説明

管路連結構造

【課題】管路連結作業に際して、管路撤去作業に際しても管路密閉を維持するリングシール体の抵抗を軽減する管路連結構造を提供する。
【解決手段】管端側全面が開口しているシール収納凹部12を備えた鞘管部11を、連結管(受入管)1の管端側に設け、シール収納凹部12にリングシール体14を嵌合装着すると共に、他方連結管(差込管)2を前記鞘管部に挿入して密封連結するものであって、前記鞘管部の背後周面に係止段差部13を形成し、他方連結管の露出周面に係止突部21を設け、前記係止段差部及び係止突部に各々係止する係止受部及び係止凹部を内周面に設けたハウジング体を連結箇所に着脱自在に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として上下水道工事,ガス工事等の際の各種代替配管や、工場内の配管の取り替え工事の際の代替配管のために臨時に設置される仮設配管路を形成するための管路連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の配管路は、その用途に応じて適宜な管径並びに長さの金属管を適宜連結して所望の管路を設置することで実現しているものである。そして管路接続に際して係止構造を採用して管路形成を形成する手段としては、連結対象の金属管の端縁近傍に管を一周する浅い凹条を形成しておき、リング状シール体(外被シール体)に連結対象管の双方の管端を挿入して突き合せ、外被シール体より外側に露出する前記凹条に係合する脚部を備えた分割リング状のハウジング体を、前記外被シール体を囲包するように装着して管連結を実現することが知られており、もっとも多用されている。
【0003】
しかし前記のハウジング体と外被シール体を採用する手段は簡易な構造であるが、管路接続作業においては、連結対象の金属管端部を正確に一致させる作業が必要であり、且つ前記連結作業は、シールによる密閉作業も兼ねているので、正確な連結作業が要求され、作業能率上優れているとは言い難い。
【0004】
また作業性を改善するために前記の管端部の突き合せ手段を採用せずに、一方の管端部にリングシール体を内装した鞘管部を設け、前記鞘管に他方の管端を挿入すると共に、管の抜け止めを実現する係止構造を付加した手段が従前より知られている。
【0005】
例えば特許文献1(特開2002−250492号公報)には、連結対象管の鞘管部内に挿入される範囲内に係止突部を形成し、鞘管部の端部近傍内周面に、前記係止突部が係合する凹条部並びに前記凹条部に係止突部が進出可能とする開口端切欠部を形成し、連結対象管を差し入れ、更に相対的に回動して係止突部を凹条部内に位置させて抜け止めを実現する手段が開示されている。
【0006】
また特許文献2(特開2002−22073号公報)には、連結対象管の鞘管部内に挿入される範囲外に係止突部を形成し、前記係止突部と鞘管部とを囲包するハウジング体を装着して、連結管の抜け止めを実現する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−250492号公報。
【特許文献2】特開2002−22073号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
鞘管部を備えて連結対象管の一方を差し込んで管連結を実現するものは、リングシール体を鞘管内部に予め装着されているもので、管路の密閉を考慮すると前記のリングシール体は、差込管の外周に密着する必要があるが、密着度を高めると当然に差込管の挿入作業が煩瑣になる。そこでリングシール体の形状を、挿入側の背面に抉り部を形成して断面くの字状として、管挿入に対しての抵抗を小さくすると共に、効果的な密封を実現している。
【0009】
ところで、仮設管路においては、管路の設置作業の作業能率と共に、管路の撤去作業の作業能率も考慮する必要がある。このため差込管の挿入作業や引き抜き作業においてリングシールの抵抗は作業能率低下の要因となる。特に前記したように挿入抵抗が小さく密閉を効率的に行うために断面くの字状としたリングシール体の採用は、挿入作業においては作業性を高めるが、引き抜き作業に際しては大きな抵抗となってしまい作業性を低下させる。
【0010】
