説明

管継手

【課題】簡単な方法で作業者の結合ミスを未然に防止することができる管継手を提供すること。
【解決手段】導通孔10とロック溝10cを有するプラグ10と、導通孔10に連通する中空孔3とプラグ10の取り外しをロックするロックボール8とを有するソケット2とを備え、ロックボール8をロック溝10cに係合或いは解放させるロック手段を有する筒状の可動ロックスリーブ5をソケット2に装着した管継手1において、一対の挟持爪6、6を有する確認リング6を設け、プラグ10とソケット2との結合前に挟持爪6、6をソケット2の外周囲に挟持させ挟持爪6、6をロックスリーブ5で覆ってその取り外しを阻止し、プラグ10がソケット2に完全に結合されたときに、ロックスリーブ5が移動されてロックボール8とロック溝10cとを係合するとともに確認リング6の取り外しを可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラグとソケットとからなる管継手に関し、特に、プラグとソケットとが確実に結合されたことを確認できる手段を設けた管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般家庭には、地中に埋設された水道管が引き込まれ、この水道管に各種の機器、例えば流し台、洗面器あるいは浄水器等が接続されている。
水道管と各種機器との接続は、通常、パイプにねじ切りを行ない、このねじ切りしたパイプ同士をカップリング等で接続する、ネジによる結合手段が採用されている。このようなネジ結合手段を用いると、水道管からの給水に圧力が掛っていても水漏れの発生が少ない結合ができる。しかしながら、この結合手段は、パイプにネジ切りを行ないカップリングで結合するので、その作業が面倒で熟練を要する作業となり、しかも一度結合してしまうと簡単に取り外すことができない等の課題がある。
【0003】
他の結合手段としては、プラグとソケットとを用いてこれらをワンタッチで結合できる管継手がある。この種の管継手には、例えば、テーパ孔内にロックボ−ルを遊嵌保持させた筒状ソケットと、このロックボ−ルが逃げ込む環状溝を設けた筒状プラグとを備え、筒状ソケットに筒状プラグを挿入することにより、筒状プラグをロックボールでロックするようにした管継手が知られている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0004】
図20は下記特許文献1に開示された管継手のロック機構を示し、図20(a)は継手結合時の要部断面図、図20(b)はロック時の作用を説明する説明図である。
この管継手200は、継手ボデー202にリングばね204を介して回転と長手方向への移動を自由に行える結合リング201と、この継手ボデー202に結合する継手スリーブ203とを備え、継手ボデー202にピン205を形成し、結合リング201に長靴型切込み206を形成し、ピン205に対して長靴型切込み206をリングばね204の回転方向のばね力に介して衝止することによって、結合リングの長手方向及び回転方向への移動を規制するようにしたものである。この構成によると、長手方向及び時計又は反時計方向への不慮の外力が加えられてもロック機能を維持させることができる。また、同様のプラグとソケットとからなり、これらをワンタッチで結合できる管継手が下記特許文献2にも開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平7−103386号公報(段落〔0011〕〜〔0015〕、図1)
【特許文献2】特開2000−193172号公報(段落〔0022〕〜〔0029〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に開示された管継手は、ソケットとプラグとをワンタッチで簡単に結合できるので、ネジ結合手段に比べて結合作業が極めて簡単になり、取り外しも簡単になる。しかしながら、水道管及びこれに接続される機器の配管は、一般に鉄パイプ等の鋼管が使用されるので可撓性がなく、このような鋼管にプラグ及びソケットを接続して、互いに結合しようとすると、鋼管が自由に屈曲しないので、プラグとソケットとの結合角度にズレが発生して不完全な結合となり、また、作業者が完全に結合したつもりでも完全に結合されない場合があり、このような不完全な結合は水漏れ等を招来させる原因となるので、この種の管継手は水道管の接続に使用されることが殆どなく、仮に使用するにしても細心の結合作業が必要となる上、結合状態を再三確認しなければならなくなる。
【0007】
本発明者は、このような従来技術に鑑み、ワンタッチ接続が可能な管継手においてその結合状態を容易に確認することが可能な確認用部材を設けることにより、水道管等の比較的結合作業が困難な配管の結合であっても不完全な結合状態を未然に防止することができるとともに、結合状態の確認も容易になることを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、簡単な方法で作業者の結合ミスを未然に防止することができる管継手を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、プラグとソケットとの不用意な接続解除を防止した管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の実施形態に係る請求項1に記載の管継手の発明は、内部に導通孔を有し外部にロック溝を有するプラグと、前記導通孔に連通する中空孔と前記ロック溝と係合して前記プラグの取り外しをロックするロック部材とを有するソケットとを備え、前記ロック部材を前記ロック溝に係合或いは解放させるロック手段を有する筒状の可動ロックスリーブを前記ソケットに装着した管継手において、一対の挟持爪を有する確認リングを設け、前記プラグと前記ソケットとの結合前に前記確認リングの一対の挟持爪を前記ソケットの外周囲に挟持させ該各挟持爪を前記ロックスリーブで覆ってその取り外しを阻止し、前記プラグが前記ソケットに完全に結合されたときに、前記ロックスリーブが移動されて前記ロック部材と前記ロック溝とを係合するとともに前記確認リングの取り外しを可能としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の管継手において、前記ソケットは内部に中空孔を有する第1、第2ソケット部材を前後に直列に連結して構成し、前記第1ソケット部材は前記ロックスリーブに嵌挿し、前記第1ソケット部材と前記第2ソケット部材との間には所定の隙間が形成され、該隙間に前記確認リングが挟持されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の管継手において、前記確認リングは、前記ソケットの外周囲を挟持する一対の挟持爪と、前記一対の挟持爪の一端を連結して外方へ延出させた該挟持爪の装着或いは取り外しを行う把持片とを有し、これらが一体に結合されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の管継手において、前記ロックスリーブは、前記プラグが差込まれる方向と反対方向の開口部に所定幅長の切欠き溝を形成して、前記確認リングの挟持爪が前記ロックスリーブで覆われてその取り外しがロックされているときに、前記切欠き溝から前記確認リングの把持片が露出されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の管継手において、前記ロック部材は、複数個の球状のロックボールからなり、前記ロックボールは前記ソケットに設けられた複数の保持穴にそれぞれ遊嵌されており、前記ロックスリーブのロック手段によって前記ロックボールが前記ロック溝に係合されることにより前記プラグの取り外しがロックされるようになしたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の管継手において、前記ロックスリーブのロック手段は、前方の内周壁面に前記ロックボールを前記ロック溝に係合させる突起部及び前記ロックボールの係合を解除する窪みを隣接して形成し、前記ロックスリーブと前記ソケットとの間には弾性部材が介在され、さらに前記ソケットの中空孔内には前記ロックボールが前記中空孔内に突出することを防止する保持リングが設けられており、前記プラグと前記ソケットとが未結合の状態においては、前記ロックスリーブを前記弾性部材の付勢力に抗した状態で、且つ前記保持リングにより前記ロックボールを前記窪み内に係止するようになし、前記プラグと前記ソケットとが結合されるときには、前記保持リングと前記ロックボールとの係止が解除されて、前記ロックボールが前記ロック溝内へ落し込まれて前記ロックスリーブの突起部で保持されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の管継手において、前記保持リングは、弾性部材により前記保持穴を塞ぐ位置に配設されており、前記ソケットの中空孔内に前記プラグが差し込まれた際には、前記プラグにより前記弾性部材の付勢力に抗して移動されるようになしたことを特徴とする。
【0017】
