説明

【課題】工場から現場への運搬を効率的に行うことができ、現場で容易に組み立てられる籠を提供する。
【解決手段】接続部材11により籠の内側へ折り畳み可能なパネル2とそれ自身は折り畳まれないパネル1とを側面とし、底面はベルト4,4’からなる籠である。ベルト4,4’は対向するパネル1,1及びパネル2,2間を繋いでいる。籠の中には袋5が設置されていて、その中に土砂を詰め込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は籠に関し、特に側面が格子状構造の複数のパネルから構成されている籠に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土留工事および地滑り防止工事等の治山工事や、護岸根固め工事および流路工事等の治水工事等には、可撓性を有し、施工が容易等の特徴を有する蛇籠、ふとん籠工法が多く用いられてきている。これら工法に用いられる籠は通常は石を詰め込んで用いるのであるが、このような籠を簡単に、かつ低コストで製作する方法として、パネルを組み立てて籠を製作する方法がある。この方法は、主筋と呼ばれる棒鋼で作られた矩形や台形の枠に金網を張ったパネルを複数結合して箱型にする方法で、その中に割栗石や玉石等をいれて、蓋のパネルを上に被せて石詰籠とする。(例えば、特許文献1)
また、河川の氾濫が生じそうになっている等の緊急事態において籠に詰める石が近くにないときには、籠の中に石を詰める替わりに土砂などを詰めた袋(土嚢)を籠の中にいれる場合がある。このような場合には、籠の大きさよりやや小さい袋を籠の中に入れ、そこへ土砂を詰め込むという方法が作業効率の点から好ましい。
【特許文献1】実開平6−30216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、底面及び地面から立ち上がった側面部分を全て金網パネルで構成させる場合には、工場で籠に組立て現場に運ぶことにすると嵩高くなって運搬が非効率的になってしまう。運搬効率を上げるため、金網パネルを現場に運んで現場で籠に組み立てると、現場での施工時間が長時間となり、緊急時には間に合わない虞がある。特に夜間や暴風雨下での組み立て作業では、金網パネル同士を組み付けて固定する固定具のボルトやナットを落として失ってしまいやすく、このような場合は施工時間がますます長くなってしまう。
【0004】
上記の籠に土嚢を入れる場合は、予め袋を籠の中に入れておくことはできないため、まず籠を現場で組み立ててその中に袋を入れなければならないので、完成するまで時間がかかってしまう。底面の金網パネルを設けずに側面のみを金網パネルで構成した場合は、予め袋を内部に入れた状態で工場において組み立てることができるが、底面が無いため現場において土砂を袋に入れた後に籠を移動させることは非常に困難であり、現場で任意の位置に設置できない。
【0005】
また、石や土砂を詰めた籠が不要になった場合に、石や土砂を取り除くのに非常に手間がかかってしまうとともに籠を解体するのにも時間がかかり、工事期間の長期化および工事費用の増大をもたらしていた。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、工場から現場への運搬を効率的に行うことができ、現場で容易に組み立てられる籠を提供することにある。他の目的は、容易に撤去できる籠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の籠は、側面が格子状構造の複数のパネルからなる籠であって、底面は、屈曲自在なベルトまたは線材状物からなっており、前記パネルは、隣接する別のパネルとの接続部を回転軸として回動可能であり、前記パネルの少なくとも1つは、外側面同士を重ね合わせるように2つに折り畳まれる構成を有しており、前記構成は、該構成を有する前記パネルの底辺に垂直であって当該パネルを略二分する線を折れ線として、該折れ線を軸に回転するものである。ここで側面とは、籠を地面に設置したときに地面から立ち上がっている面のことであり、正面や背面なども含まれる。格子状構造のパネルは、棒鋼を溶接して作成した溶接金網やひし形金網、エキスパンドメタル、パンチングメタルなどのいわゆる金網から構成されるパネルやプラスチックからなる金網状のパネルであることが好ましい。屈曲自在な線材状物とは、限定されないが、ワイヤロープや鎖等を挙げることができる。側面が地面となす角度は60〜120度が好ましく、より好ましくは80〜100度である。さらに好ましいのは実質的に90度である。
