセスである。
【0100】
ステップS1601において、データ受信を待ち受ける。データ送信元は、監視装置101自身と画像形成装置である。
【0101】
データを受信すると、ステップS1602において、受信データ内容を判断する。受信データが監視装置自身からの「開始」である場合、ステップS1603にて、監視装置101の監視対象である全画像形成装置に対して印刷状態変化通知依頼を送信し、印刷状態が変化した場合、そのことを通知するよう依頼する。監視装置101からの印刷状態変化通知依頼は、画像形成装置のコマンド処理部602によって受信され、印刷状態変化通知先情報が記憶部606に格納される。
【0102】
受信データが監視装置自身からの「終了」である場合、ステップS1604にて、監視装置101の監視対象である全画像形成装置に対して、印刷状態変化通知依頼取り消しを通知し、処理を終了する。
【0103】
受信データがいずれかの画像形成装置からの「印刷状態変化」である場合、ステップ1605にて通知された状態が印刷中であるか否かを判断する。「印刷状態変化」は画像形成装置の印刷状態が変化した時に通知されるものであって、印刷中から印刷していない状態になった時、及び、印刷していない状態から印刷中になった時に通知されるものである。
【0104】
ステップS1605において、印刷中であると判断した場合は、ステップS1603に分岐して印刷状態変化通知依頼を送信する。ただしS1605から分岐した場合には、S1603で判定の対象とした印刷状態変化通知を応答した画像形成装置を対象とする。その後ステップS1601に戻り、データ受信を待ち受ける。印刷していないと判断した場合、ステップS1606にて画像形成装置にスナップショット作成の依頼を送信する。この場合も対象はS1603で判定の対象とした印刷状態変化通知を応答した画像形成装置である。その後ステップS1601に戻り、データ受信を待ち受ける。
【0105】
図17は、監視装置101が、画像形成装置に作成を依頼したスナップショットデータを定期的に取得する処理を示すフローチャートである。図17の処理も独立したプロセスである。ステップS1701にて、現在時刻が取得時刻以降であるかを判断する。取得時刻以降であると判断するとステップS1702以降の処理を行う。取得時刻は、図11(d)の取得開始時刻を参照して得られる。
【0106】
ステップS1702において、画像形成装置にスナップショット取得要求を出す。この取得要求送信のプロトコルの一例としてSNMP(Simple Network Management Protocol)がある。
【0107】
ステップS1703において、スナップショット取得が成功したか否かを判断する。成功か否かは、たとえば画像形成装置からの応答により判断できる。成功した場合は、ステップS1704にて、図8の形式にてRAM203,あるいは、HDD208に取得したカウンタ値およびデータ取得時刻を格納する。そして、ステップS1705において、次回取得時刻を更新する。
【0108】
ステップS1706において、割り込み命令の有無を判断する。処理終了の割り込み命令があると判断すると、スナップショットデータ取得処理を終了する。そうでない場合、ステップS1701に戻る。割り込み命令は、たとえば図12のS1208で終了と判定された場合に送信される。この割り込み命令は、図16の処理に対する「終了」命令と同じものであってもよい。
【0109】
以上説明したとおり、課金カウンタ情報取得中に印刷が実行され、部門カウンタ値と課金カウンタ値との整合性が取れない状態が続いても、画像形成装置の印刷状態を監視し、印刷していない時にスナップショット生成する。これにより、課金に必要最低限のデータを管理サーバに通知することが可能となる。
[実施形態2]
実施形態2では、監視装置101から管理装置(管理サーバ)107に対して送信するものと定義された課金用カウンタのデータの種類によってスナップショットを送信するかどうかを判断する。ステップS1209において、スナップショットの有効性を判断している。その際に、本実施形態では、監視装置101が保持している管理サーバ107への送信データ定義が例えば図11(a)に示すように部門カウンタと課金カウンタとを含む場合、スナップショットデータでは不十分であり無効であると判断して管理サーバに送信しない。
【0110】
これにより、不十分でサービス提供のために使用できない無駄なデータを送信することがなくなる。
【0111】
また、上述した以外にも、事前にスナップショットの有効性を判断し、管理サーバ107への送信データ定義から、カウンタの種類がスナップショットデータでは不十分であり有効ではないと判断される場合には、画像形成装置からスナップショットデータの取得自体を行わないことも実施可能である。つまり、画像形成装置が部門課金による管理を行うか否かの判断により、画像形成装置が部門課金による管理が行われる場合にのみ、前述したようなスナップショットデータの複製指示や取得処理を実行することも可能である。
【0112】
[実施形態3]