本発明の第2の実施形態に係る請求項8に記載の管継手の発明は、内部に導通孔を有し外部にロック溝を有するプラグと、前記導通孔に連通する中空孔と前記ロック溝と係合して前記プラグの取り外しをロックするロック部材とを有するソケットとを備え、前記ロック部材を前記ロック溝に係合或いは解放させるロック手段を有する筒状の可動ロックスリーブを前記ソケットに装着した管継手において、前記ソケットは外部から識別容易な確認用部材を備え、前記プラグと前記ソケットとの結合前には前記確認部材が前記ロックスリーブにより覆われ、前記プラグが前記ソケットに完全に結合されたときには、前記ロックスリーブが移動されて前記ロック部材と前記ロック溝とを係合するとともに前記確認部材を外部に露呈させることを特徴とする。
【0018】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の管継手において、前記確認用部材は前記ソケットの外周囲に挿入された環状リングからなることを特徴とする。
【0019】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の管継手において、前記ソケットは、内部に中空孔を有する第1、第2ソケット部材を前後に直列に連結して構成し、前記ロックスリーブを前記第1ソケット部材に嵌挿して前記第2ソケット部材との間に隙間が形成されるようにして、前記隙間に前記環状リングが挿入されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の管継手において、前記環状リングは外周囲に1乃至複数個の凸部を備え、前記ソケットの外周囲に回動可能に挿入されるとともに、前記ロックスリーブの内周面には前記凸部を受容できる複数の溝と前記凸部と衝合する突出部とを設け、前記プラグと前記ソケットが完全に結合された後に前記確認用リングを回動して前記凸部を前記突出部に衝合させ、前記ロックスリーブの移動を制限することを特徴とする。
【0021】
また、請求項12に記載の発明は、請求項8に記載の管継手において、前記ロック部材は、複数個の球状のロックボールからなり、前記ロックボールは前記ソケットに設けられた複数の保持穴にそれぞれ遊嵌されており、前記ロックスリーブのロック手段によって前記ボールが前記ロック溝に係合されることにより前記プラグの取り外しがロックされるようになしたことを特徴とする。
【0022】
また、請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の管継手において、前記ロックスリーブのロック手段は、前方の内周壁面に前記ロックボールを前記ロック溝に係合させる突起部および前記ロックボールの係合を解除する窪みを隣接して形成し、前記ロックスリーブと前記ソケットとの間には弾性部材が介在され、さらに前記ソケットの中空孔内には前記ロックボールが前記中空孔内に突出することを防止する保持リングが設けられており、前記プラグと前記ソケットとが未結合の状態においては、前記ロックスリーブを前記弾性部材の付勢力に抗した状態で、且つ前記保持リングにより前記ロックボールを前記窪み内に係止するようになし、前記プラグと前記ソケットとが結合されるときには、前記保持リングと前記ロックボールとの係止が解除されて、前記ロックボールが前記ロック溝内へ落し込まれて前記ロックスリーブの突起部で保持されることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の管継手において、前記保持リングは、弾性部材により前記保持穴を塞ぐ位置に配設されており、前記ソケットの中空孔内に前記プラグが差し込まれた際には、前記プラグにより前記弾性部材の付勢力に抗して移動されるようになしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記構成を備えることにより、以下の優れた効果を奏する。すなわち、本発明の第1の態様にかかる請求項1の発明によれば、一対の挟持爪を有する確認リングを設け、ソケットとプラグとの結合前は、確認リングの一対の挟持爪をソケットの外周囲に挟持させて各挟持爪をロックスリーブで覆ってその取り外しを阻止し、プラグがソケットに完全に結合されたときに、ロックスリーブが移動されて確認リングの取り外しが可能なようになしたので、確認リングはソケットにプラグが完全に結合されたときのみ取り外しができるから、この確認リングを回収することにより水道管の連結作業等を行う際に作業者の不完全結合の見過ごしをなくすることができる。したがって、この管継手を使用すると、ソケットとプラグとの完全な嵌合結合を直接確認することなく確認リングを確認するだけでよくなるので、水道管等の接続不良に伴う水漏れの心配を解消して安心して使用できる。
【0025】
また、請求項2の発明によれば、ソケットは、内部に中空孔を有する第1、第2ソケット部材を前後に直列に連結したもので構成し、第1ソケット部材をロックスリーブに嵌挿し、第1ソケット部材と第2ソケット部材との間に隙間が形成されるようにして、この隙間に確認リングを挟持させるので、確認リングの挟持を簡単に行うことができる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、確認リングは、ソケットの外周囲を挟持する一対の挟持爪と、これらの挟持爪の一端を連結して外方へ延出させて各挟持爪の装着或いは取り外しを行う把持片とを有し、これらが一体に結合したもので形成することにより、簡単な構成で安価に作製できるとともに、確認リングの取り付け及び取り外しが容易に行えるようになる。
【0027】
また、請求項4の発明によれば、確認リングに把持片を設け、確認リングの挟持爪がロックスリーブで覆われてその取り外しがロックされているときに、切欠き溝から確認リングの把持片が露出されるので、確認リングの装着状態が正確に把握でき、特に、ソケットにプラグが結合された状態で確認リングが残っていると、不完全結合になっている恐れがあるが、把持片が切欠き溝から露出しているので簡単に嵌合状態を確認できる。また、把持片を設けることにより、確認リングの取り外しが簡単になる。
【0028】
また、請求項5の発明によれば、ロック部材をロックボールで形成したことにより、簡単な構成でソケットとプラグとの連結ロックを行うことができるようになる。
【0029】
また、請求項6の発明によれば、ロックスリーブの前方の内周壁面に、ロック手段としてロックボールを前記ロック溝に係合させる突起部及びロックボールを逃込ませる窪みを隣接して形成することにより、プラグとの接続時にロックスリーブを長手方向へスライド移動させても、ソケットとの接続が解除されなくなり、不用意な解除を防止できる。
【0030】
また、請求項7の発明によれば、ソケットの中空孔内にロックボールを保持する保持リングを挿着させ、更にこの保持リングはプラグの挿入に伴って移動するようになしたので、プラグとソケットとの結合前にロックボールを簡単に保持することができるとともにロックボールの保持を解除する際にも特別な操作を行うことなく可能になる。
【0031】
本発明の第2の態様にかかる請求項8の発明によれば、ソケットに確認用部材を設け、この確認用部材が、ソケットとプラグの未結合状態においてはロックスリーブにより覆われるようになし、反対にソケットとプラグとが完全に結合した状態においてはロックスリーブの移動に伴って外部に露呈するようになるので、水道管の連結作業等を行う作業員はこの確認用部材が外部から目視可能か否かを確認するだけで管継手の結合状態を知ることができるようになり、水道管等の接続不良に伴う水漏れの心配をなくすることができる。また、この確認部材は外部からの視認が容易なように、例えば管継手の他の構成部材とは異なる彩色を施すとさらに視認が容易となり、好ましい。
【0032】
また、請求項9の発明によれば、確認用部材をソケットの外周囲に挿入された環状リングで構成することにより、簡単な構成で上述した効果を奏することが可能となる。
【0033】
また、請求項10の発明によれば、上述した請求項2の奏する効果と同様の効果を奏する管継手を提供することが可能となる。
【0034】
また、請求項11の発明によれば、環状リングの外周囲に複数個の凸部を設け、ロックスリーブの一部、詳しくはプラグとソケットとが未結合の状態においてこの環状リングを覆う部分に、凸部を受容する溝及び凸部と衝合する突出部を設けることにより、プラグとソケットとの結合後に凸部が突出部に衝合する位置に環状リングを回動させることで、これら凸部と突出部との衝合によりロックスリーブの移動が規制される。したがって、管継手の結合後にロックスリーブに不用意な外力が加わったとしても、ロックスリーブの移動は環状リングによって規制されているので結合状態が解除されることがない。
【0035】
また、請求項12〜14の発明によれば上述した請求項5〜7の奏する効果と同様の効果を奏する管継手を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための管継手を例示するものであって、本発明をこの管継手に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例1】
【0037】
