説明

簡易組立式家屋

【課題】 簡単に組み立てることができる家屋を提供すること。
【解決手段】 基板体と、同基板体の一側面に連設した格子状補強体とから建築用パネルを一体成形し、同建築用パネルを床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として躯体を組み立てるようにした。従って、鉄骨等の補強部材を使用することなく、剛性を確保したまま簡単に躯体を組み立てることができる。この際、建築用パネルは、工場ないしは構築現場において、床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として所要の大きさ、及び、形状に形成することにより、連結材を介して簡単に連結して躯体を組み立てることができる。その結果、工期と工費を大幅に削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易に組み立てることができる簡易組立式家屋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡易組立式家屋の一形態として、発泡スチロールを構成材とする複数の分割片にそれぞれ骨格形状の補強部材を組み込み、これらの分割片同士を家屋組立用基礎上で互いに組み合わせて接合し、躯体を形成すると共に、内部に居住空間を形成するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、複数の分割片は、それぞれ所要の形状に形成した複数の金型内にて発泡スチロール材を発泡させることにより成形している。
【0004】
また、補強部材は、鉄骨を格子状に枠組みすることにより形成している。
【特許文献1】特開2004−211444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した簡易組立式家屋は、下記のような不具合を有している。
(1)構成材として発泡スチロールを使用しているために、材料費が高くなる上に、かかる発泡スチロールを構成材として複数の分割片を形成するのに、それぞれ大きくて高額な金型を複数個必要とし、かかる金型の高額費用が構成材の材料費をさらに引き上げている。しかも、補強部材も鉄骨を格子状に枠組み形成しているために、かかる補強部材の材料費も高くなり、全体的に材料費が高くつくという不具合がある。
(2)簡易組立家屋の形状(パターン)を増やすと、その分だけ大きくて高額な金型の種類を増やす必要性が生じるために、材料費の高騰につながる。
(3)各分割片は、構成材が発泡スチロールであるために大容量となる。その結果、各分割片が取り扱い難い上に、製造工場が大規模となり、製品在庫の保存用ヤードは平置きしかできないこともあって、広大な敷地を必要とする。しかも、建設地への運搬にも大きな負担となり、材料費の高騰につながる。
(4)各分割片は、構成材が発泡スチロールであるために軽量であるが、内包した補強部材が鉄骨を枠組み形成したものであるために重量があり、躯体の組立作業時には補強部材を吊り上げるための作業機を必要とする。そのために、作業機を用意する費用と、同作業機を操作するオペレータの日当を別途必要とし、その分、工費が高くなる。
(5)発泡スチロール製の分割片と鉄骨製の補強部材とにより躯体を組み立てる作業に、熟練と人手を必要とするために、人件費が高くなり、工費の高騰につながる。
(6)各分割片は、構成材が発泡スチロールであるため、室内の内壁が全て発泡スチロールとなる。発泡スチロールは、スチレンモノマーを主材料として、ブタン、ペンタン等の発泡剤や難燃剤・可燃剤・帯電防止剤等からなる発泡ポリスチレン粒子を発泡させて形成したものであるが、この素材としての化学臭がとれないことに問題がある。別に人体に危険なものではないが、内面塗装をしても相当長期にわたり化学臭がとれないために、不快感を与える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明では、基板体と、同基板体の一側面に連設した格子状補強体とから建築用パネルを一体成形し、同建築用パネルを床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として躯体を組み立てることを特徴とする簡易組立式家屋を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
(1)建築用パネルは、古紙等の紙を漉いて成形したものであること。
(2)建築用パネルは、格子状補強体を側面視略六角形の格子状に形成して、同格子状補強体と基板体とにより一側面が開口した略六角柱状のセル室を多数形成したものであること。
