説明

管理装置、管理方法及びプログラム

【課題】ユーザの通信端末とは異なる管理装置に記憶されたファイル群のうちユーザが望むファイルをより正確に検索し得る仕組みを提供する。
【解決手段】管理装置30は、複数のユーザに共通する内容の一般振分定義と、各々のユーザで異なる内容のユーザ別定義とを記憶している。また、管理装置30は、ユーザ別に論理的に区分された記憶領域を有しており、各々の記憶領域に各ユーザが利用するファイル群が記憶される。さらに、管理装置30は、二次分析を行うことで各ファイルに対して属性情報と呼ばれる検索用の情報を生成し、そのファイルに対応付けて蓄積する。よって、ユーザが望むファイルをより正確に特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルを管理、検索するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント装置を利用するユーザに対しサービス提供装置群から通信ネットワークを介して様々なサービスが提供される環境が整ってきている。このような環境は、クラウドコンピューティング環境とも呼ばれており、近年、特に注目されている。このような環境では、ユーザが望むサービスの内容を把握し、通信ネットワーク上にある多数のサービス提供装置群からそのサービスを提供し得るサーバ装置を特定する必要がある。例えば特許文献1には、ユーザが自分の受けたいサービスの内容(例えば旅行の予約)やどのような条件(例えば価格など)でサービスを受けたいかを入力すると、その入力内容に応じた検索を行ってその結果を提示する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−350754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような環境において、次のような仕組みが考えられる。
ネットワーク上の管理装置が、ユーザが利用するファイルに対してサービスを提供するのに適したサービス提供装置にファイルに対するサービス処理を要求し、そのサービス処理が施されたファイルを記憶する。そして、管理装置は、ユーザの通信端末からの検索要求に応じてファイルを検索し、ユーザに提供する。この場合、記憶されるファイル群の量は膨大になることがあるし、また、管理装置と通信端末との通信が何度も発生するのはトラヒックの観点から望ましくないから、管理装置においてユーザが望むファイルを正確に検索することが望ましい。
そこで、本発明の目的は、ユーザの通信端末とは異なる管理装置に記憶されたファイル群のうちユーザが望むファイルをより正確に検索し得る仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するため、本発明は、ユーザの通信端末からファイルを取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析する第1の分析手段と、前記第1の分析手段による分析結果に基づいて、それぞれ異なるサービスに係る処理をファイルに対して行う複数のサービス提供装置のうち、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対してサービスに係る処理を行うサービス提供装置を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記サービス提供装置に対し、前記第1の取得手段によって取得されたファイルを送信して、当該ファイルに対してサービスに係る処理を行うよう要求する要求手段と、前記要求手段による要求に応じて前記サービス提供装置が前記処理を行ったファイルを、当該サービス提供装置から取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段または前記第2の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析して、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する第2の分析手段と、前記第1の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の分析手段により生成された属性情報とを対応付けて記憶するファイル記憶手段と、前記ファイル記憶手段に記憶されているファイルに対する検索条件を前記通信端末から取得し、当該検索条件と前記ファイル記憶手段に記憶されている属性情報とを比較し、当該検索条件に合致する属性条件に対応するファイルを前記ファイル記憶手段から抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出されたファイルを前記通信端末に送信する送信手段とを備えることを特徴とする管理装置を提供する。
【0006】
上記管理装置において、前記第1の分析手段によるファイルの分析結果と、ユーザに提供するサービスに係る処理をファイルに対して行うサービス提供装置との対応関係であって、複数のユーザに共通する内容の対応関係を予め記憶した第1の対応関係記憶手段と、前記第1の分析手段によるファイルの分析結果と前記サービス提供装置との対応関係であって、各々のユーザで異なる内容の対応関係を予め記憶した第2の対応関係記憶手段とを備え、前記特定手段は、前記第1の分析手段による分析結果と、前記第1の対応関係記憶手段及び前記第2の対応関係記憶手段に記憶された前記対応関係とに基づいて、前記サービス提供装置を特定し、前記第2の分析手段は、前記第1の取得手段または前記第2の取得手段によって取得されたファイルの分析結果と前記第2の記憶手段に記憶されている前記対応関係に基づいて、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成するようにしてもよい。
【0007】
上記管理装置において、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対する前記第1の分析手段による分析を含む処理の履歴、又は、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対する前記第2の分析手段による分析を含む処理の履歴に基づき、前記第2の対応関係記憶手段に記憶された前記対応関係を更新する更新手段を備えるようにしてもよい。
【0008】
上記管理装置において、前記第2の対応関係記憶手段に記憶された前記対応関係が前記更新手段によって更新されると、前記第2の分析手段は、その更新後の前記対応関係に基づいて、前記ファイル記憶手段に記憶されている前記属性情報を更新するようにしてもよい。
【0009】
上記管理装置において、前記第2の分析手段は、前記第1の取得手段により取得されたファイルについて生成した前記属性情報と、前記第2の取得手段によって取得されたファイルに対して前記第1の分析手段が分析した結果とに基づいて、前記第2の取得手段によって取得されたファイルを検索するときに参照される属性情報を生成するようにしてもよい。
【0010】
上記管理装置において、前記第2の対応関係記憶手段は、前記検索条件が前記通信端末において指定されたときの位置を示す位置情報と前記サービス提供装置との対応関係を記憶しており、前記抽出手段は、位置を表す位置情報を含む前記検索条件を前記通信端末から取得し、当該位置情報と前記ファイル記憶手段に記憶されている属性情報とを比較し、当該位置情報に合致する属性条件に対応するファイルを前記ファイル記憶手段から抽出するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明は、ユーザの通信端末と通信を行う管理装置におけるファイルの管理方法であって、ユーザの通信端末からファイルを取得する第1の取得ステップと、前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルの内容を分析する第1の分析ステップと、前記第1の分析ステップにおける分析結果に基づいて、それぞれ異なるサービスに係る処理をファイルに対して行う複数のサービス提供装置のうち、前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルに対してサービスに係る処理を行うサービス提供装置を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定された前記サービス提供装置に対し、前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルを送信して、当該ファイルに対してサービスに係る処理を行うよう要求する要求ステップと、前記要求ステップにおける要求に応じて前記サービス提供装置が前記処理を行ったファイルを、当該サービス提供装置から取得する第2の取得ステップと、前記第1の取得ステップまたは前記第2の取得ステップにおいて取得されたファイルの内容を分析して、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する第2の分析ステップと、前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルと、前記第2の取得ステップにおいて取得されたファイルと、前記第2の分析ステップにおいて生成された属性情報とを対応付けて記憶するファイル記憶ステップと、前記ファイル記憶ステップにおいて記憶されたファイルに対する検索条件を前記通信端末から取得し、当該検索条件と前記ファイル記憶ステップにおいて記憶された属性情報とを比較し、当該検索条件に合致する属性条件に対応するファイルを抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにおいて抽出されたファイルを前記通信端末に送信する送信ステップとを備えることを特徴とする管理方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、ユーザの通信端末からファイルを取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析する第1の分析手段と、前記第1の分析手段による分析結果に基づいて、それぞれ異なるサービスに係る処理をファイルに対して行う複数のサービス提供装置のうち、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対してサービスに係る処理を行うサービス提供装置を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記サービス提供装置に対し、前記第1の取得手段によって取得されたファイルを送信して、当該ファイルに対してサービスに係る処理を行うよう要求する要求手段と、前記要求手段による要求に応じて前記サービス提供装置が前記処理を行ったファイルを、当該サービス提供装置から取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段または前記第2の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析して、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する第2の分析手段と、前記第1の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の分析手段により生成された属性情報とを対応付けて記憶するファイル記憶手段と、前記ファイル記憶手段に記憶されているファイルに対する検索条件を前記通信端末から取得し、当該検索条件と前記ファイル記憶手段に記憶されている属性情報とを比較し、当該検索条件に合致する属性条件に対応するファイルを前記ファイル記憶手段から抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出されたファイルを前記通信端末に送信する送信手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの通信端末とは異なる管理装置に記憶されたファイル群のうちユーザが望むファイルをより正確に検索し得る仕組みを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【図2】移動通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】管理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】一般振分定義の内容を例示する図である。
【図5】ユーザ別定義の内容を例示する図である。
【図6】属性情報生成定義の内容を例示する図である。
【図7】通信システムにおいて二次蓄積に至るまでの動作を示すシーケンスチャートである。
【図8】通信システムにおいて検索が行われるときの動作を示すシーケンスチャートである。
【図9】管理装置の制御部が行う一次蓄積の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】管理装置の制御部が行う一次分析の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】管理装置の制御部が行う振分の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】管理装置の制御部が行う二次分析の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】管理装置の制御部が行う検索の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
<構成>
<システム全体の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る通信システム1の構成を示す図である。通信システム1は、移動通信ネットワーク10と、複数のユーザによってそれぞれ利用される移動通信端末20と、移動通信ネットワーク10にゲートウェイ設備を介して接続されたインターネット50と、インターネット50に接続された管理装置30と、同じくインターネット50に接続された複数のサービス提供装置40とを備えている。この通信システム1は、いわゆるクラウドコンピューティング環境を移動通信端末20のユーザに提供するものであり、主たる機能は次の2つである。
【0016】
第1の機能は、ユーザが利用するファイルをインターネット50に用意されたそのユーザ固有の記憶領域に蓄積しておき、必要に応じてこのファイルをユーザに提供する機能である。これをストレージ機能という。オープンネットワークであるインターネット50上の記憶領域にファイルを蓄積することで、ユーザは、いつでもどこでもどのような通信端末からでも、ファイルを利用することができる。また、通信システム1は、ユーザ固有の記憶領域にファイルを蓄積しておくことで、ファイルの漏洩を防止しつつ、ユーザが所望するファイルを容易に検索することができる。ファイルの検索に関しては、ユーザが所望するファイルをより確実に特定できるように、各ファイルに対して、属性情報と呼ばれる検索用の情報が生成され、そのファイルに対応付けられて蓄積されるようになっている。
【0017】
第2の機能は、ユーザに対して多様なサービス(ここでは外部サービスという)を提供する機能であり、これを外部サービス提供機能という。ユーザに提供する外部サービスはどのようなものでもよいが、例えば、ユーザの氏名や連絡先などが記述された名刺を管理するサービスや、ユーザに対して道案内を行うサービスや、動画データのデータ形式を変換するサービスや、音声とテキストとを相互に変換するサービスなどがある。この外部サービスに係る処理は、ユーザから提供されたファイルに対して行われ、そのファイルが上記のストレージ機能により蓄積されることになる。なお、以下の説明では、外部サービスに係る処理がファイルに対して行われることを、「外部サービスがファイルに実施される」と表現する。
【0018】
図1において、移動通信端末20は、例えば携帯電話機などの通信可能なコンピュータであり、移動通信ネットワーク10を介して他の移動通信端末との間で通話のための音声データを遣り取りしたり、移動通信ネットワーク10を介してインターネット50上のノードとデータ通信を行ったりする。移動通信ネットワーク10は、移動通信端末20に通話サービス及びデータ通信サービスを提供するネットワークである。この移動通信ネットワーク10は、自局の無線セル内に居る移動通信端末20と無線通信を行う基地局、網内で伝送されるデータのルーティングを行う交換局、及び移動通信端末20の位置登録などを行う制御局といった各種ノードと、これらのノード間を相互に接続する通信線とを備えている。
【0019】
サービス提供装置40は、移動通信ネットワーク10を介して移動通信端末20とデータ通信を行って、移動通信端末20を利用するユーザに外部サービスを提供するコンピュータである。つまり、サービス提供装置40は、前述した外部サービス提供機能を実現する手段である。サービス提供装置40が提供する外部サービスには、ユーザの氏名や連絡先などが記述された名刺を管理するアドレス帳管理サービスや、ユーザに対して道案内を行うナビゲーションサービスや、動画データのデータ形式を変換する動画ファイル形式変換サービスや、音声とテキストとを相互に変換する音声テキスト変換サービスなどがある。
【0020】
管理装置30は、移動通信端末20から提供されるファイル(サービス実施前ファイルという)と、そのファイルに対してサービス提供装置40によって外部サービスが実施された後のもの(サービス実施後ファイルという)とを対応付けて蓄積し、移動通信端末20からの要求に応じてこれをその移動通信端末20に提供する。つまり、管理装置30は、前述したストレージ機能を実現する手段である。また、管理装置30は、移動通信端末20に外部サービスを提供するサービス提供装置40を複数のサービス提供装置群の中から特定するという役割も果たす。
【0021】
<移動通信端末20の構成>
図2は、移動通信端末20の構成を示すブロック図である。移動通信端末20は、制御部21と、記憶部22と、無線通信部23と、音声入出力部24と、操作部25と、表示部26と、測位部27とを備えている。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などの記憶装置とを備えている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって、移動通信端末20の各部の動作を制御する。記憶部22は、書き込み可能な不揮発性の記憶手段であり、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)やバックアップ電源を備えたSRAM(Static Random Access Memory)である。記憶部22には、制御部21によって実行されるプログラムや、各種のファイルが記憶されている。無線通信部23は、例えばIMT2000(International Mobile Telecommunication 2000)などの、移動通信ネットワーク10が採用する通信規格に従って、移動通信ネットワーク10を介してサービス提供装置40や管理装置30と通信を行う。音声入出力部24は、スピーカ、マイクロホン及び音声処理回路などを備えており、移動通信端末20に対して通話に係る音声の入出力を行う。操作部25は、複数のキーやタッチスクリーンなどの操作子を備え、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部21に供給する。制御部21は、この操作信号に応じた処理を行う。表示部26は、液晶パネルや液晶駆動回路を備えており、制御部21からの指示に応じて各種の情報を表示する。測位部27は、例えばGPS(Global Positioning System)の技術を用いて移動通信端末20の位置を測定し、その位置を緯度経度形式で表した位置情報を生成する。