【0008】
前記ベルトまたは線材状物は、脱着自在に前記パネルに取り付けられていることが好ましい。
【0009】
本発明の第2の籠は、側面が格子状構造の複数のパネルからなる籠であって、底面は、屈曲自在なシート状物あるいは網からなっており、前記パネルは、隣接する別のパネルとの接続部を回転軸として回動可能であり、前記パネルの少なくとも1つは、外側面同士を重ね合わせるように2つに折り畳まれる構成を有しており、前記構成は、該構成を有する前記パネルの底辺に垂直であって当該パネルを略二分する線を折れ線として、該折れ線を軸に回転するものである。
【0010】
前記シート状物あるいは網は、脱着自在に前記パネルに取り付けられていることが好ましい。
【0011】
前記側面は、円筒あるいは多角筒を形成することが好ましい。
【0012】
前記側面及び底面の内側にさらに袋を備えていることが好ましい。
【0013】
さらに吊手を備えていることが好ましい。吊手とは、クレーンのフックなどに掛けられて籠をつり上げられるようにする部材である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の籠は、側面のパネルのうち一部のパネルが2つに折り畳まれる構造を有し、底面が屈曲自在なベルトあるいは線材状物からなっているので、工場で製造してから設置現場に運搬する際に折り畳んだ状態、即ち嵩が小さい状態で運搬でき、一度に多くの籠を運搬できて運搬効率がよい。また、予め籠の内部に土砂を詰める袋を入れておいても籠を折り畳むことができ、この場合も運搬効率を向上させられる。また、現場においても折り畳んだ状態からパネルを開くだけで籠を設置することができ、施工時間を短くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施形態は本発明の例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0016】
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る籠を上から見た図であり、図2は図1のA方向からみた側面図、図3は図1のB方向から見た側面図である。
【0017】
本実施形態に係る籠は、側面が4枚の金網製のパネル1,1,2,2からなり、底面が5本のベルト4,4’からなる直方体であり、内部には土砂を詰め込む袋5が設けられている。また、一組の対向するパネル2,2の上部には、籠を吊り上げるための吊りベルト(吊手)10,10がそれぞれ取り付けられている。
【0018】
この籠は2種類の側面のパネル1,2を有している。いずれのパネル1,2も亜鉛メッキを施した溶接金網から形成されている。図2に示すパネル2は、中央部に折り畳み軸(折れ線)3を有していてこの折り畳み軸3を回転軸として2つに折り畳まれるが、図3に示すパネル1は折り畳み構造を有していない。折り畳み軸3はパネル2の底辺に垂直であって、該パネル2をほぼ二等分する位置にある。
【0019】
隣り合うパネル1,2同士は、螺旋状の針金からなるコイル6によって接続されている。このコイル6による接続部分を軸として隣り合うパネル1,2同士は回動可能である。従って後述するように、パネル2,2が折り畳まれるのに従って、パネル1とパネル2とが、互いに内面同士が近づくように回動して最終的に全体がフラットな状態に折り畳まれる。この時底面がベルト4,4’で構成されているので、底面が邪魔になることなくフラットに折り畳まれるとともに、袋5もパネル1,2及びベルト4,4’間に挟まれてコンパクトに収納される。
【0020】
籠の底面は金網が存しておらず、屈曲自在な繊維製のベルト4,4’で構成されている。ベルト4,4’は対向するパネル2,2または対向するパネル1,1の間を繋いでおり、折り畳まれないパネル1,1を繋ぐベルト4,4は2本であり、折り畳まれるパネル2,2を繋ぐベルト4,4’は3本である。略平行に隣接する2本のベルト4,4間の距離および略平行に隣接するベルト4とパネル1,2との距離は、200〜600mmであれば強度上問題がなく好ましい。本実施形態では対向する折り畳み軸3,3の双方を含む平面を横切るようにして折り畳まれるパネル2,2を繋ぐベルト4’が設けられており、このベルト4’に張力が掛かったときにパネル2,2がちょうど開ききってフラットになる構成となっている。このような構成によりパネル2,2が外側に開きすぎることをベルト4’が防止している。
【0021】