そこで本発明は、管路連結作業に際しても、また管路撤去作業に際してもリングシール体の抵抗を軽減する新規な管路連結構造を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る管路構造は、管端側全面が開口しているシール収納凹部を備えた鞘管部を、連結対象の一方の連結管(受入管)の管端側に設け、前記鞘管部のシール収納凹部にリングシール体を嵌合装着すると共に、他方の連結管(差込管)を前記鞘管部に挿入して密封連結するものであって、前記鞘管部の背後周面(管端から見た後方)に係止段差部を形成し、他方連結管の露出周面に係止突部を設け、前記係止段差部及び係止突部に各々係止する係止受部及び係止凹部を内周面に設けたハウジング体を連結箇所に着脱自在に装着したことを特徴とするものである。
【0012】
而して鞘管部のシール収納凹部にリングシール体を嵌合装着し、差込管を鞘管部に挿入した後、ハウジング体を装着すると、ハウジング体の係止受部と係止凹部が、連結管の係止段差部(鞘管部)と係止突部(差込管)に各々係止することになり、連結管の抜け止めが実現するものである。また管路の撤去においてはハウジング体を取り外し、差込管を引き抜いて管路を分離するものである。
【0013】
特に差込管の鞘管部への挿入に際しては、リングシール体を嵌合装着しているシール収納凹部の管端側全面が開口しているので、リングシール体の差込管の挿入によって押しつぶされる状態となっても当該全面開口箇所からの逃げ(膨出)が生じて挿入抵抗が小さくなり、差込管挿入作業が容易になる。
【0014】
更に差込管の鞘管部への引き抜き(撤去作業)に際しては、前記のとおりリングシール体を嵌合装着しているシール収納凹部の管端側全面が開口しているので、差込管の引き抜きと同時にリングシール体もシール収納凹部から一緒に外されることになり、リングシール体が管引き抜き作業時(撤去作業時)の抵抗とはならず、撤去作業が容易になるものである。勿論前記の差込管の挿入作業及び引き抜き作業の容易性は、リングシール体の形状の如何を問わないものである。
【0015】
また本発明(請求項2)に係る管路接続構造は、前記の構造においてハウジング体の内周側に、リングシール収納凹部の管端開口箇所を閉塞する閉塞壁部を備えてなるもので、ハウジング体の装着によってリングシール収納凹部の管端開口が塞がれ、リングシール体は溝形状に形成された箇所に収まることになり、管路に対する外力を受けてもリングシール体の移動が生ずることなく、管路密閉を維持できるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構成は上記のとおりで、鞘管部への差込管挿入で管連結を行い、ハウジングの囲包で管抜け止めを実現する管路連結構造において、特に管路密閉を実現するリングシール体を全面開口したシール収納凹部に装着するようにしたもので、管路形成時並びに管路分解時の作業性を高め、特に管路の撤去が必然である仮設管路に効果的な連結構造を提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す全体斜視図(連結前の状態)。
【図2】同全体正面図(連結前の状態)。
【図3】同連結状態の拡大説明図(ハウジング体装着前)。
【図4】同連結状態の拡大説明図(ハウジング体装着後)。
【図5】同分離作業時の拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に本発明の実施形態について説明する。管路は金属製の連結管1,2・・と順次差込連結すると共に、連結箇所にハウジング体3を装着して抜け止めを行い、管路が形成されるもので、以下の実施形態は、受入管1となる管尾端構造と差込管2となる管先端構造と、ハウジング体3で構成される連結構造について説明する。
【0019】
受入管1は、受入管1と同径の差込管2が差し入れられる内径を備えた鞘管部11を、溶接その他で堅牢に連結して受入管1と一体化するように設けるもので、前記鞘管部11の管端にはシール収納凹部12を備え、背後周面(管端から見た場合の後方)に、鞘管部11の最大径外周面より小径となる係止段差部13を形成したものであり、特に前記シール収納凹部12は、管端面側全面が開口しているものである。
【0020】
前記のシール収納凹部12には、リングシール体14を嵌合装着するもので、リングシール体14は、挿入される管(差込管)2の外周面と密着して管路の密封を実現するもので、挿入側の背面に抉り部が形成される、挿入に対しての抵抗を小さくしているものである。
【0021】
差込管2は、先端を前記鞘管部11に差し込んだ際に、鞘管部11より露出する部分で、且つ鞘管部11に近い位置の外周に、係止突部21を設けるものである。尚前記係止突部21は差込管2の全周に連続形成しても、或いは間欠的に形成しても良い。
【0022】
