説明

管継手

【課題】水密性に優れ、容易に高い水密性を保持することが可能な管継手を提供する。
【解決手段】受口33の内周面に嵌め込み部と凹部38とが形成され、受口33と挿口35との間がシール材45によってシールされ、受口33に、シール材45を押込む押輪60がボルト61,ナット62により締結され、シール材45は、押輪60と嵌め込み部とにより形成された嵌め込み溝63に嵌込まれるヒール部46と、受口33の内周面と挿口35の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、バルブ部は、受口33の内周面に圧接する第1バルブ48と、挿口35の外周面に圧接する第2バルブ49とを備え、第1バルブ48と第2バルブ49との接合部分にくびれ部が形成され、第2バルブ49は、内径が挿口35の外径Dよりも小さく設定されているとともに、管径方向において拡縮自在であり、第2バルブ49の外周と凹部38の底面との間に間隙64が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の管継手としては、例えば、図6に示すように、一方の管11の端部には受口12が形成されており、受口12の奥側には奥端面13が形成されている。この奥端面13よりも受口12の開口側には横断面が矩形状のロックリング収容溝14が形成されており、このロックリング収容溝14には、環状で周方向に一つ割の横断面矩形状のロックリング15が収容されている。
【0003】
ロックリング収容溝14よりもさらに開口側には、開口側に向かって広がるテーパ面16が形成されている。受口12の端部の外周には、径方向外向きのフランジ18が形成されている。このフランジ18には複数の丸孔19が貫通状態で形成されている。
【0004】
また、他方の管21の端部には挿口22が形成されており、この挿口22の端部の外周には挿口突部23が形成されている。なお、挿口22は、挿口突部23がロックリング15と奥端面13との間に位置するまで受口12内に挿入されている。また、挿口突部23の外径はロックリング15の内径よりも大きく形成されており、ロックリング15の内径と挿口22の外径とは同様に形成されている。
【0005】
ロックリング15の位置よりも受口2の開口側における挿口22の外周には、周方向一つ割のバックアップリング24と環状のゴム製のシール材25とが配置されている。また、他方の管21における受口12に入り込まない部分の外周には、受口12と同様の外径で環状の押輪26が設けられている。
【0006】
この押輪26には、受口12の フランジ18に形成された複数の丸孔19に対応する複数の丸孔27が形成されている。丸孔27と丸孔19とには、それぞれ、T字型ボルト28が図示のように通され、このT字型ボルト28にナット29がねじ合わされている。
【0007】
このT字型ボルト28とナット29との締め付け力により、押輪26は、挿口22の外周に配置されているシール材25及びバックアップリング24を管軸方向に押圧して、受口12に形成されているテーパ面16にシール材25を押し当てる。これにより、この管継手におけるシール機能が発揮される。
【0008】
尚、上記のような構成の管継手は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−214573
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら上記の従来形式では、高い水密性を保持するためには、T字型ボルト28とナット29との締め付け力を増大させて、シール材25全体を管軸方向において十分に圧縮させる必要があり、締め付け作業に労力を要した。
【0011】
本発明は、水密性に優れ、容易に高い水密性を保持することが可能な管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手であって、
受口の内周面に、嵌め込み部と、嵌め込み部よりも奥側に位置する凹部とが形成され、
受口と受口に挿入された挿口との間は弾性材からなる環状のシール材によって全周にわたりシールされ、
受口の開口端部に、シール材を受口奥側へ押し込む押輪が締結手段によって着脱自在に設けられ、
押輪が受口の開口端部に当接して押輪と嵌め込み部とにより嵌め込み溝が形成され、
シール材は、嵌め込み溝に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、
バルブ部は、ヒール部に接合され且つ受口の内周面に圧接する第1バルブと、第1バルブに接合され且つ挿口の外周面に圧接する第2バルブとを備え、
第1バルブと第2バルブとの接合部分には、第1および第2バルブよりも薄いくびれ部が形成され、
