説明

簡易トイレ及び非常用トイレ設備

【課題】 組立てて使用する簡易トイレ1の収納空間を十分に小さくし、かつ、簡易トイレ1使用時に、運搬を不要とし組立時間を短縮して、使用可能になるまでの時間を短縮する。
【解決手段】 矩形状の複数の個室19を連設して形成する壁部材5と、壁部材5が差し込まれる溝23を有する床パネル3と、壁部材5が差し込まれる溝37を有する枠材7と、枠材7の上に載置される屋根9とを備え、壁部材5は、平行な2つの前面壁パネル27と、前面壁パネルの間に設置される背面壁パネル29と、2つ割りされ折畳み可能な側面壁パネル31及び仕切り壁パネル33とで形成され、各壁パネルは、折畳み可能に強力接着テープ35で接合してなる簡易トイレを用いて形成される非常用トイレ設備43であって、上部に床パネル3が載置される便槽45と、便槽45に隣接して折畳んだ壁部材5が収納される収納空間53を地下に設け、床パネル3の上部に屋根9を被せてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易トイレ及び非常用トイレ設備に係り、具体的には、大地震などの非常事態が発生したときに人々が避難する学校や公園、公共の施設などの避難所で使用するのに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大地震などの非常事態が発生したときに人々が集まる避難所のトイレが不足することから、仮設の非常用トイレ設備を設けることが行なわれる。この非常用トイレ設備には、例えば、矩形状の個室を形成する壁と屋根と床を備えた簡易トイレを用いることが知られている。このような非常用トイレ設備は、平常時には倉庫などに収納しておくことが一般的である。そこで、非常用トイレ設備を収納しておく空間を小さくするために折畳式の簡易トイレが提案されている(特許文献1)。これによれば、床パネルを中央から2つ割りし、それぞれを壁パネルの間に挟み込むように室内側に折り曲げ、壁パネルを室内側に折畳み、屋根を折畳んだ壁パネルの側面にあわせて折り曲げることによって収納空間を小さくしている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−239552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の簡易トイレによれば、折畳んだ壁パネルの間に床パネルを挟み込むに構造になっているから、床パネルが折畳み込まれた部分以外の領域の壁パネル間に隙間ができてしまう。したがって、必ずしも収納空間を十分に小さくしているとは言えない。
【0005】
また、避難所などには、多数の簡易トイレを設置する必要があるが、特許文献1の簡易トイレは、単に複数並べて設置することになり、組立時間を短縮することについて考慮されていない。
【0006】
さらに、特許文献1の簡易トイレは、使用時に収納場所から設置場所まで運搬する必要があるなど、使用可能になるまでの時間を短縮することについて考慮されていない。
【0007】
本発明の第1の課題は、簡易トイレ使用時に、組立てて使用する簡易トイレの収納空間を十分に小さくすることにある。
【0008】
また、本発明の第2の課題は、複数の簡易トイレを組立てるのにあたって、組立時間を短縮することにある。
【0009】
さらに、本発明の第3の課題は、簡易トイレ使用時に、収納場所から設置場所までの運搬や便槽を掘る時間を削減し、使用可能になるまでの時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の第1の課題を解決するため、本発明の第1の態様の簡易トイレは、矩形状の個室を形成するための壁部材と、前記壁部材の下端が差し込まれる溝を有する床パネルと、前記壁部材の上端が差し込まれる溝を有する枠材と、前記枠材の上に載置される屋根とを備え、前記壁部材は、対向する2組の壁パネルで形成され、1組の壁パネルの一方には入口扉が設けられ、他の1組の壁パネルは縦に2つ割りされ、2つ割りされた壁パネル及び他の壁パネルは、2つ割りされた壁パネルを室内側に折り曲げ可能に接着テープで接合されてなることを特徴とする。
【0011】
すなわち、簡易トイレを床パネル、壁部材、枠材、屋根に分割し、壁部材を単独で折畳み可能することにより、壁部材を折畳んだときの無駄な空間を最小化することができるから収納空間を小さくすることができる。また、壁部材の各壁パネルを接着テープで連結することにより、折畳んだときの各壁パネル間の隙間を十分に小さくすることができ、さらに収納空間を小さくすることができる。