【0022】
<管理装置30の構成>
図3は、管理装置30の構成を示すブロック図である。管理装置30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。制御部31は、CPUなどの演算装置と、ROM及びRAMなどの記憶装置とを備えている。CPUは、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部33に記憶されたプログラムを実行することによって、管理装置30の各部の動作を制御する。この制御部31は、第1の分析手段、第2の分析手段、抽出手段、要求手段及び更新手段として機能する。通信部32は、移動通信ネットワーク10を介して移動通信端末20やサービス提供装置40と通信を行う。この通信部32は、第1の取得手段、第2の取得手段及び送信手段として機能する。記憶部33は、書き込み可能な不揮発性の記憶手段であり、例えばハードディスクである。この記憶部33には、制御部31が実行する処理の手順が記述されたプログラムのほか、一般振分定義、ユーザ別定義及び属性情報生成定義と呼ばれるデータ群を記憶している。一般振分定義は第1の対応関係に相当し、ユーザ別定義は第2の対応関係に相当する。また、この記憶部33には、ユーザ別に論理的に区分された記憶領域を有しており、各々の記憶領域に各ユーザが利用するファイル群が記憶される。この記憶部33は、第1の対応関係記憶手段、第2の対応関係記憶手段及びファイル記憶手段として機能する。
【0023】
管理装置30の動作の概要を説明すると、次のとおりである。管理装置30は、移動通信端末20からファイル(サービス実施前ファイル)が提供されると、まず、このサービス実施前ファイルに対して一次分析と呼ばれる分析処理を行い、その分析結果に従って、移動通信端末20に外部サービスを提供するサービス提供装置40を特定する。一般振分定義及びユーザ別定義はいずれも、このサービス提供装置40を特定するときに用いられる。ただし、一般振分定義が各ユーザで共通の内容であるのに対し、ユーザ別定義は、各ユーザで異なる内容であり、さらにユーザによる通信システム1の過去の利用状況に応じてその内容が動的に変化するという点で、両者は異なる。ただし、全てのサービス実施前ファイルに対してサービス提供装置40が必ず特定されるわけではなく、サービス実施前ファイルに対して適切なサービス提供装置40が無い場合には、管理装置30はサービス提供装置40を特定できないこともある。なお、ユーザに外部サービスを提供するサービス提供装置40を特定することを、以下では、「振分」と称することがある。
【0024】
外部サービスを提供するサービス提供装置40が特定されると、管理装置30からサービス提供装置40にサービス実施前ファイルが送信され、サービス提供装置40においてそのサービス実施前ファイルに外部サービスが実施される。外部サービスが実施されたファイル(サービス実施後ファイル)はサービス提供装置40から管理装置30に戻され、サービス実施前ファイルと対応付けられた状態で蓄積される。管理装置30は、このサービス実施後ファイルに対して二次分析と呼ばれる分析処理を行って、前述したような検索のための属性情報を生成し、この属性情報を上記のサービス実施前ファイル及びサービス実施後ファイルに対応付けて蓄積する。また、上述したように、サービス実施前ファイルに対してサービス提供装置40が特定されない場合には、このサービス実施前ファイルに対して2次分析が行われ、その結果生成された属性情報とサービス実施前ファイルとが対応付けられて蓄積される。この二次分析においては、一般振分定義は用いられず、ユーザ別定義および属性情報生成定義が用いられる。さらに、管理装置30に蓄積されたファイル群の中から、ユーザが望むファイルを検索するときにも、このユーザ別定義が用いられる。よって、一般振分定義が、移動通信端末20に外部サービスを提供するサービス提供装置40を特定するときのみに用いられるのに対し、ユーザ別定義が、二次分析や検索時にも用いられるという点でも、両者は異なることになる。さらに、管理装置30は、各々のユーザのために行った処理(例えばファイルに対して行った処理)の履歴をユーザ単位で蓄積しておき、このユーザ単位の処理の履歴に基づいて、ユーザ別定義の内容を更新する。このように、ユーザ別定義の内容は、ユーザの過去のファイルの利用状況に応じて動的に変化するので、このユーザ別定義を検索時に用いることで、ユーザの所望するファイルを的確に検索できるようになっている。
【0025】
<一般振分定義の内容>
図4は、一般振分定義の内容を例示する図である。なお、図4において、「0」は空欄のフィールドであることを意味し、「・・・」は何らかの有意な情報が記述されていることを意味している(以降の図において同じ)。図に示す「外部サービス名」は、サービス提供装置40が提供する外部サービスの名称である。「通信アドレス」は、その外部サービスを提供するサービス提供装置40の通信アドレスであり、例えばURL(Uniform Resource Locator)やIP(Internet Protocol)アドレスである。「拡張子」は、ファイル形式を識別するものであり、一般にファイル名の末尾に記述されるものである。この拡張子に対しては「振分ポイント」と呼ばれる数値が対応付けられている。この振分ポイントは、各々の外部サービスの内容と各々の拡張子を持つファイルとの適合度を意味しており、その値が大きいほど、そのファイルにその外部サービスが適していることになる。例えば「.vcf」とは、IMC(Internet Mail Consortium)によって策定された、vCardと呼ばれる電子名刺に標準的に用いられるファイルの拡張子である。つまり、「.vcf」という拡張子を持つファイルは、名刺の管理を行うアドレス帳管理サービスの対象となる可能性が高い。このため、「.vcf」という拡張子には、名刺の管理を行うアドレス帳管理サービスに対して80ポイントという、比較的大きな振分ポイントが対応付けられている。
【0026】
「文字列」は、各ファイルに含まれることが予想される文字列である。上記の「拡張子」と同様に、この「文字列」にも振分ポイントが対応付けられている。この振分ポイントも、各々の外部サービスの内容と各々の文字列を含むファイルとの適合度を意味しており、その値が大きいほど、そのファイルにその外部サービスが適しているということになる。例えば「住所」という文字列を含むファイルは、アドレス管理の対象になり得るから、アドレス帳管理サービスに対して10ポイントの振分ポイントを持つといった具合である。この一般振分定義に含まれる拡張子や文字列は、制御部31がファイルに一次分析を行ったときの分析結果に相当する。よって、一般振分定義は、一次分析の分析結果とサービス提供装置とを、振分ポイントなるものを介して対応付けた対応関係で、且つ、複数のユーザに共通する内容の対応関係であると言える。
【0027】
管理装置30は、ファイルの内容及び属性情報と、一般振分定義とに従って、各外部サービスに対する振分ポイントを全て特定し、これらを外部サービス毎に合算する。そして、管理装置30は、各外部サービスについての合算値が、各外部サービスに対応する「振分範囲」として決められた条件を満たすときに、その外部サービスを、移動通信端末20に提供するべき外部サービスとして特定する。図4の例では、例えばアドレス帳管理サービスに対する振分ポイントの合算値Nが20以上の場合には、そのアドレス帳管理サービスが移動通信端末20に提供する外部サービスとして特定されるといった具合である。なお、移動通信端末20に提供する外部サービスは1つのみ特定されるわけではなく、「振分範囲」の条件を満たせば、2以上の外部サービスが特定されることもある。また、各外部サービスについての合算値が、各外部サービスに対応する「振分範囲」として決められた条件を満たさないときには、移動通信端末20に提供するべき外部サービスは1つも特定されないことになる。
【0028】
<ユーザ別定義の内容>
次に、図5を参照して、ユーザ別定義の内容を説明する。前述したように、ユーザ別定義は、各々のユーザで異なる内容であるから、図5では、その一例としてユーザID「001」が割り当てられたユーザについてのユーザ別定義の内容を示している。図において、「定義項目」は、ユーザ別定義に含まれる情報の種別を意味している。「ジャンル」は、この定義項目を共通の概念でグループ化したときの各グループの概念を説明するものである。定義項目の1つである「優先外部サービス」のフィールドには、ユーザに対して優先的に割り当てるべき外部サービスの名称と、その優先度に応じた振分ポイントとが記述されている。例えば、ユーザID「001」のユーザに対しては、「アドレス帳管理サービス」の振分ポイントとして「15」、「ナビゲーションサービス」の振分ポイントとして「7」、「音声テキスト変換サービス」の振分ポイントとして「3」が割り当てられている。この優先外部サービスは、過去にユーザに提供された頻度が多いものである。つまり、ユーザID「001」のユーザに提供された外部サービスをその頻度が多い順に言うと、アドレス帳管理サービス、ナビゲーションサービス、音声テキスト変換サービスということになる。各外部サービスに対する振分ポイントの大きさはその利用頻度に応じて異なっており、利用頻度が大きいほど振分ポイントも大きくなっている。