図1は本発明の実施例1に係る管継手のソケットとプラグとを結合した状態を示し、図1(a)は外観斜視図、図1(b)は図1(a)の長手方向で切断した断面図、図2は本発明の実施例1に係る管継手のプラグと結合していない状態のソケットを示し、図2(a)は外観斜視図、図2(b)は図2(a)の長手方向で切断した断面図、図3は図1の管継手を構成する第1ソケット部材を示し、図3(a)は外観斜視図、図3(b)は図3(a)の長手方向で切断した断面図、図4は図1の管継手を構成する第2ソケット部材であってその軸心部分を境に一方を断面とした一部断面正面図、図5は図1の管継手を構成するロックスリーブの外観斜視図、図6は図5のロックスリーブを示し、図6(a)は図5のX方向からみた図、図6(b)は図5の長手方向で切断した断面図、図6(c)は図5のX方向からみた図、図7は図1の管継手を構成する確認リングを示し、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図、図8は図1の管継手を構成する保持リングの長手方向の断面図、図9は図1の管継手を構成するプラグであってその軸心部分を境に一方を断面とした一部断面正面図、図10はスライダースプリングを示す正面図である。
【0038】
本実施例1に係る管継手1は、図1に示すように、一方の水道管等に接続されるプラグ10と、他方の水道管等に接続されてプラグ10に着脱自在に結合されるソケット2とを有している。ソケット2は、内部に中空孔3を有する所定長さの筒状の第1ソケット部材3と、このソケット部材の後端にその一端が螺合され他端が水道管等の機器に固定される第2ソケット部材4と、スライダースプリングSを介して第1ソケット部材3の外周囲を覆うようにスライド自在に遊嵌されるロックスリーブ5と、第1ソケット部材3の後端の外周囲に取り外し自在に固定される確認リング6と、第1ソケット部材3内に配設されコイルスプリング9を介して第2ソケット部材4により第1ソケット部材3前方に向かって押圧された保持リング7と、を有している。
【0039】
第1ソケット部材3は、図3に示すように、内部に中空孔3を有し所定の長さ及び肉厚を有する円形の筒状体からなり、例えば樹脂材からなる成型体で形成されている。また、中空孔3の直径は、例えば19.0mm、長手方向の長さは39.0mm、管体の肉厚は1.0mmである。この第1ソケット部材3は、プラグ10が挿入される前方の開口部3a近傍の外周囲に略等間隔に4個の鋼球からなるロックボール(図1(b)及び図2(b)参照。以下、単にボールという)8が挿入される保持穴3〜3が穿設されている。これらの保持穴3〜3は、それぞれ同じ形状を有する円筒状の穴からなり、また、その外側の直径が大きく内側の径が小さいすり鉢状をなしており、ボール8が中空孔3内へ落下しないようにその直径が設定されている。なお、外側の直径は例えば5.0mmである。中空孔3の保持穴3〜3から所定距離後方に移動した位置の内壁には段部3eが形成されており、この段部3eから前方側は縮径され、後述する保持リング7の前方が挿入可能な径となっており、この段部3eは保持リング7の拡径部7cに当接することで保持リング7の移動を規制するようになっている。
【0040】
また、この第1ソケット部材3の後端部近傍には、その外周囲に沿って外方へ突出した環状のフランジ3cが形成されているとともに、このフランジ3cの一部からは、図1及び図2に示すように、フランジ3cから更に外方に延設された所定の幅長を有する規制突起3c'が設けられている。さらに、このフランジ3cの後方には確認リング6を装着できるスペース3dが設けられている。後方の開口部3bは、その直径が前方の開口部3aと比べて若干拡大されて、この開口部3bから所定長さ(例えば、13.0mm)引っ込んだ内周壁面にメス型ネジ3b'が刻設されている。また、この第1ソケット部材3のフランジ3cには、スライダースプリングSの他の一端S2(図10参照)が固定できるように、その一部が切り欠かれて固定部3fが形成されている。
【0041】
第2ソケット部材4は、図4に示すように、小径筒状部4A及び大径筒状部4Bを有し、内部に中空孔4が形成されて所定の長さ(例えば27.0mm)及び所定の肉厚を有する円形の筒状体からなり、金属材(例えば真鍮)等で形成されている。小径筒状部4Aは、前方の開口部4aの内周壁面にシールリングO(図1(b)参照)が装着される凹状溝4、4が形成され、また、その外周壁面にオス型ネジ4a'が刻設されている。大径筒状部4Bは後方の開口部4bの内周壁面にメス型ネジ4b'が刻設されている。
【0042】
ロックスリーブ5は、図5及び図6に示すように、小径筒状部5A及び大径筒状部5Bを有し、内部に中空孔5が形成されて所定の長さ(例えば39.0mm)及び所定の肉厚を有する円形の筒状体からなり、例えば樹脂材からなる成型体で形成されている。小径筒状部5Aは、前方の開口部5a近傍の内周壁面に等間隔に4個の凹状窪み5〜5が形成されている。そして各凹状窪み5〜5の間はそれぞれ凸状突起51'〜54'となっている。各凹状窪み5〜5は、ボール8の直径より若干大きい幅長と、このボール8の一部を係止できる程度の深さとを有し、その奥部がボール8の一部を係止するための係止段部5xとなっている。また、各凸状突起51'〜54'は各凹状窪み5〜5より後方、すなわち奥部へ延びており、ボール8を内方に押圧する面となっている。近接する凹状窪み5〜5同士の間隙及び近接する凸状突起51'〜54'同士の間隔は、近接する第1ソケット部材3の保持穴3〜3同士の間隔と等しくなっている。このように各凹状窪み5〜5及び各凸状突起51'〜54'の間隔を保持穴3〜3の間隔とすることにより、各凹状窪み5〜5はボール8の逃げ窪みとなり、凸状突起51'〜54'はボール8を押圧する突起となる。
【0043】
大径筒状部5Bは、後方の開口部5bから所定幅長W及び深さLの、後述する確認リング6の把持片6を露出させるとともに第1ソケット部材3のフランジ3cからさらに所定長さ延設された規制突起3c'が収容される凹状の切欠き溝5b'が形成されている。この切欠き溝5b'の深さ、すなわち軸方向の長さLは、ロックスリーブ5が軸方向に移動する距離より僅かに長く形成され、その幅長、すなわち円周方向の長さWは、ロックスリーブ5が第1ソケット部材3の外周囲を回転し、ボール8を押圧状態から解放状態へ回転させることができる長さに規制突起3c'の幅長を加えた長さになっている。また、この大径筒状部5Bの内壁面の前端部には、スライダースプリングSの一端S1(図10参照)を固定するための固定部5cが形成されている。
【0044】
確認リング6は、図7に示すように、外方向へ突出した把持片6とこの把持片6の一端部から円弧状に分岐し先端に隙間6をあけた一対の挟持爪6、6を有し、柔軟な樹脂材で形成されている。隙間6は、確認リング6を第1ソケット部材3の外周囲に嵌め込むことができる程度の幅となっている。なお、把持片6は必須のものではなく無くしてもよいが、その場合は工具で挟持爪を取り外すことになる。
【0045】
保持リング7は、第1ソケット部材3内に収納されるものであって、図8に示すように、内部に中空穴7を有する短長のリング環からなり、樹脂材で形成されている。中空穴7の直径は、プラグ10の先端の直径より若干大きく、その外径は第1ソケット部材3の中空孔3の前方の直径より僅かに小さく形成されて、中空孔3にプラグ10が差込まれたときに、第1ソケット部材3の中空孔3内でスライド移動されるようになっている。また、この保持リング7の前方の開口部7aには、先端から内方へ向かって縮径した傾斜面7a'が形成されており、後方の開口部7bの外周面は所定長さ拡径された拡径部7cとなっている。この拡径部7cの前方壁面は第1ソケット部材3の段部3eに当接するようになっており、これにより、保持リング7が第1ソケット部材3の前方の開口部から脱落することを防止している。なお、この拡径部7cの前方壁面から前方の開口部7aまでの距離は、拡径部7cの前方壁面が第1ソケット部材3の段部3eに当接した状態でこの保持リング7の外周面が保持穴3〜3全体を塞ぐ程度に設定されている。そして、この保持リング7は、第1ソケット部材3内に収容可能な大きさのコイルスプリング9により、第1ソケット部材3内に収容された状態においては第1ソケット部材3の前方の開口部3aに向かって押圧された状態で保持される。なお、このコイルスプリング9は、第1ソケット部材3とロックスリーブ5との間に設けられるスライダースプリングSに比べてそのバネ定数が小さいものを使用する。
【0046】
プラグ10は、図9に示すように、差込部10Aと水道管等へ接続される接続部10Bと差込部10Aと接続部10Bの間に設けられたロック部10Cとからなり、内部に導通孔10が形成された管状体であって、金属材(例えば真鍮)等で形成されている。この導通孔10は本実施例においては水道管に連結されているので通水孔となる。差込部10Aは、第2ソケット部材4の前方の開口部4aに差し込まれたときにシールリングO(図1参照)に圧接されて水漏れしない大きさに形成されている。ロック部10Cは、差込部10Aから隆起し、この隆起部の所定位置には、外周囲に沿ってボール8が嵌入される凹状溝(ロック溝)10cが形成されている。また、隆起部の差込部10A側の端面には傾斜面10b'が形成されている。この傾斜面10b'は保持リング7の前方の開口部7aに形成された傾斜面7a'と同一の傾斜角度を有し、このプラグ10がソケット2内に侵入した際にはこの傾斜面10b'及び7a'同士が接触される。また、接続部10Bには、外周囲にオス型ネジ10a'が刻設されている。そしてこのネジ部分には水道管等の端部が接続されるようになっている。