【0012】
また、上記の第2の課題を解決するため、本発明の第2の態様の簡易トイレは、矩形状の複数の個室を連設して形成するための壁部材と、前記壁部材の下端が差し込まれる溝を有する床パネルと、前記壁部材の上端が差し込まれる溝を有する枠材と、前記枠材の上に載置される屋根とを備え、前記壁部材は、平行に設けられる2つの前面壁パネルと、前面壁パネルの間に平行して設けられる背面壁パネルと、前面壁パネルと背面壁パネルの両側端に渡して設けられる側面壁パネルと、側面壁パネルと平行に前面壁パネルと背面壁パネルとの間に渡して設けられる1又は複数の仕切り壁パネルとから形成され、側面壁パネル及び仕切り壁パネルは、それぞれ2つ割りされて、前面壁パネルと背面壁パネルの間に挟み込まれるように折り曲げ可能に接着テープで接合され、前面壁パネルには各個室の入口扉が設けられてなることを特徴とする。
【0013】
すなわち、第1の態様の簡易トイレを複数連設するにあたって、複数の個室の壁部材を折畳み可能に一体的に形成し、これに合わせて床パネル、枠材、屋根を形成することにより、組立て時には、壁部材を展開すれば複数の個室を短時間で形成できる。また、床パネルと屋根は、複数の個室に対応させて一体形成されているから組立てる必要がなく、全体としての組立時間をさらに短縮することができる。
【0014】
さらに、上記の第3の課題を解決するため、上記の本発明の簡易トイレを用いて非常用トイレ設備を構成するにあたり、前記床パネルが載置される開口縁を有し地下に設けられる便槽と、前記便槽に隣接して前記壁部材を折畳んだ状態で収納可能に地下に設けられる収納空間と、前記床パネルの上部に前記屋根を被せてなることを特徴とする。
【0015】
すなわち、上記の本発明の簡易トイレを用いてなる非常用トイレ設備を使用するときに、埋設された便槽の上に載置された床パネルの上に被せた屋根を取り外し、床パネルの上に壁部材を展開して載置し、壁部材の上端を枠材で固定し、枠材の上に屋根を載置することにより簡単に組立てることができ、これにより直ちに使用可能となる。特に、設置場所に非常用トイレ設備に必要な全ての部材が揃っているため、部材を運搬する作業や時間が不要である。また、既に便槽が形成されているため、便槽を掘る作業が不要となり、この点においても、使用可能にするまでの時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、簡易トイレの収納空間を十分に小さくすることができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様によれば、簡易トイレを使用するときの組立時間を短縮することができる。
【0018】
さらに、本発明の非常用トイレ設備によれば、使用可能になるまでの時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(実施形態1)
図1に本発明の実施形態1の簡易トイレの全体を下方から見た斜視図を示し、図2に上方から見た斜視図を示す。図示のように、本発明の実施形態1の簡易トイレ1は、床パネル3と、床パネル3の上に載置された矩形状の4つの個室19を形成してなる壁部材5と、壁部材5の上端に設置された枠材7と、枠材7の上に載置された屋根9により構成されている。さらに、壁部材5は、各個室19に対して扉11及び換気口17を有し、各扉11には取っ手13が設けられている。このように形成された簡易トイレ1は、枠材7に連結された複数のワイヤー15で地面に固定されている。
【0021】
床パネル3は、図3に示ように、ハニカム状の芯材に平板状のアルミ板を貼り合わせて矩形状に形成したパネル21で構成され、パネル21の外縁と中央部の縦横に壁部材5の下端が差し込まれる溝23が設けられている。また、溝23は、図4に示すように、後述する壁部材5の下端が差し込まれる幅に形成され、壁部材5と床パネル3とを連結するための蝶ネジ25が設けられている。
【0022】
壁部材5は、図5に示すように、ハニカム状の芯材に平板状のアルミ板を貼り合わせて矩形状に形成した複数の壁パネルで構成されている。複数の壁パネルは、前面側を互いに逆方向に向けて平行に設置される2つの前面壁パネル27と、2つの前面壁パネル27の間に平行に設置される1つの背面壁パネル29と、前面壁パネル27と背面壁パネル29により形成される2つの空間の各側面に設置される4つの側面壁パネル31及び各空間の中間に設けられる2つの仕切り壁パネル33の9つの壁パネルから形成されている。