【0029】
定義項目の「検索頻度高時間帯」に対応するフィールドには、各々の優先外部サービスに対応して、ユーザが過去に管理装置30を用いてファイルの検索を行った頻度が高い時間帯と、振分ポイントとが記述されている。時間帯は、1日を1時間ごとに区切ったものを一単位としている。例えば、ユーザID「001」のユーザにおいては、「9時〜10時」の時間帯において「アドレス帳管理サービス」に対する振分ポイントとして「15」、10時〜11時の時間帯において「ナビゲーションサービス」に対する振分ポイントとして「7」、「13時〜14時」の時間帯において音声テキスト変換サービスに対する振分ポイントとして「3」が割り当てられている。これは、ユーザID「001」のユーザは、9時〜10時の時間帯にファイル検索を行ったときには、そのファイルに対して実施された外部サービスとして最も多かったのはアドレス帳管理サービスである、ということを意味している。この場合、例えばユーザが9時から10時の間に、移動通信端末20を用いて管理装置30にファイルの検索を要求したときには、アドレス帳管理サービスに対する振分ポイントして「15」が特定されることになる。
【0030】
定義項目の「蓄積頻度高時間帯」に対応するフィールドにおいても、上記の検索頻度高時間帯と同じように、ユーザが過去に管理装置30を用いてファイルの蓄積を行った頻度が高い時間帯と、振分ポイントが記述されている。例えばユーザが9時から10時の間に、移動通信端末20を用いて管理装置30にファイルの蓄積を要求したときには、アドレス帳管理サービスに対する振分ポイントして「15」が特定されることになる。なお、検索頻度高時間帯に合致しない時間帯にファイルの検索を行うときや、蓄積頻度高時間帯に合致しない時間帯にファイルの蓄積を行うときは、振分ポイントの合算値から不一致ポイントとして「3」が減算される。図5の例では、ユーザが9時から10時までの時間帯以外の時間帯に、移動通信端末20を用いて管理装置30にファイルの検索を要求したときには、アドレス帳管理サービスに対する振分ポイントの合算値から「3」が減算されることになる。同様に、ユーザが10時から11時までの時間帯以外の時間帯に、移動通信端末20を用いて管理装置30にファイルの検索を要求したときには、ナビゲーションサービスに対する振分ポイントの合算値から「3」が減算される。また、ユーザが9時から10時までの時間帯以外の時間帯に、移動通信端末20を用いて管理装置30にファイルの蓄積を要求したときには、アドレス帳管理サービスに対する振分ポイントの合算値から「3」が減算されることになる。同様に、ユーザが18時から19時までの時間帯以外の時間帯に、移動通信端末20を用いて管理装置30にファイルの蓄積を要求したときには、ナビゲーションサービスに対する振分ポイントの合算値から「3」が減算される。
【0031】
定義項目の「頻度高位置」に対応するフィールドには、各々の優先外部サービスに対応して、移動通信端末20がファイルを管理装置30に送信してきたときの、その移動通信端末20の位置を示す情報と、振分ポイントとが記述されている。図の例では、「アドレス帳管理サービス」が実施されるファイルは、移動通信端末20が「赤坂」という地域に属する位置情報が含まれていたことが最も多く、「ナビゲーションサービス」が実施されるファイルには「六本木」という地域に属する位置情報が含まれていたことが最も多く、また、「音声テキスト変換サービス」が実施されるファイルには「新宿」という地域に属する位置情報が含まれていたことが最も多いことを示している。なお、この図の例では、頻度高位置の振分ポイントについては規定されておらず、その値はゼロである。
【0032】
定義項目の「頻度高種別」に対応するフィールドには、各々の優先外部サービスに対応して、ファイルに含まれるデータの種別と、振分ポイントとが記述されている。ここで言うデータの種別とは、データの形式のことであり、例えば画像、テキストまたは表といったものが含まれる。図の例では、「アドレス帳管理サービス」が実施されるファイルには、「画像」という種別のデータが含まれていたことが最も多く、「ナビゲーションサービス」が実施されるファイルには、「テキスト」という種別のデータが含まれていたことが最も多く、「音声テキスト変換サービス」が実施されるファイルには、「表」という種別のデータが含まれていたことが最も多いことを示している。なお、この図の例では、頻度高種別の振分ポイントについては規定されておらず、その値はゼロである。
【0033】
定義項目の「検索ワード履歴」に対応するフィールドには、各々の優先外部サービスに対応して、直前のファイルの検索において利用された検索ワードと、振分ポイントとが記述されている。図の例では、アドレス帳管理サービスが実施されたファイルを検索するときに、「名刺」という検索ワードが直前の検索において利用されており、その振分ポイントが「15」であることが示されている。よって、この場合には、ファイルの検索を行うときに「名刺」という検索ワードが指定されると、アドレス帳管理サービスに対する振分ポイントして「15」が特定されることになる。
【0034】
定義項目の「検索頻度高ワード」に対応するフィールドには、各々の優先外部サービスに対応して、過去の検索において利用された頻度が高い検索ワードと、振分ポイントとが記述される。図の例では、アドレス帳管理サービスが実施されたファイルを検索するときに、「山田」という検索ワードが最も多く利用されており、その振分ポイントが「15」であることが示されている。よって、この場合には、ファイルの検索を行うときに「山田」という検索ワードが指定されると、アドレス帳管理サービスに対する振分ポイントして「15」が特定されることになる。
【0035】
定義項目の「参照回数多ファイル」に対応するフィールドには、各々の優先外部サービスに対応して、過去に参照された回数の多いファイルのファイル名と、振分ポイントとが記述される。図の例では、アドレス帳管理サービスが実施される際に、xxx.txtというファイル名のファイルが過去に最も多く参照されていることを意味している。この図の例では、参照回数多ファイルの振分ポイントについては規定されていない。最終参照日時は、上記ファイルを最後に参照したときの日時である。蓄積平均サイズは、このユーザに割り当てられている記憶領域に蓄積されているファイルのデータサイズの平均値である。頻度高メールアドレスは、過去において、各外部サービスが実施されたファイルが添付された電子メールが送信されたあて先のうち、頻度が高いあて先のメールアドレスが記述される。図の例では、「aaa@bbb.co.jp」というメールアドレス宛てに電子メールが最も多く送信されている。この図の例では、頻度高メールアドレスの振分ポイントについては規定されていない。
【0036】
このユーザ別定義に含まれる各定義項目の内容は、制御部31がファイルに一次分析を行ったときの分析結果に相当する。よって、ユーザ別定義は、一次分析の分析結果とサービス提供装置とを、振分ポイントを介して対応付けた対応関係で、且つ、各々のユーザで異なる内容の対応関係であると言える。
【0037】
<属性情報生成定義の内容>
次に、図6を参照して、管理装置30が属性情報を生成するときに参照される属性情報生成定義の内容を説明する。図6において、「定義項目」は、属性情報生成定義に含まれる情報の種別を意味している。「ジャンル」は、この定義項目を共通の概念でグループ化したときの各グループの概念を説明するものである。定義項目の「実施外部サービス」に対応する生成定義の内容は、外部サービスを実施したか否かが属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「ファイル記憶日時」に対応する生成定義の内容は、管理装置30が移動通信端末20からサービス実施前ファイルを受信した日時又は管理装置30がサービス提供装置40からサービス実施後ファイルを受信した日時が属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「位置情報」に対応する生成定義の内容は、移動通信端末20からサービス実施前ファイルとともに送信されてきた緯度経度形式の位置情報が属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「ファイル種別」に対応する生成定義の内容は、ファイルの拡張子が属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「名称」に対応する生成定義の内容は、ファイルのファイル名が属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「任意検索ワード」に対応する生成定義の内容は、ユーザが検索ワードとして入力したワードが属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「自動付与検索ワード」に対応する生成定義の内容は、ユーザが検索に使用する頻度が高いワードが属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「参照回数」に対応する生成定義の内容は、初期値「0」で且つファイルが参照された回数が属性情報として記述されることを意味している。定義項目の「詳細情報画面最終参照日時」に対応する生成定義の内容は、ストレージ機能に関する詳細な情報が移動通信端末20において最後に表示された日時が属性情報として記述されることを意味している。