本実施形態では、定期取得処理及び再取得処理では長期間課金用データを取得出来ない画像形成装置からスナップショットデータを取得する。このために、S1206において、あるいはS1206の直前に、データ取得時刻802と現在時刻とを比較して、所定時間以上、部門カウンタ値と課金カウンタ値とを取得していないと判断した場合、ただちにスナップショットを取得する。すなわちこの場合には定期取得データの有無にかかわらずS1209に分岐する。これにより、課金に必要なデータを取得できない画像形成装置が減る。
【0113】
[実施形態4]
画像形成装置のなかには、省電力を目的として、一定時間ジョブ実行を指示されないと、使用電力量を減らすためのモードに移行するものがある。また、電源をOFFする時刻をスケジュール情報として画像形成装置自身、あるいは、ネットワーク接続された電源OFFスケジュール制御装置に保持している場合、そこから情報を取得し、RAM203、あるいは、HDD208に格納する。
【0114】
ステップS1203にて、締め日であると判断した場合、ステップS1204で電源OFFスケジュールに合わせて、一例として、電源OFF直前にスナップショットを取得するような値を図11(c)の取得開始時刻、取得間隔を設定する。また、監視装置101は、ステップS1205にて使用電力を減らすモードへの移行予告通知を受信すると、即座にスナップショットを取得する。これにより、画像形成装置が省電力のための設定をなされていても、課金に必要なデータを取得することが可能となる。
【0115】
[他の実施形態]
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成して出力された枚数をカウンタ情報として管理する画像形成装置の使用量に関する情報を管理する管理システムであって、
前記画像形成装置は、
カウンタ情報として、複数の種類のカウンタ値を、前記画像形成装置の記憶装置に記録する記録手段と、
前記カウンタ情報の一部を、画像形成動作の合間に記憶装置に複製する複製手段とを有し、
前記画像形成装置に接続された監視装置は、
前記記憶装置に記録された複数の種類のカウンタ値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がある場合には、取得したカウンタ値を有効なカウンタ値として格納する格納手段と、
前記画像形成装置から、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部の取得を試みる試行手段と、を有し、
前記格納手段は、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納することを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記監視装置は、前記取得手段によるカウンタ値の取得に先立って、前記画像形成装置に対して、前記複製手段によるカウンタ値の複製を指示する指示手段をさらに有し、
前記複製手段は、前記複製の指示を受信に応じて、画像形成動作の合間に前記カウンタ値の一部を前記記憶装置に複製することを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記トータルカウンタと部門カウンタとのカウンタ値を取得し、
前記格納手段は、前記取得したトータルカウンタと部門カウンタとのカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された前記複製の指示を受信に応じて複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納することを特徴とする請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記指示手段は、前記画像形成装置が部門課金による管理対象である場合には、前記画像形成装置に対して、前記複製手段によるカウンタ値の複製を指示を行わないことを特徴とする請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記取得手段は、出力された総数を記録したトータルカウンタのカウンタ値を、そのほかの種類のカウンタのカウンタ値の取得の前後において取得し、
前記格納手段は、取得した2つのトータルカウンタのカウンタ値が一致していれば整合性があると判定し、前記取得手段が取得したトータルカウンタとそのほかの種類のカウンタとのカウンタ値を有効な値として格納することを特徴とする請求項1または2に記載の管理システム。
【請求項6】
前記監視装置に接続された管理装置を更に備え、
前記監視装置は、格納した前記有効なカウンタ値を前記管理装置に送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項7】
カウンタ情報として、複数の種類のカウンタ値を、前記画像形成装置の記憶装置に記録する記録手段と、前記カウンタ情報の一部を、画像形成動作の合間に記憶装置に複製する複製手段とを有する画像形成装置からカウンタの値を取得する監視装置であって、
前記記憶装置に記録された複数の種類のカウンタ値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がある場合には、取得したカウンタ値を有効なカウンタ値として格納する格納手段と、