袋5は繊維製の布からなっており、耐候性に優れ長期間屋外に放置しておいても破れたりすることはない。また、袋5は複数箇所をパネル1,2と接続されている(不図示)。袋5は籠と同じ形状の直方体であるが、土砂を詰め込むことにより側面の中央部が外側に膨れるので、籠と同等か小さいサイズ、例えば各辺の長さが籠の辺の80〜100%のサイズが好ましいが、より好ましいのは90〜98%のサイズである。ここでは95%としている。
【0022】
次に、本実施形態の籠の製造方法を説明する。
【0023】
まずパネル1となる第1の溶接金網(1m×75cm)2枚と、パネル2となる第2の溶接金網(50cm×75cm)4枚とを用意する。それから2枚の第2の溶接金網の75cm長さの辺同士を平行につき合わせ、接続部材11,11,11を用いて75cm長さの辺を構成する縦筋21,21’同士を結合させて2枚の第2の溶接金網を接続する。この時第2の溶接金網の横筋の端部22,22’は、接続部材11,11,11により結合される縦筋21,21’よりも外側に突き出させているので、接続させる2枚の第2の溶接金網の横筋の配置位置が同じであると、横筋の端部22,22’同士が干渉し合ってうまく接続できない。従って横筋の配置位置が同じではない(縦筋を隣り合わせたときに横筋が互い違いに位置する)2枚の第2の溶接金網を用いる。なお、横筋端部22,22’が突き出しているのは、この部分が隣の第2の溶接金網の縦筋21,21’に接触することにより2枚の第2の溶接金網が180度以上開かないようにするためである。
【0024】
次に、接続した第2の溶接金網と第1の溶接金網とをコイル6を用いて接続する。コイル6にはパネル1,2から抜け落ちないように不図示のストッパが取り付けられている。
【0025】
それから、ベルト4,4’をパネル1,2に取り付けて底面とする。ベルト4,4’の両端はそれぞれ折り返されて輪(目)を作るように縫い合わされている。この輪の部分に固定棒23,23’を差し込んでパネル1,2に固定する。輪の部分は籠の内側から横筋の直上を通って外側に出し、固定棒23,23’を籠の外側において輪に通し、固定棒23,23’の両端を、ベルト4に隣接する縦筋にそれぞれ当てることにより固定する。袋5に土砂を詰め込んでベルト4,4’に張力が掛かると固定棒23,23’が縦筋に当たって確実に固定されるが、工場での組立時および現場への運搬、設置時においてはベルト4,4’に張力が掛かっておらず固定棒23,23’が外れて落下してしまう虞があるため、図には示していないが固定棒23,23’をパネル1,2に留めておく留め具を用いている。この留め具は袋5に土砂を入れたら取り外す。
【0026】
次に、接続したパネル1,2の内部に沿うように袋5を籠内に入れて、袋5に取り付けられているひも(不図示)でパネル1,2と縛り付け、袋5をパネル1,2に取り付ける。
【0027】
さらに、パネル2,2の最上部の横筋に吊りベルト10,10を取り付ける。1本の吊りベルト10の両端は一つのパネル2に取り付けられており、吊りベルト10,10は鞄の持ち手のような形状となっている。
【0028】
以上により袋5が内部にセットされた籠ができあがる。この籠は図4に模式的に示すように、パネル2、2が折り畳み軸3,3を回転軸にして回動し、折り畳まれたり(図4(c))開いたり(図4(a))する。折り畳まれた状態では、パネル2,2は二つ折りの状態であり2つの部分は外側面同士が向き合った状態となっている。なお、図4(c)に示されている折り畳まれた状態であっても、金網の厚みや袋5の厚み及びコイル6、接続部材11などの干渉のため完全にフラットな状態とはならない。
【0029】
次に、接続部材11について説明を行う。図5に示すように接続部材11は、第1及び第2の押さえ板51,52とこれらの押さえ板51,52の間に設置する円筒形のスペーサ58,58と3本のボルト53,54,54とからなっている。第1及び第2の押さえ板51,52には、一列および等間隔でそれぞれ3つの貫通孔56,…,57,…が設けられている。第1の押さえ板51には左端の貫通孔56と連通するようにナット55が溶接されて固定されている。2つのスペーサ58,58はナット55が固定されていない貫通孔56,56と連通するように第1及び第2の押さえ板51,52の間に置かれる。この接続部材11を用いて2つの金網を接続するには、まず一つの金網の端に位置する縦筋を2つのスペーサ58,58間に置いて、それから第2の押さえ板52の貫通孔57,57(図の真中および右側の2つ)からスペーサ58,58、それから第1の押さえ板51貫通孔56,56の順にボルト54,54を差し込んで第1の押さえ板51側に突き出した部分にナット(不図示)を螺合させる。