【0038】
以上が、通信システム1の構成の説明である。なお、各サービス提供装置40の構成は、一般的なコンピュータと同様の構成であり、管理装置30などと同様に、制御部、記憶部及び通信部などを有している。サービス提供装置40が行う外部サービスに係る処理は従来のものと変わらないので、その構成及び動作についての詳細な説明は省略する。
【0039】
<動作>
次に実施形態の動作を説明する。以下の説明において、移動通信端末20、管理装置30及びサービス提供装置40の制御部は、各々のROM乃至記憶部に記憶されているプログラムを実行することで以下の動作を行う。
【0040】
<動作の概要>
まず、図7、8を参照して、動作の概要を説明する。図7において、移動通信端末20の制御部21は、操作部25におけるユーザからの入力を受け付ける(ステップS1)。この入力工程には電子メールやウェブブラウザ等が用いられる。例えば電子メールの場合、その宛先欄に、管理装置30の通信アドレスが入力され、そのタイトル欄に、蓄積したファイルを後で検索したいときに用いることを予定している検索ワードが入力され、その本文欄に、そのファイルに対するメモや備忘録に相当するユーザの任意の入力内容が記述され、さらに、その電子メールの添付ファイルとして、蓄積対象となるファイルが添付される。移動通信端末20の制御部21は、無線通信部23から、この電子メールに、制御部21に記憶されているユーザIDや、さらに必要に応じて測位部27により生成された位置情報などを対応付けて、管理装置30に送信する(ステップS2)。
【0041】
管理装置30の制御部31は、移動通信端末20から送信されたデータを通信部32によって取得すると、これを、記憶部33において上記ユーザIDに対応する記憶領域に記憶する(ステップS3)。このとき、電子メールに添付されていたファイルは、サービス実施前ファイルとして記憶される。これを「一次蓄積」と呼ぶ。次に、管理装置の制御部31は、サービス実施前ファイルに対する一次分析を行い、その結果を表す一次分析情報を生成して記憶する(ステップS4)。
【0042】
次に、管理装置30の制御部31は、一次分析情報と、前述した一般振分定義及びユーザID「001」のユーザ別定義とに従って、移動通信端末20に外部サービスを提供するサービス提供装置40を判定する(ステップS5)。これは前述した「振分」に相当する処理である。この振分によりサービス提供装置40が特定されると、制御部31は、通信部32からそのサービス提供装置40にサービス実施前ファイルを送信することで、そのサービス実施前ファイルに対して外部サービスを実施するよう要求する。サービス提供装置40の制御部は受信したサービス実施前ファイルに外部サービスを実施し(ステップS6)、サービス実施後ファイルを通信部からサービス提供装置40に管理装置30に送信する。
【0043】
管理装置30の制御部31は、通信部32によりサービス実施後ファイルを受信すると、これをサービス実施前ファイルと対応付けた状態で記憶部33に記憶する。次に、制御部31は、このサービス実施後ファイルに対して二次分析を行って、前述した属性情報を生成し(ステップS7)、この属性情報を上記のサービス実施前ファイル及びサービス実施後ファイルに対応付けた状態で記憶部33に記憶する(ステップS8)。これを二次蓄積という。なお、ステップS5において、サービス実施前ファイルに対しサービス提供装置40が特定されなかった場合には、サービス実施前ファイルに対してのみ二次分析及び二次蓄積が行われる。この場合の二次蓄積においては、属性情報とサービス実施前ファイルとが対応付けられた状態で記憶部33に記憶されることになる。
【0044】
このようにして二次蓄積が行われたのち、移動通信端末20のユーザが、利用対象とするファイルを検索したいという場合がある。この場合、図8に示すように、まず、移動通信端末20の制御部21は、操作部25におけるユーザからの検索条件の入力を受け付ける(ステップS21)。この入力工程には電子メールやウェブブラウザ等が用いられる。移動通信端末20の制御部21は、無線通信部23からこの検索条件を管理装置30に送信する(ステップS22)。管理装置30の制御部31は、移動通信端末20から送信された検索条件を通信部32によって受信すると、この検索条件に合致するファイルを検索する(ステップS23)。そして、管理装置30の制御部31は、これによって得られた複数の検索結果に対し、ユーザ別定義の内容に従って検索結果の並び替えを行い(ステップS24)、これを移動通信端末20に送信する(ステップS25)。移動通信端末20の制御部21は受信した検索結果を表示部26に上記の並び替えの順序に従って並べて表示する(ステップS26)。これらの一次蓄積、一次分析、振分、二次分析、及び検索の各々において、制御部31は、ユーザ別定義の内容を更新するための情報を、記憶部33のユーザIDに対応する記憶領域に記憶しておく。
【0045】
<動作の詳細>
次に、図9〜図12を参照して、動作の詳細を説明する。以下の説明において、移動通信端末20のユーザのユーザIDを「001」とする。また、前掲図7のステップS1において、ユーザにより、電子メールにJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式の名刺画像ファイル(ファイル名:A.jpg)が添付され、そのタイトル欄に「A会社」と記述され、その本文欄にはなにも記述されなかったものとする。また、移動通信端末20から管理装置30に送信された電子メールには位置情報が対応付けられていなかったものとする。
【0046】
<一次蓄積>
図9は、一次蓄積の処理手順を示すフローチャートである。管理装置30の制御部31は、移動通信端末20から電子メール形式のデータを受信すると、そのときの日時を受信日時として取得する(ステップS91)。次に、制御部31は、電子メールにファイルが添付されているか否かを判断する(ステップS92)。ファイルが添付されていれば、蓄積対象があるということだから(ステップS92;YES)、制御部31は、ユーザIDを用いてユーザ認証を行ってユーザの正当性を確認してから(ステップS93)、その電子メールのタイトル欄に文字列があるか否かを判断する(ステップS94)。文字列がなければ(ステップS94;NO)、制御部31は、受信したデータをユーザID「001」に対応する記憶領域に記憶する(ステップS95)。このとき、電子メールに添付されていたファイル(ここではA.jpg)は、サービス実施前ファイルとして記憶される。さらに、制御部31は、ユーザ別定義の内容を更新するための情報を、記憶部33においてユーザIDに対応した記憶領域に登録する。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報には、例えば、図5に示した蓄積頻度高時間帯を更新するための上記受信日時や、頻度高位置を更新するための位置情報などが含まれる。なお、ステップS94において、電子メールのタイトル欄に文字列があれば(ステップS94;YES)、制御部31は、そのタイトル欄の文字列(ここではA会社)を、前述した図6の任意検索ワードとして記憶してから(ステップS96)、ステップS95の処理に移行する。また、ステップS92において、電子メールにファイルが添付されていない場合(ステップS92;NO)、制御部31は、受信した電子メール形式のデータの本文欄に文字列があるか否かを判断する(ステップS97)。文字列があれば(ステップS97;YES)、蓄積対象があるということだから、制御部31は、ステップS93の認証の処理に移行する。一方、文字列がなければ(ステップS97;NO)、制御部31は、所定のエラー処理を行って(ステップS98)、一次蓄積の処理を終了する。
【0047】
<一次分析>
図10は、一次分析の処理手順を示すフローチャートである。管理装置30の制御部31は、まず、一次蓄積したサービス実施前ファイルから拡張子(ここでは「.jpg」)を抽出する(ステップS101)。次に、制御部31は、サービス実施前ファイルがバイナリファイルであるか否かを判断する(ステップS102)。ここでいうバイナリファイルとは、静止画や動画、音声を記録したファイルや、プログラムを収めたファイルなど、文字のみで構成されるテキストファイル以外のファイルのことである。ここでのサービス実施前ファイルはJPEG形式のファイルであり、バイナリファイルに相当する(ステップS102;YES)。この場合、制御部31は、OCR(Optical Character Recognition)処理をサービス実施前ファイルに施す(ステップS103)。そして、制御部31は、記憶部33に記憶されている所定の名刺用データベースなどを参照して、サービス実施前ファイルの内容が名刺の画像に相当するものであるか否かを判断する(ステップS104)。ここでは、名刺の画像に相当するものと判断されるから(ステップS104;YES)、制御部31は、サービス実施前ファイルのファイル形式を変換する(ステップS105)。ここでは、JPEG形式からvCARD形式に変換されることになる。
【0048】
