説明

【課題】2種以上の紛体を容易く均一に混合できる篩を提供する。一般的な篩では、小麦粉等に少量のベーキングパウダー等を均一に混合するときには篩に何回か、それらを再投入して混合する必要があるため、手間がかかるという問題があった。本発明は以上の問題を解決するためのものである。
【解決手段】外側に取っ手を設け、両端に開口部を設けた中が空洞の構造物の内部に前記両端の開口部間の中間に前記空洞を仕切るように網又は多孔板を設け、前記両端の開口部に着脱可能な蓋を係着した構造からなる篩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭で使用する手動式篩に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、篩は小麦粉等にベーキングパウダー等を混合する器具として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2012−110291
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】登録実用新案第3112487号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な篩では、小麦粉等に少量のベーキングパウダー等を均一に混合するときには篩に何回か、それらを再投入して混合する必要があるため、手間がかかるという問題があった。本発明は以上の問題を解決するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
外側に取っ手を設け、両端に開口部を設けた中が空洞の構造物の内部に、前記両端の開口部間の中間に前記空洞を仕切るように網又は多孔板を設け、前記両端の開口部に着脱可能な蓋を係着した構造からなる篩。
【発明の効果】
【0007】
本発明により2種以上の紛体を容易く均一に混合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の外観斜視図
【図2】本発明の分解斜視図
【図3】本発明の分解斜視図
【図4】本発明の部分拡大分解斜視図
【図5】本発明の部分拡大分解斜視図
【図6】本発明の部分拡大分解斜視図
【図7】本発明の部分拡大分解斜視図
【図8】図1の部分断面図
【図9】本発明の別の実施例における外観斜視図
【図10】本発明の別の実施例における外観斜視図
【図11】本発明の別の実施例における分解斜視図
【図12】本発明の別の実施例における分解斜視図
【図13】本発明の別の実施例における部分拡大分解斜視図
【図14】本発明の別の実施例における分解斜視図
【図15】本発明の別の実施例における部分拡大分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の篩は、本体(1)と、蓋(2)及び取っ手(3)及びパッキン(5)及び網又は多孔板(8)とからなっている。本体(1)の中は空洞となっており、その両端には開口部(4)を有している。この2つの開口部(4)間の中間、すなわち、本体(1)の中間には、中の空洞を仕切る形で網又は多孔板(8)が設けられている。また2つの開口部(4)には、それぞれ着脱可能な蓋(2)が係着されている。本体(1)の外側には、取っ手(3)が設けられている。蓋(2)の内部にはパッキン(5)を取り付ける。本体(1)の形状は、円筒形の他、その断面が楕円形、四角形、三角形、多角形、その他の形状でも可能であり、網又は多孔板(8)及び蓋(2)及びパッキン(5)の形状もそれぞれに応じて対応するものを用いる。なを、開口部(4)の形状が円筒形でない場合には、蓋(2)をネジを切って本体(1)に係着できないので、はめ込み式やその他の方法を用いる。本体(1)及び蓋(2)及び取っ手(3)は、プラスチックや金属、その他の素材で造ることができる。本体(1)は、透明なプラスチックで造ると中身が見えるので便利である。網又は多孔板(8)は、金属やプラスチック、その他の素材で造ることができる。パッキン(5)は、ゴムやプラスチック、その他の素材で造ることができる。網又は多孔板(8)は2枚以上設けても良い。取っ手(3)は本体(1)に設けられているが、プラスチックの射出成型では一体化して製造することができる。本発明の篩は、以上の構成からなっている。本発明を使用する時には、図1の上の蓋(2)を開けて小麦粉やベーキングパウダー等を投入し、その蓋(2)をしめる。この後、取っ手(3)を片方の手で持ち、もう片方の手で本体(1)を横から叩いて中身を篩に掛ける。全部の中身が下に落ちたら、今度は上下を逆にして同様の作業を行う。これを繰り返すことにより2種以上の紛体をこぼすことなく容易に均一に混合することができる。本発明の篩は、2種以上の紛体を均一に混合する用途に利用できる。