【0023】
側面壁パネル31及び仕切り壁パネル33は、図6に示すように、壁パネルの中心を縦に2つ割りされ、強力接着テープ35で連結されている。また、側面壁パネル31は、図6に示すように、前面壁パネル27と背面壁パネル29の間に挟み込まれるように折り曲げられる。また、側面壁パネル31を連結する強力接着テープ35は、図7に示すように、壁パネルの外側に面した連結部には、壁パネルの表面に強力接着テープ35aを貼り付け、壁パネルの室内側に面した連結部には、壁パネルの表面及び側面に入り込むように強力接着テープ35bを貼り付ける。また、仕切り壁パネル33は、図6に示すように、互いが逆方向に折り曲げられ、側面壁パネル31同様に強力接着テープ35で貼り付けられている。さらに、各壁パネルは、図6に示すように、前面壁パネル27と背面壁パネル29との間に側面壁パネル31が挟み込まれるように折り曲げられ、側面壁パネル31同様に強力接着テープ35で貼り付けられている。このように、2つ割りされた壁パネル及び各壁パネルは、蝶番に換えて強力接着テープ35でそれぞれ連結されている。
【0024】
強力接着テープ35は、図6に示すように、2つ割りされた壁パネルの連結部に貼り付けられ、図7に示すように、壁パネルの折り曲げ部の内側には、壁パネルの表面に強力接着テープ35aが貼り付けられ、折り曲げ部の外側には、壁パネルの表面及び側面に入り込むように貼り付けられている。このように、折り曲げ部を挟むように壁パネルの外側と内側の両面に強力接着テープ35を貼り付けるのは、個室19内に雨水の浸入を防ぐこと及び折り曲げ部の強度を高めるためである。
【0025】
また、2つに折畳まれた側面壁パネル31と仕切り壁パネル33の幅方向の寸法は、図8に示すように、前面壁パネル27及び背面壁パネル29の幅方向の1/4以下の寸法になるように形成されている。つまり、壁部材5を折畳んだときに側面壁パネル31と仕切り壁パネル33が干渉することなく折畳むことができるようにしている。また、仕切り壁パネル33は、図8に示すように、互いが逆方向に折畳まれることにより、壁部材5を折畳んだときの重さが均一になるので、持ち運びが便利になる。
【0026】
枠材7は、アルミ板又は樹脂板で形成され、図9に示すように、展開して矩形状の4つの個室19が連設された壁部材5の上端に差し込むように下向きに開口された溝37が設けられている。
【0027】
屋根9は、図10に示すように、アルミ板又は樹脂板で形成された矩形状の平板の底板39と底板39の外縁に設置される側板41から構成されている。また、枠材7と屋根9は図示していないネジにより固定される。このとき屋根9は、矩形状の底板39の各個室19に位置する部分を光を通す材料で形成し、個室19に光を取り込み明るくすることが望ましい。
【0028】
次に、本実施形態の簡易トイレ1を組立てて使用するときの作業について説明する。まず、床パネル3に対応する大きさの便槽を地面を掘って形成する。便槽は、簡易トイレ1の重さに耐えられる枠部材で便槽の外縁を補強し、補強した枠部材の上に床パネル3を設置する。さらに、壁部材5を展開して床パネル3に設けられた溝23に壁部材5の下端を差し込み蝶ネジ25で固定する。次に壁部材5の上端に枠材7の溝37を差し込み固定して、枠材7の上に屋根9を載置する。枠材7と屋根9はネジで固定する。また、強風などによる簡易トイレ1の倒壊防止のため、枠材7の各角と地面とをワイヤー15で固定して組立てを完了する。
【0029】
このように簡易トイレ1を、床パネル3、壁部材5、枠材7、屋根9に分割し、壁部材5を単独で折畳み可能にすることにより、壁部材5を折畳んだときの無駄な空間を最小化することができるから収納する空間を小さくすることができる。また、壁部材5の各壁パネルを強力接着テープ35で連結することにより、折畳んだときの各壁パネル間の隙間を十分に小さくすることができ、さらに収納する空間を小さくすることができる。
【0030】
一方、簡易トイレ1を使用するときには、床パネル3の上に壁部材5を展開して載置し、壁部材5の上端を枠材7で固定し、枠材7の上に屋根9を載置することにより簡単に組立てることができる。また、壁部材5は、4つの個室19を折畳み可能に一体的に形成し、これに合わせて床パネル3、枠材7、屋根9を形成していることにより、簡易トイレ1を組立てるときには、壁部材5を展開すれば4つの個室19が簡単に形成され、短時間で簡易トイレ1を組立てることができる。また、床パネル3と屋根9は、4つの個室19に対応させて一体形成されているため組立てる必要がなく、全体としての組立時間をさらに短縮することができる。