そして、制御部31は、一次分析情報を生成する(ステップS106)。ここで生成される一次分析情報には、入力フォームとして「電子メール」、ファイル情報としてファイル名「A.jpg」及び「A.vcf」、任意検索ワードとして「A会社」、記憶日時として「2010/06/01 15:00」、ユーザIDとして「001」、外部サービスとして「空欄(データなし)」、ファイルサイズとして「100Kbyte」、拡張子として「.jpg」、ファイル内文字列としてvCARD形式のファイルに含まれる文字列(例えば会社名:A会社、氏名:田中太郎、住所:東京都港区、TEL:03-1111-1111)などといった情報が含まれる。そして、制御部31は、ユーザ別定義を更新するための情報を記憶部33においてユーザIDに対応する記憶領域に登録する。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報とは、上記の一次分析情報そのもののことである。
【0049】
なお、ステップS102においてサービス実施前ファイルがバイナリファイルでないと判断された場合には(ステップS102;NO)、サービス実施前ファイルはテキストファイルということになるので、制御部31は、そのファイルに含まれる文字列を抽出して(ステップS107)、ステップS106の一次分析情報の生成処理に移行する。また、ステップS104においてサービス実施前ファイルの内容が名刺の画像に相当するものでないと判断された場合には(ステップS104;NO)、制御部31は、名刺用データベースを参照したOCR処理ではなく、通常のOCR用データベースを参照したOCR処理をサービス実施前ファイルに施し(ステップS108)、ステップS106の一次分析情報の生成処理に移行する。
【0050】
<振分>
次に、図11は、振分の処理手順を示すフローチャートである。管理装置30の制御部31は、まず、一次分析情報と一般振分定義とに基づいて振分ポイントを特定する(ステップS111)。ここで、一次分析情報には、前述したように、入力フォームとして電子メール、ファイル情報としてファイル名「A.jpg」及び「A.vcf」、任意検索ワードとして「A会社」、記憶日時として「2010/06/01 15:00」、ユーザIDとして「001」、外部サービスとして空欄(データなし)、ファイルサイズとして「100Kbyte」、拡張子として「.jpg」、ファイル内文字列として「A会社、田中太郎、東京都港区、TEL:03-1111-1111」などが含まれる。一方、一般振分定義は図4に示すような内容であるから、制御部31は、一般振分定義に規定された各外部サービスについて一次分析情報に相当する内容を特定し、各々の外部サービス単位で振分ポイントを合算する。ここでは、例えば、アドレス帳管理サービスについて120ポイント、ナビゲーションサービスについて10ポイントが算出されたとする。
【0051】
次に、制御部31は、一次分析情報とユーザ別定義に基づいて振分ポイントを特定する(ステップS112)。ここで、一次分析情報の内容は上述したとおりであり、ユーザ別定義は図5に示すような内容であるから、制御部31は、ユーザ別定義に規定された各外部サービスについて一次分析情報に相当する内容を特定し、各々の外部サービス単位で振分ポイントの増減値を算出する。ここでは、例えば、アドレス帳管理サービスについて+25ポイント、ナビゲーションサービスについて−3ポイントが算出されたとする。
【0052】
次に、制御部31は、ステップS111で特定した振分ポイントを、ステップS112で特定した振分ポイントの増減値で増減させる。そして、制御部31は、その結果得られた振分ポイントが一般振分定義に規定されている振分範囲を充足するような外部サービスを特定する。ここでは、アドレス帳管理サービスについては、120+25=145ポイントで、ナビゲーションサービスについては、10−3=7ポイントとなるので、アドレス帳管理サービスについては、N≧20という振分範囲を満たすが、ナビゲーションサービスについては、N≧40という振分範囲を満たさない。よって、制御部31は、アドレス帳管理サービスを、移動通信端末20に提供される外部サービスとして特定する。
【0053】
外部サービスが特定された場合には(ステップS113;YES)、制御部31は、その外部サービスを提供するサービス提供装置40の通信アドレスを一般振分定義から取得し、その通信アドレス宛にサービス実施前ファイルを送信する(ステップS114)。このとき、制御部31は、ユーザ別定義を更新するための情報を記憶部33においてユーザIDに対応する記憶領域に登録する。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報とは、どの外部サービスを特定したかなどである。
【0054】
サービス提供装置40の制御部は受信したサービス実施前ファイルに外部サービスを実施する。このときの実施内容は、例えばファイル形式を所定のものに変換するとか、名刺の内容に相当する文字列の書式や体裁を整えるとか、住所に相当する地図データを生成してファイルに挿入するなどの処理を含むものである。この外部サービスが実施された後のサービス実施後ファイルはサービス提供装置40から管理装置30に送信される。制御部31は、サービス提供装置からサービス処理を行った結果、つまりサービス実施後ファイルを受信すると(ステップS115;YES)、このサービス実施後ファイルについて、前述した一次分析処理を再び実行する(ステップS116)。そして、サービス実施後ファイルについて一次分析情報が生成されると(ステップS117;YES)、再び、制御部31は、ステップS111の処理に戻り、前述したステップS111〜ステップS117の処理を外部サービスが必要なくなるまで、つまり、各外部サービスについての振分範囲を満たさないようになるまで(ステップS113;NO)繰り返す。
【0055】
以上の一次分析処理及び振分処理により、外部サービスが特定された場合にはサービス実施後ファイルの一次分析情報が生成されて、サービス実施前ファイル、サービス実施後ファイル及び一次分析情報が互いに対応付けられて記憶部33に記憶される。一方、外部サービスが特定されなかった場合にはサービス実施前ファイルの一次分析情報が生成され、サービス実施前ファイル及び一次分析情報が互いに対応付けられて記憶部33に記憶される。
【0056】
<二次分析及び二次蓄積>
次に、図12は、二次分析の処理手順を示すフローチャートである。管理装置30の制御部31は、一次分析処理及び振分処理を経たファイルに外部サービスを実施したか否かを判断する(ステップS121)。外部サービスを実施していない場合には(ステップS121;NO)、制御部31は、記憶部33から属性情報生成定義を取得し(ステップS122)、さらに、記憶部33からユーザIDに対応するユーザ別定義を取得する(ステップS123)。そして、制御部31は、これらの属性情報生成定義及びユーザ別定義に基づき属性情報を生成する(ステップS124)。具体的には以下のとおりである。
【0057】
制御部31は、ユーザ別定義として、図5に示したような検索頻度高ワードを、例えば3つ記憶している。ここで、検索が何回か行われると、この検索頻度高ワードの内容も更新されることになる。制御部31は、検索頻度高ワードのうち頻度が高いほうから順に例えば15ポイント、7ポイント、3ポイントというように、ポイントを予め割り当てておく。そして、制御部31は、検索頻度高ワードの内容が更新されると、各ワードに対する累積のポイント数を計算し、最も大きなポイント数を獲得したワードから所定数のものを自動付与検索ワードとして決定する。
【0058】
制御部31は、生成した属性情報をサービス実施前ファイルに対応付けて、記憶部33においてユーザに割り当てられた記憶領域に記憶する(ステップS125)。このとき、制御部31は、ユーザ別定義を更新するための情報を、記憶部33においてユーザIDに対応する記憶領域に登録する。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報とは、属性情報の生成ログなどである。
【0059】
また、ステップS121において、一次分析処理及び振分処理を経たファイルに外部サービスを実施している場合には、制御部31は、そのファイルがサービス実施前ファイルであるか又はサービス実施後ファイルであるかを判断する(ステップS126)。ここで、一次分析処理及び振分処理を経たファイルに対し外部サービスを実施した後においては、サービス実施前ファイルとサービス実施後ファイルの双方が記憶部33に記憶された状態になっているから、ステップS126では、二次分析及び二次蓄積の処理対象となるファイルがこのどちらのファイルであるかによってその判断結果が異なる。ここで、一次分析処理及び振分処理を経たファイルがサービス実施前ファイルである場合には(ステップS126;NO)、制御部31は、記憶部33から属性情報生成定義を取得し(ステップS127)、さらに、記憶部33からユーザIDに対応するユーザ別定義を取得する(ステップS128)。そして、制御部31は、これらの属性情報生成定義及びユーザ別定義に基づき属性情報を生成する(ステップS129)。制御部31は、生成した属性情報をサービス実施前ファイルに対応付けて、ユーザに割り当てられた記憶領域に記憶する(ステップS130)。このとき、制御部31は、ユーザ別定義を更新するための情報を記憶部33においてユーザIDに対応する記憶領域に登録する。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報とは、属性情報の生成ログなどである。
【0060】