【実施例】
【0010】
実施例1
図1は、本発明の外観斜視図である。図2は本発明の分解斜視図を示す。この実施例では、商品として購入者が分解できる状態は、図2で示されるものとなる。本体(1)及び取っ手(3)は、上下の対称的な形状の2つの部材が、接着手段で接着され商品となる。接着手段としては、接着剤により接着する方法、熱融着により接着する方法、ハンダ付けにより接着する方法、電気溶接により接着する方法、等がある。本体(1)は、円筒形をしておりこの円筒形構造物の両端には開口部(4)が設けられている。この2つの開口部(4)間の中間、すなわち、本体(1)の中間には、中の空洞を仕切る形で網又は多孔板(8)が設けられている。この実施例では網又は多孔板(8)は、2つの開口部(4)間の中央に設けられている。本体(1)の両端の外周面には、図2で示されるように雄ネジ(6)が切られており、ここに蓋(2)が係着される。蓋(2)の内周面には、本体(1)の両端の外周面に切られている雄ネジ(6)に螺着できる雌ネジ(7)が切られている。蓋(2)の内部には、パッキン(5)を取り付ける。パッキン(5)を取り付けることにより、中身の粉が漏れ出るのをより良好に防ぐことができる。パッキン(5)は、ゴムやプラスチック、等、任意の素材で製造可能である。なを、蓋(2)を本体(1)の両端の開口部(4)に係着する方法は、ネジを切る他、はめ込み式、等にしても良い。蓋(2)を本体(1)の片方の開口部(4)にのみ係着し、本体(1)のもう片方の端を封鎖することでも、本発明の目的とする篩をかける機能を付与することができるが、洗浄しにくいので実用的でない。本体(1)には、取っ手(3)が設けられている。プラスチックの射出成型では本体(1)及び取っ手(3)は、一体化して製造することができる。本体(1)及び蓋(2)及び取っ手(3)は任意の素材で製造することが可能である。本体(1)は、透明なプラスチックで製造すれば中身が見えるので便利である。本体(1)の形状は、円筒形の他、その断面が楕円形、四角形、三角形、多角形、その他の形状でも可能であり、網又は多孔板(8)及び蓋(2)及びパッキン(5)の形状もそれぞれに応じて対応するものを用いる。なを、開口部(4)の形状が円筒形でない場合には、蓋(2)をネジを切って本体(1)に係着できないので、はめ込み式やその他の方法を用いる。網又は多孔板(8)は金属やプラスチック等、任意の素材で製造することが可能である。図3は本発明の分解斜視図を示しているが、網又は多孔板(8)が両端の開口部(4)間の中間、すなわち本体(1)の中間に設けられていることが分かる。この網又は多孔板(8)は、2枚以上設けても良い。図4は、図3の部分拡大図を示している。下の本体(1)には、本体嵌合凹部(10)が設けられている。この状態は、図5の部分拡大図で分かる。上の本体(1)には、図6で示されるように本体嵌合凸部(12)が設けられており、これが本体嵌合凹部(10)に嵌合する。取っ手(3)についても、取っ手嵌合凹部(11)に、取っ手嵌合凸部(13)が嵌合する。網又は多孔板(8)は、上下のそれぞれの本体(1)に設けられた網又は多孔板収納部(9)の部分に収納される。図7には下の本体(1)に、網又は多孔板(8)が収納されている状態が示されている。上の本体(1)及び取っ手(3)と下の本体(1)及び取っ手(3)とを接着手段で接着させると、本体(1)の中間に網又は多孔板(8)が収納される。図8には、図1の部分断面図が示されている。本体(1)及び取っ手(3)は、上下に分けることなく中間に網又は多孔板(8)を配置して、プラスチックの射出成型等で造ることも可能と思われるが、技術的に難易度が高いと思われる為、実施例1では対称的な形状の上下の2つの本体(1)及び取っ手(3)を接着手段で接着して製造することを提案している。