次にもう一つの金網の端に位置する縦筋を2枚の押さえ板51,52の間であって図の左と中央の貫通孔57,57の間に入れて、ボルト53をナット55から貫通孔56,貫通孔57の順に差し込んで第2の押さえ板52側に突き出した部分にナット(不図示)を螺合させる。スペーサ58,58の高さを金網の縦筋の径よりも大きく設定しているので、金網は接続部材11により接続されても接続された縦筋部分が回動自在となる。接続を解除するときは、ボルト53のナット(不図示)との螺合を解除すれば、左側の縦筋を抜くことができる。この時ナット55があるので、ボルト53は接続部材11から抜け落ちることがなく、ボルト53を失うことがない。
【0030】
次に、本実施形態の籠の使用例の一つを説明する。
【0031】
上記の製造方法により製造された袋5付きの籠を折り畳んだ状態で工場から工事現場、例えば河川敷にトラックなどで運搬する。トラックから土砂の詰め込み場所までの運搬は機械を用いてもよいし、本実施形態の籠は20kg強と軽量なので人手により運搬を行うことも可能である。
【0032】
土砂詰め込み場所において、籠を折り畳み状態から開いて底面を下にして地面に置き、袋5に土砂を詰める。籠を開くのは人力で可能であるが、機械を利用してもよい。
【0033】
土砂を詰め込み終わったら、吊りベルト10,10をクレーンのフックに掛けて吊り上げ、所望の位置に籠を運んで設置する。本実施形態の籠は土砂を入れた袋5の形状が側面のパネル1,2および底面のベルト4,4’によりほぼ直方体に規定されるので、2段以上に積み上げても安定した状態を保つことができる。
【0034】
また、土砂入りの籠が不要になったときは、籠を解体場所まで運搬してから、固定棒23,23’をベルト4,4’から抜き取り、パネル1,2と袋5とを結んでいるひもの結び目を解けば、パネル1,2からなる籠のみを吊り上げ土砂入り袋5と分離することができる。この籠は再利用可能である。また、袋5も経年劣化が生じていなければ土砂を取り除いて再利用できる。従来の底面まで金網から構成されている籠では、金網同士の接続を解除しないと解体することができない。この作業は非常に時間をかけて行うか、籠自体を破壊しないとできない。このように、本実施形態の籠は設置後の解体作業が容易で再利用が可能である。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の籠は、工場において袋を内部に入れた状態で容易に製作することができ、また、折り畳んだ状態で現場まで運搬でき、運搬効率が高い。底面が布なので、籠全体として軽量にできる。現場での籠の組立は、籠を開くだけなので、非常に短時間で行えるとともに、ボルトやナットなどの組立部材を失うことがない。底面を有しているため、袋に土砂を入れた後に袋ごと籠を吊り上げて所望の場所に移動させることができる。
【0036】
(実施形態2)
本実施形態は、パネルの折り畳み部の構造と植生シートを用いる点のみが実施形態1と異なっているので、この相違点のみを詳細に説明する。
【0037】
本実施形態の籠の側面を図6(a)に示す。パネル72の折り畳み構造は、2枚の溶接金網を折り畳み軸3の部分で接続している構造である。2枚の溶接金網は、横筋の一端が金網側方に突き出していて、この突き出し部分に一重の輪32を形成している。双方の金網から突き出したこれらの輪32,32,…の中心が1本の線上に載るように2枚の溶接金網の位置合わせをしてから、これらの輪32,32,…の中に回転軸棒31を挿入することで2枚の溶接金網が接続される。なお、図には示していないが、回転軸棒31が抜け落ちないようにストッパが設けられている。この回転軸棒31が折り畳み軸3に一致しており、回転軸棒31を中心にパネル72を構成する2枚の金網が回動して外側面同士を嵩ね合わせるように折り畳まれる。
【0038】
横筋の一端に形成された輪32は、図6(b)に示しているように、輪32よりもさらに外側に延びる先端部36を有しており、この先端部36が隣の溶接金網の縦筋33に当たることにより、実施形態1と同様にパネル72の外側面が180度よりも大きく開くことを防止している。なお、図の符号34は輪32が形成されている横筋に溶接されている縦筋である。
【0039】
また、本実施形態の袋5は一側面が植生シートとなっている。そのため、袋5に土砂を入れて籠を所定の場所に設置した後に、植生シートの部分から植物が生えてくることができる。さらに木や草などを植えることもできる。
【0040】