一次蓄積から二次分析及び二次蓄積までの説明では、外部サービスがサービス適用前ファイルに実施された例を説明したが、この例の場合、ステップS126において、一次分析処理及び振分処理を経たファイルがサービス実施後ファイルであると判断される(ステップS126;YES)。そして、制御部31は、二次分析及び二次蓄積の対象となっている外部サービス実施後ファイルに対応付けて記憶されている外部サービス実施前ファイルの属性情報を取得する(ステップS131)。次に、制御部31は、属性情報生成定義を記憶部33から取得し(ステップS132)、さらに、ユーザID「001」のユーザ別定義を記憶部33から取得する(ステップS133)。そして、制御部31は、これらの属性情報生成定義及びユーザ別定義に基づき、属性情報を生成する(ステップS134)。属性情報生成定義の内容は図6に示したとおりであり、ユーザ別定義の内容は図5に示したとおりであるから、ここで生成される属性情報には、実施外部サービスとして「アドレス帳サービス」、記憶日時として「2010/06/01 15:00」、位置情報として「ゼロ(データなし)」、ファイル形式として「.vcf」、ファイル名として「A.vcf」、任意検索ワードとして「A会社」、自動付与検索ワードとして「赤坂,株式会社,A会社」、参照回数として「0回」、ファイルサイズとして「100Kbyte」、ユーザIDとして「001」などが含まれることになる。制御部31は、生成した属性情報をサービス実施後ファイルに対応付けて、ユーザID「001」のユーザに割り当てられた記憶領域に記憶する(ステップS135)。このとき、制御部31は、ユーザ別定義を更新するための情報を、記憶部33においてユーザIDに対応する記憶領域に登録する。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報とは、属性情報の生成ログなどである。
【0061】
<検索>
次に、図13は、検索の処理手順を示すフローチャートである。管理装置30の制御部31は、移動通信端末20からユーザID(ここでは「001」)及び検索ワード(ここでは「田中」)を9:30に取得したとする(ステップS141)。制御部31は、このユーザIDに対応する記憶領域においてこの検索ワードを用いて属性情報を検索する(ステップS142)。このとき検索対象となるファイルは、サービス実施前ファイル及びサービス実施後ファイルの双方に対応する属性情報である。また、制御部31は、ユーザ別定義の内容を更新するための情報を、ユーザIDと対応付けて記憶部33に記憶しておく。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報には、例えば検索ワードや検索日時などが含まれる。
【0062】
制御部31は、検索の結果が得られると、ユーザID「001」に対応するユーザ別定義を記憶部33から取得する(ステップS143)。そして、制御部31は、ユーザ別定義の内容に基づいて検索結果を並び替える(ステップS144)。ここで、検索ワード「田中」でヒットしたファイルのファイル名が、「A.jpg」、「A.vcf」、「B.bmp」及び「C.xls」であったとする。ユーザ別定義の内容は図5に例示したとおりであり、検索時刻9:30は検索頻度高時間帯9時−10時に属するから、制御部31は、「A.jpg」、「A.vcf」、「B.bmp」及び「C.xls」のうちアドレス帳管理サービスが実施された「A.jpg」及び「A.vcf」を検索結果の冒頭に表示させ、アドレス帳管理サービスが実施されてない「B.bmp」及び「C.xls」を「A.jpg」及び「A.vcf」の下方に表示させるような、ファイルの一覧表示データを生成する。また、制御部31は、例えば図5に示した優先外部サービスの順にしたがって検索結果を並び替えてもよい。例えば図5の場合、過去にユーザに提供された頻度が多い優先外部サービスはアドレス帳管理サービスであるから、アドレス帳管理サービスに適用したファイルを表示エリアの上部などの優先的な位置になるよう、検索結果を並び替えるといった具合である。そして、制御部31は、ユーザ別定義の内容を更新するための情報をユーザIDと対応付けて記憶部33に記憶しておく。ここでいう、ユーザ別定義の内容を更新するための情報には、例えば、上記のような検索結果などが含まれる。そして、制御部31は、この表示データを検索結果として移動通信端末20に送信する(ステップS145)。移動通信端末20において、ユーザがこの検索結果の一覧から所望するものを選択すると、そのファイル名が管理装置30に通知される。管理装置30の制御部31は、通知されたファイル名のファイルを記憶部33から抽出し移動通信端末20に送信する。移動通信端末20においては、このファイルの内容が画像として表示される。
【0063】
<ユーザ別定義の更新>
上述したように、ユーザ別定義は、一次蓄積、一次分析、振分、二次分析、検索の処理において記憶された、ユーザ別定義の内容を更新するための情報に基づき、所定の期間毎に或いはユーザによって指定されたタイミングで更新される。また、上述した属性情報はユーザ別定義の内容に基づいてその内容が決まるため、制御部31は、ユーザ別定義が更新されたときには、その更新内容に応じて、それまでに各ファイルに対応付けられていた属性情報も更新する。
【0064】
以上説明した実施形態によれば、管理装置30が、移動通信端末20から取得したファイルの内容について一次分析を行い、その分析結果と、複数のユーザに共通する内容の一般振分定義と、各々のユーザで異なる内容のユーザ別定義とに従って、ファイルに外部サービスを実施するサービス提供装置を特定するので、ユーザの作業負担を軽減することができる。また、各々のユーザで異なる内容のユーザ別定義を用いることで、各ユーザに応じた外部サービスの振分が可能となるとともに、複数のユーザに共通する内容の一般振分定義を用いることで、ユーザ別定義の内容が不足しているような場合であっても、適合度の高い外部サービスの振分が可能となる。
また、管理装置30は、外部サービスが実施されたファイルをユーザ固有の記憶領域に蓄積しておき、必要に応じてこのファイルをユーザに提供するので、ユーザは、いつでもどこでもどのような通信端末からでも、ファイルを利用することができる。また、ユーザ固有の記憶領域にファイルを蓄積しているので、ファイルの漏洩を防止しつつ、ユーザが所望するファイルを容易に検索することができる。
また、管理装置30は、二次分析を行うことで各ファイルに対して属性情報と呼ばれる検索用の情報を生成し、そのファイルに対応付けて蓄積するので、ユーザが所望するファイルをより正確に特定することができる。さらに、ユーザ別定義が更新されたときには、その更新内容に応じて、それまでに各ファイルに対応付けられていた属性情報も更新されるから、最新のユーザ別定義に基づく検索が可能となる。これにより、直近のユーザ別定義に基づく検索が可能となる。また、管理装置30は、サービス実施後ファイルに対しては、サービス実施前ファイルから生成された属性情報と、サービス実施後ファイルに対する一次分析結果とに基づいて、新たな属性情報を生成するから、サービス実施前ファイルを使用した再帰的な分析を行うことができる。
【0065】
<変形例>
上述した実施形態は次のような変形が可能である。以下の変形例を互いに組み合わせて実施してもよい。
<変形例1>
一般振分定義、ユーザ別定義及び属性情報生成定義の内容は一例に過ぎず、必ずしも例示した内容に限定されるものではない。
【0066】
<変形例2>
実施形態では、ユーザ別定義が更新されると、その更新内容に応じて、それまでに各ファイルに付されていた属性情報も更新されていたが、ユーザ別定義が更新されたとしても属性情報が更新されないようにしてもよい。この場合は、ファイルが管理装置30に蓄積されたときの状況を反映したユーザ別定義に基いて検索を行うことができる。
【0067】
<変形例3>
管理装置30が備える各手段を複数の装置に分散させて持たせてもよい。例えば、ユーザの通信端末からサービス適用前ファイルを取得する手段と、取得されたファイルの内容を一次分析する手段と、一般振分定義及びユーザ別定義を記憶する手段と、一次分析情報、一般振分定義及びユーザ別定義に従ってサービス提供装置を特定する手段とを第1の装置に持たせ、特定されたサービス提供装置に対してサービス適用前ファイルを送信して、外部サービスが実施されたファイルを取得する手段と、サービス適用前ファイルとサービス適用後ファイルとを対応付けて記憶する手段と、記憶されているファイルを移動通信端末からの要求に応じて送信する手段とを第2の装置に持たせるといった具合である。これらの各手段の全部または一部を備えた装置ないし装置群が、本発明に係る管理装置に相当する。
【0068】
<変形例4>
実施形態では、ユーザが用いる通信端末として、携帯電話機という移動通信端末を例示したが、この通信端末は管理装置30と通信可能なコンピュータであればよく、例えば、PDA(Personal Digital Assisstants)や無線LAN(Local Area Netwok)端末、パーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0069】
<変形例5>
上述した実施形態における各プログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶した状態で、管理装置30及び移動通信端末20に提供し得る。この場合には、記録媒体を読み取るインターフェースをこれらの管理装置30及び移動通信端末20に設ければよい。また、ネットワーク経由でこれらの管理装置30及び移動通信端末20にダウンロードさせることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1・・・通信システム、20・・・移動通信端末、21・・・制御部、22・・・記憶部、23・・・無線通信部、24・・・音声入出力部、25・・・操作部、26・・・表示部、27・・・測位部、30・・・管理装置、31・・・制御部、32・・・通信部、33・・・記憶部、40・・・サービス提供装置、50・・・インターネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの通信端末からファイルを取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析する第1の分析手段と、