前記画像形成装置から、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部の取得を試みる試行手段と、を有し、
前記格納手段は、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納する
ことを特徴とする監視装置。
【請求項8】
前記取得手段によるカウンタ値の取得に先立って、前記画像形成装置に対して、前記複製手段によるカウンタ値の複製を指示する指示手段をさらに有し、
前記画像形成装置の前記複製手段は、前記複製の指示を受信に応じて、画像形成動作の合間に前記カウンタ値の一部を前記記憶装置に複製することを特徴とする請求項7に記載の監視装置。
【請求項9】
前記取得手段は、前記トータルカウンタと部門カウンタとのカウンタ値を取得し、
前記格納手段は、前記取得したトータルカウンタと部門カウンタとのカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された前記複製の指示を受信に応じて複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納することを特徴とする請求項8に記載の監視装置。
【請求項10】
前記指示手段は、前記画像形成装置が部門課金による管理対象である場合には、記画像形成装置に対して、前記複製手段によるカウンタ値の複製を指示を行わないことを特徴とする請求項9に記載の監視装置。
【請求項11】
前記取得手段は、出力された総数を記録したトータルカウンタのカウンタ値を、そのほかの種類のカウンタのカウンタ値の取得の前後において取得し、
前記格納手段は、取得した2つのトータルカウンタのカウンタ値が一致していれば整合性があると判定し、前記取得手段が取得したトータルカウンタとそのほかの種類のカウンタとのカウンタ値を有効な値として格納することを特徴とする請求項7または8に記載の監視装置。
【請求項12】
格納した前記有効なカウンタ値を通信で接続された管理装置に送信する手段を更に備えることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項13】
画像形成して出力された枚数をカウンタ情報として管理する画像形成装置の使用量に関する情報を管理する管理システムよる管理方法であって、
前記画像形成装置が、カウンタ情報として、複数の種類のカウンタ値を、前記画像形成装置の記憶装置に記録する工程と、
前記画像形成装置が、前記カウンタ情報の一部を、画像形成動作の合間に記憶装置に複製する複製工程と、
前記画像形成装置に接続された監視装置が、前記記憶装置に記録された複数の種類のカウンタ値を取得する取得工程と、
前記監視装置が、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がある場合には、取得したカウンタ値を有効なカウンタ値として格納する工程と、
前記監視装置が、前記画像形成装置から、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部の取得を試みる試行工程と、を有し、
前記格納工程では、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行工程により取得された、前記複製工程により複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納する
ことを特徴とする管理方法。
【請求項14】
カウンタ情報として、複数の種類のカウンタ値を、前記画像形成装置の記憶装置に記録する記録手段と、前記カウンタ情報の一部を画像形成動作の合間に記憶装置に複製する複製手段とを有する画像形成装置からカウンタの値を取得する監視装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記記憶装置に記録された複数の種類のカウンタ値を取得する取得手段と、
前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がある場合には、取得したカウンタ値を有効なカウンタ値として格納する格納手段と、
前記画像形成装置から、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部の取得を試みる試行手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記格納手段は、前記取得した前記複数の種類のカウンタ値の間に整合性がない場合には、前記試行手段により取得された、前記複製手段により複製されたカウンタ値の一部を有効なカウンタ値として格納することを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−88874(P2013−88874A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226225(P2011−226225)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】