第2バルブは、第1バルブから管中心に向って傾斜し、且つ、内径が挿口の外径よりも小さく設定されているとともに、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在であり、
第2バルブの外周と凹部の底面との間に間隙が形成されているものである。
【0013】
これによると、一方の管と他方の管とを接合する場合、他方の管の挿口を押輪の内周とシール材の内周とに挿入して、シール材を挿口にセットする。この際、第1および第2バルブよりも薄いくびれ部が変形することで、第2バルブが挿口により管径方向において拡大(拡径)され、挿口がシール材の内周に挿入されるため、第2バルブを管径方向において拡大させるのに要する力が低減される。
【0014】
その後、他方の管の挿口を一方の管の受口に挿入し、締結手段によって押輪を受口の開口端部に締結し、押輪を用いてシール材を受口奥側へ押し込む。押輪が受口の開口端部に当接すると、押輪と受口の嵌め込み部とにより嵌め込み溝が形成され、シール材のヒール部が嵌め込み溝に嵌め込まれ、第1バルブが受口の内周面に圧接するとともに、第2バルブが挿口の外周面に圧接する。これにより、シール材が受口内の正規の位置に装着され、受口と挿口との間がシール材のバルブ部によってシールされる。
【0015】
互いに接合された管内に水圧が作用すると、第2バルブの外周と凹部の底面との間隙にも水圧が作用するため、第2バルブには管中心に向いた押付力が作用し、これにより、第2バルブが挿口の外周面に強く押し付けられるため、容易に高い水密性を保持することが可能である。
【0016】
また、本第2発明は、第1バルブの外周部に、受口の嵌め込み部と凹部との間に形成された凸部の内周面に圧接する第1シール部が形成され、
第2バルブの内周部に、挿口の外周面に圧接する第2シール部が形成され、
第1シール部の位置と第2シール部の位置とが管軸方向にずれているものである。
【0017】
これによると、シール材のヒール部が嵌め込み溝に嵌め込まれ、第1バルブの第1シール部が受口の凸部の内周面に圧接するとともに、第2バルブの第2シール部が挿口の外周面に圧接する。これにより、受口と挿口との間がシール材のバルブ部によってシールされる。
【0018】
互いに接合された管内に水圧が作用すると、この水圧によってバルブ部を受口の奥側から手前側に押し出そうとする押出し力が管軸方向に作用する。これに対して、第1シール部の位置と第2シール部の位置とが管軸方向にずれているため、押出し力によってシール材が受口の奥側から手前側に押されて挿口の外周面と押輪の内周面との間からはみ出すのを防止することができる。特に、第1シール部の位置と第2シール部の位置との管軸方向におけるずれ量を大きくするほど、大きな押出し力に対して、シール材が挿口の外周面と押輪の内周面との間からはみ出すのを防止することができ、水密性が向上する。
【0019】
また、本第3発明は、第1バルブの管径方向の厚さは第2バルブの管径方向の厚さよりも薄いものである。
また、本第4発明は、第2バルブの横断面の直径は受口の凸部の内周面と挿口の外周面との管径方向の間隔よりも大きいものである。
【0020】
これによると、一方の管と他方の管とを接合した場合、第2バルブは受口の凸部を通過して凹部まで挿入されており、管内の水圧によってバルブ部を受口の奥側から手前側に押し出そうとする押出し力が管軸方向に作用しても、第2バルブの横断面の直径は受口の凸部の内周面と挿口の外周面との管径方向の間隔よりも大きいので、第2バルブは上記間隔を通過し難い。これにより、シール材が受口の奥側から手前側に押されて挿口の外周面と押輪の内周面との間からはみ出すのを防止することができる。
【0021】
また、本第5発明は、受口内の凹部よりも奥側にロックリングが設けられ、
挿口の外周に、ロックリングに受口奥側から係合可能な突部が形成されているものである。
【0022】
これによると、挿口の突部がロックリングに受口奥側から係合することにより、挿口が受口から離脱するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように本発明によると、水密性に優れ、容易に高い水密性を保持することが可能な管継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態における管継手の断面図である。
【図2】同、管継手にシール材を装着する際の手順を示す断面図である。
【図3】同、管継手に備えられるシール材の自然状態(シール材を管継手から取り外した非圧縮状態)での横断面図である。
【図4】同、管継手に供えられるシール材の自然状態(シール材を管継手から取り外した非圧縮状態)での各部分の寸法を示した横断面図である。