【0047】
次に、図1〜図9を参照して、ソケット2の組み立て及びプラグ10との接続方法を説明する。
ソケット2の組み立ては、先ず、図3に示す第1ソケット部材3の各保持穴3〜3にそれぞれボール8を収容し、また、第1ソケット部材3の外周囲にスライダースプリングSを挿入してロックスリーブ5を第1ソケット部材3の前方の開口部3a側からフランジ3cへ向けて嵌挿し装着する(図2、図3参照)。この装着の際には、スライダースプリングSの前方の一端S1をロックスリーブ5の大径筒状部5Bの前方内壁面に形成された固定部5cに固定し、後方の他の一端S2を第1ソケット部材3のフランジ3cに設けられた固定部3fに固定する。そして、このスライダースプリングSはロックスリーブ5が第1ソケット部材3のフランジ3cに近接する方向に移動した際に軸方向に伸長する付勢力を生じ、加えてスライダースプリングSの両端が固定されていることにより、第1ソケット部材3に対してロックスリーブ5を回転させる方向への付勢力をも有しているものである。すなわち、ロックスリーブ5を第1ソケット部材3の長手方向に沿ってフランジ3c側へ押し込むと、ロックスリーブ5は第1ソケット部材3に対して回転する方向にスライダースプリングSからの付勢力が生じるものであり、この押し込みを解除すると、ロックスリーブ5はスライダースプリングSにより長手方向前方に第1ソケット部材3に対して回転しながら押し出されるようになる。なお、上述のようにロックスリーブ5を押し込んだ状態でボール8を各凹状窪み5〜5内の各段部5xに当接させることにより、図2に示すような状態でロックスリーブ5が係止される。
【0048】
次に、第1ソケット部材3の後方の開口部3bから中空孔3内へ保持リング7、コイルスプリング9の順に挿入し、中空孔4内部の凹状溝4、4内にシールリングOを装着した第2ソケット部材4を第1ソケット部材3の後方の開口部3bへ挿入して互いのネジ3b'、4b'を結合して固定する。この両ソケット部材3、4の結合により、コイルスプリング9により保持リング7が第1ソケット部材3の前方へ押圧され、保持リング7の外周面が保持穴3〜3を覆う位置まで移動されることにより各ボール8を中空孔3外に押し出す(図2(b)参照)。なお、ボール8が外方へ押し出されるときにロックスリーブ5を第1ソケット部材3のフランジ3c方向へ回転させながら押し込んでおき、その後この押し込みを解除することにより、ロックスリーブ5の各凹状窪み5〜5内の各段部5xがボール8に当接して係止される。
【0049】
第1、第2ソケット部材3、4及びロックスリーブ5を結合したソケット2への確認リング6の取り付けは、例えば保持リング7及びコイルスプリング9を第1ソケット部材3に収納する前に、ロックスリーブ5を前方へ配置し、各保持穴3〜3内の各ボール8を凸状突起51'〜54'に当接させて中空孔3側へ落し込み、ロックスリーブ5の後方の開口部5bと第2ソケット部材4の肩部4dとの間に隙間D(図1(b)参照)をあけて、この隙間Dに確認リング6の挟持爪6、6を差込んで第1ソケット部材3のスペース3dに装着する。次いで、確認リング6の把持片6をロックスリーブ5の切欠き溝5b'(図2(a)参照)の延長線上に位置させて、ロックスリーブ5を第1ソケット部材3のフランジ3c方向へ押し戻した後、回転させることにより、第1ソケット部材3とロックスリーブ5との間に取り付けられる。なお、この確認リング6の取り付けは上記方法に限らず、例えば確認リング6を取り付けない状態でソケット2の組立を完了した後、このソケット2にプラグ10あるいはその代替品を一時的に差し込んでロックスリーブ5を前方に移動させることで隙間Dを形成し、確認リング6を取り付けるようにしてもよい。
【0050】
したがって、このように確認リング6を取り付けると、プラグ10とソケット2とを連結していない状態では、ロックスリーブ5の後方の開口部5bが第1ソケット部材3のスペース3dに挟持された確認リング6の各挟持爪6、6を覆い把持片6が切欠き溝5b'から外方へ突出されるので確認リング6の取り外しがロックされる。なお、このようにプラグ10とソケット2とを接続していない状態において、ロックスリーブ5の後方の開口部5bが第2ソケット部材4の肩部4dを超える位置までくるようにロックスリーブ5の長さを設定することが好ましい(図2(b)参照)。
【0051】
次に、確認リング6が装着されたソケット2をプラグ10と接続する場合について以下に説明する。
プラグ10に連結していないソケット2は図2(b)に示すような状態であって、この状態からプラグ10を第1ソケット部材3の前方の開口部3aに差込む。この差込みにより、先ずプラグ差込部10Aが中空孔3内に配設された保持リング7の中空孔7に侵入する。続いてプラグ10のロック部10Cの傾斜面10b'が保持リング7の傾斜面7a'に当接すると、プラグ10の差込みに伴って保持リング7がコイルスプリング9の付勢力に抗して第1ソケット部材3の後方に押込まれる。ただし、この押込みにより保持リング7の外周面が保持穴3〜3を覆う位置から移動しても、この保持穴3〜3はロック部10Cの外周面に同様に塞がれることとなるため、ボール8は後述するロック溝10c内に落ち込むまでは第1ソケット部材3の外方に押し出された状態を維持する。
【0052】
さらにプラグ10の差込みが進むと、保持穴3〜3の中空孔3側開口がプラグ10のロック溝10cと重合することになり、ロック部10Cの外周面による規制がなくなったボール8は第1ソケット部材3の中空孔3内に落し込むことができるようになる。このようにボール8の規制がなくなると、スライダースプリングSの付勢力によってロックスリーブ5が前方に移動する。この移動は、ボール8に当接していた各凹状窪み5〜5内の各段部5xがボール8を第1ソケット部材3の中空孔3内に押込むように押圧することで各段部5xとボール8との当接が解除され、ロックスリーブ5のスライド移動が可能となり、これによりロックスリーブ5が円周方向に回動しながら前方に移動される。この前方への移動は、ロックスリーブ5の切欠き溝5b'の一辺が第1ソケット部材3の規制突起3c'に当接することによって停止し、このときボール8は凸状突起51'〜54'により第1ソケット部材3の中空孔3内に落し込まれた状態で維持されている。
【0053】
このようにプラグ10とソケット2とが連結されることにより、確認リング6はロックスリーブ5によって覆われた状態ではなくなるので取り外しが可能となり、またボール8はロック溝10c内に突出した状態で維持されるのでプラグ10とソケット2を強固に連結できる。また、ロック溝10c内にボール8が突出した状態のときにはプラグ10の差込部10Aの外周部は第2ソケット部材4の2つのシールリングOによって液密に保持されているので、この管継手1を通過する水は互いに金属材等からなる第2ソケット部材4とプラグ10内を通過するようになる。
【0054】
なお、このソケット2とプラグ10との連結を解除する際には、ロックスリーブ5を第1ソケット部材3のフランジ3c方向にスライド移動させた後、さらにボール8が各凹状窪み5〜5内に収納できるように回動させることでボール8がロック溝10c内から脱出できるようになり、この状態でプラグ10を引っ張る、あるいはコイルスプリング9の付勢力によって自動的にソケット2とプラグ10との連結が解除されるものである。
【0055】
上記実施例1においては、ロックスリーブ5の前方への移動に伴い、確認リング6の挟持爪6、6がロックスリーブ5の後方の開口部5bより外に位置して取り外しが可能になるが、ソケット2とプラグ10との結合が完全でなければロックスリーブ5が前方に移動しないため取り外しができない。したがって、この確認リング6を取り外すことにより、ソケット2とプラグ10との結合状態、すなわち、完全に結合されたか、不完全結合、例えば半結合状態かを判定できる。特に、集合住宅等において、多数の接続を行う場合、この確認リングを回収することにより、不完全結合を判定することができるようになるので、いちいち接続状態を目視で確認することなく結合状態を知ることができる。
【実施例2】
【0056】