(3)建築用パネルは、複数枚を積層させて接着することにより、密閉状態のセル室を多数有する躯体構成材となしたものであること。
(4)躯体構成材は、建築用パネルに発砲プラスチック層を積層させて一体化したものであること。
(5)連結材は、床材、壁材、及び、屋根材等の躯体構成材の接合面部に積層させて接着することにより、躯体を一体的に組み立てること。
【発明の効果】
【0008】
(1)請求項1記載の本発明では、基板体と、同基板体の一側面に連設した格子状補強体とから建築用パネルを一体成形し、同建築用パネルを床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として躯体を組み立てるようにしている。
【0009】
このようにして、基板体と、同基板体の一側面に連設した格子状補強体とから一体成形した建築用パネルを、床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として躯体を組み立てるようにしているため、鉄骨等の補強部材を使用することなく、剛性を確保したまま簡単に躯体を組み立てることができる。
【0010】
この際、建築用パネルは、工場ないしは構築現場において、床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として所要の大きさ、及び、形状に形成することにより、連結材を介して簡単に連結して躯体を組み立てることができる。その結果、工期と工費を大幅に削減することができる。
(2)請求項2記載の本発明では、建築用パネルは、古紙等の紙を漉いて成形したものである。
【0011】
このようにして、建築用パネルを古紙等の紙を漉いて成形しているため、安価に製造することができる。しかも、建築用パネルを軽量となすことができると共に、切断が楽に行えるため、躯体構成材の形成も楽に行える。
(3)請求項3記載の本発明では、建築用パネルは、格子状補強体を側面視略六角形の格子状に形成して、同格子状補強体と基板体とにより一側面が開口した略六角柱状のセル室を多数形成したものである。
【0012】
このようにして、建築用パネルを、格子状補強体を側面視略六角形の格子状に形成して、同格子状補強体と基板体とにより一側面が開口した略六角柱状のセル室を多数形成したものとなしているため、建築用パネルを構造簡易にして強固な断面構造となすことができる。
【0013】
その結果、鉄骨等の補強部材を使用することなく、剛性を確保したまま簡単に躯隊を組み立てることができて、この点からも工期と工費を大幅に削減することができる。
【0014】
しかも、建築用パネルのセル室を形成している側面上にて発泡スチロール等の発泡プラスチックを発泡させて、同発泡プラスチックによる断熱層を重合状態に形成することもできる。
【0015】
この際、発泡プラスチックは、各セル室内に一部が充填された状態、換言すると咬み込んだ状態にて固化されるため、同発泡プラスチックを建築用パネルに強固に一体的に連設することができる。なお、発泡プラスチックの外表面にはモルタルを塗布しておくことにより、同発泡プラスチックを耐火構造となすと同時に紫外線から保護することができる。
(4)請求項4記載の本発明では、建築用パネルは、複数枚を積層させて接着することにより、密閉状態のセル室を多数有する躯体構成材となしたものである。
【0016】
このようにして、建築用パネルを複数枚積層させて接着することにより、密閉状態のセル室を多数保有する躯体構成材となすことができるため、軽量な建築材料にして、かつ、防音効果や断熱効果等を良好に確保することができる。
(5)請求項5記載の本発明では、躯体構成材は、建築用パネルに発砲プラスチック層を積層させて一体化したものである。
【0017】
このようにして、建築用パネルに発砲プラスチック層を積層させて一体化することにより、内装材と外装材と断熱材とを兼備して、防音効果や断熱効果等に優れる躯体構成材となすことができる。
【0018】
しかも、かかる建築用パネルを使用して一体成形して組み立てられた簡易組立家屋は、躯体構成材だけで内装材と外装材と断熱材の性能・効果を発揮する上に、躯体構成材自体が軽量であるため、躯体組立作業の工期と工費を大幅に削減することができる。
(6)請求項6記載の本発明では、連結材は、床材、壁材、及び、屋根材等の躯体構成材の接合面部に積層させて接着することにより、躯体を一体的に組み立てることができる。
【0019】
