説明

米と大豆を主材とする餅様食材及びその製造方法

【課題】うるち米特有の食感及び風味を損なうことなく、米粒を砕くことなく粒状をそのままに保ち、十分にもっちりとした食感を有する餅様食材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】うるち米と大豆より成る餅様食材であり、大豆が大豆を皮ごと加熱粉砕し、微粒子化したタンパク質が変性した微粒子ペースト状のものを使用し、大豆微粒子ペーストをうるち米に対し20〜40重量%を混合して練り合わせて成る餅様食材である。具体的にはうるち米を洗浄して浸水する。浸水したものを攪拌しながら加熱し、その後大豆微粒子ペーストを加え、混合攪拌しながら加熱する。煮沸後の混合物を天板で板状に成形し、板状に成形されたものを両面焼き上げて製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は米と大豆を主材とする餅様食材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向ブームにより、健康食材にたいする関心が高い。大豆は栄養的にも優れており、旧来より大豆そのもので、或いは豆腐や豆乳等の加工形態で食品として利用されている。例えば大豆を主材料とした食品や大豆加工品を添加した餅菓子やクッキーも市販されている。(例えば特許文献1)またお米を餅様に加工した食材としては、きりたんぽや五平餅が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−4812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から蒸かしたうるち米を成形し焼き上げてできた食材の問題点の一つとして、食べる際に形が崩れやすいという欠点がある。この問題を解決するため、蒸かしたうるち米を砕いて澱粉の性質を利用し米粒が各々離散しにくくする方法が用いられている。しかしながらこの方法では米を砕いてしまうため、うるち米の粒の食感が損なわれてしまい、食材のよさや風味を損なうことになる。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、うるち米特有の食感及び風味を損なうことなく、米粒を砕くことなく粒状をそのままに保ち、十分にもっちりとした食感を有する餅様食材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、うるち米と大豆より成る餅様食材であることを特徴とする。
【0007】
前記大豆が大豆を皮ごと加熱粉砕し、微粒子化したタンパク質が変性した微粒子ペースト状のものであることを特長とする
【0008】
そして前記大豆微粒子ペーストをうるち米に対し20〜40重量%を混合して練り合わせて成る餅様食材であることを特徴とする。
【0009】
またうるち米を洗浄して浸水する第一の過程と、浸水したうるち米を攪拌しながら加熱する第二の過程と、その後大豆微粒子ペーストを加え、混合攪拌しながら加熱する第三の過程と、加熱後の混合物を天板で板状に成形する第四の過程と、板状に成形されたものを両面焼き上げる第五の過程とからなる製造方法で製造する事を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によればく、大豆たんぱくを繋ぎにする事により、米の粒状を残したままで、かつ形状の崩れない板状の餅様食材が得られるため、食感が良くしかも健康にも良い大豆蛋白を多く含む餅様食材が提供されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を実施するための形態を詳細に説明する。以下の説明は大豆が微粒子ペースト状であり、大豆成分が乾燥重量で14%以上である大豆微粒子ペースト(商品名エコトース)を使用した餅様食材について行う。
【0013】
先ず、うるち米を洗浄する。次いで水に30分浸水し吸水させる。うるち米に対し120重量%の水を吸水したうるち米に加え、を強火で焦げ付かないようかき混ぜながら加熱する。お米がご飯になった(澱粉がα化した)ところで、20〜40重量%の大豆微粒子ペースト(エコトース)を混合させる。その後混合させたものを焦げ付かないようかき混ぜながら加熱する。この際米粒の形状を保持した状態でかき混ぜ加熱する。
【0014】