【0031】
また、簡易トイレ1の扉11の色を、各個室19ごとに色分けすることが望ましい。これにより、各個室19の扉11の色ごとに使用者を割りあてて管理することができる。また、各扉11には図示していないが適宜、鍵を設けることができる。さらに、各扉11に設けられた取っ手13及び鍵は、折畳むときに扉11に突出部があるとうまく折畳むことができないので、扉11の表面から突出しない形状が望ましい。
【0032】
また、簡易トイレ1を形成する各部材は、軽くて錆びにくい丈夫な材料であれば、上記の材料に限らなくてもよい。
【0033】
また、簡易トイレ1は、側面壁パネル31が前面壁パネル27と背面壁パネル29の間に折畳み可能であれば、4つの個室19を連設する構成でなくてもよい。
【0034】
さらに、図示していないが、本発明の簡易トイレ1は、各個室19に便器を設けるようになっている。また、各個室19に設ける便器が水洗便器の場合には、屋根9を水槽として利用して水を溜め、屋根9から各個室19の水洗便器に水を通す配管を連結して洗浄水とすることができる。また、各個室19に設けられる便器は、水洗便器に限らず、例えば、折畳み式や出来合の便器でもよい。なお、水洗便器ではない場合には、屋根9は、水を溜める形状である必要はない。
【0035】
(実施形態2)
図11に本発明の実施形態1の簡易トイレを用いた実施形態2の非常用トイレ設備43の断面図を示す。図示のように、実施形態の非常用トイレ設備43は、地下に設けた開口縁を有する便槽45と、便槽45の開口縁に設置される枠部材47と、便槽45の上部を覆う床パネル3と、便槽45に隣接して地下に設けた収納空間49と、収納空間49の上部を塞ぐ収納空間蓋51と、床パネル3と収納空間蓋51の上部に被せて設置される屋根9とから構成されている。
【0036】
便槽45は、図11に示すように、地下を掘削して設けられ、便槽45の内壁は、外側からトレンチシート53、発砲スチロール55、FRP57、ビニールシート59を順に設置して形成されている。また、便槽45の開口縁には、枠部材47が設置され、枠部材47の上に便槽45の開口を覆うように床パネル3が設置され、床パネル3には、各個室19に対して排便口61がそれぞれ設けられている。
【0037】
収納空間53は、図11に示すように、折畳んだ状態の壁部材5を収納できる空間をトレンチシート53によって形成され、便槽45に隣接して地下に設けられている。また、収納空間49の開口に枠部材47を設け、枠部材47の上の開口を塞ぐように収納空間蓋51が設置される。
【0038】
このように形成された非常用トイレ設備43は、平常時には、図11に示すように、収納空間49に壁部材5を折畳み収納し、収納空間49の上に収納空間蓋51を設置し、便槽45と収納空間49の上部に設置されたそれぞれの蓋の上に逆さにした屋根9を覆い被せて形成されている。
【0039】
このとき、便槽45内に非常用物資又は防腐を施した飲料水を貯蔵しておくことができる。また、地下水などにより便槽45に浮力がかかる場合、便槽45に水を溜めることで便槽45の浮き上がりを押さえることができる。また、収納空間49には、壁部材5だけでなく、水を汲み上げる人力ポンプや人力発電器具、仮設照明など非常用トイレ設備43を使用するのに必要な器具を収納することができる。
【0040】
一方、非常用トイレ設備43を使用するときには、図12に示すように、各蓋の上に設置された屋根9を取り外し、収納空間49から壁部材5を取り出して展開し、便槽45の上に設置された床パネル3の上に壁部材5を載置する。さらに、壁部材5の上部に枠材7を差し込み固定し、枠材7の上に取り外した屋根9を設置して図示していないネジで固定することにより使用可能となる。
【0041】
このように、設置場所に非常用トイレ設備43の部材が全て揃っているため、運搬する作業や時間が不要になる。さらに、床パネル3の下に便槽45が設置されているため、便槽45を掘る作業や時間が不要になり短時間で非常用トイレ設備43を使用することができる。
【0042】
また、非常用トイレ設備43の使用後は、便槽45の内側に設置されたビニールシート59を交換することにより、非常用トイレ設備43を簡単に再使用する