このようにして、床材、壁材、及び、屋根材等の躯体構成材の全ての接合面部に連結材を積層させて、木工用ボンド等により接着することにより、躯体構成材同士を簡単に連結して躯体を組み立てることができる。
【0020】
その結果、人件費の高い熟練した作業者でなくても簡単に組立作業を行うことができて、この点からも工期と工費を大幅に削減することができる。
【0021】
ここで、接着剤としては、酢酸ビニル系の木工用ボンドを主として使用することができ、かかる接着剤により接着された接合面部は、恒久的強度を確保することができると同時に、建築用パネル自体より強い強度を発揮する。
【0022】
仮に、破壊が生じた場合でも、建築用パネルの部材が紙破することが確認されている。このことは、建築用パネルの合成強度を確認しておくことで、躯体構成部材を連結材により床材と壁材と屋根材とを一体となして、剛性を発揮させることができる。
【0023】
このことにより、台風や暴風雨や季節風による横風や、積雪等の積載荷重にも十分に対抗することができる強度を発揮することができる。
【0024】
しかも、地震時の横揺れ・縦揺れに対しても、躯体荷重が軽い上に、接着接合により実体全体が一体構造物となっているため、きわめて安全で破壊し難い家屋構造となすことができる。
【0025】
さらには、きわめて軽量で、簡単な加工性能を発揮し、かつ、防音効果や断熱効果を良好に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係る簡易組立式家屋の最良の実施形態を下記の図1〜図6を参照しながら説明する。
【0027】
ここで、図1(a)は、本発明に係る簡易組立家屋Aの断面正面説明図、図1(b)は、同簡易組立家屋Aの断面平面説明図、図2は、同簡易組立家屋Aの分解説明図、図3(a)は、同簡易組立家屋Aの実体構成材としての建築用パネルの正面図、図3(b)は、同建築用パネルの底面図、図3(c)は、図3(a)のI-I線断面図、図4は、基礎部の断面正面図説明図、図5(a)は、壁材と壁材とを接合する角部の断面平面図、図5(b)は、同角部の分解接合説明図、図6(a)は、壁材と屋根材とが接合する角部の断面正面図、及び、図6(b)は、同角部の分解接合説明図である。
【0028】
本発明に係る簡易組立家屋Aは、図1及び図2に示すように、地面Gに基礎部1を敷設し、同基礎部1上に実体2を簡易に組み立てて構築しており、実体2は、建築用パネルBを床材3、壁材4、屋根材5、及び、第1・第2・第3・第4連結材6,7,8,9躯体構成材として組み立てるようにしている。16は頂部覆い体、17は外気取り入れ口である。
【0029】
ここで、建築用パネルBについて、図3を参照しながら説明すると、同建築用パネルBは、基板体10と、同基板体10の一側面に連設した格子状補強体11とを一体成形しており、同基板体10と格子状補強体11は、古紙等の紙を漉いて一体成形している。
【0030】
しかも、建築用パネルBは、格子状補強体11を側面視略六角形の格子状に形成して、同格子状補強体11と基板体10とにより一側面に略六角形の開口部12を有する略六角柱状のセル室13を多数形成しており、各開口部12の開口端縁部12aは、内方に少し縮径している。
【0031】
このようにして、基板体10と、同基板体10の一側面に連設した格子状補強体11とから一体成形した建築用パネルBを、床材3、壁材4、屋根材5、及び、第1・第2・第3・第4連結材6,7,8,9の躯体構成材として躯体を組み立てるようにしているため、鉄骨等の補強部材を使用することなく、剛性を確保したまま簡単に躯体を組み立てることができる。
【0032】
この際、建築用パネルBは、工場ないしは構築現場において、床材3、壁材4、屋根材5、及び、第1・第2・第3・第4連結材6,7,8,9の躯体構成材として所要の大きさ、及び、形状に形成することにより、第1・第2・第3・第4連結材6,7,8,9を介して簡単に連結して躯体を組み立てることができる。その結果、工期と工費を大幅に削減することができる。
【0033】
そして、建築用パネルBは、古紙等の紙を漉いて成形しているため、安価に製造することができる。
【0034】
しかも、建築用パネルBを軽量となすことができると共に、切断が楽に行えるため、躯体構成材の形成も楽に行える。
【0035】
さらには、建築用パネルBは、格子状補強体11を側面視略六角形の格子状に形成して、同格子状補強体11と基板体10とにより一側面に略六角形の開口部12を有する略六角柱状のセル室13を多数形成したものとなしているため、同建築用パネルBを構造簡易にして強固な断面構造となすことができる。
【0036】