ご飯の炊き上がる臭いと大豆の香ばしい香りがし始めたころを目安として火から下ろす。
【0015】
天板に流し込み所望の厚さにのばし成形する。通常は3〜7mm程度が好ましい。3mm以下では薄すぎて食感が不足するし、7mm以上では内部と表面部の状態に差ができるためやはり食感が十分でない。その後加熱し、中の水分を飛ばし、好みの硬さに焼き上げる。勿論好みによりお焦げを作ることも可能である。面を変え同様に焼いていく。このようにして米と大豆を主材とする餅様食材ができあがる。
【0016】
本実施形態に係る餅様食材の形状は板状であり、お吸い物やスープの中に入れたり油で揚げても形状が崩れにくく食感も損なわれることがない。うるち米の米粒は砕かれずにそのまま残るためうるち米本来の風味や食感が損なわれることがない。また繋ぎに使用されている大豆微粒子ペースト(エコトース)の風味と調和し、米と大豆の両方の味を一度に満喫できる。表面がカリッと仕上がり中はもちっとした食感が特徴である。
【0017】
また本実施形態に係る餅様食材は、板状であり大豆の繋ぎの効果もあり、形状がしっかりしているため、料理に合わせて四角型、丸型、その他いかようにもカットすることが可能である。
【0018】
大豆微粒子ペースト(エコトース)の重量比率の上限は特に限定されないが、食感と風味のバランスの観点からすると20〜40重量%であることが望ましい。40%以上では大豆の風味か強すぎて食材としては好ましくない。20%以下では大豆の風味が弱すぎるし、つなぎの効果も弱く形状を確り保持するには不足がある。
【0019】
本発明では大豆微粒子ペーストとして高濃度大豆たんぱくペーストである商品「エコトース」(大応社製)の使用が好都合である。一般の豆乳と比較して、エコトース中の大豆乾燥重量は14%以上と高濃度である。
本発明に使用される大豆微粒子ペーストとして、豆腐や豆乳を使うことも考えられるが、形状を保つに十分な米の結合強度を保持するにはたんぱく質濃度が低い。また濃縮するには工程が複雑で操作が難しい。
【実施例1】
【0020】
うるち米200g水で数回を洗浄する。次いで水に30分浸水し吸水させる。吸水したうるち米を底広の鍋に移し、水240gを加え、強火で焦げ付かないよう、かつ米粒を壊さないようにかき混ぜながら加熱する。お米がご飯になった(澱粉がα化した)ところで、60gのエコトースを混合させる。その後混合させたものを焦げ付かないよう、かつ米粒を壊さないようにかき混ぜながら加熱する。
【0014】
ご飯の炊き上がる臭いと大豆の香ばしい香りがし始めたところで火から下ろす。
【0015】
天板に流し込み5mm程度に成形する。その後加熱し、水分を飛ばし、焦げ目の付かない程度に焼き上げ、餅様の食材ができる。
【実施例2】
実施例1の板状食材から大きさが3〜5cm程度の四角、三角、丸、星形等の形状を切り出し、お吸い物の具として使用した。いずれも形状が崩れることもなく、風味も食感のある食材として使えた。
【実施例3】
実施例1の板状食材から3〜5cm程度の四角、三角、丸、星形等の形状を切り出し、油で揚げた。大豆入りの米粒スナック菓子が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うるち米と大豆を主原料とする餅様食材
【請求項2】
前記大豆とは、大豆を皮ごと加熱微粒子粉砕しタンパク質が変性したものである微粒子ペースト(エコトース)であることを特長とする請求項1の餅様食材
【請求項3】
微粒子ペースト(エコトース)をうるち米に対し20〜40重量%含むことを特徴とする請求項2に記載の餅様食材
【請求項4】
うるち米を洗浄後水に浸水する第一の過程と、煮沸しながら攪拌する第二の過程と、エコトースを混合し、混合したものを攪拌しながら加熱する第三の過程と、加熱後の混合物を天板で板状に成形する第四の過程と、板状に成形されたものを両面焼き上げる第五の過程とからなる餅様食材の製造方法

【公開番号】特開2011−254788(P2011−254788A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−142055(P2010−142055)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(510170589)
【出願人】(510064428)
【Fターム(参考)】