ことができる。
【0043】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態2の非常用トイレ設備43の便槽45を鋼管65とコンクリート67によって形成した実施形態3の非常用トイレ設備43について説明する。なお、実施形態2で既に説明した内容については省略し、その他、同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
実施形態の非常用トイレ設備43の便槽45は、図13に示すように、鋼管65とコンクリート67で形成されている。鋼管65は、地面に対して鉛直に埋め込めこまれている。さらに、鋼管65の底部をコンクリート67で固めて便槽45の底面を形成している。このとき、鋼管65は、地面に埋め込まれる形であれば、地面を掘削して埋め込んでも、鋼管65を地面に打ち込んでから内部を掘削してもよい。このように便槽45を容易に構築することができるため、構築作業時間を短縮することができる。
【0045】
また、便槽45の上部には天板67が設けられ、図14に示すように、この天板67には床パネル3に対応した大きさの開口が形成されている。便槽45の開口の側縁には、床パネル3を被せる枠部材71が設けられている。また、天板67には、図14に示すように、少なくとも1箇所に、便槽45内の排泄物を汲み取る蓋付きの汲み取り口69が設けられている。このことより、図15に示すように、簡易トイレ1使用時でも便槽45内に溜まった排泄物を汲み取ることができる。
【0046】
また、複数個の鋼管65を設置場所に運搬するときには、複数の鋼管65の直径を一回りずつ小さくし、入れ子状にして運搬することができる。これにより、複数の鋼管65を同時に運搬することができ、運搬費用の削減や運搬時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態の簡易トイレを下から見た斜視図である。
【図2】第1の実施形態の簡易トイレを上から見た斜視図である。
【図3】(a)は第1の実施形態の床パネルの平面図、(b)は断面図である。
【図4】第1の実施形態の床パネルの一部を拡大して示した断面図である。
【図5】第1の実施形態の壁部材を展開した平面図である。
【図6】第1の実施形態の壁部材の折畳む様子を示す図である。
【図7】第1の実施形態の各壁パネルの折り曲げ部の拡大図である。
【図8】第1の実施形態の壁部材を折畳んだ状態を示す図である。
【図9】(a)は第1の実施形態の枠材の平面図、(b)は枠材の部分断面図である。
【図10】(a)は第1の実施形態の屋根の平面図、(b)は側面図、(c)は断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の非常用トイレ設備の収納状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の非常用トイレ設備の使用状態における断面図である。
【図13】本発明の第3の実施形態の非常用トイレ設備の収納状態における断面図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の非常用トイレ設備の収納状態における平面図である。
【図15】本発明の第3の実施形態の非常用トイレ設備の使用状態における断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 簡易トイレ
3 床パネル
5 壁部材
7 枠材
9 屋根
11 扉
13 取っ手
15 ワイヤー
17 換気口
19 個室
21 パネル
23 溝
25 蝶ネジ
27 前面壁パネル
29 背面壁パネル
31 側面壁パネル
33 仕切り壁パネル
35 強力接着テープ
37 溝
39 底板
41 側板
43 非常用トイレ設備
45 便槽
47 枠部材
49 収納空間
51 収納空間蓋
53 トレンチシート
55 発砲スチロール
57 FRP
59 ビニールシート
61 排便口
63 鋼管
65 コンクリート
67 天板
69 開口