その結果、鉄骨等の補強部材を使用することなく、剛性を確保したまま簡単に躯隊を組み立てることができて、この点からも工期と工費を大幅に削減することができる。
【0037】
また、建築用パネルBのセル室13を形成している側面上にて発泡スチロール等の発砲プラスチック(図4〜図6参照)を発泡(現場発泡)させて、同発泡プラスチックによる断熱層14を重合状態に形成することもできる。
【0038】
この際、発泡プラスチックは、各開口部12の開口端縁部12aが内方に少し縮径している各セル室13内に一部が充填された状態、換言すると咬み込んだ状態にて固化されるため、同発泡プラスチックを建築用パネルBに強固に一体的に連設することができる。
【0039】
なお、発砲プラスチックは、上記のように格子状補強体11側に限らず、基板体10の表面に積層させて形成することもできる。
【0040】
そして、断熱層14は、発泡プラスチックを現場発泡させる場合に限らず、あらかじめ工場等にて成形したものを建築用パネルBに積層させて木工用ボンド等の接着剤により接着することもできる。
【0041】
また、発泡プラスチック製の断熱層14の外表面には、モルタル(図4〜図6参照)を塗布して保護層15を形成しておくことにより、発泡プラスチック製の断熱層14を耐火構造となすと同時に紫外線から保護することができる。
【0042】
また、本実施の形態では、複数枚の建築用パネルBを積層させて木工用ボンド等の接着剤により接着することにより、密閉状態のセル室13を多数有する躯体構成材となしている。
【0043】
このようにして、建築用パネルBを複数枚積層させて接着することにより、密閉状態のセル室13を多数保有する躯体構成材となすことができるため、軽量な建築材料にして、かつ、防音効果や断熱効果等を良好に確保することができる。
【0044】
次に、前記した基礎部1と、躯体構成材としての床材3、壁材4、屋根材5、及び、第1・第2・第3・第4連結材6,7,8,9の構成を、図4〜図6を参照しながら具体的に説明する。
【0045】
基礎部1は、図4に示すように、家屋構築現場の地面Gを平面視四角形枠状に切削すると共に、締め固めて盛土敷設面20を形成し、同盛土敷設面20上に盛土21を敷設し、同盛土21上に基礎本体22を構築し、同基礎本体22上に外側壁状基礎形成体23と内側壁状基礎形成体24とを内外側に一定の間隔を開けて構築している。25は基礎本体用補強鉄筋、26,27は壁状基礎形成体用補強鉄筋である。
【0046】
ここで、基礎本体22と外側壁状基礎形成体23と内側壁状基礎形成体24は、現場打ちコンクリートにより構築している。
【0047】
上記した基礎部1の外側壁状基礎形成体23の内方には床部30を張設しており、同床部30は、図4に示すように、地面G上に防水シート31を張設し、同防水シート31上にベースコンクリート32を打設し、同ベースコンクリート32上に発泡スチロール等の発泡プラスチック製の断熱パネル33を敷設し、同断熱パネル33上に床材3を張設し、同床材3上にフローロング材34を張設している。
【0048】
ここで、本実施の形態では、床材3は、基板体10を上面にした三枚の建築用パネルBを積層させて形成している。また、ベースコンクリート32の上面32aは、内側壁状基礎形成体23の上端面23aと面一となして、同内側壁状基礎形成体23の上端面23a上にも断熱パネル33と床材3とフローリング材34を張設している。
【0049】
上記した基礎部1の外側壁状基礎形成体23と内側壁状基礎形成体24との間には壁部40を立設しており、同壁部40は、図4に示すように、外側壁状基礎形成体23と内側壁状基礎形成体24との間に壁材4を建て込み、同壁材4の外側面に発泡スチロール等の発泡プラスチックを現場発泡させて断熱層14を形成し、さらに、同断熱層14の外側面から外側壁状基礎形成体23の上端面さらには上部外側面にわたってモルタルを塗布することにより保護層15を形成している。
【0050】
ここで、本実施の形態では、壁材4は、セル室13の開口部12を外側方に位置させた三枚の建築用パネルBを積層させて形成し、同セル室13内に断熱層14を形成する発泡プラスチックの一部を充填させて、壁材4と断熱層14とを一体化している。
【0051】
しかも、外側壁状基礎形成体23の内側面には、同外側壁状基礎形成体23の伸延方向に沿わせて三個の抜け止め用突条片23b,23b,23bを上下方向に一定の間隔を開けて一体成形して、各抜け止め用突条片23b,23b,23bを断熱層14内に嵌入させることにより、外側壁状基礎形成体23と断熱層14との一体化を図って、同断熱層14と一体化した壁材4と外側壁状基礎形成体23との一体化を図っている。