本実施形態では、実施形態1の作用効果に加えて、パネル2の製造がより簡単にできる効果と、籠の側面や上面に植物を植生できるという効果を有している。
【0041】
(実施形態3)
本実施形態は、底面をワイヤにより構成したものである。それ以外の点は実施形態1と同じであるので、底面のことについて詳細に説明する。
【0042】
本実施形態では、図1に示すベルト4,4’の替わりとして鋼製のワイヤを用いている。ワイヤはベルト4,4’ほど幅が広くないので、パネル1,1間に3本、パネル2,2間に3本の合計6本を設置している。各ワイヤの両端には留め具が設けられており、各パネル1,2の横筋に留められる。なお、この留め具は横筋へ容易に脱着可能なものであり、例えばベルトキャッチャー等を好ましく挙げることができる。
【0043】
本実施形態の作用効果は、実施形態1と同じである。
【0044】
(実施形態4)
本実施形態は、底面を合成樹脂製のシートにより構成したものである。それ以外の点は実施形態1と同じであるので、底面のことについて詳細に説明する。
【0045】
本実施形態では、図1に示すベルト4,4’の替わりとして略正方形の合成樹脂製のシートを用いており、シートの各辺は各パネル1,2の底辺に固定されている。この固定は着脱自在な固定具を用いて行われている。このシートは、たとえば袋5と同様の材質からなっており、土砂の重量に十分耐えうるとともに耐候性も備えている。
【0046】
本実施形態の作用効果は、実施形態1と同じである。
【0047】
(実施形態5)
本実施形態は、側面を形成するパネルを3枚として三角柱(三角形の筒)の形状を有する籠にかかる実施形態である。実施形態1に係る複数の籠を一直線に並べて、その端に本実施形態に係る籠をおくといった使用法を例として挙げることができる。図7(a)、(b)は、本実施形態の籠を上から見た模式的な図である。
【0048】
本実施形態では折り畳み可能なパネル82を1枚と折り畳まれないパネル81,81を2枚組み合わせて籠としている。図には示していないが、パネル81,81からパネル82へ実施形態1と同じようにベルトが渡されており、このベルトが籠の底面を形成している。本実施形態の籠も図7(b)に示すようにほぼフラットに折り畳まれる。また、籠の内部には袋が入れられている。
【0049】
本実施形態の作用効果は、実施形態1と同じである。また、本実施形態において底面をワイヤで形成しても構わないし、シートで形成しても構わず、このような構成においても作用効果は同じである。
【0050】
(実施形態6)
本実施形態は、底面を合成樹脂製のネット(網)により構成したものである。それ以外の点は実施形態1と同じであるので、底面のことについて詳細に説明する。
【0051】
本実施形態では、図1に示すベルト4,4’の替わりとして略正方形の合成樹脂製のネットを用いており、ネットの各辺は各パネル1,2の底辺に固定されている。この固定は着脱自在な固定具を用いて行われている。このネットは、たとえば袋5と同様の材質からなっており、土砂の重量に十分耐えうるとともに耐候性も備えている。
【0052】
本実施形態の作用効果は、実施形態1と同じである。
【0053】
(その他の実施形態)
2つの金網を繋いで折り畳み構造を形成する部材は、実施形態1の接続部材11や実施形態2の輪32と回転軸棒31とに限定されない。2つの金網の縦筋をコイルで繋いでもよいし、チェーンリングやCリングなどを用いても構わない。
【0054】
吊りベルトの本数や形状、吊り位置、材質などは上記の実施形態の例に限定されない。また、吊りベルトはなくてもよい。吊りベルトがない場合は、公知のアタッチメントを用いることで、多少手間は掛かるが籠を吊り上げることができる。
【0055】
土砂を詰める袋5は、籠とは別体として現場で籠の内部に入れてもよい。また、袋を用いずに籠の内部に石を詰めても構わない。袋5は繊維製の布としたが、布の少なくとも一方の面にゴムあるいは合成樹脂が被覆されていても良いし、繊維製の布の替わりにゴム製あるいは合成樹脂製のシートなどでも構わない。
【0056】
籠の形状は、直方体(底面が正方形)、三角柱(三角形の筒)に限定されず、底面が長方形の直方体、多角筒、円筒、楕円筒、角錐台状、円錐台状などでもよい。また、多角筒の側面の数を多くすることで実質的に円筒と見なすこともできる。
【0057】
パネルを構成するものは溶接金網に限定されず、ひし形金網、エキスパンドメタル、パンチングメタルなどのいわゆる金網やプラスチックからなる網状のパネル、また金属とプラスチック等を組み合わせた網状のパネルなどであってもよい。