71 枠部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の個室を形成するための壁部材と、前記壁部材の下端が差し込まれる溝を有する床パネルと、前記壁部材の上端が差し込まれる溝を有する枠材と、前記枠材の上に載置される屋根とを備え、前記壁部材は、対向する2組の壁パネルで形成され、1組の壁パネルの一方には入口扉が設けられ、他の1組の壁パネルは縦に2つ割りされ、2つ割りされた壁パネル及び他の壁パネルは、2つ割りされた壁パネルを室内側に折り曲げ可能に接着テープで接合されてなることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項2】
矩形状の複数の個室を連設して形成するための壁部材と、前記壁部材の下端が差し込まれる溝を有する床パネルと、前記壁部材の上端が差し込まれる溝を有する枠材と、前記枠材の上に載置される屋根とを備え、前記壁部材は、平行に設けられる前面壁パネル及び背面壁パネルと、前面壁パネルと背面壁パネルの両側端に渡して設けられる側面壁パネルと、側面壁パネルと平行に前面壁パネルと背面壁パネルとの間に渡して設けられる1又は複数の仕切り壁パネルとから形成され、側面壁パネル及び仕切り壁パネルは、それぞれ2つ割りされて、前面壁パネルと背面壁パネルの間に挟み込まれるように折り曲げ可能に接着テープで接合され、前面壁パネルには各個室の入口扉が設けられてなることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項3】
矩形状の複数の個室を連設して形成するための壁部材と、前記壁部材の下端が差し込まれる溝を有する床パネルと、前記壁部材の上端が差し込まれる溝を有する枠材と、前記枠材の上に載置される屋根とを備え、前記壁部材は、平行に設けられる2つの前面壁パネルと、前面壁パネルの間に平行して設けられる背面壁パネルと、前面壁パネルと背面壁パネルの両側端に渡して設けられる側面壁パネルと、側面壁パネルと平行に前面壁パネルと背面壁パネルとの間に渡して設けられる1又は複数の仕切り壁パネルとから形成され、側面壁パネル及び仕切り壁パネルは、それぞれ2つ割りされて、前面壁パネルと背面壁パネルの間に挟み込まれるように折り曲げ可能に接着テープで接合され、前面壁パネルには各個室の入口扉が設けられてなることを特徴とする簡易トイレ。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の簡易トイレにおいて、前記屋根は、水を貯留することができる容器状に形成され、前記屋根の底面に前記各個室に設けられる便器に水を供給する配管が連結されてなることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載の簡易トイレにおいて、前記屋根は、前記各個室に位置する部分が光を透過する材料で形成されてなることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5に記載の簡易トイレを用いてなる非常用トイレ設備であって、前記床パネルが載置される開口縁を有し地下に設けられる便槽と、前記便槽に隣接して前記壁部材を折畳んだ状態で収納可能に地下に設けられる収納空間と、前記床パネルの上部に前記屋根を被せてなる非常用トイレ設備。
【請求項7】
請求項6に記載の非常用トイレ設備において、前記便槽は、地崩れを防止するトレンチシートと、該トレンチシートの内側に張られたビニールシートとを有することを特徴とする非常用トイレ設備。
【請求項8】
請求項6に記載の非常用トイレ設備において、前記便槽は、地崩れを防止する鋼管と、コンクリートにより固められた底面を備え、前記鋼管の内側に張られたビニールシートとを有することを特徴とする非常用トイレ設備。
【請求項9】
請求項6、7又は8に記載の非常用トイレ設備において、前記便槽は、平常時に非常用物資を収納する空間又は飲料水を貯蔵する空間として利用可能であることを特徴とする非常用トイレ設備。
【請求項10】
請求項6、7、8又は9に記載の非常用トイレ設備において、前記床パネルは、前記各個室に設けられる前記水洗便器と前記便槽とをつなぐ排便口を有することを特徴とする非常用トイレ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−154506(P2007−154506A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350780(P2005−350780)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(502175619)株式会社エス・エヌ・エイチ (2)
【Fターム(参考)】