【0052】
さらには、内側壁状基礎形成体24と対面する壁材4の基板体10に多数の穴41を開けて、セル室13を開口させることにより、同セル室13内に内側壁状基礎形成体24を成形する際に打設したコンクリートの一部が充填されるようにして、同内側壁状基礎形成体24と壁材4とが一体化されるようにしている。
【0053】
このようにして、壁材4の下部を外側壁状基礎形成体23と内側壁状基礎形成体24とに一体的に固定している。
【0054】
また、上記した壁部40,40は、図5に示すように、側端縁部同士を直交状態に連設しており、一方の壁材4の側端縁部42の側面に他方の壁材4の側端縁部42の端面を当接させて、両壁材4,4同士を直交状態となすと共に、両者を一対の第1連結材6,6を介して木工用ボンド等の接着剤(図示せず)により接着するようにしている。
【0055】
そして、図5に示すように、壁材4の外表面には、外側方の第1連結材6と重合状態に接合される重合接合面部4aを除いて、あらかじめ断熱層14を形成しておき、また、外側方の第1連結材6の外表面にもあらかじめ断熱層14を形成しておき、両壁材4,4を外側方の第1連結材6,6を介して連結した際には、壁部40,40の外表面に断熱層14が連続的に形成されるようにしており、同断熱層14の外表面に保護層15を形成するようにしている。
【0056】
ここで、第1連結材6は、図5に示すように、平面視略直角に折曲させた状態に成形した三枚の建築用パネルBを積層させて形成しており、一対の第1連結材6,6を、直交状態となした壁材4,4の側端部42,42に内外側から当接させて、接着剤により一体的に接着することができるようにしている。
【0057】
また、上記した壁部40の上端縁部には屋根部43を連設しており、図6に示すように、直立に起立する壁材4の上端縁部44と傾斜状に配置した屋根材5の下端縁部45とを当接させると共に、両者を一対の第2連結材7,7を介して木工用ボンド等の接着剤(図示せず)により接着するようにしている。
【0058】
そして、図6に示すように、壁材4の外表面には、外側方の第2連結材7と重合状態に接合される重合接合面部4bを除いて、あらかじめ断熱層14を形成しておき、また、屋根材5の外表面には、外側方の第2連結材7と重合状態に接合される重合接合面部5aを除いて、あらかじめ断熱層14を形成しておき、また、外側方の第2連結材7の外表面にもあらかじめ断熱層14を形成しておき、壁材4と屋根材5とを外側方の第2連結材7,7を介して連結した際には、壁部40と屋根部43の外表面に断熱層14が連続的に形成されるようにしており、同断熱層14の外表面に保護層15を形成するようにしている。
【0059】
ここで、第2連結材7は、図6に示すように、側面視略「く」字状に折曲させた状態に成形した三枚の建築用パネルBを積層させて形成しており、一対の第2連結材7,7を、直立に起立させた壁材4の上端縁部と傾斜状態となした屋根材5の下端縁部とに内外側から当接させて、接着剤により一体的に接着することができるようにしている。
【0060】
また、上記した壁部40,40の側端縁部同士を、図7に示すように、直状態に連設する場合には、一方の壁材4の側端縁部42の端面に他方の壁材4の側端縁部42の端面を突き合わせ状態に当接させて、両壁材4,4同士を直状態となすと共に、両者を第5連結材18を介して木工用ボンド等の接着剤(図示せず)により接着するようにしている。
【0061】
そして、図7に示すように、壁材4の外表面には、第5連結材18と重合状態に接合される重合接合面部4aを除いて、あらかじめ断熱層14を形成しておき、また、第5連結材18の外表面にもあらかじめ断熱層14を形成しておき、両壁材4,4を第5連結材18を介して連結した際には、壁部40,40の外表面に断熱層14が連続的に形成されるようにしており、同断熱層14の外表面に保護層15を形成するようにしている。
【0062】
ここで、第5連結材18は、図7に示すように、直板状に成形した三枚の建築用パネルBを積層させて形成しており、同第5連結材18を、突き合わせ状態に接合した壁材4,4の重合接合面部4a,4aに外側から当接させて、接着剤により一体的に接着することができるようにしている。
【0063】
また、第3連結材8は、図2に示すように、直交状態に当接されて配置された壁材4,4の側縁上端部同士と、傾斜状態に当接されて配置された屋根材5,5の側縁下端部同士とを一体的に連結すべく、上部は側面視略「へ」字状に折曲させた状態に成形すると共に、下部は平面視略直角状に折曲させた状態に成形した三枚の建築用パネルBを積層させて形成しており、一対の第3連結材8,8を、壁材4,4と屋根材5,5とから形成される角部に内外側から当接させて、接着剤により一体的に接着することができるようにしている。