ハウジング体3は、従前の管連結用のハウジング体と同様に、管1,2の連結箇所を囲包するように形成したもので、半円状の二分割構造(管サイズに応じて三分割や四分割とする)で分割箇所に着脱連結部31を設けると共に、内周面に差込管2の先端部分を受入管1の鞘管部11に差し込んだ状態の係止段差部13及び係止突部21とそれぞれ対応する係止受部32及び係止凹部33と、リングシール収納凹部の管端開口箇所を閉塞する閉塞壁部34を設けたものである。
【0023】
尚着脱連結部31は、ハウジング体3が差し込み連結した管1,2の連結箇所の外周を覆うように着脱できる構造であれば良く、例えば図示するように、半円状に二分割し、分割端に、外周突出腕部311を形成すると共に、前記に外周突出腕部311にボルト孔312を設け、連結ボルト313、ナット314を使用して着脱自在とする。勿論分割の一方端は蝶結し、開閉操作で着出するようにしても良い。
【0024】
而して管1,2を連結して管路を形成する場合には、鞘管部11のシール収納凹部12にリングシール体14を嵌合装着し、その状態で差込管2を鞘管部11に挿入する(図3)。この挿入作業に際して、リングシール体14が断面くの字状としているので、リングシール体14が押し潰され易いと共に、シール収納凹部12の全面開口箇所でリングシール体14が露出しており、当然当該箇所からの逃げ(膨出)が生ずるので、差込管2の挿入時の挿入抵抗が小さくなり、差込管挿入作業が非常に容易である。
【0025】
差込管2を鞘管部11内に挿入した後に、ハウジング体3を装着するもので、二分割されたハウジング体3は、係止受部32が係止段差部13に当接し、係止凹部33内に係止突部21が収まるように被せ、対面する外周突出腕部311のボルト孔312に連結ボルト313を挿通し、前記連結ボルト313にナット314を螺合緊締して分割されているハウジング体3を一体にして管連結箇所を囲包するものである。
【0026】
また前記のハウジング体3の装着においては、ハウジング体3の内周側に、リングシール収納凹部12の管端開口箇所を閉塞する閉塞壁部34を備えているので、前記の閉塞壁部34によってリングシール収納凹部12の管端開口が塞がれ、リングシール体14は溝形状に形成された箇所に収まることになる。このため管路が外力を受けてもリングシール体14の移動が生ずることなく、管路密閉が維持されるものである。
【0027】
従って管1,2の連結は、差込管2を鞘管部11に挿入してリングシール体14による管路密閉を確保し、ハウジング体3の装着で、ハウジング体3の係止受部32と係止凹部33が、鞘管部11の係止段差部13と差込管2の係止突部21に各々係止して、管の抜け止めを実現しているものである。
【0028】
また管路の撤去においてはハウジング体3を取り外し、差込管を引き抜いて管路を分離するものである。特にこの作業に際しては、ハウジング体3を取り外すと、シール収納凹部12の管端側全面が開口してリングシール体14が露出しているので、差込管2の引き抜きと同時にリングシール体14もシール収納凹部12から一緒に外されることになり、リングシール体14が管引き抜き作業時(撤去作業時)の抵抗とはならず、撤去作業が容易になるものである。
【符号の説明】
【0029】
1 受入管
11 鞘管部
12 シール収納凹部
13 係止段差部
14 リングシール体
2 差込管
21 係止突部
3 ハウジング体
31 着脱連結部
311 外周突出部
312 ボルト孔
313 連結ボルト
314 ナット
32 係止受部
33 係止凹部
34 閉塞壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管端側全面が開口しているシール収納凹部を備えた鞘管部を、連結対象の一方の連結管の管端側に設け、前記鞘管部のシール収納凹部にリングシール体を嵌合装着すると共に、他方の連結管を前記鞘管部に挿入して密封連結するものであって、前記鞘管部の背後周面に係止段差部を形成し、他方連結管の露出周面に係止突部を設け、前記係止段差部及び係止突部に各々係止する係止受部及び係止凹部を内周面に設けたハウジング体を連結箇所に着脱自在に装着したことを特徴とする管路連結構造。
【請求項2】
ハウジング体の内周側に、リングシール収納凹部の管端開口箇所を閉塞する閉塞壁部を備えてなる請求項1記載の管路連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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