【図5】同、管継手の挿口にシール材と押輪とをセットする際の手順を示す断面図である。
【図6】従来の管継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1,図2に示すように、31はメカニカルタイプの離脱防止管継手であり、互いに接続される一方の管32の端部に形成された受口33に、他方の管34の端部に形成された挿口35が挿入されている。
【0026】
受口33の内周面には、嵌め込み部37と、嵌め込み部37よりも受口奥側に位置する凹部38と、凹部38よりも受口奥側に位置するロックリング収容溝39と、嵌め込み部37と凹部38との間に位置する凸部40とがそれぞれ全周にわたり形成されている。
【0027】
嵌め込み部37は受口33の内周面と端面とに開放された窪みである。また、ロックリング収容溝39から奥側に距離をおいた受口33の内部には、管径方向の奥端面41が形成されている。
【0028】
ロックリング収容溝39には金属製の周方向一つ割りのロックリング42が収容されている。このロックリング42は、弾性的な縮径力を有することで、挿口35の外周面に弾性的に抱き付くように構成されている。ロックリング42の外周面とロックリング収容溝39の底面との間には心出しゴム体43が配置されており、挿口35が受口33に挿入されていないときにロックリング42を受口33に対して心出し状態に保持可能である。また、挿口35の先端部の外周には、ロックリング42に受口奥側から係合可能な突部44が形成されている。尚、突部44は挿口35の先端面よりも所定距離だけ引き抜き方向へ後退した位置に形成されている。
【0029】
受口33と挿口35との間はゴム(弾性材の一例)製で環状のシール材45によって全周にわたりシールされている。受口33の開口端部の外周には、径方向外向きのフランジ59が形成されている。受口33のフランジ59には、シール材45を受口奥側へ押し込む環状の押輪60が複数のボルト61(締結手段の一例)およびナット62(締結手段の一例)によって着脱自在に設けられている。押輪60は受口33の開口端面に当接しており、嵌め込み部37と押輪60とにより嵌め込み溝63が形成される。尚、挿口35は押輪60の内周に挿通されている。
【0030】
図1,図3,図4に示すように、シール材45は、嵌め込み溝63に嵌め込まれるヒール部46と、受口33の内周面と挿口35の外周面との間に挟まれるバルブ部47とを有している。ヒール部46は横断面形状(周方向に対して垂直な断面の形状)が方形をした環状の部材である。
【0031】
バルブ部47は、環状の部材であり、互いに接合された第1バルブ48と第2バルブ49とを備えている。第1バルブ48の横断面形状は管軸方向に長く且つ両端部に半径r1の半円部を有する長円形状である。また,第2バルブ49の横断面形状は半径r2の円形状である。尚、上記半径r1は半径r2よりも小さく、第1バルブ48の厚さT1は第2バルブ49の厚さT2よりも薄い。また、第2バルブ49の横断面の直径(=2×r2)は凸部40の内周面と挿口35の外周面との管径方向の間隔Sよりも大きく形成されている。
【0032】
第1バルブ48はヒール部46に接合され、第1バルブ48とヒール部46との接合部分の外周部には凹部52が形成されている。尚、第1バルブ48の内径は挿口35の外径よりも僅かに小さく形成され、第1バルブ48の外径は凸部40の内径よりも僅かに大きく形成されている。
【0033】
ヒール部46は、第1バルブ48に対して、受口33の奥側とは反対の手前側に位置している。また、第1バルブ48と第2バルブ49との接合部分には、第1および第2バルブ48,64よりも薄いくびれ部53が形成されている。くびれ部53の内周面と外周面とにはそれぞれ、円弧状の凹部54,55が形成されている。
【0034】
第2バルブ49は、第1バルブ48に対して受口33の奥側に位置し、且つ、第1バルブ48から管中心に向って傾斜している。尚、図4に示すように、第1バルブ48の第2バルブ49寄りの端部の半円部の中心P1と第2バルブ49の中心P2とを含む面をL1とし、上記中心P1を含み且つシール材45の径方向の面をL2とすると、面L2に対する面L1の傾斜角度Mは15〜35°に設定されている。さらに、第2バルブ49は、その内径dが挿口35の外径Dよりも小さく設定され、且つ、くびれ部53の弾性変形により管径方向において拡縮自在である。また、ヒール部46の内径Jは第1バルブ48の内径Kよりも大きく設定されている。
【0035】