【0058】
ベルトは、土砂を入れた袋の重みに耐え、耐候性を有する材質であれば繊維製以外のゴム製、合成樹脂製またはこれらの組み合わせ等どのようなものでも構わない。ベルトの形状や設置本数も特に限定されない。また、ベルトをパネルに固定する方法は、実施形態1に示した目と固定棒とによるものに限定されない。ベルトを針金などでパネルに縫い合わせて固定してもよいし、パネルの内側に折り込んでパネルと袋との間に挟み込まれることで固定されるようにしても構わない。ボルトとナットを用いて固定しても構わない。
【0059】
実施形態2においてワイヤではなく鎖で底面を構成してもよい。また、ワイヤや鎖などで底面を網状に形成してもよい。
【0060】
籠の大きさも限定されない。実施形態1では一辺1mの正方形の底面と高さ75cmの側面からなっているが、これよりも大きくても小さくても構わない。
【0061】
袋に入れるものは土砂に限られず、石、コンクリート破砕物、コンクリートなどなんでもよい。
【0062】
パネル同士を接続する部材はコイルに限定されない。例えば、ジョイントプレート、チェーンリングなどでもよい。
【0063】
実施形態4,6のシートやネットは合成樹脂製以外に、繊維製、ゴム製などでも構わない。
【0064】
実施形態1,3,4,5,6の籠に植生シートを組み合わせても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明に係る籠は、運搬効率が高く現場での組立が容易であって、治山工事や治水工事等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態1に係る籠の上面図である。
【図2】図1のA方向から見た側面図である。
【図3】図1のB方向から見た側面図である。
【図4】実施形態1に係る籠の折り畳みを模式的に示す図である。
【図5】接続部材の斜視図である。
【図6】(a)は、実施形態2に係る籠の側面図、(b)は、回転軸部分を上から見た拡大図である。
【図7】実施形態5に係る籠の折り畳みを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1,2 パネル
3 折り畳み軸(折れ線)
4,4’ ベルト
5 袋
10 吊りベルト
81,82 パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面が格子状構造の複数のパネルからなる籠であって、
底面は、屈曲自在なベルトまたは線材状物からなっており、
前記パネルは、隣接する別のパネルとの接続部を回転軸として回動可能であり、
前記パネルの少なくとも1つは、外側面同士を重ね合わせるように2つに折り畳まれる構成を有しており、
前記構成は、該構成を有する前記パネルの底辺に垂直であって当該パネルを略二分する線を折れ線として、該折れ線を軸に回転するものである、籠。
【請求項2】
前記ベルトまたは線材状物は、脱着自在に前記パネルに取り付けられている、請求項1に記載の籠。
【請求項3】
側面が格子状構造の複数のパネルからなる籠であって、
底面は、屈曲自在なシート状物あるいは網からなっており、
前記パネルは、隣接する別のパネルとの接続部を回転軸として回動可能であり、
前記パネルの少なくとも1つは、外側面同士を重ね合わせるように2つに折り畳まれる構成を有しており、
前記構成は、該構成を有する前記パネルの底辺に垂直であって当該パネルを略二分する線を折れ線として、該折れ線を軸に回転するものである、籠。
【請求項4】
前記シート状物あるいは網は、脱着自在に前記パネルに取り付けられている、請求項3に記載の籠。
【請求項5】
前記側面は、円筒あるいは多角筒を形成する、請求項1から4のいずれか一つに記載の籠。
【請求項6】
前記側面及び底面の内側にさらに袋を備えている、請求項1から5のいずれか一つに記載の籠。
【請求項7】
さらに吊手を備えている、請求項1から6のいずれか一つに記載の籠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−45991(P2006−45991A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231132(P2004−231132)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(591083901)共和ハーモテック株式会社 (10)
【出願人】(000204192)太陽工業株式会社 (174)
【Fターム(参考)】