網又は多孔板収納部(9)の部分に、網又は多孔板(8)を収納して、上下の2つの本体(1)及び取っ手(3)を接着手段で接着する。本体嵌合凹部(10)、本体嵌合凸部(12)、取っ手嵌合凹部(11)、取っ手嵌合凸部(13)は、設けなくても、上下の2つの本体(1)及び取っ手(3)は接着手段で接着することができる。この場合は、全く同じ形状の上下の2つの本体(1)及び取っ手(3)を造れば良いので、射出成型で製造する場合には、金型は1つで済み、コスト的には廉価となる。ただ、組み立て易くするには本体嵌合凹部(10)、本体嵌合凸部(12)、取っ手嵌合凹部(11)、取っ手嵌合凸部(13)を設け、網又は多孔板収納部(9)の部分に、網又は多孔板(8)を収納して、上下の2つの本体(1)及び取っ手(3)を嵌合させて接着するのが良い。パンやケーキ等を作る場合、ベーキングパウダー等を使用するが、この量は主原料である小麦粉に対して一般的には2−4%程度とごく少量である。品質の良いパンやケーキ等を作るには、この少量のベーキングパウダー等をできるだけ均一に分散することが必要となる。この作業は一般的には通常の篩に小麦粉とベーキングパウダー等の混合物を何回か繰り返し投入して篩を掛ける。一般的には、まず、ボール等の上で、篩に小麦粉とベーキングパウダー等を入れ篩を叩きながら、篩に掛け混合する。次にボール等に落ちた小麦粉とベーキングパウダー等の混合物を別のボール等の上で、再度、篩に入れ同じく篩に掛け混合する。これを何回か繰り返すと小麦粉にごく少量混合されたベーキングパウダー等は、小麦粉に良好に分散されて、品質の良いパンやケーキ等を作ることができる。一般的な方法では、複数のボール等を必要とすることや、粉を容器の外にこぼしやすいこと等、で手間がかかる問題がある。本発明は、この篩に掛ける作業を粉をこぼすことなく、簡単に行うことができる。本発明の使用方法は次のようにする。まず、図1の上の蓋(2)を開けて小麦粉と少量のベーキングパウダー等を容器の中に入れる。次に、蓋(2)をしめて、取っ手(3)を片手で持ちながら、もう片手で本体(1)を叩いて、中身を篩に掛け混合する。混合された中身は下の部分に落ちるので、今度は上下を逆にして、同じ作業を行う。この繰り返しにより粉をこぼすことなく中身を簡単に篩に掛けて混合することができる。最後には片方の蓋(2)を開けて、ボール等の上で篩を掛けて、中身をボール等に出し、終わりとなる。一般的な篩を掛ける作業では、ボール等の容器が複数必要な他、粉を容器の外にこぼしやすいことや、手間がかかる等の問題があるが、本発明によりこれらは良好に改善することができる。
実施例2
図9は、本発明の別の実施例における外観斜視図を示している。図10は図9とは別の方向から見た本発明の別の実施例における外観斜視図を示している。実施例1と異なる点は、本体(1)を中央部分で分解可能とした点である。これにより、洗浄がし易くなる等の利点がある。この実施例では本体(1)に結合用突起部(14)を4カ所設けており、この結合用突起部(14)に設けた孔(17)にボルト(15)を通して、ナット(16)で締めて、上下の本体(1)を結合している。この結合用突起部(14)は、本体(1)の任意の位置に、2カ所以上、設ければ良い。この結合用突起部(14)は、取っ手(3)と同じくプラスチックの射出成型による製造では一体成型により本体(1)に設けることができる。この実施例の場合には、通常使用する場合は図11で示される状態まで分解するが、更に図12で示される状態まで分解できる。分解できるようにしたことで、本発明の洗浄をし易くしている点がこの実施例の特徴である。図13は、図12の部分拡大図を示している。なを、上下の本体(1)を結合する方法は、ボルト(15)、ナット(16)を用いる他、はめ込み式、等にしても良い。この実施例の場合も、本体(1)の形状は、円筒形の他、その断面が楕円形、四角形、三角形、多角形、その他の形状でも可能であり、網又は多孔板(8)及び蓋(2)及びパッキン(5)の形状もそれぞれに応じて対応するものを用いる。なを、開口部(4)の形状が円筒形でない場合には、蓋(2)をネジを切って本体(1)に係着できないので、はめ込み式やその他の方法を用いる。
実施例3