上記実施例1においては、確認用部材としての確認リングがプラグとソケットが結合した状態でソケットから取り外すことができるものとして説明したが、取り外しを行わない確認用部材を採用することも可能である。そこで、以下には実施例2として確認用部材に環状リングを採用した管継手101について説明を行う。なお、図11は本発明の実施例2に係る管継手のソケットとプラグを未結合の状態で示す概観斜視図、図12は図11の管継手のソケットを各構成部材に分解して示す分解斜視図、図13は図12のソケットを組立てた状態を示すものであり、図13(a)は側面図、図13(b)は図13(a)の長手方向で切断した断面図、図14は図13のソケットにプラグを結合した状態を示すものであり、図14(a)は側面図、図14(b)は図14(a)の長手方向で切断した断面図、図15は図12のソケットを構成する第1ソケット部材を示し、図15(a)は一方向から見た外観斜視図、図15(b)は他方向から見た概観斜視図、図16は図12のソケットを構成するロックスリーブを示し、図16(a)は正面図、図16(b)は図16(a)のB−B線で切断した断面図、図17は環状リングを示す概観斜視図、図18は第1ソケット部材と環状リングの取り付け状態を示すものであり、図18(a)は第1ソケット部材に環状リングを取り付けた状態を示す一側面図、図18(b)は図18(a)のY方向から見た図、図18(c)は図18(b)のZ部分を拡大して示す拡大図、図19は図11に示す管継手の結合前後の状態を示すものであり、図19(a)はソケットとプラグとが未結合の状態におけるソケットの背面図、図19(b)はソケットとプラグとを結合した状態におけるソケットの背面図である。
【0057】
なお、下記に示す実施例2の管継手101を構成する各部材のうち、スライダースプリングS、シールリングO及びコイルスプリング9は上記実施例1と同一のものを使用するため、本実施例2では同一の符号を付してその説明を省略し、また、プラグ110、保持リング107、ボール108及び第2ソケット部材104についても、実施例1に示した管継手1とほぼ同一の構成及び機能を備えるものであるので、これらについては上記実施例1において付与した符号に「100」を加えた符号を付して、その具体的な説明については上記実施例で説明した内容を援用するものとする。
【0058】
本発明の実施例2に係る管継手101は、図11〜図14に示すように、一方の水道管等に接続されるプラグ110と、他方の水道管等に接続されてプラグ110に着脱自在に結合されるソケット102とを有している。ソケット102は、内部に中空孔103を有する所定長さの筒状の第1ソケット部材103と、この第1ソケット部材103の後端にその前端が螺合され後端が水道管等の機器に固定される第2ソケット部材104と、スライダースプリングSを介して第1ソケット部材103の外周囲を覆うようにスライド自在に遊嵌されるロックスリーブ105と、第1ソケット部材103の後端の外周囲に回動自在に固定された環状リング106と、第1ソケット部材103内に配設されコイルスプリング9を介して第2ソケット部材104により第1ソケット部材103前方に向かって押圧された保持リング107と、を有している。
【0059】
第1ソケット部材103は、図15に示すように、内部に中空孔103を有し所定の長さ及び肉厚を有する円形の筒状体からなり、例えば樹脂材からなる成型体で形成されている。また、中空孔103の直径は、例えば19.0mm、長手方向の長さは39.0mm、管体の肉厚は1.0mmである。この第1ソケット部材103は、プラグ110が挿入される前方の開口部103a近傍の外周囲に略等間隔に4個の鋼球からなるボール(例えば図12参照)108が挿入される保持穴103〜103が穿設されている。これらの保持穴103〜103は、それぞれ同じ形状を有する円筒状の穴からなり、また、その外側の直径が大きく内側の径が小さいすり鉢状をなしており、ボール108が中空孔103内へ落下しないようにその直径が設定されている。なお、外側の直径は例えば5.0mmである。中空孔103の保持穴103〜103から所定距離後方に移動した位置の内壁には段部103eが形成されており(図15(b)参照)、この段部103eから前方側は縮径され、後述する保持リング107の前方が挿入可能な径となっており、この段部103eは保持リング107の拡径部107cに当接することで保持リング107の移動を規制するようになっている。
【0060】
また、この第1ソケット部材103の後端部近傍には、その外周囲に沿って外方へ突出した環状のフランジ103cが形成されているとともに、このフランジ103cの一部、例えば所定の間隔を隔てた4箇所には、図15(a)に示すように、フランジ103cから更に外方に延設された所定の幅長を有する規制突起103c〜103cが設けられている。さらに、このフランジ103cの後方には環状リング106を装着するためのスペース103dが設けられている。後方の開口部103bは、その直径が前方の開口部103aと比べて若干拡大されて、この開口部103bから所定長さ(例えば、13.0mm)引っ込んだ内周壁面にメス型ネジ103b'が刻設されている。また、この第1ソケット部材103のフランジ103cの規制突起103c及び103cが設けられた位置には、スライダースプリングSの他の一端S2(図12参照)が固定できるように、その一部が切り欠かれて固定部103fが形成されている。なお、本実施例2に係る第1ソケット部材103にはこの固定部103fが規制突起103c及び103cが設けられた位置に合計2つ設けられているが、これはソケット102の組み立て作業を容易にするために設けられているものであり、実際の組み立て作業時には、この2つの固定部103f、103fのいずれか一方にスライダースプリングSの他の一端S2が挿入されることになる。
【0061】
第2ソケット部材104は、図12に示すように、小径筒状部104A及び大径筒状部104Bを有し、内部に中空孔104が形成されて所定の長さ(例えば27.0mm)及び所定の肉厚を有する円形の筒状体からなり、金属材(例えば真鍮)等で形成されている。小径筒状部104Aの内周壁面には2つのシールリングOが装着される凹状溝が形成され、また、その外周壁面にオス型ネジが刻設されている。また、大径筒状部104Bの内周壁面にはメス型ネジが刻設されている。
【0062】
ロックスリーブ105は、図12及び図16に示すように、小径筒状部105A及び大径筒状部105Bを有し、内部に中空孔105が形成された所定の長さ(例えば39.0mm)及び所定の肉厚を有する円形の筒状体からなり、例えば樹脂材からなる成型体で形成されている。小径筒状部105Aは、前方の開口部105a近傍の内周壁面に等間隔に4個の凹状窪み105〜105が形成されている。そして各凹状窪み105〜105の間はそれぞれ凸状突起1051'〜1054'となっている。各凹状窪み105〜105は、ボール108の直径より若干大きい幅長と、このボール108の一部を係止できる程度の深さとを有し、その奥部がボール108の一部を係止するための係止段部105xとなっている。また、各凸状突起1051'〜1054'は各凹状窪み105〜105より後方、すなわち奥部へ延びており、ボール108を内方に押圧する面となっている。近接する凹状窪み105〜105同士の間隙及び近接する凸状突起1051'〜1054'同士の間隔は、近接する第1ソケット部材103の保持穴103〜103同士の間隔と等しくなっている。このように各凹状窪み105〜105及び各凸状突起1051'〜1054'の間隔を保持穴103〜103の間隔とすることにより、各凹状窪み105〜105はボール108の逃げ窪みとなり、凸状突起1051'〜1054'はボール108を押圧する突起となる。
【0063】
また、ロックスリーブ105の大径筒状部105Bは、その後方の開口部105b近傍の内壁面に、プラグ110未結合状態において第1ソケット部材103のフランジ103cに設けられた規制突起103c〜103cが収納される収納溝105e〜105eがそれぞれ設けられ、この4つの収納溝105e〜105eのそれぞれの間には、仕切り突起105f〜105fが設けられている。なお、この仕切り突起105f〜105fは、ソケット102がプラグ110と結合した状態において後述する環状リング106の凸部106〜106に当接する位置に配設されることにより、ロックスリーブ105の移動を規制するものである。また、この大径筒状部105Bの内壁面の前端部には、スライダースプリングSの一端S1(図12参照)を固定するための固定部105cが形成されている。なお、この固定部105cはロックスリーブ105の大径筒状部105Bのない壁面の前端部に所定の間隔を空けて複数個設けると、第1ソケット部材103とロックスリーブ105とを組み立てる際の作業性が向上し好ましい。また、大径筒状部105Bの外壁面にロックスリーブ105の結合状態と未結合状態とにおける位置を示す位置確認部材105Cを設けておくと、ロックスリーブ105の結合時及び結合解除時の回動方向が容易に理解できるので好ましい。
【0064】
環状リング106は、図17に示すように、本実施例2における確認用部材を構成するものであり、第1ソケット部材103のスペース103dの全周を覆うような、所定の肉厚で中央に開口106を備えるリング状部材で形成され、柔軟な樹脂材で形成されている。また、この環状リング106の外壁面には、所定の間隔を空けて1乃至複数個、例えば4つの凸部106〜106が外方へ所定長さ突出するように形成されており、その幅は、第1ソケット部材103の規制突起103c〜103cの幅とほぼ同一となっている。
【0065】