第1バルブ48の外周部には、凸部40の内周面(受口33の内周面)に圧接する第1シール部50が全周にわたり形成されている。また、第2バルブ49の内周部には、挿口35の外周面に圧接する第2シール部51が全周にわたり形成されている。第1シール部50の位置と第2シール部51の位置とは管軸方向にずれている。また、図1に示すように、管径方向において、第2バルブ49の外周と凹部38の底面との間には間隙64が全周にわたり形成されている。また、凸部40の管軸方向の長さは第2バルブ49を圧縮しない長さに設定されている。尚、ヒール部46はバルブ部47よりも硬質のゴムで形成されている。
【0036】
以下、上記構成における作用を説明する。
一方の管32と他方の管34とを接合する場合、予め、ロックリング収容溝39にロックリング42と心出しゴム体43とを収容しておく。そして、図5(a)に示すように、挿口35を、先ず、押輪60の内周に挿入し、次に、シール材45の内周に挿入する。このとき、図5(b)に示すように、挿口35の先端が第1バルブ48の内周に挿入されて第2バルブ49に接触し、第2バルブ49が押されることにより、第2バルブ49が管径方向において拡大(拡径)される。
【0037】
その後、挿口35がさらに挿入されると、図5(c)に示すように、挿口35の突部44が、ヒール部46の内周を通って第1バルブ48の内周に当接し、その後、図5(d)に示すように、第1バルブ48の内周を通って第2バルブ49の内周に当接する。この際、第2バルブ49は、突部44に対して、管径方向の外向きに変位する。その後、図5(e)および図2(a)に示すように、挿口35の突部44が第2バルブ49の内周を通過し、挿口35がシール材45の内周に挿入され、シール材45が挿口35にセットされる。
【0038】
上記のように挿口35をシール材45の内周に挿入した際、第1および第2バルブ48,49よりも薄いくびれ部53が弾性変形することで、第2バルブ49が管径方向において拡大(拡径)するため、第2バルブ49を管径方向において拡大させるのに要する力が低減され、これにより、挿口35をシール材45の内周に挿入する際に要する挿入力を低減することができる。
【0039】
また、図5(b)に示すように、先ず、挿口35の先端が第2バルブ49を管径方向において拡大し、その後、図5(c)(d)に示すように、突部44が第1バルブ48内を通過するため、第2バルブ49が管径方向に拡大することと突部44が第1バルブ48内を通過することとは同時に起こらず、これにより、挿口35をシール材45の内周に挿入する際に要する挿入力を低減することができる。
【0040】
その後、図2(b)に示すように、挿口35を受口33に規定量挿入し、挿口35の突部44をロックリング42の受口手前側から受口奥側へ通過させる。
次に、複数のボルト61とナット62とによって押輪60をフランジ59に締結する。この際、作業者は押輪60が受口33の開口端面に当接するまでナット62を締め込み、これにより、図1に示すように、シール材45が受口33の開口端部の内周と挿口35の外周との間に押し込まれて正規の位置にセットされ、ヒール部46が嵌め込み部37と押輪60とで形成された嵌め込み溝63に嵌め込まれ、一方の管32と他方の管34とが接合される。
【0041】
この際、第2バルブ49は、管径方向において拡大(拡径)された状態であるため、挿口35の外周面に張り付くとともに、第2バルブ49の拡径に付随して第1バルブ48が管径方向の外向きに押される。これにより、第1バルブ48の第1シール部50が凸部40の内周面(受口33の内周面)に圧接するとともに、第2バルブ49の第2シール部51が挿口35の外周面に圧接するため、受口33と挿口35との間で高い水密性を保持することができる。
【0042】
また、上記のようにシール材45を受口33と挿口35との間に押し込む際、第1バルブ48の横断面形状が長円形状であり、第2バルブ49の横断面形状が円形状であるため、抵抗が少なくなってバルブ部47を押し込み易い。
【0043】
また、互いに接合された管32,34内に水圧が作用すると、図1に示すように、この水圧によってバルブ部47を受口33の奥側から手前側に押し出そうとする押出し力F1が管軸方向に作用する。これに対して、第1シール部50の位置と第2シール部51の位置とが管軸方向にずれているため、押出し力F1によってシール材45が受口33の奥側から手前側に押されて挿口35の外周面と押輪60の内周面との間からはみ出すのを防止することができる。特に、第1シール部50の位置と第2シール部51の位置との管軸方向におけるずれ量Aを大きくするほど、大きな押出し力F1に対して、シール材45が挿口35の外周面と押輪60の内周面との間からはみ出すのを防止することができる。これにより、受口33と挿口35との間の水密性が向上する。
【0044】