前記第1の分析手段による分析結果に基づいて、それぞれ異なるサービスに係る処理をファイルに対して行う複数のサービス提供装置のうち、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対してサービスに係る処理を行うサービス提供装置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記サービス提供装置に対し、前記第1の取得手段によって取得されたファイルを送信して、当該ファイルに対してサービスに係る処理を行うよう要求する要求手段と、
前記要求手段による要求に応じて前記サービス提供装置が前記処理を行ったファイルを、当該サービス提供装置から取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段または前記第2の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析して、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する第2の分析手段と、
前記第1の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の分析手段により生成された属性情報とを対応付けて記憶するファイル記憶手段と、
前記ファイル記憶手段に記憶されているファイルに対する検索条件を前記通信端末から取得し、当該検索条件と前記ファイル記憶手段に記憶されている属性情報とを比較し、当該検索条件に合致する属性条件に対応するファイルを前記ファイル記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたファイルを前記通信端末に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記第1の分析手段によるファイルの分析結果と、ユーザに提供するサービスに係る処理をファイルに対して行うサービス提供装置との対応関係であって、複数のユーザに共通する内容の対応関係を予め記憶した第1の対応関係記憶手段と、
前記第1の分析手段によるファイルの分析結果と前記サービス提供装置との対応関係であって、各々のユーザで異なる内容の対応関係を予め記憶した第2の対応関係記憶手段とを備え、
前記特定手段は、前記第1の分析手段による分析結果と、前記第1の対応関係記憶手段及び前記第2の対応関係記憶手段に記憶された前記対応関係とに基づいて、前記サービス提供装置を特定し、
前記第2の分析手段は、前記第1の取得手段または前記第2の取得手段によって取得されたファイルの分析結果と前記第2の記憶手段に記憶されている前記対応関係に基づいて、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の管理装置。
【請求項3】
前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対する前記第1の分析手段による分析を含む処理の履歴、又は、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対する前記第2の分析手段による分析を含む処理の履歴に基づき、前記第2の対応関係記憶手段に記憶された前記対応関係を更新する更新手段
を備えることを特徴とする請求項2記載の管理装置。
【請求項4】
前記第2の対応関係記憶手段に記憶された前記対応関係が前記更新手段によって更新されると、前記第2の分析手段は、その更新後の前記対応関係に基づいて、前記ファイル記憶手段に記憶されている前記属性情報を更新する
ことを特徴とする請求項2記載の管理装置。
【請求項5】
前記第2の分析手段は、前記第1の取得手段により取得されたファイルについて生成した前記属性情報と、前記第2の取得手段によって取得されたファイルに対して前記第1の分析手段が分析した結果とに基づいて、前記第2の取得手段によって取得されたファイルを検索するときに参照される属性情報を生成する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の管理装置。
【請求項6】
前記第2の対応関係記憶手段は、前記検索条件が前記通信端末において指定されたときの位置を示す位置情報と前記サービス提供装置との対応関係を記憶しており、
前記抽出手段は、位置を表す位置情報を含む前記検索条件を前記通信端末から取得し、当該位置情報と前記ファイル記憶手段に記憶されている属性情報とを比較し、当該位置情報に合致する属性条件に対応するファイルを前記ファイル記憶手段から抽出する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の管理装置。
【請求項7】
ユーザの通信端末と通信を行う管理装置におけるファイルの管理方法であって、
ユーザの通信端末からファイルを取得する第1の取得ステップと、
前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルの内容を分析する第1の分析ステップと、
前記第1の分析ステップにおける分析結果に基づいて、それぞれ異なるサービスに係る処理をファイルに対して行う複数のサービス提供装置のうち、前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルに対してサービスに係る処理を行うサービス提供装置を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記サービス提供装置に対し、前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルを送信して、当該ファイルに対してサービスに係る処理を行うよう要求する要求ステップと、
前記要求ステップにおける要求に応じて前記サービス提供装置が前記処理を行ったファイルを、当該サービス提供装置から取得する第2の取得ステップと、
前記第1の取得ステップまたは前記第2の取得ステップにおいて取得されたファイルの内容を分析して、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する第2の分析ステップと、
前記第1の取得ステップにおいて取得されたファイルと、前記第2の取得ステップにおいて取得されたファイルと、前記第2の分析ステップにおいて生成された属性情報とを対応付けて記憶するファイル記憶ステップと、
前記ファイル記憶ステップにおいて記憶されたファイルに対する検索条件を前記通信端末から取得し、当該検索条件と前記ファイル記憶ステップにおいて記憶された属性情報とを比較し、当該検索条件に合致する属性条件に対応するファイルを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出されたファイルを前記通信端末に送信する送信ステップと
を備えることを特徴とする管理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
ユーザの通信端末からファイルを取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析する第1の分析手段と、
前記第1の分析手段による分析結果に基づいて、それぞれ異なるサービスに係る処理をファイルに対して行う複数のサービス提供装置のうち、前記第1の取得手段によって取得されたファイルに対してサービスに係る処理を行うサービス提供装置を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記サービス提供装置に対し、前記第1の取得手段によって取得されたファイルを送信して、当該ファイルに対してサービスに係る処理を行うよう要求する要求手段と、
前記要求手段による要求に応じて前記サービス提供装置が前記処理を行ったファイルを、当該サービス提供装置から取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段または前記第2の取得手段によって取得されたファイルの内容を分析して、当該ファイルを検索するときに参照する属性情報を生成する第2の分析手段と、
前記第1の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の取得手段によって取得されたファイルと、前記第2の分析手段により生成された属性情報とを対応付けて記憶するファイル記憶手段と、
前記ファイル記憶手段に記憶されているファイルに対する検索条件を前記通信端末から取得し、当該検索条件と前記ファイル記憶手段に記憶されている属性情報とを比較し、当該検索条件に合致する属性条件に対応するファイルを前記ファイル記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出されたファイルを前記通信端末に送信する送信手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−128496(P2012−128496A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276996(P2010−276996)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】