保持リング107は、第1ソケット部材103内に収納されるものであって、図12に示すように、内部に中空穴107を有する短長のリング環からなり、樹脂材で形成されている。中空穴107の直径は、プラグ110の先端の直径より若干大きく、その外径は第1ソケット部材103の中空孔103の前方の直径より僅かに小さく形成されて、中空孔103にプラグ110が差込まれたときに、第1ソケット部材103の中空孔103内でスライド移動されるようになっている。また、この保持リング107の前方の開口部107aには、先端から内方へ向かって縮径した傾斜面107a'が形成されており、後方の開口部107bの外周面は所定長さ拡径された拡径部107cとなっている。この拡径部107cの前方壁面は第1ソケット部材103の段部103eに当接するようになっており、これにより、保持リング107が第1ソケット部材103の前方の開口部103aから脱落することを防止している。なお、この拡径部107cの前方壁面から前方の開口部107aまでの距離は、拡径部107cの前方壁面が第1ソケット部材103の段部103eに当接した状態でこの保持リング107の外周面が保持穴103〜103全体を塞ぐ程度に設定されている。そして、この保持リング107は、第1ソケット部材103内に収容可能な大きさのコイルスプリング9により、第1ソケット部材103内に収容された状態においては第1ソケット部材103の前方の開口部103aに向かって押圧された状態で保持される。なお、このコイルスプリング9は、第1ソケット部材103とロックスリーブ105との間に設けられるスライダースプリングSに比べてそのバネ定数が小さいものを使用する。
【0066】
プラグ110は、図11に示すように、差込部110Aと水道管等へ接続される接続部110Bと差込部110Aと接続部110Bの間に設けられたロック部110Cとからなり、内部に導通孔110が形成された管状体であって、金属材(例えば真鍮)等で形成されている。この導通孔110は本実施例においては水道管に連結されているので通水孔となる。差込部110Aは、第2ソケット部材104の前方の開口部104aに差し込まれたときにシールリングO(図1参照)に圧接されて水漏れしない大きさに形成されている。ロック部110Cは、差込部110Aから隆起し、この隆起部の所定位置には、外周囲に沿ってボール108が嵌入される凹状溝(ロック溝)110cが形成されている。また、隆起部の差込部110A側の端面には傾斜面110b'が形成されている。この傾斜面110b'は保持リング107の前方の開口部107aに形成された傾斜面107a'と同一の傾斜角度を有し、このプラグ110がソケット102内に侵入した際にはこの傾斜面110b'及び107a'同士が接触される。また、接続部110Bには、外周囲にオス型ネジが刻設されている。そしてこのネジ部分には水道管等の端部が接続されるようになっている。
【0067】
次に、第1ソケット部材103と環状リング106との取り付け作業について、図18を参照して説明する。
環状リング106は、図18(a)及び図18(b)に示すように、第1ソケット部材103の後方の開口部103b付近に設けられたスペース103dに嵌合させるようにして取り付けられるが、この取付に際しては、環状リング106の凸部106〜106と第1ソケット部材103のフランジ103cに設けられた規制突起103c〜103cとがソケット102の長手方向に対して重なるように嵌合する。
【0068】
詳しく説明すると、第1ソケット部材103のスペース103dにおいて、規制突起103c及び103cに近接する位置には、この規制突起103c及び103cに対向する位置から、図18(b)における反時計方向に所定長さ延在するように作動領域SA(図18(c)参照)となる作動溝103d及び103dが形成されている(図15参照)。そして、この作動溝103d及び103d内には、所定間隔を空けて2つの係止突起103d11、103d12及び103d31、103d32が設けられている。これに対し、環状リング106の2つの凸部106及び106が設けられた外壁面に対向する内壁面には、図17に示すように、この環状リング106の内方に突出するように作動突起10611及び10631が設けられており、この作動突起10611及び10631の幅方向中央部には、第1ソケット部材103に設けられた係止突起103d11、103d12及び103d31、103d32が係止される係止溝10612及び10632が設けられている(なお、図17においては作動突起10631及び係止溝10632は隠れている。)。
【0069】
そして、環状リング106を第1ソケット部材103に取り付ける際には、環状リング106の作動突起10611及び10631が第1ソケット部材103の作動溝103d及び103d内に位置するように、且つ作動突起10611及び10631に設けられた係止溝10612及び10632が第1ソケット部材103の作動溝103d及び103d内の一方の係止突起103d11及び103d31に係止されるようにして、取付を行う。このような取付を行うことにより、第1ソケット部材103に取り付けた後の環状リング106は、作動領域SAの長さ分回動自在となる。
【0070】
なお、ここでは作動突起10611及び10631と係止溝10612及び10632とを環状リング106の内壁面に設け、作動溝103d及び103dと係止突起103d11、103d12及び103d31、103d32とを第1ソケット部材103のスペース103dの外壁面に設けたものを説明したが、例えば作動突起10611及び10631と係止溝10612及び10632とを環状リング106の前面に設け、作動溝103d及び103dと係止突起103d11、103d12及び103d31、103d32とを第1ソケット部材103のフランジ103cの後面に設けるようにしても同様の効果を奏することが可能である。
【0071】
次に、図11〜図19を参照して、ソケット102の組み立て及びプラグ110との接続方法を説明する。
ソケット102の組み立ては、先ず、図15に示す第1ソケット部材103の各保持穴103〜103にそれぞれボール108を収容し、また、第1ソケット部材103の外周囲にスライダースプリングSを挿入しロックスリーブ105を第1ソケット部材103の前方の開口部103a側からフランジ103cへ向けて嵌挿し装着する(図12〜図14参照)。この装着の際には、スライダースプリングSの前方の一端S1をロックスリーブ5の大径筒状部105Bの前方内壁面に形成された固定部105cに固定し、後方の他の一端S2を第1ソケット部材103のフランジ103cに設けられた固定部103fに固定する。そして、このスライダースプリングSはロックスリーブ105が第1ソケット部材103のフランジ103cに近接する方向に移動した際に軸方向に伸長する付勢力を生じ、加えてスライダースプリングSの両端S1、S2が固定されていることにより、第1ソケット部材103に対してロックスリーブ105を回転させる方向への付勢力をも有しているものである。すなわち、ロックスリーブ105を第1ソケット部材103の長手方向に沿ってフランジ103c側へ押し込むと、ロックスリーブ105は第1ソケット部材103に対して回転する方向にスライダースプリングSからの付勢力が生じるものであり、この押し込みを解除すると、ロックスリーブ105はスライダースプリングSにより長手方向前方に第1ソケット部材103に対して回転しながら押し出されるようになる。なお、上述のようにロックスリーブ105を押し込んだ状態でボール108を各凹状窪み105〜105内の各段部105xに当接させることにより、図13に示すような状態でロックスリーブ105が係止される。
【0072】
次に、図18において説明したように、環状リング106を第1ソケット部材103のスペース103dに環状リングの係止溝10612及び10632が第1ソケット部材103の一方の係止突起103d11及び103d31に係止されるように取り付ける。続いて、第1ソケット部材103の後方の開口部103bから中空穴103内へ保持リング107、コイルスプリング9の順に挿入し、中空孔104内部の凹状溝内にシールリングOを装着した第2ソケット部材104を第1ソケット部材103の後方の開口部103bへ挿入してネジ結合して固定する。この両ソケット部材103、104の結合により、コイルスプリング9により保持リング107が第1ソケット部材103の前方へ押圧され、保持リング107の外周面が保持穴103〜103を覆う位置まで移動されることにより各ボール108を中空孔103外に押し出す(図13(b)参照)。なお、ボール108が外方へ押し出されるときにロックスリーブ105を第1ソケット部材103のフランジ103c方向へ回転させながら押し込んでおき、その後この押し込みを解除することにより、ロックスリーブ105の各凹状窪み105〜105内の各段部105xがボール108に当接して係止される。なお、このようにプラグ110とソケット102とを接続していない状態において、ロックスリーブ105の後方の開口部105bが第2ソケット部材104の小径筒状部104Aと大径筒状部104Bとの連結部分を超える位置までくるようにロックスリーブ105の長さを設定することが好ましい(図13(b)参照)。このような長さとすることにより、プラグ110とソケット102とが結合していない状態においては、環状リング106はロックスリーブ105の後方部分によって完全に覆われ、外部から視認することができない状態となる。
【0073】
次に、上述のようにして組み立てられたソケット102をプラグ110と接続する場合について以下に説明する。