図14は、本発明の別の実施例における分解斜視図を示している。実施例1では、網又は多孔板(8)は、本体(1)の中にあらかじめ組み込まれているが、この実施例では、それを円筒形の形状の中心軸に平行な方向の中間にこの円筒形の形状の空間を仕切るように設けた網又は多孔板支持体(18)を本体(1)の中に挿入できるようにしたものである。円筒形の形状の網又は多孔板支持体(18)の中心軸に平行な方向の全体の長さは、本体(1)の開口部(4)間の長さ、すなわち、本体(1)の全体の長さに等しく、網又は多孔板支持体(18)の外径は、本体(1)の内径よりわずかに小さくし、網又は多孔板支持体(18)を本体(1)の中に容易く挿入できるようにする。挿脱可能な網又は多孔板支持体(18)を使用することにより、これも洗浄がし易い等の特徴がある。網又は多孔板支持体(18)は、任意の素材で製造することができる。図15は、図14の部分拡大図を示している。なを、この実施例3の場合には、当然ながら、実施例1で示される網又は多孔板収納部(9)を本体(1)の内部に設ける必要はない。この本発明を使用する時には網又は多孔板(8)を円筒形の形状の中心軸に平行な方向の中間に設けた網又は多孔板支持体(18)を本体(1)の中に挿入して蓋(2)をしめる。使い方は、実施例1の場合と同じである。網又は多孔板支持体(18)を挿入した本体(1)の上の蓋(2)を開け、混合する紛体を投入した後、蓋(2)をしめる。次に取っ手(3)を片手で持って、もう片方の手で本体(1)を横から叩いて、中身を篩に掛け混合する。次に上下を逆にして同じ作業を行い中身を混合する。これを何回か繰り返して中身を混合する。最後に上の蓋(2)を開けて、網又は多孔板支持体(18)を取り出した後、混合された中身をボール等に取り出す。この実施例では、本体(1)の形状が円筒形の場合を示しているが、この場合も本体(1)の形状は、円筒形の他、その断面が楕円形、四角形、三角形、多角形、その他の形状でも可能であり、網又は多孔板支持体(18)及び蓋(2)及びパッキン(5)の形状もそれぞれに応じて、対応するものを用いる。なを、開口部(4)の形状が円筒形でない場合には、蓋(2)をネジを切って本体(1)に係着できないので、はめ込み式やその他の方法を用いる。この実施例の場合には、実施例1のように本体(1)及び取っ手(3)を上下に分けて製造して接着する方法ではなく、それらを射出成型等で一体成型により製造することが良い。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は、工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0012】
1 本体
2 蓋
3 取っ手
4 開口部
5 パッキン
6 雄ネジ
7 雌ネジ
8 網又は多孔板
9 網又は多孔板収納部
10 本体嵌合凹部
11 取っ手嵌合凹部
12 本体嵌合凸部
13 取っ手嵌合凸部
14 結合用突起部
15 ボルト
16 ナット
17 孔
18 網又は多孔板支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側に取っ手を設け、両端に開口部を設けた中が空洞の構造物の内部に、前記両端の開口部間の中間に前記空洞を仕切るように網又は多孔板を設け、前記両端の開口部に着脱可能な蓋を係着した構造からなる篩。
【請求項2】
両端に開口部を有する中が空洞の構造物の形状が円筒形であることを特徴とする請求項1における篩。
【請求項3】
両端に開口部を有する中が空洞の構造物を中央部分で分解可能とした請求項2における篩。
【請求項4】
外側に取っ手を設け、両端に開口部を設けた中が空洞の構造物の内部に、網又は多孔板を円筒形の形状の中心軸に平行な方向の中間に前記円筒形の形状の空間を仕切るように設けた挿脱可能な網又は多孔板支持体を挿入し、前記両端の開口部に着脱可能な蓋を係着した構造からなる篩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−63337(P2013−63337A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2013−4129(P2013−4129)
【出願日】平成25年1月12日(2013.1.12)
【出願人】(505120146)
【Fターム(参考)】