【0064】
また、第4連結材9は、図2に示すように、傾斜状態に当接されて配置された屋根材5,5の側縁部同士を一体的に連結すべく、側面視略「へ」字状に折曲させた状態に成形した三枚の建築用パネルBを積層させて形成しており、一対の第4連結材9,9を、屋根材5,5同士により形成される角部に内外側から当接させて、接着剤により一体的に接着することができるようにしている。
【0065】
このようにして、建築用パネルBにより形成した壁材6,6同士、また、壁材6と屋根材5、また、屋根材5,5同士を、建築用パネルBにより形成した第1・第2・第3・第4連結材6,7,8,9を介して接着剤により接着することにより、躯体2を簡単に構築することができる。
【0066】
また、前後左右側の屋根材5,5,5,5の上端縁部には頂部開口部46を形成し、同頂部開口部46の直上方位置に一定の間隔を開けて頂部覆い体16を配置して、同頂部覆い体16と屋根材5との間に外気取り入れ口17を形成している。
【0067】
そして、頂部覆い体16は、建築用パネルBを複数枚(例えば、三枚)積層すると共に、上面に断熱層14を形成し、同断熱層14の上面に保護層15を形成している。
【0068】
なお、建築用パネルBを筒状に形成し、さらに、必要に応じて複数層に積層することにより、所要強度を有する柱材や梁材を形成することもできる。そして、かかる柱材や梁材を躯体2に設けることにより、同躯体2の剛性を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)は、本発明に係る簡易組立家屋Aの断面正面説明図、(b)は、同簡易組立家屋Aの断面平面説明図。
【図2】同簡易組立家屋Aの分解説明図。
【図3】(a)は、同簡易組立家屋Aの実体構成材としての建築用パネルの正面図、(b)は、同建築用パネルの底面図、(c)は、図3(a)のI-I線断面図。
【図4】基礎部の断面正面図説明図。
【図5】(a)は、壁材と壁材とを接合する角部の断面平面図、(b)は、同角部の分解接合説明図。
【図6】(a)は、壁材と屋根材とが接合する角部の断面正面図、(b)は、同角部の分解接合説明図。
【図7】(a)は、壁材と壁材とが接合する部分の断面正面図、(b)は、同接合部の分解接合説明図。
【符号の説明】
【0070】
A 簡易組立家屋
B 建築用パネル
G 地面
1 基礎部
2 実体
3 床材
4 壁材
5 屋根材
6 第1連結材
7 第2連結材
8 第3連結材
9 第4連結材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板体と、同基板体の一側面に連設した格子状補強体とから建築用パネルを一体成形し、同建築用パネルを床材、壁材、屋根材、及び、連結材等の躯体構成材として躯体を組み立てることを特徴とする簡易組立式家屋。
【請求項2】
建築用パネルは、古紙等の紙を漉いて成形したものであることを特徴とする請求項1記載の簡易組立式家屋。
【請求項3】
建築用パネルは、格子状補強体を側面視略六角形の格子状に形成して、同格子状補強体と基板体とにより一側面が開口した略六角柱状のセル室を多数形成したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の簡易組立式家屋。
【請求項4】
建築用パネルは、複数枚を積層させて接着することにより、密閉状態のセル室を多数有する躯体構成材となしたものであることを特徴とする請求項3記載の簡易組立式家屋。
【請求項5】
躯体構成材は、建築用パネルに発砲プラスチック層を積層させて一体化したものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の簡易組立式家屋。
【請求項6】
連結材は、床材、壁材、及び、屋根材等の躯体構成材の接合面部に積層させて接着することにより、躯体を一体的に組み立てることを特徴とする簡易組立式家屋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−144383(P2006−144383A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335859(P2004−335859)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(593146349)
【Fターム(参考)】