プラグ110に連結していないソケット102は図13(b)に示すような状態であって、この状態からプラグ110を第1ソケット部材103の前方の開口部103aに差込む。この差込みにより、先ずプラグ差込部110Aが中空孔103内に配設された保持リング107の中空孔107に侵入する。続いてプラグ110のロック部110Cの傾斜面110b'が保持リング107の傾斜面107a'に当接すると、プラグ110の差込みに伴って保持リング107がコイルスプリング9の付勢力に抗して第1ソケット部材103の後方に押込まれる。ただし、この押込みにより保持リング107の外周面が保持穴103〜103を覆う位置から移動しても、この保持穴3〜3はロック部110Cの外周面に同様に塞がれることとなるため、ボール108は後述するロック溝110c内に落ち込むまでは第1ソケット部材103の外方に押し出された状態を維持する。
【0074】
さらにプラグ110の差込みが進むと、保持穴103〜103の中空孔103側開口がプラグ110の1ロック溝10cと重合することになり、ロック部110Cの外周面による規制がなくなったボール108は第1ソケット部材103の中空孔103内に落し込むことができるようになる。このようにボール108への規制がなくなると、スライダースプリングSの付勢力によってロックスリーブ105が前方に移動する。この移動は、ボール108に当接していた各凹状窪み105〜105内の各段部105xがボール108を第1ソケット部材103の中空孔103内に押込むように押圧することで各段部105xとボール108との当接が解除され、ロックスリーブ105のスライド移動が可能となり、これによりロックスリーブ105が円周方向に回動しながら前方に移動される。この前方への移動は、ロックスリーブ105の仕切り突起105f〜105fの側面が第1ソケット部材103の規制突起103c〜103cに当接することによって停止し、このときボール108は凸状突起1051'〜1054'により第1ソケット部材103の中空孔103内に落し込まれた状態で維持されている。
【0075】
このようにプラグ110とソケット103とが連結されることにより、環状リング106はロックスリーブ105によって覆われた状態ではなくなるので外部から視認することが可能となり、またボール108はロック溝110c内に突出した状態で維持されるのでプラグ110とソケット102を強固に連結できる。また、ロック溝110c内にボール108が突出した状態のときにはプラグ110の差込部110Aの外周部は第2ソケット部材104の2つのシールリングOによって液密に保持されているので、この管継手101を通過する水は互いに金属材等からなる第2ソケット部材104とプラグ110内を通過するようになる。
【0076】
プラグ110とソケット102を連結した後には、これらの連結状態をより確実に維持するために、図19(b)に示すように、環状リング106を回動させると好ましい。すなわち、図19(a)に示すプラグ110未結合状態のソケット102にプラグ110を結合させると、図19(b)に示すようにロックスリーブ105がこの図19(b)における時計方向に回転しながら前方へスライド移動し、それに伴って各仕切り突起105f〜105fが近接する第1ソケット部材103の各規制突起103c〜103cと隣り合う位置に移動する。この状態において環状リング106を回動、詳しくは環状リング106の2つの係止溝10612及び10632と第1ソケット部材103の一方の係止突起103d11及び103d31との係止を解除して、係止溝10612及び10632を第1ソケット部材103の他方の係止突起103d12及び103d32に係止させるように回動する。すると、環状リング106の各凸部106〜106はロックスリーブ105の各仕切り突起105f〜105fに対して、ソケット102の長手方向に平行に位置することになる。したがって、環状リング106を回動させた後はロックスリーブ105のフランジ103c方向への移動が環状リング106の凸部106〜106によって阻止されるようになり、不用意な外力によって管継手101の結合が解除される危険性がほとんどなくなる。
【0077】
なお、このソケット102とプラグ110との連結を解除する際には、環状リング106の2つの係止溝10612及び10632を第1ソケット部材103の一方の係止突起103d11及び103d31に係止させる方向に回動させた後、ロックスリーブ105を第1ソケット部材103のフランジ103c方向にスライド移動させた後、さらにボール108が各凹状窪み105〜105内に収納できるように回動させることでボール108がロック溝110c内から脱出できるようになり、この状態でプラグ110を引っ張る、あるいはコイルスプリング9の付勢力によって自動的にソケット102とプラグ110との連結が解除されるものである。
【0078】
上記実施例2においては、環状リング106はプラグ110とソケット102とが完全に結合していないと外部から目視することができないようになっているので、この管継手101の結合作業を行う作業者は環状リング106が目視できるか否かで簡単に結合状態を確認できるようになる。
【0079】
また、この確認作業がより容易に行えるようにするため、環状リング106に他のソケット102を構成する部材とは異なる彩色を施しておけば、遠目からでも環状リング106を確認することができるようになり、特に水道管等の視認しにくい箇所に取り付けられるものに使用する場合であっても、良好に確認作業を行うことが可能となる。
【0080】
更にまた、本実施例1及び2に示す管継手1、101の第2ソケット部材4、104内部に逆止弁を設ければ、流体配管に用いられる管継手としての用途がより多くなる。
【0081】
上述の構成を備える管継手1、101の結合を解除する際には、単にロックスリーブ5、105を後方に移動するだけではなく、後方にスライド移動させた後、さらにボール8、108が各凹状窪み5〜5、105〜105内に収納できるように回転させなければ取り外しを行えないようにしたため、この管継手1、101が不用意に外れてしまう恐れもない。
【0082】
なお、上記実施例1及び2に示す管継手1、101は、水道管等の水が導通される配管に用いられるのみならず、薬液が導通される配管や気体が導通される配管の結合にも使用可能である。
【0083】
また、上記実施例1及び2の管継手1、101においては、第1、第2ソケット部材3、103及び4、104間に形成される隙間(D)に確認リング6あるいは環状リング106が配設されるものとして説明したが、第1、第2ソケット部材3、103及び4、104は必ずしも別部材で形成される必要はなく、例えば一体形成されたものであってもよい。したがって、その場合には確認リング6及び環状リング106の取付位置はプラグ10、110未接続の状態でロックスリーブ5、105の後方端部にその一部あるいは全部が覆われる位置とする。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は本発明の実施例1に係る管継手のソケットとプラグとを結合した状態を示し、図1(a)は外観斜視図、図1(b)は図1(a)の長手方向で切断した断面図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る管継手のプラグと結合していない状態のソケットを示し、図2(a)は外観斜視図、図2(b)は図2(a)の長手方向で切断した断面図である。
【図3】図3は図1の管継手を構成する第1ソケット部材を示し、図3(a)は外観斜視図、図3(b)は図3(a)の長手方向で切断した断面図である。
【図4】図4は図1の管継手を構成する第2ソケット部材であってその軸心部分を境に一方を断面とした一部断面正面図である。
【図5】図5は図1の管継手を構成するロックスリーブの外観斜視図である。
【図6】図6は図5のロックスリーブを示し、図6(a)は図5のX方向からみた図、図6(b)は図5の長手方向で切断した断面図、図6(c)は図5のX方向からみた図である。
【図7】図7は図1の管継手を構成する確認リングを示し、図7(a)は平面図、図7(b)は側面図である。
【図8】図8は図1の管継手を構成する保持リングの長手方向の断面図である。
【図9】図9は図1の管継手を構成するプラグであってその軸心部分を境に一方を断面とした一部断面正面図である。
【図10】図10はスライダースプリングを示す正面図である。
【図11】図11は本発明の実施例2に係る管継手のソケットとプラグを未結合の状態で示す概観斜視図である。
【図12】図12は図11の管継手のソケットを各構成部材に分解して示す分解斜視図である。
【図13】図13は図12のソケットを組立てた状態を示すものであり、図13(a)は側面図、図13(b)は図13(a)の長手方向で切断した断面図である。
【図14】図14は図13のソケットにプラグを結合した状態を示すものであり、図14(a)は側面図、図14(b)は図14(a)の長手方向で切断した断面図である。
【図15】図15は図12のソケットを構成する第1ソケット部材を示し、図15(a)は一方向から見た外観斜視図、図15(b)は他方向から見た概観斜視図である。