また、第2バルブ49は受口33の凸部40を通過して凹部38まで挿入されており、第2バルブ49の横断面の直径(=2×r2)は凸部40の内周面と挿口35の外周面との管径方向の間隔Sよりも大きいので、バルブ部47が押出し力F1によって押されても、第2バルブ49は上記間隔Sを通過し難く、これによっても、シール材45が受口33の奥側から手前側に押されて挿口35の外周面と押輪60の内周面との間からはみ出すのを防止することができる。
【0045】
また、間隙64にも水圧が作用するため、第2バルブ49には管中心に向いた押付力F2が作用し、これにより、第2バルブ49の第2シール部51が挿口35の外周面に強く押し付けられ、受口33と挿口35との間の水密性がさらに向上する。
【0046】
尚、上記実施の形態では、図1に示すように、挿口35を受口33に挿入して一方の管32と他方の管34とを接合した場合、第1バルブ48の内周面が挿口35の外周面に接触しているが、第1バルブ48の内周面と挿口35の外周面との間に隙間が形成されていてもよい。この場合、バルブ部47が押出し力F1によって押されると、第2バルブ49が上記第1バルブ48の内周面と挿口35の外周面との隙間に入り込むように押されるため、受口33と挿口35との間の水密性がさらに向上する。
【0047】
上記実施の形態では、環状の一体構造の押輪60を用いているが、この押輪60を複数割り(例えば二つ割り)構造にしてもよい。
上記実施の形態では、第1バルブ48の横断面形状を長円形状にしたが、円形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
31 管継手
32 一方の管
33 受口
34 他方の管
35 挿口
37 嵌め込み部
38 凹部
40 凸部
42 ロックリング
44 突部
45 シール材
46 ヒール部
47 バルブ部
48 第1バルブ
49 第2バルブ
50 第1シール部
51 第2シール部
53 くびれ部
60 押輪
61 ボルト(締結手段)
62 ナット(締結手段)
63 嵌め込み溝
64 間隙
d 第2バルブの内径
D 挿口の外径
T1 第1バルブの厚さ
T2 第2バルブの厚さ
S 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続される一方の管の端部に形成された受口に、他方の管の端部に形成された挿口を挿入する管継手であって、
受口の内周面に、嵌め込み部と、嵌め込み部よりも奥側に位置する凹部とが形成され、
受口と受口に挿入された挿口との間は弾性材からなる環状のシール材によって全周にわたりシールされ、
受口の開口端部に、シール材を受口奥側へ押し込む押輪が締結手段によって着脱自在に設けられ、
押輪が受口の開口端部に当接して押輪と嵌め込み部とにより嵌め込み溝が形成され、
シール材は、嵌め込み溝に嵌め込まれるヒール部と、受口の内周面と挿口の外周面との間に挟まれるバルブ部とを有し、
バルブ部は、ヒール部に接合され且つ受口の内周面に圧接する第1バルブと、第1バルブに接合され且つ挿口の外周面に圧接する第2バルブとを備え、
第1バルブと第2バルブとの接合部分には、第1および第2バルブよりも薄いくびれ部が形成され、
第2バルブは、第1バルブから管中心に向って傾斜し、且つ、内径が挿口の外径よりも小さく設定されているとともに、くびれ部の変形により管径方向において拡縮自在であり、
第2バルブの外周と凹部の底面との間に間隙が形成されていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
第1バルブの外周部に、受口の嵌め込み部と凹部との間に形成された凸部の内周面に圧接する第1シール部が形成され、
第2バルブの内周部に、挿口の外周面に圧接する第2シール部が形成され、
第1シール部の位置と第2シール部の位置とが管軸方向にずれていることを特徴とする請求項1記載の管継手。
【請求項3】
第1バルブの管径方向の厚さは第2バルブの管径方向の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の管継手。
【請求項4】
第2バルブの横断面の直径は受口の凸部の内周面と挿口の外周面との管径方向の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の管継手。
【請求項5】
受口内の凹部よりも奥側にロックリングが設けられ、
挿口の外周に、ロックリングに受口奥側から係合可能な突部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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