【図16】図16は図12のソケットを構成するロックスリーブを示し、図16(a)は正面図、図16(b)は図16(a)のB−B線で切断した断面図である。
【図17】図17は環状リングを示す概観斜視図である。
【図18】図18は第1ソケット部材と環状リングの取り付け状態を示すものであり、図18(a)は第1ソケット部材に環状リングを取り付けた状態を示す一側面図、図18(b)は図18(a)のY方向から見た図、図18(c)は図18(b)のZ部分を拡大して示す拡大図である。
【図19】図19は図11に示す管継手の結合前後の状態を示すものであり、図19(a)はソケットとプラグとが未結合の状態におけるソケットの背面図、図19(b)はソケットとプラグとを結合した状態におけるソケットの背面図である。
【図20】図20は従来技術の要部断面図であり、図20(a)は継手結合時の要部断面図、図20(b)はロック時の作用を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0085】
1、101 管継手
2、102 ソケット
3、103 第1ソケット部材
〜3、103〜103 保持穴
4、104 第2ソケット部材
5、105 ロックスリーブ
5b' 切欠き溝
〜5、105〜105 凹状窪み
1'〜54'、1051'〜1054' 凸状突起
6 確認リング
、6 挟持爪
把持片
7、107 保持リング
7c、107c 拡径部
8、108 (ロック)ボール
9 コイルスプリング
10、110 プラグ
10、110 導通孔
10A、110A 差込部
10B、110B 接続部
10C、110C ロック部
10b'、110b' 傾斜面
10c、110c 凹状溝(ロック溝)
106 環状リング
S スライダースプリング
O シールリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に導通孔を有し外部にロック溝を有するプラグと、前記導通孔に連通する中空孔と前記ロック溝と係合して前記プラグの取り外しをロックするロック部材とを有するソケットとを備え、前記ロック部材を前記ロック溝に係合或いは解放させるロック手段を有する筒状の可動ロックスリーブを前記ソケットに装着した管継手において、
一対の挟持爪を有する確認リングを設け、前記プラグと前記ソケットとの結合前に前記確認リングの一対の挟持爪を前記ソケットの外周囲に挟持させ該各挟持爪を前記ロックスリーブで覆ってその取り外しを阻止し、前記プラグが前記ソケットに完全に結合されたときに、前記ロックスリーブが移動されて前記ロック部材と前記ロック溝とを係合するとともに前記確認リングの取り外しを可能としたことを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記ソケットは内部に中空孔を有する第1、第2ソケット部材を前後に直列に連結して構成し、前記第1ソケット部材は前記ロックスリーブに嵌挿し、前記第1ソケット部材と前記第2ソケット部材との間には所定の隙間が形成され、該隙間に前記確認リングが挟持されることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記確認リングは、前記ソケットの外周囲を挟持する一対の挟持爪と、前記一対の挟持爪の一端を連結して外方へ延出させた該挟持爪の装着或いは取り外しを行う把持片とを有し、これらが一体に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項4】
前記ロックスリーブは、前記プラグが差込まれる方向と反対方向の開口部に所定幅長の切欠き溝を形成して、前記確認リングの挟持爪が前記ロックスリーブで覆われてその取り外しがロックされているときに、前記切欠き溝から前記確認リングの把持片が露出されることを特徴とする請求項3に記載の管継手。
【請求項5】
前記ロック部材は、複数個の球状のロックボールからなり、前記ロックボールは前記ソケットに設けられた複数の保持穴にそれぞれ遊嵌されており、前記ロックスリーブのロック手段によって前記ロックボールが前記ロック溝に係合されることにより前記プラグの取り外しがロックされるようになしたことを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項6】
前記ロックスリーブのロック手段は、前方の内周壁面に前記ロックボールを前記ロック溝に係合させる突起部及び前記ロックボールの係合を解除する窪みを隣接して形成し、前記ロックスリーブと前記ソケットとの間には弾性部材が介在され、さらに前記ソケットの中空孔内には前記ロックボールが前記中空孔内に突出することを防止する保持リングが設けられており、
前記プラグと前記ソケットとが未結合の状態においては、前記ロックスリーブを前記弾性部材の付勢力に抗した状態で、且つ前記保持リングにより前記ロックボールを前記窪み内に係止するようになし、
前記プラグと前記ソケットとが結合されるときには、前記保持リングと前記ロックボールとの係止が解除されて、前記ロックボールが前記ロック溝内へ落し込まれて前記ロックスリーブの突起部で保持されることを特徴とする請求項5に記載の管継手。
【請求項7】
前記保持リングは、弾性部材により前記保持穴を塞ぐ位置に配設されており、前記ソケットの中空孔内に前記プラグが差し込まれた際には、前記プラグにより前記弾性部材の付勢力に抗して移動されるようになしたことを特徴とする請求項6に記載の管継手。
【請求項8】
内部に導通孔を有し外部にロック溝を有するプラグと、前記導通孔に連通する中空孔と前記ロック溝と係合して前記プラグの取り外しをロックするロック部材とを有するソケットとを備え、前記ロック部材を前記ロック溝に係合或いは解放させるロック手段を有する筒状の可動ロックスリーブを前記ソケットに装着した管継手において、
前記ソケットは外部から識別容易な確認用部材を備え、前記プラグと前記ソケットとの結合前には前記確認部材が前記ロックスリーブにより覆われ、前記プラグが前記ソケットに完全に結合されたときには、前記ロックスリーブが移動されて前記ロック部材と前記ロック溝とを係合するとともに前記確認部材を外部に露呈させることを特徴とする管継手。
【請求項9】
前記確認用部材は前記ソケットの外周囲に挿入された環状リングからなることを特徴とする請求項8に記載の管継手。
【請求項10】
前記ソケットは、内部に中空孔を有する第1、第2ソケット部材を前後に直列に連結して構成し、前記ロックスリーブを前記第1ソケット部材に嵌挿して前記第2ソケット部材との間に隙間が形成されるようにして、前記隙間に前記環状リングが挿入されることを特徴とする請求項9に記載の管継手。
【請求項11】
前記環状リングは外周囲に1乃至複数個の凸部を備え、前記ソケットの外周囲に回動可能に挿入されるとともに、前記ロックスリーブの内周面には前記凸部を受容できる複数の溝と前記凸部と衝合する突出部とを設け、前記プラグと前記ソケットが完全に結合された後に前記確認用リングを回動して前記凸部を前記突出部に衝合させ、前記ロックスリーブの移動を制限することを特徴とする請求項9に記載の管継手。
【請求項12】
前記ロック部材は、複数個の球状のロックボールからなり、前記ロックボールは前記ソケットに設けられた複数の保持穴にそれぞれ遊嵌されており、前記ロックスリーブのロック手段によって前記ボールが前記ロック溝に係合されることにより前記プラグの取り外しがロックされるようになしたことを特徴とする請求項8に記載の管継手。
【請求項13】
前記ロックスリーブのロック手段は、前方の内周壁面に前記ロックボールを前記ロック溝に係合させる突起部および前記ロックボールの係合を解除する窪みを隣接して形成し、前記ロックスリーブと前記ソケットとの間には弾性部材が介在され、さらに前記ソケットの中空孔内には前記ロックボールが前記中空孔内に突出することを防止する保持リングが設けられており、
前記プラグと前記ソケットとが未結合の状態においては、前記ロックスリーブを前記弾性部材の付勢力に抗した状態で、且つ前記保持リングにより前記ロックボールを前記窪み内に係止するようになし、
前記プラグと前記ソケットとが結合されるときには、前記保持リングと前記ロックボールとの係止が解除されて、前記ロックボールが前記ロック溝内へ落し込まれて前記ロックスリーブの突起部で保持されることを特徴とする請求項12に記載の管継手。
【請求項14】
前記保持リングは、弾性部材により前記保持穴を塞ぐ位置に配設されており、前記ソケットの中空孔内に前記プラグが差し込まれた際には、前記プラグにより前記弾性部材の付勢力に抗して移動されるようになしたことを特徴とする請求項13に記載の管継手。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2008−57767(P2008−57767A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140974(P2007−140974)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000149309)ジョプラックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】